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亀尾 裕; 中島 幹雄; 平林 孝圀*
Journal of Nuclear Science and Technology, 43(7), p.798 - 805, 2006/07
被引用回数:6 パーセンタイル:40.60(Nuclear Science & Technology)金属表面に生成した腐食生成物層を効率よく除去するため、ガラス融剤を用いて腐食生成物層を溶融した後、生成したガラス層をドライアイスブラストにより廃棄物から剥離させる乾式除染法を開発し、乾式除染法としての成立性について検討した。ガラス融剤の塗布,溶融ガラス化反応,ドライアイスブラストの各プロセスについて操作条件の最適化を行った後、BWR原子炉環境を模擬したオートクレーブで作製した模擬汚染試料を用いて腐食生成物層の除去試験を行った。その結果、ステンレス及び炭素鋼表面に生成した腐食生成物層は、本法により効果的に除去できることがわかった。剥離させたガラス層は、比較的低温で再溶融することにより減容・安定化が可能であり、本法を除染法として用いた場合、従来の化学除染法に比べ二次廃棄物の処理が極めて容易になると考えられる。
亀尾 裕; 中島 幹雄; 平林 孝圀*
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(9), p.919 - 924, 2004/09
被引用回数:14 パーセンタイル:65.37(Nuclear Science & Technology)放射性金属廃棄物に対する新規除染技術として、ケイ酸ナトリウムと酸から調製したゲル除染剤を用いたレーザー除染法について検討した。Coトレーサーを塗布した模擬汚染試料及び動力試験炉(JPDR)の一次冷却系統から切り出した実汚染試料に本除染法を適用したところ、2
3回の除染で99%以上の放射能(
Co)を除去することができた。除染反応におけるレーザー照射の効果を明らかにするため、腐食生成物層中の酸素及び鉄の化学結合状態をX線光電子分光分析装置で調べた。その結果、ゲル除染剤による腐食生成物層の溶解が、レーザー照射を行うことにより大幅に促進されることがわかった。
中塩 信行; 中島 幹雄; 平林 孝圀*
日本原子力学会和文論文誌, 3(3), p.279 - 287, 2004/09
高周波誘導加熱とプラズマ加熱を併用するハイブリッド加熱方式及び導電性るつぼを用いる高周波誘導加熱方式の2つの溶融方式によって50Lドラム缶スケールの溶融固化体を製作した。長期浸出試験前後の溶融固化体を解体し、固化体の固型化材(モルタル)充填状況,固化体性状の変化,固化体の化学組成及び放射性核種分布の均一性を調べるとともに、溶融固化体加熱方式の違いが放射性核種の金属層・スラグ層への分布に与える影響を調べた。いずれの溶融方式においても、均質で放射性核種が均一に分布した溶融固化体が製作できることを示すとともに、長期浸出試験後も固化体性状の劣化はなく健全な状態が保たれていることを明らかにした。
亀尾 裕; 中島 幹雄; 平林 孝圀*
Nuclear Technology, 144(1), p.76 - 82, 2003/10
被引用回数:2 パーセンタイル:18.66(Nuclear Science & Technology)原子炉施設の解体前除染技術として、アルミナ又は鋳鉄グリット研磨材と空気の旋回流を利用した乾式除染技術について検討した。旋回流によるステンレス及び炭素鋼配管の研削挙動を調べた結果、配管内表面の研削深さは空気流速の累乗及び研磨材濃度に比例して増加することがわかった。除染条件を最適化した後、動力試験炉(JPDR)の原子炉水浄化系統から切り出した汚染配管に対する除染試験を行った。これらの試験から、本技術が原子炉施設の廃止措置における解体前除染技術として有効であることが明らかになった。
中島 幹雄; 中塩 信行; 亀尾 裕; 福井 寿樹*; 磯部 元康*; 大竹 敦志*; 涌井 拓治*; 平林 孝圀*
Radiochimica Acta, 91(1), p.45 - 51, 2003/01
被引用回数:2 パーセンタイル:18.66(Chemistry, Inorganic & Nuclear)非移行型プラズマトーチを用いて、Csと
Coを含む模擬非金属雑固体廃棄物を溶融し、溶融固化体中の
Cs及び
Co残存率に及ぼす塩基度とFeO濃度の効果を調べた。Al
O
,CaO,FeO,SiO
を主成分とする溶融固化体中の
Co残存率は、溶融固化体の化学組成に依存せずほぼ一定であった。一方
Cs残存率は溶融固化体の塩基度の増加に従って減少したが、FeO濃度には依存しないことがわかった。また、メスバウアースペクトル測定により、溶融固化体中のFe
イオンはSiO
の三次元網目構造中で網目修飾イオンとして存在することが確かめられた。その結果、SiO
ガラスの構造モデルに基づく考察から、同じ網目修飾イオンであるCa
とFe
が、非架橋酸素と結合してつくる網目間構造の違いが
Cs残存率に影響を及ぼしているものと推論した。
中島 幹雄; 福井 寿樹*; 中塩 信行; 磯部 元康*; 大竹 敦志*; 涌井 拓治*; 平林 孝圀*
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(6), p.687 - 694, 2002/06
被引用回数:17 パーセンタイル:70.84(Nuclear Science & Technology)原研における低レベル放射性廃棄物の高減容処理プログラムの一環として、処分に適した安定な固化体を製作するための溶融条件の最適化を図るために、非金属雑固体廃棄物の溶融試験を行った。模擬廃棄物をCo,
Cs,
Euとともに非移行型プラズマトーチで溶融し、固化体の化学組成と物理的特性,及び放射性核種分布と残存率を調べた。固化体はほぼ均質で、十分な機械的強度を有している。放射性核種は固化体内に均一に分布し、固化体に残存する
Cs量はスラグ塩基度に依存したが、
Csのそれは依存しなかった。スラグ相中に
Coを含む微小な金属粒が観察された。これは還元性の雰囲気下での金属酸化物の還元によるものであった。
亀尾 裕; 中島 幹雄; 平林 孝圀*
Nuclear Technology, 137(2), p.139 - 146, 2002/02
被引用回数:7 パーセンタイル:43.66(Nuclear Science & Technology)放射性核種で汚染された金属廃棄物の除染にレーザーアブレーション法を適用するため、照射雰囲気が鋼材表面に生成した酸化皮膜層のアブレーションに与える影響について検討した。レーザー光の吸収過程がLambert-Beer則に従うとの仮定の基づき、He、O、Kr、SF
雰囲気中において、Fe
O
焼結体、ステンレス及び炭素鋼の吸収長及びアブレーションしきい値を測定した。その結果、高温水中でステンレス及び炭素鋼表面に生成した酸化皮膜層の選択的な除去には、SF
雰囲気が最も効果的であることがわかった。またレーザー照射後の模擬金属廃棄物に対して二次イオン質量分析及びSEM観察を行ったところ、酸化皮膜層が完全に除去されている様子が観察された。
福井 寿樹; 中塩 信行; 磯部 元康; 大竹 敦志*; 涌井 拓治*; 平林 孝圀*; 中島 幹雄
JAERI-Review 2000-033, 82 Pages, 2001/02
原子力施設において発生する低レベル雑固体廃棄物をプラズマ加熱により溶融処理し、安定した品質の溶融固化体を製作するためには溶融スラグの流動性を向上する必要がある。一般には、より高温で溶融処理し、溶融助剤等を添加することにより流動性を向上することが考えられるが、耐火物侵食の抑制や減容性の確保といった観点からは望ましい方法とはいえない。そこで、本稿では廃棄物中に含まれ、溶融スラグに対して流動性向上が期待される化学成分(FeO)に着目し、溶融スラグの流動性を向上させるとともに、溶融条件の緩和を図るものとした。まず、状態図及び粘性データの文献調査により、流動性向上成分であるFeOによる溶融スラグの融点降下及び粘性低下が期待できることを確認した。さらに、実際の雑固体廃棄物処理を想定し、融点降下及び粘性低下の観点から最適な溶融条件を検討した結果、(CaO+FeO)/(SiO+Al
O
)で定義される塩基度を0.5~0.6以上に保つことにより、安定した溶融処理が可能であることがわかった。
中塩 信行; 磯部 元康; 涌井 拓治*; 岩田 圭司*; 木林 辰行*; 金沢 勝雄; 福井 寿樹; 大竹 敦志*; 中島 幹雄; 平林 孝圀*
JAERI-Research 2001-001, 19 Pages, 2001/02
模擬雑固体廃棄物を、高周波誘導加熱とプラズマ加熱を併用するハイブリッド加熱方式及び導電性るつぼを用いる高周波誘導加熱方式の2つの溶融方式によって溶融し、雑固体廃棄物の溶融挙動を調べるとともに、溶融固化体の特性を評価した。製作した溶融固化体には強度を損なうような有害な空隙もなく、溶け残りなども見られず、ハイブリッド加熱方式で製作した溶融固化体の一部で見られたボイドの残存も、脱酸素剤を添加することにより低減できた。また、溶融固化体のスラグ層、金属層の化学成分分析、圧縮強度試験、比重測定の結果、溶融処理によって雑固体廃棄物を十分に均質化、安定化できるが溶融炉耐火材・るつぼ材の溶湯への溶け込み及び脱酸素剤が固化体中化学成分に影響を与える場合があることがわかった。一方、安定同位体トレーサーを用いて核種移行挙動を調べた結果、Coは金属層へ、Csはスラグ層に分布し、Csの残存率は加熱方式に影響を受けることがわかった。
磯部 元康; 亀尾 裕; 中塩 信行; 涌井 拓治*; 岩田 圭司*; 木林 辰行*; 金沢 勝雄; 中島 幹雄; 平林 孝圀*
JAERI-Tech 2000-049, 29 Pages, 2000/09
低レベル放射性雑固体廃棄物を溶融し、溶融固化体を製作するための雑固体溶融固化体製作装置を製作した。導電性るつぼを用いる高周波誘導加熱方式及び高周波誘導加熱とプラズマ加熱を併用するハイブリッド加熱方式により、模擬雑固体廃棄物を溶融し、装置の性能確認を行った。本装置を用いて試作した溶融固化体は、強度を損なうような空隙もなく、溶融炉は雑固体溶融に十分な性能を有していることを確認した。また、溶融に伴って発生する放射性のダストや有害ガスの放出を抑制するための排ガス処理装置を十分に機能を果たしていることを確認した。さらに、二次廃棄物の低減のために、耐久性能の高い耐火材の選定試験を行った。各種耐火物の中から選定されたAlO
-Cr
O
-ZrO
系耐れんがは、塩基度の低いスラグに対して耐食性がきわめて高いことを明らかにした。
平林 孝圀
Radioisotopes, 49(4), p.57 - 58, 2000/04
トリチウム汚染した廃棄物の処理技術に関する最近の国内外の研究開発状況を展望した。トリチウム廃棄物は、軽微な汚染であってもトリチウムを完全に除染することが容易でなく、残留トリチウムが時間とともに徐々にではあるが、継続的に脱離して放出されるので、廃棄物として取り扱ううえで種々厄介な問題を引き起こしている。本稿では、トリチウム汚染の化学的な状況把握及びその除染処理技術について現状を概説した。さらに、多量のトリチウムを含む廃棄物からのトリチウムの除去・回収処理についても言及した。
福井 寿樹; 中塩 信行; 磯部 元康; 大竹 敦志*; 涌井 拓治*; 中島 幹雄; 平林 孝圀*
第7回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集 (00-11), p.356 - 359, 2000/00
原子力施設において発生する低レベル雑固体廃棄物の減容・安定化技術として、プラズマ加熱を用いた溶融処理技術の開発を行っている。本報告では、プラズマ溶融の基本的な溶融特性を把握するため、コンクリート及びステンレス鋼を模擬廃棄物とした溶融試験を実施し、昇温挙動や熱収支(加熱効率)等の昇温特性を明らかにした。また、コンクリートに模擬焼却灰やステンレス鋼を添加した模擬廃棄物を用いて、放射能挙動(均一性,残存率)やスラグ成分の揮発挙動等を確認した。
中村 寿; 平林 孝圀; 秋本 純*; 高橋 賢次*; 進藤 秀明; 櫻井 大八郎*; Almansour, A.*; 岡根 利光*; 梅田 高照*
Materials Science Forum, 329-330, p.441 - 448, 2000/00
放射性金属の再利用に適した新しい鋳造技術の開発試験として、鉄板の型枠に金属の溶湯を流し込み、繰り返し使用ができる鉄球で除熱を行う廃棄物収納容器の鋳造試験を、容器の一部を模擬した部分試験体や小型試験体等を用いて実施した。この試験に関して、鋳込み時の溶湯の湯流れ性や型枠の熱変形特性をシミュレーションするため、熱流動解析プログラムJS-CASTにより凝固解析を、非線形汎用構造解析プログラムMARKにより変形解析を行った。その結果、(1)湯流れを考慮することで最終凝固位置が試験結果に近づくこと、(2)解析から得られた変形量及び変形パターンはほぼ試験結果と一致することなどが確認できた。本論文は、この鋳造試験に対する凝固解析及びそれに基づく変形解析の結果を中心に、試験結果との対比も含めて述べたものである。
樋口 秀和; 佐藤 元昭; 平林 孝圀*; 田中 貢
Proceedings of 2nd International Conference on Safewaste 2000, Vol.1, p.314 - 322, 2000/00
高減容処理施設は、将来の処分に備えて低レベル放射性廃棄物の減容・安定化を行うためのものであり、大型廃棄物の解体処理を行う「解体分別保管棟」並びに金属廃棄物及びガラス、コンクリート等の雑固体廃棄物を溶融または高圧縮により減容する「減容処理棟」から構成する。解体分別保管棟では、減容安定化処理の前処理として、大型廃棄物の解体、分別をレーザー切断機等を用いて行う。減容処理棟では、廃棄物を材質ごとに分別した後、高圧圧縮装置または溶融処理装置により減容安定化処理を行う。溶融処理装置は、高周波誘導加熱による金属溶融設備及びプラズマ加熱による雑固体溶融設備から構成する。本施設の年間処理能力は200ドラム缶換算で約10,000本であり、処理により減容比は約1/3~約1/6である。金属廃棄物の溶融物は容器に成型し、雑固体溶融設備より排出するスラグの受け容器として再利用することができる。
中村 寿; 平林 孝圀; 秋本 純*; 高橋 賢次*; 進藤 秀明*; 櫻井 大八郎*; Almansour, A.*; 岡根 利光*; 梅田 高照*
Proceedings Modeling of Casting & Solidification Processes 4, 1999, p.437 - 445, 1999/09
原子炉の解体により発生するレベルの低い放射性廃棄物の再利用を目的に、鋼板製の型枠に放射性金属の溶湯を流し込み、鉄球により除熱を行うことで廃棄物収納容器の鋳造を行うことを想定した鉄球-金型複合鋳造法にかかわる試験、及び鋳造した容器内に放射能レベルの高い廃棄物を置き、溶湯で固定化して廃棄体とすることを想定した多重鋳造廃棄体の鋳造試験を行っている。これらの試験に関して、鋳込み時の溶湯の湯流れ性や容器の熱変形量を求めるため、湯流れ・凝固解析プログラムJSCASTにより凝固解析を、非線形構造解析プログラムMARCにより変形解析を行った。本論文は、これまでに実施した鋳造試験の概要及びその結果と凝固・変形解析結果との対比について述べたものである。
平林 孝圀; 亀尾 裕; 明道 栄人
High-power Lasers in Civil Engineering and Architecture (Proceedings of SPIE Vol.3887), p.94 - 103, 1999/00
原子力施設の「除染及び廃止措置(D&D)」に必要とされる技術の高度化の一環として、廃止措置において大量に発生する低レベル放射性廃棄物をレーザー技術を適用して処理するための技術開発を進め、金属及びコンクリートの汚染表面を対象とするレーザー除染技術を開発するとともに、大型金属廃棄物のレーザー切断技術による解体を行った。(1)金属を対象とするレーザー除染技術; 表面汚染金属を塩素ガス雰囲気中でレーザー照射し、金属表面の汚染物質を酸化物から昇華性あるいは水溶性の塩化物に変換して除去する技術、並びに、汚染金属表面にゲル除染剤を塗布してレーザーを照射し、レーザー誘起化学反応により汚染物質を除去する技術、(2)コンクリート表面のレーザー除染技術; 汚染コンクリート表面にレーザーを照射し、コンクリート表面層内に含有されている水分を急激に蒸発させて、コンクリート表面を爆裂して除去する技術、並びに、レーザーを照射して、汚染コンクリート表面をガラス化したのち、そのガラス層に含まれる汚染物を安定なガラス状態で剥離除去する技術についての開発成果を述べる。また、(3)レーザー切断技術; 原子力施設の運転、改修、解体等に伴って発生する大型の低レベル放射性金属廃棄物を対象として、汚染部分(原子力施設内で再利用)と非汚染部分(再使用・一般再利用)に切断・分離するために用いたレーザー切断技術について紹介する。
中村 寿; 平林 孝圀; 秋本 純*; 高橋 賢次*; 進藤 秀明*; 櫻井 大八郎*; Almansour, A.*; 岡根 利光*; 梅田 高照*
Int. J.Cast Metals Res., 11(5), p.339 - 343, 1999/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Metallurgy & Metallurgical Engineering)原子炉の解体により発生する低レベル放射性廃棄物の再利用を目的に、放射性の金属を再利用して廃棄物収納容器の鋳造を行うことを想定した新しい鋳造方法の開発を行った。この方法の特徴は、鋼板製の型枠に金属の溶湯を流し込み、繰り返し使用ができる鉄球により除熱を行うことで容器を鋳造することにある。鋳造試験はおもに容器の一部を模擬した部分試験体や小型試験体等を用いて行った。また、鋳込み時の溶湯の湯流れ性や型枠の熱変形量を求めるため、湯流れ・凝固解析プログラムJS-CASTにより凝固解析を、非線形汎用構造解析プログラムMARCにより変形解析を行った。本論文は、この鉄球複合鋳造法による廃棄物収納容器の鋳造試験を対象に、鉄球複合鋳造法の概念、鋳造試験の結果及び凝固解析や変形解析から得られた知見について述べたものである。
平林 孝圀; 亀尾 裕; 中塩 信行
Proceedings of International Symposium on Technologies for the Management of Radioactive Waste from Nuclear Power Plants and Back End Nuclear Fuel Cycle Activities (CD-ROM), 10 Pages, 1999/00
原子力施設の廃止措置により発生する大量の低レベル放射性廃棄物の減量と減容の観点から、施設解体前あるいは解体後に適用できる二次廃棄物の発生量が少ない高性能な4種の除染技術、並びに、廃棄物の減容技術、特に高い減容率と安定・均一化が達成できる溶融技術の開発成果について述べる。除染処理技術開発については、配管内に高速で旋回流動する空気流に研磨材をのせて管内壁の汚染物を研削除去する空気流動研磨除染技術、解体前の配管内を原位置で電解研磨法により除染する原位置電解除染技術、汚染金属表面の汚染物をガラス化したのちドライアイス粒を高速で吹きつけ急冷して熱衝撃を与え剥離除去する溶融ガラス化・熱衝撃除染技術、並びに、赤外・紫外レーザー照射下において誘起される化学反応を利用して汚染除去するレーザー化学除染技術について、開発成果を述べる。減容処理技術開発については、JPDRの解体金属廃棄物を用いた金属溶融試験、並びに、模擬雑固体廃棄物とRIトレーサーを用いた雑固体溶融試験の成果について述べる。さらに、低レベル放射性廃棄物の新たな放射性廃棄物管理システムとして、現在原研で構築を進めている高減容処理計画について紹介する。
平林 孝圀
Energy Hum., 45, p.14 - 18, 1998/06
低レベル放射性廃棄物は、放射能レベルが比較的低い反面、発生量が著しく多く、累積保管量は年々増加の一途をたどっている。ここでは、低レベル廃棄物の発生状況、管理の現状などについて概観し、合理的な処理処分の在り方と減容・安定化の必要性について概説した後、多種多様な材質及び核種構成を持ち、比較的処理の困難な研究所等廃棄物の処理を念頭に、減容処理を安全かつ効率よく行う上で必要となる放射能測定や形状・材質測定等の内容物確認技術、減容処理に先立つ分別・切断技術、各種の除染技術、溶融・安定化技術及び高圧縮技術等について論じる。さらに、原研東海研において、減容効果の高い処理技術を中心とした新たな放射性廃棄物管理システムを構築するために建設整備を進めている高減容処理施設の概要を紹介する。
中村 寿; 平林 孝圀
日本機械学会第6回動力・エネルギー技術シンポジウム'98講演論文集, p.371 - 376, 1998/00
原子力発電施設の解体等において発生する廃棄物のうち、大部分を占める放射能レベルの極めて低いものについては、廃棄物管理の負担軽減を図る観点から十分安全に配慮したうえで資源として再利用することが重要である。このため、金属廃棄物の原子力施設内での再利用用途として角型廃棄物収納容器を選定し、鉄球を除熱材として、鉄板の型枠に金属溶湯を流し込むことにより廃棄物収納容器を鋳造する試験を行った。また、その際の溶湯の凝固特性や容器の変形特性を把握するため、熱流動解析プログラムJS-CASTにより凝固解析を、非線形汎用構造解析プログラムMARKにより変形解析を実施し、試験結果との比較・検討を行った。本論文は、この鋳造試験の概要、試験結果及び解析等から得られた知見について述べたものである。