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金村 卓治; 近藤 浩夫; 古川 智弘; 平川 康; 帆足 英二*; 吉橋 幸子*; 堀池 寛*; 若井 栄一
Fusion Engineering and Design, 98-99, p.1991 - 1997, 2015/10
被引用回数:16 パーセンタイル:77.59(Nuclear Science & Technology)国際核融合材料照射施設(IFMIF)では、定格流速15m/s、厚み25mmの液体Li噴流を、40MeV-250mAの重陽子ビームと核反応させて14MeV相当の中性子を発生させるためのターゲットとして採用する計画である。ターゲット厚み変動は10Paの真空下で1mm以内に維持するよう要求される。現在、工学実証・工学設計活動(EVEDA)事業にて建設したEVEDAリチウム試験ループにて、Liターゲットが上記要求値を満たすか確認するためにその厚みを計測している。本発表では、IFMIF条件となる真空度10Pa、Li温度250C、ターゲット平均速度1020m/sのもと、ターゲット厚みを計測した結果を報告する。計測の結果、平均流速15m/sでは、本試験で着目する重陽子ビーム照射中心位置にて、ターゲット厚みは計測時間60秒間の平均値で26.08mmであった。一方、時間変動に関しては、計測時間内での変動振幅の平均および最大は、同条件でそれぞれ0.26mm, 1.45mmであり、全計測波高のうち約99.7%以上が設計要求値以内であった。したがって、リチウムターゲットは大変安定であり、ターゲットに要求される安定性を満足していることがわかった。
若井 栄一; 近藤 浩夫; 金村 卓治; 平川 康; 古川 智弘; 帆足 英二*; 深田 智*; 鈴木 晶大*; 八木 重郎*; 辻 義之*; et al.
Proceedings of Plasma Conference 2014 (PLASMA 2014) (CD-ROM), 2 Pages, 2014/11
IFMF/EVEDA(国際核融合材料照射施設の工学実証・工学設計活動)において、世界最大流量率(3000リットル/分)を持つリチウム試験ループを用い、幅100mmで厚さ25mmの自由表面を持つ高速(15m/s)リチウム流を、IFMIFの運転条件(250C、約10Pa)で安定なリチウム流の形成を示す実証試験に成功した。また、リチウム施設開発におけるリチウム純化、リチウム安全や遠隔操作技術を含む最近の工学実証においても、いくつかの優れた結果が得られるとともに、リチウム施設に関する工学設計を併せて評価した。これらの研究開発で得られた成果は、核融合炉材料の開発に重要なキーテクノロジーとなる核融合炉の照射環境を模擬する加速器駆動型中性子源の開発を大きく進展させるものである。
古川 智弘; 近藤 浩夫; 金村 卓治; 平川 康; 山岡 信夫*; 帆足 英二*; 鈴木 幸子*; 堀池 寛*
Fusion Engineering and Design, 89(7-8), p.1674 - 1678, 2014/10
被引用回数:2 パーセンタイル:15.74(Nuclear Science & Technology)IFMIFの実現に向けた課題の一つに、リチウム機器のエロージョン・コロージョンがあげられる。大阪大学では、IFMIFターゲットの設計に資することを目的としたリチウム自由表面流に関する研究が実施され、そのテストアッセンブリは、300Cの高流速リチウム環境下で1200時間使用された。このテストアッセンブリは、実証実験データとしてのエロージョン・コロージョン挙動を把握するうえで貴重であることから、金属組織観察を実施した。その結果、ノズル先端部において、高流速リチウム流の痕跡と考えられるわずかな凹凸が観察された。また、当該部に比較して流速比が0.1-0.4となるノズル入口部には、まだら模様が観察されるとともに数ミクロン深さの多数のき裂が観察された。詳細な分析により、これらの現象は、リチウムからの浸炭によるものと推察された。本研究により、IFMIF機器のエロージョン・コロージョンを防止するには、リチウム中に溶存する炭素のコントロールも必要であることが新たにわかった。
金村 卓治; 近藤 浩夫; 帆足 英二*; 鈴木 幸子*; 山岡 信夫*; 堀池 寛*; 古川 智弘; 平川 康; 若井 栄一
Fusion Engineering and Design, 89(7-8), p.1642 - 1647, 2014/10
被引用回数:15 パーセンタイル:73.06(Nuclear Science & Technology)国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計活動(EVEDA)で実施している液体リチウム(Li)ターゲットの開発では、厚さ25mmの流れの安定性評価が重要であるため、その厚みを0.1mmの精度で計測することが必要である。この精度を満たす有望な計測器として、レーザー入射光とその反射光との干渉効果を用いて距離を計測する手法の適用可能性を調べた。通常計測対象とする拡散体とは異なり、液体Li表面は鏡面体でかつ湾曲した面であるため、実測に基づく評価を実施した。実験は、厚み10mmのLi噴流を生成可能な大阪大学Liループにて、流速1015m/s、雰囲気圧力0.12MPa(Ar)、Li温度300C、サンプリング周波数500kHzの条件で実施した。本計測器が適用可能か否かは、Li液面計測の精度結果から評価した。液面変位を正弦波と仮定した場合、流速1015m/sの条件ではサンプリング周期2sの間に液面の変位量は1mにも満たず平面と仮定できる。したがって計測精度は、2sごとの厚み変位量を統計処理して得たヒストグラムの標準偏差として定義した。実験の結果、精度は9mであり、本機器は高精度で液体Li表面の測定に適用可能だとわかった。
若井 栄一; 近藤 浩夫; 金村 卓治; 古川 智弘; 平川 康; 渡辺 一慶; 井田 瑞穂*; 伊藤 譲; 新妻 重人; 枝尾 祐希; et al.
Fusion Science and Technology, 66(1), p.46 - 56, 2014/07
被引用回数:4 パーセンタイル:29.67(Nuclear Science & Technology)EVEDA Lithium Test Loop (ELTL) has been designed and constructed, has operated a liquid lithium flow test facility with the world's highest flow rate and has succeeded in generating a 100-mm-wide and 25-mm-thick free-surface lithium flow along a concave back plate steadily at a high speed of 20 m/s at 300C for the first time in the world. This result will greatly advance the development of an accelerator-based neutron source to high energy and high density, one of the key objectives of the fusion reactor materials development under the BA (Broader Approach) Activities. Recent related engineering validation and engineering design of the lithium facility has been evaluated.
金村 卓治; 近藤 浩夫; 帆足 英二*; 鈴木 幸子*; 山岡 信夫*; 堀池 寛*; 古川 智弘; 平川 康; 井田 瑞穂; 松下 出*; et al.
Fusion Engineering and Design, 88(9-10), p.2547 - 2551, 2013/10
被引用回数:4 パーセンタイル:31.43(Nuclear Science & Technology)現在、国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計活動(EVEDA)プロジェクトが日欧協力で進められている。本プロジェクトの枠組みで大洗研究開発センターに製作されたEVEDA液体Li試験ループ(ELTL)にて実施する、Liターゲットを模擬した液体Li噴流の表面変動の計測に供する機器として、触針式液面計を製作した。本液面計は、触針と液面との接触を電圧降下として検知し、噴流の平均厚さや振幅の分布などの変動特性を取得するものである。本機器製作における開発上の留意点は、10Paの真空下で触針を0.1mmの分解能、0.01mmの位置決め精度で動作させることである。この条件を満たすため、モーメント荷重とセンサーの自重荷重を計算し、その計算結果に基づいて、装置内外での1気圧の差圧に耐えて位置決めできる高トルクモータと摩擦を低減した精密ボールねじを使用する設計を採用した。製作後に実施した性能試験の結果、触針の動作分解能及び位置決め精度は、それぞれ0.1mm, 0.01mmであり、所期の性能を満たすことを確認した。これによりプロジェクトの一つの重要なマイルストーンをクリアすることができた。
木村 晴行; 帆足 英二*
Fusion Engineering and Design, 88(5), p.327 - 340, 2013/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)IFMIFのような加速器駆動強力中性子源のために、背面壁を有さない湾曲型磁気ガイドリチウムターゲット(MGLT)が提案された。湾曲型MGLTは最も過酷な中性子損傷の条件下に置かれる湾曲型背面壁を有する従来のリチウムターゲットに取って代わることが可能である。MGLTに適した磁場は耐放射線性常伝導コイルとF82H部品(ヨーク,ノズル,高中性子束試験モジュール(HFTM))を組合せることにより生成される。磁場の形状はHFTMをMGLTに接近させることにより湾曲する。MGLTのリチウム流はPoisson Superfishコードにより計算された磁場を用いて2次元運動方程式により詳細に解析された。IFMIFのターゲット条件(リチウム流速15m/s、曲率半径1-1.6m、リチウム流の厚さ0.025m)を満足するために必要な磁束密度はターゲット領域で約0.5Tであることがわかった。MGLTとHFTM間の狭いギャップ(数mm)の制御はコイル電流の制御により可能である。
若井 栄一; 近藤 浩夫; 杉本 昌義; 深田 智*; 八木 重郎*; 井田 瑞穂; 金村 卓治; 古川 智弘; 平川 康; 渡辺 一慶; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 88(12), p.691 - 705, 2012/12
核融合エネルギーの早期実現を目指す幅広いアプローチ活動のもと、国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計活動(EVEDA)を2007年より実施している。この活動の中で実機のリチウムターゲットを実証する目的で世界最大流量率(3000リットル/分)を有し、幅100mmで厚さ25mmの形状で最速20メートル/秒までの範囲で安定したリチウム流を実証試験を行うために液体リチウム流動試験装置を原子力機構大洗研究開発センターに建設し、その実証試験を開始したところである。本試験装置の各種機器の機能性試験及びそれに続く、ターゲット部でリチウム自由表面を持つ15m/sの流動試験までに関する第一段階確証試験を成功させた所である。また、これ関係する工学実証試験及び工学設計の活動状況を示すとともに、その成果内容について併せて解説したものである。
鈴木 幸子*; 帆足 英二*; 金村 卓治; 近藤 浩夫; 山岡 信夫*; 堀池 寛*
Fusion Engineering and Design, 87(7-8), p.1434 - 1438, 2012/08
被引用回数:5 パーセンタイル:36.82(Nuclear Science & Technology)国際核融合材料照射施設(IFMIF)において、重陽子ビームのターゲットとして液体金属リチウム(Li)の高速壁面噴流が用いられる計画である。IFMIFのシステム健全性を担保するためには、自由表面波の特性を把握することが非常に重要である。本論文では、大阪大学リチウムループの新調された試験部にて、接触式液面計を用いて表面変動を計測した。計測点はノズルから15mm及び175mm下流地点であった。流速9m/s以上で最大振幅はおよそ2mmに達し、IFMIFの設計目標値を超えた。しかし、振幅の大きな波の割合は非常に小さいことがわかった。
金村 卓治; 近藤 浩夫; 鈴木 幸子*; 帆足 英二*; 山岡 信夫*; 堀池 寛*; 古川 智弘; 井田 瑞穂; 中村 和幸; 松下 出*; et al.
Fusion Science and Technology, 62(1), p.258 - 264, 2012/07
被引用回数:4 パーセンタイル:31.05(Nuclear Science & Technology)本論文は、核融合炉候補材料の中性子照射試験施設である国際核融合材料照射施設(IFMIF)の研究開発にかかわるものである。現在幅広いアプローチ(BA)活動の1つである、IFMIFの工学実証・工学設計活動(EVEDA)プロジェクトが日欧協力で進められている。本プロジェクトの枠組みで大洗研究開発センターに製作されたEVEDA液体Li試験ループ(ELTL)は、Liターゲットの安定性評価等に供する。ELTLにおいて、Liターゲットを模擬した液体Li噴流の表面変動の計測に供する機器として、触針式液面計を開発した。本液面計は、触針と液面との接触を電圧降下として検知し、噴流の平均厚さや振幅の分布などの変動特性を取得するものである。開発の要点は、10Paの真空下で触針を0.1mmの分解能、0.01mmの位置決め精度で動作させることである。この条件を満たすため、モーメント荷重とセンサーの自重荷重を計算し、その計算結果に基づいて、装置内外での1気圧の差圧に耐えて位置決めできるモータと摩擦を低減したボールねじを選定し、強固な構造を適用することとした。以上の結果、所定の性能を満たす設計を完了した。
中村 和幸; 古川 智弘; 平川 康; 金村 卓治; 近藤 浩夫; 井田 瑞穂; 新妻 重人; 大高 雅彦; 渡辺 一慶; 堀池 寛*; et al.
Fusion Engineering and Design, 86(9-11), p.2491 - 2494, 2011/10
被引用回数:10 パーセンタイル:59.68(Nuclear Science & Technology)IFMIF/EVEDAリチウムターゲット系は、5つの実証タスク(LF1-5)と1つの設計タスク(LF6)から構成されている。LF1の目的は、EVEDA液体リチウム試験ループを建設し運転することであり、日本が主たる責任を負っている。LF2は、EVEDA液体リチウム試験ループとIFMIF実機の設計に対する計測系の開発を行うものであり、現在、基礎研究が終了し、試験ループ用装置の設計を実施している。LF4は、リチウム中に含まれる窒素及び水素の除去技術を開発するものであり、LF2同様、現在、基礎研究が終了し、試験ループ用装置の設計を実施している。LF5は、ターゲットアッセンブリーの遠隔操作技術を開発するものであり、原子力機構は、フランジのリップ部分をレーザーによって切断,溶接を行うアイデアの実証を目指している。切断,溶接実験は2011年の実施予定である。LF6は、LF1-5の実証試験結果をもとにIFMIF実機の設計を行うものである。
帆足 英二*; 杉浦 寛和*; 鈴木 幸子*; 金村 卓治; 近藤 浩夫; 山岡 信夫*; 堀池 寛*
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM), 9 Pages, 2011/10
国際核融合材料照射施設(IFMIF)において、重陽子ビームのターゲットとして液体金属リチウム(Li)の自由表面流が採用される計画である。IFMIFのシステム健全性を担保するためには、自由表面波の特性を把握することが非常に重要である。本論文では、大阪大学リチウムループにて実験的に得られた波高や波速などの波の特性と、数値流体力学(CFD)コードであるFLUENTを用いて得られた解析結果を示す。実験においては、接触式液面計と呼ぶ計測器を用いて波高を計測した。また、波速は高速度ビデオの画像を解析して得た。CFD解析を内部流れと自由表面との関連を調査するために実施し、計算結果を実験データと比較した。その結果、表面波の発達メカニズムに関する知見を得た。
若井 栄一; 渡辺 一慶; 井田 瑞穂*; 近藤 浩夫; 金村 卓治; 新妻 重人*; 藤城 興司; 伊藤 譲; 中庭 浩一; 杉本 昌義; et al.
no journal, ,
Present status and recent activity of lithium target facility development in IFMIF/EVEDA project has been presented and evaluated. In this project, EVEDA Lithium test loop (ELTL) has been designed, constructed in Oarai-JAEA and also operated a liquid lithium flow test facility with the world's highest flow rate, and succeeded in generating a 100 mm wide and 25 mm thick free-surface lithium flow along a concave back plate steadily at a high-speed of 20 m/s at 300C for the first time in the world under the BA (Broader Approach) Activities. Recent related engineering design of lithium facility has been also evaluated. The other validation and engineering design activities of lithium target facility such as diagnostics, purification system and lithium safety has been also evaluated.
金村 卓治; 近藤 浩夫; 古川 智弘; 平川 康; 帆足 英二*; 吉橋 幸子*; 堀池 寛*; 若井 栄一
no journal, ,
国際核融合材料照射施設(IFMIF)では、40MeV、125mAの重陽子ビーム2本分を液体Li壁面噴流(Liターゲット)に入射させて、Li(d,xn)反応により14MeV相当の中性子を発生させ、原型炉以降の核融合炉候補材料の照射試験を行う。IFMIFの工学実証・工学設計活動(EVEDA)事業において、IFMIFの1/3規模となるEVEDAリチウム試験ループを設計・建設し、その工学実証試験を実施してきた。本研究では、本ループにてIFMIF流動条件となる流速15m/s、Li温度250C、真空度10Paの下、本事業にて開発したレーザープローブ法を用いてLiターゲットの安定性を計測・評価した。同手法による計測不確かさは、平均厚みに対して0.06mm、平均振幅に対して0.01mmである。1計測地点あたりの計測時間は60秒間に設定した。重陽子ビームの入射が想定される領域を含んだ、Liターゲットの3次元平均厚み分布を計測した結果、IFMIF設計要求(1mm)を十分に満たす平滑な流れであった。ビーム中心位置における波高分布を計測した結果、振幅1mm未満の時間変動が主であり、平均振幅は0.26mmと非常に小さく、LiターゲットはIFMIF設計要求を満たすことを工学的に初めて実証した。
若井 栄一; 近藤 浩夫; 金村 卓治; 平川 康; 古川 智弘; 菊地 孝行; 伊藤 譲*; 帆足 英二*; 吉橋 幸子*; 堀池 寛*; et al.
no journal, ,
核融合原型炉開発のための幅広いアプローチ活動の中で国際核融合炉材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計活動(EVEDA)は2007年中旬から実施した。IFMIFは加速器施設、Liターゲット施設、試験設備施設、照射後試験施設などから構成する。本研究発表ではLiターゲット施設と試験設備施設を主とした研究開発において、国内の協力体制の下、日本が担当した一連の工学実証試験や工学設計を良好な結果を得て完遂した成果内容を報告する。本成果はIFMIFなどの核融合用強力中性子源施設の実現に向けた飛躍的な技術進歩であり、日欧国際協力における成果として核融合研究開発に大きく貢献したものである。
若井 栄一; 近藤 浩夫; 金村 卓治; 古川 智弘; 平川 康; 中庭 浩一; 伊藤 譲; 田中 浩; 辻 義之*; 伊藤 高啓*; et al.
no journal, ,
IFMIF/EVEDA事業ではリチウムターゲット施設開発のため、実機の約1/3の流量(最大3000リットル/分)を持つリチウム試験ループを原子力機構大洗研究開発センターに建設し、各種機器の機能性試験及び総合性能試験を実施している。平成26年2月に250Cにて高真空下で(15m/s)高速自由表面を持つ高速Li流動試験に成功した。また、欧州キャビテーション計測を協力・実施した。本リチウムターゲット系研究開発の活動は大学連携協力試験下で、計測系、純化系、遠隔操作系の各種実証試験・評価を実施している。各テーマでは、まだ残された課題がいくつもあるが、IFMIF建設判断に必要な、より明確な工学実証評価を平成26年度に完了させる予定である。
金村 卓治; 近藤 浩夫; 古川 智弘; 山岡 信夫*; 鈴木 幸子*; 帆足 英二*; 堀池 寛*; 中村 和幸
no journal, ,
国際核融合材料照射施設(IFMIF)のリチウム(Li)ターゲットは、10Paの真空下で高速液体噴流(運転範囲10-20m/s)の形態をとる。Liターゲットの安定性等を評価するために、幅広いアプローチ(BA)活動の1つであるIFMIFの工学実証・工学設計活動(EVEDA)の枠組みの中で、大洗研究開発センターにEVEDA液体Li試験ループ(ELTL)を製作した。ELTLにおいて、Liターゲットを模擬した液体Li噴流の表面変動の計測に供する機器として、触針式液面計を開発した。本液面計は、触針と液面との接触を電圧降下として検知し、噴流の平均厚さや振幅の分布などの変動特性を取得するものである。開発の要点は、まず10Paの真空下で触針を0.1mmの分解能、0.01mmの位置決め精度で動作させることである。これに対し、装置内外での1気圧の差圧に耐えて位置決めできるモータと摩擦を低減したボールねじを選定した。また、本液面計をELTLに取付け・取外しする際、ELTL内はアルゴンガスの正圧雰囲気であるため、酸欠等の作業安全性を考慮しなければならない。そのため、準気密を保ったまま、取付け・取外しできるように設計した。性能検査の結果、本液面計は所定の性能を有することを確認した。
金村 卓治; 近藤 浩夫; 杉浦 寛和*; 帆足 英二*; 吉橋 幸子*; 室賀 健夫*; 古川 智弘; 平川 康; 若井 栄一; 堀池 寛*
no journal, ,
核融合研究分野において様々な液体金属(liquid metal、以下LM)噴流の応用研究が進められている。LMを除熱媒体としてダイバータを覆うという先進的なアイデアや、液体リチウム(Li)の壁面噴流を重陽子ビームのターゲットとして使用する国際核融合材料照射施設(IFMIF)計画がある。LM壁面噴流が除熱媒体や核反応ターゲットとして実現可能か判断する際の重要なポイントは、実測に基づく流動特性の解明である。そのために、LMに適する計測器の開発が必要不可欠である。著者らは、IFMIFのLiターゲットの流動特性を解明するための基礎研究を2002年から着手し、様々な計測器を開発・適用してきた。具体的には、自由表面を可視化し波の波長を計測する高速度ビデオカメラ、波の振幅を計測する触針式液面計やレーザープローブ法等である。それらを用いて計測し、自由表面変動の波高分布モデル, 波長分布モデル, 厚み分布モデル等を導入することで、Li噴流の主要な流動特性を解明することに初めて成功した。上記の計測手法は、他のLM流れにも適用可能と考えられ、かつ液体Liの実液試験で得た流動特性は、他のLM流れ実験の基礎データとして非常に有益と考えられる。
金村 卓治; 近藤 浩夫; 古川 智弘; 平川 康; 帆足 英二*; 吉橋 幸子*; 堀池 寛*; 若井 栄一
no journal, ,
国際核融合材料照射施設(IFMIF)は、14MeV相当の中性子を用いた核融合炉候補材料の照射施設であり、現在開発中である。IFMIFでは、40MeV-250mAの重陽子ビームを、定格流速15m/s、厚み25mmの液体Li壁面噴流(Liターゲット)に入射させてLi(d,xn)反応により中性子を得る。Liターゲットの厚み変動は10Paの真空下で1mm以内に維持するよう要求される。本発表では、IFMIFの工学実証・工学設計活動(EVEDA)事業にて建設したEVEDAリチウム試験ループにて、上記要求値を満たすか確認するために、IFMIF条件となる真空度10Pa、Li温度250C、ターゲット平均速度1020m/sのもと、ターゲット厚みを計測した結果を報告する。計測の結果、平均流速15m/sでは、本試験で着目する重陽子ビーム照射中心位置にて、ターゲット厚みは計測時間60秒間の平均値で26.08mmであった。一方、時間変動に関しては、計測時間内での変動振幅の平均および最大は、同条件でそれぞれ0.26mm, 1.45mmであり、全計測波高のうち約99.7%以上が設計要求値以内であった。したがって、リチウムターゲットは大変安定であり、ターゲットに要求される安定性を満足していることがわかった。
金村 卓治; 近藤 浩夫; 古川 智弘; 平川 康; 井田 瑞穂; 山岡 信夫*; 鈴木 幸子*; 帆足 英二*; 堀池 寛*; 若井 栄一
no journal, ,
国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計活動(EVEDA)で実施しているリチウム試験ループ(ELTL)の開発では、液体リチウム(Li)ターゲットの厚みを安定化することが重要であるため、0.1mmの精度で計測することが必要とされている。この精度を満たす有望な計測器として、レーザー入射光とその反射光との干渉効果を用いて距離を計測する手法の適用可能性を調べた。通常、計測対象とする拡散反射体平面とは異なり、ELTLにおける計測は、金属Li鏡面反射体でかつ湾曲した面であるため、実測に基づいた評価を実施することにした。計測条件は、流速10及び15m/s、雰囲気圧力0.12MPa(Ar)、サンプリング周波数500kHz、計測位置は、流路幅方向に5mm間隔、流れ方向にはIFMIFでの重陽子ビーム照射部中心を基準(0mm)に50mmの範囲を10から15mm間隔で設定した。適用可能性を評価するにあたって、まずLi厚み計測の精度を評価した結果、精度0.03mmを得た。したがって、本機器は高精度で適用可能だとわかった。そして取得データから解析したターゲットの平均厚みは、ノズルから発生するウエイクの影響で、流れ方向のみならず流れ幅方向にも分布をもつ状態であることがわかった。