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論文

Addendum: Site occupancy of interstitial deuterium atoms in face-centred cubic iron

町田 晃彦*; 齋藤 寛之*; 杉本 秀彦*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 遠藤 成輝*; 片山 芳則*; 飯塚 理子*; 佐藤 豊人*; 松尾 元彰*; et al.

Nature Communications (Internet), 15, p.8861_1 - 8861_2, 2024/10

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Multidisciplinary Sciences)

前回の論文(Nature Commun. 5, 5063 (2014))では、988Kと6.3GPaで収集した中性子粉末回折パターンのリートベルト精密化によって、fcc Fe金属格子に溶解したD原子のサイト占有率を調べた。fcc金属格子には、八面体サイトと四面体サイトの2つのD原子収容可能な格子間サイトがある。リートベルト精密化により、D原子は主に八面体サイトを0.532占有し、わずかに四面体サイトを0.056占有することがわかった。その後、Antonov (Phys. Rev. Mater. 2019))による密度汎関数理論(DFT)計算の結果、四面体サイトの占有エネルギーは八面体サイトの占有エネルギーよりも著しく高く、988Kの高温でも四面体サイトの占有は起こりにくいことがわかった。消衰補正は粉末回折パターンに適用されることはまれであり、前回の精密化には含まれていなかった。その結果、八面体の占有率は0.60に増加し、四面体の占有率はゼロに減少した。D原子の八面体サイトのみの占有は、以前の結果とは対照的ではあるが、DFT計算と一致している。

論文

Hydroxyl group/fluorine disorder in deuterated magnesium hydroxyfluoride and behaviors of hydrogen bonds under high pressure

He, X.*; 鍵 裕之*; 小松 一生*; 飯塚 理子*; 岡島 元*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 町田 真一*; 阿部 淳*; 後藤 弘匡*; et al.

Journal of Molecular Structure, 1310, p.138271_1 - 138271_8, 2024/08

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)

重水素化ヒドロキシフルオロマグネシウム[理想組成はMg(OD)F]のO-D$$cdotcdotcdot$$F水素結合の高圧応答を中性子粉末回折とラマン分光法を用いて調べた。常温でのリートベルト解析の結果、化学組成はMg(OD)$$_{0.920(12)}$$F$$_{1.080(12)}$$であり、結晶構造中で水酸基/フッ素(OD/F)が無秩序化して、2つの水素結合配置が生じていることが分かった。構造解析の結果、水素結合配置は9.8GPaまで維持され、圧力による水素結合の強化は見られなかった。常圧でのラマンスペクトルでは、2613, 2694, 2718cm$$^{-1}$$に3つの水酸基伸縮バンドが観測された。O-D伸縮モードの周波数が高いことから、ヒドロキシル基は弱い水素結合相互作用、あるいは水素結合を持たないことが示唆された。20.2GPaまでは、2694cm$$^{-1}$$を中心とするモードは圧力によってブルーシフトを示し、水素結合は圧縮されても強化されないことが明らかになった。これは、中性子回折の結果と一致した。水素結合の存否と、常圧および高圧での水酸基のブルーシフトの原因について議論した。

論文

Hydrogen occupation and hydrogen-induced volume expansion in Fe$$_{0.9}$$Ni$$_{0.1}$$D$$_x$$ at high $$P-T$$ conditions

市東 力*; 鍵 裕之*; 柿澤 翔*; 青木 勝敏*; 小松 一生*; 飯塚 理子*; 阿部 淳*; 齋藤 寛之*; 佐野 亜沙美; 服部 高典

American Mineralogist, 108(4), p.659 - 666, 2023/04

 被引用回数:5 パーセンタイル:54.91(Geochemistry & Geophysics)

Fe$$_{0.9}$$Ni$$_{0.1}$$H$$_x$$(D$$_x$$)の12GPa, 1000Kまでの高温高圧下における相関係と結晶構造をその場X線及び中性子回折測定により明らかにした。今回実験した温度圧力下において、Fe$$_{0.9}$$Ni$$_{0.1}$$H$$_x$$(D$$_x$$)ではFeH$$_x$$(D$$_x$$)とは異なり、重水素原子は面心立方構造(fcc)中の四面体サイトを占有しないことが明らかになった。単位重水素あたりの水素誘起膨張体積$$v_mathrm{D}$$は、fcc相で2.45(4) $AA$^3$$、hcp相で3.31(6) $AA$^3$$であり、FeD$$_x$$におけるそれぞれの値より著しく大きいことが明らかになった。また、$$v_mathrm{D}$$は温度の上昇に伴いわずかに増加した。この結果は、鉄に10%ニッケルを添加するだけで、金属中の水素の挙動が劇的に変化することを示唆している。$$v_mathrm{D}$$が圧力に関係なく一定であると仮定すると、地球内核の最大水素含有量は海洋の水素量の1-2倍であると推定される。

論文

Behavior of light elements in iron-silicate-water-sulfur system during early Earth's evolution

飯塚 理子*; 後藤 弘匡*; 市東 力*; 福山 鴻*; 森 悠一郎*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 鍵 裕之*

Scientific Reports (Internet), 11(1), p.12632_1 - 12632_10, 2021/06

 被引用回数:5 パーセンタイル:28.66(Multidisciplinary Sciences)

FeNi合金からなる地球核は、H, C, O, Si, Sなどの軽元素を含んでいると考えられている。その中でHは、宇宙に最も存在する元素であり、最も有望な候補である。これまでの我々の中性子回折実験から、鉄-水系において、水素が他の元素より優先的に鉄に取り込まれることが分かっている。今回、初期地球の組成で水を含んだ鉄-ケイ酸塩系において、Sが及ぼす影響を調べた。その結果、一連の鉄の相転移、含水ケイ酸塩の脱水酸基およびカンラン石・輝石の形成を観察した。またFeの共存相としてFeSが現れた。Hがいる条件でもFeSの格子体積が一定であることから、FeSに水素は入らず、FeSはむしろFeの水素化を阻害することがわかった。高温高圧下から回収された試料を観察すると、FeにはHとSが入っており、HおよびSはFe(H$$_{x}$$)-FeS系の融点を下げる効果があることが分かった。一方回収試料には、C, O, Siなどの他の軽元素は含まれていないため、地球核形成時には、まずFeH$$_{x}$$およびFeSができ、その後さらに高温高圧下でFeHxやFeSが融解した後でないと、それらは核に取り込まれないことが分かった。

論文

Neutron diffraction study of hydrogen site occupancy in Fe$$_{0.95}$$Si$$_{0.05}$$ at 14.7 GPa and 800 K

森 悠一郎*; 鍵 裕之*; 柿澤 翔*; 小松 一生*; 市東 力*; 飯塚 理子*; 青木 勝敏*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; et al.

Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 116(6), p.309 - 313, 2021/00

 被引用回数:2 パーセンタイル:8.30(Mineralogy)

地球のコアは、対応する圧力温度条件下で純鉄よりも密度が10%低いため、いくつかの軽元素を含んでいると考えられている。水素はその有力候補であるため、これまで主にFe-H系の相平衡関係や物性が調べられてきた。この研究では、14.7GPaおよび800Kでのhcp-Fe$$_{0.95}$$Si$$_{0.05}$$水素化物の重水素のサイト占有率を調べるために、その場中性子回折実験によりFe-Si-Hシステムを具体的に調べた。リートベルト解析の結果、hcp-Fe$$_{0.95}$$Si$$_{0.05}$$水素化物はhcp格子の格子間八面体サイトにのみ重水素(D)が0.24(2)占有することが判明した。Feに2.6wt%Siを添加する(つまりFe$$_{0.95}$$Si$$_{0.05}$$)ことによるDのサイト占有率への影響は、Fe-D系の先行研究で得られた結果と比較して無視できる程度であった(Machida et al., 2019)。

論文

Crystal and magnetic structures of double hexagonal close-packed iron deuteride

齋藤 寛之*; 町田 晃彦*; 飯塚 理子*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 佐藤 豊人*; 折茂 慎一*; 青木 勝敏*

Scientific Reports (Internet), 10, p.9934_1 - 9934_8, 2020/06

 被引用回数:7 パーセンタイル:24.44(Multidisciplinary Sciences)

4-6GPaの圧力で1023-300Kに降温中の鉄重水素化物の中性子回折パターンを測定した。二重六方晶構造を持つ$$varepsilon$$'重水素化物は温度圧力に応じて他の安定または準安定相と共存し、673K, 6.1GPaではFeD$$_{0.68(1)}$$、603K, 4.8GPaではFeD$$_{0.74(1)}$$の組成を持つ固溶体を形成した。300Kに段階的に降温する際、D組成は1.0まで上昇し、一重水素化物FeD$$_{1.0}$$を生成した。4.2GPa, 300Kにおけるdhcp FeD$$_{1.0}$$において溶け込んだD原子は、中心位置から外れた状態で二重六方格子の八面体空隙のすべてを占めていた。また、二重六方晶構造は12%の積層欠陥を含んでいた。また磁気モーメントは2.11$$pm$$0.06B/Feであり、Feの積層面内で強磁性的に並んでいた。

論文

高温高圧下での鉄-ケイ酸塩-水系の中性子回折その場観察

飯塚 理子*; 八木 健彦*; 後藤 弘匡*; 奥地 拓生*; 服部 高典; 佐野 亜沙美

波紋, 27(3), p.104 - 108, 2017/08

水素は太陽系で最も豊富にある元素で、地球核に含まれる軽元素の最も有力な候補である。しかしながら水素は、X線では見えないこと、常圧下では鉄から簡単に抜け出てしまうことから、その溶解量やプロセスは未知である。本研究では、J-PARCのPLANETを用い、鉄-含水鉱物系の高温高圧下中性子その場観察実験を行った。その結果、約4GPaで含水鉱物の分解によって生じた水が鉄と反応し鉄酸化物と鉄水素化物を生成することを確認した。この時生じた鉄水素化物は、さらに温度を挙げても安定であった。この反応は1000Kで起きたが、その他の物質に関して融解は起きなかった。このことは、地球形成期初期に水素が、他の軽元素に先んじて鉄に溶けることを示唆している。

論文

Hydrogenation of iron in the early stage of Earth's evolution

飯塚 理子*; 八木 健彦*; 後藤 弘匡*; 奥地 拓生*; 服部 高典; 佐野 亜沙美

Nature Communications (Internet), 8, p.14096_1 - 14096_7, 2017/01

AA2016-0524.pdf:0.73MB

 被引用回数:51 パーセンタイル:87.19(Multidisciplinary Sciences)

地球の核の密度は純鉄の密度よりも低く、核の中の軽い元素は長年の問題である。水素は太陽系内で最も豊富な元素であり、したがって重要な候補の1つである。しかし、これまで水素の鉄への溶解過程は不明であった。ここでは、高圧高温その場中性子回折実験を行い、含水鉱物の混合物が加熱されると、含水鉱物が脱水された直後に鉄が水素化されることを明らかにしている。これは、地球の進化の初期に、蓄積された原始物質が熱くなったときに、他の物質が溶けこむ前に水素の鉄への溶解が起こったことを意味する。これは、水素が地球進化の過程で鉄に溶解した最初の軽元素であり、その後のプロセスにおいて他の軽元素の挙動に影響を及ぼす可能性があることを示唆している。

論文

照射が向きそうな食品向きそうにない食品

千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

放射線と産業, (137), p.29 - 32, 2014/12

世界では食品照射が実用化されているが、日本では照射じゃがいも以外は食品衛生法で禁止され体験的な判断が難しい状況にある。本稿では我々の体験実験から、食品照射の良さを伝えやすい具体例を挙げ、健全なリスコミを推進したい。ニンニク, 次郎柿(甘柿), 白桃(モモ), ぶどう(4種), グリーンピース, 筍, 梨(新高・幸水), リンゴ(つがる・ふじ・シナノスイート), 乾燥果実(ブルーベリー・イチジク), 栗, ちりめんじゃこ, 茶(緑茶・紅茶・ウーロン茶), 牛乳, おつまみ昆布, かつお節削り節, 香辛料の保存性と食味の観点から照射の向き・不向きについて紹介した。りんごやぶどうは品種により向き不向きが異なる。乾燥果実では、脱酸素剤なしのブルーベリーは異臭がしたが、イチジクは問題なかった。照射時の酸素の有無等の条件や、料理の種類を含む使い方等により照射の向き不向きは異なり、限定的にしか使えない食品が多い。結果がばらつき向き不向きが判然としないものも多い。これまでの体験から、照射が非常に向くものは限られ、消費者は「今後、照射を許可される食品が増えても、適用対象は限定的」と冷静に考えられるだろう。

論文

Phase transitions and hydrogen bonding in deuterated calcium hydroxide; High-pressure and high-temperature neutron diffraction measurements

飯塚 理子*; 小松 一生*; 鍵 裕之*; 永井 隆哉*; 佐野 亜沙美; 服部 高典; 後藤 弘匡*; 八木 健彦*

Journal of Solid State Chemistry, 218, p.95 - 102, 2014/10

 被引用回数:7 パーセンタイル:30.91(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

重水素化したカルシウム水酸化物(Ca(OD)$$_{2}$$)の高圧その場中性子散乱実験を、J-PARCのパルス中性子を用い、パリ-エジンバラプレスとマルチアンビルプレスを用いて行った。常圧には回収できない、高圧常温相の水素位置を含めた原子位置を初めて求めた。高圧下において水素結合が曲がっていることが明らかになり、これはラマン分光の結果と調和的である。高温高圧相に関しては、先行研究の常圧下に回収して求められた構造と一致した。これらの観測結果から、高圧下における相転移はCaO多面体で構成される層のスライドと、Ca原子の変位、Ca-O再構成と水素結合の配向の変化によりおこることが明らかとなった。

論文

Site occupancy of interstitial deuterium atoms in face-centred cubic iron

町田 晃彦; 齋藤 寛之; 杉本 秀彦*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 遠藤 成輝*; 片山 芳則; 飯塚 理子*; 佐藤 豊人*; 松尾 元彰*; et al.

Nature Communications (Internet), 5, p.5063_1 - 5063_6, 2014/09

 被引用回数:70 パーセンタイル:87.58(Multidisciplinary Sciences)

鉄と水素との反応は水素脆性などな材料科学の問題や、地球内核の鉄中の水素の有無なども地球科学の問題を考える上で重要であり、広く興味が持たれている。鉄は高温高水素圧力下において水素化物を形成するが、常温常圧では不安定であるため、水素化物の形成過程や状態を観測するには高温高圧力下でその場観察を行う必要がある。本研究ではJ-PARC/MLFのBL11 PLANETを利用して高温高圧力下中性子回折実験を実施し、鉄の重水素化過程および面心立方晶構造の鉄重水素化物における重水素原子の占有位置と占有率の決定を行い、これまで考えられていた八面体サイトだけでなく四面体サイトの一部も重水素原子が占有することを世界で初めて明らかにした。さらに量子力学的計算に基づいて二つのサイトを占有するメカニズムについて考察を行った。

論文

Pressure responses of portlandite and H-D isotope effects on pressure-induced phase transitions

飯塚 理子*; 鍵 裕之*; 小松 一生*; 牛嶋 大地*; 中野 智志*; 佐野 亜沙美; 永井 隆哉*; 八木 健彦*

Physics and Chemistry of Minerals, 38(10), p.777 - 785, 2011/12

 被引用回数:12 パーセンタイル:35.85(Materials Science, Multidisciplinary)

含水鉱物ポートランダイト(Ca(OH)$$_{2}$$)の高圧下におけるラマンスペクトル,IRスペクトル及びX線回折実験を行った。ラマンスペクトル,IRスペクトルの測定では、Ca(OH)$$_{2}$$では高圧相への相転移がCa(OD)$$_{2}$$よりも低圧でおき、相転移圧力には同位体による違いがあった。X線回折実験では高圧相が28.5GPaまで安定に存在し、以前報告のあったアモルファス化は静水圧条件下では見られないことが明らかになった。

論文

放射線照射によるニンニクの萌芽発根抑制効果

小林 泰彦; 菊地 正博; 等々力 節子*; 齊藤 希巳江*; 桂 洋子*; 亀谷 宏美*; 市川 まりこ*; 飯塚 友子*; 千葉 悦子*; 鵜飼 光子*

食品照射, 45(1-2), p.26 - 33, 2010/09

収穫から約2か月後の青森県産ニンニクに30Gy以上の$$gamma$$線を照射することによってほぼ完全に萌芽と発根を抑制できることがわかった。現在行われている低温倉庫でのCA貯蔵と高温処理の組合せよりも、低コストでニンニクの品質保持と周年供給が可能になるかもしれない。照射時期が1か月遅くなると萌芽抑制の効果は若干低下した。照射後の貯蔵温度による影響も考えられる。我が国で照射によるニンニク芽止め処理を実用化するには、生産地での収穫から出荷までの貯蔵環境を模擬しつつ、現在行われている周年供給のための長期貯蔵法と、品質及びコストの両面で比較検討する必要がある。

口頭

消費者の立場からみた日本の食品照射の状況

市川 まりこ*; 飯塚 友子*; 千葉 悦子*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

日本の消費者は食品照射についてほとんど何も知らない状況である。この状況を何とかしたいと思い、学びや体験を重視する新しい消費者団体を設立した。消費者の立場で興味ある食品の照射実験を行い、その結果を様々な学会で継続的に発表してきた。これらの体験を通して、「低温のまま殺菌などの処理ができるメリットがある」「どんな食品にも使える訳ではない。向き不向きがある」「線量は多過ぎても少な過ぎてもダメである」などのことが実感できた。世界的には食品照射が進展しても、日本では食品衛生法で禁止されているため、行政関係者を含めた多くの国民は、「照射食品の安全性に問題があるから法律で禁止している」と思っているかもしれない。食品照射技術を進める際には、安全性確認、技術的可能性、消費者受容性が大切である。まず安全性が確認されたら、その先は、消費者や経済界の自由意思に委ねられるべきであるが、日本では最初から選択肢として存在していない。日本の食品照射の明日のために情報を共有して専門家,事業者,消費者それぞれの立場で役割を果たし、議論することが必要である。

口頭

放射線殺菌と過熱蒸気殺菌の香辛料の食味比較

千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

放射線照射した香辛料は国際的に広く流通するが、日本では許可されていない。その理由として国民の不安や国民的合意の不足が指摘されるので、我々の実験結果を公表して健全なリスクコミュニケーションを推進したい。食のコミュニケーション円卓会議の有志は、香辛料について照射品と過熱蒸気殺菌品、および、それを使う料理を外観や食味について比較検討を重ねた。今回は、等量の香辛料の食味に注目して、黒コショウ等でも殺菌方法の違いを知覚できるかについて調べた。殺菌方法の違いによる統計的な差は明確ではなかったが、傾向は得られた。香辛料単体の比較では、照射殺菌の方が未処理品に近い傾向があることも考え合わせると、比較しやすい条件を見つける工夫も必要である。条件により、よく訓練されたパネルで統計的に有意な差が出ても、一般消費者では違いを感知しにくい場合がある。また、食べ慣れた過熱蒸気殺菌品を好む人もいる。これらの結果を踏まえ、香辛料が日本人にとって塩分の低減に役立つ大事な食品であることも考え合わせ、香辛料の色調や香気成分の変化なく菌数低減ができる放射線照射の長所について、冷静に受け止めるよう願う。

口頭

中性子回折その場観察による重水素化鉄の高温高圧構造研究

町田 晃彦; 齋藤 寛之; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 遠藤 成輝; 綿貫 徹; 片山 芳則; 青木 勝敏; 佐藤 豊人*; 松尾 元彰*; et al.

no journal, , 

新規水素化物や空孔-水素クラスター形成の研究には格子間水素の情報が必要である。これまで高温高圧下における結晶構造のその場観察はこれまで放射光X線を利用した実験に限られていたが、X線回折では格子間水素の情報を得ることができない。格子間水素を含めた構造決定には中性子回折実験が必要となる。大強度陽子加速器施設J-PARCの物質・生命科学実験施設に超高圧中性子回折装置PLANETが完成したことによって、高温高圧下の中性子回折実験が可能となった。そこで我々は高温高圧下水素流体中における放射光X線回折その場観察技術を改良した中性子回折実験技術の開発と試作した高圧セルを用いて、鉄の水素化過程における中性子回折実験を実施し、高温高圧下における構造解析を試みた。7.4GPaにおいて475$$^{circ}$$Cまで加熱しながら中性子回折パターンの取得を行った。測定時間は120秒であるが、相の同定や格子定数の変化は観測可能なデータの取得ができることが確認できた。

口頭

放射線照射した蜂蜜・パン・餅の品質に関する検討

飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 千葉 悦子*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

食品照射は世界で実用化されているが、日本では理解が進んでいない。ノロウイルス付着によって集団食中毒が発生したパンや、ときどき食中毒の原因となっている蜂蜜、切り餅について放射線処理が有効かもしれないと考え、殺菌線量の$$gamma$$線照射後の外観や風味の変化など品質と嗜好性への影響を検討した。照射した蜂蜜の味はほとんどの人が「変わらない」としたが、風味が弱くなる傾向があった。照射したパンは試食すると本来の風味が弱く、そのうえ異臭を感じた。異臭の程度は、菓子パンより食パンの方が強く、クロワッサンは一番強かった。10kGy照射した「パン」は風味が悪く、特に油の多い「クロワッサン」は一番風味が悪かった。餅は10kGyでは茶色っぽく変化し、照射品は餅特有の粘りが減少した。食中毒の対策として放射線殺菌が有効かもしれないと考えたが、ウイルスは10kGyよりも高線量を照射しなければ不活性化しないことから、異臭が強くなるだけでとても食べられないと実感できた。

口頭

浅漬けへの放射線照射の品質についての影響

千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

食品照射技術は世界の多くの国で実用化されているが、日本では照射食品への理解が進んでいない。札幌市を中心として白菜浅漬けによる腸管出血性大腸菌O157の食中毒が発生し、死者が出たことを受け、その対策として非加熱殺菌ができる放射線処理が有効かもしれないと考え、照射した漬け物(白菜と野沢菜の浅漬け・さくら漬け)の食味試験を実施した。その結果、浅漬けらしい爽やかな香りや風味を大事にしたい場合、照射は向きそうにないが、「これはこれでかまわない」という人には、照射処理が許容されるかもしれないという結果だった。「さくら漬け」については、着色料が使用されていたため外観の違いを感じた人はおらず、照射が向くという結果だった。今後、香辛料などいくつかの食品に照射が許可されるとしても、すべての食品が照射される訳ではなく、適用される対象は限定されると再認識した。

口頭

新鮮果物への放射線照射の効果や影響

千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 等々力 節子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

食品照射が日本で理解されない理由として、国民の不安や、国民的コンセンサスの不足が言われる。食のコミュニケーション円卓会議の有志は、これまでの野菜,果物,米,海産物等を用いて照射効果や食味変化の有無について体験実験を進めてきた。今回は、放射線処理の実用化が予想される食品として新鮮果実に注目して、これまでの桃,梨,西洋梨,りんご,渋柿,みかんとの比較で、甘柿と金柑について検討した。甘柿には個体差があったが、全体的には照射品の方がやや軟らかくなる傾向があり、味や風味については照射で変化がないと評価された。金柑では、硬さに関しては照射品の方がやや軟らかくなる傾向があったが、同じ柑橘類であるみかんほどは風味が悪くならなかった。ぶどう・梨・りんごは、品種により照射の向き不向きが異なったが、今回の甘柿「次郎柿」は渋柿の「たねなし柿」同様、照射が合いそうと実感できた。今後、じゃがいもの芽止め以外に食品照射が拡大されるとしても、食品には向き不向きがあり、対象品目や線量は限定されると再認識した。消費者利益のために、今回の結果をリスクコミュニケーションに役立てて行きたい。

口頭

照射が向きそうな食品、向きそうにない食品

千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

世界では食品照射が実用化されているが、日本では照射食品のメリットを知る機会が乏しいため合意形成が難しい状態となっている。そこで、食のコミュニケーション円卓会議の有志は、食品照射の良さを伝えやすい具体例を挙げ、健全なリスコミを推進してきた。食品照射について体験実験を重ね、その情報を発信している。これまでの5年間で試した実験結果を俯瞰し、ニンニク、グリーンピース、筍、柿(次郎柿・種無し柿)、桃(白桃・幸茜)、ぶどう(ロザリオビアンコ・瀬戸ジャイアンツ・甲斐路・ピオーネ)、梨(新高・幸水)、リンゴ(つがる・ふじ・シナノスイート)、乾燥果実(ブルーベリー・イチジク)、栗、ちりめんじゃこ、茶(緑茶・紅茶・ウーロン茶)、牛乳、おつまみ昆布、かつお節削り節、香辛料の保存性と食味の観点から照射の向き・不向きについて分類した。りんごやぶどうは品種により向き不向きが異なる。乾燥果実では、脱酸素剤なしのブルーベリーは異臭がしたが、イチジクは問題なかった。照射時の酸素の有無等の条件や、料理の種類を含む使い方等により照射の向き不向きは異なり、限定的にしか使えない食品が多く、照射が非常に向くものは限られる。

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