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論文

Anaerobic methane-oxidizing activity in a deep underground borehole dominantly colonized by $$Ca.$$ Methanoperedenaceae

西村 大樹*; 幸塚 麻里子*; 福田 朱里*; 石村 豊穂*; 天野 由記; 別部 光里*; 宮川 和也; 鈴木 庸平*

Environmental Microbiology Reports (Internet), 15(3), p.197 - 205, 2023/06

 被引用回数:1 パーセンタイル:26.29(Environmental Sciences)

地下深部の地下水は、微生物活動などにより酸素が消費され、一般に還元性になっている。幌延の深部地下水では、微生物活動による二酸化炭素還元反応により強還元雰囲気が維持されている。一方で、幌延深地層研究センター地下研究施設の一部のボーリング孔では、嫌気的環境にも関わらずメタン酸化機能を持つ微生物の存在が明らかにされている。局所的ではあるものの、地下深部の強還元雰囲気において進行する酸化反応機構の解明を目的として、本研究では、原位置の水質・水圧を模擬し、この嫌気的メタン酸化微生物の培養を行った。その結果、地下水中の懸濁物に含まれる非晶質鉄あるいは2八面体型スメクタイトに含まれる3価鉄が酸化剤として機能していることが分かった。このような酸化剤が地下深部に存在する要因の一つとして、ボーリングの掘削泥水などの掘削に伴う人為的影響が挙げられる。高レベル放射性廃棄物の地層処分において閉鎖後の処分場坑道周辺の酸化性環境は、周辺母岩中の鉱物との反応等により本来の還元性に戻ると考えられている。本研究で得られた知見は、この処分場閉鎖後の回復過程についてより正確な理解に繋がる成果である。

論文

Ecological and genomic profiling of anaerobic methane-oxidizing archaea in a deep granitic environment

伊能 康平*; Hernsdorf, A. W.*; 今野 祐多*; 幸塚 麻里子*; 柳川 克則*; 加藤 信吾*; 砂村 道成*; 広田 秋成*; 東郷 洋子*; 伊藤 一誠*; et al.

ISME Journal, 12(1), p.31 - 47, 2018/01

 被引用回数:52 パーセンタイル:90.22(Ecology)

岐阜県瑞浪市の超深地層研究所において、深度300メートルの地下水を地下坑道から採取し、地下微生物の生態系を調査した。その結果、花崗岩深部でマグマ由来のメタンに依存した微生物生態系が存在することを明らかにした。

論文

Formation and geological sequestration of uranium nanoparticles in deep granitic aquifer

鈴木 庸平*; 向井 浩樹*; 石村 豊穂*; 横山 高富*; 坂田 修平*; 平田 孝文*; 岩月 輝希; 水野 崇

Scientific Reports (Internet), 6, p.22701_1 - 22701_6, 2016/03

 被引用回数:14 パーセンタイル:47.29(Multidisciplinary Sciences)

微生物による6価ウランの4価ウランへの還元固定法は、汚染水の安価な浄化方法として知られている。その反応は一般的に5ナノメーター以下のウラン粒子で起こる。本研究では、花崗岩中の割れ目を充填する炭酸塩鉱物において、4価のウランからなるコフィナイト粒子の観察を行った。その結果、普遍的な現象として微生物による炭酸塩鉱物の形成時に、炭酸塩鉱物と4価ウランナノ粒子の共沈が起こっている可能性が考えられた。このような現象は、放射性廃棄物の地層処分に関連して汚染水中の放射性核種やウランの長期隔離に寄与すると考えられる。

論文

Geomicrobiological properties of ultra-deep granitic groundwater from the Mizunami Underground Research Laboratory (MIU), Central Japan

福田 朱里*; 萩原 大樹; 石村 豊穂*; 幸塚 麻理子*; 井岡 聖一郎*; 天野 由記; 角皆 潤*; 鈴木 庸平*; 水野 崇

Microbial Ecology, 60(1), p.214 - 225, 2010/05

 被引用回数:30 パーセンタイル:64.20(Ecology)

花崗岩深部においても微生物の生態系がみられることが知られているが、そのバイオマスや生物多様性,代謝活性を制限する地球化学的要因は明らかになっていない。今回、筆者らは地球化学特性と微生物学特性の関連性を明らかにするため、2005年及び2008年に瑞浪超深地層研究所(MIU)用地内に掘削されたMIZ-1号孔より深度1,169m地点において採取された地下水試料の生物地球化学的特性の調査を行った。化学分析の結果、いずれの試料においても酸素や硝酸,硫酸等の電子受容体は乏しいものの、有機酸を含まない有機炭素に富むことがわかった。いずれの地下水においても、優占する微生物種は、芳香族や脂肪族炭化水素のような利用されにくい電子供与体を利用可能な${it Thauera}$属に属する微生物であることがわかった。複数のエネルギー源や電子受容体を添加した3$$sim$$5週間の培養試験では、培養試験の条件にかかわらず、優占種が${it Brevundimonas}$属へと変化した。これらの生物地球化学調査の結果から、MIU深部では、酸素や硝酸の電子受容体と有機酸が乏しいことから${it Thauera}$属が優占する環境が保持されていると考えられる。

口頭

瑞浪超深地層研究所における地球化学分野でのJAEA/AIST共同研究,2; 生物地球化学特性に関する研究

福田 朱里*; 萩原 大樹; 石村 豊穂*; 幸塚 麻理子*; 伊藤 一誠*; 角皆 潤*; 鈴木 庸平*; 水野 崇

no journal, , 

地下水の酸化還元電位(Eh)を測定については、安定した測定値を得るまでに長期間要することや、地下水採取時の脱ガス等の化学的な変化によるEhの変化が指摘されている。他方、地下水中の微生物は、地下水中に供給される還元剤・酸化剤を用いた酸化還元反応を利用して生息しているため、代謝活性様式から酸化還元環境を推定できる可能性がある。そのため、Ehの測定に関する不確実性を低減することを目的として、生物化学的な観点から酸化還元環境を測定する研究を日本原子力研究開発機構と産業技術総合研究所が共同で行った。本研究では、採取した地下水試料のEhを従来の電極法で測定するとともに、微生物の代謝活性様式から酸化還元環境を推定した。その結果、電極法による測定結果と微生物の代謝活性様式から推定される酸化還元環境は整合的な結果を示しており、本研究で用いた生物化学的手法により、Ehの測定結果に対する不確実性を低減させることが可能であると考えられる。今後は、生物化学的な擾乱を避けるための試料採取方法等を含めて、本手法の体系化を進める予定である。

口頭

The Fe(III)-dependent anaerobic methane-oxidizing activity in a deep underground borehole demonstrated by in-situ pressure groundwater incubation

西村 大樹*; 幸塚 麻里子*; 福田 朱里*; 石村 豊穂*; 天野 由記; 別部 光里*; 宮川 和也; 鈴木 庸平*

no journal, , 

地下深部の地下水は、微生物活動などにより酸素が消費され、一般に還元性になっている。幌延の深部地下水では、微生物活動による二酸化炭素還元反応により強還元雰囲気が維持されている。一方で、幌延深地層研究センター地下研究施設の一部のボーリング孔では、嫌気的環境にも関わらずメタン酸化機能を持つ微生物の存在が明らかにされている。局所的ではあるものの、地下深部の強還元雰囲気において進行する酸化反応機構の解明を目的として、本研究では、原位置の水質・水圧を模擬し、この嫌気的メタン酸化微生物の培養を行った。その結果、地下水中の懸濁物に含まれる非晶質鉄あるいは2八面体型スメクタイトに含まれる3価鉄が酸化剤として機能していることが分かった。このような酸化剤が地下深部に存在する要因の一つとして、ボーリングの掘削泥水などの掘削に伴う人為的影響が挙げられる。高レベル放射性廃棄物の地層処分において閉鎖後の処分場坑道周辺の酸化性環境は、周辺母岩中の鉱物との反応等により本来の還元性に戻ると考えられている。本研究で得られた知見は、この処分場閉鎖後の回復過程についてより正確な理解に繋がる成果である。

口頭

地下深部環境のBIO-NANO-GEO Science; 瑞浪超深地層研究所における試み

鈴木 庸平*; 福田 朱里*; 幸塚 麻理子*; 石村 豊穂*; 角皆 潤*; 萩原 大樹; 水野 崇

no journal, , 

微生物の代謝活動はナノスケールの産物を媒体として、物質循環に影響を及ぼすと幅広く認識されるが、地下深部での実態は明らかでない。本研究では、地上から掘削されたボーリング孔(MIZ-1号孔:掘削長約1300m)を対象に、深度約1150メートルの花崗岩体から採取された地下水試料を調査した。結果の概要として、(1)塩化物イオン濃度が海水の10分の1程度の深層地下水は、電子供与体として約1mMの生成起源不明のメタン($$delta$$$$^{13}$$C=-25.9‰)と溶存有機物を1.2ppm含み、二酸化炭素以外の主要な電子受容体に乏しいこと、(2)全菌数は5$$times$$10$$^{4}$$細胞・ml$$^{-1}$$でDNAに基づく群集構造解析の結果、難分解性の芳香族炭化水素をエネルギー源にするThauera属の微生物が優占すること、(3)ナノスケールの鉄・シリカを含有する粒子に微生物細胞が共存していることが明らかになった。

口頭

陸域地下深部におけるメタンに依存する巨大な微生物生態系の解明

西村 大樹*; 幸塚 麻里子*; 福田 朱里*; 石村 豊穂*; 天野 由記; 別部 光里*; 宮川 和也; 鈴木 庸平*

no journal, , 

地下深部の地下水は酸素が消費され一般に還元性になっている。幌延の深部地下水では微生物活動による二酸化炭素還元反応により強還元雰囲気が維持されている。一方で幌延深地層研究センター地下研究施設の一部のボーリング孔では、嫌気的環境にも関わらずメタン酸化機能を持つ微生物が存在している。これまでの研究により地下水中の懸濁物に含まれる非晶質鉄あるいは2八面体型スメクタイトに含まれる3価鉄が酸化剤として機能していることを明らかにしてきた。本研究では地上からのボーリング掘削により得られた深度210-320mのコア試料を用いてメタン酸化活性を評価した。その結果、地下水試料と比較して数桁高いメタン酸化代謝が得られたことから、地下水と比べてより多くの微生物が岩石内部に生息していることが示唆され、陸域地下生命圏においてはメタンが重要なエネルギー源であることが示唆された。高レベル放射性廃棄物の地層処分において処分場閉鎖後の坑道周辺の酸化性環境は、周辺母岩中の鉱物との反応等により本来の還元性に戻ると考えられている。本研究で得られた知見はこの処分場閉鎖後の回復過程についてより正確な理解に繋がる成果である。

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