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論文

Onset of collectivity for argon isotopes close to $$N=32$$

Linh, B. D.*; Corsi, A.*; Gillibert, A.*; Obertelli, A.*; Doornenbal, P.*; Barbieri, C.*; Duguet, T.*; G$'o$mez-Ramos, M.*; Holt, J. D.*; Hu, B. S.*; et al.

Physical Review C, 109(3), p.034312_1 - 034312_15, 2024/03

 被引用回数:1 パーセンタイル:79.23(Physics, Nuclear)

理化学研究所RIビームファクトリーにて中性子過剰核$$^{50}$$Arビームからの1中性子ノックアウト反応実験を行い、$$^{49}$$Arのエネルギー準位および分光学的因子を導出した。特に、第一励起状態の$$1/2^-$$への分光学的因子が大きいことから、始状態の$$^{50}$$Arの基底状態において中性子が$$p_{1/2}$$軌道を多く占めていることがわかった。これは、中性子数32がよい魔法数として知られる$$^{52}$$Caとは異なった性質であり、カルシウムからアルゴンへと陽子が2個減ることで閉殻構造が大きく崩れることが明らかになった。

論文

Feasibility study of reactor radiation photon spectroscopy in Fugen for nuclear decommissioning

冠城 雅晃; 宮本 勇太; 森 教匡; 岩井 紘基; 手塚 将志; 黒澤 俊介*; 田川 明広; 高崎 浩司

Journal of Nuclear Science and Technology, 9 Pages, 2024/00

Nuclear decommissioning has recently accelerated, particularly following the accident at Fukushima Daiichi Nuclear Power Station, Tokyo Electric Power Holdings. $$gamma$$-ray/X-ray (radiation photon) spectroscopy provides information on the types of radionuclides with radiation photon emissions. Radiation photon spectroscopy in a control rod guide tube positioned at the center of Fugen was conducted. Fugen is a prototype advanced thermal reactor with 165 MWe electric power generation that is being decommissioned. The dose rates measured in a control rod guide tube positioned at the center of the reactor were 4.1$$--$$9.1 Gy/h. The dose rate considerably increased at a position close to a tank that contained $$^{60}$$Co caused by the radioactivation of stainless steel. Radiation photon spectroscopy was performed without radiation shielding, identifying $$^{60}$$Co with an energy resolution better than 5.4% at 1333 keV and $$^{94}$$Nb with an energy resolution better than 5.9% at 871 keV.

論文

Level structures of $$^{56,58}$$Ca cast doubt on a doubly magic $$^{60}$$Ca

Chen, S.*; Browne, F.*; Doornenbal, P.*; Lee, J.*; Obertelli, A.*; 角田 佑介*; 大塚 孝治*; 茶園 亮樹*; Hagen, G.*; Holt, J. D.*; et al.

Physics Letters B, 843, p.138025_1 - 138025_7, 2023/08

 被引用回数:6 パーセンタイル:87.68(Astronomy & Astrophysics)

$$^{57,59}$$Scからの1陽子ノックアウト反応を用いて、$$^{56}$$Caと$$^{58}$$Caのガンマ崩壊を観測した。$$^{56}$$Caでは1456(12)keVの$$gamma$$線遷移が、$$^{58}$$Caでは1115(34)keVの遷移が観測された。どちらの遷移も暫定的に$$2^{+}_{1} rightarrow 0^{+}_{gs}$$と割り当てられた。有効核子間相互作用をわずかに修正した広い模型空間での殻模型計算では、$$2^{+}_{1}$$準位エネルギー、2中性子分離エネルギー、反応断面積が実験とよく一致し、N=34閉殻の上に新しい殻が形成されていることを裏付けた。その構成要素である$$0_{f5/2}$$$$0_{g9/2}$$軌道はほぼ縮退しており、これは$$^{60}$$Caが二重魔法核である可能性を排除し、Ca同位体のドリップラインを$$^{70}$$Caあるいはそれ以上にまで広げる可能性がある。

論文

"Southwestern" boundary of the $$N = 40$$ island of inversion; First study of low-lying bound excited states in $$^{59}$$V and $$^{61}$$V

Elekes, Z.*; Juh$'a$sz, M. M.*; Sohler, D.*; Sieja, K.*; 吉田 数貴; 緒方 一介*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Achouri, N. L.*; 馬場 秀忠*; et al.

Physical Review C, 106(6), p.064321_1 - 064321_10, 2022/12

 被引用回数:2 パーセンタイル:39.49(Physics, Nuclear)

$$^{59}$$Vと$$^{61}$$Vの低励起準位構造を初めて探索した。$$^{61}$$Vについては中性子ノックアウト反応と陽子非弾性散乱が、$$^{59}$$Vについては中性子ノックアウト反応データが得られた。$$^{59}$$Vについては4つ、$$^{61}$$Vについては5つの新たな遷移が確認された。Lenzi-Nowacki-Poves-Sieja (LNPS)相互作用に基づく殻模型計算との比較によって、それぞれの同位体について確認されたガンマ線のうち3つが、first 11/2$$^{-}$$状態とfirst 9/2$$^{-}$$状態からの崩壊と決定された。$$^{61}$$Vについては、($$p$$,$$p'$$)非弾性散乱断面積は四重極変形と十六重極変形を想定したチャネル結合法により解析されたが、十六重極変形の影響により、明確に反転の島に属するとは決定できなかった。

論文

A First glimpse at the shell structure beyond $$^{54}$$Ca; Spectroscopy of $$^{55}$$K, $$^{55}$$Ca, and $$^{57}$$Ca

小岩井 拓真*; Wimmer, K.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Barbieri, C.*; Duguet, T.*; Holt, J. D.*; 宮城 宇志*; Navr$'a$til, P.*; 緒方 一介*; et al.

Physics Letters B, 827, p.136953_1 - 136953_7, 2022/04

 被引用回数:5 パーセンタイル:70.77(Astronomy & Astrophysics)

中性子過剰核$$^{54}$$Caでは、新魔法数34が発見されて以来、その構造を知るために多くの実験がなされてきたが、それを超える中性子過剰核の情報は全く知られてこなかった。本論文では、理化学研究所RIBFにて$$^{55}$$K, $$^{55}$$Ca, $$^{57}$$Caの励起状態から脱励起するガンマ線を初めて観測した結果を報告した。それぞれ1つのガンマ線しか得られなかったものの、$$^{55}$$Kおよび$$^{55}$$Caのデータは、それぞれ、陽子の$$d_{3/2}$$$$s_{1/2}$$軌道間のエネルギー差、中性子の$$p_{1/2}$$$$f_{5/2}$$軌道間のエネルギー差を敏感に反映し、両方とも最新の殻模型計算によって200keV程度の精度で再現できることがわかった。また、1粒子状態の程度を特徴づける分光学的因子を実験データと歪曲波インパルス近似による反応計算から求め、その値も殻模型計算の値と矛盾しないことがわかった。

論文

Pairing forces govern population of doubly magic $$^{54}$$Ca from direct reactions

Browne, F.*; Chen, S.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; 緒方 一介*; 宇都野 穣; 吉田 数貴; Achouri, N. L.*; 馬場 秀忠*; Calvet, D.*; et al.

Physical Review Letters, 126(25), p.252501_1 - 252501_7, 2021/06

 被引用回数:11 パーセンタイル:71.54(Physics, Multidisciplinary)

理化学研究所RIビームファクトリーにて、中性子過剰核$$^{55}$$Scからの1陽子ノックアウト反応によって$$^{54}$$Caを生成し、そのエネルギー準位と反応断面積をガンマ線分光および不変質量分光によって得た。その結果を歪曲波インパルス近似による核反応計算と大規模殻模型による核構造計算を組み合わせた理論値と比較した。実験の準位と断面積は理論計算によってよく再現された。$$^{54}$$Caの正パリティ状態については、基底状態の生成断面積が励起状態のものに比べて圧倒的に大きいという結果が得られた。これは、$$^{55}$$Scでは中性子魔法数34が消滅し$$^{54}$$Caではその魔法数が存在するというこれまでの知見と一見矛盾するが、対相関による分光学的因子のコヒーレンスから理解することができる。

論文

First spectroscopic study of $$^{51}$$Ar by the ($$p$$,2$$p$$) reaction

Juh$'a$sz, M. M.*; Elekes, Z.*; Sohler, D.*; 宇都野 穣; 吉田 数貴; 大塚 孝治*; 緒方 一介*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; 馬場 秀忠*; et al.

Physics Letters B, 814, p.136108_1 - 136108_8, 2021/03

AA2020-0747.pdf:0.83MB

 被引用回数:5 パーセンタイル:57.81(Astronomy & Astrophysics)

($$p$$,$$2p$$)反応と$$gamma$$線分光を用いて$$^{51}$$Arの束縛状態と非束縛状態の核構造研究を行った。実験結果と殻模型計算を比較することで、2つの束縛状態と6つの非束縛状態を決定した。$$^{51}$$Arの束縛状態を生成する反応断面積が小さいことから、これは中性子数32, 34の顕著なsub-shell closureが存在している確かな証拠と解釈できる。

論文

$$N$$ = 32 shell closure below calcium; Low-lying structure of $$^{50}$$Ar

Cort$'e$s, M. L.*; Rodriguez, W.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Holt, J. D.*; Men$'e$ndez, J.*; 緒方 一介*; Schwenk, A.*; 清水 則孝*; Simonis, J.*; et al.

Physical Review C, 102(6), p.064320_1 - 064320_9, 2020/12

AA2020-0748.pdf:0.75MB

 被引用回数:12 パーセンタイル:77.58(Physics, Nuclear)

理化学研究所RIBFにおいて、$$N$$=32同位体である$$^{50}$$Arの低励起構造を陽子・中性子ノックアウト反応,多核子剥離反応,陽子非弾性散乱と$$gamma$$線分光によって調査した。すでに知られていた2つに加えて、3$$^{-}$$状態の候補を含む5つの状態を新たに確認した。$$gamma$$ $$gamma$$ coincidenceによって得られた準位図は$$sd-pf$$模型空間での殻模型計算やカイラル2体・3体力による第一原理計算と比較した。陽子・中性子ノックアウト反応断面積の理論との比較により、新たに発見された2つの状態は2$$^{+}$$状態であり、また以前に4$$^{+}_{1}$$とされていた状態も2$$^{+}$$であることが示唆された。

論文

新型転換炉原型炉ふげんにおける炉内試料採取技術実証

岩井 紘基; 副島 吾郎; 瀧谷 啓晃; 粟谷 悠人; 荒谷 健太; 宮本 勇太; 手塚 将志

デコミッショニング技報, (61), p.12 - 19, 2020/03

新型転換炉原型炉ふげんは、2008年2月に廃止措置計画の認可を受け、廃止措置に取り組んでいる。2018年3月に廃止措置の第1段階(重水系・ヘリウム系等の汚染の除去期間)を終了し、現在第2段階(原子炉周辺設備解体撤去期間)に移行している。本報告では、第3段階における原子炉本体解体撤去に向けて実施した原子炉内部の構造材からの遠隔試料採取に係る技術実証について紹介する。

論文

Shell evolution of $$N$$ = 40 isotones towards $$^{60}$$Ca; First spectroscopy of $$^{62}$$Ti

Cort$'e$s, M. L.*; Rodriguez, W.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Holt, J. D.*; Lenzi, S. M.*; Men$'e$ndez, J.*; Nowacki, F.*; 緒方 一介*; Poves, A.*; et al.

Physics Letters B, 800, p.135071_1 - 135071_7, 2020/01

 被引用回数:34 パーセンタイル:95.93(Astronomy & Astrophysics)

ガンマ線分光による$$N$$=40同調体である$$^{62}$$Tiの分光学研究を$$^{63}$$V($$p$$,$$2p$$)$$^{62}$$TiをRIBFで行った。今回初めて測定された$$2_1^+ rightarrow 0_{rm gs}^+$$$$4_1^+ rightarrow 2_1^+$$の遷移はTiの基底状態が変形していることを示唆した。これらのエネルギーは近傍核の$$^{64}$$Crや$$^{66}$$Feと比較して大きく、したがって四重極集団運動が小さくなっていることが示唆される。今回の結果は大規模殻模型計算によって良く再現される一方、第一原理計算や平均場模型では今回の結果は再現されなかった。

論文

スマデコ水中タンクを用いた水中レーザ切断試験の実施

宮本 勇太; 岩井 紘基; 吉川 勝裕*

若狭湾エネルギー研究センターホームページ(インターネット), 1 Pages, 2020/00

「ふげん」で利用されている原子炉構造材(SUS304)や二重管(Zr-2.5%Nb, Zry-2)の模擬材を対象とした水中レーザ切断試験を実施し、様々な切断条件において水中レーザ切断を行った際に発生する粉じんの挙動を調査した。試験は、ふくいスマートデコミッショニング実証拠点にある、水深約10mの水中にてレーザ切断する環境を模擬可能な大型水槽を用いて実施した。

論文

Quasifree neutron knockout from $$^{54}$$Ca corroborates arising $$N=34$$ neutron magic number

Chen, S.*; Lee, J.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Barbieri, C.*; 茶園 亮樹*; Navr$'a$til, P.*; 緒方 一介*; 大塚 孝治*; Raimondi, F.*; et al.

Physical Review Letters, 123(14), p.142501_1 - 142501_7, 2019/10

AA2019-0306.pdf:0.57MB

 被引用回数:54 パーセンタイル:92.75(Physics, Multidisciplinary)

$$^{54}$$Caでは中性子魔法数34が現れると考えられているが、その直接的な実験的証拠を得るため、$$^{54}$$Caからの中性子ノックアウト反応$$^{54}$$Ca($$p,pn$$)$$^{53}$$Caによって生成される状態を理化学研究所のRI Beam Factoryによって調べた。基底状態および2.2MeVの励起状態が強く生成され、1.7MeVの励起状態の生成量は小さかった。$$^{53}$$Caの運動量分布から、基底状態および2.2MeVの励起状態は$$p$$軌道の中性子を叩き出して得られた状態であることが明らかになった。DWIA計算によって得られた分光学的因子から、$$^{54}$$Caは$$p$$軌道がほぼ完全に占有された閉殻構造を持つことが明らかになり、中性子魔法数34の出現が確実なものとなった。

論文

スマデコ設備を利用し、水中レーザー切断試験を実施

副島 吾郎; 岩井 紘基; 中村 保之; 桑室 直俊*; 嶋津 正*

エネ研ニュース(インターネット), 131, P. 1, 2019/04

「ふげん」で利用されている原子炉構造材(SUS304)や二重管(Zr-2.5%Nb, Zry-2)の模擬材を対象とし、レーザ切断工法を用いて、水中切断を行った際に発生する粉じんの挙動を調査した。試験では、「ふげん」原子炉と同等の大きさの大型水槽を用いた。

論文

熱的切断工法による気中及び水中切断時の粉じん挙動調査

副島 吾郎; 岩井 紘基; 中村 保之; 都築 聡*; 安永 和史*; 久米 恭*

平成29年度公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター研究年報,20, P. 80, 2018/11

「ふげん」で利用されている原子炉構造材(SUS304)や二重管(Zr-2.5%Nb, Zry-2)の模擬材を対象とし、プラズマアーク切断工法及びレーザ切断工法を用いて、気中切断や水中切断を行った際に発生する粉じんの挙動を調査した。

論文

レーザ及びプラズマ切断時における粉じん挙動・比較調査

副島 吾郎; 岩井 紘基; 門脇 春彦; 中村 保之; 都築 聡*; 安永 和史*; 中田 吉則*; 久米 恭*

平成28年度公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター研究年報,19, P. 9, 2017/10

熱的切断工法(プラズマ切断及びレーザ切断)を用いて、気中切断や水中切断を行った際に発生する粉じんの気中等への移行量、移行率及び性状等のデータを取得し、切断工法の違いや切断速度や出力等の切断条件を変化させた際の影響を調査した。

論文

Technology development on reactor dismantling and investigation of contamination in FUGEN

副島 吾郎; 岩井 紘基; 中村 保之; 林 宏一; 門脇 春彦; 水井 宏之; 佐野 一哉

Proceedings of 25th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-25) (CD-ROM), 5 Pages, 2017/07

「ふげん」では、解体撤去や汚染の除去作業に係る廃止措置を安全かつ合理的に遂行することとしており、また、廃止措置に必要な技術開発を進めてきている。(1)原子炉本体解体に向けた技術開発:「ふげん」では、原子炉本体の特徴等に鑑み、原子炉本体解体には切断速度が速く二次廃棄物の発生量が少ない特徴を有するレーザ切断工法を適用する計画としている。レーザは原子炉施設解体への適用実績がないため、レーザヘッド,発振器,ロボット等から構成されるレーザ切断システムを構築し、解体物を対象とした切断実証を行った。(2)汚染状況調査に係る技術調:「ふげん」では、従前より施設の残存放射能量を的確に把握するため施設の汚染状況調査を行ってきている。今般、既存の実機材から試料を採取し核種分析により放射能濃度を評価する調査手法に加え、非破壊環境下で簡易的に「ふげん」の主要な二次汚染の主要核種である$$^{60}$$Coを指標とした汚染状況を把握する調査手法の開発に着手した。

報告書

東京電力福島第一原子力発電所の炉内構造物解体を想定したAWJ切断技術による適用性試験

中村 保之; 岩井 紘基; 手塚 将志; 佐野 一哉

JAEA-Technology 2015-055, 89 Pages, 2016/03

JAEA-Technology-2015-055.pdf:17.54MB

東京電力福島第一原子力発電所(以下、「1F」という)は炉心溶融に至ったと報告されており、炉内構造物は原形を留めておらず、溶融燃料と混在し複雑狭隘な状態にあると想定される。このような状態の中、燃料デブリ等の取出しに向けて、熱影響が少なくスタンドオフを長く取れるアブレイシブウォータージェット(以下「AWJ」)切断技術について、2012年度から3カ年で切断試験を実施し技術開発を進めてきており、燃料デブリ等の取出しに有効な工法であることを確認した。初年度の成果は、既報告書"JAEA-Technology 2013-041 アブレイシブウォータージェット切断工法による炉内溶融金属等の取出しに向けた技術開発"で報告済みであるが、本報告書は、これを含む3ヵ年の集大成として取り纏めたものである。AWJ切断技術は、切断時に使用するアブレイシブが二次廃棄物として発生するものの、圧力容器下部等に堆積した厚み等の不明な燃料デブリや炉内構造物の取出しが可能であることを切断試験により確認し、実機に適用できる見通しを得た。

報告書

東京電力福島第一原子力発電所の炉内構造物解体を想定したプラズマ切断技術による適用性試験

手塚 将志; 中村 保之; 岩井 紘基; 佐野 一哉

JAEA-Technology 2015-047, 114 Pages, 2016/03

JAEA-Technology-2015-047.pdf:46.17MB

東京電力福島第一原子力発電所は、炉心溶融に伴い炉内構造物は原形を留めておらず、溶融燃料と混在し複雑狭隘な状態にあると想定される。このため「ふげん」では溶融再凝固した炉内構造物の取出しに向けて、2012年度から3カ年で、プラズマアーク切断技術を用いた切断試験を進めてきており、炉内構造物等の取出しに有効な工法であることを確認した。具体的には、原子炉構造材を模擬した試験体を用いた要素試験を実施し、対象物に応じて切断条件の最適化を図ることにより、溶断ドロス発生の抑制が可能であることを確認した。また、格納容器下部等に堆積していると想定される厚みが不明な燃料デブリに対し、対象を事前に加熱することで切断能力の向上を図る手法を構築した。さらに、プラズマアークで切断不可能なセラミック等の非導電材も切断可能なプラズマジェットと組み合わせた連携切断手法により、燃料デブリと溶融金属の混合材(模擬試験体)でも切断が可能であることを確認した。これらの成果から、プラズマ切断技術は、種々の条件に応じた最適な切断条件を設定することにより、燃料デブリ及び炉内溶融金属の取出し作業へ適用できる見通しを得た。

報告書

「ふげん」原子炉本体解体基本手順の策定

岩井 紘基; 中村 保之; 水井 宏之; 佐野 一哉

JAEA-Technology 2015-046, 110 Pages, 2016/03

JAEA-Technology-2015-046.pdf:85.22MB

「ふげん」は、熱出力557MWt、電気出力165MWeの重水減速沸騰軽水冷却圧力管型原子炉である。「ふげん」原子炉本体は、圧力管, カランドリア管, 炉心タンク等から構成される炉心領域と鉄水遮へい体から構成される遮へい領域の2つに分けられる。原子炉本体のうち炉心領域は、約25年間の運転により放射能レベルが比較的高く、圧力管とカランドリア管をそれぞれ224本内蔵する二重管で構成される複雑で狭隘な構造であり、遮へい領域は、原子炉上下部及び側部は厚板部材の遮へい体からなる積層構造となっている。特に炉心領域の解体は、構造材の放射化及びジルコニウム合金を使用していることに留意して、切断時の放射性粉じん等による被ばく低減及び発火防止対策の観点から、水中にて遠隔で解体する計画としている。以上のことを踏まえ、解体時の雰囲気線量を考慮した水位の設定や解体物の物流等を考慮した原子炉上部からの逐次解体を基本とし、炉心領域においては全炉心を上部から順に撤去する手順に加えて、解体で発生する廃棄体の放射能濃度の平坦化を目的とした手順について検討した。これらの解体手順の成立性を検証したところ、炉心領域の構造材位置による放射化量のバラつきや「ふげん」特有材料に由来する放射性核種の平坦化が図れ、物流等が成立することから、炉心を径方向及び軸方向に分割した手順が最も合理的であることが確認でき、これを「ふげん」の原子炉本体解体に係る手順として策定した。

報告書

「ふげん」原子炉解体切断工法の選定

中村 保之; 岩井 紘基; 水井 宏之; 佐野 一哉

JAEA-Technology 2015-045, 137 Pages, 2016/03

JAEA-Technology-2015-045.pdf:27.77MB

「ふげん」原子炉本体のうち圧力管、カランドリア管、炉心タンク等から構成される炉心領域は、約25年間の運転により放射能レベルが比較的高いこと、圧力管とカランドリア管をそれぞれ224本内蔵する二重管で構成される複雑で狭隘な構造であり、遮へい領域は、原子炉上下部及び側部は厚板部材からなる積層構造となっている。また、これらは、炭素鋼, ステンレス鋼, ジルコニウム合金, アルミニウム, コンクリート等の多種材料から構成されている。特に炉心領域の解体は、構造材が放射化していることや酸化しやすいジルコニウム合金を使用していることにも留意して、切断時の放射性粉じん等による被ばく低減及び発火防止対策の観点から、水中にて遠隔で解体する計画としている。以上のことを考慮し、コストに大きく影響を与える解体工期の短縮及び二次廃棄物発生量の低減、水中での適用性に加え、「ふげん」の炉心領域に特徴的な狭隘部にも適用可能な切断工法の選定を行った。

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