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論文

ガラス変質層による溶解速度の低減現象に係る根拠情報の拡充

松原 竜太*; 上野 吹佳*; 岩田 孟; 稲垣 八穂広*; 大窪 貴洋*

NUMO-TR-24-03; 技術開発成果概要2023, p.55 - 61, 2024/10

地層処分事業の実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)が、日本原子力研究開発機構(JAEA)をはじめとする関係研究機関及び大学との共同研究等により実施した2023年度の技術開発成果の概要を取りまとめ、報告する。本報告は、NUMOとJAEAの共同研究「ニアフィールドシステムの状態変遷に伴うバリア材及び核種の長期挙動評価のための研究」で2023年度に実施したガラス変質層による溶解度速度の低減現象に係る根拠情報の拡充に関する成果についての概要をまとめたものである。

論文

ガラス変質層による溶解速度の低減現象に係る根拠情報の拡充

松原 竜太*; 田窪 勇作*; 岩田 孟; 稲垣 八穂広*; 大窪 貴洋*

NUMO-TR-24-01; 技術開発成果概要2022, p.104 - 108, 2024/05

地層処分事業の実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)が、日本原子力研究開発機構(JAEA)をはじめとする関係研究機関及び大学との共同研究等により実施した2022年度の技術開発成果の概要を取りまとめ、報告する。本報告は、NUMOとJAEAの共同研究「ニアフィールドシステムの状態変遷に伴うバリア材及び核種の長期挙動評価のための研究」で2022年度に実施したガラス変質層による溶解速度の低減現象に係る根拠情報の拡充に関する成果についての概要をまとめたものである。

論文

Development of spin-contrast-variation neutron powder diffractometry for extracting the structure factor of hydrogen atoms

三浦 大輔*; 熊田 高之; 関根 由莉奈; 奥 隆之; 高田 慎一; 廣井 孝介; 岩田 高広*

J-PARC 22-02; J-PARC MLF Annual Report 2021, p.6 - 7, 2022/03

スピンコントラスト変調中性子粉末結晶構造解析法を用いてグルタミン酸結晶を測定したところ、水素核偏極度に応じて偏極中性子の回折ピーク強度がピークごとに大きく変化した。その変化を解析することにより水素原子間同士の相関関数および水素原子と他の原子との相関関数を抽出することに成功した。

論文

MIRS: an imaging spectrometer for the MMX mission

Barucci, M. A.*; Reess, J.-M.*; Bernardi, P.*; Doressoundiram, A.*; Fornasier, S.*; Le Du, M.*; 岩田 隆浩*; 中川 広務*; 中村 智樹*; Andr$'e$, Y.*; et al.

Earth, Planets and Space (Internet), 73(1), p.211_1 - 211_28, 2021/12

 被引用回数:18 パーセンタイル:82.30(Geosciences, Multidisciplinary)

MMX赤外線分光計(MIRS)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のMMXミッションに搭載されているイメージング分光計である。MIRSは他の4つのフランス研究所との協力、フランス国立宇宙研究センター(CNES)の協力と財政支援、およびJAXAと三菱電機(MELCO)との緊密な協力によりパリ天文台で開発されている。この装置はMMXの科学的目的を完全に達成するべく設計されている。MIRSはフォボスとダイモスの表面組成の分析およびサンプリングサイトの選択時に使用される組成診断スペクトル機能を含む近赤外線スペクトルマップ機能をリモートで提供する。MIRSはまた、火星の大気、特に雲,塵,水蒸気などの空間的時間的変化についても観測を行う予定である。

論文

偏極中性子によるスピンコントラスト変調法を用いた粉末中性子回折測定による分子性結晶中の水素原子位置情報の抽出

三浦 大輔*; 熊田 高之; 岩田 高広*

日本結晶学会誌, 63(4), p.287 - 293, 2021/12

スピンコントラスト変調粉末結晶構造解析法を開発した。本手法では、粉末結晶の偏極中性子散乱パターンの水素核偏極にともなく強度変化から結晶中の水素位置を決定することができる。我々はグルタミン酸粉末結晶を用いて本手法の原理実証実験に成功した。

論文

Development of spin-contrast-variation neutron powder diffractometry for extracting the structure factor of hydrogen atoms

三浦 大輔*; 熊田 高之; 関根 由莉奈; 元川 竜平; 中川 洋; 大場 洋次郎; 大原 高志; 高田 慎一; 廣井 孝介; 森川 利明*; et al.

Journal of Applied Crystallography, 54(2), p.454 - 460, 2021/04

AA2020-0724.pdf:2.05MB

 被引用回数:1 パーセンタイル:14.61(Chemistry, Multidisciplinary)

山形大学が原子核物理実験用に開発した結晶試料の核スピン偏極技術を、スピンコントラスト偏極中性子回折測定法に展開し、水素核偏極化されたグルタミン酸を用いて粉末結晶試料中の水素の配向および凝集・分散などの構造情報を抽出できることを実証した。

論文

Thermally altered subsurface material of asteroid (162173) Ryugu

北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.

Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03

 被引用回数:49 パーセンタイル:96.63(Astronomy & Astrophysics)

2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300$$^{circ}$$Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200$$^{circ}$$Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。

論文

$$omega N$$ scattering length from $$omega$$ photoproduction on the proton near the reaction threshold

石川 貴嗣*; 藤村 寿子*; 深澤 宏司*; 橋本 亮*; He, Q.*; 本多 佑記*; 保坂 淳; 岩田 高広*; 甲斐田 俊*; 笠木 治郎太*; et al.

Physical Review C, 101(5), p.052201_1 - 052201_6, 2020/05

 被引用回数:4 パーセンタイル:40.64(Physics, Nuclear)

Photoproduction of the omega meson on the proton has been experimentally studied near the threshold. The total cross sections are determined at incident energies ranging from 1.09 to 1.15 GeV. The 1/2 and 3/2 spin-averaged scattering length $$a$$$$_{omega p}$$ and effective range $$r$$$$_{omega p}$$ between the CO meson and proton are estimated from the shape of the total cross section as a function of the incident photon energy: $$a$$$$_{omega p}$$ = (-0.97 $$_{rm -0.16stat-0.00syst}^{rm +0.16stat+0.03syst}$$ + $$i$$(0.07 $$_{rm -0.14stat-0.09syst}^{rm +0.15stat+0.17syst}$$) fm and $$r$$$$_{omega p}$$ = (+2.78 $$_{rm -0.54stat-0.12syst}^{rm +0.67stat+0.11syst}$$) + $$i$$(-0.01 $$_{rm -0.50stat-0.00syst}^{rm +0.46stat+0.06syst}$$) fm, resulting in a repulsive force. The real and imaginary parts for $$a$$$$_{omega p}$$ and $$r$$$$_{omega p}$$ are determined separately for the first time. A small $$P$$-wave contribution does not affect the obtained values.

論文

Measurement of the angular distribution of $$gamma$$-rays after neutron capture by $$^{139}$$La for a T-violation search

奥平 琢也; 清水 裕彦*; 北口 雅暁*; 広田 克也*; Haddock, C. C.*; 伊藤 維久也*; 山本 知樹*; 遠藤 駿典*; 石崎 貢平*; 佐藤 匠*; et al.

EPJ Web of Conferences, 219, p.09001_1 - 09001_6, 2019/12

原子核が熱外中性子を共鳴吸収する反応において、弱い相互作用起因のパリティ対称性の破れが核子間相互作用の最大10$$^{6}$$倍増幅される現象が観測されている。この反応では時間反転対称性の破れにも同様の増幅効果があることが理論的に予言されており、全く新しい手法で未知の時間反転対称性の破れを世界最高感度で探索できる可能性がある。しかし、その増幅率は全ての核種で未知であり、この手法がもつ可能性を具体的に議論できていなかった。本研究ではJ-PARC, MLF, BL04のGe検出器群を用いて、$$^{139}$$La(n,$$gamma$$)反応の角度分布測定を行い、世界で初めて$$^{139}$$Laで時間反転対称性の破れの増幅率を求めることに成功した。この結果を用いて、実験に必要な測定時間を見積もると、偏極率40%のLa核偏極技術、偏極率70%, 79atm・cmの$$^3$$He Spin Filterを用意すれば、1.4日の測定で世界最高感度で時間反転対称性の破れ探索実験が可能であることが判明した。現在原子力機構では高性能な$$^3$$He Spin Filterの開発を行なっており、本発表では$$gamma$$線の角度分布測定の結果、及び共用ビームラインに適用するための$$^3$$He Spin Filterの開発の現状について発表する。

論文

The Surface composition of asteroid 162173 Ryugu from Hayabusa2 near-infrared spectroscopy

北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; 松岡 萌*; et al.

Science, 364(6437), p.272 - 275, 2019/04

 被引用回数:282 パーセンタイル:99.70(Multidisciplinary Sciences)

小惑星探査機はやぶさ2のターゲット天体であるリュウグウは、始原的な炭素質物質で構成されていると考えられている。はやぶさ2に搭載された近赤外分光計(NIRS3)によって、天体の表面組成を得た。天体全体の観測で、弱く細い吸収が2.72ミクロンに確認され、OHを含む鉱物の存在を示している。弱いOH吸収と低いアルベドは熱やショックによって変質を受けた炭素質コンドライトに似ている。OHバンドの位置はほとんど一定であり、衝撃片の集合によって形成されたリュウグウは組成的に均質であることを示している。

論文

An Evaluation method of reflectance spectra to be obtained by Hayabusa2 Near-Infrared Spectrometer (NIRS3) based on laboratory measurements of carbonaceous chondrites

松岡 萌*; 中村 智樹*; 大澤 崇人; 岩田 隆浩*; 北里 宏平*; 安部 正真*; 仲内 悠祐*; 荒井 武彦*; 小松 睦美*; 廣井 孝弘*; et al.

Earth, Planets and Space (Internet), 69(1), p.120_1 - 120_12, 2017/12

AA2017-0327.pdf:1.53MB

 被引用回数:6 パーセンタイル:20.07(Geosciences, Multidisciplinary)

はやぶさ2に搭載されている近赤外分光計(NIRS3)の地上テストを行なってスペクトルの補正と評価の手法を確立した。粉末状にした炭素質隕石を試料として、FTIRで測定したスペクトルとの比較からNIRS3のスペクトルの補正方法を2つ提案した。また得られた反射スペクトルから小惑星表面の化学的分類方法について提案した。

論文

NIRS3; The Near Infrared Spectrometer on Hayabusa2

岩田 隆浩*; 北里 宏平*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 荒井 武彦*; 荒井 朋子*; 平田 成*; 廣井 孝弘*; 本田 親寿*; 今栄 直也*; et al.

Space Science Reviews, 208(1-4), p.317 - 337, 2017/07

 被引用回数:54 パーセンタイル:69.65(Astronomy & Astrophysics)

C型小惑星リュウグウを目指す小惑星探査機ハヤブサ2に搭載された近赤外分光計NIRS3は1.8から3.2ミクロンまでの感度を持つ。NIRS3は小惑星の反射スペクトルを計測することで、3ミクロンバンドに現れる水に起因する吸収を検出することを目的としている。InAsフォトダイオードリニアイメージセンサと188Kでの動作を可能とする受動冷却システムによって、本分光計は十分な感度とダークノイズを達成できる。NIRS3フライトモデルは打ち上げ前に地上で性能評価実験が行われ、小惑星表面の水質変成度を決定できるだけのSN比があることが確認された。小惑星表面の計測では、小惑星の熱変性度や、炭素質コンドライトとの対応関係を明らかにできるだろう。

報告書

軽イオンマイクロビーム分析/加工システムの改良

江夏 昌志; 石井 保行; 山田 尚人; 大久保 猛; 加田 渉*; 喜多村 茜; 岩田 吉弘*; 神谷 富裕; 佐藤 隆博

JAEA-Technology 2016-006, 41 Pages, 2016/03

JAEA-Technology-2016-006.pdf:14.03MB

日本原子力研究開発機構原子力科学研究部門高崎量子応用研究所のイオン照射研究施設では、これまでに、3MVシングルエンド加速器におけるMeV級軽イオンマイクロビームによる高空間分解能な局所元素分析・加工システムの開発を行ってきた。ここでは、加速器、ビーム輸送ライン及びマイクロビーム形成装置などの主構成機器に加えて、マイクロPIXE/PIGE(Particle Induced X-ray/Gamma-ray Emission)分析、三次元元素分布分析(PIXE-CT: Computed Tomography)、イオン誘起発光分析(IBIL: Ion Beam Induced Luminescence)及び微細加工(PBW: Proton Beam Writing)への応用研究に用いるための付帯装置・治具類に関する技術的な改良について、これらの機器・装置等の概要とともに纏める。

論文

TIARAのマイクロビームPIXEを用いた地衣類の元素マッピングと元素組成の見積り

岩田 吉弘*; 石井 慶造*; 神谷 富裕; 佐藤 隆博

JAEA-Review 2011-043, JAEA Takasaki Annual Report 2010, P. 90, 2012/01

Distribution and abundance of several elements in a lichen sample were searched by micro beam PIXE. Dried fruticose linen (Cladonia amaurocraea (Florke) Schaer.) was cut to 25 $$mu$$m slice sample and mounted on the target folder. It was subjected to 3 MeV proton bombardments by the micro beam PIXE system of TIARA. The elemental maps made by the distribution of K and Cl show the shape of the section of the lichen slice. S and P were mainly distributed on the upper cortical layer. Si deposited between inner cortical layer and algal layer, and also deposited on the inner wall of algal layer. Elemental abundances for S, P and Ca were estimated by the intensity of characteristic X-ray and analytical sensitivity of the micro beam PIXE, for instance, S in the upper cortical layer was 2.6 mg cm$$^{-3}$$ and Ca in the algal layer was 0.2 mg cm$$^{-3}$$.

論文

Beam-palarization asymmetries for the $$p$$($$overrightarrow{gamma}$$,$$K$$$$^{+}$$)$$Lambda$$ and $$p$$($$overrightarrow{gamma}$$,$$K$$$$^{+}$$)$$Sigma$$$$^{0}$$ reactions for $$E$$$$_{gamma}$$=1.5-2.4 GeV

Zegers, R. G. T.*; 住浜 水季*; Ahn, D. S.*; Ahn, J. K.*; 秋宗 秀俊*; 浅野 芳裕; Chang, W. C.*; Dat$'e$, S.*; 江尻 宏泰*; 藤村 寿子*; et al.

Physical Review Letters, 91(9), p.092001_1 - 092001_4, 2003/08

 被引用回数:128 パーセンタイル:94.75(Physics, Multidisciplinary)

$$E$$$$_{gamma}$$=1.5-2.4GeVで$$p$$($$overrightarrow{gamma}$$,$$K$$$$^{+}$$)$$Lambda$$,$$p$$($$overrightarrow{gamma}$$,$$K$$$$^{+}$$)$$Sigma$$$$^{0}$$反応に対するビーム偏極非対称が初めて測定された。この結果は未決定のハドロン共鳴や反応機構解明に用いられる。

論文

Evidence for a narrow $$S$$ = +1 Baryon resonance in photoproduction from the neutron

中野 貴志*; Ahn, D. S.*; Ahn, J. K.*; 秋宗 秀俊*; 浅野 芳裕; Chang, W. C.*; 伊達 伸*; 江尻 宏泰*; 藤村 寿子*; 藤原 守; et al.

Physical Review Letters, 91(1), p.012002_1 - 012002_4, 2003/07

 被引用回数:1010 パーセンタイル:99.85(Physics, Multidisciplinary)

$$K^{+}$$$$K^{-}$$の両粒子を前方で測定することにより、$$^{12}$$Cを標的にした$$gamma$$n $$rightarrow$$ $$K^{+}$$$$K^{-}$$n光反応を研究した。1.54GeV/C$$^{2}$$に25MeV/C$$^{2}$$以下の幅の鋭いバリオン共鳴ピークを観測した。この共鳴ピークのストレンジネス($$S$$)は+1であった。この状態は5つのクォーク($$uudd bar{s}$$)が$$K^{+}$$と中性子に崩壊した状態であると解釈される。

口頭

地層処分におけるガラス固化体性能に関する研究開発の進捗状況

松原 竜太*; 藤崎 淳*; 石田 圭輔*; 石黒 勝彦*; 稲垣 八穂広*; 大窪 貴洋*; 三ツ井 誠一郎; 岩田 孟; 関根 伸行*

no journal, , 

放射性物質の溶出を抑制することで、長期間にわたり放射性物質を地層処分施設に閉じ込める機能(安全機能)が期待されている。そのため、安全機能の程度を評価(性能評価)することは、処分場の安全性を確認するうえで重要である。この発表では、ガラス固化体の溶解速度に影響し得る重要なプロセスに関する理解、およびガラス固化体の長期挙動に関するモデルの高度化に向けた研究開発の状況を紹介する。

口頭

R&D program of operational model of long-term performance for vitrified high-level radioactive waste

松原 竜太*; 藤崎 淳*; 石田 圭輔*; 石黒 勝彦*; 稲垣 八穂広*; 大窪 貴洋*; 三ツ井 誠一郎; 岩田 孟; 関根 伸行*

no journal, , 

高レベル放射性廃棄物の性能は、熱-水-応力-化学(THMC)の条件に依存するため、原子力発電環境整備機構(NUMO)は、地層処分の実施主体として、THMC条件を考慮できる性能評価モデルの研究開発を推進してきた。NUMOは、ガラスの溶解に関するFEP(特性,事象,プロセス)分析、関連プロセスの相対的重要度を評価するための数値モデルによる感度解析を通じ、研究開発上の課題を特定するとともに研究開発計画を策定した。現在、原子力機構と2つの大学との共同研究として、3つの研究開発を進めている。溶解挙動の変遷を理解するための長期浸出試験、現実的な地下水組成条件下での性能を評価するための様々な溶液条件における浸出試験、およびガラスと地下水の界面での元素の移動を理解するための分子動力学シミュレーションである。この講演では、現在の状況を紹介する。

口頭

TIARAマイクロビームPIXEによる地衣類の元素分布図と元素存在度の見積もり

岩田 吉弘*; 石井 慶造*; 佐藤 隆博; 神谷 富裕

no journal, , 

PIXE分析における装置の校正や分析値の相互比較のために、イオン交換樹脂中に分析目的元素を正確量含有する標準物質を開発し、TIARAマイクロビームPIXEにおける、アルミニウム,カルシウム,マンガン,鉄,コバルト,ニッケル,銅,亜鉛,ストロンチウム及び鉛の分析感度を求めた。実試料として地衣類を一定の厚さで切り出し、マイクロPIXE分析によりその概形を調べることができた。また、標準物質から求めた分析感度から、元素存在度を示すことができた。

口頭

人工海水での海産プランクトンの培養とTIARAマイクロビームPIXEシステムによる元素分布図

岩田 吉弘*; 高橋 祥子*; 石井 慶造*; 佐藤 隆博; 神谷 富裕

no journal, , 

本研究では、食物連鎖による生物濃縮過程の解明を目的に、PIXE(particle induced X-ray emission)及びマイクロPIXEによる、植物プランクトンとこれを捕食する動物プランクトン内の元素の定量評価法を検討している。今回は、まずこれらの プランクトンを元素濃度が異なる2種類の培養液(熱帯魚用人工海水及び濾過海水)中で培養した場合のプランクトン内の元素存在量についてPIXE分析により定量比較した。その結果、どちらのプランクトンでも培養液の違いによってMgとZnについてのみ存在度が異なり、他の元素については大きな差がないことを確認した。このことは人工海水培養液で生物濃縮の実験ができることを示している。さらに、人工海水培養液で飼育した動物プランクトンについてマイクロPIXE分析を行い、各種微量元素の分布図を取得可能であることと、個体内の微量のFeの定量も可能であることを確認した。以上から、食物連鎖による生物濃縮過程の解明研究に、PIXE及びマイクロPIXEが応用可能であることが示唆された。

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