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加藤 信義*; 津坂 仁和; 名合 牧人*; 山上 順民*; 松原 誠*; 重廣 道子*; 相澤 隆生*; 亀村 勝美*
地質と調査, (139), p.17 - 22, 2014/04
近年、地質調査業務において、地質情報の高度利用の観点から、土木構造物の設計や施工に携わる人への情報伝達ツールとして地盤・地質情報の三次元化が採用されてきている。これを踏まえて、本稿では、北海道電力による純揚水式発電所の地下空洞と原子力機構による幌延深地層研究計画の地下施設の2つの大規模地下施設の設計・施工の事例において、設計の最適化、施工の効率化, 高度化、そして、安全の確保のために利用した三次元地質構造・施工情報可視化システムの概要とともに、それぞれの事例における同システムの有用性を記述した。
山口 大輔; 宮元 展義*; 藤田 貴子*; 中戸 晃之*; 小泉 智; 太田 昇*; 八木 直人*; 橋本 竹治
Physical Review E, 85(1), p.011403_1 - 011403_15, 2012/01
被引用回数:23 パーセンタイル:76.58(Physics, Fluids & Plasmas)電荷を帯びた板状のニオブ酸化物のコロイド水溶液の相転移を中性子小角散乱及びX線小角散乱により詳細に調査した。その結果、(1)コロイド水溶液はコロイド粒子の体積分率を0.01に固定した場合、広いアスペクト比において等方相と液晶相に相分離すること。(2)アスペクト比を大きくすることにより、粒子間隔の秩序性が著しく高くなること。(3)液晶相において著しい濃度ゆらぎが観測されたこと。これは従来の分子からなる液晶では予期できないことだが、今回の対象である板状のコロイド粒子では起こり得ることである。というようなさまざまな新規性を明らかにした。
笹尾 真実子*; 草間 義紀; 河野 康則; 川端 一男*; 間瀬 淳*; 杉江 達夫; 藤田 隆明; 福田 武司*; 福山 淳*; 坂本 宜照; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 83(9), p.779 - 782, 2007/09
2007年春季に開催された国際トカマク物理活動(ITPA)の7つのトピカルグループ(TG)会合の報告である。各会合では、国際熱核融合実験炉(ITER)等の燃焼プラズマ実験における重要度の高い物理課題に関して、議論・検討が行われた。日本からの参加者数は27人であった。以下に、TGごとの開催日程及び開催地を示す。(1)計測TG:3月26日-30日、プリンストン(米国),(2)輸送物理TG:5月7日-10日、ローザンヌ(スイス),(3)閉じ込めデータベースとモデリングTG:5月7日-10日、ローザンヌ(スイス),(4)周辺及びペデスタルの物理TG:5月7日-10日、ガルヒン(ドイツ),(5)定常運転TG:5月9日-11日、大田(韓国),(6)MHD TG:5月21日-24日、サンディエゴ(米国),(7)スクレイプオフ層及びダイバータ物理TG:5月7日-10日、ガルヒン(ドイツ)。
山口 大輔; 宮元 展義; 小泉 智; 中戸 晃之*; 橋本 竹治
Journal of Applied Crystallography, 40(s1), p.s101 - s105, 2007/04
被引用回数:22 パーセンタイル:85.95(Chemistry, Multidisciplinary)中性子,X線を使った超小角散乱,小角散乱法を相補的に活用し1nmから10mの5桁に渡る空間スケールを横断的に観察することで、層状ニオブ酸化物結晶KNbOを水中で剥離して得られるナノシート(厚み1.6nm)が形成する液晶構造、及びその構造階層性を解明した。本研究ではナノシートサイズを数100nmから数mに制御し、シートサイズが液晶の階層構造に及ぼす影響について以下の点を明らかにした。シートサイズより小さな100nm数nmの小角散乱の空間スケールでは、ナノシートが形成するラメラ状積層構造が観察された。ここではシート間距離、また積層構造の秩序性はシートサイズに大きく依存することが明らかとなった。一方、数100nm10mの超小角散乱の空間スケールではナノシートと溶媒である水との間の濃度揺らぎに起因するフラクタル構造の存在を確認した。またこのフラクタル構造はシートサイズに依存しないことが明らかとなった。これらの液晶構造の階層性は、従来の光学顕微鏡などの巨視的観察では得ることのできない知見であり本国際会議で口頭発表する。
川端 一男*; 河野 康則; 草間 義紀; 間瀬 淳*; 笹尾 真実子*; 杉江 達夫; 藤田 隆明; 福田 武司*; 福山 淳*; 坂本 宜照; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 83(2), p.195 - 198, 2007/02
2006年の秋季にITPA(国際トカマク物理活動)に関する7つの会合が開催された。「輸送物理」,「閉じ込めデータベースとモデリング」,「周辺及びペデスタルの物理」,「定常運転」,「MHD」の5会合は、中国の成都にて「第21回IAEA核融合エネルギー会議」に引き続いて行われ、トピカルグループ間の合同会合も多数開かれた。国際装置間比較実験の結果報告のほか、国際熱核融合実験炉(ITER)のデザインレビューに関して、現状の設計への問題提起と解決策の検討を整理するためまとめられているITER Issue Cardについて活発な議論が行われた。日本の参加者は27名に上った。また、「計測」の会合は、東北大学で、「スクレイプオフ層及びダイバータ物理」の会合は、カナダのトロント大学で行われた。
小川 雄一*; 滝塚 知典; 三浦 幸俊; 東井 和夫*; 福田 武司; 若谷 誠宏*; 井手 俊介; 高瀬 雄一*; 飛田 健次; 福山 淳*; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 77(10), p.1042 - 1048, 2001/10
平成13年3月7月にかけて開催された6つのITER物理R&D専門家会合の概要を報告する。閉じ込めのデータベースとモデリングに関する専門家会合では、高密度閉じ込め実験に関する討議と閉じ込め比例則の検証作業を行った。輸送と内部障壁の物理専門家会合では、国際データベース活動の現状をレビューするとともに今後の作業計画を策定した。高エネルギー粒子と加熱及び定常運転専門家会合では、ITERの先進定常運転における重点課題項目の抽出と解決に向けての討議検討を行った。周辺及びペデスタルの物理専門家会合では、磁場構造に注目したペデスタル特性の解析に重点を置くことになった。スクレイプ・オフ層及びダイバータの物理専門家会合では、ダイバータ熱負荷の比例則構築と金属ダイバータの特性について議論した。また、計測専門家会合では、電磁気計測における放射誘起起電力の問題について討議した。
東井 和夫*; 福田 武司; 若谷 誠宏*; 小川 雄一*; 滝塚 知典; 三浦 幸俊; 井手 俊介; 高瀬 雄一*; 飛田 健次; 福山 淳*; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 77(2), p.184 - 191, 2001/02
平成12年秋に開催された7つのITER物理R&D専門家会合、1.「計測」:原研那珂研究所,9月21-22日、2.「輸送及び内部輸送障壁の物理」:ENEA(イタリア,フラスカティ),10月11-13日、3.「閉じ込めデータベースとモデリング」:ENEA(イタリア,フラスカティ),10月11-13日、4.「高エネルギー粒子,加熱及び定常運転」:ENEA(イタリア,フラスカティ),10月11-13日、5.「周辺及びペデスタルの物理」:マックスプランク物理研究所(ドイツ,ガルヒンク),10月11-13日,6.「スクレイプ・オフ層及びダイバータの物理」:マックスプランク物理研究所(ドイツ,ガルヒンク),10月11-13日、7.「MHD,ディスラプション及び制御」:マックスプランク物理研究所(ドイツ,ガルヒンク),10月11-13日、及びそれら会合に引き続いて10月14日に開催されたITER物理委員会会合の概要を報告する。
細金 延幸; 朝倉 伸幸; 杉江 達夫; 芳野 隆治; 福田 武司; 草間 義紀; 飛田 健次; 井手 俊介; 嶋田 道也; 仙石 盛夫; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 75(2), p.156 - 161, 1999/02
平成10年9月から10月にかけて開催された7件のITER物理R&D専門家会議の主な内容を取りまとめた会議報告である。
山口 大輔; 宮元 展義*; 小泉 智; 中戸 晃之*; 八木 直人*; 橋本 竹治
no journal, ,
ニオブ酸化物KNbOは本田-藤嶋効果により、太陽光から水素を製造する光触媒として、燃料電池技術開発の分野においても注目を集めている物質である。このKNbO層状結晶を単位層に剥離させて得られるナノシートコロイドにおいて、小角散乱法(中性子・X線)を用いて構造形成に関する基礎研究を行い、以下の新しい現象を発見したので本国際会議において発表を行う。(1)ナノシートの体積分率()を0.01に固定し、シートの平均粒径(D)とコロイドの構造との関係を調査した。この濃度(=0.01)ではコロイドは常に液晶相と等方相の共存状態を形成したが、共存する液晶相の構造は、D1mではネマチック相が現れ、D1mでラメラ相に転移した。ナノシートのような板状粒子でこの転移が実験的に確認されたことは過去にほとんど例がない。(2)一方、ナノシートの平均粒径を0.65mに固定し、ナノシートの体積分率()とコロイドの構造との関係を調査した。=0.01-0.025の濃度領域において、前述の等方相とラメラ相の共存状態が現れた。このとき等方相とラメラ相は上下2相に完全に相分離したが、ピーク位置から見積られるナノシート粒子間の間隔(d)は等方相とラメラ相でほぼ等しかった。他方dはに対しては明確な依存性を示し、が0.01から0.025まで変化する間にdは約1/2に減少した。これは相分離における「梃子の法則」では説明できない現象と考えられ、非常に興味深い。
山口 大輔; 宮元 展義*; 藤田 貴子*; 中戸 晃之*; 小泉 智; 太田 昇*; 八木 直人*; 橋本 竹治
no journal, ,
光触媒反応を示す機能性物質としてよく知られている層状ニオブ酸化物KNbOの単結晶は極めて大きな異方性を保持したまま、単位層に剥離する。単位層は厚みが約1.8nmであるのに対して、面内方向の広がり(粒径)が数mにも及び、極めて薄いシート状とみなせるためナノシートと呼ばれる。また超音波によってナノシートを破砕するという操作により粒径を100nmから数mの範囲で制御することができる。粒径を約500nmに制御したナノシートを水中に分散させたコロイド溶液では、ある濃度範囲においてラメラ構造を有する液晶相とナノシートがランダムに配向し一定間隔に並ぶ等方相とが共存した。両相のシート間隔を高さ方向に沿って詳細に調べることにより、構造形成に関する重力の影響を考察した。その結果、相の形成に関して重力の影響は支配的でないと結論づけた。
山口 大輔; 宮元 展義; 小泉 智; 中戸 晃之*; 橋本 竹治
no journal, ,
中性子,X線を用いた超小角散乱,小角散乱法を相補的に活用し1nmから10mにわたる空間スケールを横断的に観察することで、層状ニオブ酸化物結晶KNbOを水中で剥離して得られるナノシート(厚み1.6nm)が形成する液晶構造、及びその構造階層性を解明した。小角散乱が示す散乱極大により、ナノシートがラメラ状積層構造を形成していることが確認された。また散乱極大の波数位置からナノシート粒子間に存在している水の量を求めた。その結果、ナノシートは溶媒である水により理想的に(均一に)膨潤されているのではなく、約3割の水はナノシートの膨潤に寄与していないことが明らかとなった。この膨潤に関与していない水はより大きな空間スケールで系を観察したときに見られた濃度揺らぎの起源となっているものと考えられる。事実、超小角散乱領域において観察されたフラクタル構造より評価された濃度揺らぎの起源となっている水の量は約3割であり、小角散乱の観測結果と見事に一致した。この結果により、ナノシートが水中で形成している階層構造に関してほぼ完全な理解が得られたものと思われる。
藤井 健太郎; 藤井 紳一郎*; 加藤 大*; 月本 光俊*; 秋光 信佳*; 成田 あゆみ; 中島 隆文*; 井出 俊太*; Salam, K. A.*; 丹羽 修*; et al.
no journal, ,
The purpose of this study is to reveal non-DNA target effects induced by ionizing radiation. We focused on radiation damage to ATP (adenosinetri-phosphate) molecule, which plays an important role in bio-energy metabolism. It has not been clarified yet whether there is a correlation between molecular alteration of ATP induced by irradiation and biological effect of damaged ATP. We measured the spectral change of X-ray absorption near edge structure (XANES) of ATP thin films before and after irradiation of soft X-rays. We observed an increment of the resonant peak at 399.5 eV by the 560 eV irradiation. The new peak production is expected to be originated from the protonation of the nucleobase (adenine residue) in ATP.
山口 大輔; 宮元 展義; 小泉 智; 中戸 晃之*; 橋本 竹治
no journal, ,
層状ニオブ酸化物結晶KNbOを水中に剥離して分散させた状態(このとき剥離した1枚1枚の結晶をナノシートと呼ぶ)を中性子及びX線小角散乱により幅広い波数(q)空間にわたって観察した。KNbOナノシートはシート1枚の厚み(約1.9nm)に対して、辺の長さ(以下平均粒径と記述する)が数100から数1000倍にも達し、その異方的な形状を反映して液晶性を示すことが知られている。このように極端に大きなアスペクト比(シートの平均粒径と厚みの比)は他の粘土鉱物のナノシート等には見られない特徴であり、本研究では、ナノシートのアスペクト比、及び濃度をパラメータとして水分散溶液の凝集構造を系統的に調べた。その結果、これまで液晶相と考えられていた濃度領域でも、溶媒である水はナノシートを均一には膨潤しておらず、水リッチな領域とナノシートリッチな領域が共存し、それらが不均一な構造を形成していることがわかった。この不均一な構造はフラクタル構造となっており、-2.5のべき指数を示した。ナノシートのアスペクト比は液晶を形成しているナノシートの近距離における秩序度には強い影響を及ぼすが、ナノシート液晶相と水リッチ相によって形成されるフラクタル構造にまではその影響が及んでいないことが明らかとなった。
山口 大輔; 宮元 展義*; 中戸 晃之*; 小泉 智*; 太田 昇*; 八木 直人*; 橋本 竹治; 川勝 年洋
no journal, ,
スメクチック液晶相に関して、真の長距離秩序が存在しないことから、それが示す散乱は(3次元)結晶のBragg散乱とは異なり、ピーク中心からの散乱ベクトル(q)の増加とともに強度が異方的なべき乗則に従って減衰することが調和近似の理論展開によって定式化されている。この実験による検証として、過去に棒状分子(CBOOA or 8OCB)サーモトロピック液晶や、界面活性剤が形成するラメラリオトロピック液晶において観察された異方的な散乱パターンの解析が報告されている。今回、上記の系とは異なり、極めて大きなアスペクト比を有するシート状粒子(1.6nmの厚さ(d)に対し、シート面内の平均粒径(L)が650nm)のコロイド分散系において現れる層状構造の散乱に対し、粒子の積層方向(散乱ベクトルの座標系でqz方向とする)とそれに直角な(qx)方向に分けて解析を行った。その結果、理論が予測する異方的なべき乗則が観測され、解析により、シートの曲げ弾性、およびシートの積層に関する圧縮弾性率を評価し、散乱パターン上の配向の乱れと関連づけて議論したので、発表する。
宮元 展義; 山口 大輔; 中戸 晃之*; 小泉 智; 橋本 竹治
no journal, ,
本研究では超小角及び小角中性子散乱(USANS及びSANS)及び超小角X線散乱(USAXS)によりナノシート液晶の観察を行い、ナノシートの平均サイズL及び濃度の関数として液晶構造が変化する様子を明らかにした。KNbO単結晶をプロピルアンモニウムと反応後、水で繰り返し洗浄することでナノシートゾルを得た。このゾルを10-180分間超音波処理し、適当に希釈することで、L及びの異なる一連の試料を得た。散乱曲線のq0.1nmの領域では、液晶のラメラ構造に起因するピークが確認された。面間隔はLには依存せず約40nmであったが、の減少とともに増加した。一方0.01nmq0.1nmの領域では、ナノシート一枚の形状を反映するため、散乱はLによって大きく異なった。q0.01nmの領域ではLに対する依存性は見られなくなり、qのベキで立ち上がる散乱が観察された。これは、Lに依存しないフラクタル的な液晶ドメイン構造の存在を示している。
山口 大輔; 宮元 展義*; 小泉 智; 中戸 晃之*; 橋本 竹治
no journal, ,
強相関超分子系の階層構造研究の一環として、ニオブ酸化物ナノシート(物質名KNbO)における液晶性の発現機構を詳細に調べた。ナノシートは厚み(結晶の単位層に相当)が一定値(1.8nm)であるのに対し、それと垂直方向の広がり(以下粒子径と記述)を数十mから数百nmの範囲で制御可能である。種々の平均粒子径を有するナノシートコロイド溶液の液晶性を小角中性子散乱法により評価し、平均粒子径が1m以上の場合にはシート粒子の配向に関する秩序(nematic構造)が優先的に発現する一方、平均粒子径が1m以下では粒子の配置に関する秩序(すなわち、規則的なシート間間隔)が優先的に発現することを解明した。この成果は構造が物性(液晶性)をコントロールしている例として非常に興味深い。
山口 大輔; 宮元 展義*; 中戸 晃之*; 小泉 智*; 太田 昇*; 八木 直人*; 橋本 竹治; 川勝 年洋*
no journal, ,
液晶のスメクチック相に関する構造解析は、散乱法によるものに限っても、過去に多くの研究報告がなされている。液晶が真の長距離秩序を持たないという前提から、得られる散乱ピークに関して、その減衰挙動が、長らく議論の的になってきた。特にCaillによって計算された散乱関数の漸近挙動の論文にある、スメクチック相における、ピークの減衰のべき指数の予測の検証が精力的に行われている。既存の実験系では、スメクチック相を構成する分子の位置のゆらぎとともに配向のゆらぎも大きくなり、層の積層方向(qz方向)とその垂直方向(qx方向)に分けてピークの減衰の解析を行うことが困難であったためか、このような解析の報告例はほとんどない。今回、ニオブ酸化物の層状結晶を剥離させて単層ごとに水中に分散させた結果、自己集合して形成した積層構造を放射光X線のマイクロビームを用いて観察すると、極めて配向度の高い散乱パターンを示したため、qz方向とqx方向に分けてピークの減衰の解析を行うことが可能となった。解析の結果は理論の予測と一致する傾向を示した。
山口 大輔; 宮元 展義*; 小泉 智; 橋本 竹治; 中戸 晃之*; 眞山 博幸*; 辻井 薫*
no journal, ,
異なる2つの物質のシート状粒子が形成する階層構造を中性子超小角・小角散乱法を用いて概観することにより、その相違点・類似点を包括的に論じた。得られた以下の結果について、高分子学会において口頭発表を行う。研究対象の第1の系は層状ニオブ酸結晶であるKNbOを単位層(以下、これをナノシートと称する)に剥離し、水中に分散させた、ナノシートコロイドであり、これはナノシートが極めて大きな異方性を有するために液晶相が現れる。第2の系はワックスの一種であり、また超撥水表面を形成することでも知られているアルキルケテンダイマー(AKD)のリン片状結晶をテンプレートに用いて作製したシリカ多孔体である。これら2つの系において現れる階層構造はともに次のような特徴を有する。(1)近接する粒子間には(位置)の相関があり、その相関に起因した散乱極大が現れる。(2)さらに大きな空間スケールにおいては、散乱極大を与えるような構造は現れず、代わってフラクタル的な構造が現れる。
山口 大輔; 宮元 展義*; 小泉 智; 中戸 晃之*; 橋本 竹治
no journal, ,
層状ニオブ酸化物結晶KNbOを単位層に剥離することにより作製したナノシートコロイド懸濁液において、ナノシートの形状とコロイドの構造との相関を求めた。板状粒子からなるコロイドとしては粘土鉱物の一種であるラポナイトなどがよく知られており、これまでに多くの研究例があるが、本研究の対象であるKNbOナノシートは、シート1枚の厚み(約1.9nm)に対して一辺の長さ(これを平均粒径と称する)が数百から数千倍にも達する極めて異方性の大きな板状粒子であり、このように極端に大きなアスペクト比(平均粒径と厚みの比)を有することは粘土鉱物ナノシートには見られない特徴である(ラポナイトのアスペクト比は10:1)。本研究では、ナノシートのアスペクト比、濃度をパラメータとしてコロイドの構造を中性子小角散乱測定により系統的に調べ、アスペクト比がコロイドの構造を決定する重要な因子であることを明らかにした。これはアスペクト比の小さな粒子しか得られない粘土鉱物ナノシートコロイドでは重要視されてこなかった問題であり、本研究とこれまでの粘土鉱物ナノシートコロイド系との研究結果との比較により多くの新たな知見が得られたので学会発表を行う。
山口 大輔; 宮元 展義*; 藤田 貴子*; 中戸 晃之*; 小泉 智; 八木 直人*; 太田 昇*; 橋本 竹治
no journal, ,
板状粒子のコロイドの研究の歴史は古く、さまざまな物質系において研究の蓄積がこれまでになされてきている。例えば粘土鉱物はその代表的な例の一つである。しかしなお完全な理解が得られているとは言い難く、最近でも板状粒子の形状を精密に制御した系で形成される液晶構造に再び注目が集まっている。板状粒子の場合、球状とは異なり粒子自体が異方性を備えているため、配向により多様な液晶を自己組織化することが可能である。本研究では光触媒反応を示す機能性物質としてよく知られている層状ニオブ酸化物KNbOの単結晶が極めて大きな異方性を保持したまま、単位層に剥離しうることを利用して、厚みが1.8nmと非常によく揃っているのに対し、超音波によってナノシートを破砕するという操作により粒径を100nmから数mの広い範囲で制御したナノシート(単位層)を水中に分散させたコロイドの構造を調べた。その結果、平均粒径が(1)980nm以上ではネマチック相が出現するのに対し、平均粒径が(2)650nmにまで下がった粒子から調製した試料においてはラメラ相という異なる構造が発現した。板状粒子のコロイドの系で平均粒径の違いだけで異なる液晶構造が観察されたことは、実験的にはこれまであまり例がなく、非常に興味深い結果である。