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河口 宗道; 平川 康; 杉田 裕亮; 山口 裕
Nuclear Technology, 210(1), p.55 - 71, 2024/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)本研究はもんじゅ模擬燃料集合体における残留ナトリウム膜及び塊の評価手法を開発し、実験的にピンの間のギャップを通ってナトリウムが流れる様子を確認した。ピン表面の残留ナトリウムの量は3種類の試験体((a)単ピン,(b)7本ピン集合体,(c)169本ピン集合体)を使って測定した。実験では、ピンの引き抜き速度やナトリウム濡れ性の改善により、残留ナトリウム量が劇的に増加することを明らかにした。さらに、169本ピンの実験により、短尺であるが模擬燃料集合体の実効的な残留ナトリウム量を測定し、模擬燃料集合体を通って流れるナトリウムの振舞いを確認した。開発した予測手法は、4つのモデル(粘性流れモデル、Landau-Levich-Derjaguin(LLD)モデル、Brethertonモデルに関わる実験式、管内の毛細管力モデル)から構築されており、その計算結果は実験の残留ナトリウム量と同程度な結果を与えた。ただし、ナトリウム濡れ性の不確かさはLLDモデルの予測値の約1.8倍である。この予測手法を使って、もんじゅの模擬燃料集合体に残留するナトリウム量を評価することができる。
鯉江 竜輔*; 河口 宗道*; 宮原 信哉*; 宇埜 正美*; 清野 裕
Proceedings of 29th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 29) (Internet), 4 Pages, 2022/08
ナトリウムプール中の希ガス気泡からのセシウムエアロゾルの除去メカニズムを調査するために、水中模擬実験を実施し、窒素気泡が水プールを上昇する際の模擬エアロゾルの除染係数を測定した。その結果、エアロゾルの粒径及び水プールの深さが増加するにつれて、除染係数が増加することが分かった。
河口 宗道; 宇埜 正美*
Journal of Crystal Growth, 585, p.126590_1 - 126590_7, 2022/05
過冷却ケイ酸塩,SiO,GeO
融液中の11種類の酸化物または混合酸化物の結晶化におけるフェーズフィールド易動度
と結晶成長速度をフェーズフィールドモデル(PFM)を用いて計算し、
の物質依存性を議論した。実験の結晶成長速度と
のPFMシミュレーションから得られた結晶成長速度の比は、両対数プロットで結晶成長における固液界面プロセスの
のべき乗に比例した。また
のパラメータ
と
は
m
J
s
,
であり、材料に固有の値であることが分かった。決定された
を用いたPFMシミュレーションにより、実験の結晶成長速度を定量的に再現することができた。
は
における単位酸素モル質量あたりの陽イオンモル質量の平均の拡散係数と両対数グラフで比例関係にある。
は化合物中の酸素モル質量あたりの陽イオンのモル質量の総和
に依存する。
では、陽イオンのモル質量が大きくなるにつれて
は小さくなる。陽イオンのモル質量は陽イオンの移動の慣性抵抗に比例するため、
は陽イオンのモル質量の逆数で減少する。
の重い陽イオンのケイ酸塩の結晶化では、
は約
で飽和し、
となる。
宮原 信哉*; 河口 宗道; 清野 裕; 厚見 拓大*; 宇埜 正美*
Proceedings of 28th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 28) (Internet), 6 Pages, 2021/08
ナトリウム冷却高速炉の燃料ピン破損の仮想事故において、核分裂生成物であるセシウムは、破損燃料ピンからキセノンやクリプトンなどの希ガスとともに、ヨウ化セシウムや酸化セシウムなどのエアロゾルとして放出される。気泡としてナトリウム冷却材に放出されたキセノンやクリプトンは、プール表面に上昇するまでの間にナトリウムプールによるセシウムエアロゾルの除去に影響を与える。本研究では、ナトリウムプール中を上昇する希ガス気泡からの慣性沈着・沈降・拡散によるセシウムエアロゾル除去挙動を、エアロゾルの粒径分布や凝集の影響を考慮したエアロゾル吸収・気泡の膨張・変形を扱うコンピュータプログラムで解析した。本解析では、気泡内の初期気泡径、ナトリウムプールの深さと温度、エアロゾルの粒子径と密度、気泡内の初期エアロゾル濃度をパラメータとして変更し、これらのパラメータがセシウムエアロゾルの除染係数(DF)に及ぼす感度を、エアロゾルの粒度分布と凝集の影響を考慮しなかった先行研究の結果と比較した。その結果、凝集したエアロゾルの慣性沈着のため、初期気泡径、エアロゾルの粒径、及びその密度の感度がDFに対して重要であることが分かった。これらの解析結果を検証するため、セシウムエアロゾルの模擬粒子を用いて、室温における水プールと空気気泡の体系で模擬実験を行った。この実験結果は同じ条件で計算した解析結果と比較して検討した。
河口 宗道
Journal of Physical Chemistry C, 125(22), p.11813 - 11819, 2021/06
被引用回数:4 パーセンタイル:21.21(Chemistry, Physical)等温及び一定加熱のTG-DTA、並びに、500-700Kの温度範囲で焼成前後の水素化ナトリウム(NaH)のFTIR測定を行った。等温TGからはNaH熱分解速度の温度依存性が約620Kで変曲点を持つことが分かった。これは、2種類の拡散水素と不動水素の状態によって引き起こされていると考えられる。またNaHとナトリウム(Na)のFTIRスペクトルは873.4, 1010.4, 1049.5, 1125.7cmで特定の信号が観察された。焼成前のNaHあるいはNaのFTIR信号の積分値は、550K未満あるいは698K以上で焼成した後のNaHの積分値と同程度だった。602-667Kで焼成したNaHのFTIR信号の積分値は焼成前のNaHとNaの中間値であり、これはNa-Na結合が十分に成長しておらず、水素が金属Na中に共存していることを示している。またNaHの熱分解後の反応速度を予測するために、2種類の拡散・不動水素状態を仮定した反応速度モデルを提案した。シミュレーション結果からは、不動水素から拡散水素への遷移速度が約620Kでクロスオーバーするため、それに応じた熱分解速度の温度依存性として620Kで変曲点が見られることを明らかにした。
河口 宗道; 宇埜 正美*
Journal of the Ceramic Society of Japan, 128(10), p.832 - 838, 2020/10
被引用回数:3 パーセンタイル:13.48(Materials Science, Ceramics)本研究では、移動度係数()を新しく定義することで、溶融酸化物系におけるフェーズフィールド法(PFM)の技術を開発した。一定の移動係数
を用いたPFM計算から得られた結晶成長速度(
)は、normal growthモデルの熱力学的推進力と同程度であった。また
の温度依存性は、実験から得られた結晶成長速度と
から決定し、その決定した
を使って、二酸化アルカリケイ酸ガラスのLi
O-2SiO
, Na
O-2SiO
, K
O-2SiO
の結晶成長速度(
)をシミュレーションした。
の温度依存性は定性的および定量的に非常に良く一致したため、本PFM計算は
の有効性を実証した。特に、PFM計算によって得られた
は、融点(
)で増大し、
-100Kでピークを示した。さらなる温度の下降では、
は明確に0ms
に近づくことが分かった。この振舞いは、界面のジャンプ過程を表現する
によって
が制限されているためである。
のパラメータ
の感度についてもPFM計算を行い、
が
から
まで増加すると、
のピークはより急峻に、ピーク温度は高温側にシフトすることが分かった。アルカリ金属の原子番号が増加するにつれてイオンポテンシャルは減少するので、
のパラメータ
と
は、それぞれ指数関数的に増加、直線的に減少することになったと考えられる。本計算により
の
と
は互いに密接な関係であることが分かった。
河口 宗道
Proceedings of 2020 International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 2020) (Internet), 6 Pages, 2020/08
Na冷却高速炉の廃止措置を行う上で、コールドトラップの解体では作業員が放射線量を被ばくする可能性がある。コールドトラップはナトリウム冷却材の純化のために核分裂生成物のトリチウムがトラップされるため、比較的線量の高い機器である。本研究は、コールドトラップの前処理の加熱分解法を改良する基礎的研究として、水素化ナトリウムの熱分解温度及び速度を測定した。TG-DTA装置(NETSCH Japan製STA2500)によりAlO
ルツボ内の水素化ナトリウム粉末(Sigma-Ardrich社製: 95.3%)を使って、熱分解温度及び速度を測定した。測定における加熱速度は
=2.0, 5.0, 10.0, 20.0K/minとして重量減少を測定し、その重量減少開始の温度やキッシンジャープロットから熱分解温度及び速度を算出した。さらに600K近傍の熱分解温度に設定した熱分解曲線を測定した。加熱に伴う化学組成の変化(NaHからNa)はX線分析により測定した。結果、熱分解温度は約600Kで顕著な重量減少が見られ、1時間以内で水素化ナトリウム中の水素は全量放出した。熱分解速度は温度に強く依存することが分かった。
宮原 信哉*; 河口 宗道; 清野 裕
Proceedings of 2020 International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 2020) (Internet), 6 Pages, 2020/08
ナトリウム冷却高速炉の燃料ピン破損事故では、核分裂生成物であるセシウムがヨウ化物,酸化物の形態として希ガスのキセノンやクリプトンと共に放出される。本研究では、エアロゾル吸着とともに気泡の膨張と変形を計算するプログラムにより、慣性沈着,沈降,拡散によるセシウムエアロゾルの除去挙動を解析した。解析では、初期気泡径、ナトリウムプールの深さと温度、エアロゾル粒子径と密度、気泡内の初期エアロゾル濃度をパラメーターとして解析した。初期の気泡径が慣性沈着による除染係数(DF)に最も感度の高いパラメーターであると結論付けた。ナトリウムプールの深さ、エアロゾルの粒子径および密度もセシウムエアロゾルのDFに重要な影響を与えるが、ナトリウム温度はDFにわずかな影響しか与えないことも分かった。この解析結果を検証するために、ナトリウムプールを上昇する希ガス気泡からのセシウムエアロゾル吸着挙動を調べる実験を計画している。
河口 宗道; 斉藤 淳一; 大道 博行*; 末元 徹*
UVSOR-47, P. 85, 2020/08
本研究は、真空紫外光が金属ナトリウムを透過する現象を理論的に解明するために、UVSORを利用して正確なスペクトルを取得するのが目的である。CaF窓の透過率を測定することでUVSORによる光学特性の測定結果の妥当性を確認した。しかしながら真空紫外光によるナトリウムの透過現象は確認できていないので今後ナトリウム試料を改良して測定を行う。
河口 宗道; 宮原 信哉*; 宇埜 正美*
Journal of Nuclear Engineering and Radiation Science, 6(2), p.021305_1 - 021305_9, 2020/04
ナトリウム-コンクリート反応(SCR)は可燃性ガスである水素とエアロゾルを発生するために、ナトリウム冷却高速炉の過酷事故において重要な現象の一つである。本研究では、反応領域への熱負荷等の影響を調査するために、内部加熱器を使用したSCR実験を実施した。さらに内部加熱器がSCRの自己終息に及ぼす影響を議論した。内部加熱器の存在はコンクリートへのナトリウムの移行を妨げるため、内部加熱器の周囲からナトリウムとコンクリートは反応し始めた。その結果、コンクリート侵食量は内部加熱器周囲の方がその直下よりも大きくなった。また、ナトリウムプール温度の上昇(約800C)はナトリウムエアロゾルの放出速度を大きく増加させるとともに、ポーラス状の生成物層を形成させた。ナトリウムエアロゾルの放出速度はナトリウムの蒸発と水素のバブリングによって説明された。さらに、ポーラス状の生成物層の空隙率はケイ素の質量収支やEPMAマッピングの画像分析から0.54-0.59であり、これらはお互いに良く一致した。この生成物層が反応領域へのナトリウムの移行量を減少させ、内部加熱器の位置によらず反応領域のナトリウム濃度は約30wt.%となり、SCRの終息に至った。内部加熱器の存在する場合でも、SCRの自己終息時に対して反応領域のナトリウム濃度は支配的なパラメータであることが分かった。
河口 宗道; 斉藤 淳一; 大道 博行*; 末元 徹*
UVSOR-46, P. 89, 2019/08
本研究は、真空紫外光が金属ナトリウムを透過する現象を理論的に解明するために、UVSORを利用して正確なスペクトルを取得するのが目的である。特別な容器を設計製作することにより、ナトリウム試料は測定時においても金属光沢を維持していることを確認した。UVSORの測定の結果から、MgF窓に真空紫外光を透過しにくい層が出来てしまった可能性が示されたので、今後解決して再測定を行う計画である。
河口 宗道; 宮原 信哉; 宇埜 正美*
Journal of Nuclear Science and Technology, 56(6), p.513 - 520, 2019/06
被引用回数:2 パーセンタイル:18.62(Nuclear Science & Technology)本研究はナトリウム-コンクリート反応(SCR)によって発生する生成物について、融点及び熱伝導率を明らかにしたものである。試料は次の2種類の方法で作製した。1つ目は加熱炉内でナトリウムとコンクリート粉末の混合物を加熱したものである。2つ目はSCR実験を行い、その堆積物をサンプリングしたものである。前者は、過去の実験からナトリウムとコンクリートの混合割合を決定しており、後者は温度履歴やナトリウムとコンクリートの分布等、より現実的な条件を模擬している。熱重量・示唆熱(TG-DTA)測定から、試料の融点は865-942Cであることが示されたが、金属ナトリウムを含む試料の融点は明確には分からなかった。そこで、より現実的な2つの試料については加熱炉内におけるその圧縮成型体の観察を行った。その観察により軟化温度は800-840
C、融点は840-850
Cであることが分かった。融点はTG-DTAの結果から10-20
C低い温度となった。FactSage 7.2による熱力学計算から、融解が始まる温度はNa
SiO
やNa
SiO
等の構成物質の融解により起きることが分かった。反応生成物の熱伝導率は
=1-3W/m-Kとなった。これは、xNa
O-1-xSiO
(x=0.5, 0.33, 0.25)の熱伝導率と同程度であった。700
Cにおけるこの熱伝導率は非架橋酸素数(NBO/T)の式によって説明されることが分かった。
河口 宗道; 宮原 信哉; 宇埜 正美*
Journal of Nuclear Science and Technology, 55(8), p.874 - 884, 2018/08
被引用回数:4 パーセンタイル:34.56(Nuclear Science & Technology)ナトリウム冷却高速炉のシビアアクシデント研究の一環として、ナトリウム-コンクリート反応(SCR)の停止機構を解明するための実験を行った。実験では、細長いコンクリート試験体を使用し、途中で周囲の断熱材を取り外して、強制冷却できるようにした。反応時間を変えた実験を複数回実施することにより、ナトリウム(Na)や反応生成物の分布の時間変化に係るデータを取得した。その結果、初期段階では反応界面において十分に存在していたNaが時間の経過とともに減少し、反応停止後は、Na濃度が18-24wt.%、Si濃度が22-18wt.%となった。また、熱力学計算より、反応界面での安定物質は90wt.%以上がNaSiO
等の固体物質であり、Naは含まれないことがわかった。さらに、定常状態の沈降拡散方程式を用いてこれらの解釈を試みた。SCR初期では、水素発生速度が高いために微粒化した反応生成物はプール中を浮遊するが、コンクリート侵食の進展ならびに反応生成物の増加につれて、水素発生速度に依存しつつも反応生成物の沈降・堆積が顕著になると説明できる。以上により、反応界面での反応生成物の堆積に起因するNaの欠乏により、SCRが次第に停止するとの結論に至った。
河口 宗道; 宮原 信哉; 宇埜 正美*
Proceedings of 26th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-26) (Internet), 8 Pages, 2018/07
ナトリウム-コンクリート反応(SCR)は、格納容器内に大量の水素やエアロゾルを発生させるために、ナトリウム冷却高速炉の過酷事故時において重要な現象の一つである。本研究では、800Cに加熱した内部加熱器を入れたSCR実験を行い、内部加熱器下部の化学反応特性について研究した。さらに、SCRの自己終息機構についても内部加熱器の影響を考察した。本研究では、内部加熱器がナトリウム、コンクリート中の湿分、反応生成物の移動を妨げてしまうために、ナトリウムは内部加熱器の周囲から表面コンクリートに浸透し、反応することになった。SCRが進んでいくと、内部加熱器の下部には反応生成物が徐々に堆積し、それがナトリウムの拡散を妨げることになった。したがって、内部加熱器の周囲のコンクリートよりも内部加熱器下部のコンクリートの方がナトリウム濃度は相対的に小さく、コンクリート侵食量も内部加熱器の周囲よりも内部加熱器下部の方が小さくなった。しかしながら、反応の界面におけるナトリウム濃度は、内部加熱器との位置に係らず約30wt.%となった。これは、過去の研究で得られた実験結果と同程度であり、Na
SiO
程度の濃度である。内部加熱器が存在するSCRの自己終息機構においても、ナトリウム濃度は非常に重要なパラメータであることが分かった。
河口 宗道; 宮原 信哉; 宇埜 正美*
熱測定, 45(1), p.2 - 8, 2018/01
液体金属ナトリウム(Na)は、高い熱伝導等の特性のため高速炉の冷却材として使われてきた。しかしながら、Na漏えい事故時に鋼製ライナーが破損した場合は、Na-コンクリート反応(SCR)が発生する可能性がある。SCRは、Naとコンクリート成分の化学反応に依存して、コンクリート侵食、水素発生するために、Na漏えい事故時に重要な現象の一つである。本研究では、Naとコンクリート粉末を用いて、SCRに関する基礎的な実験を行った。ここでコンクリート粉末は、日本の原子力発電所の構造コンクリートとして一般的に使われるシリカ系コンクリートを粉末化して使用した。反応過程においては、約100C, 300
C, 500
CでNaの融解、NaOH-SiO
の反応、Na-H
O-SiO
の反応等の温度変化が観察された。特に、500
C近傍での激しい反応においては、Na-コンクリート粉末の混合割合
で
Cの温度ピークが観察され、反応熱は
kW/gと推定された。反応生成物の主成分は、X線分析からNa
SiO
、融点, 密度, 比熱, 熱伝導率, 粘度等の熱物性値は
Na
O-
SiO
(
)と同程度であることを確認した。
河口 宗道; 土井 大輔; 清野 裕; 宮原 信哉
Journal of Nuclear Science and Technology, 53(12), p.2098 - 2107, 2016/12
被引用回数:6 パーセンタイル:46.39(Nuclear Science & Technology)ナトリウム冷却高速炉の過酷事故において、ナトリウム-コンクリート反応(SCR)は構造コンクリートを侵食及び水素ガスを発生するため重要な現象の一つである。本研究では、反応の終息機構を調べるために長時間のSCR試験を実施した。本試験の結果、コンクリート上に十分な量のNaが残存していてもSCRは終息することが示され、温度、水素発生といったSCR終息挙動のデータを採取した。反応生成物は、液体ナトリウム中に微粒化した固体がスラリー状態となり、発生した水素によって移行した。そのため水素の発生速度が速い場合は、活発にNaが移行しコンクリート表面を侵食しているが、一旦水素の発生速度が減少すると質量移行係数は減少し、反応生成物は徐々に沈降した。そのため反応面でのNa濃度は減少し、結果として自然にSCRは停止したものと考えられる。
清野 裕; 河口 宗道; 泉 啓太郎*
Proceedings of 23rd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-23) (DVD-ROM), 5 Pages, 2015/05
格納容器内事象解析コードCONTAIN-LMRの開発の一環として、デブリ-コンクリート相互作用(MCCI)を計算するCORCON及びVANESAモデルについて、ナトリウム(Na)プールの存在の影響に着目した改良を実施した。本研究では、(1)Naプール中の化学反応、(2)Naプール中のエアロゾル除去、(3)コンクリートの熱伝導等の高速炉特有のモデルについて開発・改良した。また、実験結果による確認・検証解析もあわせて実施した。その結果、改良した両モデルはMCCI挙動を良好に再現できることが分かった。高速炉炉外事象進展評価に適用するため、今後もCONTAIN-LMRのさらなる改良及び検証を継続していく。
河口 宗道; 土井 大輔; 清野 裕; 宮原 信哉
Proceedings of 23rd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-23) (DVD-ROM), 6 Pages, 2015/05
CONTAIN-LMRコードは、高速炉の過酷事故事象の予測のための統合的な解析ツールである。ナトリウム-コンクリート反応は重要な事故事象の一つであり、オリジナルのCONTAINコードにナトリウム-石灰岩コンクリート反応モデル(SLAM)を導入した。SLAMは機構論的にナトリウムとコンクリート構成成分との化学反応を取り扱う。ただし、コンクリートは石灰岩系コンクリートに限定している。日本で一般的に使用される構造コンクリートはシリカ系コンクリートであり、SLAMをシリカ系コンクリートに適用するため、化学反応モデルを改良した。過去、日本原子力研究開発機構で実施された一連のナトリウム-コンクリート反応試験を解析することで、改良したSLAMの妥当性を確認し、計算結果と実験結果が比較的よく一致する結果が得られた。
河口 宗道; 浜田 広次
Journal of Nuclear Science and Technology, 51(2), p.201 - 207, 2014/02
被引用回数:4 パーセンタイル:29.25(Nuclear Science & Technology)ナトリウム中目視検査の実用化のためにナトリウム濡れ性の振る舞いについて研究した。ナトリウム濡れ性のシミュレーションのために、液体ナトリウムによる金属メッキに対する非反応性濡れ及び反応性濡れのモデル化を行った。非反応性濡れのシミュレーション結果はタナー則とよく一致した。また、反応性濡れのシミュレーションについては、非反応性濡れのモデルに界面反応により誘起される流速をモデル化した。反応性濡れのシミュレーション結果は、先行薄膜や液滴中央部の振る舞いについて250Cの薄い金メッキを使ったナトリウム濡れ性の実験とよく一致しており、反応性濡れのシミュレーションでは、反応エネルギーの勾配は3重点近傍の新しい界面で現れ、流速が誘起されることが重要であることがわかった。
河口 宗道; 田川 明広; 宮原 信哉
Journal of Nuclear Science and Technology, 48(4), p.499 - 503, 2011/04
ナトリウム中目視検査装置の超音波センサの濡れ性のためにナトリウム濡れ性試験を実施し、250Cでのさまざまな金属メッキ元素と液体ナトリウムの反応性濡れの調査を実施した。SUS304試験片は4種類の金属(ニッケル,パラジウム,金,インジウム)で電気メッキし、金属をメッキした試験片上のナトリウム液滴の拡がり速度を測定した。拡がり速度は、メッキの溶解度が大きくなるにつれ上昇した。それぞれのメッキした試験片の拡がり速度に関する定数
は、メッキ元素に対して一定であり、メッキ元素の溶解度の対数に比例した。これらから、われわれは溶解度に基づいてメッキ元素を選ぶことが可能であると考えた。