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小川 裕輔*; 鈴木 覚*; 谷口 直樹; 川崎 学*; 鈴木 宏幸*; 高橋 里栄子*
Materials and Corrosion, 72(1-2), p.52 - 66, 2021/01
被引用回数:2 パーセンタイル:10.10(Materials Science, Multidisciplinary)鋳鋼は、炭素鋼オーバーパックのレファレンス材料とされている鍛鋼の代替材料のひとつである。本研究では実規模の鋳鋼オーバーパックを試作するとともに、鋳造欠陥の検査を行った。また、このオーバーパックから切り出した試験片を用いて腐食速度と応力腐食割れ感受性に関する腐食試験を行い、鍛鋼との比較を行った。ふたつの腐食試験より、鋳鋼の耐食性は鍛鋼と同等であることがわかった。
鈴木 裕士; 楠 浩一*; 佐竹 高祐*; 兼松 学*; 小山 拓*; 丹羽 章暢*; 椛山 健二*; 向井 智久*; 川崎 卓郎; Harjo, S.
非破壊検査, 67(4), p.180 - 186, 2018/04
本研究では、中性子回折法により二次元的に配筋した主筋およびせん断補強筋の応力分布を測定することにより、曲げモーメントを負荷した鉄筋コンクリート梁試験体の付着挙動を評価した。その結果、周囲のコンクリートによる主筋横方向の変形拘束が無視できるほどに小さいという前提に基づき、試験体を回転することなく、曲げ付着挙動の評価の鍵となる主筋の付着応力度分布の変化、およびせん断補強筋の軸応力変化の定量評価に成功した。ひずみゲージ法により測定されたコンクリートの巨視的な変形挙動との比較により、載荷に伴う曲げひび割れの発生と、それに続くせん断ひび割れの発生が、その周辺における付着劣化の原因となり、それに伴い主筋軸応力分布が変化することを確認した。本研究により、中性子応力測定技術は、鉄筋コンクリート梁の曲げ付着挙動の評価にも有効な手段であることを確認した。
鈴木 裕士; 楠 浩一*; 兼松 学*; 田才 晃*; 畠中 雄一*; 土屋 直子*; Bae, S.*; 白石 聖*; 櫻井 園子*; 川崎 卓郎; et al.
JPS Conference Proceedings (Internet), 8, p.031006_1 - 031006_6, 2015/09
鉄筋とコンクリート間の付着抵抗は、コンクリート構造物の一体性を確保する上で重要なパラメータであり、コンクリートに埋設された鉄筋のひずみ分布を測定することにより評価される。本研究では、飛行時間中性子回折法を用いて、コンクリート内部の鉄筋に発生する応力・ひずみ分布測定を試みた。その結果、コンクリートのひび割れ発生や鉄筋腐食に伴う付着劣化の様子を捉えることにも成功するなど、コンクリートに埋設された鉄筋の応力測定技術として、中性子回折法が有効な手段になり得ることを示した。
谷口 直樹; 鈴木 宏幸; 川崎 学; 内藤 守正; 小林 正人*; 高橋 里栄子*; 朝野 英一*
Corrosion Engineering, Science and Technology, 46(2), p.117 - 123, 2011/04
被引用回数:10 パーセンタイル:48.59(Materials Science, Multidisciplinary)炭素鋼は高レベル放射性廃棄物地層処分におけるオーバーパック候補材料の一つに選定されている。炭素鋼の腐食は全面腐食と局部腐食の二つに分類される。本研究では酸化性雰囲気における炭素鋼の浸漬試験によって全面腐食と局部腐食の進展挙動を調べた。浸漬試験結果,腐食進展速度は環境条件と鋼種に大きく依存した。しかし、孔食係数(最大腐食深さと平均腐食深さの比)の上限はおよそ平均腐食深さのみから決定されることがわかった。実験データと文献データに基づき、Gumbel分布を用いた極値統計解析を適用することによって平均腐食深さからオーバーパックの最大腐食深さを推定する経験的モデルを提示した。
谷口 直樹; 川崎 学; 内藤 守正
材料と環境, 59(11), p.418 - 429, 2010/11
低酸素の濃度下、圧縮ベントナイト中において10年間に渡る炭素鋼の浸漬試験を行った。XRD, XPSにより、ほとんどの条件で腐食生成物として2価鉄の炭酸塩化合物が確認された。炭酸塩濃度の高い溶液中では10年間の試験期間を通して他の条件よりも腐食量は小さくなった。また、50Cの条件では初期の腐食速度は80Cよりも小さいが、数年後にはむしろ大きくなった。これら炭酸塩濃度と温度による長期的な腐食速度への影響は鉄炭酸塩の沈殿・溶解挙動が関連していると推察された。また、初期腐食量と皮膜の保護性の関係を調べると、高炭酸塩溶液を除き初期腐食量の大きいほど皮膜の保護性も高くなる傾向が認められた。実験結果の外挿により炭素鋼の長期的な腐食量を推定すると、推定値の範囲と考古学的鉄製品の腐食量の範囲はおおむね一致した。
谷口 直樹; 川崎 学; 内藤 守正
JAEA-Research 2009-067, 29 Pages, 2010/03
応力腐食割れは一般に割れを伴わない腐食に比較して進展速度が大きく、腐食しろによって貫通を防ぐことは困難である。したがって、オーバーパック材料として銅を適用する場合には応力腐食割れの生起可能性や生起条件を明らかにする必要がある。銅及び銅合金はアンモニアを含む環境において、条件によっては応力腐食割れに対して感受性を示すことが知られている。本研究では、アンモニア溶液中及びアンモニウムイオンを含む地下水を用い、酸化性条件において無酸素銅の低歪速度試験(SSRT)を実施し、応力腐食割れ感受性を検討した。その結果、0.05M及び0.1MのNHOH水溶液中では大気平衡における自然電位条件で割れの発生は認められなかった。アンモニウムイオンを含む幌延の地下水条件では-144mV vs. SCEにおいて脆性的な破面と亀裂が観察された。亀裂の形態は粒界割れのほか、浅い粒内割れ、粒界割れから枝分かれした粒内割れが観察された。これらの条件では表面及び亀裂内部において強く密着した腐食生成物が観察されており、変色皮膜破壊機構による応力腐食割れが示唆された。幌延地下水が飽和した緩衝材中では、最大応力、破断伸びなど機械的特性はシリコンオイル中と同程度であり、試験片表面にも応力腐食割れに起因する明瞭な割れは認められなかった。
川崎 学; 谷口 直樹; 内藤 守正
Corrosion Engineering, 58(11), p.465 - 482, 2009/11
銅オーバーパックの酸化性雰囲気における腐食挙動に及ぼす環境因子の影響を明らかにすることを目的として、炭酸塩水溶液を用いて動電位法及び定電位法によるアノード分極試験を80Cにて行った。その結果、高炭酸塩濃度,低塩化物イオン濃度,高pH条件ほど不動態化が促進され、皮膜破壊は抑制された。また、硫酸イオンは皮膜破壊を促進する傾向があった。ケイ砂混合ベントナイト中では水溶液中に比べて溶液組成の違いによるアノード分極曲線への影響は小さいことがわかった。また、より温度の低い条件で得られた既往のデータと比較すると、温度が高いほど不動態しやすくなる傾向は認められるものの、皮膜破壊電位Ebへの温度による影響は認められなかった。皮膜破壊電位Ebを皮膜破壊型のイオンと皮膜破壊抑制型のイオンの濃度比、[Cl]/[HCO], [SO]/[HCO]に対して整理すると、この濃度比が高いほどEbは卑化した。また、濃度比がある値以上では活性溶解の領域となり、不動態領域におけるEbの下限値は約-200mV vs. SCEと求められた。定電位試験の結果、Eb以上の電位や、アノード分極曲線における第2のピーク電流が現れる電位以上の条件で孔食又は不均一な腐食が観察された。
川崎 学; 谷口 直樹; 内藤 守正
材料と環境, 58(11), p.386 - 394, 2009/11
銅オーバーパックの酸化性雰囲気における腐食挙動に及ぼす環境因子の影響を明らかにすることを目的として、炭酸塩水溶液を用いて動電位法及び定電位法によるアノード分極試験を80Cにて行った。その結果、高炭酸塩濃度,低塩化物イオン濃度,高pH条件ほど不動態化が促進され、皮膜破壊は抑制された。また、硫酸イオンは皮膜破壊を促進する傾向があった。ケイ砂混合ベントナイト中では水溶液中に比べて溶液組成の違いによるアノード分極曲線への影響は小さいことがわかった。また、より温度の低い条件で得られた既往のデータと比較すると、温度が高いほど不動態しやすくなる傾向は認められるものの、皮膜破壊電位Ebへの温度による影響は認められなかった。皮膜破壊電位Ebを皮膜攻撃型のイオンと皮膜破壊抑制型のイオンの濃度比、[Cl]/[HCO], [SO]/[HCO]に対して整理すると、この濃度比が高いほどEbは卑化した。また、濃度比がある値以上では活性溶解の領域となり、不動態領域におけるEbの下限値は約-200mV vs. SCEと求められた。定電位試験の結果、Eb以上の電位や、アノード分極曲線における第2のピーク電流が現れる電位以上の条件で孔食又は不均一な腐食が観察された。
谷口 直樹; 川崎 学; 内藤 守正
JAEA-Research 2008-118, 33 Pages, 2009/03
一般に、純銅は酸素を含まない天然水環境で熱力学的に安定であり、水の還元による腐食は生じない。しかし、硫化物を含む環境では熱力学的な安定性を失って硫化銅として腐食し、条件によっては応力腐食割れ(SCC)に対して感受性を示す。本研究では、硫化ナトリウムを含む人工海水中において純銅の低歪速度試験を実施し、応力腐食割れ感受性に及ぼす電位,材質の影響を検討した。その結果は以下のようにまとめられる。(1)低酸素濃度下での自然電位, Ecorrより+100mV及び+300mV貴な電位では、自然電位の場合よりもSCC感受性は低下した。しかし、Ecorrより700mV貴な電位では、Ecorr+100mV, Ecorr+300mVの場合よりもSCC感受性は大きくなった。(2)リン脱酸銅と無酸素銅を比べると、無酸素銅のほうが亀裂は発生しやすい傾向が認められたが、引張強さ,全伸びなど機械的特性に違いはなかった。(3)緩衝材共存下でのSSRTを行うため、試験片に装着する試験カラムを作成した。これを用いたリン脱酸銅に対する試験の結果、NaS濃度0.001M, -420mV vs. SCE(窒素雰囲気での自然電位に相当)において応力腐食割れの発生は認められなかった。
谷口 直樹; 川崎 学; 内藤 守正
JAEA-Research 2008-108, 58 Pages, 2009/02
緩衝材を模擬した圧縮ベントナイト中における炭素鋼の10年間の浸漬試験を行い、腐食生成物の観察,分析を実施するとともに、熱力学的な観点から腐食生成物の安定性,溶解・沈澱挙動を検討した。その結果は以下のようにまとめられる。(1)温度80Cの条件では試験片表面に黒色黒灰色の腐食生成物皮膜が形成されており、試験片に強く密着していた。しかし、より温度の低い50Cの条件では試験片に密着した皮膜は形成されていなかった。(2)海水系の試験溶液条件では、結晶性の腐食生成物として、おもにシデライト(FeCO), Fe(OH)COなど2価鉄の炭酸塩化合物が同定された。しかし、希薄な水溶液条件ではマグネタイト(FeO)が同定され、炭酸塩化合物は認められなかった。これらの腐食生成物は、試験条件を想定して熱力学的に推定される腐食生成物と整合した。(3)腐食生成物皮膜中にはCa, S, Si, Alの存在が確認され、その分布状態は試験条件によって異なっていた。(4)圧縮ベントナイト中における炭素鋼の腐食速度は皮膜の溶解・沈澱挙動に関連している可能性が示唆された。(5)既往の腐食モデルを参考に、圧縮ベントナイト中における皮膜形成下での炭素鋼の腐食進展モデルの概念を提示した。
谷口 直樹; 川崎 学*
Journal of Nuclear Materials, 379(1-3), p.154 - 161, 2008/09
被引用回数:44 パーセンタイル:92.08(Materials Science, Multidisciplinary)硫化ナトリウムを含む人工海水中において、浸漬試験と低歪速度(SSRT)試験より腐食速度と応力腐食割れ(SCC)挙動を調べた。730日までの浸漬試験の結果、純銅の腐食速度は硫化物濃度に強く依存し、0.001M-NaSでは0.6m/y以下、0.005M-NaSでは2-4m/y、0.1M-NaSでは10-15m/yの値が見積もられた。SSRT試験の結果、明瞭なSCCは硫化物濃度が0.005Mを超える比較的高い濃度条件で認められた。これらの試験結果から、銅は硫化物濃度が0.001Mの低い環境では腐食速度が低く応力腐食割れを起こさないため優れた耐食性を示す可能性がある。硫化物のベントナイト中における拡散を仮定してオーバーパック表面へのフラックスから長期的な銅オーバーパックの腐食量の推定を行い、硫化物濃度と腐食寿命の関係を評価した。
川崎 学*; 谷口 直樹; 内藤 守正
JAEA-Research 2008-012, 55 Pages, 2008/03
銅は代替オーバーパック材料の一つとして挙げられている。処分後初期の酸化性雰囲気における銅の腐食挙動に及ぼす環境因子の影響を把握することを目的として、炭酸塩水溶液を用いて地下水中の代表的な化学種濃度をパラメータとしたアノード分極試験を行った。動電位法及び定電位法によるアノード分極試験の結果、純銅のアノード分極挙動は以下のようにまとめられる。(1)炭酸イオン及び炭酸水素イオンは純銅の不動態化を促進し、皮膜破壊を抑制した。(2)塩化物イオンは純銅の活性溶解を促進し、皮膜破壊を促進した。(3)硫酸イオンとpHの影響は明確ではなかったが、硫酸イオンは塩化物イオンに類似した作用を有することがわかった。pHは値が高いほど不動態化をもたらし、皮膜破壊を抑制する傾向が示唆された。(4)皮膜破壊電位Ebは[Cl]/[HCO], [SO]/[HCO]など皮膜破壊型の化学種と皮膜破壊抑制型の化学種の濃度比で整理され、これが高いほどEbは卑化した。しかし、この濃度比がある値以上では活性溶解型の領域となり、皮膜破壊は起こりえない。不動態型の領域におけるEbの下限値は約-200mV vs. SCEと求められた。(5)定電位試験の結果、皮膜破壊電位付近における腐食形態は多くの場合に全面が均一な溶解であったが、条件によっては孔食や不均一な腐食を生じた。
谷口 直樹; 川崎 学*; 内藤 守正
JAEA-Research 2008-011, 34 Pages, 2008/03
オーバーパックの置かれる地下深部は酸素濃度の低い還元性雰囲気と考えられる。炭素鋼オーバーパックの腐食寿命を評価するうえでそのような還元性環境での炭素鋼の腐食挙動を把握することが必要である。本研究では酸素ガス濃度が1ppm以下に制御された窒素雰囲気下において10年間に渡る緩衝材中での炭素鋼の浸漬試験を実施した。模擬地下水として人工海水及び炭酸水素イオンと塩化物イオンを含む水溶液を用いた。炭素鋼の腐食量を試験片の重量減少量より算出し、その経時変化を調べた。実験結果は以下のようにまとめられる。(1)ベントナイト純度,気相部の雰囲気による腐食進展挙動への影響は小さいことがわかった。(2)腐食速度はいずれの条件でも時間とともに低下する傾向があり、浸漬初期の腐食速度が大きいほど長期的な腐食がより抑制される傾向があった。(3)炭酸塩濃度の高い条件(0.1M)では他の条件よりも試験期間を通じて腐食量は小さくなった。(4)10年間の腐食量の経時変化はべき乗則、により近似された。人工海水系における係数とを緩衝材密度(g/cm)とけい砂混合率(01)及び温度(K)の関数として表す経験式を求めた。(5)浸漬期間110年間の腐食量変化の傾きより腐食速度を算出した結果、0.0551.4m/yの値が得られた。(6)従来のオーバーパック寿命評価において用いられた腐食速度の値(10m/y)は10年間の室内試験データ,ナチュラルアナログデータと比較して十分に安全側であることが確認された。
谷口 直樹; 川崎 学*; 内藤 守正
JAEA-Research 2007-022, 64 Pages, 2007/03
銅は一般的に、低酸素濃度条件では熱力学的に安定であり、水の還元反応をカソード反応とした腐食を起こさない。しかし、硫化物が存在する環境ではこの性質が失われて腐食することが知られており、銅をオーバーパックとして使用する場合には硫化物による腐食挙動への影響を把握する必要がある。本研究では、硫化ナトリウムを含む人工海水中において純銅の浸漬試験及び応力腐食割れ試験を実施するとともに、銅オーバーパックの超寿命化の可能性を検討した。その結果は以下のようにまとめられる。(1)低酸素濃度条件において緩衝材中における浸漬期間2年間までの浸漬試験を行った結果、硫化ナトリウム濃度の高い条件ほど腐食速度は大きくなった。硫化ナトリウム濃度0.001Mでは0.55m/y、0.005Mで2.2m/y、0.1Mでは15m/yと推定された。(2)銅試験片表面には黒色黒灰色の皮膜が形成されており、X線回折によりCuS(Chalcocite)が同定された。(3)低歪速度試験による応力腐食割れ試験の結果、硫化ナトリウム濃度が0.001Mではほとんど割れ感受性を示さなかったが、0.005M以上の濃度条件では明瞭な亀裂が観察された。(4)浸漬試験及び応力腐食割れ試験結果から、処分環境において硫化物濃度が0.001M以下であれば腐食速度は非常に小さく、かつ応力腐食割れを起こさないため1000年を大きく超える寿命を期待できる可能性がある。
川崎 学*; 谷口 直樹; 川上 進
JNC TN8400 2004-028, 37 Pages, 2005/03
軟岩系岩盤の地層処分では、空洞の力学安定性を確保するために支保工としてセメント系材料の使用が考えられており、支保工と接触した地下水は想定していた地下水のpH範囲よりも高いpHとなることが想定される。そこでオーバーパックの候補材料の一つである銅にセメント系材料が与える影響を調査することを目的として、普通ポルトランドセメント(OPC)および低アルカリ性セメント(HFSC)と接触させた人工海水を用いて、アノード分極測定と還元環境下における浸漬試験実施した。溶液系でのアノード分極試験では、人工海水と人工海水+HFSCの分極曲線は活性溶解型を示し、人工海水+OPCの分極曲線は活性溶解/不動態遷移型の分極曲線となった。ベントナイト中での分極曲線は、各溶液条件とも活性溶解型を示した。これらの結果はすでに報告されている結果と同じであった。浸漬試験では各条件とも腐食速度は試験期間とともに小さくなった。平均腐食深さは0.1mのオーダーとなり、90日と1年で腐食深さにあまり大きな進展は確認されなかった。人工海水単独系とセメント材料を接触した溶液の結果に差が見られないことから、人工海水系ではセメント材料の純銅に与える影響は小さいことが確認された。
川崎 学*; 谷口 直樹; 川上 進
JNC TN8400 2004-027, 94 Pages, 2005/03
オーバーパック候補材料である銅の還元環境における硫化物の影響を把握することを目的とし、人工海水(SSW)中およびベントナイト中での硫化物濃度をパラメータとした浸漬試験を80Cの低酸素濃度雰囲気制御下で実施した。その結果、溶液単独系およびベントナイト共存系とも硫化物の添加量が多いほど腐食速度が大きな値を示した。また、腐食速度は経時的に低下する傾向があった。試験条件を想定してHS-のベントナイト中の拡散を考慮した計算を実施し、今回の得られた試験結果と比較したところ計算値から求めた腐食深さに比べ試験結果の腐食深さは各条件とも小さな値を示した。また、実際の緩衝材厚さを想定してベントナイト中の拡散に基づいて長期的な腐食量の推定を行った。その結果、1000年間での腐食量は硫化物濃度が0.001Mで0.06mm、硫化物濃度が0.005Mでは0.32mm、硫化物濃度が0.1Mでは6.33mmとなった。表面腐食生成物の観察・分析結果より、溶液単独系ではいづれも皮膜が形成されており比較的密着性がよく、保護性を有すると推定される。一方、ベントナイト中の低濃度条件では薄い皮膜であり、高濃度条件では密着性のほとんどない皮膜が観察され、いずれも保護性に乏しいと考えられる。X線回折による腐食生成物の同定では、人工海水単独系では各試験期間でCuO(cuprite)が検出された。硫化物を添加した条件ではCu2S(chalcocite)が検出された。
谷口 直樹; 川崎 学*; 川上 進; 久保田 満*
JNC TN8400 2003-040, 142 Pages, 2004/03
高レベル放射性廃棄物の処分環境は初期には比較的酸化性雰囲気であるが、オーバーパックの腐食や緩衝材中の鉄鉱物と酸素の反応などによって、やがて地下深部本来の還元性雰囲気に戻ると考えられる。炭素鋼オーバーパックの腐食寿命を評価するうえでそのような還元性環境での炭素鋼の腐食挙動を把握することが必要である。本研究では酸素ガス濃度が1ppm以下に制御された窒素雰囲気下において緩衝材中での炭素鋼の浸漬試験を実施した。炭素鋼の腐食速度を試験片の重量減少量より算出し、腐食生成物をSEM、XRD、EPMAにより分析した。また、オーバーパック溶接の影響を確認するため、一部の条件で電子ビーム溶接(EBW)による溶接部付きの試験片を用いた実験も行った。模擬地下水として人工海水および炭酸水素イオンと塩化物イオンを含む水溶液を用いた。実験結果より、腐食生成物層はFeCO3、Fe2(OH)2CO3のような2価鉄の炭酸塩を含むことがわかった。腐食速度は浸漬後1年間までは比較的大きい(418m/y)が、1年以降は急激に腐食の進展が減少した。浸漬後1年3年(または4年)の期間における平均腐食深さの増加量は数m以下であり、多くの場合1年以降の腐食速度は1m/y以下と見積もられた。また、浸漬期間3年間までの実験では溶接による腐食速度への影響は認められなかった。本研究では緩衝材の乾燥密度、ケイ砂混合率による腐食速度への影響についても検討した。
川崎 学*; 谷口 直樹; 川上 進
JNC TN8400 2003-041, 48 Pages, 2004/02
銅はオーバーパックの候補材料の一つであり、長期耐食性を評価するうえで、処分後初期の酸化性環境における腐食挙動を把握することが重要である。本研究では腐食速度と腐食局在化の程度を把握することを目的として、大気吹込み下において水溶液中およびベントナイト中で純銅の浸漬試験を実施し、環境因子による腐食への影響と腐食局在化を評価した。その結果、塩化物イオン及びフッ化物イオン濃度の上昇とともに腐食速度が大きくなる傾向が見られた。重炭酸イオンは塩化物イオンとの共存下において純銅の腐食を抑制することが確認された。各条件ともベントナイト中の試験では、同じ溶液を使用した溶液中の試験に比べて腐食速度がいずれも低い値を示した。また、固液比が大きくなると腐食速度が低下する傾向が見られた。腐食の局在化については、平均腐食深さと孔食係数の関係を調べた。その結果、試験条件によって異なる挙動が観察されたが、いずれの条件でも平均腐食深さの増加に対して孔食係数は低下する傾向を示した。また、天然の土壌中のデータの孔食係数の上限を超えるようなデータはなかった。したがって平均腐食深さから孔食係数または最大腐食深さの上限を推定し、酸素による最大腐食深さを保守的に評価できる可能性が示された。
谷口 直樹; 川崎 学*; 川上 進; 久保田 満*
Proceedings of European Corrosion Congress 2004 (EUROCORR 2004), 0 Pages, 2004/00
緩衝材中、還元性雰囲気において炭素鋼の長期浸漬試験を行い、腐食速度と腐食生成物の評価を行った。
谷口 直樹; 川崎 学*; 川上 進; 鈴木 治雄*
JNC TN8400 2003-016, 89 Pages, 2003/03
堆積軟岩系岩盤における処分では緩衝材周囲にコンクリート製支保工の施工が考えられており、地下水がセメントとの接触によって高pH化する可能性がある。そのような処分環境において、炭素鋼オーバーパックは条件によっては不動態化して局部腐食を受けることが懸念される。そこで弱アルカリ性アルカリ性(7.7pH13.4)の水溶液環境で浸漬試験を行い、炭素鋼の局部腐食進展挙動を検討した。緩衝材ブロック間の継ぎ目に地下水が選択的に浸潤した場合にも飽和度や緩衝材空隙水組成の不均一性に起因する局部的な腐食を受ける可能性があ