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論文

Anaerobic methane-oxidizing activity in a deep underground borehole dominantly colonized by $$Ca.$$ Methanoperedenaceae

西村 大樹*; 幸塚 麻里子*; 福田 朱里*; 石村 豊穂*; 天野 由記; 別部 光里*; 宮川 和也; 鈴木 庸平*

Environmental Microbiology Reports (Internet), 15(3), p.197 - 205, 2023/06

 被引用回数:1 パーセンタイル:48.30(Environmental Sciences)

地下深部の地下水は、微生物活動などにより酸素が消費され、一般に還元性になっている。幌延の深部地下水では、微生物活動による二酸化炭素還元反応により強還元雰囲気が維持されている。一方で、幌延深地層研究センター地下研究施設の一部のボーリング孔では、嫌気的環境にも関わらずメタン酸化機能を持つ微生物の存在が明らかにされている。局所的ではあるものの、地下深部の強還元雰囲気において進行する酸化反応機構の解明を目的として、本研究では、原位置の水質・水圧を模擬し、この嫌気的メタン酸化微生物の培養を行った。その結果、地下水中の懸濁物に含まれる非晶質鉄あるいは2八面体型スメクタイトに含まれる3価鉄が酸化剤として機能していることが分かった。このような酸化剤が地下深部に存在する要因の一つとして、ボーリングの掘削泥水などの掘削に伴う人為的影響が挙げられる。高レベル放射性廃棄物の地層処分において閉鎖後の処分場坑道周辺の酸化性環境は、周辺母岩中の鉱物との反応等により本来の還元性に戻ると考えられている。本研究で得られた知見は、この処分場閉鎖後の回復過程についてより正確な理解に繋がる成果である。

論文

Ecological and genomic profiling of anaerobic methane-oxidizing archaea in a deep granitic environment

伊能 康平*; Hernsdorf, A. W.*; 今野 祐多*; 幸塚 麻里子*; 柳川 克則*; 加藤 信吾*; 砂村 道成*; 広田 秋成*; 東郷 洋子*; 伊藤 一誠*; et al.

ISME Journal, 12(1), p.31 - 47, 2018/01

 被引用回数:49 パーセンタイル:91.15(Ecology)

岐阜県瑞浪市の超深地層研究所において、深度300メートルの地下水を地下坑道から採取し、地下微生物の生態系を調査した。その結果、花崗岩深部でマグマ由来のメタンに依存した微生物生態系が存在することを明らかにした。

論文

Deep microbial life in high-quality granitic groundwater from geochemically and geographically distinct underground boreholes

伊能 康平*; 今野 祐多*; 幸塚 麻里子*; 廣田 明成*; 東郷 洋子*; 福田 朱里*; 小松 大介*; 角皆 潤*; 田辺 章文*; 山本 智*; et al.

Environmental Microbiology Reports (Internet), 8(2), p.285 - 294, 2016/04

 被引用回数:26 パーセンタイル:67.97(Environmental Sciences)

瑞浪超深地層研究所の深度300mの花崗岩中の地下水を対象として、ボーリング孔を利用した微生物特性の調査を行った。ボーリング孔から得られた地下水は、当初、好気性の水素酸化に関わるHydrogenophaga spp.が優勢種であったが、3年後にはNitrospirae門の微生物が優勢種となった。後者の微生物種は系統学的に深部地下水や陸域の温泉水において観察される種であり、この地域の土着の微生物種と考えられた。

論文

Geomicrobiological properties of ultra-deep granitic groundwater from the Mizunami Underground Research Laboratory (MIU), Central Japan

福田 朱里*; 萩原 大樹; 石村 豊穂*; 幸塚 麻理子*; 井岡 聖一郎*; 天野 由記; 角皆 潤*; 鈴木 庸平*; 水野 崇

Microbial Ecology, 60(1), p.214 - 225, 2010/05

 被引用回数:29 パーセンタイル:65.23(Ecology)

花崗岩深部においても微生物の生態系がみられることが知られているが、そのバイオマスや生物多様性,代謝活性を制限する地球化学的要因は明らかになっていない。今回、筆者らは地球化学特性と微生物学特性の関連性を明らかにするため、2005年及び2008年に瑞浪超深地層研究所(MIU)用地内に掘削されたMIZ-1号孔より深度1,169m地点において採取された地下水試料の生物地球化学的特性の調査を行った。化学分析の結果、いずれの試料においても酸素や硝酸,硫酸等の電子受容体は乏しいものの、有機酸を含まない有機炭素に富むことがわかった。いずれの地下水においても、優占する微生物種は、芳香族や脂肪族炭化水素のような利用されにくい電子供与体を利用可能な${it Thauera}$属に属する微生物であることがわかった。複数のエネルギー源や電子受容体を添加した3$$sim$$5週間の培養試験では、培養試験の条件にかかわらず、優占種が${it Brevundimonas}$属へと変化した。これらの生物地球化学調査の結果から、MIU深部では、酸素や硝酸の電子受容体と有機酸が乏しいことから${it Thauera}$属が優占する環境が保持されていると考えられる。

口頭

Unveiling key players in the geological disposal environment

鈴木 庸平*; 福田 朱里; 今野 祐多*; 幸塚 麻理子*; 萩原 大樹; 青才 大介; 竹野 直人*; 水野 崇

no journal, , 

This study is aimed to understand the microbiological properties in deep granitic fresh water aquifer. As the result of investigation at two URLs, Mizunami Underground Research Laboratory and Grimsel Test Site, it is suggested that some microbes are cosmopolitan in the granitic freshwater aquifer and radionuclide interactions should be clarified to provide general and reliable information for the safety of geological disposal in granitic subsurface.

口頭

The Fe(III)-dependent anaerobic methane-oxidizing activity in a deep underground borehole demonstrated by in-situ pressure groundwater incubation

西村 大樹*; 幸塚 麻里子*; 福田 朱里*; 石村 豊穂*; 天野 由記; 別部 光里*; 宮川 和也; 鈴木 庸平*

no journal, , 

地下深部の地下水は、微生物活動などにより酸素が消費され、一般に還元性になっている。幌延の深部地下水では、微生物活動による二酸化炭素還元反応により強還元雰囲気が維持されている。一方で、幌延深地層研究センター地下研究施設の一部のボーリング孔では、嫌気的環境にも関わらずメタン酸化機能を持つ微生物の存在が明らかにされている。局所的ではあるものの、地下深部の強還元雰囲気において進行する酸化反応機構の解明を目的として、本研究では、原位置の水質・水圧を模擬し、この嫌気的メタン酸化微生物の培養を行った。その結果、地下水中の懸濁物に含まれる非晶質鉄あるいは2八面体型スメクタイトに含まれる3価鉄が酸化剤として機能していることが分かった。このような酸化剤が地下深部に存在する要因の一つとして、ボーリングの掘削泥水などの掘削に伴う人為的影響が挙げられる。高レベル放射性廃棄物の地層処分において閉鎖後の処分場坑道周辺の酸化性環境は、周辺母岩中の鉱物との反応等により本来の還元性に戻ると考えられている。本研究で得られた知見は、この処分場閉鎖後の回復過程についてより正確な理解に繋がる成果である。

口頭

瑞浪超深地層研究所における地球化学分野でのJAEA/AIST共同研究,2; 生物地球化学特性に関する研究

福田 朱里*; 萩原 大樹; 石村 豊穂*; 幸塚 麻理子*; 伊藤 一誠*; 角皆 潤*; 鈴木 庸平*; 水野 崇

no journal, , 

地下水の酸化還元電位(Eh)を測定については、安定した測定値を得るまでに長期間要することや、地下水採取時の脱ガス等の化学的な変化によるEhの変化が指摘されている。他方、地下水中の微生物は、地下水中に供給される還元剤・酸化剤を用いた酸化還元反応を利用して生息しているため、代謝活性様式から酸化還元環境を推定できる可能性がある。そのため、Ehの測定に関する不確実性を低減することを目的として、生物化学的な観点から酸化還元環境を測定する研究を日本原子力研究開発機構と産業技術総合研究所が共同で行った。本研究では、採取した地下水試料のEhを従来の電極法で測定するとともに、微生物の代謝活性様式から酸化還元環境を推定した。その結果、電極法による測定結果と微生物の代謝活性様式から推定される酸化還元環境は整合的な結果を示しており、本研究で用いた生物化学的手法により、Ehの測定結果に対する不確実性を低減させることが可能であると考えられる。今後は、生物化学的な擾乱を避けるための試料採取方法等を含めて、本手法の体系化を進める予定である。

口頭

瑞浪超深地層研究所における花崗岩地下水中の微生物群集構造と代謝活性の深度変化

福田 朱里; 幸塚 麻理子*; 青才 大介; 萩原 大樹; 水野 崇; 鈴木 庸平*

no journal, , 

近年の分子系統学研究により、地層処分の対象となるような深部地下環境においてさまざまな微生物が生息し、その中には培養可能な近縁種が存在しない生理学的特性が未解明な微生物種が含まれていることが知られている。これら地下微生物の原位置における代謝様式・速度を明らかにするため、瑞浪超深地層研究所において深度別に採取した花崗岩中の地下水試料(深度99, 200, 300, 725, 1169m)を用いて、地下水の化学分析及び微生物群集構造解析と合わせて代謝活性実験を行った。地下水の化学分析では、全試料で溶存酸素,硝酸・亜硝酸イオン,有機酸濃度は検出限界以下であった。そのため、地下水の濃縮により微生物細胞と溶存成分の濃度をあげることで、短期間での高感度代謝活性実験を可能にした。その結果、花崗岩とそれを被覆している堆積岩の境界近傍の深度99mの微生物代謝活性が最も高く、それ以深は深度とともに低くなる傾向がみられた。また、微生物群集構造解析では深度に伴う優占微生物の遷移がみられ、深度99mと200mにおいて優占していた未知微生物については、代謝様式は不明であるが、代謝速度が遅いと推察された。

口頭

Hydrogen and carbon isotope geochemistry of freshwater aquifers at the Mizunami Underground Research Laboratory; Implications for ongoing biogeochemical processes in granitic rocks

今野 祐多*; 福田 朱里; 幸塚 麻理子*; 小松 大祐*; 角皆 潤*; 青才 大介; 水野 崇; 鈴木 庸平*

no journal, , 

本報告では、結晶質岩中の淡水系地下水における水-岩石-微生物相互作用において、微生物により行われている生物化学的な反応を明確にするため、瑞浪超深地層研究所より採取された深度200mから1150mまでの地下水を対象として、酸素及び炭素安定同位体組成を指標とした検討を行った。その結果、地下水中のメタンにおける酸素,水素安定同位体比からは、メタンが二酸化炭素や酢酸を起源とした微生物起源のメタンでないことを示す一方、C1/C2+C3の値は微生物起源であることを示した。また、深度300mより深部で採取された地下水では、メタン及び酢酸が浅部より高濃度で含まれており、硫酸イオンは減少する傾向を示すなど、酢酸形成の特徴を示した。これらの結果から、還元的な地下深部における結晶質岩中の淡水系地下水では、メタン生成よりも酢酸生成が主要な生物化学反応であることがわかった。

口頭

陸域地下深部におけるメタンに依存する巨大な微生物生態系の解明

西村 大樹*; 幸塚 麻里子*; 福田 朱里*; 石村 豊穂*; 天野 由記; 別部 光里*; 宮川 和也; 鈴木 庸平*

no journal, , 

地下深部の地下水は酸素が消費され一般に還元性になっている。幌延の深部地下水では微生物活動による二酸化炭素還元反応により強還元雰囲気が維持されている。一方で幌延深地層研究センター地下研究施設の一部のボーリング孔では、嫌気的環境にも関わらずメタン酸化機能を持つ微生物が存在している。これまでの研究により地下水中の懸濁物に含まれる非晶質鉄あるいは2八面体型スメクタイトに含まれる3価鉄が酸化剤として機能していることを明らかにしてきた。本研究では地上からのボーリング掘削により得られた深度210-320mのコア試料を用いてメタン酸化活性を評価した。その結果、地下水試料と比較して数桁高いメタン酸化代謝が得られたことから、地下水と比べてより多くの微生物が岩石内部に生息していることが示唆され、陸域地下生命圏においてはメタンが重要なエネルギー源であることが示唆された。高レベル放射性廃棄物の地層処分において処分場閉鎖後の坑道周辺の酸化性環境は、周辺母岩中の鉱物との反応等により本来の還元性に戻ると考えられている。本研究で得られた知見はこの処分場閉鎖後の回復過程についてより正確な理解に繋がる成果である。

口頭

深部地質環境における水-岩石-微生物相互作用に関する調査技術開発

伊藤 一誠*; 鈴木 庸平*; 福田 朱里*; 幸塚 麻理子*; 水野 崇; 萩原 大樹

no journal, , 

瑞浪超深地層研究所において産業技術総合研究所と「深部地質環境における水-岩石-微生物相互作用に関する調査技術開発」とした共同研究を実施している。本共同研究では、地下深部に存在する微生物の物理的・化学的特性及び微生物が地球化学環境の形成に与える影響とプロセスを把握するための手法について、これまでの知見をとりまとめ、天然の地質環境に適応可能な調査手法を体系的に構築することを目的としている。これまでに代謝活動に利用されるエネルギー源と酸化剤の測定と微生物群集構造解析を組合せた調査手法を適用し、地下深部での微生物の存在状態を把握するための調査を実施した。その結果、従来の一般的な地下水の化学分析に加えて、溶存ガス及び有機酸の分析を実施することで、地下微生物の栄養源が特定できることやそれらの栄養源を添加した培養実験を行うことで、原位置での微生物の生物化学的な反応を把握することが可能となることを示すことができた。

口頭

地下深部環境のBIO-NANO-GEO Science; 瑞浪超深地層研究所における試み

鈴木 庸平*; 福田 朱里*; 幸塚 麻理子*; 石村 豊穂*; 角皆 潤*; 萩原 大樹; 水野 崇

no journal, , 

微生物の代謝活動はナノスケールの産物を媒体として、物質循環に影響を及ぼすと幅広く認識されるが、地下深部での実態は明らかでない。本研究では、地上から掘削されたボーリング孔(MIZ-1号孔:掘削長約1300m)を対象に、深度約1150メートルの花崗岩体から採取された地下水試料を調査した。結果の概要として、(1)塩化物イオン濃度が海水の10分の1程度の深層地下水は、電子供与体として約1mMの生成起源不明のメタン($$delta$$$$^{13}$$C=-25.9‰)と溶存有機物を1.2ppm含み、二酸化炭素以外の主要な電子受容体に乏しいこと、(2)全菌数は5$$times$$10$$^{4}$$細胞・ml$$^{-1}$$でDNAに基づく群集構造解析の結果、難分解性の芳香族炭化水素をエネルギー源にするThauera属の微生物が優占すること、(3)ナノスケールの鉄・シリカを含有する粒子に微生物細胞が共存していることが明らかになった。

口頭

産業技術総合研究所との共同研究; 地球化学環境変動要因としての地下微生物の影響評価手法の技術開発と高度化

福田 朱里; 水野 崇; 青才 大介; 萩原 大樹; 山本 祐平; 新宮 信也; 竹野 直人*; 鈴木 庸平*; 今野 祐多*; 幸塚 麻理子*

no journal, , 

地層処分の安全評価に必要な深部化学環境及びその変動要因である微生物活動の調査技術開発のため、原位置における微生物代謝活性を空間的に把握し、酸化還元状態及び微生物活動の指標となる溶存ガスを定量的に評価することを目的とし、地球化学的特性と微生物学的特性の調査を行った。これまでの研究により、瑞浪超深地層研究所用地内及び周辺の土岐花崗岩から採取した地下水中の微生物の活性は低いこと、DNAの配列情報では代謝様式が未確定な微生物が優占していること、地下水中の溶存ガスは脱ガスにより定量的な評価が困難であることがわかってきている。そこで、さまざまな代謝様式を同時に評価可能な手法と溶存ガスの定量的な評価のためのサンプリング手法の確立を行った。全菌数測定の結果、全菌数は深度による有意な違いはみられなかった。微生物代謝活性の評価により、地質構造・水理・地球化学要因だけでなくボーリング孔の掘削条件なども大きな影響を与える因子であることが示唆された。また、サンプリング手法の改良により溶存ガスの定量分析が可能となり、溶存ガスの濃度や同位体比を酸化還元状態や微生物活動の指標に用いることが可能となった。

口頭

産業技術総合研究所との共同研究; 地球化学環境変動要因としての地下微生物の影響評価手法の技術開発と高度化

福田 朱里; 水野 崇; 青才 大介; 萩原 大樹; 山本 祐平; 新宮 信也; 伊藤 一誠*; 鈴木 庸平*; 幸塚 麻理子*; 今野 祐多*

no journal, , 

地層処分の安全評価に必要な深部化学環境とその形成プロセス及び長期的変遷の調査技術開発のため、原位置における微生物学的特性を明らかにし、化学環境形成や擾乱からの回復過程における微生物の役割を評価することを目的とし、地球化学分析,微生物群集構造解析,微生物代謝活性の評価を行った。これまでの研究により、土岐花崗岩から採取した地下水中の微生物の活性は低いことがわかっており、より短期で高感度な代謝活性測定方法の開発及び深度に伴う微生物学的特性の変化の解析を重点的に行った。地球化学分析の結果、酸素,硝酸・亜硝酸イオンは全深度で検出限界未満だったため、硫酸イオン以外の主な電子受容体は乏しいと推測された。微生物群集構造解析から深度に伴う優占微生物種の遷移がみられた。微生物代謝活性の評価により、花崗岩とそれを被覆している堆積岩の境界近傍の深度99mの微生物代謝活性が高く、それ以深は深度とともに低くなる傾向がみられた。本研究により、花崗岩深部において原位置の代謝活動は低いが、地下施設建設等による擾乱で酸素や硝酸が供給された場合、微生物による消費が期待されることが示された。

口頭

Metabolic rates of subsurface microorganisms in a hydrogeochemically characterized granitic aquifer system at the Mizunami Underground Research Laboratory (MIU) in Japan

福田 朱里; 幸塚 麻理子*; 今野 祐多*; 青才 大介; 萩原 大樹; 水野 崇; 鈴木 庸平*

no journal, , 

深部地下環境には微生物が生息しており、その地下微生物の生理学的・系統学的多様性は地下水の地球化学環境に依存して変化する。瑞浪超深地層研究所における深度99mから1169mの深部花崗岩中の地下水の地球化学的特性に微生物が与える影響を定量的に評価するため、さまざまな好気及び嫌気的代謝活動を高感度に測定する手法を開発した。地下水のろ過により微生物細胞を約30倍に濃縮し、電子受容体とともに培養を行ったところ、好気呼吸活性は深度99mと175mにおいて400umol/L/year以上で、深くなるにつれ減少し、深度1169mで36umol/L/yearだった。硝酸還元活性は深度99mから308mにおいて増加した(4.3から37umol/L/year)が、それより深くなるにつれ減少し、深度1169mで0.20umol/L/yearだった。硫酸還元活性は1.4から3.2umol/L/yearの値で、深度200m以浅でしか検出されなかった。地下水系において酸素と硝酸が欠乏し、深度に伴い硫酸が緩やかに減少する理由として、本研究で求めた活性速度で行われている微生物代謝活動の影響が考えられる。本研究の予算の一部は、原子力安全・保安院の受託研究費を用いた。

口頭

瑞浪超深地層研究所における深部花崗岩中地下水の生物地球化学的調査

福田 朱里; 幸塚 麻理子*; 今野 祐多*; 青才 大介; 新宮 信也; 萩原 大樹; 水野 崇; 鈴木 庸平*

no journal, , 

微生物は、地下の化学環境形成や維持において重要な役割を担っていることが知られている。そこで、微生物生態系の観点から地下水の化学環境を理解することを目的とし、瑞浪超深地層研究所において採取された花崗岩中の地下水試料を用いて、地球化学分析,微生物群集構造解析及び代謝活性の評価を行い、生物地球化学的特性の把握とそのための調査手法の開発を行った。採取した地下水試料の優占微生物は、既知の微生物との相同性から生理学的特性を推察することは難しかったが、本研究で行った代謝活性測定手法により、機能未知の微生物やボーリング孔掘削後に繁殖した好気性微生物を含む微生物群集の地下環境の形成・維持への影響の定量的評価が可能となった。本研究により、微生物が還元的な環境の形成・擾乱後の回復過程において重要な役割をもち、地球化学的特性と微生物学的特性の統合的調査の有用性が示された。

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