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津旨 大輔*; 坪野 孝樹*; 三角 和弘*; 佐久間 一幸; 恩田 裕一*
Pure and Applied Chemistry, 16 Pages, 2024/00
被引用回数:1 パーセンタイル:68.06(Chemistry, Multidisciplinary)福島第一原子力発電所(F1NPS)事故から12年が経過したが、Csの放射能濃度は事故前のレベルまで低下していない。これは、敷地からの直接放出と陸上に堆積したCsの河川流出によるものである。複数の河川流出と直接放出の影響を理解するためには、沿岸域の拡散過程を考慮する必要がある。この目的のために、直接放出と河川流出を考慮した海洋拡散シミュレーションを行い、観測データの年平均値と比較した。河川から海洋に流出した懸濁態Csは、凝集・沈殿の後、速やかに再浮遊・再溶出し、Csは全て分散すると仮定した。懸濁態Csの河川流出を2013年から2016年の間、F1NPS付近を除く全ての地点で考慮することにより、結果の再現性が向上した。すなわち、河川から流出した懸濁態Csは、比較的短期間に海洋表層放射能濃度の結果に影響を与えることがわかった。F1NPSに隣接して観測されたCs放射能濃度については、直接放出の影響が支配的であり、直接放出の推定に用いられた。
三浦 輝*; 石丸 隆*; 伊藤 友加里*; 栗原 雄一; 乙坂 重嘉*; 坂口 綾*; 三角 和弘*; 津旨 大輔*; 久保 篤史*; 桧垣 正吾*; et al.
Scientific Reports (Internet), 11, p.5664_1 - 5664_11, 2021/03
被引用回数:15 パーセンタイル:66.31(Multidisciplinary Sciences)初めて海洋中の粒子状物質や堆積物から7種類のCsMPs(放射性セシウム含有微粒子)を単離・調査した。元素組成,Cs/Cs放射能比,単位体積当たりのCs放射能などの結果から、粒子状物質から単離した5つのCsMPsはFDNPPの2号機から放出されたものであり、海洋堆積物から単離した2つのCsMPsは3号機から放出された可能性があることを推測した。CsMPsの存在は、海洋堆積物や粒子状物質中のCsの固液分配係数を過大評価し、海洋生物相の見かけの放射性セシウム濃度係数を高くする原因となる。2号機から放出されたCsMPsは、高濃度汚染地域を流れる河川の河口部で採取されたため、陸上に堆積した後、河川によって運ばれた可能性を示し、一方、3号機から放出されたCsMPsは、風によって東に運ばれ、直接海面に降下した可能性が示唆された。
三角 和弘*; 津旨 大輔*; 坪野 孝樹*; 立田 穣*; 青山 道夫*; 小林 卓也; 広瀬 勝己*
Journal of Environmental Radioactivity, 136, p.218 - 228, 2014/10
被引用回数:24 パーセンタイル:55.43(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故から1年間の海底堆積物中のCs-137(Cs)の時空間変動の支配要因について数値シミュレーションを用いて調べた。数値モデルはCsの底層水と堆積物間の輸送過程を吸着と脱着により考慮した。モデルは堆積物中の観測されたCs濃度の時空間変動を再現することに成功した。堆積物中のCsの空間分布は堆積物直上の底層水中に含まれるCs濃度の履歴と堆積物の粒径によって主に反映され、事故発生から数か月で形成された。モニタリング測点が位置する沖合海域における堆積物中Csのインベントリーは10Bqのオーダーであった。これは既往の観測による推定値と同程度であった。福島第一原子力発電所近傍の値も考慮すると、福島沿岸の堆積物中Csの総インベントリーは10Bqのオーダーとなった。