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濱田 崇; 長谷川 伸; 深沢 秀行*; 澤田 真一; 越川 博; 宮下 敦巳; 前川 康成
Journal of Materials Chemistry A, 3(42), p.20983 - 20991, 2015/11
被引用回数:32 パーセンタイル:70.88(Chemistry, Physical)燃料電池の本格普及のため、低加湿下でのプロトン導電率と高加湿下での機械強度を併せ持つ電解質膜が不可欠である。本研究は、膜強度の高いポリ(エーテルエーテルケトン) (PEEK)に着目し、放射線グラフト重合により高いイオン交換容量(IEC)を有するPEEK-グラフト型電解質膜(PEEK-PEM)を合成することで、導電率と機械的強度の両立を目指した。IEC=3.08mmol/gのPEEK-PEMは、80Cにおいて、低加湿下(相対湿度30%)でナフィオンと同等の導電率、高加湿下(相対湿度100%)で1.4倍の引張強度(14MPa)を示した。さらに、PEEK-PEM (IEC=2.45mmol/g)を用いて作製した燃料電池は、高加湿下(相対湿度100%)でナフィオンと同等、低加湿下(相対湿度30%)でナフィオンの2.5倍の最大出力密度を示した。X線回析からPEEK-PEMは、グラフト重合中、結晶性が増加するため、高いIECを持つPEEK-PEMにおいても、高い機械的強度を示すことが明らかとなった。
山本 春也; 箱田 照幸; 宮下 敦巳; 吉川 正人
Materials Research Express (Internet), 2(2), p.026401_1 - 026401_8, 2015/02
被引用回数:4 パーセンタイル:15.77(Materials Science, Multidisciplinary)有機ハイドライド(シクロヘキサン等)は、水素を可逆的に放出・吸蔵できることから水素の貯蔵・輸送媒体として有望視されている。しかし、揮発した有機ハイドライドは、可燃性ガスであるため、漏洩する有機ハイドライドを安全に検知するセンサーの開発が求められている。本研究では、揮発した有機ハイドライドを光学的に検知できる材料の開発を目的に、反応性スパッタリング法を用いて石英基板上に三酸化タングステン膜を成膜時の基板温度(300550
C)及び膜厚(
2
m)をパラメータに作製し、濃度5%のシクロヘキサンに対する着色特性を系統的に調べた。その結果、基板温度が400
450
Cで形成される(001)結晶配向した柱状構造から成る厚さ1
m程度の三酸化タングステン膜が光学検知に適していることを明らかにした。
島田 明彦; 杉本 雅樹; 宮下 敦巳; 吉川 正人
JAEA-Review 2013-059, JAEA Takasaki Annual Report 2012, P. 29, 2014/03
高い放射線環境下で進められる東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた作業を支援するため、機能性セラミック材料研究グループでは、これまで原子力機構等が実施した高分子系材料・機器の耐放射線性試験等の結果878件を収録した「高分子系材料・機器の耐放射線性データベース(Database of Radiation Resistance on Polymer Materials and Equipments: DRRPME)」を整備、公開した。本データベースには、高分子材料423件、機器・部品223件、油脂・塗料103件、有機複合材料129件が収録されており、高分子系材料や機器の名称, 分類, 放射線の種類等による検索ができるよう設計されており、放射線環境下で試験された高分子系材料や機器にはどのような種類があるのか、あるいはそれらがどの程度の放射線量に耐えるのか、といった情報を簡単な操作で取り出すことができる。このようなデータベースでこれまでに公開されていたものはなく、本データベースは、東京電力福島第一原子力発電所事故の対応に限らず、原子力施設等の放射線環境下で使用する材料・機器の検討作業への活用も期待される。
宮下 敦巳; 吉川 正人
JAEA-Review 2013-059, JAEA Takasaki Annual Report 2012, P. 11, 2014/03
4H-SiC基板に形成したトレンチゲートMOS-FETでは、側壁に相当する(11-20)面(A面)のチャンネル移動度が、(0001)面(Si面)に比べ高いことが知られている。そこで、A面で高いチャネル移動度が得られる理由を調べるため、アモルファスSiO(
-SiO
)とA面の4H-SiCとの界面原子構造モデルを、従来通り加熱・急冷法を用いた計算機シミュレーションで生成し、これまでの研究で得られていた、Si面上の界面での原子・電子構造の解析結果と比較した。得られたA面モデルについて電子構造を解析した所、Si面モデルではバンドギャップ中に現れていた界面Siに起因する欠陥準位の幾つかが、A面モデルでは生成されないことがわかった。特に、SiC層中のSiを源とし、結合長の伸展したSi-C結合に起因する欠陥は、Si面モデルでは欠陥準位のエネルギーが伝導帯下端付近にあるため、チャネル移動度を大きく低下させる原因となるが、A面モデルではSi-C結合が界面に露出するため歪が緩和され、欠陥準位が顕在化しないことがわかった。欠陥準位のエネルギーが伝導帯下端付近にあり、チャネル移動度を大きく低下させる欠陥準位が顕在化しないことが、A面において高い移動度が実現される原因である可能性が示唆された。
名原 啓博; 布谷 嘉彦; 礒野 高明; 濱田 一弥; 宇野 康弘; 高橋 良和; 中嶋 秀夫; 都竹 星志*; 田川 浩平*; 宮下 克己*; et al.
低温工学, 47(3), p.140 - 146, 2012/03
日本はITER TFコイル用超伝導導体の25%を調達する。この導体に使用するNbSn超伝導素線の全長は約23,000kmにも及び、これまでにない規模の大量生産であるため、品質管理が非常に重要となる。統計的プロセス管理により製作の均一性を逐次チェックすることで量産における素線性能のバラつきを抑え、また原子力機構で素線性能のダブルチェックを実施するなど、厳格な品質管理を行っている。超伝導素線は2008年から2社で製作しており、両社とも素線性能の安定した製作が実現され、また量産を経て製作の歩留まり改善にも成功している。2011年10月の時点で既に日本分担分の約72%を製作しており、今後も引き続き、品質を確保しながら調達を進めて行く。
大沼 敏治*; 宮下 敦巳; 吉川 正人; 土田 秀一*; 岩沢 美佐子*
平成21年度先端研究施設共用促進事業「地球シミュレータ産業戦略利用プログラム」利用成果報告書, p.21 - 27, 2010/07
ワイドギャップ半導体である炭化珪素(SiC)は従来のシリコン(Si)半導体に比べて飛躍的な性能向上を実現するパワー半導体デバイスの材料として期待されている。また、SiC半導体デバイスは低損失の省エネデバイスとして開発が進められているとともに、Si半導体デバイスと同様に熱酸化により酸化絶縁膜を作製できるため、次世代のMOS型パワーデバイスとして有望である。しかし、従来のSiC MOS型パワーデバイスは、界面トラップの存在等によりチャネル移動度が理論的な予想値より遥かに小さく、優れた特性を発揮できていなかった。これらの特性を改善するためには、原子レベルで界面の構造と熱酸化の機構を明らかにすることが重要となる。SiCの熱酸化過程のシミュレーションにおいては、化学反応を伴うことと、界面においてさまざまな結合があることから、経験的なパラメータを一切用いない第一原理法が強力なツールとなるが、計算量が膨大なためこれまで行われてこなかった。地球シミュレータによる大規模な第一原理分子動力学計算によりSiCの熱酸化過程・アニーリング及び界面準位のシミュレーションが可能になったのでここに報告する。
高野 勝昌; 井上 愛知; 山本 春也; 宮下 敦巳; 吉川 正人
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 32(1), p.159 - 162, 2007/03
酸化タングステン(WO)薄膜の着色速度の向上を目的として、入射エネルギー350keVの
He
をWO
薄膜に照射した。照射後、着色速度との関連が指摘されている不完全な酸素結合を持つ4価、あるいは5価のタングステン(W
、あるいはW
)の総量を、X線光電子分光法により調べた結果、1
10
ions/sm
のイオン照射により、W
及びW
の総量がそれぞれ4%及び17%増大したことがわかった。一方、同じ試料に触媒金属薄膜を蒸着し着色速度を調べた結果、照射前に比べ着色速度が7.5倍上昇したことがわかった。この結果から、不完全な酸素結合を持つタングステン原子の増加が着色速度を大幅に改善させること,改善手法としてイオン照射が有効であることがわかった。
宮下 敦巳; 大沼 敏治*; 岩沢 美佐子*; 土田 秀一*; 吉川 正人
Materials Science Forum, 556-557, p.521 - 524, 2007/00
SiCデバイスは宇宙や原子炉等の極限環境下で動作する素子として期待されている。しかしながら現状のSiCデバイスは理論的に予想されている性能を発揮しているとは言いがたい。その理由はSiCとその酸化膜であるSiOとの界面に存在する欠陥が素子の性能を低下させているからだと考えられる。実デバイスにある界面欠陥構造を計算機シミュレーションで再現しようとするなら、現実の界面にあるようなアモルファスSiO
/SiCの構造を計算機上に再現することが非常に重要となってくる。われわれは444原子からなる結晶/結晶界面構造を計算機上に構築し、それに対して加熱・急冷計算を行うことでアモルファスSiO
/SiC構造を生成した。加熱温度,加熱時間,急冷速度はそれぞれ4000K, 3ps, -1000K/psである。得られた界面構造のSiO
領域はバルクのアモルファスSiO
構造とよく適合し、界面におけるダングリングボンド欠陥も消滅していることが確かめられた。
大沼 敏治*; 宮下 敦巳; 岩沢 美佐子*; 吉川 正人; 土田 秀一*
Materials Science Forum, 556-557, p.615 - 620, 2007/00
平面波近似とスーパーセルモデルを用い、SiO/4H-SiC(0001)酸化過程の第一原理分子動力学計算による動的シミュレーションを行った。反応の初期構造の生成には加熱・急冷法を用いた。この初期構造は界面ダングリングボンドのないSiO
/SiC構造である。酸化反応の引き金とするために、界面付近のSiC層に炭素空孔を導入した。酸化反応シミュレーションは界面付近の空隙に酸素分子を一つずつ置いて行くことによって行った。酸化反応シミュレーションは2500Kの下で行った。酸素分子は解離しSiO
中のSi原子と結合を組み、また、界面付近にいるSiC層中のSi原子も酸化されSiO
層を形成した。界面欠陥の候補の一つと考えられている炭素クラスタ構造が界面に形成され、さらに、酸素分子は炭素クラスターと反応しCO分子を形成した。
前川 雅樹; 河裾 厚男; 吉川 正人; 宮下 敦巳; 鈴木 良一*; 大平 俊行*
Physica B; Condensed Matter, 376-377, p.354 - 357, 2006/04
被引用回数:2 パーセンタイル:12.83(Physics, Condensed Matter)ドライ酸化SiO/4H-SiC界面には多くの欠陥が含まれていると言われているが、陽電子消滅法を用いて欠陥の構造評価を行った。ドップラー幅測定からは、SiO
/4H-SiC界面にはSiO
やSiCとは明白に区別される欠陥を多く含んだ界面層が存在することが明らかとなった。界面層での陽電子消滅寿命測定からは、構造がアモルファスSiO
に類似した比較的空隙を持つ構造であることがわかった。界面層での電子運動量分布測定と第一原理計算による陽電子消滅特性のシミュレーションとの比較より、陽電子は空隙に存在する酸素価電子と対消滅していることが示唆された。酸化後の加熱焼鈍による酸素価電子との消滅確率の減少は、界面準位密度の減少と同じ温度領域で起こることから、界面準位の起源となる欠陥構造は陽電子を捕獲する欠陥構造と強く関連していることが示唆された。
前川 雅樹; 河裾 厚男; 吉川 正人; 宮下 敦巳; 鈴木 良一*; 大平 俊行*
Physical Review B, 73(1), p.014111_1 - 014111_9, 2006/01
被引用回数:20 パーセンタイル:65.14(Materials Science, Multidisciplinary)ドライ酸化法によって形成されるSiO/4H-SiC界面構造を低速陽電子ビームを用いて評価した。ドップラー幅測定より、SiO
/4H-SiC界面にはSiO
やSiCとは明白に区別される界面層が存在することが明らかとなった。界面層での陽電子消滅寿命測定からは451ps単一の寿命成分が得られた。これは界面構造がアモルファスSiO
に類似した比較的空隙を持つ構造であることを示している。界面層での電子運動量分布測定からは、陽電子は空隙に存在する酸素価電子と対消滅していることが示唆された。第一原理計算による陽電子消滅特性のシミュレーションを行ったところ、SiO
中に導入した酸素価電子を持つ欠陥構造での陽電子消滅特性は実験結果をよく反映するものであった。酸化後の加熱焼鈍によって観測される酸素価電子との消滅確率の減少挙動は、電気測定から求められる界面準位密度のそれと非常に類似したものとなった。これは、界面準位が陽電子を捕獲する欠陥構造と強く関連していることを示している。
宮下 敦巳; 吉川 正人; 叶野 琢磨; 大沼 敏治*; 酒井 高行*; 岩沢 美佐子*; 曽根田 直樹*
Annual Report of the Earth Simulator Center April 2004 - March 2005, p.287 - 291, 2005/12
Siに比べ優れた物理特性を持つSiCを用いた半導体デバイスは、従来のSiやGaAs半導体デバイスでは動作が困難な、原子炉や宇宙環境等、極限環境下で用いられる素子として期待されている。半導体素子界面では原子レベルの欠陥の荷電状態が電気特性を支配しているため、この界面構造を計算機上で模擬し、界面欠陥構造がどのようにデバイス特性に影響するのか導出するため、地球シミュレータを用いた第一原理分子動力学計算で界面構造を構築し電子構造を決定する。400原子程度の中規模モデルを用いてアモルファス
界面構造生成を行った。加熱温度は4000K、加熱時間は3ps、急冷速度は-1000K/ps、界面でのSiC可動層は4層とし、2200Kで
側終端固定層を開放し自由端とすることによって、
層でのアモルファス化を促進させた。生成された界面はダングリングボンドが消滅しており、清浄界面に近い状態が再現されたが、バンドギャップ中には欠陥準位が存在するのが観察された。欠陥準位は界面に存在する酸素から生じており、結合に寄与できない局在した電子分布が準位の原因となっていることがわかった。
箱田 照幸; 花屋 博秋; 金子 広久; 宮下 敦巳; 小嶋 拓治
Radioisotopes, 54(6), p.161 - 168, 2005/06
電子の媒質中での3次元的な挙動を計算できるモンテカルロ電子輸送コード(EGS4-SPGコード)を用いて、300keVの電子ビーム(EB)照射空気中のエネルギーフルエンス率値を計算により求めた。その計算の妥当性の評価のため、計算結果とカロリメータによる実測値と比較した。この結果、空気中の深度に対する計算値は、照射容器の電子入射窓から4.516.2cmの距離における実測値に
1.3%の誤差範囲内で一致した。また計算結果から、照射容器の電子入射窓からの距離が4.5cm以上では各フィラメント下でのエネルギーフルエンス率分布の重なり合いが十分となり、フィラメントに対するカロリメータの検出器位置によらずに均一なエネルギーフルエンス率分布が得られることがわかった。一般的に、300keV以下のEB照射空気中のエネルギーフルエンス率の実測は困難である。しかし、例えば一つの位置の比較であっても、このように計算と実測の整合性をとることにより、同形式の照射ジオメトリについては、計算によりエネルギーフルエンス率分布を評価することが可能であることがわかった。
梅林 励; 八巻 徹也; 山本 春也; 宮下 敦巳; 田中 茂; 住田 泰史*; 浅井 圭介*
Journal of Applied Physics, 93(9), p.5156 - 5160, 2003/05
被引用回数:293 パーセンタイル:98.64(Physics, Applied)イオンビームを利用した手法によって、これまで困難だと言われてきたTiOへのSドープに成功した。本論文では、イオン注入実験の詳細と、S
注入TiO
の結晶構造,光学特性、及び電子構造について報告している。特筆すべき成果としては、S
注入TiO
は可視光励起によってVBとCBにキャリアを生成することが明らかになった。この結果は、Sドープによってバンドギャップナロウイングが起きるという理論的な予測と一致している。
住田 泰史*; 八巻 徹也; 山本 春也; 宮下 敦巳
Thin Solid Films, 416(1-2), p.80 - 84, 2002/09
被引用回数:22 パーセンタイル:70.15(Materials Science, Multidisciplinary)酸化チタン(TiO)表面の電荷分離性能を,パルスレーザーデポジション法で製膜したCrが一様分布した膜と、イオン注入により作成したCr濃度勾配を持つ膜について、本研究室にて開発したパルス光励起表面電荷分離性能評価法(PITCS)を用いて評価を行った。その際、Crの膜内分布は二次イオン質量分析計で確認を行い、両膜の最表面のCr濃度はXPSを用いて等しくなるように作成を行った。PITCS法は金属電極を用いず、外部電界も印加する必要がないので、TiO
表面の既存のバンド勾配を乱すことなく、その膜の本質的な電荷分離性能を見積もることが可能である。この手法を用いて測定を行った結果、Cr濃度勾配を持つ膜は520nmの可視光に対してまで高い電荷分離性能を示した。これは、Cr一様分布膜や、アナターゼ単結晶膜よりはるかに高い性能であった。
Syarif, D. G.; 宮下 敦巳; 八巻 徹也; 住田 泰史*; Choi, Y.; 伊藤 久義
Applied Surface Science, 193(1-4), p.287 - 292, 2002/06
被引用回数:88 パーセンタイル:93.57(Chemistry, Physical)レーザ蒸着(PLD)によりガラス基板上二酸化チタン()薄膜を作製した。結晶構造,表面構造,光触媒性能の酸素分圧依存性をX線回折(XRD),原子間力顕微鏡(AFM),UV-VIS分光計で求めた。基板温度773Kの条件で酸素分圧の増加により、表面構造は平坦から粗い構造へと変化し結晶構造はルチルからアナターゼへと変化した。酸素分圧調整の結果、表面構造の変化とアナターゼ構造生成により光触媒性能は向上した。
山本 春也; 住田 泰史; 八巻 徹也; 宮下 敦巳; 楢本 洋
Journal of Crystal Growth, 237-239(Part1), p.569 - 573, 2002/04
二酸化チタン(TiO)は優れた光触媒材料であり、触媒特性の大幅な向上にはルチル及びアナターゼ構造の高品質なエピタキシャル膜の作製が必要とされている。本研究では、レーザ蒸着法によりTiO
のエピタキシャル成長を試み、種々の基板と膜との結晶方位関係,基板温度と膜の結晶性の関係を明らかにすることを目的とした。TiO
薄膜試料は、低圧酸素雰囲気下でエキシマレーザ(ArF 193nm)を用いたレーザ蒸着法によりLaAlO
,LSAT,SrTiO
,YSZ,
-Al
O
などの単結晶基板上に約200nmの膜厚で作製した。TiO
薄膜は、X線回折とラザフォード後方散乱/チャネリング法により構造評価を行った。その結果、基板温度が約500
C以上でアナターゼ構造の高品質なエピタキシャルTiO
(001)膜がLaAlO
(001), LSAT(001), SrTiO
(001)基板上に得られ、また、
-Al
O
(0001)及び(01-01)基板上には各々ルチル構造のTiO
(100)及びTiO
(001)膜が得られた。さらに光学的バンドギャップを評価し、アナターゼTiO
(001)膜で3.22eV,ルチルTiO
(100)膜で3.11eVの値を得た。
八巻 徹也; 住田 泰史; 山本 春也; 宮下 敦巳
Journal of Crystal Growth, 237-239(Part1), p.574 - 579, 2002/04
本研究では、KrFエキシマーレーザー蒸着によってサファイア(0001)基板上に TiOエピタキシャル膜を作製し、蒸着に用いるレーザーの強度を変化させたときの膜の結晶構造,表面形態について調べた。X線回折や顕微ラマン分光による分析結果から、(100)配向したルチル相に(001)配向のアナターゼ相がわずかに混合した膜が得られることを明らかにした。膜中における両相の混合比(アナターゼ/ルチル)はレーザー強度の減少とともに増大し、アナターゼ相の相対的な含有量を製膜条件で制御できることが示された。原子間力顕微鏡での観察によれば、最小のレーザー強度で作製した膜の表面は比較的大きな粒子から成りラフネスも大きかった。この膜は、その高いアナターゼ相含有量と大きな表面積によって、有機色素の光分解反応に対し高い活性を示した。
山本 春也; 住田 泰史; Sugiharuto; 宮下 敦巳; 楢本 洋
Thin Solid Films, 401(1-2), p.88 - 93, 2001/12
被引用回数:128 パーセンタイル:96.92(Materials Science, Multidisciplinary)光触媒材料である二酸化チタン(TiO)では、光触媒特性の向上を目的にルチル及びアナターゼ構造の高品質なエピタキシャル膜の作製が必要とされている。本研究では、レーザ蒸着法によりルチル及びアナターゼ構造のTiO
のエピタキシャル成長を試み、種々の基板と膜との結晶方位関係、基板温度と膜の結晶性の関係を明らかにすることを目的とした。TiO
膜は、低圧酸素雰囲気下でNb-YAGを用いたレーザ蒸着法によりSrTiO
,LaAlO
,LSAT,YSZ,
-Al
O
,などの単結晶基板上に約200nmの膜厚で作製した。TiO
膜は、X線回折とラザフォード後方散乱/チャネリング法により構造評価を行った。その結果、基板温度が約500
でアナターゼ構造の高品質なTiO
(001)膜がLaAlO
(001), LSAT(001), SrTiO
(001)基板上に成長でき、基板との格子整合が膜の結晶性に影響することを明らかにした。また、
-Al
O
(0001)及び(10
0)基板上にルチル構造のTiO
(100)及びTiO
(001)膜を作製することができた。
阿部 弘亨; 山本 春也; 宮下 敦巳; Sickafus, K. E.*
Journal of Applied Physics, 90(7), p.3353 - 3358, 2001/10
被引用回数:12 パーセンタイル:49.16(Physics, Applied)銅基板への炭素イオン注入による同心球状炭素集合体(カーボンオニオンやナノカプセル)の形成過程を、電子顕微鏡法によって明らかにした。オニオンは稠密な炭素クラスタであるのに対し、ナノカプセルは、ほとんどが中心に空隙を有するものであり、銅微粒子への高温電子照射実験から、微粒子(微細結晶粒)周辺でのグラファイト層形成と内包金属の放出により形成されることを明らかにした。また、カプセルとオニオンの形成過程を、注入温度や注入線量及び基板結晶性の関数として整理し、形成メカニズムのモデルを構築した。一つは結晶粒界におけるカプセル形成で、もう一つは粒内におけるフラーレンに相当する炭素集合体を核としたオニオン形成である。後者には4原子%程度の炭素の蓄積と、注入炭素あたり15回程度のはじき出しが必要であるということがわかった。