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柏木 啓次; 宮脇 信正; 倉島 俊; 奥村 進
Proceedings of 12th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.703 - 705, 2015/09
原子力機構高崎量子応用研究所では、AVFサイクロトロンの加速可能位相空間領域(アクセプタンス)に入射ビームの位相空間領域(エミッタンス)を重ね合わせて加速ビーム電流を最大にする入射調整のために、エミッタンスとアクセプタンスを計測する装置を開発した。本装置による測定結果を基にしたビーム入射調整が加速ビーム電流の増加に有効であることを確かめるため、測定したエミッタンスとアクセプタンスを2台のステアリング電磁石を用いてそれぞれ位相平面上で平行移動させ、エミッタンスの高輝度部にアクセプタンスの高透過率部を重ね合わせて加速ビーム電流を測定する試験を行った。具体的には、まず任意位置への平行移動を可能にするため、エミッタンス・アクセプタンス測定位置の直前・直後の2台のステアリング電磁石の励磁電流とエミッタンス及びアクセプタンスの位相平面座標の変化を測定し、位相平面上の軌道及び偏向角と励磁電流の関係を明らかにした。次に、この関係を用いて、測定したエミッタンスの高輝度部とアクセプタンスの高透過率部を重ね合わせるようにステアリング電磁石の励磁電流を設定し微調整を行った。その結果、加速ビーム電流を調整前と比べて有意に増加(約30%)させることができた。以上より、エミッタンス・アクセプタンス測定結果を基にした調整が有効であることを確認した。
湯山 貴裕; 石堀 郁夫; 倉島 俊; 吉田 健一; 石坂 知久; 千葉 敦也; 山田 圭介; 横山 彰人; 薄井 絢; 宮脇 信正; et al.
Proceedings of 12th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.302 - 304, 2015/09
日本原子力研究開発機構のイオン照射施設TIARAでは4台の加速器により、材料・バイオ技術の研究開発への利用を主として、広範囲のエネルギー及び多様なイオン種のビームを提供している。本発表では2014年度のTIARAの稼働状況、保守・整備及び技術開発を報告する。保守・整備及び技術開発の主要な内容を以下に示す。サイクロトロンの高周波系において、ショート板用接触子に焼損が発生したため、接触子の交換及び焼損箇所の研磨を行うことで復旧させた。原因調査の結果、経年劣化によりフィードバックケーブルが断線しかかっていたため、不必要な高電圧が印加されたことが原因と判明した。サイクロトロン制御システムに関して、サポートが停止されたWindows XPをWindows 7に変更し、これに伴い制御システムを更新するとともに、トレンドグラフのログデータ保存機能、操作画面上の制御対象一括選択機能の付加など、各種機能を向上させた。Cイオンビームの計測に関して、複雑な二次荷電粒子を生成するCイオンビームの正確な電流測定のために、サプレッサー電極の構造を改良することで二次荷電粒子を十分捕集するファラデーカップを開発した。
宮脇 信正; 福田 光宏*; 倉島 俊; 柏木 啓次; 奥村 進
Proceedings of 12th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.706 - 708, 2015/09
サイクロトロンのビームエネルギー幅を狭くすることは、ビーム引出し効率の改善やマイクロビーム等のビーム応用に必要である。一般にサイクロトロンでは、ビームの位相幅を狭くすることでビームのエネルギー幅を狭くでき、そのためには位相制限スリットによるビーム位相幅の制限が有効である。そこで、幾何軌道解析モデルを構築してビーム位相幅の制限に必要な半径方向のビーム位置と位相の関係を定式化した。このモデルの正しさを実証するため、JAEA AVFサイクロトロンにおいて、位相制限スリットの半径方向の位置と通過したビームの位相分布の関係を測定し、モデル計算の結果と比較した結果、両者はほぼ一致した。これにより、加速ハーモニックス()1ではスリット位置に依存してビーム位相とその幅が変化するが、=2では最初の加速の位相差による電圧差でビーム位相幅が圧縮する位相バンチング効果が生じてスリット位置の変化に伴うビームの位相とその幅の変化が小さくなることが分かった。ビーム位相幅を狭くするためには、毎に位相制限スリットの半径方向の位置とビーム位相分布の関係に基づいてスリット位置を変更する必要があることが判明した。
宮脇 信正; 倉島 俊; 柏木 啓次; 奥村 進; 福田 光宏*
Proceedings of 13th International Conference on Heavy Ion Accelerator Technology (HIAT 2015) (Internet), 3 Pages, 2015/09
Phase bunching in the central region of the JAEA AVF cyclotron for heavy ion acceleration in the third-harmonic mode ( = 3) was studied using both calculation with a simplified geometric trajectory model and measurement of an internal beam phase distribution. The phase bunching for = 3 was compared with that for = 2, where the geometric condition of the central region differs from that for the former. The result of measurement shows that the phase bunching for = 3 was equivalent to that for = 2 when a beam buncher was not used before the acceleration. When the beam buncher was active, however, the phase width for = 3 was larger than that for = 2. The analyses using both the calculation and the measurement indicates that, in order to enhance the phase bunching for = 3, it is necessary to modify the geometric condition of the central region and to increase the ratio of a peak dee-voltage to an extraction voltage of an ion source, which is one of the parameters determining the phase bunching performance.
倉島 俊; 宮脇 信正; 柏木 啓次; 福田 光宏*
Proceedings of 13th International Conference on Heavy Ion Accelerator Technology (HIAT 2015) (Internet), 3 Pages, 2015/09
TIARAサイクロトロンでは、イオン種の短時間切換を目的としてカクテルビーム加速技術を開発し、半導体の耐放射線評価試験などに利用している。この技術では、電荷質量比(M/Q)のほぼ等しい複数のイオン種を同時に入射し、サイクロトロンの高いM/Q分解能 (M/Q)/(M/Q)を利用して単一のイオン種のみを取り出す。今回、カクテルビーム加速技術とビームチョピング技術を組み合わせM/Q分解能を向上させた。これまでサイクロトロンで分離できなかった複数のイオン種について、入射ビームラインのパルス電圧型ビームチョッパーを用いて約1RF周期のパルスビームを入射した場合、加速周波数と回転周波数が同期したイオン種がまず最初に取り出され、取り出し対象外の不純物イオン種はエネルギーゲインが低いために遅れて取り出される。サイクロトロン後段のビームチョッパーを高周波数の正弦波電圧型から低周波数のパルス電圧型に置換え、遅れて取り出される不純物イオンを取り除くことにより対象とするイオン種のみを分離することに成功した。現在までにArとArの分離に成功しており、M/Q分解能はこれまでの3,300から25,000へと大幅に向上した。
倉島 俊; 宮脇 信正; 柏木 啓次; 奥村 進; 田口 光正; 福田 光宏*
Review of Scientific Instruments, 86(7), p.073311_1 - 073311_8, 2015/07
被引用回数:13 パーセンタイル:50.70(Instruments & Instrumentation)2台のビームチョッパーを用いた原子力機構TIARAのサイクロトロンのシングルパルスビーム形成技術について、ビームの高品位化や高強度化を目的とした改良を実施した。具体的には、マルチターン取り出しに起因する不要ビームパルスを減らすために、ビーム位相幅制御や加速位相を高精度に制御する技術を導入するとともに、正弦波電圧型と鋸歯状波電圧型のビームバンチャーを組み合わせて使用することで、シングルパルスビームの強度を2倍以上に増強することに成功した。その結果、高強度のメインビームパルス以外の不要ビームパルスの混入による質の低下は0.1%以下に抑制され、TIARAサイクロトロンの110の非常に高い磁場安定度と相俟ってこれまでは実現できなかったユーザへの長時間のシングルパルスビーム提供が可能になった。このシングルパルスビームの実用化は、シンチレータの時間プロファイルの解明や中性子の飛行時間計測など、各種実験の精度を向上することに貢献している。
宮脇 信正; 福田 光宏*; 倉島 俊; 柏木 啓次; 奥村 進; 荒川 和夫*; 神谷 富裕
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 767, p.372 - 378, 2014/12
被引用回数:3 パーセンタイル:26.84(Instruments & Instrumentation)A new technique was developed for evaluating the phase bunching performance in the central region of a cyclotron. The performance in the JAEA AVF cyclotron was evaluated by measurements of the internal beam phase distribution with the beam buncher phase. The developed phase distribution measurement system for the internal beam comprised of a newly-developed radial probe with a plastic scintillator and the signal-processing modules. The small plastic scintillator with 6-mm width and 5-mm height had sufficiently high time resolution of 45 ps full-width at half-maximum for evaluating the phase bunching performance. The internal beam phase width was compressed to less than a half of the injected beam phase width in the acceleration harmonic number = 2 for a 260-MeV Ne beam, and the phase bunching effect was observed. On the other hand, the internal beam phase width was larger than the injected beam phase width in = 1 for a 107-MeV He beam and no evidence of the phase bunching effect was observed. These results were consistent with the calculation result of the theoretical geometric trajectory analysis.
柏木 啓次; 宮脇 信正; 倉島 俊; 奥村 進
Proceedings of 11th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1186 - 1188, 2014/10
高崎量子応用研究所では、AVFサイクロトロンのビーム透過率を最大にするための入射調整のツールとして、入射ビームのエミッタンスとサイクロトロンのアクセプタンスを計測する装置を開発している。アクセプタンスは、ビームを位相平面上の微小な領域に区切ってサイクロトロンに入射し、引出部直前の電流モニターで検出することで測定される。この微小なビームは、2組のスリットによって入射ビームの位置と角度範囲を制限して形成される。しかし、入射ビームのエミッタンスはアクセプタンス全体の領域をカバーしていないため、これまで計測されたアクセプタンス領域はその一部のみであった。そこで、アクセプタンス全体を計測するため、ビームのエミッタンスを実効的に拡大して計測範囲を広げる方法を開発した。本方法ではソレノイドレンズによってビームを位相平面上の位置方向に広げ、ステアリング電磁石によってそのビームを角度方向に走査することによりエミッタンスを実効的に広げる。様々な形状のエミッタンスに対して最適な走査を行うために、ステアリング電磁石のビーム偏向角は、それぞれ実測したエミッタンス形状を基に算出する方法を採用した。本方法の実証試験の結果、エミッタンスを実効的に12倍に拡大し、全アクセプタンスを測ることに成功した。
宮脇 信正; 福田 光宏*; 倉島 俊; 柏木 啓次; 奥村 進; 荒川 和夫*; 神谷 富裕
Proceedings of 11th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1179 - 1181, 2014/10
JAEA AVFサイクロトロンの中心領域の位相バンチング効果(数RF度の加速位相幅内にビームを縮小する効果)の大きさを調べるために開発したビーム位相分布測定システムの性能評価を目的として、その時間分解能を調べた。本測定システムはイオンビームをプラスチックシンチレーターで検出して、その発光の時間分布からビーム位相を導出するため、分解能にはビームそのものの時間的空間的広がりの影響が含まれる。そこで、パルスレーザーを用いてビームによるシンチレーション光を模擬し、また、シンチレーター中の光路差による時間差を計算により求め、システム固有の分解能を求めた。具体的には、長さ6mmのシンチレーター先端の軸方向からレーザーを入射し、その出力信号とレーザーのトリガー信号の時間差を測定した。その結果、本システムの時間分解能は44.3psFWHM以下であった。これは、最高加速周波数22MHzの1RF度に相当する126psより小さいため、必要性能を満たすことを確認した。また、光ケーブル内の光路差による分解能への影響を評価するため、レーザーの入射角を軸に対して数度ずらした測定を行った。その結果、光路差によって時間差の幅が最大1.5倍になることから、光路差を減少させるため光ケーブルと同径のシンチレーターの使用が適切であることがわかった。
横田 渉; 佐藤 隆博; 神谷 富裕; 奥村 進; 倉島 俊; 宮脇 信正; 柏木 啓次; 吉田 健一; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; et al.
JAEA-Technology 2014-018, 103 Pages, 2014/09
日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所のイオン照射研究施設(TIARA)では、イオンビームを利用する主要な研究課題である生物細胞放射線影響評価研究と宇宙用半導体耐放射線性評価研究を推進するため、TIARAのサイクロトロンで加速した数百MeV重イオンビームを磁気レンズで集束させて直径1m以下のマイクロビームに形成する技術を世界で初めて実現した。更に、これを用いて1個のイオンをビーム径の空間精度で照準するシングルイオンヒットを可能にした。この過程で、TIARAの静電加速器で完成した数MeVイオンのマイクロビーム形成・シングルイオンヒット技術を活かしたビーム集束装置、ビーム照準・計測技術や、1mへの集束に必要なエネルギー幅の狭い数百MeV重イオンビームを加速するためのサイクロトロンに特有な技術を開発した。また、開発途中に利用研究の実験に試用することにより、本技術の適用性を適宜評価しその改良を行うことで、利用研究の試用実験を軌道に乗せることができた。本報告書は、およそ10年に亘るこれらの技術・装置開発の過程及び成果を、試用実験における評価とともにまとめたものである。
倉島 俊; 宮脇 信正; 奥村 進
放射線, 40(2), p.99 - 103, 2014/06
サイクロトロンではイオンの加速に数十MHzの高周波電圧を用いるため、加速後のビームは時間構造が同じ周波数の連続パルスである。放射線化学におけるパルスラジオリシスの実験や、ターゲットから発生する二次粒子の飛行時間計測実験などでは、マイクロからミリ秒の繰り返し周期の長いパルスイオンビームが求められる。サイクロトロンの上流側と下流側に設置した2台のビームチョッパーを併用してビームパルス数を大幅に間引き、シングルパルスビームを形成するためには、サイクロトロンのマルチターン取り出しの回数を従来よりも削減する技術が必要であった。そこで、加速位相の高精度制御や磁場高安定化などの技術開発を行い、マルチターン取り出しの回数をパルスビーム形成に必要な5回以下まで削減することに成功した。この技術開発の結果、プロトンから重イオンビームまで様々なイオンビームについてシングルパルスビームをユーザへ定常的に提供することが可能となった。
宮脇 信正; 福田 光宏*; 倉島 俊; 柏木 啓次; 奥村 進; 荒川 和夫*; 神谷 富裕
Proceedings of 10th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.500 - 502, 2014/06
サイクロトロンの初期ビーム加速における位相バンチングの発生条件を明らかにすることを目的に、一様磁場中の荷電粒子の軌道から生じる位相差を導出する計算手法を構築した。この手法を用いて位相バンチングについて解析した結果、位相バンチングの強弱は、ディー電極の開き角、第1加速ギャップから第2加速ギャップの間の開き角、加速ハーモニック数(H)、加速電圧のピーク値とイオン源の引出し電圧の比の4つのパラメーターの組合せで変化することを明らかにした。JAEA AVFサイクロトロンにおけるこれら4つのパラメーターを用いて位相バンチングの計算を行った結果、計算値と測定値がよく一致したことから、構築した手法の妥当性が裏付けられた。
横田 渉; 佐藤 隆博; 奥村 進; 倉島 俊; 宮脇 信正; 柏木 啓次; 吉田 健一; 江夏 昌志; 横山 彰人; 加田 渉*; et al.
JAEA-Review 2013-059, JAEA Takasaki Annual Report 2012, P. 160, 2014/03
原子力機構のTIARAサイクロトロンのHXコースに設置された重イオンマイクロビーム用高速シングルイオンヒットシステムにおいて、マイクロビーム及びシングルイオンヒットの質や利便性を向上させる技術開発を継続して行った。シングルイオンヒット位置のリアルタイム検出技術の開発では、増幅率810の超高感度EMCCD(Electron Multiplying CCD)カメラと光学顕微鏡とを組合せて感度と集光率の双方を高めた検出システムを構築して、シングルイオンによるCaFのシンチレーションの位置検出をリアルタイムで可能にし、目的を達成した。また、SEM(Secondary Electron Microprobe)を用いた従来方式では2次電子放出率が低いために計測できない320MeV-Cビームの大きさを、本システムを用いた調整により10m10mに集束することに初めて成功した。
宮脇 信正; 倉島 俊; 柏木 啓次; 奥村 進; 吉田 健一; 百合 庸介; 湯山 貴裕; 石坂 知久; 石堀 郁夫; 奈良 孝幸
JAEA-Review 2013-059, JAEA Takasaki Annual Report 2012, P. 158, 2014/03
A phase bunching effect in the central region of the JAEA AVF cyclotron has been investigated to obtain a narrow beam phase width necessary for extraction of a low energy spread beam. Simulation of a beam trajectory in the central region indicated that phase bunching was generated for the acceleration harmonic number () 2 and 3. The beam phase distribution of a 260 MeV Ne ( = 2) beam in the cyclotron was measured in order to experimentally confirm the phase bunching effect. As a result, reduction of the phase distributions from 18.9 to 4 RF degrees was observed as consistent with the calculation results.
宮脇 信正; 柏木 啓次; 倉島 俊; 奥村 進; 福田 光宏*
Proceedings of 20th International Conference on Cyclotrons and their Applications (CYCLOTRONS 2013) (Internet), p.350 - 352, 2014/03
Phase bunching generated in the central region of an AVF cyclotron was analysed by a simplified geometric trajectory model for particles travelling from the first to the second acceleration gap. At the JAEA AVF cyclotron, phase bunching was realized for the acceleration harmonic number (h) 2 and 3. The geometric conditions of phase bunching for h = 1 were unrealistic for the case of the JAEA AVF cyclotron with an 86 degree dee electrode. The phase difference at the second acceleration gap for an initial particle phase width of 40 RF degrees, estimated by the geometric trajectory analysis, was reduced to 8.9 RF degrees for h = 2 and 27.7 RF degrees for h = 3, but expanded to 43.7 RF degrees for h = 1. The reduction of the phase width was consistent with the results obtained by orbit simulations. The practical phase bunching was demonstrated by the phase width measurement for an internal beam of the JAEA AVF cyclotron.
倉島 俊; 柏木 啓次; 宮脇 信正; 吉田 健一; 奥村 進
Review of Scientific Instruments, 85(2), p.02A725_1 - 02A725_3, 2014/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Instruments & Instrumentation)原子力機構サイクロトロンは、プロトンからオスミウムまで様々なイオンを加速してバイオ技術や材料科学の研究にイオンビームを提供する。ユーザが求めるビーム電流量は、同一イオン種、同日内の実験においてもAからAまでと幅広い。各実験においては、必要なビーム電流を確保した上で長時間の安定性が求められ、素早いイオン源の再調整が必要である。しかし、イオン源出口において電流量を2倍にしてもビームの輸送効率が低下するためユーザの要求する電流が得られない場合があった。この原因を探るため、イオン源の再調整に伴う輸送効率の変化を調べた。また、ビーム入射ラインに設置したエミッタンス・アクセプタンスモニタを使用して、加速器側との位相空間上のマッチングを調べた。この結果、イオン源の再調整に伴いエミッタンスやビーム強度のピーク位置が変化し、サイクロトロンのアクセプタンスとのマッチングが悪化することが分かった。そこで、アクセプタンス測定値に基づき入射ラインのステアラー電磁石を再調整し、マッチングを向上させた結果、ユーザの要求するビーム電流量を得ることができた。
柏木 啓次; 宮脇 信正; 倉島 俊; 奥村 進
Review of Scientific Instruments, 85(2), p.02A735_1 - 02A735_5, 2014/02
被引用回数:2 パーセンタイル:11.13(Instruments & Instrumentation)A transverse beam emittance and acceptance measurement system has been developed to visualize the relation between the injected beam emittance and the acceptance of a cyclotron. The system is composed of two pairs of slits for horizontal and vertical phase-space selection, a beam intensity detector downstream of the slits for emittance measurement and a beam intensity detector in the cyclotron for acceptance measurement. The emittance is obtained through measuring beam intensity distribution by scanning the slits. The acceptance is obtained through measuring the distribution of relative transmission by injecting small emittance beams with scanning the slits. In the acceptance measurement, the beam from an ion source is deflected using a steering magnet upstream of the slits so that the effective emittance covers the entire acceptance to be measured. Measurements tests were carried out for a O beam injected at 50.2 keV and accelerated to 160 MeV. The emittance of the injection beam and the acceptance for the accelerated beam at the entrance of the extraction deflector were measured. The typical values of emittance and acceptance were 59 mm mrad and 112 mm mrad respectively. The relation between emittance and the acceptance was successfully visualized by displaying them overlapped in the same phase-plane.
本橋 健次*; 齋藤 勇一; 宮脇 信正; 松尾 祐太郎*
Japanese Journal of Applied Physics, 52(7), p.076301_1 - 076301_6, 2013/07
被引用回数:4 パーセンタイル:18.21(Physics, Applied)The transmission properties of a 4-MeV C ion beam entering a narrow gap between a pair of convex and concave glass rods facing each other are investigated in order to inspect the possibility to guide the ion beam with the tilting curved gap. The curvature of both rods was R = 155.70 mm, the gap was 1.2 mm. The entire setup can be tilted around the z-axis passing through the center of the gap at the entrance side. The tilt angle was defined positive for clockwise rotation. The ion transmission of 42-59% obtained at a tilt angle = 3 was 20-30 times larger than the value of 2% estimated from the cross section of the narrow gap. About 10% of the ions transmitted even at = 3.4 in which almost no ions can pass through the gap without interacting with the cylindrical glass surfaces, according to the results of laser-transmission experiment. No significant loss in their initial energies was observed in the angular range of -3 +3.4. These results show an evidence of a guide effect of the carved gap to swift heavy ion beams.
宮脇 信正; 福田 光宏*; 倉島 俊; 柏木 啓次; 奥村 進; 荒川 和夫*; 神谷 富裕
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 715, p.126 - 131, 2013/07
被引用回数:2 パーセンタイル:19.64(Instruments & Instrumentation)一般的なサイクロトロン中心領域における第1から第2加速ギャップまでの単純化した荷電粒子の幾何軌道解析によって、位相バンチングが最も効果的に起きる条件を次の(1)から(4)のように定量的に明らかにし、この妥当性をJAEA AVFサイクロトロンの軌道シミュレーションによって評価した。(1)第1加速ギャップへの入射粒子の位相差が第2加速ギャップで縮小する位相バンチングは、加速ハーモニックス、ディー電極の開き角、第1から第2加速ギャップまでの開き角、サイクロトロンのピーク加速電圧とイオン源の引出し電圧の比の4つのパラメーターの組合せに依存する。(2)位相バンチングに対するの最適値は、90/+/2 180/+/2とsin 0であるとの間の関係によって制限される。(3)2 4の場合に40RF度の初期位相差に対して、第2加速ギャップでの位相差を最小化できる。(4)サイクロトロン中心から粒子の入射位置を通る直線に対する第1加速ギャップの傾きは、第2加速ギャップに到達する粒子のRF位相に寄与するが、位相バンチングにほとんど影響しない。これらは、JAEA AVFサイクロトロンに対する軌道シミュレーションの結果と良く一致し、本解析の妥当性が確認できた。
倉島 俊; 奥村 進; 宮脇 信正; 柏木 啓次; 佐藤 隆博; 神谷 富裕; 福田 光宏*; 横田 渉
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 306, p.40 - 43, 2013/07
被引用回数:2 パーセンタイル:19.64(Instruments & Instrumentation)TIARAのサイクロトロンでは、重イオンを用いたマイクロビーム照射実験が行われる。マイクロビーム形成装置として、集束方式とコリメーション方式によるものが備わっており、調整が比較的容易な後者については、炭素,ネオンやアルゴンなど一連のイオンビームを用いた細胞照射実験が頻繁に行われている。サイクロトロンの調整には3時間を要するが、一回の照射実験は1.5から3時間程度と短い。スケジュール管理によりサイクロトロン調整時間を削減しているが、それにも限界がある。カクテルビーム加速により調整時間を減らすことに成功したが、同一の質量電荷比(M/Q)を持つイオン以外へは切換できない。そこで、マイクロビーム照射で使われる重イオンビームを短時間で切り換えるために、スケーリング手法を新たに導入した。この手法は、イオンのM/Qが異なる場合でもビームの磁気剛性が一定になるように調整することで同一のレンズパラメータによりビームの輸送を可能にする。サイクロトロン本体ではイオン種ごとに磁場分布の再形成が必要となるが、ビーム位相自動計測システムを開発して調整時間を短縮した。炭素220MeVを基準ビームとしてスケーリング法による加速実験を行い、ネオン255MeV, 335MeV及びアルゴン440MeVビームへそれぞれ20分程度の調整時間で切り換えることに成功した。