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熊田 高之; Shevtsov, V.*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎
Journal of Chemical Physics, 113(4), p.1605 - 1608, 2000/07
被引用回数:4 パーセンタイル:12.01(Chemistry, Physical)固相における放射線分解過程は、特有の拡散、緩和機構により、気相とは異なる様相を示す。われわれはX線照射した固体水素中に生成する水素原子収量の圧力依存性を見ることで、放射線分解過程が固相中でどのように進行するかを調べた。その結果、収量は圧力とともに減少し、22MPaにおいては0MPaに比べて約半分になっていることを見いだした。以上の結果は圧力によりかご効果が強くなったため、放射線分解過程における水素原子解離反応が起きにくくなったためであると考えられる。
Shevtsov, V.*; 熊田 高之; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎
Chemical Physics Letters, 319(5-6), p.535 - 541, 2000/03
被引用回数:14 パーセンタイル:40.21(Chemistry, Physical)5K以上の固体水素中における粒子のトンネル拡散は固体中に熱的に生成する空孔によって引き起こされ、拡散速度は空孔の数により決定されると言われてきた。しかしながら空孔の存在を示す直接的な証拠はなかった。そこでわれわれは空孔数が圧力により定量的に制御できる点に着目し、X線照射により固体水素中に生成した水素原子の拡散に伴う再結合速度の圧力依存性をESRを用いて観測することで、再結合速度から決定される水素原子の拡散速度と空孔との関係を調べた。その結果、圧力の上昇に伴い再結合速度は減少し、22MPa下において0MPa下の約1/1000になることを見いだした。また、再結合速度の圧力依存性と空孔数のそれとが定量的に一致することから、固体水素中における水素原子の拡散が空孔を媒介して引き起こされていることを明らかにした。
熊田 高之; 野田 知克*; 熊谷 純*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎
Journal of Chemical Physics, 111(24), p.10974 - 10978, 1999/12
被引用回数:10 パーセンタイル:30.71(Chemistry, Physical)固体HD及びD中におけるH及びD原子の捕捉サイトを電子スピンエコー法を用いて調べた。解析の結果、すべてのH及びD原子は置換型サイトに捕捉されること、またH原子周囲のHD及びD
分子は0.15
程度外側に押し出されていることを見いだした。置換型サイトに捕捉されるのは水素原子-分子間の相互作用と水素分子間の相互作用がほぼ等しく、最初に挿入型サイトに捕捉された水素原子もゼロ点運動によって容易に平衡距離に緩和するためと考えられる。H原子の周囲のHD及びD
分子が押し出されるのはそのゼロ点運動の振幅がH原子の場合特に大きいためであると考えられる。これらの捕捉サイトに関する実験結果は、固体水素中におけるトンネル反応D+DH
D
+Hにおいて実験的に観察した気相論で説明できない反応速度定数の温度依存性が、固体HD中におけるH原子周囲ひずみによって引き起こされている可能性によることを示唆している。
熊田 高之; 北川 尚紀*; 森 昇治*; 熊谷 純*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Journal of Low Temperature Physics, 114(5-6), p.413 - 429, 1999/00
固体パラ水素中に生成したHアニオンは、固体水素の量子性を反映した非古典的減衰挙動を示す。本論文において、その減衰機構とそれに伴うH
アニオンの量子拡散挙動を解明した。実験の結果、減衰速度が(1)Hやカチオンの濃度ではなくHDのそれに比例する、(2)添加したNeの量にも比例する、(3)3K以下では温度とともに正比例的に増加、3-5Kにおいては逆に減少、5K以上では指数関数的に増加することを新たに見いだした。これらはそれぞれ、(1)H
の減衰がカチオンとの中和やH原子への電子移行反応:H
+H
H
+H
ではなく、HDとの反応によること、(2)拡散種はHDではなくH
であること、(3)3K以下、3-5Kの結果はそれぞれ、one-phonon relaxation,two-phonon assistを伴った量子拡散過程によりH
が固体中を拡散していることを示している。特に3-5Kの温度依存性の逆転は、Meyerovich等が提唱するBiased Diffusionによるものであると思われる。
熊田 高之; 森 昇治*; 熊谷 純*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Journal of Physical Chemistry A, 103(45), p.8966 - 8968, 1999/00
被引用回数:13 パーセンタイル:38.48(Chemistry, Physical)固体パラ水素(p-H)中に捕捉されたラジカル種のESRスペクトルは、マトリックス中の核スピンによる局所的な磁気摂動がないために、高感度、高分解能で測定される。われわれはこのような特徴を生かして、
線照射した固体para-H
-D
(HD)混合系中に、高感度、高分解能のエレクトロンバブルのESRスペクトルを得ることに成功した。このエレクトロンバブルは、para-H
中のD
(HD)の濃度が大きいほど多くの収量が得られ、逆にこれらの同位体不純物を含まない純粋なpara-H
中では観測されない。以上のことから、エレクトロンバブルは固体中のD
(HD)が作るひずみにトラップされていると考えられる。また、減衰速度が温度にほとんど依存しないことから、量子力学的トンネリングにより拡散、消滅していることが示唆される。
宮崎 哲郎*; 荒殿 保幸; 市川 恒樹*; 塩谷 優*
JAERI-Conf 98-014, 99 Pages, 1998/10
1998年8月3,4日に開催した、先端基礎研究センター主催の第4回低温化学セミナーのプロシーディングスである。トンネル反応の理論を中心に11件の講演がまとめられている。
宮崎 哲郎*; 荒殿 保幸; 市川 恒樹*; 塩谷 優*
JAERI-Conf 98-002, 101 Pages, 1998/02
1997年10月13,14日に開催した第3回低温化学セミナーのプロシーディングスである。今回の主題は「トンネル反応と量子媒体」であり、物理、化学分野からの14件の講演がまとめられている。
熊田 高之; 北川 尚紀*; 野田 知克*; 熊谷 純*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Chemical Physics Letters, 288(5-6), p.755 - 759, 1998/00
被引用回数:28 パーセンタイル:65.22(Chemistry, Physical)固体水素中におけるH原子の捕捉の研究は、固体水素の量子固体としての物性を研究する上のみならず、固相中における原子引き抜きトンネル反応:H+H
H+H
を理解する上でも大変興味深い。今回、我々は新たにENDOR(電子、核二重共鳴)法を用い、
線照射した4.2K固体水素中に生成したH原子の捕捉状態を調べた。ENDORスペクトルの解析結果から、H原子は固体水素中の置換型サイトのみに存在すること、また、その最近接のオルソ水素分子はパラ水素に変換されることが確かめられた。前者はH-H
間の分子間力がH
-H
間のものと同等であること、後者は近接のオルソ水素がH原子の不対電子により禁制がやぶられパラ水素に変換されたことを示したものである。ENDOR法を用いることでこのように固体水素中の微視的情報が直接的に得られた。
熊田 高之; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Journal of Low Temperature Physics, 111(3-4), p.509 - 514, 1998/00
この論文はHアニオンの今までの成果をまとめたオートレビューである。一般の固定水素と比べ、パラ水素をアイソレーションマトリックスとして用いると、捕捉されたラジカルのESRスペクトルの分解能が大幅に改善される。われわれはこのパラ水素マトリックス中を用いH
アニオンの観測に初めて成功した。またH
分子とは逆に、このH
は極低温でパラ
オルソ変換が起きていることが確認された。この逆方向の変換はH
分子とH
アニオン中のプロトンの交換に対する波動関数の対称性から説明される。
黒崎 譲*; 高柳 敏幸; 宮崎 哲郎*
Journal of Molecular Structure; THEOCHEM, 452, p.209 - 218, 1998/00
2,3-ジメチルブタンカチオン((CH)
CHCH(CH
)
,h-DMB
)からのH
脱離反応に対し、非経験的分子軌道計算を行った。構造最適化はUMP2/6-31G(d)レベルで行い、1点エネルギー計算をUMP3/6-31G(d)及びUMP4(SDTQ)/6-31G(d)レベルで行った。その結果、この反応は障壁が22-24kcal/molで26-29kcal/mol発熱的であることが予測された。非経験的分子軌道計算から得られたデータを用い、遷移状態理論に基づいて量子力学的(トンネル)効果を考慮した熱反応速度定数を求めると、h-DMB
の反応の速度定数は77Kで約10
s
と予測された。h-DMB
において、脱離するH
をD
で置換したカチオン(d-DMB
)の反応の速度定数は77Kで約10
s
と計算された。このことから、h-DMB
からのH
脱離反応にはトンネル効果が重要であることが示唆される。一方、h-DMB
の反応速度定数に対する実測値は約12桁も大きい。これは量子化学計算のレベルがまだ低いことを示唆する。
荒殿 保幸; 松本 拓郎*; 高柳 敏幸; 熊田 高之; 駒口 健治*; 宮崎 哲郎*
Journal of Physical Chemistry A, 102(9), p.1501 - 1506, 1998/00
被引用回数:13 パーセンタイル:40.12(Chemistry, Physical)超・常流動He-
He媒体中でのトリチウム原子と水素同位体分子とのトンネル引抜反応、T+HD(DH)
HT(DT)+D(H)及びT+H
(D
)
HT(DT)+H(D)、を実験(1.3K)・理論の両面から検討した。実験から得たH
,D
系での大きい同位体効果(~150)やHD系からの~200同位体効果及びこれらと理論計算との比較を行い、反応過程としてファンデルワールスコンプレックス形成を伴うトンネル引抜反応機構を提案した。
駒口 健治*; 熊田 高之; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Chemical Physics Letters, 268(5-6), p.493 - 497, 1997/00
被引用回数:15 パーセンタイル:47.03(Chemistry, Physical)低温固体アルゴンマトリックス中で、トンネル反応(HD+DH+D
)に直接関与する水素原子-水素分子対をESR観測することに成功した。20Kにおける水素原子のESRスペクトルとは、分離幅約0.06mTの等方的な9本線からなる極超微細構造が現れた。このスペクトル線形は、H原子-水素分子対(H-HDまたはH-D
)で説明可能である。この極超微細構造から、トンネル反応が起こるときの水素原子-水素分子間距離として、0.173nmが評価できた。
熊田 高之; 稲垣 裕久*; 北川 尚紀*; 駒口 健治*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Journal of Physical Chemistry B, 101(7), p.1198 - 1201, 1997/00
被引用回数:12 パーセンタイル:40.04(Chemistry, Physical)固体パラ水素に線照射することによって生成した、H
アニオンの減衰に、核スピン状態による違いがみられた。これは減衰過程においてパラH
からオルソH
へ核スピン状態の変換が同時に起きていることを示唆する。またこの変換は、等核2分子中での波動関数の反対称性の要請によって説明できることがわかった。他に、H
アニオンの減衰機構、また固体水素中での拡散についても同時に論じる。
宮崎 哲郎*; 熊田 高之; 駒口 健治*; 荒殿 保幸
Radiation Physics and Chemistry, 50(6), p.523 - 526, 1997/00
被引用回数:5 パーセンタイル:42.40(Chemistry, Physical)最近、固体HD中におけるトンネル反応HD+DH+D
の反応速度定数は、反応障壁を持たないトンネル反応系であるにもかかわらず、5K以上で急速に増加することがわかった。この温度依存性は、反応系の局所的運動のしやすさを表すパラメーターである、固体中の空孔生成エネルギーを視野に入れ解析することでうまく説明されることがわかった。同様に、固体中のアルカン系及びエタノール系についても、反応系の局所的運動を視野に入れることで固相特有の温度依存性が説明できる。このモデルは気相・液相論と異なる固相反応特有の反応論を展開するうえで、反応系の局所的運動がひとつの重要な要素となることを示唆するものである。
宮崎 哲郎*; 荒殿 保幸
JAERI-Conf 96-015, 74 Pages, 1996/11
1996年8月22日、23日に開催した第2回低温化学セミナーのプロシーディングスである。今回の主題は、「トンネル反応と生物効果」であり、理学、医学、薬学分野からの12件の講演がまとめられている。
熊田 高之; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Chemical Physics, 212(1), p.177 - 182, 1996/00
被引用回数:4 パーセンタイル:17.07(Chemistry, Physical)線照射後の4.2K固体D
(H
-1mol%)中のD及びHラジカル量の時間依存性を、ESRを用いて190分にわたり測定した。この実験結果に反応速度式から求まる理論値をフィッティングしたところ、トンネル引き抜き反応:H
+D
H+HDに反応速度が100倍以上異なる、2種類の反応の存在を確認した。これは今までの気相モデルの理論計算では説明の及ばない新しい実験結果であり、固相反応特有の現象として説明した。
宮崎 哲郎*; 藤谷 善照*; 柴田 真佐男*; 笛木 賢二*; 正木 信行; 荒殿 保幸; 佐伯 正克; 立川 圓造
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 65, p.735 - 738, 1992/03
被引用回数:4 パーセンタイル:34.45(Chemistry, Multidisciplinary)反跳トリチウム原子(T)の反応を、77Kと4.2KのXe-H-O
混合系において研究した。T原子の反応が、77Kにおいて
線線量率が非常に低い中性子照射により起きるとき、HTとDTの生成率において大きな同位体効果(k
/k
~7)を観測した。T原子の反応が、77K
線線量率の高い中性子照射により起きるときは、HTとDTの生成率に同位体効果はなかった。(k
/k
~1)Xe-H
-D
混合系の
線照射によるHおよびD原子生成を4.2Kで電子スピン共鳴分光により研究した。HTとDT生成に対する
線線量率の重要な効果は、熱化したT原子のH
(D
)とのトンネル効果による引き抜き反応と
線分解により生成したH(D)原子との結合反応の競争により説明される。
藤谷 善照*; 宮崎 哲郎*; 笛木 賢二*; 正木 信行; 荒殿 保幸; 佐伯 正克; 立川 圓造
Journal of Physical Chemistry, 95(4), p.1651 - 1654, 1991/00
被引用回数:5 パーセンタイル:25.20(Chemistry, Physical)JRRリドタンクにおいて中性子照射により生成した反跳トリチウム原子の反応を4.2K固体H-D
中で研究した。4.2KJ
-D
中で反跳トリチウム原子の反応によるHTの収率を4.2KH
-D
の
線分解で生成されるH原子の収率と比較し、HTの生成は原子炉照射時の固体水素の
線分解によるH原子と熱化したT原子との再結合によるものではなく、反跳T原子によるH
およびD
からの引き抜き反応によると結論した。量子力学的トンネルにより熱化T原子の水素原子引き抜き反応の速度定数には4.2Kにおいて大きな同位体効果が予想される。一方、ホットT原子反応では同位体効果は現れない。固体水素中でのホットT原子反応による生成物の収率をホット原子反応と熱化原子反応に対する同位体効果の差から計算し、4.2K固体水素中では反跳トリチウムの90%以上が熱化する以前にホット原子反応により水素分子と反応すると結論した。
藤谷 善照*; 宮崎 哲郎*; 笛木 賢二*; 正木 信行; 荒殿 保幸; 佐伯 正克; 立川 圓造
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 63(2), p.520 - 524, 1990/02
被引用回数:1 パーセンタイル:15.66(Chemistry, Multidisciplinary)反跳T原子の反応を77kのXe-H-D
混合系で調べた。77k Xe-H
(D
)-
LiF混合固体に中性子照射を行い、
Li(n,
)T反応により生じた反跳T原子をH
(D
)と反応させた、反応生成物であるHT,DTはラジオガスクロマトグラフィーにより分析した。T原子によるH
およびD
からの引き抜き反応の同位体効果を、HTとDTの生成量から求めた。この同位体効果は、水素濃度が0.1~1.0mol%の時1.1であり、これは、この水素濃度では、ほとんどの反跳T原子が熱化しておらず、ホット原子反応によってHTとDTが生成されていることを示している。水素濃度0.1mol%以下では水素濃度が減少するとともに同位体効果が増大する。0.01mol%での同位体効果3.1は、熱化したT原子のトンネル反応により説明できる。今回の固相での結果を気相の場合と比較すると、気相では約10%の水素濃度でホットT原子の熱化が起きているのに対して固相では0.1mol%以下にならないと熱化しないことが明らかとなった。