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論文

第6章 水質調査、6.2 基本的な水質の状態を知る

望月 陽人

地下水の事典, p.239 - 240, 2024/10

日本地下水学会が出版する「地下水の事典」において、地下水水質のモニタリング方法や留意点を解説する。

報告書

高温条件下での稚内層珪質泥岩の一軸圧縮試験

望月 陽人; 佐藤 稔紀; 和田 純一*

JAEA-Research 2024-003, 86 Pages, 2024/06

JAEA-Research-2024-003.pdf:8.13MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分において、現状の処分システムで想定されている緩衝材中の上限温度(100$$^{circ}$$C)の緩和に資するための調査研究が国内外で進められている。本研究では、北海道・幌延町の珪質泥岩(稚内層)を事例として、高温条件下における岩盤物性の変化を理解するために、一部100$$^{circ}$$Cを超える複数の温度条件下での一軸圧縮試験を実施した。同岩石の一軸圧縮強さは加熱温度とともに上昇した。100$$^{circ}$$C以上で加熱した供試体の一軸圧縮強さは、試験前にデシケータ乾燥した供試体と同程度であった。また、走査型電子顕微鏡による鉱物観察では、先行研究において他の岩石で認められたような空隙構造や鉱物の変質は認められなかった。以上のことから、本研究において確認された加熱温度にともなう珪質泥岩の強度の増加は、加熱にともなう試料の乾燥に由来するものと考えられた。

論文

Post-earthquake rapid resealing of bedrock flow-paths by concretion-forming resin

吉田 英一*; 山本 鋼志*; 淺原 良浩*; 丸山 一平*; 刈茅 孝一*; 齊藤 朱音*; 松井 裕哉; 望月 陽人; 城 まゆみ*; 勝田 長貴*; et al.

Communications Engineering (Internet), 3, p.67_1 - 67_10, 2024/05

地下空洞やボーリング孔のような母岩中の水みちの恒久的な閉塞は、例えば、地下を利用する二酸化炭素貯留や放射性廃棄物処分のような多くの地下利用における長期安全性やその効果の維持を確実にするため必要である。通常用いられるセメント系材料による閉塞では、化学的・物理的な性能低下により十分な恒久性を発揮しない可能性がある。天然のカルサイトのコンクリーションの形成に関する研究により、コンクリーション化剤を用いたより恒久的なシーリング技術が開発された。この技術は、地下研究施設の深度350mの坑道近傍に存在する水みちの閉塞のための原位置試験に適用された。その結果、水みちは短期間に急速に閉塞するとともに、地震(M5.4)による攪乱後も再閉塞していた。また、これにより、岩盤は初期の母岩相当まで透水性が低下しており、この方法による閉塞が恒久的でロバストであることが実証された。

論文

Rapid and long-lasting bedrock flow-path sealing by a "concretion-forming resin"; Results from ${it in-situ}$ evaluation tests in an Underground Research Laboratory, Horonobe, Japan

吉田 英一*; 山本 鋼志*; 淺原 良浩*; 丸山 一平*; 刈茅 孝一*; 齊藤 朱音*; 松井 裕哉; 望月 陽人; 勝田 長貴*; Metcalfe, R.*

Powering the Energy Transition through Subsurface Collaboration; Proceedings of the 1st Energy Geoscience Conference (Energy Geoscience Conference Series, 1), 20 Pages, 2024/00

多くの地下構造物の長期間の安全確保にあたっては、岩盤中に存在する断層や坑道近傍の掘削損傷領域を対象とした地下水流れの恒久的なシーリングが重要となる。しかし一般に用いられるセメント材では化学的な変質等によりそのような効果が期待できない。このため、天然で見られる炭酸塩鉱物によるコンクリーションに着目したコンクリーション化剤が開発された。本論文は、コンクリーション化剤に期待される性能を確認するため、日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センター地下施設を活用して実施した原位置試験結果をまとめたものである。原位置試験の結果、コンクリーション化剤は急速に硬化し1年間程度で掘削損傷領域の透水性を1/1000減少させるとともに、同施設近傍で起こった地震による影響と考えられる一時的な透水性の増加も再シーリングされ低下することが確認できた。これらのことから、この新しい技術は、多様な目的をもつ地下施設に適用可能であると考えられる。

論文

Paleohydrogeology of the Horonobe area, Northern Hokkaido, Japan; Groundwater flow conditions during glacial and postglacial periods estimated from chemical and isotopic data for fracture and pore water

望月 陽人; 石井 英一

Applied Geochemistry, 155, p.105737_1 - 105737_15, 2023/08

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Geochemistry & Geophysics)

氷期と間氷期の地下水流動の違いを理解することは、将来的な気候変動が地下水流動に与える影響を予測するうえで重要である。本研究では、幌延地域の亀裂性泥岩における最終氷期と後氷期の地下水流動の違いを、亀裂水と間隙水の安定同位体比($$delta$$D、$$delta$$$$^{18}$$O)、Cl$$^{-}$$濃度と放射性炭素($$^{14}$$C)年代測定を組み合わせることにより評価した。亀裂水と間隙水の安定同位体比から、涵養域に最も近いボーリング孔の28$$sim$$250mの地下水は現在と類似した気候で涵養した天水から構成されており、亀裂水の同位体組成が周辺のマトリクス中の間隙水と比べてより天水に近い値を示した。この天水は後氷期に涵養したものであることが、$$^{14}$$C年代から示唆された。同ボーリング孔のより深い深度や、その他の孔の調査深度では、地下水が氷期の天水と化石海水からなることが同位体組成から示され、亀裂水はマトリクス中の間隙水と同様の組成を示した。$$^{14}$$C年代測定から、天水の浸透は最終氷期またはそれ以前に生じたと推測された。以上の結果は、後氷期に涵養した天水が浅部を流動しており、一方、最終氷期に涵養した天水は深部にとどまっていることを示唆する。このことは、調査地域の谷が最終氷期には現在よりも最大で約50 m深かったという地表物理探査および地質調査の結果と整合的であり、谷が深かったために最終氷期には下向きの動水勾配が増加したと考えられる。地下水の安定同位体比と化学組成、および$$^{14}$$C年代測定を組み合わせる方法は、亀裂性岩盤における最終氷期と後氷期の地下水流動の違いを評価するうえで有用である。

論文

地下深部の岩盤における地下水の流れの有無を水の安定同位体比から判別する

望月 陽人; 石井 英一

Isotope News, (784), p.23 - 27, 2022/12

Isotope News誌の「Tracer」欄において、亀裂を通じた地下水の流れの有無を水の安定同位体比を利用して判別する方法に関する論文(Mochizuki and Ishii, 2022, https://doi.org/10.1007/s10040-022-02466-9)を紹介するものである。

論文

Numerical reproduction of the seasonal variation in dissolved uranium in Lake Biwa

齋藤 龍郎; 山澤 弘実*; 望月 陽人

Journal of Environmental Radioactivity, 255, p.107035_1 - 107035_14, 2022/12

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)

琵琶湖の溶存ウラン(DU)の季節変動を、以下のモデル・パラメータ研究により再現した。導入したモデルは、水-DUの物質収支と、湖岸土壌におけるUO$$_{2}$$$$^{2+}$$とH$$^{+}$$のイオン交換である。最適化されたパラメータは4つであり、湖岸の陽イオン交換容量(CEC)、DUとAU(土壌吸着U)の和である全ウランTU、Uの急速な土壌吸着と脱着時の一次反応速度係数(kadsとkdes)であった。DUを構成する化学平衡を表し、各化学種の寄与を分析した結果、DUの季節変動はpHの季節変動に起因していることが示された。イオン交換平衡に、1日のAU比がkads以上に増加したとき、あるいはkdes以下に減少したときのみ1次速度反応に移行する補正を加えることにより、DU測定の再現性が向上し、DUピークがpHピークから遅れることが再現された。

報告書

幌延の地下施設における地下水の地球化学モニタリング装置を用いた物理化学パラメータ測定結果(2020年度)

出井 俊太郎; 望月 陽人

JAEA-Data/Code 2022-001, 29 Pages, 2022/06

JAEA-Data-Code-2022-001.pdf:3.03MB
JAEA-Data-Code-2022-001-appendix(CD-ROM).zip:2.06MB

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構は、北海道幌延町の幌延深地層研究センターにおいて、深地層の研究施設を活用した地層科学研究および地層処分研究開発を実施してきた。令和2年度以降の幌延深地層研究計画では、必須の課題への対応に必要なデータを取得するために、地下施設内の調査坑道に設置された地球化学モニタリング装置を用い、岩盤中の地下水の水圧・水質変化の観測を継続している。本報では、140m調査坑道、250m調査坑道および350m調査坑道に設置された地下水の地球化学モニタリング装置を用い、2020年4月1日から2021年3月31日までに取得した水圧および物理化学パラメータ(水温、pH、電気伝導度、酸化還元電位、溶存酸素濃度)の測定結果をとりまとめた。

論文

Assessment of the level of activity of advective transport through fractures and faults in marine deposits by comparison between stable isotope compositions of fracture and pore waters

望月 陽人; 石井 英一

Hydrogeology Journal, 30(3), p.813 - 827, 2022/05

 被引用回数:5 パーセンタイル:42.62(Geosciences, Multidisciplinary)

断層や割れ目を通じた移流の程度を評価することは、放射性廃棄物の地層処分を進めるうえで必要不可欠である。本研究では、幌延地域に掘削された4本のボーリング孔から取得された亀裂中の水と間隙水とで安定同位体比($$delta$$D、$$delta$$$$^{18}$$O)を比較することにより、亀裂を通じた天水の移流が生じているか否かを評価した。2本のボーリング孔の浅い領域では、間隙水に比べて亀裂水のほうがより天水に近い同位体比を示した。一方、これらのボーリング孔のより深い領域と、残り2本のボーリング孔のすべての試料採取深度では、亀裂水と間隙水の同位体比は類似していた。これらの結果から、天水の移流は、天水による化石海水の希釈が進んでいる浅い領域でのみ生じていることが示唆される。この解釈は、同位体比の値やトリチウムの分布とも整合的であり、現在の天水の混入は移流が生じている浅い領域のみに限定される。浅い領域と深い領域とで移流の程度が異なるのは、海水準の変化に伴う氷期と間氷期での動水勾配の違いによるものと考えられる。割れ目の水理学的な連結性が高くても、海水準が大規模に低下し動水勾配が上昇するようなことがない限りは、割れ目を通じた移流は生じないままであることが示唆される。

報告書

幌延の地下施設における地下水の地球化学モニタリング装置を用いた物理化学パラメータ測定結果(2017年度$$sim$$2019年度)

出井 俊太郎; 望月 陽人; 宮川 和也; 笹本 広

JAEA-Data/Code 2021-005, 54 Pages, 2021/06

JAEA-Data-Code-2021-005.pdf:4.95MB
JAEA-Data-Code-2021-005-appendix(CD-ROM).zip:5.42MB

日本原子力研究開発機構は、北海道幌延町において、深地層の研究施設を活用した地層科学研究および地層処分研究開発を実施してきた。幌延深地層研究センターでは、地層科学研究の一環として、地下施設内の調査坑道において、地球化学モニタリング装置を用い、岩盤中の地下水の水圧・水質変化の観測を継続している。本報では、140m調査坑道,250m調査坑道および350m調査坑道に設置された地下水の地球化学モニタリング装置を用い、2017年4月1日から2020年3月31日までに取得した水圧及び物理化学パラメータ(温度,pH,電気伝導度,酸化還元電位,溶存酸素濃度)の測定結果をとりまとめた。

論文

分析試料の正しい取り扱いかた; 環境(陸水)

望月 陽人

ぶんせき, 2021(1), p.2 - 7, 2021/01

日本分析化学会の学会誌「ぶんせき」の入門講座「分析試料の正しい取り扱いかた」において、陸水,堆積物および懸濁物質試料の取り扱い方について解説する。

論文

少量試料に適用可能な簡易分析法に基づく深部地下水中の溶存有機物の特性評価

望月 陽人; 笹本 広; 馬場 大哉*; 生垣 加代子*

陸水学雑誌, 81(2), p.153 - 166, 2020/05

地下水中の腐植物質の特性評価は一般的に、大量の地下水から分離精製された腐植物質を利用して実施される。しかし、腐植物質の分離精製には多大な時間と労力を要するうえ、地下水量が少ない地域には適用困難である。そこで、少量の試料にも適用可能である簡易特性分析法として、三次元蛍光分析,ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、およびイオンクロマトグラフィー(IC)を北海道・幌延地域の地下水と地表水に適用し、腐植物質をはじめとする溶存有機物(DOM)の特性評価を試みた。少量の地下水試料から取得された三次元蛍光スペクトルは、大量の地下水から分離精製した腐植物質のものと類似しており、深度差も小さい一方で、地表水とはピーク位置が異なっていた。GPCにより、地下水中のDOMの大部分を分子量1,200$$sim$$2,000Da程度の腐植物質が占め、その分子量は深度とともに減少することが示された。これらは、分離精製した腐植物質の特性とも調和的であった。また、地下水中のDOMに占める低分子量有機物の割合は小さいことがICにより示され、GPCの結果とも整合していた。以上より、本研究で適用した分析方法は、地下水中のDOMの特性を簡易に評価するのに有効な方法であることが示唆された。

報告書

幌延深地層研究計画における地下施設での調査研究段階; (第3段階: 必須の課題2015-2019年度)研究成果報告書

中山 雅; 雑賀 敦; 木村 駿; 望月 陽人; 青柳 和平; 大野 宏和; 宮川 和也; 武田 匡樹; 早野 明; 松岡 稔幸; et al.

JAEA-Research 2019-013, 276 Pages, 2020/03

JAEA-Research-2019-013.pdf:18.72MB

幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施している地層処分技術に関する研究開発の計画である。幌延深地層研究計画は、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」、「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの調査研究段階に分けて進めている。原子力機構の第3期中長期計画では、本計画について、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認、処分概念オプションの実証、地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証に重点的に取り組む。また、平成31年度末までに研究終了までの工程やその後の埋戻しについて決定する。」としている。本稿では、第3期中長期計画期間のうち、平成27年度から令和1年度までの地下施設での調査研究段階(第3段階)における調査研究のうち、原子力機構改革の中で必須の課題として抽出した(1)実際の地質環境における人工バリアの適用性確認、(2)処分概念オプションの実証、(3)地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証、の3つの研究開発課題について実施した調査研究の成果を取りまとめた。

報告書

幌延深地層研究計画で得られた地下水の水質データ(2017年度$$sim$$2019年度)

宮川 和也; 女澤 徹也*; 望月 陽人; 笹本 広

JAEA-Data/Code 2020-001, 41 Pages, 2020/03

JAEA-Data-Code-2020-001.pdf:3.75MB
JAEA-Data-Code-2020-001-appendix(CD-ROM).zip:0.34MB

幌延深地層研究計画における深地層の科学的研究では、実際の地下の地質環境特性を調査するための技術開発や、得られた地質環境特性に基づく地質環境モデルの構築が進められている。地質環境モデルの1つである地下水の地球化学モデルの構築・見直しにあたっては、地下施設周辺における地下水の水質データが必要である。本報告は、2017年度$$sim$$2019年度までの3年間に、幌延深地層研究計画で得られた地下水の水質データとして、物理化学パラメータおよび水質の測定・分析結果を取りまとめたものである。

論文

Mudstone redox conditions at the Horonobe Underground Research Laboratory, Hokkaido, Japan; Effects of drift excavation

望月 陽人; 石井 英一; 宮川 和也; 笹本 広

Engineering Geology, 267, p.105496_1 - 105496_11, 2020/03

 被引用回数:5 パーセンタイル:22.35(Engineering, Geological)

高レベル放射性廃棄物の地層処分場の建設・操業時には、坑道内の大気が掘削損傷領域(EDZ)に侵入し、坑道周辺の岩盤や地下水が酸化状態に変化することが想定される。坑道掘削が岩盤や地下水の酸化還元状態に与える影響を評価するために、幌延深地層研究センターの調査坑道周辺において酸化還元状態に関する調査を実施した。調査坑道周辺に掘削されたボーリング孔において、地下水のEhは-150mVより低く、酸化の指標となるSO$$_{4}$$$$^{2-}$$濃度はおおむね1$$mu$$mol L$$^{-1}$$未満であった。ボーリング孔に設けられた区間の50%以上をガスが占め、その組成は主にCH$$_{4}$$とCO$$_{2}$$からなり、N$$_{2}$$とO$$_{2}$$の割合はわずかであった。坑道から採取されたコア試料を分析した結果、黄鉄鉱の酸化溶解や硫酸カルシウムの沈殿は認められなかった。以上の結果から、今回調査したEDZにおいては酸化の顕著な兆候は認められず、その理由として、地下水圧の低下に伴い脱ガスしたCH$$_{4}$$やCO$$_{2}$$が岩盤中の割れ目を占め、大気の侵入が抑制された可能性が示唆された。

報告書

幌延深地層研究センター350m調査坑道における地下水の地球化学モニタリング装置による地下水圧の連続観測結果(2016$$sim$$2018年度)

望月 陽人; 宮川 和也; 笹本 広

JAEA-Data/Code 2019-014, 56 Pages, 2020/02

JAEA-Data-Code-2019-014.pdf:6.56MB
JAEA-Data-Code-2019-014-appendix(CD-ROM).zip:5.81MB

幌延深地層研究センターでは、地層科学研究の一環として、地下施設内の調査坑道に設置された地下水の地球化学モニタリング装置を用い、岩盤中地下水の水圧・水質変化を継続的に観測している。本報告は、350m調査坑道に設置された地下水の地球化学モニタリング装置を利用して、2016年度$$sim$$2018年度の3年間に取得した地下水圧の観測結果を取りまとめたものである。

論文

若手優秀講演賞の受賞に際して

望月 陽人

地下水学会誌, 61(4), P. 346, 2019/11

日本地下水学会2018年秋季講演会における発表「深部地下水における酸化還元電位の不確かさに関する事例研究」が評価され、若手優秀講演賞を受賞した。今回の受賞に関する所感を同学会誌に寄稿する。

論文

深部地下水における酸化還元電位の不確かさ評価; 北海道・幌延地域を事例として

望月 陽人; 笹本 広; 女澤 徹也*; 宮川 和也

地下水学会誌, 61(1), p.3 - 20, 2019/02

北海道・幌延地域の深部地下水における酸化還元電位の測定値を整理し、その測定および熱力学的解釈における不確かさの評価方法を検討した。地下研究施設の坑道より掘削されたボーリング孔を利用して測定された地下水の酸化還元電位はおおむね-250mVから-100mVの範囲にあり、経時変化を示すものの、坑道掘削による影響は直接的には及んでいないことが示唆された。地下水の酸化還元状態はSO$$_{4}$$$$^{2-}$$/FeS$$_{2}$$, SO$$_{4}$$$$^{2-}$$/HS$$^{-}$$およびCO$$_{2}$$(aq)/CH$$_{4}$$(aq)の酸化還元反応に支配されており、その平衡電位との比較から、Eh測定値の不確かさを$$pm$$50mVと設定することが適切であると考えられた。

論文

地下水の放射性炭素分析における前処理法; 従来法の再評価と新規法の開拓

望月 陽人

ぶんせき, 2018(10), P. 461, 2018/10

地下水の放射性炭素分析のための前処理法について、近年、従来法(沈殿法,ガス化回収法)により得られた分析値の相互比較評価や新規手法の考案が進められている。本件は、これら研究論文の概要を、日本分析化学会の学会誌「ぶんせき」のトピックス欄に紹介するものである。

報告書

幌延の地下施設における地下水の地球化学モニタリング装置を用いた物理化学パラメータ測定結果

女澤 徹也; 望月 陽人; 宮川 和也; 笹本 広

JAEA-Data/Code 2018-001, 55 Pages, 2018/03

JAEA-Data-Code-2018-001.pdf:10.63MB
JAEA-Data-Code-2018-001-appendix(CD-ROM).zip:8.57MB

日本原子力研究開発機構は、北海道幌延町において、深地層の研究施設を活用した地層科学研究および地層処分研究開発を実施している。幌延深地層研究センターでは、地層科学研究の一環として、地下施設内の調査坑道において、岩盤中の地下水の水圧・水質変化の観測を目的として開発された地下水の地球化学モニタリング装置を用い、観測を継続している。本報では、140m調査坑道,250m調査坑道および350m調査坑道に設置された地下水の地球化学モニタリング装置を用い、2017年3月31日(平成28年度末)までに取得した水質(物理化学パラメータ)の測定結果をとりまとめた。

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