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横田 裕一郎; 舟山 知夫; 武藤 泰子*; 池田 裕子; 小林 泰彦
International Journal of Radiation Biology, 91(5), p.383 - 388, 2015/05
被引用回数:12 パーセンタイル:67.19(Biology)本研究ではバイスタンダー効果の線量及び線質依存性と関連する分子メカニズムを調べるため、線あるいは炭素イオンビームで照射したヒト線維芽細胞を非照射細胞と共培養した。その結果、照射細胞に曝露する線量の増加につれて非照射細胞の生存率は低下し、一酸化窒素(NO)ラジカルが酸化して生じる培養液中の亜硝酸イオン濃度は上昇した。それらの線量応答は
線と炭素イオンの間で類似していた。また、NOラジカルの特異的消去剤で処理することで非照射細胞の生存率低下は抑制された。さらに、非照射細胞の生存率と培養液中の亜硝酸イオン濃度は負に相関した。以上の結果から、ヒト線維芽細胞においてNOラジカルが媒介するバイスタンダー効果は放射線の線量に依存するが線質には依存しないことが明らかになった。NOラジカルの産生は
線及び炭素イオンが誘発するバイスタンダー効果の重要な決定因子の一つかもしれない。
坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 服部 佑哉; 池田 裕子; 武藤 泰子*; 横田 裕一郎; 舟山 知夫; 浜田 信行*; 白井 花菜*; 小林 泰彦
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 74, 2015/03
昆虫・哺乳動物等を用いた実験から、放射線被ばくにより学習障害等の神経系への影響がもたらされることが示唆されている。我々は、神経系を研究するためのモデル生物として知られる線虫を用いて、化学走性学習が、特定の条件下においてのみコバルト60線照射の影響を受けることを明らかにした。しかし、線虫のどの部位における放射線応答が、化学走性学習行動の変化を誘導するかは明らかでない。そこで、我々は、炭素イオンマイクロビームを用いて、線虫の化学走性学習に対する直接的な放射線の影響部位を明らかにすることを目的とした。マイクロビーム照射技術は、細胞あるいは組織レベルでの直接的な放射線の影響を調べるための有効なツールとして知られている。本報告では、2つの線虫変異体(
,
)に対して、マイクロビームの局部照射を行った結果について報告する。
保田 隆子*; 尾田 正二*; 浅香 智美*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 武藤 泰子*; 池田 裕子; 小林 泰彦; 三谷 啓志*
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 85, 2015/03
本研究では、卵殻が透明で発生までの全過程を生きたまま詳細に観察可能なメダカ胞胚期に重イオン照射を行い、その後の発生を詳細に観察した。メダカ胞胚期に炭素線をブロードビーム照射した結果、10Gyでは体軸形成不能、5Gyでは体軸形成異常、2Gyでは器官形成異常が観察され、全て早期胚死となり孵化には至らなかった。次に、炭素線マイクロビーム(ビーム径120および180m)を用いて胚盤(約500
m径)中央を局部照射し、胚盤全体をブロードビーム照射した試料と比較した。その結果、局部照射した試料では、発生遅延や、眼組織における器官形成異常が観察された。一方、孵化率では、全体照射した試料では2Gyでほとんどの胚が孵化できなかったが、炭素イオンマイクロビームで胚盤中央部のみを50Gyで局部照射した試料では約半数の胚で正常な孵化が観察された。
鈴木 雅雄*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 武藤 泰子*; 鈴木 芳代; 池田 裕子; 服部 佑哉; 小林 泰彦
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 78, 2015/03
これまでに、バイスタンダー効果で誘発される細胞死や染色体変異における照射イオン種依存性の解析を進めてきた。2015年度の研究では、バイスタンダー効果による遺伝子の変異誘発におけるイオン種依存性を、ヒト正常線維芽細胞を用いて解析した。コンフルエントに培養した細胞試料に対し、16
16マトリックス照射法で、異なる核種(炭素,ネオン,アルゴン)のマイクロビーム照射を行った。
遺伝子の変異誘発頻度は、6-チオグアニン耐性コロニーの頻度で測定した。炭素イオンマイクロビーム照射した試料では、非照射試料およびギャップジャンクション経由の細胞間情報伝達に特異的な阻害剤で処理した試料と較べ、変異頻度が6倍高くなった。一方、ネオン及びアルゴンマイクロビームで照射した試料では、このような変異頻度の上昇が認められなかった。この結果は、ギャップジャンクションを介したバイスタンダー効果による突然変異誘発において、イオン種依存性が存在すること意味する。
鈴木 雅雄*; Autsavapromporn, N.*; 宇佐美 徳子*; 舟山 知夫; Plante, I.*; 横田 裕一郎; 武藤 泰子*; 鈴木 芳代; 池田 裕子; 服部 佑哉; et al.
Journal of Radiation Research, 55(Suppl.1), P. i54, 2014/03
It is essentially important for evaluating risk such a low-dose-rate exposure as the accident of Fukushima Daiichi Nuclear Power Plants to examine bystander effects induced by low-LET electromagnetic radiations, such as X or rays. We have been studying the cellular responses in normal human fibroblasts by targeted cell nucleus irradiations with monochromatic X-ray microbeams (5.35 keV) produced by Photon Factory in High Energy Accelerator Research Organization. The results indicated that the bystander effect in cell- killing effect was observed in the targeted cell nucleus irradiation, not in the random irradiation containing both cell nucleus and cytoplasm by Poisson distribution. The results suggest that energy deposition in cytoplasm is an important role of inducing bystander effects in case of low-LET radiations. We have also been investigating high-LET-radiation induced bystander effects using the heavy-ion microbeams at Takasaki Ion Accelerators for Advanced Radiation Application in Japan Atomic Energy Agency. Only 0.04% of the total numbers of normal human fibroblasts were irradiated with C-ion (220 MeV), Ne-ion (260 MeV) and Ar-ion (460 MeV) microbeams collimated at 20 micro meter in diameter. Cell-killing effect and gene mutation at HPRT locus in the cells irradiated with C ions were higher beyond our expectations and returned the estimated values that only 0.04% of the total cells were irradiated when using the specific inhibitor of gap junctions. On the other hand, no induced biological effects were observed in Ne and Ar ions whether the inhibitor was applied or not. The result suggested that the C-ion microbeam was capable of inducing bystander cellular effects via gap junction mediated cell-cell communication. There is clear evidence that bystander cellular effects are dependent on radiation quality.
Autsavapromporn, N.*; 鈴木 雅雄*; 舟山 知夫; 宇佐美 徳子*; Plante, I.*; 横田 裕一郎; 武藤 泰子*; 池田 裕子; 小林 克己*; 小林 泰彦; et al.
Radiation Research, 180(4), p.367 - 375, 2013/10
被引用回数:60 パーセンタイル:88.83(Biology)ヒト正常培養細胞集団のごく一部に照射を行い、照射シグナルの伝達に細胞間ギャップ結合が果たす役割を解析した。コンフルエント培養した細胞に、X線および重イオンビーム(炭素、ネオン、アルゴン)のマイクロビームを用いて照射を行い、培地へのギャップ結合阻害剤添加の有無によるバイスタンダー効果誘導の違いを比較した。X線と重イオンの双方のマイクロビーム照射によって、線量に応じた微小核形成のバイスタンダー効果誘導が認められた。ギャップ結合阻害剤の添加によって、重イオンマイクロビームによって誘導されたバイスタンダー効果は抑制されたが、X線マイクロビームによるバイスタンダー効果は抑制されなかった。この結果は、バイスタンダー効果の誘導には線質が重要であることを示す。
武藤 泰子; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 小林 泰彦
International Journal of Radiation Biology, 88(3), p.258 - 266, 2012/03
被引用回数:13 パーセンタイル:66.89(Biology)The heavy-ion beams for cancer therapy may stimulate immune cells and affect on the immune system. We irradiated immune cells using heavy-ion beams and analyzed changes in production of TNF-, important cytokines for the cancer treatment. THP-1 macrophages were irradiated using carbon-ion broad-beams. To examine the bystander response after heavy-ion irradiation, a very small fraction of the cell population was irradiated using heavy-ion microbeams. When cells were irradiated with 5 Gy that did not cause severe damage, cytokine levels were reduced after both microbeam irradiation and broad-beam irradiation. TNF-
production of macrophages with the nitric oxide (NO) inhibitor-treatment increased after carbon-ion broad-beam. NO was involved in the radiation-induced suppression of TNF-
production. The suppression of cytokine production arose after irradiation with heavy-ions, and may also be induced in the surrounding non-irradiated cells via the bystander effect.
日野 瑞城*; 浜田 信行*; 多鹿 友喜*; 舟山 知夫; 森村 吉博*; 坂下 哲哉; 横田 裕一郎; 深本 花菜*; 武藤 泰子; 小林 泰彦; et al.
Journal of Electron Microscopy, 59(6), p.495 - 501, 2010/12
被引用回数:17 パーセンタイル:64.90(Microscopy)Autophagy is one of the major processes involved in the degradation of intracellular materials. Here, we examined the potential impact of heavy ion irradiation on the induction of autophagy in irradiated C2C12 mouse myoblasts and their non-targeted bystander cells. In irradiated cells, ultrastructural analysis revealed the accumulation of autophagic structures at various stages of autophagy (i.e. phagophores, autophagosomes and autolysosomes) within 20 min after irradiation. Multivesicular bodies (MVBs) and autolysosomes containing MVBs (amphisomes) were also observed. Heavy ion irradiation increased the staining of microtubule-associated protein 1 light chain 3 and LysoTracker Red (LTR). Such enhanced staining was suppressed by an autophagy inhibitor 3-methyladenine. In addition to irradiated cells, bystander cells were also positive with LTR staining. Altogether, these results suggest that heavy ion irradiation induces autophagy not only in irradiated myoblasts but also in their bystander cells.
武藤 泰子; 月本 光俊*; 本間 拓二郎*; 小島 周二*
Journal of Health Science, 56(6), p.675 - 683, 2010/00
被引用回数:5 パーセンタイル:13.22(Toxicology)The effect of sunlight on the development of allergic diseases is not well understood. In this study, we show that increased production of the proinflammatory mediators IL-10, TNF-, and NO induced by UVB is mediated via the MAPK signaling pathway in human keratinocyte (HaCaT) cells. UVB induced the production of proinflammatory mediators via activation of the p38 MAPK signaling pathway, suggesting that sunlight might promote the development of allergic diseases (such as dermatitis) through an augmented inflammatory response involving the increased production of proinflammatory cytokines and NO.
保田 隆子*; 尾田 正二*; 日比 勇祐*; 漆原 祐介*; 三谷 啓志*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 武藤 泰子; 池田 裕子; 小林 泰彦
no journal, ,
原子力機構・高崎量子応用研究所TIARAの重イオンマイクロビーム細胞照射装置を用いて、メダカ胚の脳のさまざまな部位を特異的に狙って照射し、重粒子炭素線照射後の影響を、whole-mountアクリジンオレンジ染色により調べたところ、炭素線マイクロビーム照射によって、胚の脳に照射された部位にのみ放射線誘発アポトーシスが誘発される結果から、メダカ後期胚期の狙った部位にのみ照射することが可能であることが示された。しかしながら、脳の中央部に照射した場合、その部位のみではなく、脳全体に放射線誘発アポトーシスが観察され、照射野と放射線誘発アポトーシスの起こる部位が一致しないという、予想外の結果が得られた。この結果は、脳中央部に存在する脳下垂体のホルモンが脳全体へ影響を及ぼす可能性が予測された。
横田 裕一郎; 舟山 知夫; 武藤 泰子; 池田 裕子; 小林 泰彦
no journal, ,
本研究では放射線誘発バイスタンダー応答の時間依存性を調べた。実験では、ヒト正常繊維芽細胞WI-38株に炭素線マイクロビーム局部照射(LET=103keV/m,10イオン/箇所),炭素線ブロードビーム全体照射(0.13Gy)又はCo-60
線全体照射(0.2keV/
m, 0.5Gy)した。全体照射実験では、細胞は通過できないが、培地や細胞から放出されるシグナル分子は通過できる多孔性メンブレンを挟んで、照射細胞と非照射細胞を共培養した。照射細胞とバイスタンダー細胞の比率は、マイクロビーム局所照射試料で1:20,000、全体照射試料で1:2とした。いずれの実験でも、照射から一定時間の培養後に、バイスタンダー細胞を回収して、コロニー形成率から生存率を調べた。その結果、局所照射試料では、バイスタンダー細胞の生存率は照射後6時間では変化せず、24時間で約20%低下した。一方、全体照射試料では、バイスタンダー細胞の生存率は照射後6時間以降で10から20%低下した。以上の結果から、バイスタンダー応答は照射細胞数に応じた時間依存性を示すことを明らかにした。
横田 裕一郎; 舟山 知夫; 武藤 泰子; 池田 裕子; 小林 泰彦
no journal, ,
本研究では、炭素線誘発バイスタンダー応答の時間依存性を明らかにすることを目的とし、炭素線マイクロビーム局部照射(LET=103keV/m)、炭素線ブロードビーム全体照射(108keV/
m)あるいは
線全体照射(0.2keV/
m)したヒト正常繊維芽細胞と6-24時間共培養したバイスタンダー細胞の生存率を調べた。照射細胞とバイスタンダー細胞の比率は、炭素線マイクロビーム照射試料で0.0005未満:1、炭素線ブロードビーム及び
線照射試料で0.5:1であった。炭素線マイクロビーム照射試料では、バイスタンダー細胞の生存率は照射後6時間では変化しなかったが、24時間で約15%低下した。一方、0.13Gyの炭素線ブロードビームと0.5Gyの
線を照射した試料では、バイスタンダー細胞の生存率は照射後6時間以降で10-20%低下した。この結果から、バイスタンダー細胞に対して照射細胞が少ない場合、バイスタンダー応答の誘導が遅延することがわかった。
坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 武藤 泰子; 横田 裕一郎; 舟山 知夫; 浜田 信行*; 深本 花菜*; 小林 泰彦
no journal, ,
放射線被ばくにより、学習障害など神経系に影響をもたらされることが示唆されている。われわれは、これまでの研究から、全身被ばくした線虫の化学走性学習行動が、特定の条件下においてのみ影響を受けることを明らかにした。しかし、線虫のどの部位における放射線被ばくが、線虫の化学走性学習行動の変化を誘導するかは未だ明らかでない。一方、マイクロビーム照射技術は、細胞あるいは組織レベルでの直接的な放射線の影響を調べるための有効なツールとして知られている。そこで、われわれは、炭素イオンマイクロビームを用いて、線虫の化学走性学習に対する直接的な放射線の影響部位を明らかにすることを目的として研究を開始した。線虫でのマイクロビーム照射実験を実施するために、シリコン製小動物用マイクロデバイスを用いることで、線虫の動きをマイクロビーム照射時においてのみ抑制する方法を導入した。また、神経機能を麻痺させる麻酔下でのマイクロビーム照射実験を実施し、神経活動の状態の違いによる結果の比較を行った。本発表では、炭素イオンマイクロビーム照射実験の成果について最新の知見を報告する。
小林 泰彦; 舟山 知夫; 田口 光正; 田中 淳; 和田 成一*; 渡辺 宏*; 古澤 佳也*; 木口 憲爾*; 深本 花菜*; 坂下 哲哉; et al.
no journal, ,
重イオンマイクロビームを用いて任意の標的細胞に対して任意の個数の粒子(線量)を照射することによって、従来のランダムな照射方法で余儀なくされていた「平均値としての照射効果」の解析から脱却し、個々の細胞に対する真の放射線生物学的効果を追求することが可能となる。また、重イオンマイクロビームを用いることによって、標的細胞におけるイオンのヒット位置と細胞応答の関係を正確に把握でき、高LET重イオンによる生物効果を理解するうえで極めて重要なイオンのトラック構造との関連を追求することが可能となる。さらに、重イオンマイクロビームは、生物組織中の特定の組織,器官,細胞を外科手術的に摘出する代わりに、体外からマイクロビームを照射して局部的に殺滅あるいは不活性化し、それによって生体に引き起こされる影響を解析するためのラジオマイクロサージャリ技術として、植物の生理機能やカイコの発生・分化過程の研究にも利用されてきた。本講演では、日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)で開発した重イオンマイクロビーム照射装置の概要と、生物機能解析研究への応用例を紹介する。
武藤 泰子; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 池田 裕子; 小林 泰彦
no journal, ,
重粒子線が生体免疫能に及ぼす影響を明らかにすることは、重粒子線がん治療における周辺正常組織への影響を評価するために極めて重要である。また、高LETの重粒子線照射では、照射細胞が周辺の非照射細胞にも照射効果を誘導する現象:バイスタンダー効果の寄与が大きくなることから、生体免疫能への影響評価にあたっては、バイスタンダー効果を含めた検討が必須である。そこで本研究では、免疫細胞試料を重粒子線で全体あるいは部分的に照射し、照射細胞が分泌する伝達物質の変化とその機構を中心に解析した。炭素線(5Gy)均一照射試料では、TNF-の産生量が非照射対照と比べ50%減少したが、照射前にNO消去剤を加えると増加した。このことから、照射によるTNF-
産生抑制に、NOが関与していることが示された。また、マイクロビームによる部分照射(0.5%)でも、全体照射試料と同様にTNF-
産生量が減少したことから、照射された極一部の細胞がNOを産生し、このNOが残り大多数の非照射細胞(99.5%)に伝達されることで、TNF-
産生抑制を誘導した可能性が示唆された。
横田 裕一郎; 舟山 知夫; 武藤 泰子; 坂下 哲哉; 菊地 正博; 小林 泰彦
no journal, ,
高LETの重粒子線は物質内を通過する際、イオン飛跡の近傍にエネルギーを集中して付与する。このため、重粒子線が生体に照射されると、細胞内のゲノムDNA上に2本鎖切断(DSB)をはじめとするさまざまな損傷が局所的に誘発され、正確な修復が困難になると考えられている。定量性など多くの点で優れているパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)法によるDSB定量解析実験で、重粒子線は低LET放射線と比べ、ゲノム上の近接した位置にDSBを誘発することが示されてきた。しかし、PFGE法をもってしても、10kbp以内に隣接して誘発されるようなDSBの定量は困難であった。本研究では、局所的に生じるDSBの定量が困難な理由を探った。従来のPFGE法では、実験操作による余計なDNA鎖切断を防ぐため、照射細胞をアガロース片に包埋した状態で細胞溶解とDNA精製が行われた。われわれは、この方法ではアガロース片から一部のDNAが流失してしまうことを見いだした。これは、10kbpより短い間隔で生じるDSBの定量が困難であったことを裏付けるものである。
武藤 泰子; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 小林 泰彦
no journal, ,
The radiation effect of heavy-ion on the immune system will be an important factor that affect on the outcome of heavy-ion cancer therapy. The contribution of radiation-induced bystander effect is known to become larger when irradiated with the high-LET heavy-ion. Thus analyzing the effect of heavy-ion on immune cells including bystander effect is important to advance heavy-ion cancer therapy. We irradiated THP-1 macrophages by heavy-ion and analyzed their changes in cytokine production. The cell was used and a very limited part of cell population (approx. 0.45%) was irradiated using heavy-ion microbeam to analyze their bystander response. The cytokine levels were decreased compared with sham-irradiated control in the microbeam irradiated sample as well as broad beam. Thus the very limited cells with microbeam irradiation transferred their radiation signal to the non-irradiated nearby cells and induced bystander effect on the reduction of cytokines production.
坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 武藤 泰子; 横田 裕一郎; 舟山 知夫; 浜田 信行*; 深本 花菜*; 小林 泰彦
no journal, ,
重イオンマイクロビーム照射装置は、生物の特定の領域における放射線応答を調べるための最適なツールである。私たちは、重イオンマイクロビームを用いて線虫の化学走性学習行動に与える放射線の影響機構の解明を目的としている。線虫で見いだされた神経機能への放射線影響メカニズムは、ヒトなど高等生物の脳神経系機能に対する放射線照射の影響の解明に役立つ可能性がある。これまでに、全身被ばくした線虫の化学走性学習行動が、特定の条件の時にのみ影響を受けることを明らかにしたが、線虫のどの部位における放射線被ばくが、線虫の化学走性学習行動の変化を誘引するかは未だ明らかでない。そこで、シリコン製小動物用マイクロデバイスを導入することにより、線虫を麻酔固定せずに生きたままの状態で重イオンマイクロビームを照射するための実験系を構築した。本会議では、この実験系による重イオンマイクロビーム照射実験の最新成果を報告する。
池田 裕子; 横田 裕一郎; 舟山 知夫; 武藤 泰子; 金井 達明*; 小林 泰彦
no journal, ,
本研究では、がん細胞におけるp53がん抑制遺伝子のステータスに着目し、異種細胞間共培養実験下においてコロニー形成能の低下を指標としたバイスタンダー効果誘導の有無を検出することを目的とした。異種細胞間バイスタンダー効果の検討には、正常細胞としてヒト胎児肺由来正常線維芽細胞株WI-38を、がん細胞としてヒト肺がん細胞株H1299の遺伝子改変株であるH1299/wtp53(正常p53タンパク質を発現),H1299/mp53(変異p53タンパク質を発現),H1299/null(欠損型)を使用した。炭素線照射(18.3MeV/u, LET=108keV/m; Dose=0.5Gy)又は
線照射(Dose=0.5Gy)した細胞と、非照射細胞を非接触で6時間又は24時間共培養した後、非照射細胞を回収して、それぞれのコロニー形成率から生存率を算出した。これまでに、炭素線あるいは
線照射したH1299/wtp53細胞と非照射のWI-38細胞を共培養したとき、WI-38細胞の生存率は低下しないことを見いだした。この結果から、照射したH1299/wtp53細胞はバイスタンダー因子を放出していない可能性が示唆された。
鈴木 芳代; 服部 佑哉; 池田 裕子; 武藤 泰子*; 横田 裕一郎; 舟山 知夫; 浜田 信行*; 白井 花菜*; 小林 泰彦; 坂下 哲哉
no journal, ,
放射線被ばくにより、学習障害など神経系に影響をもたらすことが危惧されている。我々は、これまで放射線照射に対する神経系の応答に関して基礎的なメカニズムを明らかにすることを目的として、神経系のモデル生物として知られる線虫を用いて、様々な学習及び行動について低LET(linear energy transfer)及び高LET放射線の影響を調べてきた。これまでの研究から、全身を照射した線虫の化学走性学習行動が、特定の条件下においてのみ影響を受けることを明らかにした。しかし、線虫のどの部位への放射線照射が、化学走性学習行動の変化を誘導するかは未だ明らかでない。一方、マイクロビーム照射技術は、細胞あるいは組織レベルでの直接的な放射線の影響を調べるための有効なツールである。そこで、炭素イオンマイクロビームを用いて、線虫の化学走性学習に対する直接的な放射線の影響部位を明らかにする実験を開始した。本実験では、野生型の線虫に加えて、変異体についてもマイクロビーム照射実験を行った。本発表では、重イオンマイクロビーム照射実験の最新結果を報告する。