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齋藤 禎一*; 平野 伸一*; 長岡 亨*; 天野 由記
Ecological Genetics and Genomics, 12, p.100042_1 - 100042_9, 2019/10
培養に依存しない分子生物学的手法によって、さまざまな環境中の微生物群集組成について分析が可能となった。これらの手法により、嫌気的で太陽光の存在しない、高温・高圧の極限環境からも多くの未培養原核生物が検出されている。近年、深海環境においても真核生物が検出されており、その結果真核生物が従来考えられてきたよりも広範囲にわたって生息可能であることが示された。本研究では、幌延深地層研究センターの地下施設深度250mの環境において、分子生物学的手法を用いた真核生物に関する研究を行った。その結果、幌延の深部堆積岩環境において、菌類が真核生物群集の優占種であることが示された。また、岩石試料中からZygomycete, Basidiomycete, Ascomyceteのような様々な種の菌類が検出された。本研究は、深部堆積岩地下環境における真核生物の多様性に関する研究として世界初の成果である。
平野 伸一*; 長岡 亨*; 伊勢 孝太郎; 天野 由記; 松本 伯夫*
材料と環境, 64(12), p.535 - 539, 2015/12
本研究では、土壌環境微生物を対象として腐食ポテンシャルおよびそのメカニズムについて知見を得るために、一般的な湖沼底泥を植菌源として炭素鋼とともに培養を行った。その結果、いずれの培養条件でも炭素鋼を腐食、減損する活性が見られ、特に有機物添加・汽水培地において硫酸還元活性、メタン生成活性とともに高い腐食活性が得られた。土壌埋設設備への微生物の腐食影響を適切に評価するためには、硫酸還元菌, メタン生成菌などの相互作用を踏まえた評価が必要と考えられる。
長岡 真一; 石田 倫彦; 金森 定; 林 晋一郎
Proceedings of International Conference on Toward and Over the Fukushima Daiichi Accident (GLOBAL 2011) (CD-ROM), 5 Pages, 2011/12
近年、核燃料サイクル施設に対し確率論的安全評価(PSA)を適用する試みがなされている。東海再処理施設においても、各事象について概略リスク評価を実施し、評価結果を事故カテゴリー別に比較した。
長岡 伸一*; 福沢 宏宣*; Prmper, G.*; 竹本 真唯*; 高橋 修*; 山口 拓洋*; 垣内 拓大*; 田林 清彦*; 鈴木 功*; Harries, J.; et al.
Journal of Physical Chemistry A, 115(32), p.8822 - 8831, 2011/07
被引用回数:30 パーセンタイル:71.20(Chemistry, Physical)In an aim to create a sharp molecular knife, we have studied site-specific fragmentation caused by Si:2p core photoionization of bridged trihalosilyl-trimethylsilyl molecules in the vapor phase. Highly site-specific bond-dissociation has been found to occur around the core-ionized Si site in some of the molecules studied. The site-specificity in fragmentation and the 2p binding-energy difference between the two Si sites depend in similar ways on the inter-site bridge and the electronegativities of the included halogen atoms. The present experimental and computational results show that for efficient cutting, the following conditions for the two atomic sites to be separated by the knife should be satisfied. First, the sites should be located far from each other and connected by a chain of saturated bonds so that inter-site electron migration can be reduced. Secondly, the chemical environments of the atomic sites should be as different as possible.
鈴木 美寿; 堀 雅人; 長岡 真一; 木村 隆志
Journal of Nuclear Science and Technology, 46(2), p.184 - 192, 2009/02
被引用回数:11 パーセンタイル:58.91(Nuclear Science & Technology)東海再処理施設の溶液モニタリングシステムから得られたデータを用いて、溶液モニタリング結果を物質収支評価へ応用する可能性について調べた。提案されている幾つかの多変量統計的評価手法を用いた損失検知能力について、溶液移送がないウエイトモードのときの有意量をパラメータとした仮想損失に対して数値的に検討した。多変量累積管理和手法と同様に多スケール統計的解析手法が、ゆっくりした損失検知に対して有効であることが実証された。実タンクデータは、ウエイトモードと溶液移送のあるトランスファーモードとからなるため、溶液移送時のデータをシステムより抜き出し誤差評価モデルの有効性についてシミュレーション結果と比較して調べた。溶液モニタリングシステムは、東海再処理施設の全体プロセスに設置されている訳ではないが、溶液モニタリング結果の物質収支評価への応用を、実データを用いた評価により進めた。
長岡 真一
no journal, ,
将来世代の再処理においては、廃棄物の発生量が極力少ないことが重要な要素の一つであると考え、廃棄物低減の観点から、将来世代の再処理に必要な技術について検討を行った。
長岡 亨*; 平野 伸一*; 松本 伯夫*; 天野 由記
no journal, ,
Radioactive waste from nuclear power generation would be overpacked in metallic material, such as carbon steel. The lifetime of metallic containment is strongly related to the corrosion rate of carbon steel in compacted buffer material. Corrosion of carbon steel buried in compacted buffer material with different dry densities in test cells was investigated in lab experiments using corrosive microbial consortium. Compacted buffer materials were incubated in nutrient medium with or without inoculation by an enriched microbial community for one year at 30C and 50C. Corrosion rates were suppressed (13.6 - 18.6 mg/year) in samples with compacted densities of 1.3 and 1.6 g/cm at 50C. In contrast, a high corrosion rate was observed in the inoculated 1.0 g/cm compacted bentonite buffer materials at 30C. Although the corrosion rate was low until the sixth month (4.6 mg/year), it significantly increased to 74.9 mg/year after one year. It is demonstrated that a sufficiently high dry density is one of the important key factor to suppress microbial activity in buffer material surrounding metal containers, because of the physical characteristics such as small pores, low water activity, less nutrient supply caused by low hydraulic conductivity.
長岡 亨*; 平野 伸一*; 松本 伯夫*; 天野 由記
no journal, ,
Microbially influenced corrosion of metallic container is one of concerns for nuclear waste disposal. Corrosion of carbon steel buried in compacted bentonite buffer materials was investigated using anaerobic corrosive microbial consortium. The buffer material was composed of 70% bentonite (Kunigel V1) and 30% silicate sand with different dry densities in test cells. Compacted buffer materials were incubated in nutrient medium with or without inoculation for one year at 30C and 50C. Corrosion rates were suppressed (9.4-12.9 mg/cm/year) with compacted densities of 1.3 and 1.6 Mg/m at 50C. In contrast, a high corrosion rate (52.0 mg/cm/year) was observed in the inoculated 1.0 Mg/m compacted buffer materials at 30C, and microbial analysis showed the highest microbial abundance and the high relative ratio of sulfate-reducing bacteria, such as sp.. These results are demonstrated that a sufficiently high dry density is one of the important key factors to suppress microbial activity in buffer material surrounding metallic containers, because of the physical characteristics such as small pores, low water activity, less nutrient supply caused by low hydraulic conductivity.
川上 善之; 長岡 真一; 北尾 貴彦; 森本 和幸; 大部 智行; 金森 定; 大森 栄一
no journal, ,
東海再処理施設の抽出工程におけるネプツニウム(Np)について、酸濃度及び溶液温度がNp移行挙動に与える影響を把握するため、分配工程にて酸濃度及び溶液温度を運転パラメータの許容範囲内で調整し、同工程における製品側へのNp移行率について調査した。
長岡 真一; 田口 克也; 石田 倫彦; 金森 定
no journal, ,
近年、核燃料サイクル施設に対し確率論的安全評価(PSA)を適用する試みがなされている。東海再処理施設において事故事象別に相対的な概略リスク評価を実施した。
長岡 亨*; 平野 伸一*; 松本 伯夫*; 天野 由記; 伊勢 孝太郎; 吉川 英樹
no journal, ,
地下微生物生態研究の進展により、地下数km以深における微生物の存在が明らかとなり、地層処分における微生物影響評価は重要な課題となっている。本研究では、地層処分研究開発に関する「第2次取りまとめ」以降に刊行された、国内外の主要な学術論文や報告書等の文献約200件を精査し、高レベル放射性廃棄物だけでなく、TRU併置や使用済み核燃料の直接処分も含め、地層処分システム性能に影響を及ぼす微生物要因に関する最新の知見を取りまとめた。
大内 雅之; 星 貴弘; 佐々木 俊一; 磯部 洋康; 長岡 真一; 倉林 和啓; 大部 智行
no journal, ,
プルトニウム溶液は、崩壊熱による発熱、放射性分解による水素の発生があるため、冷却機能及び水素掃気機能を有する設備で貯蔵している。これらの機能維持に関連する設備には、従来から非常用発電機からの給電が行えるよう設計されているが、東海再処理施設では、福島第一原子力発電所事故を教訓に、全動力電源が喪失した場合を考え、速やかにその機能を回復するために、窒素ボンベによる掃気を確保するなど、緊急時に備えた安全対策を講じた。本報告では、これらの安全対策の取り組みについて報告する。
工藤 淳也; 長岡 真一; 倉林 和啓; 柳橋 太; 大部 智行
no journal, ,
将来の再処理施設の抽出プロセス開発として、Pu, Uの共回収により核拡散抵抗性を向上させたプロセス開発を行っている。本プロセス開発では、燃料の多様化(軽水炉から高速炉)に対応するためPu含有率の異なる溶解液に対して、製品のPu/U比を一定で回収する共回収試験を、東海再処理施設分析所の小型試験設備(OTL)において実施している。OTLは、溶解、抽出試験が行えるようにセルやグローブボックス(GB)を備え、また、十分な分析が行えることから、共回収プロセスのホット試験を実施した。
長岡 亨*; 平野 伸一*; 松本 伯夫*; 天野 由記
no journal, ,
湖沼底泥より集積培養した鉄腐食性微生物群集を用いて、乾燥密度の異なる緩衝材中にて炭素鋼試験片の腐食試験を実施した結果、複数種の微生物が相補的に腐食挙動に関与している可能性が明らかとなった。
天野 由記; 別部 光里*; 大野 宏和; 谷口 直樹; 平野 伸一*; 松本 伯夫*; 長岡 亨*
no journal, ,
Microbial activity in bentonite buffer materials in deep geological repository is of concern for microbiologically influenced corrosion which could affect the longevity of metallic containers. Data has been collected regarding microbial corrosion of carbon steel or cupper using compacted bentonite. However, there is not enough data collected under Japanese geological disposal concept, using Kunigel V1 and silicate sand. To evaluate microbial effects on corrosion of metallic containers and activity in bentonite buffer materials with Kunigel V1, we have conducted laboratory-scale and in-situ experiments. From the result of the experiments, it is demonstrated that a sufficiently high dry density is one of the important key factors to suppress microbial activity in buffer materials surrounding metal containers, because of the physical characteristics such as small pores, low water activity, less nutrient supply caused by low hydraulic conductivity. However, microbial cells were heterogeneously detected in the bentonite buffer materials of in-situ experiment. This seems to result from nonuniformity in dry density, water content, and swelling pressure etc., in the engineering scale experiment. These results also demonstrate that the heterogeneous repository conditions would be possibly occurred.
長岡 亨*; 平野 伸一*; 小鯖 匠*; 天野 由記; 望月 陽人
no journal, ,
本研究では、地下環境に生息する多様な微生物が引き起こす腐食挙動を評価することを目的に、実際の地下環境において圧縮ベントナイト中に包埋した炭素鋼試験片の腐食試験を実施した。試験は、日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターの深度250m連絡坑道にて行った。地層処分環境を模擬するために、試験セル内の圧縮ベントナイト供試体は、100%ベントナイト材料(クニゲルV1)を用いて、異なる乾燥密度(1.0, 1.4, 1.6, 1.8g/cm)となるように、大気雰囲気下において油圧プレス機により圧縮成型した。それらの試験セルをボーリング孔内に浸漬させ、止水パッカーにて大気と遮断することにより開始した。試験セル浸漬後、所定期間経過ごとに試験セルを回収して、ベントナイト中の生菌数測定および16S rRNA遺伝子解析に用いるとともに、炭素鋼試験片については重量減損量測定および腐食生成物の分析をおこなった。その結果、異なる乾燥密度条件における圧縮ベントナイト供試体中の炭素鋼試験片の重量は、すべての条件下において炭素鋼試験片重量の減損が認められ、乾燥密度が小さいほど、減損量が大きい傾向を示した。特に最小の乾燥密度1.0g/cmの場合に減損量が大きく、乾燥密度1.4g/cm以上では腐食が抑制されることがわかった。また腐食速度は、試験初期に比べて、試験後期に低下する傾向があることがわかった。腐食挙動に及ぼす微生物の影響を評価するため、回収したベントナイト試料中の生菌数を測定した。その結果、好気性生菌数は、乾燥密度の増加に伴い、低下する傾向が認められた。また16S rRNA遺伝子解析の結果、乾燥密度が高い場合の微生物叢は初期のベントナイト中の微生物叢と類似した構成を示す一方、乾燥密度が低い場合の菌叢は、大きく変化していることがわかった。これらのことから、乾燥密度が低い場合には、圧縮ベントナイト中で微生物が活性を有し、腐食を促進させる可能性が示唆された。
平野 伸一*; 長岡 亨*; 小鯖 匠*; 天野 由記; 望月 陽人
no journal, ,
一般的に金属が腐食を受けにくい環境において急速な腐食や局所腐食などが生じる場合があり、そのような反応には微生物が誘因する微生物腐食が影響する事象が報告されている。深部地下に放射性廃棄物を埋設する地層処分では、放射性廃棄物の閉じ込めを確実とするため放射性廃棄物を人工バリア(オーバーパック(金属製処分容器)、緩衝材)で包埋する概念が検討されている。深部地下においても多様な微生物が存在するため、この人工バリアの閉じ込め性能を評価する上で、微生物による金属製処分容器の腐食影響を考慮する必要性がある。しかし、これまで地下に存在する微生物を対象とした腐食の研究事例は限られている。そこで、本研究では、幌延深地層研究センターの深部地下水を対象として鉄腐食を引き起こす微生物の存在を探索し、その腐食活性を評価することを目的とした。幌延深地層研究センターの地下施設から採取した地下水中の微生物について、炭素鋼片を浸漬し、嫌気条件下で培養をおこなった。その結果、一部の地下水培養液においてメタンガスが検出され、炭素鋼試験片の顕著な重量減損と表面の局部的な減肉が観察された。培養後の地下水に含まれる微生物相の解析をおこなったところ、腐食活性が見られた試料ではメタン菌Methanobacterium属の比率増加が認められたことから、鉄顆粒等を用いてさらに集積培養を行い、メタン菌単離株を取得した。単離株の16S rRNA遺伝子配列解析の結果から本株をMethanobacterium sp. H04株と命名した。炭素鋼片を用いた2か月間の腐食試験を行った結果、重量減損量は45mgに達し、非植菌区と比較して腐食量は約20倍に増加した。腐食速度としては0.5mm/yに達し、既報の海洋性EMICメタン菌Methanobacterium sp. IM1株や淡水性EMICメタン菌Methanobacterium sp.TO1株と同程度の高い腐食活性を有することが明らかになった。
平野 伸一*; 長岡 亨*; 松本 伯夫*; 天野 由記
no journal, ,
深部地下に放射性廃棄物を埋設する地層処分事業では、放射性廃棄物の閉じ込めを確実とするため放射性廃棄物を地下に埋設することが検討されている。深部地下においても多様な微生物が存在するため、この人工バリアの閉じ込め性能を評価する上で、微生物による金属製処分容器の腐食影響を考慮する必要性がある。そこで、本研究では異なる密度条件で圧縮したベントナイト内に設置した炭素鋼の微生物による腐食影響を解析した。その結果、緩衝材中の微生物活性には圧縮密度と温度が重要な条件であるとともに、硫酸還元菌がベントナイト内での炭素鋼の腐食に寄与していることが示唆された。また、嫌気性腐食微生物群集に含まれる硫酸還元菌による炭素鋼腐食過程を解析するために、電気培養槽において炭素鋼表面での腐食電位、電流変化を経時的に計測したところ、電位は全ての試料で培養開始後急激に低下し、無菌区はほぼ安定した値を示したが、植菌区では培養1週間後に増加に転じた。また、炭素鋼表面ではDesulfovibrioの増加が見られたことから、これらの電位の上昇はDesulfovibrioによるcathode電流の利用反応促進によるものと推定された。処分環境においては、処分後100年程度までは約70C以上の高温環境下であることが予測されており、微生物増殖に適した環境ではないと考えられるが、閉じ込め性能における微生物影響の不確実性を排除するために、今後、緩衝材中の硫酸還元菌を含めた微生物活性を抑制する要因(膨潤圧・水分活性・空隙サイズ・温度等)の詳細な検討が必要である。
長岡 真一; 森本 和幸; 佐藤 武彦; 金森 定; 大森 栄一
no journal, ,
東海再処理工場の抽出工程におけるネプツニウム(Np)について、分配工程の中間貯槽における溶液滞留時間が酸化状態に与える影響を評価するため、溶液滞留時間を変えて分配工程以降におけるNpのプルトニウム(Pu)製品側への移行割合について調査した。分配工程の中間貯槽内の液量を変えて、中間貯槽以降の各抽出器(分配工程,Pu精製工程)の水相出口においてNp濃度の分析を行った。また、中間貯槽における酸化状態を評価した。なお、工程はいずれも通常運転状態であり、Np濃度については放射能分析法(及び線スペクトロメトリ)により求め、Npの酸化状態についてはNp(V)の吸収スペクトルを評価した。分配工程の中間貯槽における溶液滞留時間を変えて測定した結果、中間貯槽におけるNp通過量に対してPu製品側へ移行する割合に大きな差は無かった。また、中間貯槽において採取した試料中のNp(V)に相当する吸光度は、試料採取後ほぼ一定であった。これらより、中間貯槽における溶液滞留時間が約240分から約380分までの間においては溶液滞留時間はPu製品側へ移行するNpの割合に大きな影響を与えないと考えられる。
長岡 真一; 川口 芳仁
no journal, ,
東海再処理施設の抽出工程においては、Npの5060%が廃液側に移行する。この移行割合は、Pu, U及びNp共抽出を目指すうえで問題となっている。そこでわれわれは、Pu, U及びNp共抽出技術を得るため、抽出工程におけるNp挙動を調査している。本稿では、東海再処理施設におけるこれまでのNp挙動に関する調査結果及びPu, U及びNp共抽出の計画について報告する。