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近藤 洋介*; Achouri, N. L.*; Al Falou, H.*; Atar, L.*; Aumann, T.*; 馬場 秀忠*; Boretzky, K.*; Caesar, C.*; Calvet, D.*; Chae, H.*; et al.
Nature, 620(7976), p.965 - 970, 2023/08
非常に中性子が過剰な原子核Oは、陽子、中性子ともに魔法数であることから古くからその性質に興味が持たれていたが、酸素の最後の束縛核Oよりも中性子が4個も多いため、これまで観測されてこなかった。この論文では、理化学研究所RIBFにてFからの1陽子ノックアウト反応によってOを生成し、そこから放出される中性子を測定することによって初めてその観測に成功した。核構造の観点からは、Oでは二重閉殻が保たれているか興味が持たれていたが、実験で得られた分光学的因子が殻模型計算で予言されて程度の大きいことから、閉殻構造をもたない可能性が高いことがわかった。
Chen, S.*; Browne, F.*; Doornenbal, P.*; Lee, J.*; Obertelli, A.*; 角田 佑介*; 大塚 孝治*; 茶園 亮樹*; Hagen, G.*; Holt, J. D.*; et al.
Physics Letters B, 843, p.138025_1 - 138025_7, 2023/08
Scからの1陽子ノックアウト反応を用いて、CaとCaのガンマ崩壊を観測した。Caでは1456(12)keVの線遷移が、Caでは1115(34)keVの遷移が観測された。どちらの遷移も暫定的にと割り当てられた。有効核子間相互作用をわずかに修正した広い模型空間での殻模型計算では、準位エネルギー、2中性子分離エネルギー、反応断面積が実験とよく一致し、N=34閉殻の上に新しい殻が形成されていることを裏付けた。その構成要素であると軌道はほぼ縮退しており、これはCaが二重魔法核である可能性を排除し、Ca同位体のドリップラインをCaあるいはそれ以上にまで広げる可能性がある。
Wang, H.*; 安田 昌弘*; 近藤 洋介*; 中村 隆司*; Tostevin, J. A.*; 緒方 一介*; 大塚 孝治*; Poves, A.*; 清水 則孝*; 吉田 数貴; et al.
Physics Letters B, 843, p.138038_1 - 138038_9, 2023/08
Neからの1中性子除去反応を用いて、Neの詳細な線分光を行った。平行運動量分布の解析に基づき、Neの準位構造とスピンパリティを決定し、初めて負のパリティ状態を同定した。測定された断面積と運動量分布から、N=20とN=28のシェルギャップの消失の証拠となる有意なintruder p-wave強度が明らかになった。束縛状態については、弱いf-waveの可能性のある強度が観測された。いくつかの有効相互作用を用いた大規模殻模型計算では、実験的に観測された大きなp-wave強度と小さなf-wave強度は再現されず、Ne同位体に沿った反転の島への遷移の完全な理論的記述への挑戦が続いていることを示している。
Elekes, Z.*; Juhsz, M. M.*; Sohler, D.*; Sieja, K.*; 吉田 数貴; 緒方 一介*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Achouri, N. L.*; 馬場 秀忠*; et al.
Physical Review C, 106(6), p.064321_1 - 064321_10, 2022/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Physics, Nuclear)VとVの低励起準位構造を初めて探索した。Vについては中性子ノックアウト反応と陽子非弾性散乱が、Vについては中性子ノックアウト反応データが得られた。Vについては4つ、Vについては5つの新たな遷移が確認された。Lenzi-Nowacki-Poves-Sieja (LNPS)相互作用に基づく殻模型計算との比較によって、それぞれの同位体について確認されたガンマ線のうち3つが、first 11/2状態とfirst 9/2状態からの崩壊と決定された。Vについては、(,)非弾性散乱断面積は四重極変形と十六重極変形を想定したチャネル結合法により解析されたが、十六重極変形の影響により、明確に反転の島に属するとは決定できなかった。
Enciu, M.*; Liu, H. N.*; Obertelli, A.*; Doornenbal, P.*; Nowacki, F.*; 緒方 一介*; Poves, A.*; 吉田 数貴; Achouri, N. L.*; 馬場 秀忠*; et al.
Physical Review Letters, 129(26), p.262501_1 - 262501_7, 2022/12
被引用回数:0 パーセンタイル:29.72(Physics, Multidisciplinary)230MeV/nucleonでのCaからの中性子ノックアウト反応が線分光と行われ、と軌道からの中性子ノックアウト反応の運動量分布が測定された。断面積はの閉殻と整合し、Ca同位体でのと閉殻と同程度に強い閉殻であることが確認された。運動量分布の分析からと軌道の平均二乗根半径の差は0.61(23)fmと決定され、これはmodified-shell-modelによる予言の0.7fmと整合した。これは、中性子過剰なCa同位体での軌道半径が大きいことが、中性子数にしたがって線形的に荷電半径が増える意外な現象の原因であることを示唆している。
山野 秀将; 高井 俊秀; 江村 優軌; 福山 博之*; 東 英生*; 西 剛史*; 太田 弘道*; 守田 幸路*; 中村 勤也*; 深井 尋史*; et al.
Proceedings of 13th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal-Hydraulics, Operation and Safety (NUTHOS-13) (Internet), 12 Pages, 2022/09
本発表はプロジェクト全体概要及び2020年度までの進捗概要について報告する。この論文における具体的成果は、共晶反応速度の測定並びに、SS坩堝の中にBCペレットを置いたBC-SS共晶反応速度実験の数値解析を通じて、解析コード内の共晶反応を記述する物理モデルの妥当性を確認したことである。
中原 将海; 渡部 創; 粟飯原 はるか; 高畠 容子; 荒井 陽一; 小木 浩通*; 中村 雅弘; 柴田 淳広; 野村 和則
Proceedings of International Conference on Nuclear Fuel Cycle; Sustainable Energy Beyond the Pandemic (GLOBAL 2022) (Internet), 4 Pages, 2022/07
高レベル放射性物質研究施設において高速炉燃料再処理技術,高レベル放射性廃棄物処分技術,核燃料サイクル技術に関する基礎研究に伴い様々な液体廃棄物が発生している。これらの試験において様々な試薬は使用されており、試験の過程で有害な物質が発生している。これらの放射性液体廃棄物を安全な状態で保管するために分解,溶媒抽出,沈殿,固化処理等により無害化処理に関する研究開発を実施している。本研究では、放射性液体廃棄物の無害化処理に係る研究開発の現状を報告する。
先崎 達也; 荒井 陽一; 矢野 公彦; 佐藤 大輔; 多田 康平; 小木 浩通*; 川野邊 崇之*; 大野 真平; 中村 雅弘; 北脇 慎一; et al.
JAEA-Testing 2022-001, 28 Pages, 2022/05
核燃料サイクル工学研究所B棟における試験、分析の実施により発生し、長期間グローブボックス内に保管していた核燃料物質について、当該施設の廃止措置の決定に伴い、高レベル放射性物質研究施設(CPF)の貯蔵庫においてポリ塩化ビニル製の袋(PVCバッグ)で密封して保管していた。CPF安全作業基準に基づく貯蔵物の定期点検においてPVCバッグが徐々に膨らむ状況が確認されたことから、当該試料中から放射線分解によると思われる何らかのガスが発生していると考えられた。ガスが滞留した状態で放置すると、PVCバッグの破裂・破損に繋がるため、ガスが発生しない状態に安定化する必要があると考えた。安定化処理までの処理フローを確立するため、当該核燃料物質の性状を調査した。また、その結果から模擬物質を選定してモックアップ試験を実施した。性状調査においては放射能分析や成分分析、熱分析を実施した。放射性物質濃度及び組成を明らかにするため、線スペクトロメトリーによる定性分析及び試料溶解による成分分析を実施した。次に、加熱処理による発熱反応を確認するため、酸素をコントロールした条件下で熱分析を実施した。熱分析の結果から有機物含有核燃料物質の組成を推定し、700Cの熱処理により安定化が可能と判断できたことから、全量を熱処理し安定化処理作業を完了した。核燃料物質の熱処理においては、まずは少量の試料により安全性を確認した後、処理規模をスケールアップした。熱分解処理後の重量減少量の測定により、核燃料物質に混合する有機物が完全に分解できたことを確認した。安定化処理後の核燃料物質はSUS製貯蔵容器に収納してバッグアウトし、CPFの貯蔵庫に貯蔵することで一連の安定化処理作業を完了した。今後の廃止措置においても、性状不明な核燃料物質の安定化処理が必要なケースが想定されることから、安定化処理において得られた知見について報告書にまとめる。
小岩井 拓真*; Wimmer, K.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Barbieri, C.*; Duguet, T.*; Holt, J. D.*; 宮城 宇志*; Navrtil, P.*; 緒方 一介*; et al.
Physics Letters B, 827, p.136953_1 - 136953_7, 2022/04
被引用回数:2 パーセンタイル:54.36(Astronomy & Astrophysics)中性子過剰核Caでは、新魔法数34が発見されて以来、その構造を知るために多くの実験がなされてきたが、それを超える中性子過剰核の情報は全く知られてこなかった。本論文では、理化学研究所RIBFにてK, Ca, Caの励起状態から脱励起するガンマ線を初めて観測した結果を報告した。それぞれ1つのガンマ線しか得られなかったものの、KおよびCaのデータは、それぞれ、陽子のと軌道間のエネルギー差、中性子のと軌道間のエネルギー差を敏感に反映し、両方とも最新の殻模型計算によって200keV程度の精度で再現できることがわかった。また、1粒子状態の程度を特徴づける分光学的因子を実験データと歪曲波インパルス近似による反応計算から求め、その値も殻模型計算の値と矛盾しないことがわかった。
Linh, B. D.*; Corsi, A.*; Gillibert, A.*; Obertelli, A.*; Doornenbal, P.*; Barbieri, C.*; Chen, S.*; Chung, L. X.*; Duguet, T.*; Gmez-Ramos, M.*; et al.
Physical Review C, 104(4), p.044331_1 - 044331_16, 2021/10
被引用回数:3 パーセンタイル:48.27(Physics, Nuclear)理化学研究所のRIビームファクトリーにて中性子過剰Clの励起状態をArからのノックアウト反応によって生成し、脱励起ガンマ線からそのエネルギー準位を測定した。また、陽子ノックアウトの運動量分布からClの基底状態がであることがわかった。その結果を大規模殻模型計算およびいくつかの第一原理計算と比較した。Cl同位体の基底状態および第一励起状態は、計算で用いた相互作用に敏感であることがわかった。それは、陽子の一粒子エネルギーと四重極集団運動との複雑な結合によるためであると考えられる。
Browne, F.*; Chen, S.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; 緒方 一介*; 宇都野 穣; 吉田 数貴; Achouri, N. L.*; 馬場 秀忠*; Calvet, D.*; et al.
Physical Review Letters, 126(25), p.252501_1 - 252501_7, 2021/06
被引用回数:8 パーセンタイル:70.49(Physics, Multidisciplinary)理化学研究所RIビームファクトリーにて、中性子過剰核Scからの1陽子ノックアウト反応によってCaを生成し、そのエネルギー準位と反応断面積をガンマ線分光および不変質量分光によって得た。その結果を歪曲波インパルス近似による核反応計算と大規模殻模型による核構造計算を組み合わせた理論値と比較した。実験の準位と断面積は理論計算によってよく再現された。Caの正パリティ状態については、基底状態の生成断面積が励起状態のものに比べて圧倒的に大きいという結果が得られた。これは、Scでは中性子魔法数34が消滅しCaではその魔法数が存在するというこれまでの知見と一見矛盾するが、対相関による分光学的因子のコヒーレンスから理解することができる。
宮崎 康典; 渡部 創; 中村 雅弘; 柴田 淳広; 野村 和則; 甲斐 哲也; Parker, J. D.*
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011073_1 - 011073_7, 2021/03
中性子共鳴吸収イメージングを、抽出クロマトグラフィに使用するマイナーアクチノイド回収用CMPO/SiO-Pカラムで形成したEu吸着バンドの観測に適用した。軽水や重水で調製した湿潤カラムと乾燥吸着材を充填した乾燥カラムを比較し、中性子透過を評価した。中性子透過スペクトルから、乾燥カラムは45%、軽水調製カラムは20%、重水調製カラムは40%の中性子透過を確認した。得られた結果から、CMPO/SiO-Pカラムに形成したEu吸着バンドを観測するには、重水の使用によって、より鮮明になることを明らかにした。今後、カラム操作による吸着バンドのカラム内移行挙動を明らかにする。
Juhsz, M. M.*; Elekes, Z.*; Sohler, D.*; 宇都野 穣; 吉田 数貴; 大塚 孝治*; 緒方 一介*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; 馬場 秀忠*; et al.
Physics Letters B, 814, p.136108_1 - 136108_8, 2021/03
被引用回数:3 パーセンタイル:48.27(Astronomy & Astrophysics)(,)反応と線分光を用いてArの束縛状態と非束縛状態の核構造研究を行った。実験結果と殻模型計算を比較することで、2つの束縛状態と6つの非束縛状態を決定した。Arの束縛状態を生成する反応断面積が小さいことから、これは中性子数32, 34の顕著なsub-shell closureが存在している確かな証拠と解釈できる。
仲宗根 峻也*; 横山 須美*; 高橋 知之*; 太田 雅和; 柿内 秀樹*; 杉原 真司*; 平尾 茂一*; 百島 則幸*; 玉利 俊哉*; 島 長義*; et al.
Plasma and Fusion Research (Internet), 16, p.2405035_1 - 2405035_5, 2021/02
液体シンチレーションカウンタによる環境水試料のトリチウム分析では、試料に含まれる溶存有機物等の不純物の除去が必要である。一般的に用いられている前処理法は試料の蒸留であるが、蒸留は時間を要する(24時間程度)という欠点がある。発表者らは、イオン交換樹脂を用いた迅速な前処理法を提案してきた。本研究では、イオン交換樹脂を用いた前処理法の定量評価を目的としてバッチ実験を実施し、実験結果から不純物の除去が短時間(5分程度)で完了することを確認した。
Corts, M. L.*; Rodriguez, W.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Holt, J. D.*; Menndez, J.*; 緒方 一介*; Schwenk, A.*; 清水 則孝*; Simonis, J.*; et al.
Physical Review C, 102(6), p.064320_1 - 064320_9, 2020/12
被引用回数:9 パーセンタイル:74.44(Physics, Nuclear)理化学研究所RIBFにおいて、=32同位体であるArの低励起構造を陽子・中性子ノックアウト反応,多核子剥離反応,陽子非弾性散乱と線分光によって調査した。すでに知られていた2つに加えて、3状態の候補を含む5つの状態を新たに確認した。 coincidenceによって得られた準位図は模型空間での殻模型計算やカイラル2体・3体力による第一原理計算と比較した。陽子・中性子ノックアウト反応断面積の理論との比較により、新たに発見された2つの状態は2状態であり、また以前に4とされていた状態も2であることが示唆された。
Corts, M. L.*; Rodriguez, W.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Holt, J. D.*; Lenzi, S. M.*; Menndez, J.*; Nowacki, F.*; 緒方 一介*; Poves, A.*; et al.
Physics Letters B, 800, p.135071_1 - 135071_7, 2020/01
被引用回数:28 パーセンタイル:96.38(Astronomy & Astrophysics)ガンマ線分光による=40同調体であるTiの分光学研究をV(,)TiをRIBFで行った。今回初めて測定されたとの遷移はTiの基底状態が変形していることを示唆した。これらのエネルギーは近傍核のCrやFeと比較して大きく、したがって四重極集団運動が小さくなっていることが示唆される。今回の結果は大規模殻模型計算によって良く再現される一方、第一原理計算や平均場模型では今回の結果は再現されなかった。
Chen, S.*; Lee, J.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Barbieri, C.*; 茶園 亮樹*; Navrtil, P.*; 緒方 一介*; 大塚 孝治*; Raimondi, F.*; et al.
Physical Review Letters, 123(14), p.142501_1 - 142501_7, 2019/10
被引用回数:41 パーセンタイル:92.88(Physics, Multidisciplinary)Caでは中性子魔法数34が現れると考えられているが、その直接的な実験的証拠を得るため、Caからの中性子ノックアウト反応Ca()Caによって生成される状態を理化学研究所のRI Beam Factoryによって調べた。基底状態および2.2MeVの励起状態が強く生成され、1.7MeVの励起状態の生成量は小さかった。Caの運動量分布から、基底状態および2.2MeVの励起状態は軌道の中性子を叩き出して得られた状態であることが明らかになった。DWIA計算によって得られた分光学的因子から、Caは軌道がほぼ完全に占有された閉殻構造を持つことが明らかになり、中性子魔法数34の出現が確実なものとなった。
山野 秀将; 高井 俊秀; 古川 智弘; 菊地 晋; 江村 優軌; 神山 健司; 福山 博之*; 東 英生*; 西 剛史*; 太田 弘道*; et al.
Proceedings of International Nuclear Fuel Cycle Conference / Light Water Reactor Fuel Performance Conference (Global/Top Fuel 2019) (USB Flash Drive), p.418 - 427, 2019/09
制御棒材の炭化ホウ素(BC)とステンレス鋼(SS)の共晶溶融反応及び移動挙動は、ナトリウム冷却高速炉の炉心損傷事故(CDA)評価における重要な課題の一つである。CDAの数値解析では、このような挙動のシミュレーションはこれまで行われたことがないため、物理モデルを開発しそれをCDA解析コードに組み入れる必要がある。本研究では、BC-SS共晶溶融実験、共晶溶融の熱物性計測、共晶溶融反応の物理モデル開発に焦点を当てている。共晶実験では、可視化実験,反応速度実験,材料分析を行う。物性は液相から固相までの範囲で測定する。これらの反応速度や物性を基に、シビアアクシデント解析コードのための物理モデルを開発する。本発表はプロジェクト全体概要及び平成29年度までの進捗概要について報告する。この論文における具体的成果は、共晶溶融実験において固化したBC-SS共晶試料のホウ素濃度分布で、これはコンピュータコードに組み込まれた共晶物理特性の検証に用いられる。
Wang, H.*; 大津 秀暁*; 千賀 信幸*; 川瀬 頌一郎*; 武内 聡*; 炭竃 聡之*; 小山 俊平*; 櫻井 博儀*; 渡辺 幸信*; 中山 梓介; et al.
Communications Physics (Internet), 2(1), p.78_1 - 78_6, 2019/07
被引用回数:7 パーセンタイル:56.64(Physics, Multidisciplinary)陽子(あるいは中性子)過剰核の効率的な生成経路を探索することは、原子核反応研究の主な動機のひとつである。本研究では、Pdに対する核子当たり50MeVの陽子および重陽子入射による残留核生成断面積を逆運動学法によって測定した。その結果、重陽子入射ではAgやPd同位体の生成断面積が大きくなることを実験的に示した。また、理論計算による解析から、この生成断面積の増大は重陽子の不完全融合反応に起因することを示した。これらの結果は、陽子過剰核の生成において重陽子のような弱束縛核の利用が有効であることを示すものである。
荒井 陽一; 渡部 創; 大野 真平; 中村 雅弘; 柴田 淳広; 中村 文也*; 新井 剛*; 瀬古 典明*; 保科 宏行*; 羽倉 尚人*; et al.
International Journal of PIXE, 29(1&2), p.17 - 31, 2019/00
PUREX再処理等の試験研究により、U, Puを含む廃溶媒が発生し、安全な保管や廃棄の観点から、廃溶媒からの核燃料物質の回収は重要なプロセスである。そこで、Pu(IV)の模擬としてZr(IV)を用いて模擬廃溶媒を調製し、固体吸着材による回収法を検討し、イミノ二酢酸を導入した吸着材が廃溶媒中からの核燃料物質回収に有効であるとの結果を得ている。実用化に向けては吸着量の向上が課題であったことから、イミノ二酢酸の導入量を増加させるためにポリマーを被覆した多孔質シリカの利用を検討し、そのポリマーにイミノ二酢酸を導入することで吸着材を合成した。合成した吸着材について、廃溶媒処理への適用性を評価するためには、吸着能力と吸着メカニズムを明らかにする必要がある。そこで、微量元素の測定が可能であるマイクロPIXE分析に着目し、吸着したZrの分布や量を測定することで、吸着材に導入したイミノ二酢酸基の利用効率を評価した。また、吸着材中のイミノ二酢酸に吸着したZr周りの局所構造を明らかとするためにEXAFS分析を実施した。それぞれの分析結果から、本件で合成した吸着材は溶媒中でもZrと吸着反応を示すことを確認したが、沈殿と推察される粒子が観察され、吸着材の合成方法の更なる改善が必要である。