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報告書

JRR-3冷中性子源装置の新型減速材容器に関わる熱流力設計

徳永 翔; 堀口 洋徳; 中村 剛実

JAEA-Technology 2023-001, 37 Pages, 2023/05

JAEA-Technology-2023-001.pdf:1.39MB

研究用原子炉JRR-3の冷中性子源装置(Cold Neutron Source: CNS)は、原子炉内で発生した熱中性子を減速材容器内に貯留した液体水素により減速し、エネルギーの低い冷中性子に変換する装置である。CNSから発生した冷中性子は、中性子導管を用いて実験装置に輸送され、生命科学、高分子科学、環境科学等を中心とする多くの物性研究に利用されている。中性子科学における世界の研究用原子炉との競争力を維持するためには、冷中性子強度の改善は不可欠であり、新たな知見を取り入れた新型CNSの開発を進めている。現行のJRR-3のCNSの減速材容器は、水筒型のステンレス製容器を採用しており、材質及び形状の変更により冷中性子束の強度を向上させることが可能である。そのため、新型減速材容器の基本仕様は、材質を中性子吸収断面積の小さいアルミニウム合金に変更し、さらに、モンテカルロ計算コードMCNPを用いて最適化した容器形状に変更した。これらの仕様変更に伴い、発熱や伝熱の条件に変更が生じることから、熱流力設計上の成立性を確認するため、JRR-3のCNSについて自己平衡性、熱輸送限界及び耐熱・耐圧等について改めて評価を行った。本報告書は、新型減速材容器に関わる熱流力設計上の評価を実施し、その結果を纏めたものである。

論文

Radiological estimation and validation for the Accelerator-Based Boron Neutron Capture Therapy Facility at the Ibaraki Neutron Medical Research Center

中島 宏; 中村 剛実; 小林 仁*; 田中 進*; 熊田 博明*

NEA/NSC/R(2021)2 (Internet), p.142 - 151, 2021/12

病院に設置可能なホウ素中性子捕捉療法(BNCT)施設の開発を目指して、茨城中性子医学研究センターでは、筑波大学, 日本原子力研究開発機構, 高エネルギー加速器などの協力の下、加速器ベースのBNCT施設が開発されている。本装置は、80kWの最大ビームパワーを持つ陽子加速器と、ターゲット, モデレータ, コリメータ, シールド(TMCS)システムで構成されている。設計概念のために、BNCTビーム条件を満たし、低放射化を達成するために、TMCSシステムにおける放射線挙動はモンテカルロ法により計算され、その結果に基づいてTMCSの構成が最適化された。また、TMCSシステムの放射線計算結果をいくつかの実験により検証し、BNCTへの適用性を示した。本報告では施設開発のための評価と検証についてレビューする。

論文

JRR-4のBNCT研究

中村 剛実

CROSS T&T, (64), p.18 - 23, 2020/02

シリーズ企画「つくば&東海の科学遺産」の第4回として、JRR-4のBNCT研究についてこれまでの実績、経験等を整理することで遺産化を示した。主な容内は、BNCTの原理、歴史的な背景、JRR-4でBNCTを実施することになった理由、BNCT用設備、臨床研究、生物実験及び小動物実験、加速器BNCTへの技術継承である。

論文

Characteristics of radiation-resistant real-time neutron monitor for accelerator-based BNCT

中村 剛実; 坂佐井 馨; 中島 宏; 高宮 幸一*; 熊田 博明*

Journal of Radiation Protection and Research, 41(2), p.105 - 109, 2016/06

加速器BNCT実用化研究開発を、つくば国際戦略総合特区のプロジェクトの下で実施している。この中で、我々はリアルタイム中性子モニターの研究の1つとして、SOF検出器の開発を行っている。このSOF検出器はJRR-4の臨床研究にも適用し実績を有するが、照射量が多くなると光ファイバーの劣化・損傷により、感度が低下することが報告されている。このため、本開発ではプラスチック光ファイバーを耐放射性に優れている石英光ファイバーに仕様を変更する改良を行った。劣化・損傷に関するデータを取得するため、改良したSOF検出器に用いられている光ファイバー及びシンチレータに対して、専用の照射実験用検出器を製作し、京都大学原子炉実験所KURの傾斜照射孔にて照射を行った。一方、検出器の特性測定については、KURの重水設備照射場を用いて波高分布測定を行った。実験結果より、改良した石英光ファイバー型SOF検出器は、既存のプラスチック型SOF検出器と同等以上の性能を有していることを確認した。また、石英光ファイバーは設定した熱中性子フルエンスの目標値に対して劣化・損傷による感度の低下が少ないことを確認した。

報告書

JRR-4におけるホウ素中性子捕捉療法のための乳がん照射技術の開発

中村 剛実; 堀口 洋徳; 柳衛 宏宣*; 新居 昌至

JAEA-Technology 2014-016, 61 Pages, 2014/06

JAEA-Technology-2014-016.pdf:30.48MB

研究炉加速器管理部では、乳がんに対するBNCTの適用拡大に向けた照射技術の開発を第2期中期計画で実施している。本報告書は、JRR-4の医療照射設備において乳がん照射を実施する上での課題を解決するための技術開発についてまとめたものである。本報告書では、乳がんコリメータの設計解析、臨床モデルによる線量評価解析、深部線量増強のための検討、乳がん照射の固定方法の検討について実施した。評価結果より、開発した乳がん照射技術がJRR-4のBNCT照射場での乳がん照射において十分適用可能であることを確認した。ここで得られた知見は、他の研究用原子炉を用いたBNCTや将来の加速器を用いたBNCTにおいても有用である。

論文

Numerical simulation of thermohydraulic characteristics of dross ejection process in laser steel cutting

杉原 健太; 中村 保之; 小川 剛充; 村松 壽晴

Proceedings of 20th International Conference on Nuclear Engineering and the ASME 2012 Power Conference (ICONE-20 & POWER 2012) (DVD-ROM), 7 Pages, 2012/07

厚板鋼材レーザー切断の適切化及び制御に向けて、多相の熱流体モデルに基づいた数値シミュレーションコードを開発し、アシストガスや加工ヘッド移動速度が切断性能に与える影響を調べた。切断フロント形状や温度分布を解析した結果以下の知見が得られた。アシストガス噴射によって溶融金属排出を促さなかった場合、レーザー光は溶融金属に吸収されてしまい固相表面に直接吸収されず板裏の温度上昇が遅れてしまう。ヘッドの移動速度が速すぎる場合には、加工ヘッド位置に対する熱伝導の遅れによって、切断開始位置の板裏に切り残しが生じるという実験結果を数値シミュレーションによって定性的に裏付けた。以上の結果から、切断溝の形成にはアシストガスによる溶融金属排出が厚板レーザー切断において非常に重要であるといえる。

報告書

JRR-4中性子ビーム設備の特性測定; 反射体変更後のBNCT線量解析精度の評価

堀口 洋徳; 中村 剛実; 本橋 純; 樫村 隆則; 市村 茂樹; 笹島 文雄

JAEA-Technology 2012-003, 38 Pages, 2012/03

JAEA-Technology-2012-003.pdf:2.55MB

研究炉JRR-4では、悪性脳腫瘍や頭頸部癌等に対するホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の臨床研究が実施されている。BNCTは、熱中性子と患者に投与されたホウ素($$^{10}$$B)との核反応を利用した放射線治療法である。JRR-4では、反射体要素の不具合に伴い、全種類の反射体要素について設計仕様の変更が行われた。新たな反射体要素の製作においては、計算解析により中性子ビーム設備への影響を考慮した設計を行っている。反射体要素の据え付け終了後、中性子ビーム設備の性能についてフリービーム実験及び水ファントム実験による確認を実施した。得られた実験結果と本解析手法による結果を比較することにより、BNCTの治療計画に必要となる計算誤差を評価することができた。

論文

Multistep lattice-voxel method utilizing lattice function for Monte-Carlo treatment planning with pixel based voxel model

熊田 博明*; 斎藤 公明; 中村 剛実; 榮 武二*; 櫻井 英幸*; 松村 明*; 小野 公二*

Proceedings of 14th International Congress on Neutron Capture Therapy (ICNCT-14) (CD-ROM), p.238 - 241, 2010/10

In treatment planning for BNCT, Monte-Carlo method for the dose calculation is being generally applied. For JCDS-FX as a new treatment planning system, PHITS, a multi-purpose Monte-Carlo code has been employed to dose calculation. For the dose calculation for a human body, JCDS-FX can make a precise voxel model consisting of pixel based voxel cells like 0.4$$times$$0.4$$times$$2.0 mm$$^{3}$$ voxel in order to perform high-accuracy dose estimation. However, the miniaturization of the voxel size causes calculation time to increase. The aim of this study is to investigate sophisticated modeling method which can perform Monte-Carlo calculation for human geometry efficiently. Thus, we devised a new voxel modeling method "Multistep lattice-voxel method" which can configure a voxel model that combines different voxel sizes by utilizing the lattice function over and over. To verify the performance of the calculation with the modeling method, several calculations for human geometry were carried out. The verification results demonstrated that the Multistep lattice-voxel method enabled the precise voxel model to reduce calculation time substantially while keeping the high-accuracy dose estimation.

論文

Resumption of JRR-4 and characteristics of the neutron beam for BNCT

中村 剛実; 堀口 洋徳; 岸 敏明; 本橋 純; 笹島 文雄; 熊田 博明*

Proceedings of 14th International Congress on Neutron Capture Therapy (ICNCT-14) (CD-ROM), p.379 - 382, 2010/10

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に利用されている研究用原子炉JRR-4は、黒鉛反射体損傷によるトラブルで2008年1月に原子炉が停止した。このため、新しい黒鉛反射体を製作(仕様:黒鉛の幅を薄くし、水のギャップを増加)し、炉心内に装荷してある従来の反射体をすべて新しい反射体と入れ換えた炉心で、JRR-4の運転を再開(2010年2月)した。このため、新しい黒鉛反射体でのJRR-4炉心におけるBNCT用中性子ビームの特性実験を行った。実験体系は、コリメータの前に水円筒ファントムを設置し、ファントム内に、裸金線,カドミウム入り金線、及びTLDを配置させることによって、熱中性子束分布及び$$gamma$$線量分布を測定した。MCNPコードを用いた計算解析では、反射体変更前に対して、中性子エネルギースペクトルの有意な変化は見られなかったが、相対強度は約8%減少した。また、現在得られている実験結果も、計算解析結果と同じ傾向が見られた。実験及び計算解析との比較評価の詳細は、フルペーパーの中で報告を行う。

論文

Investigation of irradiation conditions for recurrent breast cancer in JRR-4

堀口 洋徳; 中村 剛実; 熊田 博明*; 柳衛 宏宣*; 鈴木 実*; 佐川 尚司

Proceedings of 14th International Congress on Neutron Capture Therapy (ICNCT-14) (CD-ROM), p.234 - 237, 2010/10

研究用原子炉JRR-4を用いたホウ素中性子捕捉療法(BNCT)では、再発乳癌への適用が検討されている。再発乳癌に対する最適な中性子照射条件の検討を行うため、再発乳癌を模擬した人体モデルに対して線量評価システム(JCDS)を用いた評価を実施した。線量評価モデルは、乳房切除術を施した後に再発した症例を設定して、単門照射(正面方向)及び多門照射(接線方向)について評価を行った。評価結果から、熱中性子ビームを用いることにより、体表付近に発症する再発乳癌に対して効率よく線量を付与し、正常組織(肺,心臓,肝臓)においては、熱外ビームに比べ50%以上線量を低下できることが明らかになった。多門照射を用いた評価でも、生体内に入射した中性子が入射方向に依存しない等方散乱を起こすため、単門照射と同様な生体内の線量分布が得られた。これにより、本再発乳癌評価モデルに対するBNCTでは、他の放射線治療において正常組織の線量の制御に有効である接線方向からの照射ではなく、熱中性子ビームを用いた単門照射が有効であるとの結論に至った。今後も異なる評価モデル,評価パラメータを用いた検討を実施し、最適な照射条件について評価を実施していく。

論文

Characteristics measurement of thermal neutron filter developed for improvement of therapeutic dose distribution of JRR-4

熊田 博明*; 中村 剛実; 堀口 洋徳; 松村 明*

Proceedings of 14th International Congress on Neutron Capture Therapy (ICNCT-14) (CD-ROM), p.414 - 417, 2010/10

In most of clinical studies of BNCT performed at JRR-4, dose given to a patient has been controlled in accordance with limitation of not brain dose in the body but skin dose. This is attributed to the high thermal neutron component of the epithermal neutron beam of JRR-4. The aim of this study is to enhance the therapeutic dose around tumor region by decreasing the thermal neutrons mixed in the beam. To reduce the thermal neutrons, we made a prototype of thermal neutron filter which can cut the thermal neutrons at just before patient. To verify the performance of the filter and the characteristics of the epithermal neutron beam with the filter, phantom irradiation experiments were carried out. And then the experimental values and Monte-Carlo calculations which had been performed to design the filter were compared. The verification results demonstrated that the application of the filter enabled to reduce the skin dose and to enhance the therapeutic dose at deeper region in a body. And the filter application also brings on extension of the irradiation time. We will perform further characteristic measurements for the filter in order to apply the filter to the clinical trials in practical use.

論文

Feasible evaluation of neutron capture therapy for hepatocellular carcinoma using selective enhancement of boron accumulation in tumour with intra-arterial administration of boron-entrapped water-in-oil-in-water emulsion

柳衛 宏宣*; 熊田 博明*; 中村 剛実; 東 秀史*; 生嶋 一朗*; 森下 保幸*; 篠原 厚子*; 藤原 光輝*; 鈴木 実*; 櫻井 良憲*; et al.

Proceedings of 14th International Congress on Neutron Capture Therapy (ICNCT-14) (CD-ROM), p.157 - 160, 2010/10

In the treatment of hepatocellular carcinoma (HCC), only 30 % patients can be operated due to complication of liver cirrhosis or multiple intrahepatic tumours. Tumour cell destruction in BNCT is necessary to accumulate a sufficient quantity of $$^{10}$$B atoms in tumour cells. In this study, we prepared BSH entrapped WOW emulsion by double emulsifying technique using iodized poppy-seed oil (IPSO), BSH and surfactant, for selective intra-arterial infusion to HCC, and performed the neutron dosimetry using CT scan imaging of HCC patient. The $$^{10}$$B concentrations in VX-2 tumour obtained by delivery with WOW emulsion was superior to those by conventional IPSO mix emulsion. In case of HCC, we performed the feasibility estimation of 3D construction of tumor according to the CT imaging of a patient with epithermal neutron mode at JRR-4. Normal liver biologically weighted dose is restricted to 4.9 Gy-Eq; the max., min. and mean tumour weighted dose are 43.1, 7.3, and 21.8 Gy-Eq, respectively, in 40 minutes irradiation. In this study, we show that $$^{10}$$B entrapped WOW emulsion could be applied to novel intra-arterial boron delivery carrier for BNCT.

論文

Performance measurement of the scintillator with optical fiber detector for boron neutron capture therapy

米田 政夫; 熊田 博明; 石川 正純*; 中村 剛実; 山本 和喜; 松村 明*

Applied Radiation and Isotopes, 67(7-8, Suppl.), p.S254 - S257, 2009/07

 被引用回数:7 パーセンタイル:40.30(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

The thermal neutron flux can be easily measured in real time by using the SOF (Scintillator with Optical Fiber) detector. However the irradiation damage under high-intensity neutron flux causes the deterioration of the SOF detector due to the plastic scintillator in which $$^{6}$$LiF is blended. After irradiating the SOF detector for 4 hours (thermal neutron fluence approximately 2.0$$times$$10$$^{13}$$ neutrons/cm$$^{2}$$), the sensitivity of the SOF detector decreased by 3.0%. After irradiating the SOF detector for 2 months (thermal neutron fluence approximately 6.4$$times$$10$$^{14}$$ neutrons/cm$$^{2}$$), the sensitivity was reduced to 42%. Supposing that the thermal neutron fluence is 2$$times$$10$$^{12}$$ (neutrons/cm$$^{2}$$) on the surface of a patient in a BNCT treatment, the sensitivity of the SOF detector is reduced by approximately 0.3%. This report presents investigations on the deterioration of the SOF detector in irradiation experiments.

論文

Performance measurement of the SOF detector for boron neutron capture therapy

米田 政夫; 熊田 博明; 石川 正純*; 中村 剛実; 山本 和喜; 松村 明*

Proceedings of 13th International Congress on Neutron Capture Therapy (ICNCT-13) (CD-ROM), 3 Pages, 2008/11

リアルタイムで熱中性子束測定が可能なSOF(Scintillator with Optical Fiber)検出器の照射試験を行い、SOFの中性子劣化特性について調べた。SOF検出器を4時間照射したところ、感度が3%低下することがわかった。この時の中性子フルエンスは約2.0$$times$$10$$^{13}$$(n/cm$$^{2}$$)であった。さらにSOFを2か月に渡り使用したところ、感度は42%となることがわかった。この時の中性子フルエンスは約6.4$$times$$10$$^{14}$$(n/cm$$^{2}$$)であった。BNCTにおいて患者表面における中性子フルエンスを2.0$$times$$10$$^{12}$$(n/cm$$^{2}$$)と仮定すると、1回のBNCTでSOF検出器の感度は約0.3%低下すると考えられるため、今後BNCTにおいてSOFを用いた中性子束の絶対値測定を行うには劣化対策が必要になると考えられる。

論文

Characteristic of thermal neutron flux distribution in phantom with extended collimator developed for head and neck cancer

中村 剛実; 熊田 博明; 岸 敏明

Proceedings of 12th International Congress on Neutron Capture Therapy (ICNCT-12), p.535 - 538, 2006/10

頭頚部癌に対するBNCTでは、患者の肩等が壁に当たるため患部をビーム孔に接近させることが困難である。そこでJRR-4の既存の内径12cmのコリメータを壁から15cm延長し、ビーム孔部を壁から突出させた形状のコリメータを開発した。この延長コリメータを用いて熱及び熱外中性子ビームモードを使用して外径18.6cmの円筒水ファントム内に長さ10cm,外径0.25mmの金線を配置させて、ファントム内の金線反応率から熱中性子束分布を測定した。熱中性子モード1に対して、ビーム軸上熱中性子束プロファイルの最大値は、ファントムの表面から深さ6mmで現れ、定格出力3500kWで2.4$$times$$10$$^{9}$$(n/cm$$^{2}$$/s)であった。同様に、熱外中性子ビームモードに対して、ビーム軸上熱中性子束プロファイルの最大値は、ファントムの表面から深さ16mmで現れ、定格出力3500kWで1.8$$times$$10$$^{9}$$(n/cm$$^{2}$$/s)であった。このレポートでは水ファントム内の熱中性子束分布から延長コリメータでの中性子ビームに対する特性を報告する。現在、延長コリメータはJRR-4での頭頸部癌の臨床試験に利用されている。

論文

Dose evaluation in criticality accident conditions using transient critical facilities fueled with a fissile solution

中村 剛実*; 外池 幸太郎; 三好 慶典

Radiation Protection Dosimetry, 110(1-4), p.483 - 486, 2004/09

 被引用回数:2 パーセンタイル:16.97(Environmental Sciences)

TLDを用いた線量測定・評価手法の研究を原研の過渡臨界実験装置TRACYを用いて行った。TLDによる周辺線量当量の測定結果は、解析によって得られる変換係数を用いて、組織吸収線量に換算することができる。この手法を用いて、フランスIRSNの過渡臨界実験装置SILENEでOECD/NEAとIRSNの共催で実施された臨界事故時線量評価国際比較試験(2002年6月10日$$sim$$21日)において、中性子線量と$$gamma$$線量の測定を行った。本報告ではこれらの測定結果を示す。

論文

Power profile evaluation of the JCO precipitation vessel based on the record of the $$gamma$$-ray monitor

外池 幸太郎; 中村 剛実*; 山根 祐一; 三好 慶典

Nuclear Technology, 143(3), p.364 - 372, 2003/09

 被引用回数:2 パーセンタイル:18.70(Nuclear Science & Technology)

JCO東海事業所の第1加工棟に設置されている$$gamma$$線エリアモニターは、臨界事故の発生から終息に至るまで、転換試験棟の沈殿槽で発生していた核分裂連錯反応の出力に比例した$$gamma$$線量率を計測,記録していた。この記録の事故発生後25分から事故終息までの部分(「プラトー」部)について、核分裂数2.2$$times$$10$$^{18}$$で規格化することにより、核分裂連錯反応の絶対出力の履歴を評価した。

報告書

SILENEにおける臨界事故時線量評価解析(受託研究)

中村 剛実*; 外池 幸太郎; 三好 慶典

JAERI-Tech 2003-031, 38 Pages, 2003/03

JAERI-Tech-2003-031.pdf:3.97MB

経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)が、各国の線量測定システムの相互比較を行うために、仏国バルデュック研究所の過渡臨界実験装置SILENEで臨界事故時線量評価国際比較試験を実施した。これは、同一の照射場において各国が線量測定を行い、測定結果を相互に比較するものである。筆者は、SILENEの$$gamma$$線量及び中性子線量を測定するために本試験に参加した。使用した線量計は、TLD及びアラニン線量計である。この試験において、中性子用TLDの測定値である周辺線量当量から、組織吸収線量を算出するための中性子用評価式を導き出した。本評価式を用いて算出した組織吸収線量をOECD/NEAに報告した。中性子用評価式を検討する目的で、日本原子力研究所のTRACYにおいて中性子用TLDを照射した。中性子用TLDの結果は、MCNPによる計算とアラニン線量計の測定結果で比較検討した。その結果、中性子用評価式の結果はアラニン測定結果に対する比が0.94となり、6%以内で一致することがわかった。このTRACYの試験より、OECD/NEAに報告した値は同等の精度を有することが言える。

報告書

JCO臨界事故の投入反応度推定のためのバイアス評価

山本 俊弘; 中村 剛実*; 三好 慶典

JAERI-Data/Code 2001-001, 30 Pages, 2001/02

JAERI-Data-Code-2001-001.pdf:1.53MB

JCO臨界事故における投入反応度を臨界計算から推定するために、臨界計算手法のバイアス評価を行った。臨界計算にはMNCP4Bを使用し、断面積ライブラリーとしてはポイントワイズのJENDL-3.1,JENDL-3.2,ENDF/B-Vを用いた。これらを用いて濃縮度10wt.%の溶液ウランを用いたSTACYの臨界実験解析と、Rocky Flats Plantで行われた濃縮度93.2wt/%の臨界実験の解析を行った。その結果、JCOの溶液燃料の濃縮度18.8wt%に対してJENDL-3.1,JENDL-3.2,ENDF/B-Vを用いた場合の実効増倍率のバイアス値はそれぞれ0.0%,+1.2%,+0.6%となった。

論文

Fission source convergence of Monte Carlo criticality calculations in weakly coupling fissile arrays

山本 俊弘; 中村 剛実*; 三好 慶典

Journal of Nuclear Science and Technology, 37(1), p.41 - 52, 2000/01

弱く結合した核燃料ユニット配列でモンテカルロ法により臨界計算を行うと核分裂中性子源の収束が悪くなることを示した。複数ユニットの配列系に結合係数を導入し、収束が、とりわけ対称的な配列系に対して悪いのは、正しい分布に戻そうとする復元力が弱いことと、その統計的変動が原因であることを定量的に示した。配列系における核分裂分布比を核分裂確率行列を用いて求める新たな方法を示した。この方法を用いれば単に比だけではなく、その統計誤差も与えられ、得られた結果の精度評価が可能となる。核分裂分布比がある値に強制的に収束するように領域別にウェイトを調整する方法を開発した。これを用いれば、非常に強い収束を得ることができる。臨界計算で得られた実効増倍率と核分裂分布比との相関を定式化した。二つのユニットからなる対称な系には両者には有意な相関がないことを理論的及び経験的に示した。一般的には、わずかばかり非対称になった系においては、実効増倍率は不正確な核分裂源の分布によってバイアスを持つことがわかった。弱く結合した配列系でモンテカルロ法により臨界計算を行う場合には、一世代あたりの中性子数を多くして計算したほうが望ましい。

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