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論文

Development of a forward Monte Carlo based weight-window generator using the history-counter function in PHITS

佐藤 達彦; 橋本 慎太郎; M$'a$rquez Dami$'a$n, J. I.*; 仁井田 浩二*

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 557, p.165535_1 - 165535_8, 2024/12

 被引用回数:0

Appropriate use of the variance reduction techniques such as weight-windows are indispensable for effectively designing the radiation shielding based on the Monte Carlo simulation. In this study, we developed a new algorithm of weight-window generator (WWG) relying solely on forward Monte Carlo simulation and implemented it into the Particle and Heavy Ion Transport code System (PHITS). Our new algorithm leverages a PHITS-specific function called the "history counter", which serves as an event logger that can be arbitrarily defined by users. The performance of the new WWG was investigated by conducting benchmark simulations for both idealized and practical shielding calculations. The results of the benchmark simulations suggested that our new algorithm can reduce the computational time by up to an order of magnitude, though it becomes less beneficial when no apparent pathway for particles arriving in the tally regions is observed in generating the weight window values. With this new feature, PHITS has become further suitable for the shielding calculations against high-energy radiations even when their evaluated cross-section data are unavailable.

論文

Overview of PHITS Ver.3.34 with particular focus on track-structure calculation

小川 達彦; 平田 悠歩; 松谷 悠佑; 甲斐 健師; 佐藤 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 松田 規宏; et al.

EPJ Nuclear Sciences & Technologies (Internet), 10, p.13_1 - 13_8, 2024/11

放射線挙動解析コードPHITSは、モンテカルロ法に基づいてほぼ全ての放射線の挙動を解析することができる放射線挙動解析計算コードである。その最新版であるPHITS version 3.34の、飛跡構造解析機能に焦点を置いて説明する。飛跡構造解析とは、荷電粒子が物質中を運動する挙動を計算する手法の一つで、個々の原子反応を識別することにより原子スケールでの追跡を可能にするものである。従来の飛跡構造解析モデルは生体を模擬する水だけにしか適用できず、遺伝子への放射線損傷を解析するツールとして使われてきた飛跡構造解析であるが、PHITSにおいてはPHITS-ETS、PHITS-ETS for Si、PHITS-KURBUC、ETSART、ITSARという飛跡構造解析モデルが補い合うことにより、生体の放射線影響だけでなく、半導体や材料物質など任意物質に対する適用が可能になっている。実際にこれらのモデルを使って、放射線によるDNA損傷予測、半導体のキャリア生成エネルギー計算、DPAの空間配置予測など、新しい解析研究も発表されており、飛跡構造解析を基礎とするボトムアップ型の放射線影響研究の推進に重要な役割を果たすことが期待できる。

論文

Recent improvements of the Particle and Heavy Ion Transport code System; PHITS version 3.33

佐藤 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松谷 悠佑; 松田 規宏; 平田 悠歩; et al.

Journal of Nuclear Science and Technology, 61(1), p.127 - 135, 2024/01

 被引用回数:53 パーセンタイル:99.93(Nuclear Science & Technology)

放射線挙動解析コードPHITSは、モンテカルロ法に基づいてほぼ全ての放射線の挙動を解析することができる。その最新版であるPHITS version 3.31を開発し公開した。最新版では、高エネルギー核データに対する親和性や飛跡構造解析アルゴリズムなどが改良されている。また、PHIG-3DやRT-PHITSなど、パッケージに組み込まれた外部ソフトウェアも充実している。本論文では、2017年にリリースされたPHITS3.02以降に導入された新しい機能について説明する。

論文

Benchmark study of particle and heavy-ion transport code system using shielding integral benchmark archive and database for accelerator-shielding experiments

岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 佐藤 達彦; 松田 規宏; 国枝 賢; $c{C}$elik, Y.*; 古立 直也*; 仁井田 浩二*

Journal of Nuclear Science and Technology, 59(5), p.665 - 675, 2022/05

 被引用回数:14 パーセンタイル:87.70(Nuclear Science & Technology)

粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、加速器施設の放射線遮蔽設計に広く利用されている。本研究では、NEA/NSCの遮蔽積分実験ベンチマーク・アーカイブデータベース(SINBAD)の中から、陽子加速器施設の中性子遮蔽実験に関するデータを用いて、最新のPHITSバージョン3.24の精度検証を行った。検証では、中性子源に用いる陽子入射核反応が(1)43及び68MeV陽子-リチウム、(2)52MeV陽子-炭素、(3)590MeV陽子-鉛、(4)500MeV陽子-タングステン、及び(5)800MeV陽子-タンタルの条件で、遮蔽体における中性子エネルギースペクトル及び反応率を計算した。その結果、PHITSの標準設定である核反応モデルINCL4.6を用いた計算結果は(1)及び(2)のケースの100MeV以下で実験値を再現しなかったが、高エネルギー核データライブラリJENDL-4.0/HEを用いた場合は全ケースで実験値を良く再現した。本検証により、陽子加速器施設における中性子遮蔽設計において、JENDL-4.0/HEを用いたPHITSの計算が有効であることが明らかになった。

論文

JENDL/ImPACT-2018; A New nuclear data library for innovative studies on transmutation of long-lived fission products

国枝 賢; 古立 直也; 湊 太志; 岩本 信之; 岩本 修; 中山 梓介; 江幡 修一郎*; 吉田 亨*; 西原 健司; 渡辺 幸信*; et al.

Journal of Nuclear Science and Technology, 56(12), p.1073 - 1091, 2019/12

 被引用回数:10 パーセンタイル:62.42(Nuclear Science & Technology)

長寿命核分裂生成核種(LLFP)の核変換技術確立に向けた革新的研究開発に資することを目的とし、新たな核データライブラリJENDL/ImPACT-2018を開発した。開発した核データライブラリは主要なLLFPである$$^{79}$$Se, $$^{93}$$Zr, $$^{107}$$Pd, $$^{135}$$Csおよび周辺核種(計163核種)に対する中性子及び陽子入射の評価済核反応断面積がエネルギー200MeVを上限として格納されている。断面積の評価においては核反応モデルコードCCONEを用いると共に、測定データの乏しい核種やエネルギー領域の断面積を根拠を持って推定するために微視的な核構造理論を積極的に活用した。また、近年RIBF/RIKENにおいて逆運動学を用いて測定された測定データに基づいて主要な核反応モデルパラメータを最適化した。得られたデータは従来手法により求められた既存の核データライブラリJENDL-4.0/HEやTENDL-2017に比べて、安定核種に対する測定データをよく再現することを確認した。

論文

革新的研究開発推進プログラムImPACT; 核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化

岩本 修; 藤田 玲子*; 仁井田 浩二*; 渡辺 幸信*

核データニュース(インターネット), (122), p.33 - 43, 2019/02

内閣府が進めている革新的研究開発推進プログラムImPACTの一つとして、長寿命核分裂生成物(LLFP)の核変換処理に関わるプログラム「核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化」が2014年から始まり、2018年度で終了する予定である。このプログラムでは基礎データの取得からシナリオの提案まで五つのプロジェクトに分かれて、幅広い活動が行われている。核データに関わる研究開発も実施され、多くの成果が生まれつつある。本稿では、プログラム全体について簡単に触れつつ、核データに直接かかわる二つのプロジェクトとその中で得られた成果の一部を紹介する。

論文

Cluster formation in relativistic nucleus-nucleus collisions

小川 達彦; 佐藤 達彦; 橋本 慎太郎; 仁井田 浩二*

Physical Review C, 98(2), p.024611_1 - 024611_15, 2018/08

 被引用回数:1 パーセンタイル:10.93(Physics, Nuclear)

GeVからTeV級の原子核-原子核衝突による粒子生成は、重イオン加速器の安全設計や宇宙線被ばく評価などで非常に重要で、様々な反応モデルが考案されてきた。しかし、従来のモデルは核子間に働く相互作用が座標系に依存しており、運動する入射核と静止しているターゲット核が同じ座標系に移行すると本来は安定な核が壊れる問題があった。ここでは、人為的なバイアスを計算アルゴリズムに導入することで安定性を補っていたが、その副作用として残留核の質量や粒子の放出量が過小評価される問題があった。そこで、核子間の相互作用を座標系に依存しないよう記述した反応モデルJAMQMDを構築した。このモデルでは、原子核-原子核衝突反応を再現した際に核は座標系によらず安定を保ち、重陽子を含む多様な残留核の形成と二次粒子の生成も実験値をよく再現することも確認できた。さらに、3年前に開発された原子核-原子核衝突反応モデルJQMD Ver.2は3AGeV以下の入射エネルギーでしか適用できなかったが、JAMQMDでは入射エネルギーの制限をなくすことができた。そのため、JAMQMDは、放射線防護研究のみならず基礎研究の解析や計画などにも有益なモデルといえる。

論文

Comparison of cosmic-ray environments on earth, moon, mars and in spacecraft using PHITS

佐藤 達彦; 永松 愛子*; 上野 遥*; 片岡 龍峰*; 三宅 晶子*; 武田 和雄*; 仁井田 浩二*

Radiation Protection Dosimetry, 180(1-4), p.146 - 149, 2018/08

 被引用回数:15 パーセンタイル:78.89(Environmental Sciences)

宇宙線環境は、太陽活動、磁場、遮へい効果の影響を受け、場所や時間によって大きく異なる。本研究では、原子力機構が中心となって開発している放射線挙動解析コードPHITSを用いて、地球・月・火星及び低軌道や惑星間空間にある宇宙機内の宇宙線環境を評価した。その際、惑星や宇宙機に入射する宇宙線フラックスは、ドイツDLRが開発した銀河宇宙線モデルと捕捉放射線モデルAP9/AE9を用いて再現し、宇宙機は、宇宙航空研究開発機構が開発した仮想国際宇宙ステーションモデルを用いて模擬した。そして、得られた結果を比較することにより、様々な宇宙線環境における最適な宇宙線遮へい方法に関して検討した。

論文

Radiation damage calculation in PHITS and benchmarking experiment for cryogenic-sample high-energy proton irradiation

岩元 洋介; 松田 洋樹; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 中本 建志*; 吉田 誠*; 石 禎浩*; 栗山 靖敏*; 上杉 智教*; 八島 浩*; et al.

Proceedings of 61st ICFA Advanced Beam Dynamics Workshop on High-Intensity and High-Brightness Hadron Beams (HB 2018) (Internet), p.116 - 121, 2018/07

放射線挙動計算コードPHITSにより放射線照射による材料損傷評価の基礎データを解析するため、入射粒子と核反応から生成する二次粒子によるターゲット1次はじき出し原子(PKA)のエネルギーを考慮した照射損傷モデルを開発した。このモデルを用いた解析により、100MeV以上の高エネルギー陽子による照射損傷において、二次粒子により生成したターゲットPKAの寄与が入射陽子によるPKAの寄与に比べて大きいことがわかった。また、高エネルギー陽子照射に対する照射損傷モデルを検証するため、サンプルを極低温まで冷却するギフォード-マクマフォン冷凍機を用いた陽子照射装置を開発した。本装置を用いて、125及び200MeV陽子を照射した銅とアルミニウムについて、はじき出し断面積に関連する極低温での欠陥に伴う電気抵抗率変化を測定した。実験値と計算値の比較の結果、欠陥生成効率を考慮したはじき出し損傷の計算値が実験値を良く再現することがわかった。

論文

Features of particle and heavy ion transport code system (PHITS) version 3.02

佐藤 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; Tsai, P.-E.; 松田 規宏; 岩瀬 広*; et al.

Journal of Nuclear Science and Technology, 55(6), p.684 - 690, 2018/06

 被引用回数:880 パーセンタイル:99.99(Nuclear Science & Technology)

粒子・重イオン輸送計算コードPHITS Version 3.02を開発して公開した。核反応モデルや原子反応モデルを改良することにより、適応エネルギー範囲や精度を向上させた。また、計算効率を向上させる新しいタリーや、放射性同位元素を線源とする機能、医学物理分野にPHITSを応用する際に有用となるソフトウェアなど、様々なユーザーサポート機能を開発して、その利便性を大幅に向上させた。これらの改良により、PHITSは、加速器設計、放射線遮へい及び防護、医学物理、宇宙線研究など、幅広い分野で3000名以上のユーザーに利用されている。本論文では、2013年に公開したPHITS2.52以降に追加された新機能を中心に紹介する。

論文

日本原子力学会「2018年春の年会」部会・連絡会セッション,核データ部会「シグマ」特別専門委員会共催; 我が国における核データ計算コード開発の現状と将来ビジョン,4; PHITSコードにおける核反応モデルの役割と高度化

橋本 慎太郎; 佐藤 達彦; 岩元 洋介; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 仁井田 浩二*

核データニュース(インターネット), (120), p.26 - 34, 2018/06

放射線の挙動を模擬できる粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、加速器の遮へい設計や宇宙線・地球科学、放射線防護研究等の広範な分野で利用されている。PHITSでは、放射線が引き起こす物理現象を輸送過程と衝突過程の2つに分けて記述しており、さらに核反応が含まれる衝突過程を「核反応の発生」、「前平衡過程」、「複合核過程」の3段階的に分けて計算することで模擬している。これらの計算では断面積モデルKurotamaや核反応モデルINCL4.6やJQMDといった数多くの物理モデルが使用されており、PHITSの信頼性を高めるために、我々は各モデルの高度化を行ってきた。本稿は、日本原子力学会2018年春の年会の企画セッション「我が国における核データ計算コード開発の現状と将来ビジョン」における報告を踏まえ、PHITSにおける核反応モデルの役割を解説するとともに、近年我々が行ってきた様々なモデルの高度化や今後の展開についてまとめたものである。

論文

Integrated simulation of fragmentation, evaporation, and gamma-decay processes in the interaction of cosmic-ray heavy ions with the atmosphere using PHITS

小川 達彦; 橋本 慎太郎; 佐藤 達彦; 仁井田 浩二*; 釜江 常好*

Proceedings of 3rd International Conference on Particle Physics and Astrophysics (ICPPA 2017) (Internet), p.391 - 398, 2018/04

BB2017-0888.pdf:1.97MB

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Astronomy & Astrophysics)

宇宙線重イオンに起因する高エネルギー$$gamma$$線生成の反応において、重イオンは高速で地表に向かって進み、その破砕片から生じる即発$$gamma$$線はドップラー効果により数100MeV程度の高いエネルギーを持ち、地表でも観測できる。そのため、近年、宇宙放射線物理においてこの反応への高い関心が寄せられている。しかし、この高エネルギー$$gamma$$線の生成を計算で再現するためには、破砕反応を個々のイベントに分けて計算し、核破砕片の励起エネルギーや角運動量を計算し、さらに原子核構造データをもとにした脱励起計算をする必要がある。粒子重イオン輸送計算コードPHITSは、他のコードにはないこのような過程を模擬できるモデル等を含んでいる。例えば、近年PHITSは破砕片生成を計算するJAERI Quantum Molecular Dynamics (JQMD)モデルを改良し、破砕片の電荷や質量分布をより正確に再現することが可能となった。また、近年実装されたモデルEBITEMは、励起エネルギーや角運動量の情報に基づき、蒸発過程後の$$gamma$$脱励起を再現できる。以上のように、最新のPHITSは、宇宙線重イオンに起因する$$gamma$$線生成に対して優れた再現性を発揮できる。本研究は、PHITSを用いた宇宙線重イオンに起因する反応の統合的なシミュレーションにより、重イオンに起因する高エネルギー$$gamma$$線生成の再現について貴重なアプローチを図ったものである。

論文

Recent improvements of particle and heavy ion transport code system: PHITS

佐藤 達彦; 仁井田 浩二*; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松田 規宏; 奥村 啓介; et al.

EPJ Web of Conferences, 153, p.06008_1 - 06008_6, 2017/09

 被引用回数:6 パーセンタイル:94.69(Nuclear Science & Technology)

粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、原子力機構を中心とする日本やヨーロッパの研究所が共同で開発しているモンテカルロ放射線輸送計算コードである。PHITSには、様々な物理モデルやデータライブラリが含まれており、ほぼ全ての放射線の挙動を1TeVまで解析可能である。現在、国内外2500名以上のユーザーが、加速器設計、放射線遮へい、放射線防護、医学物理、地球惑星科学など様々な分野で利用している。本発表では、PHITS2.52からPHITS2.82までの間に導入した新しい物理モデルや計算機能などを紹介する。

論文

Continuous energy adjoint transport for photons in PHITS

Malins, A.; 町田 昌彦; 仁井田 浩二*

EPJ Web of Conferences, 153, p.06001_1 - 06001_9, 2017/09

BB2015-2674.pdf:0.21MB

 被引用回数:1 パーセンタイル:59.51(Nuclear Science & Technology)

Adjoint Monte Carlo can be an efficient algorithm for solving photon transport problems where the size of the tally is relatively small compared to the source. Such problems are typical in environmental radioactivity calculations, where natural or fallout radionuclides spread over a large area contribute to the air dose rate at a particular location. Moreover photon transport with continuous energy representation is vital for accurately calculating radiation protection quantities. Here we describe the incorporation of an adjoint Monte Carlo capability for continuous energy photon transport into the Particle and Heavy Ion Transport code System (PHITS). An adjoint cross section library for photon interactions was developed based on the JENDL-4.0 library, by adding cross sections for adjoint incoherent scattering and pair production. PHITS reads in the library and implements the adjoint transport algorithm by Hoogenboom. Adjoint pseudo-photons are spawned within the forward tally volume and transported through space. Currently pseudo-photons can undergo coherent and incoherent scattering within the PHITS adjoint function. Photoelectric absorption is treated implicitly. The calculation result is recovered from the pseudo-photon flux calculated over the true source volume. A new adjoint tally function facilitates this conversion. This paper gives an overview of the new function and discusses potential future developments.

論文

PHITS version 2.88の特徴

佐藤 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松田 規宏; 岩瀬 広*; 仁井田 浩二*

放射線, 43(2), p.55 - 58, 2017/05

粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、原子力機構が中心となって開発しているモンテカルロ放射線輸送計算コードである。PHITSには、様々な物理モデルやデータライブラリが含まれており、ほぼ全ての放射線の挙動を1TeVまで解析可能である。これまでに、放射線施設の設計、医学物理計算、放射線防護研究、宇宙線・地球惑星科学など、工学,医学,理学の様々な分野で国内外2,500名以上の研究者・技術者に利用され、現在もその応用範囲は拡がっている。本稿では、その最新版であるPHITS2.88の特徴をまとめる。

論文

Benchmark study of the recent version of the PHITS code

岩元 洋介; 佐藤 達彦; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松田 規宏; 細山田 龍二*; 仁井田 浩二*

Journal of Nuclear Science and Technology, 54(5), p.617 - 635, 2017/05

 被引用回数:107 パーセンタイル:99.74(Nuclear Science & Technology)

粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、加速器遮蔽設計、医学物理計算など様々な目的で利用されている。本研究では、最新のPHITSバージョン2.88を用いて、核反応による粒子生成断面積、中性子輸送計算、電磁カスケード等に対する58ケースのベンチマーク計算を実施した。本稿では、このうち特徴的な結果を示した22のケースについて詳細に報告する。ベンチマーク計算の結果、100MeV以上の陽子、中性子、重イオン等の入射反応や電磁カスケードについては、PHITSによる計算結果は実験値を概ね再現した。一方、100MeV未満の粒子入射反応は、PHITSが設定を推奨している核内カスケードモデルINCL4の適用範囲外のエネルギー領域であるため、再現性が悪いことが確認された。また、100MeV以上の陽子入射反応のうち、核分裂成分の収率に対して、蒸発モデルGEMの高エネルギー核分裂過程の取り扱いの問題から実験値を再現しない場合があった。これらの課題は、評価済み核データJENDL4.0/HEをPHITSに組み込むこと等で改善していく予定である。以上のように、本研究でPHITSの様々な適用分野における計算精度を検証するとともに、今後の効率的な改善に重要な指針を得ることができた。

論文

Overview of the PHITS code and application to nuclear data; Radiation damage calculation for materials

岩元 洋介; 佐藤 達彦; 仁井田 浩二*; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松田 規宏; 岩瀬 広*; et al.

JAEA-Conf 2016-004, p.63 - 69, 2016/09

粒子・重イオン輸送計算コードシステムPHITSは、原子力機構を中心に、複数の国内外の研究機関の協力の下で開発が進められている。同コードは、様々な核反応モデルやデータライブラリにより、中性子・陽子・重イオン・電子・光子等のほとんどの種類の粒子の輸送を取り扱うことが可能で、ソースプログラム,実行ファイル,データライブラリといった全ての構成要素が一つのパッケージにまとめられて配布されている。現在、1800人を超える研究者等がPHITSユーザーとして登録されており、核技術、加速器施設の設計、医学物理といった様々な分野で利用している。本発表ではPHITSに組み込まれている物理モデルを簡単にまとめ、最新のミューオン核反応モデル、$$gamma$$脱励起モデルEBITEMについて紹介する。また、IAEA-CRP「初期の放射線損傷断面積」の活動の下で行っている、PHITSを用いた材料のはじき出し断面積、はじき出し原子エネルギースペクトル、カーマの計算結果について紹介を行う。

論文

Overview of JENDL-4.0/HE and benchmark calculations

国枝 賢; 岩本 修; 岩本 信之; 湊 太志; 岡本 力; 佐藤 達彦; 中島 宏; 岩元 洋介; 岩元 大樹; 北谷 文人; et al.

JAEA-Conf 2016-004, p.41 - 46, 2016/09

加速器を用いた種々のアプリケーションを開発・設計するための基礎データとして、中性子や陽子入射の高エネルギー核データを整備する必要がある。本研究では、光学モデルや前平衡モデル計算における最新の知見を投入してJENDL/HE-2007の見直しを行うと共に、特に医療分野で需要の高い$$^{6,7}$$Liや$$^{9}$$Be等の核種を新たに加えて、約130核種に対する200MeVまでの中性子・陽子核データライブラリJENDL-4.0/HEを完成させた。本発表においては、ライブラリの概要を説明すると共に、粒子輸送計算コードPHITSやMCNPXを用いた中性子透過計算等における積分検証結果を中心に報告する。

論文

Application of JAERI Quantum Molecular Dynamics model for collisions of heavy nuclei

小川 達彦; 橋本 慎太郎; 佐藤 達彦; 仁井田 浩二*

EPJ Web of Conferences, 122, p.04005_1 - 04005_6, 2016/06

BB2015-0309.pdf:0.24MB

 被引用回数:1 パーセンタイル:51.55(Physics, Nuclear)

重粒子線がん治療施設などの重イオン加速器の放射線安全評価においては、原子核-原子核反応の正確なモデル化が重要となる。放射線輸送計算コードPHITSはその反応モデルとして、JAERI量子分子動力学モデル(JQMD)を採用してきた。このモデルにより、残留核や二次中性子の生成をある程度正確に計算することができたが、核子間に働く相互作用が相対論不変な形式になっておらず、座標変換によって核内の定常状態から離脱する問題があった。この問題により、加速器の構造材や遮へい材として用いられる鉄や鉛などの核は反応を起こす前に崩壊しやすく、反応による崩壊とそうした疑似的崩壊が区別できなくなっていた。そこで、原子核内における核子間の相互作用を座標変換の相対論的効果に対して安定な形式に直す、核反応前の原子核を時間発展させて崩壊しないかチェックする、核媒質内効果を考慮して核子間の弾性散乱断面積を補正するなどの工夫を施した。この改良型JQMD(JQMD 2.0)を用いて、銀ターゲットに対する炭素イオン入射反応におけるフラグメント生成断面積を計算したところ、より正確に実験値を再現できることを確認した。

論文

Analysis of angular distribution of fragments in relativistic heavy-ion collisions by quantum molecular dynamics

小川 達彦; 佐藤 達彦; 橋本 慎太郎; 仁井田 浩二*

EPJ Web of Conferences, 117, p.03011_1 - 03011_8, 2016/05

 被引用回数:1 パーセンタイル:64.18(Nuclear Science & Technology)

原子核-原子核衝突反応におけるフラグメントの角度分布は、原子核理論研究及び粒子線応用において重要な要素である。量子分子動力学(QMD)モデルは汎用放射線輸送計算コードにおいて原子核-原子核衝突反応とそれに伴う破砕片の生成を再現するために広く採用されている。しかし、QMDモデルは破砕片の角度分布を実際より広く見積もる傾向があり、PHITSに実装されているJQMDもこれにあてはまる。そこで、原子核同士の周辺が擦れるような周辺衝突に関する反応の描像を改善することで、角度分布のより正確な再現を可能にした。ここでは、最初に核子間の相互作用を相対論不変な形式に書き直すことにより、反応を起こしていない核が疑似的に崩壊することを防いだ。これにより、周辺衝突した核と疑似的に崩壊した核が区別できないという、従来抱えていた問題を解決した。さらに、核子-核子間の弾性散乱断面積が核の外側でパウリブロッキングの減少により増加する効果を取り込み、周辺衝突の場合核子-核子散乱断面積が大きくなる効果の反映を可能とした。その結果、改良版JQMD(RJQMD)はJQMDと比較して、衝突反応で生じるフラグメントの角度分布をより正確に再現することが可能になった。

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