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論文

岐阜県高山市高根地域に分布する安山岩質平行岩脈群のK-Ar年代

丹羽 正和; 植木 忠正*; 星 博幸*; 杉崎 雄一*; 八木 公史*; 斗澤 皓正

地質学雑誌, 126(9), p.543 - 548, 2020/09

火山岩の形成年代の情報を得ることは、地層処分のサイト特性調査や安全評価などにおいて火山活動の影響を把握する上でも重要となる。K-Ar法は火山岩の形成年代を知るための代表的な放射年代測定法であるが、火山岩が変質していると、確度の高い年代値を得ることはしばしば困難となる。本研究では、中新世の西南日本の時計回り回転に係る重要な古地磁気学的情報を有している安山岩岩脈について、詳細な偏光顕微鏡観察と鉱物・化学分析により、著しい変質を被っておらず、岩脈貫入前のマグマ中で晶出したものと判断される鉱物を選定した。本論文は、それらの鉱物に対してK-Ar年代を実施し、岩脈の形成年代を推定した内容について報告したものである。

報告書

変質した火山岩の年代測定のための岩石記載・化学組成・前処理に関する検討

丹羽 正和; 植木 忠正*; 星 博幸*; 杉崎 雄一*

JAEA-Research 2020-003, 33 Pages, 2020/07

JAEA-Research-2020-003.pdf:5.69MB

火山岩の形成年代の情報を得ることは、地層処分のサイト特性調査や安全評価などにおいて火山活動の影響を把握する上でも重要となる。本報告書では、変質した火山岩から正確なK-Ar年代値を得るための測定対象を適切に選定するために実施した、火山岩の偏光顕微鏡記載および鉱物・化学分析の結果をデータとして取りまとめた。また、火山岩の主要な斑晶鉱物の一つである斜長石の新鮮な鉱物を高純度で集めるための、凍結融解処理や塩酸処理などの手法についても報告書に取りまとめた。

論文

Tectonic tilting and coseismic subsidence along the Yoro fault system revealed from upper Holocene sequence in the Nobi plain, central Japan

丹羽 雄一*; 須貝 俊彦*; 安江 健一; 國分 陽子

地形, 32(2), p.201 - 206, 2011/04

養老断層下盤側濃尾平野で掘削された24の浅層コアデータの解析によって、河道の西方への移動と一時的な相対的海水準上昇が起こった可能性が示された。コア堆積物はデルタシステムとそれを覆う河川システムからなる。北部の氾濫原地域の堆積相の累重パターンと$$^{14}$$C年代から、約2300年前に河道の西方への移動が起こった可能性が示された。南部の三角州平野地域では後背湿地堆積物中に高電気伝導度,汽水$$sim$$海水生珪藻の産出が認められ、1600$$sim$$2700年前に一時的な相対的海水準上昇が起こった可能性を示す。河道の西方への移動と一時的な相対的海水準の上昇は同時性が認められ、これらのイベントの原因として、(1)養老断層の活動による傾動沈降,(2)中世の海進、の2つの可能性が挙げられる。沿岸域の断層周辺の浅層コアの堆積相解析と年代測定によって、断層運動と海水準変動の複合的な地殻変動を精度よく把握できることが明らかになった。

論文

Use of electrical conductivity to analyze depositional environments; Example of a Holocene delta sequence on the Nobi Plain, central Japan

丹羽 雄一*; 須貝 俊彦*; 三枝 芳江*; 大上 隆史*; 笹尾 英嗣

Quaternary International, 230(1-2), p.78 - 86, 2011/01

 被引用回数:10 パーセンタイル:28.31(Geography, Physical)

隆起・侵食は処分場の深度を減少させ、地下水流動系の変化を引き起こすことから、地層処分の長期安全性を評価するうえで考慮すべき重要な地質学的事象である。侵食された土砂は河口付近の平野に堆積するため、平野での堆積量を見積もることにより、河川上流部から下流域までを含む広い範囲の侵食量を推定することができる。しかし、海岸沿いの平野は海水準変動に応じて、河川から内湾にいたるさまざまな場所で堆積した地層から構成される。このため、侵食量の推定に用いるためには、地層が堆積した年代や環境を明らかにしたうえで、その単元ごとの堆積量を見積もる必要がある。地層の堆積年代は放射性炭素年代などによって推定できるものの、地層の堆積環境を推定する簡便な方法はあまり知られていない。そこで、そのような方法の一つとして、地層を混濁させた水の電気伝導度を活用する手法の適用性を検討した。その結果、電気伝導度は地層堆積時の塩分濃度の把握に有効であるものの、地層堆積後の圧密と堆積物の粒度組成の影響を考慮する必要のあることが明らかになった。

報告書

ナトリウム冷却炉の再臨界回避方策に関する検討; 平成15年度報告

久保 重信; 飛田 吉春; 川田 賢一; 小野田 雄一; 佐藤 一憲; 神山 健司; 植田 伸幸*; 藤田 哲史; 丹羽 元

JNC TN9400 2004-041, 135 Pages, 2004/07

JNC-TN9400-2004-041.pdf:17.3MB

実用化戦略調査研究フェーズ2において、平成15年度に実施したナトリウム冷却炉の再臨界回避方策に関する検討結果を示す。ナトリウム冷却大型炉及び中型炉について、炉心燃料設計及びプラント設計との整合性に配慮しつつ、再臨界回避方策として有望な概念を構築することを目的とし、これらの炉心を対象とした炉心流量減少時炉停止失敗事象の炉内終息性に関する諸検討を実施して以下の結果を得た。遷移過程での燃料流出促進策として提案されているABLE概念の有効性について解析評価を実施した結果、ラッパ管溶融に先行した燃料流出が実現できない見通しであることが分かった。一方、FAIDUS概念については、燃料流出見通しはあるものの、炉心性能等への影響が大きいことから、改良概念を提示し予備的な評価によりその性能見通しを示した。原子炉容器底部で多量の燃料の保持冷却を確保するための課題を軽減する観点から、炉心部での事故後の損傷炉心物質の保持・冷却が重要であり、ナトリウムのもつ高い冷却能力を考慮した評価を今後定量化していくことによって炉内終息が達成できる可能性があることを示した。 FAIDUS及びABLEを対象とした現時点までの解析評価による情報等に基づいて、今後検討が必要となる可能性のある試験課題とその実施方法を例示した。金属燃料炉心については、出口温度を550$$^{circ}C$$、ボイド反応度を8ドル以下とした中型炉を対象とした起因過程解析を実施し、即発臨界には至らずマイルドに推移する結果を得た。起因過程末期から遷移過程にかけての挙動については不確かさが大きいが再臨界が回避される可能性が示されると共に、仮に遷移過程で燃料プールが形成される状況を想定しても、MOX燃料と比較して緩慢な推移を示すことが示された。

口頭

ボーリングコア解析に基づく後期更新世以降の濃尾平野西部の地形形成

丹羽 雄一*; 田力 正好; 安江 健一; 大上 隆史*; 須貝 俊彦*

no journal, , 

相対的海水準変動に対し、河川環境がどのように変化し、地形や地層を形成したかを解明することを目的として掘削された2本のボーリングコア(MW, KNG)の岩相記載,粒度分析,テフラ分析,$$^{14}$$C年代測定を行った。2本のコアは、岩相と年代測定結果から、下位から最終氷期以前の堆積物である熱田層、最終氷期の第1礫層,完新世の下部砂泥層・中部泥層・上部砂層・最上部層に区分された。KNGコアの深度15m付近に堆積する軽石層(熱田層最上部)は、化学成分分析の結果から御岳起源のOn-Pm1(約10万年前)であることがわかった。このことから、熱田層最上部はMIS5cの海面上昇期$$sim$$高海水準期に堆積し、その上位の第1礫層はそれを掘り込んで堆積したと考えられる。KNGコアではMWコアに比べて中部泥層がやや粗粒であることから、完新世の内湾再拡大期においてもKNGコア掘削地点では河川の掃流物質が供給される環境であったことがわかった。

口頭

複数のボーリングコア解析に基づく濃尾平野における完新世後期の地震性沈降

丹羽 雄一*; 須貝 俊彦; 大上 隆史*; 田力 正好; 安江 健一; 藤原 治*

no journal, , 

濃尾平野で掘削された10本のボーリングコアを用いて、岩相記載,粒度分析,電気伝導度,C-14年代測定を行い、堆積物に残されている記録から過去の沈降の履歴を検討した。その結果、完新世の海水準変動に対応したデルタのサクセッションが認められ、網状河川堆積物,蛇行河川$$sim$$デルタ堆積物,内湾堆積物,デルタフロント堆積物,氾濫原堆積物にユニット区分された。その一部のコアでは、デルタ前進時に一時的に河口から遠ざかり、粗粒物質が運ばれにくくなったと考えられる層相が認められた。これは相対的な海面上昇が考えられ、掘削地点を考慮すると養老断層の活動による地震性沈降が考えられる。

口頭

濃尾平野完新統に記録された急激な相対的海面上昇と地震性沈降の関係

丹羽 雄一*; 須貝 俊彦; 大上 隆史*; 田力 正好; 安江 健一; 藤原 治*

no journal, , 

断層活動・海水準変動に伴う地形変化やそれによる地下水流動の変化は、地質環境の長期安定性に影響を与えると考えられるため、断層活動・海水準変動の調査・評価手法の高度化は、地層処分システムの長期安定性を評価する技術を整備するうえで重要な課題と考えられる。本研究では、堆積物の分析に基づく断層活動・海水準変動の復元手法の整備を目的として、濃尾平野で掘削された計8本のボーリングコアの岩相記載・粒度分析・電気伝導度測定・$$^{14}$$C年代測定を行った。調査の結果、各コアにおいて地震性沈降を示唆する層準が複数認められた。濃尾平野西縁の養老断層系南部を構成する桑名断層では、Naruhashi et al. (2008)によって、複数回の地震性沈降イベントが報告されているが、本研究で得られた各イベントの年代は、それらの年代とおおむね一致している。本研究で用いたコアは、養老断層系北部の養老断層下盤側に位置しており、本研究で得られた結果は、養老断層と桑名断層が同一の活動セグメントをなす可能性を示す。以上の結果から、平野の堆積物の分析は、断層活動・海水準変動を評価するうえで有効な調査手法として利用できる見通しが示された。

口頭

Tectonic tilting recorded in the Holocene delta sequence in the Nobi Plain, central Japan

丹羽 雄一*; 須貝 俊彦; 大上 隆史*; 田力 正好; 安江 健一

no journal, , 

地殻変動・海水準変動に伴う地形変化やそれによる地下水流動の変化は、地質環境の長期安定性に影響を与えると考えられるため、地殻変動・海水準変動の調査・評価手法の高度化は、地層処分システムの長期安定性を評価する技術を整備するうえで重要な課題と考えられる。本研究では、堆積物の分析に基づく地殻変動・海水準変動の復元手法の整備を目的として、濃尾平野で掘削された計10本のボーリングコアの岩相記載・電気伝導度(EC)測定・$$^{-14}$$C年代測定を行った。対象層準の標高とEC値から推定された古水深から、コアごとにプロデルタ堆積物最上部の堆積時の海面高度を推定した。推定された海面高度と地殻変動がない地域の同時期の海面高度を比較することにより、各コアの掘削地点の沈降速度を算出した。それらの結果から、濃尾平野の傾動速度は1.0$$times$$10$$^{-4}$$/yrと算出された。この速度は過去90万年間の傾動速度と調和的であり、濃尾平野では90万年前以降同様な地殻変動が進行していることを示す。以上の結果から、平野の堆積物の分析は、地殻変動・海水準変動を評価するうえで有効な調査手法として利用できる見通しが得られた。

口頭

関東平野中北部におけるMIS12以降の地形形成と地殻変動推定(速報)

宮本 樹*; 須貝 俊彦*; 丹羽 雄一*; 中西 利典*; 小松 哲也; 日浦 祐樹

no journal, , 

地層処分技術の信頼性向上に向けた課題の1つが、隆起・沈降境界域における地殻変動評価技術の高度化である。本講演では、関東平野中部の隆起・沈降境界域を事例対象として、ボーリング試料を用いてMIS12以降の地形発達史及び平均地殻変動速度について検討した結果を報告する。

口頭

濃尾平野完新統に残された堆積環境変化と養老断層系の活動

丹羽 雄一*; 須貝 俊彦*; 大上 隆史*; 田力 正好*; 安江 健一; 藤原 治*

no journal, , 

海水準変動や断層活動の調査・評価手法を確立することは、地質環境の長期安定性研究の重要な課題の一つである。本研究では、濃尾平野で掘削されたボーリングコアの層相解析、電気伝導度測定、及びC-14年代測定の結果に基づいて、完新世に濃尾平野で一時的な相対的海面上昇が数回起こった可能性を示す。また、これらの海面上昇の空間分布や相対的海水準の低下傾向を踏まえると、一時的な相対的海面上昇の原因として地震活動に伴う沈降を挙げることができる。濃尾平野で検出された過去6000年間における複数回の沈降イベントの時期は、濃尾平野西縁に分布する養老断層系で推定されている活動時期と矛盾しない。

口頭

太平洋沿岸の完新統に含まれる海生生物と陸源植物の放射性炭素年代値の差異

中西 利典; 七山 太*; 堀 和明*; 丹羽 雄一*; 小松原 純子*; 北村 晃寿*; Hong, W.*

no journal, , 

放射性炭素($$^{14}$$C)の海洋リザーバー効果の時空間変化を評価するために、日本周辺の完新統で同層準から採取した植物片と海生生物遺体の$$^{14}$$C年代値を比較検討する研究を進めてきた。今回は北海道東部(Nanayama et al., 2003; Nanayama, 2020)、三陸海岸(Niwa et al., 2017, 2019)、荒川低地(小松原ほか、2009, 2010)、清水平野(Kitamura and Kobayashi, 2014)、濃尾平野および台湾南部において採取したボーリングコア試料を用いて検討した。

口頭

関東平野中央部における最終間氷期海成層の高度分布

宮本 樹*; 須貝 俊彦*; 小松 哲也; 中西 利典*; 丹羽 雄一*; 日浦 祐樹

no journal, , 

地層処分の信頼性向上に向けた技術開発課題の1つが、隆起・沈降境界域における地殻変動評価技術の高度化である。本報告では、関東平野の中央付近に位置する隆起・沈降境界付近でこれまでに掘削されたボーリング柱状図を用いた関東造盆地運動の検討結果について紹介した。本報告は、経済産業省資源エネルギー庁委託事業「平成30-31年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(地質環境長期安定性評価技術高度化開発)」で実施された成果の一部である。

口頭

複数のオールコアボーリングに基づく濃尾平野沖積層の庄内川に沿うプログラデーション

大上 隆史*; 田力 正好; 安江 健一; 丹羽 雄一*; 須貝 俊彦*

no journal, , 

濃尾平野は複数の河川によって複合的に埋積されており、庄内川に沿う沖積層の発達過程を復元することは濃尾平野の三次元的な発達過程を考察するうえで重要な知見を与える。本研究では、濃尾平野内で掘削された複数のオールコアボーリングと、それらから得られた年代試料に基づいて地形地質断面を復元し、デルタの前進速度を見積もった。その結果、デルタの前進速度は3.3$$sim$$6.2m/yrと算出された。これは、木曽川沿いのデルタの前進速度に匹敵する。

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