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報告書

令和2年度原子力発電所周辺における航空機モニタリング(受託研究)

普天間 章; 眞田 幸尚; 石崎 梓; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 佐藤 一彦*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 菊池 陽*; et al.

JAEA-Technology 2021-029, 132 Pages, 2022/02

JAEA-Technology-2021-029.pdf:24.58MB

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、航空機等を用いた空からの測定方法が適用されている。日本原子力研究開発機構では、有人ヘリコプターを使用した航空機モニタリングを福島第一原子力発電所周辺において継続的に実施してきた。本報告書では、令和2年度に実施した福島第一原子力発電所周辺におけるモニタリング結果について取りまとめると共に、過去のモニタリング結果から空間線量率等の変化量を評価し、変化量に寄与する要因について考察した。また、航空機モニタリングによる空間線量率の計算精度向上に資するために、航空機モニタリングデータを用いて地形の起伏を考慮に入れた解析を行った。地形の起伏を考慮に入れる前後での解析結果を比較し、本手法による精度向上効果を評価した。さらに、空気中のラドン子孫核種の弁別手法を測定結果に適用して、空気中のラドン子孫核種が航空機モニタリングに与える影響について評価した。

報告書

もんじゅ模擬燃料集合体製造に係る技術報告

榊原 博; 青木 伸廣; 武藤 雅祐; 小田部 隼; 高橋 謙二*; 藤田 直幸*; 檜山 和彦*; 鈴木 宏和*; 鴨川 敏幸*; 横須賀 徹*; et al.

JAEA-Technology 2020-020, 73 Pages, 2021/03

JAEA-Technology-2020-020.pdf:8.26MB

高速増殖原型炉もんじゅでは、現在、廃止措置が進められており、その第一段階として、炉心に装荷している燃料を取り出す工程がある。炉心の燃料集合体は、エントランスノズルが炉心支持板の連結管に挿入され自立しており、周辺の集合体によりパッド部を介して支え合い炉心体系を維持する構造となっている。そのため、燃料を取り出した場所に模擬燃料集合体を装荷し、燃料集合体を安定させる必要があった。このような背景を受け、もんじゅ炉心燃料集合体の製造経験のあるプルトニウム燃料技術開発センターへ、もんじゅ側から模擬燃料集合体の製造依頼があり、製造を行った。この報告書は、装荷する模擬燃料集合体の設計、製造、出荷について報告するものである。

報告書

「グレーデッドアプローチに基づく合理的な安全確保検討グループ」活動状況中間報告(2019年9月$$sim$$2020年9月)

与能本 泰介; 中島 宏*; 曽野 浩樹; 岸本 克己; 井澤 一彦; 木名瀬 政美; 長 明彦; 小川 和彦; 堀口 洋徳; 猪井 宏幸; et al.

JAEA-Review 2020-056, 51 Pages, 2021/03

JAEA-Review-2020-056.pdf:3.26MB

「グレーデッドアプローチに基づく合理的な安全確保検討グループ」は、原子力科学研究部門、安全・核セキュリティ統括部、原子力施設管理部署、安全研究・防災支援部門の関係者約10名で構成され、機構の施設管理や規制対応に関する効果的なグレーデッドアプローチ(安全上の重要度に基づく方法)の実現を目的としたグループである。本グループは、2019年の9月に活動を開始し、以降、2020年9月末までに、10回の会合を開催するとともに、メール等も利用し議論を行ってきた。会合では、グレーデッドアプローチの基本的考え方、各施設での新規制基準等への対応状況、新検査制度等についての議論を行なうとともに、各施設での独自の検討内容の共有等を行っている。本活動状況報告書は、本活動の内容を広く機構内外で共有することにより、原子力施設におけるグレーデッドアプローチに基づく合理的で効果的な安全管理の促進に役立つことを期待し取りまとめるものである。

論文

A New critical assembly: STACY

荒木 祥平; 郡司 智; 外池 幸太郎; 小林 冬実; 井澤 一彦; 小川 和彦

Proceedings of European Research Reactor Conference 2020 (RRFM 2020) (Internet), 7 Pages, 2020/10

原子力機構では、定常臨界実験装置STACYを更新することにより、ウラン燃料棒と軽水減速材で炉心を構成する新たな臨界実験装置を整備している。ウラン燃料棒はロシアのNCCP社で製造された。更新後、最初の実験キャンペーンとして、燃料デブリ模擬臨界実験を予定しており、そこで得られる実験データは、福島第一原子力発電所燃料デブリ取出しに係る臨界解析手法の検証に用いられる。STACY更新炉は汎用の臨界実験装置であり、軽水炉の炉心・燃料設計の高度化、臨界安全評価・管理の高度化、基礎的な炉物理研究、人材育成など、広い用途に供される。

論文

Neutronic design of basic cores of the new STACY

井澤 一彦; 石井 淳一; 大久保 卓哉; 小川 和彦; 外池 幸太郎

Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC 2019) (Internet), 9 Pages, 2019/09

日本原子力研究開発機構は臨界実験装置STACYを非均質体系に変更する更新計画を進めている。更新されたSTACYでは、福島第一原子力発電所事故によって生成された燃料デブリを想定した臨界解析結果の検証のための実験が計画されている。STACY更新炉の初臨界は2021年初めに予定されている。初臨界後は、STACYでは「基本炉心」を構成し、運転員の習熟と実験結果の不確かさを把握するための一連の運転が行われる。STACY更新炉の初臨界に先立ち、基本炉心の核特性を把握するための一連の核特性解析を行った。本発表では、基本炉心の炉心構成条件を示すとともに、新規制基準のもとで炉心に課される諸条件をあきらかにする。

論文

Progress of criticality control study on fuel debris by Japan Atomic Energy Agency to support Secretariat of Nuclear Regulation Authority

外池 幸太郎; 渡邉 友章; 郡司 智; 山根 祐一; 長家 康展; 梅田 幹; 井澤 一彦; 小川 和彦

Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC 2019) (Internet), 9 Pages, 2019/09

福島第一原子力発電所の燃料デブリ取出しに係る臨界管理は、臨界を防止する決定論的な管理ではなく、臨界による影響を緩和するリスクの考え方に基づいた管理になる可能性がある。この課題に取り組むため、原子力規制委員会・規制庁は、2014年から、日本原子力研究開発機構に委託して研究開発を進めてきている。燃料デブリの臨界特性解析、臨界解析コードの整備、臨界実験の準備、リスク解析手法の開発の進捗について報告する。

論文

高温ガス炉を用いた使用済み燃料の放射性潜在的有害度の低減に関する研究

深谷 裕司; 國富 一彦; 小川 益郎

日本原子力学会和文論文誌, 14(3), p.189 - 201, 2015/09

高温ガス炉を用いた使用済み燃料の放射性潜在的有害度の低減に関する研究を行った。分離変換とは異なり、有害度発生自体を減らすことができる炉心概念という観点からの研究である。有害度発生量を減らすためにはPu, Am, Cmの発生源である$$^{238}$$Uを排除する必要がある。そのため、$$^{238}$$Uに代わる新たな燃料母材を用いた高温ガス炉を提案した。その候補として、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)とトリウムを検討した。核燃料物質としては、濃縮度93%の高濃縮ウランを想定した。この高濃縮ウランを用いることによりその有害度を大幅に低減することができ、天然ウランレベルの有害度レベルまで減衰させるのに必要な冷却期間が800年程度に低減できる。燃料健全性および核拡散抵抗性もYSZによる希釈により保つことができ、核的自己制御性に関してもエルビウム添加により保持できる。熱エネルギー発生量に関しても通常のウラン燃料と同等の発生量が得られる。発電原価も通常のGTHTR300炉心と同等に安価である。本炉心概念では通常のウラン炉心の10万年程度の冷却期間を1%以下の800年程度に低減することができる。

論文

Thermal analysis of heated cylinder simulating nuclear reactor during loss of coolant accident

佐藤 博之; 大橋 弘史; 橘 幸男; 國富 一彦; 小川 益郎

Journal of Nuclear Science and Technology, 51(11-12), p.1317 - 1323, 2014/11

 被引用回数:7 パーセンタイル:48.01(Nuclear Science & Technology)

本報告では、冷却材喪失事故時の原子炉の崩壊熱除去特性について評価を行った。原子炉を模擬した円柱体系での非定常熱伝導解析により、崩壊熱除去の成立性の支配因子を決定するとともに、導出した支配因子をパラメータに非定常熱伝導計算を行い、燃料温度制限値を満足する設計範囲を導出した。計算結果から、冷却材喪失時に崩壊熱除去を可能な原子炉の設計範囲が、炉心平均出力密度に対応した原子炉の熱容量と熱伝導率の関係式で表されることを明らかにした。また、被覆燃料粒子の適用により、Zr被覆管燃料に対し、設計範囲が大幅に増大することが示された。さらに、高温ガス炉は冷却材喪失時に崩壊熱除去を可能な範囲に設計可能であることが見出された。

報告書

高温ガス炉ISプロセス水素製造システムの経済性評価

岩月 仁; 笠原 清司; 久保 真治; 稲垣 嘉之; 國富 一彦; 小川 益郎

JAEA-Review 2014-037, 14 Pages, 2014/09

JAEA-Review-2014-037.pdf:8.84MB

高温ガス炉の熱エネルギーを用いることにより、水から水素を製造する熱化学法ISプロセスは、CO$$_{2}$$を排出することなく、安定かつ大量に水素を生産できうる、将来の最有力水素製造技術の一つとして、水素・燃料電池戦略ロードマップに記載されるなど、大きな期待が寄せられている。今後、実用化に向けた経済性評価が必要だが、将来の商用高温ガス炉ISプロセス水素製造システムの経済性を精度よく評価することは現段階では困難である。そこで、既存の化石資源を用いた大型商用水素製造プラントの経済性評価データを基に、高温ガス炉ISプロセス水素製造システムの経済性を評価した。本評価において、水素製造コストは25.4円/Nm$$^{3}$$であり、それに占める水素製造装置の構成要素の割合から、エネルギー源である高温ガス炉の建設コストの削減、稼働率の向上、水素製造熱効率の改善が水素製造コストの低下に大きく寄与することがわかった。この水素製造コストは燃料電池自動車(FCV)用水素燃料などに求められる水素製造コストを十分満足できることから、この値を高温ガス炉ISプロセス水素製造システムの水素製造コスト目標値として研究開発をすすめていく。

論文

Feasibility study on Naturally Safe HTGR (NSHTR) for air ingress accident

大橋 弘史; 佐藤 博之; 橘 幸男; 國富 一彦; 小川 益郎

Nuclear Engineering and Design, 271, p.537 - 544, 2014/05

 被引用回数:3 パーセンタイル:23.66(Nuclear Science & Technology)

福島第一原子力発電所事故以降、いかなる事故が発生しても、特段の機器・設備を必要とせず、物理現象のみで人及び環境に有害な放射線の影響を与えないことを目的とした本質的安全高温ガス炉の研究開発を開始した。高温ガス炉にとって過酷な事象である空気侵入事故時において、燃料被覆層の放射性物質閉じ込め機能を喪失させる原因事象として、黒鉛酸化反応で発生する一酸化炭素(CO)の爆発による破損、黒鉛酸化反応熱による昇華等が挙げられる。本研究では、1次系配管の2箇所破断を想定した過酷な空気侵入事故時における本質的安全高温ガス炉の技術的成立性を示すため、1次元定常モデルを用いて、円管流路におけるCO濃度及び反応熱に関する解析評価を行った。この結果、空気中の酸素との穏やかな反応によって冷却流路出口におけるCO濃度を爆発下限濃度未満に抑制、及び反応熱を物理現象のみによって除去可能な冷却材流路形状の条件が存在することを明らかにした。これにより、空気侵入事故時のCO爆発抑制及び反応熱除去に関して、本質的安全高温ガス炉の技術的成立性を示すことができた。

論文

Analysis of core heat removal capability under DLOFC accidents for HTGRs

佐藤 博之; 大橋 弘史; 橘 幸男; 國富 一彦; 小川 益郎

Nuclear Engineering and Design, 271, p.530 - 536, 2014/05

 被引用回数:3 パーセンタイル:23.66(Nuclear Science & Technology)

本報告では、減圧事故時において能動的及び受動的設備の動作に期待することなく崩壊熱及び残留熱を除去可能な高温ガス炉の除熱特性を評価した。炉心、原子炉圧力容器および土壌、それぞれを集中定数化した簡易モデルを用いて非定常の温度挙動評価を行うとともに、炉心高さ、初期炉心温度、反射体高さ、炉室サイズおよびピーキング係数をパラメータとした検討を行った。計算結果から、炉心の出力密度および原子炉出力と半径の相関関係を得るとともに、崩壊熱及び残留熱除去の観点から本質的安全高温ガス炉が成立する見通しを得た。

論文

Inherently-safe high temperature gas-cooled reactor for hydrogen production

小川 益郎; 國富 一彦; 佐藤 博之

Keynote Lecture for International Conference of PM2.5 & Energy Security 2014 (PMES 2014), p.72 - 74, 2014/03

高温ガス炉技術の研究開発における現状に加え、高温ガス炉の環境保全性、安全性、経済性、持続性、核不拡散性に関する特長について紹介する。

論文

高温ガス炉における本質的安全性の概念

大橋 弘史; 佐藤 博之; 國富 一彦; 小川 益郎

日本原子力学会和文論文誌, 13(1), p.17 - 26, 2014/03

高温ガス炉において、全ての安全設備が作動しなくとも、燃料被覆材の放射性物質の閉じ込め機能を阻害する現象が発生すると、自然界の法則に従い、それら阻害する現象の起因事象に対して、カウンター的に生起する物理現象のみによって、起因事象を抑制する新たな概念を提案した。燃料被覆材の放射性物質の閉じ込め機能を阻害する4つの現象;拡散・透過、熱的損傷、化学的損傷、機械的損傷の起因事象である温度上昇、酸化腐食、一酸化炭素の爆発に対し、ドップラー効果、大気の自然対流・熱放射、酸化膜形成、一酸化炭素の燃焼といった物理現象がカウンター的に生起するように設計できることを示した。このように設計された高温ガス炉は、環境及び一般公衆に大きな影響を与えることのない本質的な安全性を確保できる第四世代原子力システムであると言える。

論文

Analysis of core heat removal capability under DLOFC accidents for HTGRs

佐藤 博之; 大橋 弘史; 橘 幸男; 國富 一彦; 小川 益郎

Proceedings of 6th International Topical Meeting on High Temperature Reactor Technology (HTR 2012) (USB Flash Drive), 9 Pages, 2012/10

本報告では、減圧事故時において能動的及び受動的設備の動作に期待することなく崩壊熱及び残留熱を除去可能な高温ガス炉の除熱特性を評価した。炉心,原子炉圧力容器及び土壌、それぞれを集中定数化した簡易モデルを用いて非定常の温度挙動評価を行うとともに、炉心高さ,初期炉心温度,反射体厚さ,炉室サイズ及びピーキング係数をパラメータとした検討を行った。計算結果から、炉心の出力密度及び原子炉出力と半径の相関関係を得るとともに、崩壊熱及び残留熱除去の観点から超安全高温ガス炉が成立する見通しを得た。

論文

Feasibility study on naturally-safe HTGR for air ingress accident

大橋 弘史; 佐藤 博之; 橘 幸男; 國富 一彦; 小川 益郎

Proceedings of 6th International Topical Meeting on High Temperature Reactor Technology (HTR 2012) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2012/10

福島第一原発事故以降、いかなる事故が発生しても、特段の機器・設備を必要とせず、物理現象のみで人及び環境に有害な放射線の影響を与えないことを目的とした本質的安全高温ガス炉の研究開発を開始した。高温ガス炉にとって過酷な事象である空気侵入事故時において、燃料被覆層の放射性物質閉じ込め機能を喪失させる原因事象として、黒鉛酸化反応で発生する一酸化炭素(CO)の爆発による破損、黒鉛酸化反応熱による昇華等が挙げられる。本研究では、1次系配管の2箇所破断を想定した過酷な空気侵入事故時における本質的安全高温ガス炉の技術的成立性を示すため、1次元定常モデルを用いて、円管流路におけるCO濃度及び反応熱に関する解析評価を行った。この結果、空気中の酸素との穏やかな反応によって冷却流路出口におけるCO濃度を爆発下限濃度未満に抑制、及び反応熱を物理現象のみによって除去可能な冷却材流路形状の条件が存在することを明らかにした。これにより、空気侵入事故時のCO爆発抑制及び反応熱除去に関して、本質的安全高温ガス炉の技術的成立性を示すことができた。

論文

Concept of an inherently-safe high temperature gas-cooled reactor

大橋 弘史; 佐藤 博之; 橘 幸男; 國富 一彦; 小川 益郎

AIP Conference Proceedings 1448, p.50 - 58, 2012/06

 被引用回数:10 パーセンタイル:94.01(Nuclear Science & Technology)

原子炉の事故時に環境・人に有害な影響を及ぼさないようにするため、確率論に基づくリスクの安全目標を満足する手法に替わって決定論的に安全目標を達成することへの挑戦として、著者らは、日本初の高温ガス炉であるHTTRの建設・運転及び将来の実用炉(GTHTR300)設計の経験,知見に基づき、新たな概念として超安全高温ガス炉を提案した。超安全高温ガス炉の安全に関する概念は、高温ガス炉の固有の安全性(物理現象による自己制御性)のみで、放射性物質の閉じ込め機能を喪失する原因事象を抑制・静定することによって放射性物質を被覆燃料粒子内に閉じ込め、事故時に環境・人に有害な放射線影響を与えないことである。本報では、超安全高温ガス炉の概念,今後の研究開発項目等について述べる。

論文

Evaluation of nuclear characteristics of light-water-moderated heterogeneous cores in modified STACY

井澤 一彦; 青山 康夫; 曽野 浩樹; 小川 和彦; 柳澤 宏司; 三好 慶典

Proceedings of 9th International Conference on Nuclear Criticality (ICNC 2011) (CD-ROM), 11 Pages, 2012/02

日本原子力研究開発機構では、炉物理研究,臨界安全研究等の多様なニーズに対応するため、溶液系の臨界実験装置であるSTACYを棒状燃料と軽水減速材を使用する軽水減速型臨界実験装置に更新する計画である。更新に先立ち、STACY更新炉の核特性解析を実施した。計算には、連続エネルギーモンテカルロコードMVP,多群輸送計算コードDANTSYSを評価済み核データJENDL-3.3と組合せて使用した。解析の結果、STACY更新炉の反応度制御系に成立性があること及び原子炉停止系が原子炉停止余裕の制限値を満足する見通しがあることを確認した。また、本解析によってSTACY更新炉の反応度係数(温度,ボイド)及び動特性パラメータ(即発中性子寿命,実効遅発中性子割合)の変化特性が明らかとなった。

論文

高温工学試験研究炉(HTTR)の高温連続運転

高松 邦吉; 沢 和弘; 國富 一彦; 日野 竜太郎; 小川 益郎; 小森 芳廣; 中澤 利雄*; 伊与久 達夫; 藤本 望; 西原 哲夫; et al.

日本原子力学会和文論文誌, 10(4), p.290 - 300, 2011/12

高温工学試験研究炉(HTTR)において平成22年1月から3月にかけて50日間の高温(950$$^{circ}$$C)連続運転を実施し、水素製造に必要な高温の熱を長期にわたり安定供給できることを世界で初めて示した。本運転の成功により、高温ガス炉の技術基盤を確立するとともに、低炭素社会に向けて温室効果ガスを排出しない革新的な熱化学水素製造等の熱源として原子力エネルギーを利用できることを世界で初めて実証した。

報告書

硝酸塩廃液生物処理システム試験

高橋 邦明; 目黒 義弘; 川戸 喜実; 黒田 一彦*; 小川 尚樹*

JAEA-Technology 2008-084, 12 Pages, 2009/02

JAEA-Technology-2008-084.pdf:1.06MB

再処理施設から発生する低レベル濃縮廃液は、硝酸ナトリウムを含んでおり、これをセメント等で直接固化して埋設処分した場合、固化体中の硝酸ナトリウムが地下水を介して環境中に移行する可能性がある。そこで、硝酸ナトリウム廃液を分解,処理する方法として一般産業界で広く普及している生物処理技術について、4wt%の硝酸ナトリウムを含む廃液への適用試験を行った。生物処理技術が抱える課題に対して、余剰汚泥発生量の削減試験,脱窒性能の限界見極め試験を行い、以下の結果を得た。(1)余剰汚泥の焼却灰発生量は従来比1/10に低減され、二次廃棄物処分費低減の目途を得た。(2)脱窒性能はこれまでの4kg-N/m$$^{3}$$/dから7kg-N/m$$^{3}$$/dまで上昇させることができた。膜分離システムの改良を行うことによりさらに装置の小型化が期待できる。

論文

New estimation method for void reactivity coefficient using the TRACY transient data

小川 和彦; 神永 文人*

Journal of Nuclear Science and Technology, 46(1), p.1 - 5, 2009/01

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)

放射線分解ガスボイドの生成に伴うフィードバック反応度を評価することは、核燃料再処理施設での臨界事故規模を評価するうえで重要である。過渡臨界実験装置(TRACY)の即発臨界時において、ガスボイド生成直後に出力及び炉心圧力の規則的な小振動が観測されている。この出力の小振動がガスボイドの圧縮性に起因することに着目し、出力と圧力の時間変化からボイド反応度係数を評価する手法を考案した。反応度変化は出力の逆解析から、ガスボイドの体積変化は炉心圧力変化から算出した。評価の結果、ガスボイドが中性子束に従い中央部に存在する場合は、溶液中にガスボイドが均一に存在する場合に比べ、負の反応度価値は大きくなることを実験的に示した。

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