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村田 和俊*; 野田 真永*; 尾池 貴洋*; 高橋 昭久*; 吉田 由香里*; 鈴木 義行*; 大野 達也*; 舟山 知夫; 小林 泰彦; 高橋 健夫*; et al.
Journal of Radiation Research, 55(4), p.658 - 664, 2014/07
被引用回数:16 パーセンタイル:56.04(Biology)ヒト肺がん細胞A549株のRhoシグナル伝達経路を介した遊走能に対し、炭素線照射が及ぼす影響を解析した。照射48時間経過後、炭素線照射したA549細胞の遊走能は大きくなり、遊走突起の形成も増加した。この遊走能の炭素線照射による増加は、X線照射後のそれと類似していた。ウェスタンブロット解析の結果は、照射した細胞がP-MLC2-S19タンパク質発現を増加させている一方で、MLC2タンパク質ファミリー全体の発現量に変化がないことを示した。ROCKタンパク質阻害剤であるY-27632の細胞への投与は、このP-MLC2-S19タンパク質の発現増加を抑制し、遊走能を低下させた。これらの結果より、ヒト肺がん細胞A549細胞への炭素線照射は、細胞遊走能をRhoシグナル伝達経路経由で増加させており、それはROCKタンパク質阻害剤で抑制されることが明らかとなった。
岩本 直也*; 小泉 淳*; 小野田 忍; 牧野 高紘; 大島 武; 児島 一聡*; 小池 俊平*; 内田 和男*; 野崎 眞次*
Materials Science Forum, 717-720, p.267 - 270, 2012/05
被引用回数:1 パーセンタイル:54.91炭化ケイ素(SiC)の耐放射線性に関する知見を得るため、電子線照射により6H-SiC pnダイオード中に発生する欠陥が電荷収集効率に及ぼす影響をアルファ線誘起過渡スペクトロスコピーにより調べた。試料には室温で1MeV電子線を110/cm照射し、照射前後の電荷収集効率をAmから放出される5.486MeVのアルファ線を用いて室温で評価した。その結果、初期には100%近かった電荷収集効率が電子線照射により84%まで低下することが判明した。この原因を調べるため、170310Kの範囲でアルファ線誘起過渡スペクトロスコピー評価を行ったところ、X及びXと名付けられた欠陥中心が発生することが判明した。それぞれの活性化エネルギーを求めたところ、それぞれ、0.30及び0.47eVであった。今回、電荷収集効率を室温で測定していることから、室温近くにピークを持つXが、Xに比べてより電荷収集効率に悪影響を及ぼす欠陥であると推測できる。
岩本 直也; 小泉 淳*; 小野田 忍; 牧野 高紘; 大島 武; 児島 一聡*; 小池 俊平*; 内田 和男*; 野崎 眞次*
IEEE Transactions on Nuclear Science, 58(6), p.3328 - 3332, 2011/12
被引用回数:5 パーセンタイル:38.79(Engineering, Electrical & Electronic)電子線照射による6H-SiC(Silicon Carbide) pnダイオードの電荷収集量低下の原因を調べるため、電子線照射によりダイオード中に形成される欠陥について、単一アルファ粒子による電荷の過渡スペクトル分析(single-alpha-particle-induced charge transient spectroscopy: SAPICTS)と過渡容量分光法(deep level transient spectroscopy: DLTS)による評価を行った。SAPICTSによって検出された欠陥は、その活性化エネルギーとアニール特性から、DLTSで検出される電子トラップEと同一の欠陥であることが示唆された。アニール処理を施した結果、当該欠陥が減少するとともに、ダイオードの電荷収集量が回復することが明らかとなった。以上のことから、SAPICTSにより検出された欠陥は電荷収集量の低下に最も寄与する欠陥であると結論できた。
岩本 直也; 小野田 忍; 牧野 高紘; 大島 武; 児島 一聡*; 小池 俊平*; 小泉 淳*; 内田 和男*; 野崎 眞次*
no journal, ,
炭化ケイ素(SiC)を用いた耐放射線性素子開発の一環として、線がSiCダイオードに入射した際の過渡電荷収集量Q(t)と放射線誘起欠陥との関係を調べた。6H-SiC n型エピタキシャル基板上に作製したpnダイオードに対し、エネルギー1MeVの電子線を110/cm照射することで放射線誘起欠陥を導入し、180310Kの温度範囲で、放射性同位体Amからの線をダイオードに入射させることでQ(t)を測定した。その結果、電子線未照射のダイオードのQ(t)は、イオン入射直後からn秒レベルで瞬時に立ち上がった後に飽和するのに対し、電子線を照射したダイオードのQ(t)は、急激な立ち上がりはなく、数10sにわたって徐々に増加することがわかった。また、未照射試料のQ(t)は温度にほとんど依存しないが、照射後に見られるsオーダーで増加する成分が温度に大きく依存することも併せて明らかとなった。この結果は、線によってダイオード内に生成された電荷が、放射線誘起欠陥に一度捕獲され、再度放出されることに起因しており、各温度におけるQ(t)から2つの時刻での電荷収集量Q(t1)及びQ(t2)を導出し、その差分Qと温度の関係を求めたところ、電子線を照射したダイオードからは205K及び279K付近に明確なピークが観測され、この温度に対応したエネルギーでキャリアを捕獲・放出する欠陥が形成されたと結論できた。
田村 崇人*; 小池 悟大*; 寺地 徳之*; 小野田 忍; McGuinness, L.*; Rogers, L.*; Christoph, M.*; Naydenov, B.*; Wu, E.*; Yan, L.*; et al.
no journal, ,
量子情報通信において重要な要素技術の1つである単一光子源として知られているシリコンと原子空孔からなるSiVセンターの生成収率を調べた。以前の研究で、60keVの低エネルギーSiイオンをスポット状に集束させてダイヤモンドに注入することで、SiVセンターの配列を作製することが可能であることを見出している。本研究では、1スポットあたりの注入イオン数を減らしていき、たった1つのSiVセンターを作製するための最小イオン注入量を求め、SiVセンターの収率を調べた。その結果、60keVの低エネルギーSiイオン注入の場合、SiVセンターが形成される収率が15%であることが分かった。
村田 和俊*; 野田 真永*; 尾池 貴洋*; 高橋 昭久*; 吉田 由香里*; 鈴木 義行*; 大野 達也*; 舟山 知夫; 小林 泰彦; 高橋 健夫*; et al.
no journal, ,
本研究では、Rho情報伝達経路を介したヒト肺がん細胞A549株の細胞遊走能に炭素イオン照射が及ぼす影響を明らかにすることを研究の目的とした。細胞遊走能の定量はwound-healingアッセイを、細胞表面突起の形成の評価はFアクチン染色を用いた。細胞生存率はWST-1アッセイを用いて定量し、MLC2タンパク質の発現量および同タンパクセリン19残基のリン酸化量の定量にはウエスタンハイブリダイゼーション法を用いた。炭素イオン照射したA549細胞における照射効果をこれらの方法で解析した結果、炭素イオン照射が、A549細胞の遊走能をRho情報伝達経路を介して増加させる一方で、Rho結合キナーゼ阻害剤によりその照射効果が抑制されることが明らかになった。