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論文

A Review on the effect of iron on bentonite stability

Wilson, J.*; 笹本 広; 舘 幸男; 川間 大介*

Applied Clay Science, 275, p.107862_1 - 107862_15, 2025/05

 被引用回数:0

高レベル放射性廃棄物の処分場では、鉄または鋼製ベースの容器/オーバーパック及びベントナイト緩衝材が用いられる。25年以上にわたり、鉄とベントナイトの相互作用に関わる研究が行われ、その中では、特に膨潤性粘土(スメクタイト)の鉄に富んだ層状珪酸塩(膨潤能が欠落する鉱物も存在)への変質可能性について検討がなされた。このような変質が生じると、人工バリア材の一つである緩衝材に期待されている膨潤性の欠落或いは低下を引き起こし、せん断応力に対するオーバーパックの保護性、水や溶質の移行抑制にも影響を与える。鉄とベントナイトの相互作用に関わるデータの多くは、実験及び地球化学モデリングによるものであり、ナチュラルアナログによるデータには乏しい。これらの既往データによれば、スメクタイト(アルミ質のモンモリロナイト)が鉄に富んだ固相(層状珪酸塩を含む)に変質したものや、グリーンラスト又は磁鉄鉱のような腐食生成物を伴う鉄に富んだ変質ゾーンが生成される可能性が示唆される。一方、このような変質ゾーンについての実態は複雑であり、現状での理解は不十分な部分もある。25年以上にもわたり研究が行われているにもかかわらず不確実な部分も多いが、今回のレビューにより、鉄とベントナイトの相互作用に伴い生じる尤もらしいシナリオが認識され、考えられ得る緩衝材特性への影響についても提示された。

論文

Thermodynamic properties and revised Helgeson-Kirkham-Flowers equations of state parameters of the hydrated and dehydrated monomeric silica species at $$t$$ = 0.01-600$$^{circ}$$C, $$P$$ = 1-3000 bars, $$rho$$$$_{rm H2O}$$ = 0.35-1.1 g cm$$^{-3}$$, and $$I_{m}$$ = 0$$m$$

Walker, C. S.*; Arthur, R. C.*; 安楽 総太郎; 笹本 広; 三原 守弘

Applied Geochemistry, 175, p.106086_1 - 106086_17, 2024/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Geochemistry & Geophysics)

水和した単量体シリカ(Si(OH)$$_{4}$$(aq), SiO(OH)$$_{3}$$$$^{-}$$及びSiO$$_{2}$$(OH)$$_{2}$$$$^{2-}$$)及び脱水状態を想定した単量体シリカ(SiO$$_{2}$$(aq), HSiO$$_{3}$$$$^{-}$$及びSiO$$_{3}$$$$^{2-}$$)化学種の状態パラメータに関わる修正Helgeson-Kirkham-Flowers式(r-H-K-F EoS)と熱力学特性は、シリカを含む全ての構成物の生成及び分解反応におけるpH、組成、温度及び圧力依存性を表すために幅広く用いられている。そのため、水和及び脱水状態の単量体シリカ化学種の生成反応に関わる平衡定数の実験値を文献から収集し、イオン相互作用理論に基づきイオン強度0へ外挿し、熱力学特性及びr-H-K-F EoSパラメータを導出した。同一の研究で全ての生成反応を考慮することで、単量体シリカ化学種の熱力学特性及びr-H-K-F EoSパラメータが見直され、これにより、温度=0.01-100$$^{circ}$$C、圧力=1-3000 bars,水の密度=0.35-1.1 g cm$$^{-3}$$の条件において、十分に合致するようになった。これらの温度・圧力は、放射性廃棄物の地層処分が想定される深さ1km程度までの温度(0.01-100$$^{circ}$$C)及び圧力(1-270 bars)を包括している。

論文

複数の方法で合成したC-A-S-HゲルのNMRによる構造解析

花町 優次*; Walker, C.*; 安楽 総太郎; 笹本 広

NIMS微細構造解析プラットホーム利用報告書(インターネット), 4 Pages, 2024/10

日本の放射性廃棄物地層処分では、産業副産物であるフライアッシュとシリカフュームを高含有する低アルカリ性セメント(High-volume Fly ash Silica fume Cement, HFSC)の使用が検討されており、我々はHFSCの主成分であるカルシウムアルミニウムシリケート水和物(C-A-S-H)ゲルを合成し、それらの化学的安定性についての研究を行っている。また、より基礎的な情報を得るため、普通ポルトランドセメントの成分であるカルシウムシリケート水和物(C-S-H)ゲルの結晶化鉱物の安定性も研究対象としている。この研究において信頼性の高いデータを得るためには、なるべく高収率の方法で目的物質の合成を行い、その元素組成や構造を正確に知る必要がある。C-A-S-Hゲルについては、先行課題(課題番号JPMXP1222NM0075)で、クリンカー鉱物を水に28日間または6カ月間浸漬させる方法(以下クリンカー法とする)で合成したサンプルを対象に$$^{27}$$Al及び$$^{29}$$Si NMRスペクトルを取得し、Al及びSiの分配状態を同定したが、それらの浸漬期間ではC-A-S-Hゲル以外の副鉱物の生成が多く、所期のAl/Siモル比を有するC-A-S-Hゲルの合成には至らないことが明らかとなった。C-A-S-Hゲルの収率を高くするためには、浸漬期間をさらに長くするほか、別の合成方法も検討する必要がある。本分析では、浸漬期間を1.5年まで延長したクリンカー法、及び、カトアイト飽和溶液を用いる代替法で合成したサンプルについて、$$^{27}$$Alおよび$$^{29}$$Si NMRスペクトルを取得し、それらサンプル中の実際のC-A-S-Hゲル組成を決定した。C-S-Hゲルの結晶化鉱物については、先行研究で、11${AA}$及び14${AA}$トバモライトが、酸化カルシウム及び二酸化ケイ素を高温状態(120$$^{circ}$$C及び60$$^{circ}$$C)で水に浸漬させることで合成できることがX線回折によって確認されている。本分析ではさらに、それらの合成トバモライトのポリマー構造を確認するために$$^{29}$$Si NMRスペクトルを取得した。

論文

オーバーパック及びセメントとの相互作用による緩衝材の長期変質挙動の研究

浜本 貴史*; 石寺 孝充; 笹本 広

NUMO-TR-24-01; 技術開発成果概要2022, p.87 - 90, 2024/05

地層処分事業の実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)が、日本原子力研究開発機構(JAEA)をはじめとする関係研究機関及び大学との共同研究等により実施した2022年度の技術開発成果の概要を取りまとめ、報告する。本報告は、NUMOとJAEAの共同研究「ニアフィールドシステムの状態変遷に伴うバリア材及び核種の長期挙動評価のための研究」で2022年度に実施したオーバーパック及びセメントとの相互作用による緩衝材の長期変質挙動の研究に関する成果についての概要をまとめたものである。

論文

NMRを用いたC-A-S-Hゲルの構造解析

花町 優次*; Walker, C.*; 笹本 広; 三原 守弘

NIMS微細構造解析プラットフォーム利用報告書(Internet), 2 Pages, 2023/12

放射性廃棄物の地層処分において、坑道の支保工材料等として産業副産物であるフライアッシュとシリカフュームセメントを高含有する低アルカリ性セメント(High-volume Fly ash Silica fume Cement, HFSC)の使用が検討されている。日本原子力研究開発機構では、HFSCの主成分であるカルシウムアルミニウムシリケート水和物(C-A-S-H)ゲルを合成し、その化学的な安定性を評価するための実験及びモデル化を行っている。モデル化では、合成したサンプルに含まれるC-A-S-Hゲルや合成の際に付随して生成する副鉱物の組成を把握する必要がある。このため、2020年度には、合成したサンプルを対象に$$^{27}$$Al及び$$^{29}$$Si NMRスペクトルを取得し、Al及びSiの分配状態を同定した。その結果から、合成したサンプル中のC-A-S-Hゲルの化学組成を導出した。しかしながら、浸漬期間が28日と短く、C-A-S-Hゲル以外の副鉱物の生成が多く、所期のAl/Siモル比を有するC-A-S-Hゲルの合成には至らなかった。本課題では、より浸漬期間の長い(6ヶ月)試料を対象に、同様な手法によりC-A-S-Hゲルの化学組成を導出するため、NMRスペクトルを取得した。

論文

Paleoclimatic controls on natural tracer profiles in biogenic sedimentary formations of the Horonobe area, Japan

Arthur, R.*; 笹本 広; Alt-Epping, P.*; 舘 幸男

Applied Geochemistry, 155, p.105707_1 - 105707_8, 2023/08

 被引用回数:2 パーセンタイル:30.17(Geochemistry & Geophysics)

地質媒体中でのナチュラルトレーサープロファイルを対象に、過去から現在に至るまでの変遷をモデルによる評価することは、放射性廃棄物の地層処分における性能評価手法をサポートする上でも役立つ。本研究では、北海道幌延地域における古水理地質学的な変遷から推察される境界条件に基づき、前進モデリングにより物質移行モデルを開発した。本研究で対象とした2つのボーリング孔(距離にして約1km程度離れた場所に位置)で認められたプロファイルの違いについては、間隙率や透水係数の違いによる影響というより、むしろ、局所的な割れ目の分布密度や連結性の違いによる影響が大きい可能性が示唆された。

論文

Geochemical modeling of cation exchange reactions in Horonobe mudstone from Northern Hokkaido, Japan

阿部 健康; 飯田 芳久; 笹本 広; 石井 英一

Proceedings of Water-Rock Interaction (WRI-17)/ Applied Isotope Geochemistry (AIG-14) (Internet), 6 Pages, 2023/08

埋設処分における地下水質の時空間的変遷評価では、地下水の混合や水-岩石相互作用を考慮したモデルが必要となる。堆積岩環境の地下水質を対象とした場合、評価上重要な水-岩石相互作用は陽イオン交換反応と考えられる。本研究では、パイロットボーリングが実施される概要調査段階における陽イオン交換反応の評価を想定し、陽イオン交換選択係数をactive fraction modelに従った地球化学計算に基づき推定する手法を検討する。さらに本手法の実環境での適用性を確認するために、幌延泥岩(稚内層及び声問層)を対象に交換性陽イオン組成の測定値と本手法による推定値との比較検討を行った。稚内層及び声問層の交換性陽イオン組成を測定し、得られた組成の変動範囲についてactive fraction modelを使って評価を行った。本評価に必要なパラメータの設定値は、先行研究で報告されているスメクタイトの2成分系陽イオン交換等温線及びCECのpH依存性に基づいて推定し、帯水層土壌に比べNaに親和的な選択係数を得た。推定したパラメータ設定を用いて、幌延で得られている化石海水・古天水の組成と平衡な交換性陽イオン組成を計算した結果、稚内層の交換性陽イオン組成の測定結果(交換性Naに富む組成)と整合した。また化石海水に比べてpHが高くNaイオンに乏しい現海水と平衡な交換性陽イオン組成を計算した結果、溶液の組成関係に反して化石海水よりも交換性Naに富む組成が得られた。このように溶液組成と反比例する交換性陽イオン組成の変化を解釈する上では、pHと全陽イオン濃度の変化が重要であることをベンチマーク計算により確認した。

論文

オーバーパック及びセメントとの相互作用による緩衝材の長期変質挙動の研究

市川 希*; 浜本 貴史*; 石寺 孝充; 笹本 広

NUMO-TR-22-02; 技術開発成果概要2021, p.55 - 57, 2023/03

地層処分事業の実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)が、日本原子力研究開発機構(JAEA)をはじめとする関係研究機関及び大学との共同研究等により実施した2021年度の技術開発成果の概要を取りまとめ、報告する。本報告は、NUMOとJAEAの共同研究「ニアフィールドシステムの状態変遷に伴うバリア材及び核種の長期挙動評価のための研究」において2021年度に実施した「オーバーパック/セメントと緩衝材との相互作用による長期変質挙動の研究」に関する成果の概要を取りまとめたものである。

論文

Sorption of Cs$$^{+}$$ and Eu$$^{3+}$$ ions onto sedimentary rock in the presence of gamma-irradiated humic acid

Zhao, Q.*; 齊藤 毅*; 宮川 和也; 笹本 広; 小林 大志*; 佐々木 隆之*

Journal of Hazardous Materials, 428, p.128211_1 - 128211_10, 2022/04

 被引用回数:7 パーセンタイル:45.72(Engineering, Environmental)

令和2年度以降の幌延深地層研究計画において原子力機構が取り組んでいる課題の1つである「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、坑道周辺の掘削損傷領域において物質移行に関するデータの取得が必要である。本研究では、地下水中に含まれる腐植物質であるフミン酸に着目し、放射線によるフミン酸の分解反応がCsイオンとEuイオンの収着能へ与える影響について、幌延地域の堆積岩を例として調べた。放射線を照射していないフミン酸の存在下では、Euはフミン酸と錯体を形成することで、岩石への収着能は低下する。一方で、放射線の照射によりフミン酸が分解されると、岩石へ収着するEuイオンが増加することが確認された。また、Csの岩石への収着能はフミン酸の影響を受けることが無く、また、放射線により分解されたフミン酸の影響も見られないことが分かった。以上のことから、廃棄体の近傍ではフミン酸の放射線分解により、岩石への収着するEuイオンの割合が大きくなることが考えられる。

報告書

幌延の地下施設における地下水の地球化学モニタリング装置を用いた物理化学パラメータ測定結果(2017年度$$sim$$2019年度)

出井 俊太郎; 望月 陽人; 宮川 和也; 笹本 広

JAEA-Data/Code 2021-005, 54 Pages, 2021/06

JAEA-Data-Code-2021-005.pdf:4.95MB
JAEA-Data-Code-2021-005-appendix(CD-ROM).zip:5.42MB

日本原子力研究開発機構は、北海道幌延町において、深地層の研究施設を活用した地層科学研究および地層処分研究開発を実施してきた。幌延深地層研究センターでは、地層科学研究の一環として、地下施設内の調査坑道において、地球化学モニタリング装置を用い、岩盤中の地下水の水圧・水質変化の観測を継続している。本報では、140m調査坑道,250m調査坑道および350m調査坑道に設置された地下水の地球化学モニタリング装置を用い、2017年4月1日から2020年3月31日までに取得した水圧及び物理化学パラメータ(温度,pH,電気伝導度,酸化還元電位,溶存酸素濃度)の測定結果をとりまとめた。

論文

Using natural systems evidence to test models of transformation of montmorillonite

Savage, D.*; Wilson, J.*; Benbow, S.*; 笹本 広; 小田 治恵; Walker, C.*; 川間 大介*; 舘 幸男

Applied Clay Science, 195, p.105741_1 - 105741_11, 2020/09

 被引用回数:4 パーセンタイル:11.39(Chemistry, Physical)

高レベル放射性廃棄物の地層処分において、粘土を主体とする緩衝材の長期的な安全機能は、モンモリロナイトが存在することによる高膨潤性と低透水性が維持されるかどうかに影響される。多くの場合、安全評価ではモンモリロナイトのイライト化(非膨潤性鉱物)への変質が懸念され、半経験的な速度論モデルによる評価が行われている。一方、近年、化学反応だけでなく、反応と輸送の2つの現象をカップリングしたモデルでの評価もなされている。本研究では、反応-輸送モデルでの評価を行い、既往の半経験的な速度論モデルによる評価と比較した。その結果、反応-輸送モデルでは、半経験的な速度論モデルに比べて、保守側の評価にはなるものの、天然の事例を再現するという観点では課題があることが示唆された。このため、地層処分におけるニファフィールドの長期変遷評価において、反応-輸送モデルを用いた評価を行う場合は、解析結果の解釈にあたり注意を要することが必要である。

論文

少量試料に適用可能な簡易分析法に基づく深部地下水中の溶存有機物の特性評価

望月 陽人; 笹本 広; 馬場 大哉*; 生垣 加代子*

陸水学雑誌, 81(2), p.153 - 166, 2020/05

地下水中の腐植物質の特性評価は一般的に、大量の地下水から分離精製された腐植物質を利用して実施される。しかし、腐植物質の分離精製には多大な時間と労力を要するうえ、地下水量が少ない地域には適用困難である。そこで、少量の試料にも適用可能である簡易特性分析法として、三次元蛍光分析,ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、およびイオンクロマトグラフィー(IC)を北海道・幌延地域の地下水と地表水に適用し、腐植物質をはじめとする溶存有機物(DOM)の特性評価を試みた。少量の地下水試料から取得された三次元蛍光スペクトルは、大量の地下水から分離精製した腐植物質のものと類似しており、深度差も小さい一方で、地表水とはピーク位置が異なっていた。GPCにより、地下水中のDOMの大部分を分子量1,200$$sim$$2,000Da程度の腐植物質が占め、その分子量は深度とともに減少することが示された。これらは、分離精製した腐植物質の特性とも調和的であった。また、地下水中のDOMに占める低分子量有機物の割合は小さいことがICにより示され、GPCの結果とも整合していた。以上より、本研究で適用した分析方法は、地下水中のDOMの特性を簡易に評価するのに有効な方法であることが示唆された。

報告書

幌延深地層研究計画における地下施設での調査研究段階; (第3段階: 必須の課題2015-2019年度)研究成果報告書

中山 雅; 雑賀 敦; 木村 駿; 望月 陽人; 青柳 和平; 大野 宏和; 宮川 和也; 武田 匡樹; 早野 明; 松岡 稔幸; et al.

JAEA-Research 2019-013, 276 Pages, 2020/03

JAEA-Research-2019-013.pdf:18.72MB

幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施している地層処分技術に関する研究開発の計画である。幌延深地層研究計画は、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」、「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの調査研究段階に分けて進めている。原子力機構の第3期中長期計画では、本計画について、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認、処分概念オプションの実証、地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証に重点的に取り組む。また、平成31年度末までに研究終了までの工程やその後の埋戻しについて決定する。」としている。本稿では、第3期中長期計画期間のうち、平成27年度から令和1年度までの地下施設での調査研究段階(第3段階)における調査研究のうち、原子力機構改革の中で必須の課題として抽出した(1)実際の地質環境における人工バリアの適用性確認、(2)処分概念オプションの実証、(3)地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証、の3つの研究開発課題について実施した調査研究の成果を取りまとめた。

報告書

幌延深地層研究計画で得られた地下水の水質データ(2017年度$$sim$$2019年度)

宮川 和也; 女澤 徹也*; 望月 陽人; 笹本 広

JAEA-Data/Code 2020-001, 41 Pages, 2020/03

JAEA-Data-Code-2020-001.pdf:3.75MB
JAEA-Data-Code-2020-001-appendix(CD-ROM).zip:0.34MB

幌延深地層研究計画における深地層の科学的研究では、実際の地下の地質環境特性を調査するための技術開発や、得られた地質環境特性に基づく地質環境モデルの構築が進められている。地質環境モデルの1つである地下水の地球化学モデルの構築・見直しにあたっては、地下施設周辺における地下水の水質データが必要である。本報告は、2017年度$$sim$$2019年度までの3年間に、幌延深地層研究計画で得られた地下水の水質データとして、物理化学パラメータおよび水質の測定・分析結果を取りまとめたものである。

論文

Mudstone redox conditions at the Horonobe Underground Research Laboratory, Hokkaido, Japan; Effects of drift excavation

望月 陽人; 石井 英一; 宮川 和也; 笹本 広

Engineering Geology, 267, p.105496_1 - 105496_11, 2020/03

 被引用回数:7 パーセンタイル:32.78(Engineering, Geological)

高レベル放射性廃棄物の地層処分場の建設・操業時には、坑道内の大気が掘削損傷領域(EDZ)に侵入し、坑道周辺の岩盤や地下水が酸化状態に変化することが想定される。坑道掘削が岩盤や地下水の酸化還元状態に与える影響を評価するために、幌延深地層研究センターの調査坑道周辺において酸化還元状態に関する調査を実施した。調査坑道周辺に掘削されたボーリング孔において、地下水のEhは-150mVより低く、酸化の指標となるSO$$_{4}$$$$^{2-}$$濃度はおおむね1$$mu$$mol L$$^{-1}$$未満であった。ボーリング孔に設けられた区間の50%以上をガスが占め、その組成は主にCH$$_{4}$$とCO$$_{2}$$からなり、N$$_{2}$$とO$$_{2}$$の割合はわずかであった。坑道から採取されたコア試料を分析した結果、黄鉄鉱の酸化溶解や硫酸カルシウムの沈殿は認められなかった。以上の結果から、今回調査したEDZにおいては酸化の顕著な兆候は認められず、その理由として、地下水圧の低下に伴い脱ガスしたCH$$_{4}$$やCO$$_{2}$$が岩盤中の割れ目を占め、大気の侵入が抑制された可能性が示唆された。

報告書

幌延深地層研究センター350m調査坑道における地下水の地球化学モニタリング装置による地下水圧の連続観測結果(2016$$sim$$2018年度)

望月 陽人; 宮川 和也; 笹本 広

JAEA-Data/Code 2019-014, 56 Pages, 2020/02

JAEA-Data-Code-2019-014.pdf:6.56MB
JAEA-Data-Code-2019-014-appendix(CD-ROM).zip:5.81MB

幌延深地層研究センターでは、地層科学研究の一環として、地下施設内の調査坑道に設置された地下水の地球化学モニタリング装置を用い、岩盤中地下水の水圧・水質変化を継続的に観測している。本報告は、350m調査坑道に設置された地下水の地球化学モニタリング装置を利用して、2016年度$$sim$$2018年度の3年間に取得した地下水圧の観測結果を取りまとめたものである。

論文

The Effect of dissolved gas on rock desaturation in artificial openings in geological formations

宮川 和也; 青柳 和平; 笹本 広; 赤木 俊文*; 山本 肇*

Proceedings of 5th ISRM Young Scholars' Symposium on Rock Mechanics and International Symposium on Rock Engineering for Innovative Future (YSRM 2019 and REIF 2019) (USB Flash Drive), 6 Pages, 2019/12

高レベル放射性廃棄物の地層処分場の掘削により、坑道周辺岩盤の損傷や、溶存ガスの発生等による不飽和領域の形成といった掘削影響領域が生じる。そこでは、岩盤の透水性の増大や、地下水の水質変化といった、地層が有する放射性核種の移行を遅延させる機能に影響を与えることが考えられる。そのため、大規模地下施設の建設・操業・閉鎖に伴う地質環境(水理地質構造や地下水の流動特性・物質移動特性・地球化学特性等)の変化過程や定常状態に達するまでの時間やプロセスを、確度の高い情報に基づきモデル化するための一連の技術開発が必要である。本研究では、溶存ガスが岩盤中の不飽和領域の形成に与える影響を調べるために、幌延深地層研究所の深度140m, 250m, 350m調査坑道の条件を模擬した数値・感度解析を実施した。その結果、溶存ガス濃度は、不飽和領域の形成に対して、飽和度と領域の広がりの両方に影響する一方で、岩盤の透水性は、主に不飽和領域の広がりのみに影響することが分かった。

論文

Natural systems evidence for the effects of temperature and the activity of aqueous silica upon montmorillonite stability in clay barriers for the disposal of radioactive wastes

Savage, D.*; Wilson, J.*; Benbow, S.*; 笹本 広; 小田 治恵; Walker, C.*; 川間 大介*; 舘 幸男

Applied Clay Science, 179, p.105146_1 - 105146_10, 2019/10

 被引用回数:13 パーセンタイル:52.14(Chemistry, Physical)

本研究では、モンモリロナイトの安定性における温度及び溶液中のシリカ活量の影響に係る天然事例について評価を試みた。異なる熱力学データベースを用いた熱力学的モデルにより、モンモリロナイトの安定領域は、0$$sim$$140$$^{circ}$$Cの温度領域であると推測された。一方、溶液中のシリカ活量が低い場合、モンモリロナイトの安定領域の一部は、イライトが安定な領域に変わることも示唆された。また、日本の沖合におけるODPサイトで得られた堆積物中の間隙水や鉱物組成に係るデータでは、60$$^{circ}$$C程度の温度までは、モンモリロナイトと非晶質シリカが安定であるが、より高温の条件では、イライトと石英の組み合わせが安定であることも示唆された。一方、百万年を越えるような長期においても、80$$^{circ}$$Cよりも低温の条件では、スメクタイトの一種であるモンモリロナイトは、イライトに変換されないことも示唆された。

論文

深部地下水における酸化還元電位の不確かさ評価; 北海道・幌延地域を事例として

望月 陽人; 笹本 広; 女澤 徹也*; 宮川 和也

地下水学会誌, 61(1), p.3 - 20, 2019/02

北海道・幌延地域の深部地下水における酸化還元電位の測定値を整理し、その測定および熱力学的解釈における不確かさの評価方法を検討した。地下研究施設の坑道より掘削されたボーリング孔を利用して測定された地下水の酸化還元電位はおおむね-250mVから-100mVの範囲にあり、経時変化を示すものの、坑道掘削による影響は直接的には及んでいないことが示唆された。地下水の酸化還元状態はSO$$_{4}$$$$^{2-}$$/FeS$$_{2}$$, SO$$_{4}$$$$^{2-}$$/HS$$^{-}$$およびCO$$_{2}$$(aq)/CH$$_{4}$$(aq)の酸化還元反応に支配されており、その平衡電位との比較から、Eh測定値の不確かさを$$pm$$50mVと設定することが適切であると考えられた。

論文

Preliminary results for natural groundwater colloids in sedimentary rocks of the Horonobe Underground Research Laboratory, Hokkaido, Japan

笹本 広; 恩田 真吾*

Geological Society Special Publications, 482, 13 Pages, 2018/09

 被引用回数:2 パーセンタイル:17.25(Geology)

コロイド濃度は、コロイドによる移行促進を扱うモデルにおいて重要なパラメータである。本研究の目的は、手法開発の一環として、幌延地下研究施設で採取した地下水中のコロイドを対象に、濃度や安定性に関わる特性を調べることである。幌延地下研究施設で得られた地下水中のコロイドは、数nm$$sim$$500nm程度の大きさで、コロイドサイズの中央値は、120nm程度であった。DLVO理論に基づくコロイドの安定性評価によれば、比較的大きなサイズのコロイド(直径100nmよりも大きいもの)は、より小さいサイズのコロイドよりも安定であることが示唆された。100nmよりも大きいコロイドの粒子濃度は、2.33$$times$$10$$^{6}$$$$sim$$1.12$$times$$10$$^{8}$$pt/mLと見積もられ、重量濃度としては、45$$sim$$1540$$mu$$g/L程度であると見積もられた。幌延の地下水中のコロイドは、諸外国におけるコロイド調査結果と比較すると、コロイドの安定性は低く、輸送性は中間的であると推定された。コロイドの安定性が低いのは、幌延の地下水のイオン強度がやや高めであること、輸送性が中間的であるのは、地下水中の溶存有機物濃度が他国の地下水と比べても同程度であるためと考えられる。

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