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佐藤 哲朗*; 安藤 真樹; 佐藤 正子*; 斎藤 公明
Journal of Environmental Radioactivity, 210, p.105973_1 - 105973_7, 2019/12
被引用回数:8 パーセンタイル:39.2(Environmental Sciences)避難指示が解除された後に住民が帰還した場合の現実的な外部被ばく線量を推定する方法について考案し、考案した方法に基づき調査を行った。6つの町村に帰還を検討している211人の住民を対象に、2014年度, 2015年度及び2016年度の3年間にわたり調査を実施した。帰還後に想定される生活行動パターンについて対象者へのヒアリングを実施した後、ヒアリング結果に基づき詳細な空間線量率の測定を行った。自宅内の線量率測定ができなかった15名の対象者を除いて、外部被ばく線量の最大値と平均値はそれぞれ4.9mSv/y, 0.86mSv/yとなった。被ばく線量の平均値とばらつきの大きさは避難指示区域の区分により異なるが、全対象者の93.3%において、推定される外部被ばく線量は2mSv/y以下であった。本研究での調査対象者全員の生活行動パターンの解析において、年間の生活時間のうち平均で87%の時間を屋内で過ごすという結果が得られた。さらに、自宅での被ばく線量が年間の被ばく線量の66.8%を占めるという結果が得られた。このことから、被ばく線量を現実的に評価するには自宅内の空間線量率を測定することが重要であるといえる。
湊 太志; 塚田 和明; 佐藤 望*; 渡辺 智*; 佐伯 秀也*; 川端 方子*; 橋本 慎太郎; 永井 泰樹*
Journal of the Physical Society of Japan, 86(11), p.114803_1 - 114803_6, 2017/11
被引用回数:8 パーセンタイル:56.38(Physics, Multidisciplinary)核診断に使われるTcの親核である
Moの生成量の測定と計算を行った。
Moは
Mo(
,
)
Mo反応によって作られ、中性子源はC(
,
)反応を用いた。中性子のエネルギー範囲は熱領域から約40MeVまでである。測定された
Moの生成量は、最新のC(
,
)反応の実験データおよびJENDL評価済み断面積を用いて予測された数値計算結果と一致していることが分かった。次に、経済的に適した
Moの生成法を模索するため、
Mo生成の条件を変えた新しい系統的な数値計算を実施した。考慮した条件は、
MoO
サンプルの質量、炭素標的とサンプル間の距離、重陽子ビームの半径、照射時間である。得られた
Moの生成量より、一つの加速器で
Moの日本の需要量の約30%を担うことができることが分かった。また、1日2回
Moから
Tcを溶出することで、
Moの需要量の約50%まで引き上げることが可能であることが分かった。
須郷 由美*; 橋本 和幸*; 川端 方子*; 佐伯 秀也*; 佐藤 俊一*; 塚田 和明; 永井 泰樹*
Journal of the Physical Society of Japan, 86(2), p.023201_1 - 023201_3, 2017/02
被引用回数:13 パーセンタイル:68.78(Physics, Multidisciplinary)Zn(
)
Cu反応により合成した
Cuを利用し、結腸直腸の腫瘍を有するマウスにおける
CuCl
の生体内分布を初めて観測した。その結果、
Cuの高い取り込みが、腫瘍ならびに銅代謝のための主要な器官である肝臓と腎臓で観察された。これは腫瘍に対する
Cuの蓄積を示す結果であり、
CuCl
が癌放射線治療のための潜在的な放射性核種薬剤であることを示唆している。また、現状で入手可能な強い中性子を用いた
Zn(
)
Cu反応を利用することでもたらされた
Cuの生成量の増加は、小動物を用いた治療効果について更なる研究の進展もまた約束するものである。
橋本 和幸; 永井 泰樹; 川端 方子; 佐藤 望*; 初川 雄一; 佐伯 秀也; 本石 章司*; 太田 雅之; 今野 力; 落合 謙太郎; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 84(4), p.043202_1 - 043202_4, 2015/04
被引用回数:7 パーセンタイル:51.13(Physics, Multidisciplinary)The distribution of Tc-radiopharmaceutical in mouse was obtained with SPECT for the first time using
Tc, which was separated by thermochromatography from
Mo produced via the
Mo(n,2n)
Mo reaction with accelerator neutrons. The SPECT image was comparable with that obtained from a fission product
Mo. Radionuclidic purity and radiochemical purity of the separated
Tc and its aluminum concentration met the United States Pharmacopeia regulatory requirements for
Tc from the fission product
Mo. These results provide important evidence that
Tc radiopharmaceutical formulated using the
Mo can be a promising substitute for the fission product
Mo. A current and forthcoming problem to ensure a reliable and constant supply of
Mo in Japan can be partially mitigated.
川端 方子; 永井 泰樹; 橋本 和幸; 佐伯 秀也; 本石 章司*; 佐藤 望*; 太田 朗生*; 椎名 孝行*; 河内 幸正*
Journal of the Physical Society of Japan, 84(2), p.023201_1 - 023201_4, 2015/02
被引用回数:6 パーセンタイル:46.87(Physics, Multidisciplinary)医療用Tcは、溶融した
MoO
から熱分離によって分離できる。
Mo/
Tcジェネレーターを使用し、溶融
MoO
からの
Tc分離における、湿気を帯びた酸素ガスの影響を調査した。
Moは、
Mo(n,2n)
Mo反応で生成した。乾燥酸素ガスと比較して、湿気を帯びた酸素ガス中では、
Tcの分離速度、分離効率、回収効率全てにおいて、高い値を示すという新しい見解を得ることができた。本研究結果により、溶融MoO
から、高品質な
Tcを高効率かつ安定的に製造するという課題へ向け、重要な進展を遂げた。また、湿気を帯びた酸素ガスと溶融
MoO
の相互作用について、新たな知見を与えるものである。
佐藤 望; 塚田 和明; 渡辺 智; 石岡 典子; 川端 方子; 佐伯 秀也; 永井 泰樹; 金 政浩*; 湊 太志; 岩本 信之; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 83(7), p.073201_1 - 073201_4, 2014/07
被引用回数:13 パーセンタイル:63.56(Physics, Multidisciplinary)本研究により、Zn(
,
)
Cu反応で生成される医療用放射性同位体
Cuは、従来法による製造と比較して放射核的純度が非常に高いことが初めて明らかになった。実験は原子力機構高崎研究所のイオン照射研究施設において行われ、中性子源としてエネルギー41MeVの重陽子ビームによる
C(d,n)反応が用いられた。中性子照射後、高純度Ge検出器を用いて濃縮
Zn試料の
線測定を行い、その結果から核反応生成物の放射能を評価した。生成された
Cuに対する不純物核種の量は非常に少ないため、
Znから
Cuを化学分離する過程の簡略化や、高価な濃縮
Zn試料の再利用が期待される。この研究結果は、高純度
Cu製造に最適な反応系として
Zn(
,
)
Cu反応を提案するものであり、
Cuの製造法に関する長年の課題を解決できる可能性がある。
永井 泰樹; 川端 方子; 佐藤 望; 橋本 和幸; 佐伯 秀也; 本石 章司*
Journal of the Physical Society of Japan, 83(8), p.083201_1 - 083201_4, 2014/07
被引用回数:10 パーセンタイル:59.23(Physics, Multidisciplinary)High thermo-separation efficiencies of about 90% and 70% have been obtained for the first time for Tc from molten MoO
samples containing
Mo with thicknesses of 4.0 and 8.8 mm, respectively, by repeated milking tests.
Mo was produced with
Mo(
,2
)
Mo by using neutrons from
H(
,
)
He. The thermo-separation efficiency was determined by measuring the 141 keV
-ray yield of
Tc within the molten MoO
samples with a radiation detector as a function of the furnace temperature and time. The diffusion coefficients of
Tc in the molten MoO
samples were estimated in order to help understand the
Tc release mechanism. The present result solves a long-standing problem of decreasing the separation efficiency of
Tc from MoO
while increasing the sample mass or repeating sublimation in thermo-separation, and will bring a major breakthrough to obtain high-quality
Tc from MoO
irradiated by accelerator-neutrons (protons) or reactor-neutrons.
河口 優子*; Yang, Y.*; 川尻 成俊*; 白石 啓祐*; 高須 昌子*; 鳴海 一成*; 佐藤 勝也; 橋本 博文*; 中川 和道*; 谷川 能章*; et al.
Origins of Life and Evolution of Biospheres, 43(4-5), p.411 - 428, 2013/10
被引用回数:38 パーセンタイル:79.99(Biology)In the Tanpopo mission, we have proposed to carry out experiments on capture and space exposure of microbes at the Exposure Facility of the Japanese Experimental Module of the International Space Station (ISS). Microbial candidates for the exposure experiments in space include spp. We have examined the survivability of
spp. under the environmental conditions in ISS in orbit. A One-year dose of heavy-ion beam irradiation did not affect the viability of
spp. within the detection limit. Exposure of various thicknesses of deinococcal cell aggregates to UV radiation revealed that a few hundred micrometer thick aggregate of deinococcal cells would be able to withstand the solar UV radiation on ISS for 1 year. We concluded that aggregated deinococcal cells will survive the yearlong exposure experiments. We propose that microbial cells can aggregate as an ark for the interplanetary transfer of microbes, and we named it "massapanspermia".
永井 泰樹; 橋本 和幸; 初川 雄一; 佐伯 秀也; 本石 章司; 園田 望; 川端 方子; 原田 秀郎; 金 政浩*; 塚田 和明; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 82(6), p.064201_1 - 064201_7, 2013/06
被引用回数:41 パーセンタイル:85.53(Physics, Multidisciplinary)A new system proposed for the generation of radioisotopes with accelerator neutrons by deuterons (GRAND) is described by mainly discussing the production of Mo used for nuclear medicine diagnosis. A prototype facility of this system consists of a cyclotron to produce intense accelerator neutrons from the
C(d,n) reaction with 40 MeV 2 mA deuteron beams, and a sublimation system to separate
Tc from an irradiated
MoO
sample. About 9.7 TBq/week of
Mo is produced by repeating irradiation on an enriched
Mo sample (251g) with accelerator neutrons three times for two days. It meets about 10% of the
Mo demand in Japan. The characteristic feature of the system lies in its capability to reliably produce a wide range of high-quality, carrier-free, carrier-added radioisotopes with a minimum level of radioactive wastes without using uranium. The system is compact in size, and easy to operate; therefore it could be used worldwide to produce radioisotopes for medical, research, and industrial applications.
山崎 千里*; 村上 勝彦*; 藤井 康之*; 佐藤 慶治*; 原田 えりみ*; 武田 淳一*; 谷家 貴之*; 坂手 龍一*; 喜久川 真吾*; 嶋田 誠*; et al.
Nucleic Acids Research, 36(Database), p.D793 - D799, 2008/01
被引用回数:51 パーセンタイル:72.31(Biochemistry & Molecular Biology)ヒトゲノム解析のために、転写産物データベースを構築した。34057個のタンパク質コード領域と、642個のタンパク質をコードしていないRNAを見いだすことができた。
櫻井 英幸*; 岡本 雅彦*; 新 雅子*; 竹内 愛子*; 長谷川 正俊*; 佐藤 隆博; 及川 将一*; 神谷 富裕; 荒川 和夫; 中野 隆史*
no journal, ,
シスプラチンは現在さまざまな種類の癌化学療法においてkey drugとなる薬剤である。癌細胞に取り込まれたシスプラチンを細胞内で可視化,定量化できれば、薬剤の取り込みや核への移行機構、また薬剤耐性などの研究に役立つものと思われる。大気マイクロPIXE(Particle Induced X-Ray Emission)は数MeVに加速したプロトンを試料に照射し、放出される特性X線を検出することにより、試料中に含まれる多くの元素を1mの分解能で解析できる技術である。この技術を用い、ヒト肺癌細胞内のシスプラチンの可視化・定量化を行った結果、標準試料を用いた解析では、試料内のシスプラチン濃度と測定されたPtカウント数の間に直線性が認められた。一方、培養細胞試料ではP, K, Clなどの細胞の局在を示す元素のほか、BrdUでラベルした核内Br及び細胞に取り込まれたPtの検出が可能で、シスプラチン接触時間の延長とともに細胞内Pt及び核内Ptのカウント数増加が観察された。これにより、同技術による細胞内におけるPtの可視化及び定量化が可能であることを確認できたが、生物・医学的に重要な意味を持つ極微量領域でのPt検出には、検出感度の向上が必要であることも明らかとなった。
岡本 雅彦*; 櫻井 英幸*; 新 雅子*; 長谷川 正俊*; 及川 将一*; 佐藤 隆博; 神谷 富裕; 荒川 和夫; 中野 隆史*
no journal, ,
炭化タングステンとコバルトを混合して焼結した超硬金属粉末の吸入による慢性間質性肺炎(超硬金属肺と呼ばれている)の診断を確定するために、大気マイクロPIXEで原発性肺癌患者の組織を調べた。その結果、Ti, Al, Fe, Ni, Cr, Wなどの吸入超硬金属由来の各種金属粉が肺内に残存している状況を元素の2次元分布として測定することに成功した。
塚田 和明; 佐藤 望; 渡辺 智; 石岡 典子; 初川 雄一; 橋本 和幸; 金 政浩*; 川端 方子; 佐伯 秀也; 永井 泰樹
no journal, ,
核医学用放射性同位体(RI)は、主に癌などに対する高感度の診断及び治療が可能であるため世界中で重用されている。我々は、診断用RIとしてMo-99を、治療用RIとしてY-90を、そして診断・治療の両方に対応できるRIとしての期待が高いCu-64及びCu-67を、安定稼働に定評がある加速器で得られる高速中性子を用いて合成することを目指して研究を行ってきた。本講演では、これら目的とするRIの生成に、40MeVの重陽子ビームを炭素あるいはBe標的に照射することで発生する高速中性子を利用し、実際に原子力機構高崎量子応用研究所AVFサイクロトロンにて上記RIの合成試験を行い、生成量の評価並びに副生成物に関する情報を得たので報告する。
川端 方子; 橋本 和幸; 佐伯 秀也; 佐藤 望*; 本石 章司*; 永井 泰樹
no journal, ,
Cu,
Cuは特徴のある崩壊様式に加え、配位化学的にも万能という利点から、新しい放射性医薬品として注目を集めている。
Cuは腫瘍に対する
線のエネルギー及び飛程から比較的小さながん治療に適していると言われており、一方、
CuはPET用診断薬としての期待が持たれている。この2核種についての製造方法は過去に研究されているが、副生成物RIの除去などの問題もあり、特に
Cuについては国内で臨床試験に必要な量を生産する方法が確立されていない。我々は、加速器で得られる中性子を用いて、
Zn(n,x)
Cu及び
Zn(n,p)
Cu反応で
Cu,
Cuを生成する方法を提案した。本法では、不要な副生成RIが少なく、短時間で行える同じ分離手法を用いて、2つの目的核種の分離が行えるという利点がある。講演では、本生成法とそれに続く化学分離について、一連の実験結果を紹介する。
永井 泰樹; 川端 方子; 佐藤 望*; 橋本 和幸; 佐伯 秀也; 本石 章司*; 初川 雄一; 太田 朗生; 椎名 孝行; 河内 幸正
no journal, ,
Moの娘核である
Tcは医療診断に世界的に広く利用されている。日本では、約90万件の診断が
Tcを用い行われている。
Moは主に高濃縮
Uを用い研究用原子炉で製造されている。最近の
Moの不足のため、色々な方法による
Moあるいは
Tcの代替製造法の提案が行われている。我々は、加速器で得られる中性子による
Mo(n,2n)反応で
Moを生成する方法を提案した。この生成法は、多量の高品質の
Moを不要放射性生成物を微量にして生成できることを特徴とする。それは、
Mo(n,2n)
Mo反応断面積が、中性子エネルギーが11から18MeVで大きいこと、それに比べて、(n,He), (n,n'p)、そして(n,p)反応断面積が極めて小さいことによる。高強度の中性子を得ることは、近年の加速器及び標的技術の進展で可能である。この講演では、
Mo(n,2n)反応で生成される
Moを用いて得られる高品質の
Tcに関する実験結果を紹介する。
橋本 和幸; 川端 方子; 佐伯 秀也; 塚田 和明; 佐藤 望*; 本石 章司*; 永井 泰樹; 渡辺 智; 石岡 典子
no journal, ,
Cu(半減期62時間)は、がん治療に適した
線と画像診断に適した
線を同時に放出するため、がん治療用核種として有望視されている。現状では、その製造方法として高エネルギー陽子(50-200MeV)による
Zn(p,2p)
Cu反応が最適と考えられているが、生成量が限られていることや副生成RIの多さ等の問題から、研究開発も限定的な状況である。そこで、従来法に代わる製造法として、
C(d,n)反応による高速中性子を用いて
Zn(n,x)
Cu反応(x=n'p, d)により製造した
CuのZnターゲットからの分離・精製及び抗体標識に有用なモデル配位子であるDOTA, TETAへの標識を実施した。キレート樹脂+陰イオン交換樹脂2段カラム分離・精製法を用いて
Cuを単離した結果、不純物RIは検出されず、放射性核種純度の高い
Cu溶液が得られた。また、標識実験の結果、
Cu-DOTAが99%以上、
Cu-TETAが97%以上の収率で合成できた。以上の結果、
C(d,n)反応による高速中性子を用いて、放射性核種純度及び化学的純度の高い無担体
Cuを製造することに成功した。今後は、大量製造化の検討及び遠隔操作を可能にする装置等の開発を通じて、高純度
Cu大量製造法の確立を目指す。
橋本 和幸; 川端 方子*; 佐伯 秀也*; 佐藤 俊一*; 塚田 和明; 渡辺 智; 永井 泰樹
no journal, ,
Cu(半減期61.9時間)は、がん治療に適した
線(平均エネルギー141keV)と画像診断に適した
線(185keV等)を同時に放出するため、がん治療用核種として有望視され30年余にわたりその有効な生成法開発が模索されている。従来、
Cuを製造するには、高エネルギー陽子を用いた
Zn(p,2p)
Cuが最適であると考えられているが、生成量が限られていることや副生成RIの多さ等の問題から、研究開発も限定的な状況である。そこで我々は、従来法に代わる製造法として、加速器からの高速中性子を用いた
Cu製造法[
Zn(n,x)
Cu反応(x=n'p, d)]の開発を行っており、ターゲット物質であるZn(5g ZnO)からの基本分離法を確立した。本研究では、実用化を目指す次のステップとして、副生成RIである
Ni(半減期2.52h)を新たに分離する高純度化手法及び大量製造化のためのZnO試料増量(基本分離法の5倍以上の試料量)に対応した分離・精製法を検討した。
Ni分離手法の開発では、既報の基本分離法において、8M HClの追加使用及び陰イオン交換樹脂カラムのサイズアップを図ることにより、最終
Cu溶液中の
Ni残量は検出限界以下であり、
Ni分離手法を確立した。さらに、33g ZnO試料を用いた分離挙動を調べた結果、上記
Ni分離を可能にした改良分離法により、CuとZnの分離は良好で、Cu最終溶液中に、
Znは検出されず、より高純度の
Cuを製造する方法を確立した。
川端 方子*; 永井 泰樹; 橋本 和幸; 初川 雄一; 本石 章司*; 佐伯 秀也*; 佐藤 望*; 太田 朗生*; 椎名 孝行*; 河内 幸正*; et al.
no journal, ,
Tcは診断用RIとして広く利用されており、国内では年間約70万件、in vivo投与件数の過半数以上を占めている。原料となる親核種
Moは現在海外の原子炉で製造されており、日本は長年海外からからの輸入に依存している。この
Mo供給が原子炉運転停止などの影響で今後不安定になる恐れがあり、諸外国をはじめ日本でも国内での製造が検討されている。我々は、加速器中性子を利用して、
Moから
Mo(n,2n)
Mo反応で
Moを生成し、
Tcを効率的に熱分離する方法を開発し、実用化を視野に入れた研究を進めてきた。厚さ3mm-18mmの溶融MoO
試料を用いて複数回分離試験を実施した結果、連続して高い分離効率(70-95%)を得ることに成功した。また、水蒸気を加えることにより効率が約10%向上することが明らかになった。回収した
Tcの純度は高く、SPECT画像によるマウス骨分布を調べた結果、市販の
Tcと差がないことが確認された。今後、本研究で開発した熱分離装置の大型化によって、まず大量生産を目指し、国内での実用化を視野に入れた分離精製装置の開発を発展させたい。
橋本 和幸; 川端 方子*; 佐伯 秀也*; 佐藤 俊一*; 塚田 和明; 初川 雄一; 永井 泰樹; 渡辺 智; 石岡 典子
no journal, ,
Cu(半減期62時間)は、がん治療に適したベータ線(平均エネルギー141keV)と画像化に適した
線(185keV)を同時に放出するため、がん治療用核種として有望視されている。しかし、大量に高品質の
Cuを製造する方法が限られているため、研究開発が限定的である。そこで我々は、AVFサイクロトロンにて重陽子ビームを炭素あるいはベリリウム標的に照射することで発生する高速中性子を
ZnOに照射することにより
Cuを製造する手法の開発を行っている。本研究では、動物実験が可能な放射能量の
Cuを製造するための分離手法の検討を行った。まず、ターゲット物質であるZnO増量(5g
33g)に対応する分離手法の開発では、33g ZnO試料を用いた場合でも、既報の基本分離法を用いることにより、CuとZnの分離は良好であり、Cu最終溶液中に、
Znは検出されなかった。また、濃縮
ZnOターゲットの回収方法として、キレート樹脂カラムから溶出されるZn溶液を水酸化物沈殿法により分離回収する方法を検討した結果、回収したZnOには、標識を阻害する新たな不純物の混入は認められなかった。以上の結果、既存加速器を用いて動物実験が可能な数百MBqの
Cuを製造する手法の開発に目途が立った。
塚田 和明; 佐藤 望*; 渡辺 智; 石岡 典子; 初川 雄一; 橋本 和幸; 金 政浩*; 武田 晋作*; 川端 方子; 佐伯 秀也; et al.
no journal, ,
核医学用放射性同位体(RI)は、主に癌などに対する高感度の診断及び治療が可能であるため世界中で重用されている。我々は、診断用RIとしてMo-99を、治療用RIとしてY-90を、そして診断・治療の両方に対応できるRIとしての期待が高いCu-64及びCu-67を、安定稼働に定評がある加速器で得られる高速中性子を用いて合成することを目指して研究を行ってきた。本講演では、これら目的とするRIの生成に、40MeVの重陽子ビームを炭素あるいはBe標的に照射することで発生する高速中性子を利用し、実際に原子力機構AVFサイクロトロンにて上記RIの合成試験を行い、生成量の評価並びに副生成物に関する情報を得たので報告する。