Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
渡辺 幸信*; 定松 大樹*; 荒木 祥平; 中野 敬太; 川瀬 頌一郎*; 金 政浩*; 岩元 洋介; 佐藤 大樹; 萩原 雅之*; 八島 浩*; et al.
EPJ Web of Conferences, 284, p.01041_1 - 01041_4, 2023/05
医療用RIの製造や核融合材料の照射損傷、放射性廃棄物の核変換などの研究において重陽子加速器を用いた高強度中性子源が提案されている。そのような中性子源の設計には重陽子を様々な標的に照射した際の中性子生成データが必要である。しかし、重陽子入射中性子生成二重微分断面積などの実験データは十分でない。そこで本研究では、大阪大学核物理研究センター(RCNP)において幅広い原子番号の標的に対する200MeV重陽子入射中性子生成二重微分断面積の系統的な測定を実施した。200MeVの重陽子ビームをビームスウィンガーマグネット内の薄い標的に照射し、放出される中性子を大きさの異なるEJ301検出器(直径及び厚さが2inchと5inch)を7m、20mの位置にそれぞれ設置し、測定した。測定角度は0度から25度までの5角度とし、中性子エネルギーは飛行時間法で決定した。それぞれの測定データは入射エネルギーの半分あたりに特徴的な幅広なピークを示しており、ピークの収量は標的の質量数に従って単調に増加した。DEURACSとPHITSを用いた理論モデル計算との比較の結果、DEURACSの計算結果はPHITSのものよりも実験値に対してより良い一致を示した。加えて、得られたLi, Be, Cの結果を用いてJENDL/DEU-2020とTENDL-2017の核データライブラリのベンチマークを行った。
奥平 琢也*; 谷 結以花*; 遠藤 駿典; Doskow, J.*; 藤岡 宏之*; 広田 克也*; 亀田 健斗*; 木村 敦; 北口 雅暁*; Luxnat, M.*; et al.
Physical Review C, 107(5), p.054602_1 - 054602_7, 2023/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.03(Physics, Nuclear)波共鳴と
波共鳴の混合に起因するParity violationの増幅が観測されている
Xe+nにおける3.2eV共鳴からのガンマ線の中性子エネルギーに依存する角度分布を測定した。
波共鳴からのガンマ線の遷移を同定し、1807keVの終状態に遷移する7132keVガンマ線の角度分布を評価した。この角度分布は
波共鳴と
波共鳴の干渉による結果と考えられており、複合核におけるParity violationの増幅メカニズムの理解に役立つ。
遠藤 駿典; 奥平 琢也*; 安部 亮太*; 藤岡 宏之*; 広田 克也*; 木村 敦; 北口 雅暁*; 奥 隆之; 酒井 健二; 嶋 達志*; et al.
Physical Review C, 106(6), p.064601_1 - 064601_7, 2022/12
被引用回数:1 パーセンタイル:39.66(Physics, Nuclear)熱外中性子入射により形成される複合核において観測された、空間反転対称性の破れの大きな増幅は、今のところ複合核状態の入射チャネルにおけるパリティの異なる部分波の混合の結果として説明されている。さらに時間反転対称性の破れも同様のメカニズムで増幅されることが示唆されている。この入射チャネルにおける混合は、複合核共鳴から放出される個々のガンマ線のエネルギー依存なスピン-角相関を引き起こす。本研究ではJ-PARC・MLF・ANNRIにて偏極熱外中性子ビームを用い、Sn(
)
Sn反応におけるガンマ線強度分布が、中性子の偏極方向に依存することを確認した。
古賀 淳*; 高田 秀佐*; 遠藤 駿典; 藤岡 宏之*; 広田 克也*; 石崎 貢平*; 木村 敦; 北口 雅暁*; 新實 裕大*; 奥平 琢也*; et al.
Physical Review C, 105(5), p.054615_1 - 054615_5, 2022/05
被引用回数:2 パーセンタイル:61.15(Physics, Nuclear)J-PACR MLFのパルス中性子源及びBL04 ANNRIに設置されたゲルマニウム検出器を用いて、Sn(n,
)反応により生じるガンマ線の中性子エネルギー依存する角度分布を測定した。
Snの複合核状態から
Snの基底状態への遷移で発生する9327keVのガンマ線に関して、角度によって1.33eVの
波共鳴の形状が変わることが明らかに確認できた。この共鳴の低エネルギー側の積分値と高エネルギー側の積分値をそれぞれ
で表したとき、非対称性
は
cos
という角度依存をし、それぞれのパラメータ値が
、
であることがわかった。
奥平 琢也*; 遠藤 駿典; 藤岡 宏之*; 広田 克也*; 石崎 貢平*; 木村 敦; 北口 雅暁*; 古賀 淳*; 新實 裕大*; 酒井 健二; et al.
Physical Review C, 104(1), p.014601_1 - 014601_6, 2021/07
被引用回数:3 パーセンタイル:52.17(Physics, Nuclear)Neutron energy-dependent angular distributions were observed for individual rays from the 0.74 eV
-wave resonance of
La+
to several lower excited states of
La. The
-ray signals were analyzed in a two dimensional histogram of the
-ray energy, measured with distributed germanium detectors, and neutron energy, determined with the time-of-flight of pulsed neutrons, to identify the neutron energy dependence of the angular distribution for each individual
rays. The angular distribution was also found for a photopeak accompanied with a faint
-wave resonance component in the neutron energy spectrum. Our results can be interpreted as interference between
- and
-wave amplitudes which may be used to study discrete symmetries of fundamental interactions.
岩元 洋介; 吉田 誠*; 松田 洋樹; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 八島 浩*; 薮内 敦*; 嶋 達志*
Materials Science Forum, 1024, p.95 - 101, 2021/03
核破砕中性子源,加速器駆動システム等における材料の照射損傷の基礎研究、マクロな材料特性研究、機器設計等をまとめた書籍の中で、われわれが主導してきた照射損傷量の指標である原子あたりのはじき出し数(DPA)に関する最新の研究を提示する。本研究では、タングステンのDPAの計算値を検証するため、ギフォード・マクマフォン冷凍機を用いてタングステン線を冷却し、389MeVの陽子照射による、極低温(10K)下の照射欠陥に伴う電気抵抗増加の測定値からはじき出し断面積を導出した。はじき出し断面積の実験値と計算値を比較した結果、これまでの発表者らが銅を用いた実験による検証結果と同様に、従来の照射損傷モデルによる計算値に比べて、最新の非熱的な欠陥再結合補正を考慮した計算値が実験値を良く再現することを明らかにした。また、アニールに伴う照射後の欠陥回復の測定により、60Kでは約20%の欠陥が回復し、原子炉の中性子照射環境と同様の結果となる他、銅の測定結果と比べた場合、タングステンにおける欠陥の回復量が少ないこと等を示した。
永井 泰樹*; 木下 充隆*; 井頭 政之*; 延原 由利子*; 牧井 宏之; 三島 賢二*; 嶋 達志*; Mengoni, A.*
Physical Review C, 102(4), p.044616_1 - 044616_8, 2020/10
被引用回数:3 パーセンタイル:48.33(Physics, Nuclear)We measured the total capture cross section of the O
O reaction, as well as partial cross sections leading to the ground (
and first excited (
states in
O. The measurement was carried out at average neutron energies of 157, 349, 398, 427, 468, 498, and 556 keV by using pulsed neutrons produced via the
Li
Be reaction and a
-ray detection system based on an anti-Compton NaI(Tl) spectrometer. We observed the interference effect between the
resonance state at 4554 keV of
O, corresponding to a neutron energy of 411 keV in the center-of-mass system, and a non-resonant contribution in the capture process. The measured partial cross sections are in good agreement with theoretical calculations obtained taking into account the interference between the
resonance and a non-resonant p-wave direct radiative capture contribution. Using the present results, together with our previous measurement, we derived the Maxwellian-averaged capture cross sections (MACS) for thermal energies between kT = 5 and 100 keV, key quantities for
process nucleosynthesis studies in massive stars.
渡辺 幸信*; 定松 大樹*; 荒木 祥平*; 中野 敬太*; 川瀬 頌一郎*; 金 政浩*; 岩元 洋介; 佐藤 大樹; 萩原 雅之*; 八島 浩*; et al.
EPJ Web of Conferences, 239, p.20012_1 - 20012_4, 2020/09
被引用回数:1 パーセンタイル:88.07重陽子ビームによる加速器中性子源は、核分裂生成物の核変換、核融合炉材料試験等の応用分野での利用が検討されている。そこで、このような加速器や中性子源の設計に有益なデータとして、大阪大学核物理研究センターにおいて、200MeV重陽子入射核反応によるリチウムの中性子生成二重微分断面積(DDX)を測定した。実験では液体有機シンチレータEJ301を用いた飛行時間法を適用し、前方0度から25度の範囲で中性子断面積データを取得した。広範なエネルギー範囲のデータを取得するため、直径及び厚さが5.08cmと12.7cmの大きさの異なる2台のシンチレータを標的から7mと20mの地点にそれぞれ設置した。ここで、中性子の検出効率はSCINFUL-QMDコードを用いて導出した。本発表では、実験値と重陽子入射断面積計算コードDEURACS及び粒子・重イオン輸送計算コードPHITSによる計算値との比較について述べる。また、25, 40及び100MeV重陽子入射による実験値を用いて、DDXの入射エネルギー依存性について議論する。
山本 知樹*; 奥平 琢也; 遠藤 駿典; 藤岡 宏之*; 広田 克也*; 猪野 隆*; 石崎 貢平*; 木村 敦; 北口 雅暁*; 古賀 淳*; et al.
Physical Review C, 101(6), p.064624_1 - 064624_8, 2020/06
被引用回数:8 パーセンタイル:73.04(Physics, Nuclear)An sp-mixing model, which describes a compound nuclear reaction by mixing partial waves, predicts a correlation term in this reaction. The correlation term
(
) in the
La(n,
) reaction has been studied by measuring
-ray and neutron energies utilizing epithermal polarized neutrons and germanium detectors. The transverse asymmetry for single
-ray transition was measured to be 0.60
0.19 in the p-wave resonance.
岩元 洋介; 吉田 誠*; 松田 洋樹; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 八島 浩*; 薮内 敦*; 木野村 淳*; 嶋 達志*
JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.061003_1 - 061003_5, 2020/02
核破砕中性子源における高エネルギー放射線環境下のターゲット材料の寿命を予測するため、原子あたりのはじき出し数(DPA)を導出できるPHITS等の放射線挙動計算コードが使用されている。本研究では、タングステンのDPAの計算値を検証するため、ギフォード・マクマフォン冷凍機を用いた陽子照射装置に直径0.25mmのタングステン線を装着し、389MeVの陽子を照射して、はじき出し断面積に関係付けられる極低温(10K)下の照射欠陥に伴う電気抵抗率変化を測定した。これまで実施された1.1GeV及び1.9GeV陽子照射によるタングステンの電気抵抗率の測定結果と比較した結果、核反応により生成する二次粒子が陽子エネルギーの増加に伴い、照射結果に伴う電気抵抗率が増加することがわかった。
奥平 琢也; 清水 裕彦*; 北口 雅暁*; 広田 克也*; Haddock, C. C.*; 伊藤 維久也*; 山本 知樹*; 遠藤 駿典*; 石崎 貢平*; 佐藤 匠*; et al.
EPJ Web of Conferences, 219, p.09001_1 - 09001_6, 2019/12
原子核が熱外中性子を共鳴吸収する反応において、弱い相互作用起因のパリティ対称性の破れが核子間相互作用の最大10倍増幅される現象が観測されている。この反応では時間反転対称性の破れにも同様の増幅効果があることが理論的に予言されており、全く新しい手法で未知の時間反転対称性の破れを世界最高感度で探索できる可能性がある。しかし、その増幅率は全ての核種で未知であり、この手法がもつ可能性を具体的に議論できていなかった。本研究ではJ-PARC, MLF, BL04のGe検出器群を用いて、
La(n,
)反応の角度分布測定を行い、世界で初めて
Laで時間反転対称性の破れの増幅率を求めることに成功した。この結果を用いて、実験に必要な測定時間を見積もると、偏極率40%のLa核偏極技術、偏極率70%, 79atm・cmの
He Spin Filterを用意すれば、1.4日の測定で世界最高感度で時間反転対称性の破れ探索実験が可能であることが判明した。現在原子力機構では高性能な
He Spin Filterの開発を行なっており、本発表では
線の角度分布測定の結果、及び共用ビームラインに適用するための
He Spin Filterの開発の現状について発表する。
岩元 洋介; 吉田 誠*; 義家 敏正*; 佐藤 大樹; 八島 浩*; 松田 洋樹; 明午 伸一郎; 嶋 達志*
Journal of Nuclear Materials, 508, p.195 - 202, 2018/09
被引用回数:13 パーセンタイル:83.31(Materials Science, Multidisciplinary)加速器施設の材料損傷評価で使用される放射線輸送計算コードのはじき出し損傷モデルを検証するため、大阪大学核物理研究センターのサイクロトロン施設において、極低温下での200MeV陽子照射による、はじき出し断面積の導出に必要な金属試料の照射欠陥に伴う電気抵抗増加を測定した。照射装置は、GM冷凍機を用いて2つの照射試料を同時に熱伝導冷却する構造とし、熱伝導と電気的絶縁性に優れた2枚の窒化アルミ板により、照射試料となる直径250mのアルミニウム及び銅線を挟み込む構造とした。その結果、ビーム強度3nA以下において温度5K以下を保ちつつ、欠陥に伴う金属の電気抵抗率増加の測定に成功した。また、照射前後の電気抵抗率変化、陽子フルエンス及びフレンケル対あたりの抵抗率増加から導出したはじき出し断面積は欠陥生成率を考慮したPHITSの計算値に近いことがわかった。
岩元 洋介; 松田 洋樹; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 中本 建志*; 吉田 誠*; 石 禎浩*; 栗山 靖敏*; 上杉 智教*; 八島 浩*; et al.
Proceedings of 61st ICFA Advanced Beam Dynamics Workshop on High-Intensity and High-Brightness Hadron Beams (HB 2018) (Internet), p.116 - 121, 2018/07
放射線挙動計算コードPHITSにより放射線照射による材料損傷評価の基礎データを解析するため、入射粒子と核反応から生成する二次粒子によるターゲット1次はじき出し原子(PKA)のエネルギーを考慮した照射損傷モデルを開発した。このモデルを用いた解析により、100MeV以上の高エネルギー陽子による照射損傷において、二次粒子により生成したターゲットPKAの寄与が入射陽子によるPKAの寄与に比べて大きいことがわかった。また、高エネルギー陽子照射に対する照射損傷モデルを検証するため、サンプルを極低温まで冷却するギフォード-マクマフォン冷凍機を用いた陽子照射装置を開発した。本装置を用いて、125及び200MeV陽子を照射した銅とアルミニウムについて、はじき出し断面積に関連する極低温での欠陥に伴う電気抵抗率変化を測定した。実験値と計算値の比較の結果、欠陥生成効率を考慮したはじき出し損傷の計算値が実験値を良く再現することがわかった。
荒木 祥平*; 渡辺 幸信*; 北島 瑞希*; 定松 大樹*; 中野 敬太*; 金 政浩*; 岩元 洋介; 佐藤 大樹; 萩原 雅之*; 八島 浩*; et al.
EPJ Web of Conferences, 146, p.11027_1 - 11027_4, 2017/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.08近年、核融合マテリアルの損傷の研究、ホウ素中性子捕捉療法、医療用放射性核種生成等の中性子源として、重陽子入射反応の利用が考えられている。しかし、入射重陽子エネルギー60MeVを超える領域では、重陽子入射反応の理論モデルの検証に必要な実験値はほとんどない。そこで、本研究では、大阪大学核物理研究センター(RCNP)において、100MeVの重陽子入射によるリチウム、ベリリウム及び炭素の中性子生成二重微分断面積(DDX)の測定を行った。測定角度は、0から25
の間の6角度とし、飛行時間法により中性子エネルギーを導出した。中性子検出器に、大きさの異なる3台の液体有機シンチレータNE213(直径及び厚さが2インチ, 5インチ, 10インチ)を用い、中性子の飛行距離をそれぞれ7, 24, 74mとした。中性子検出効率は、SCINFUL-QMDコードの計算により導出した。実験結果から、中性子エネルギー強度分布は、重陽子入射エネルギーの半分のエネルギーにおいて、重陽子ブレークアップ過程に起因するなだらかなピーク構造を持つことがわかった。また、PHITSによる計算値は、理論モデルの不備から実験値をよく再現しないことがわかった。
岩元 洋介; 佐藤 達彦; 佐藤 大樹; 萩原 雅之*; 八島 浩*; 増田 明彦*; 松本 哲郎*; 岩瀬 広*; 嶋 達志*; 中村 尚司*
EPJ Web of Conferences, 153, p.08019_1 - 08019_3, 2017/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.03100-400MeVの準単色中性子照射場の開発のため、大阪大学核物理研究センター(RCNP)の100mトンネルにおいて、Li(p,n)反応から生成する中性子及び中性子場に混在する目的外放射線の
線のエネルギースペクトルを測定した。飛行時間法を用いて3MeV以上の中性子エネルギースペクトルを測定し、放射線線量モニターDARWINの自動アンフォールディング機能を用いて0.1MeV以上の
線エネルギースペクトルを測定した。中性子スペクトルについて、3MeV以上の中性子収量に対するピーク成分である単色中性子収量の比は0.38-0.48であった。また、入射陽子エネルギー200MeV以上において、
崩壊に伴う70MeV程度の高エネルギー
線を実測した。246MeV
Li(p,n)反応について、70MeV近傍における中性子収量と
線収量は同程度であった。一方、全エネルギー領域の中性子線量に対する
線線量の比は0.014と、
線の全体の線量に対する寄与は小さいことがわかった。
Theis, C.*; Carbonez, P.*; Feldbaumer, E.*; Forkel-Wirth, D.*; Jaegerhofer, L.*; Pangallo, M.*; Perrin, D.*; Urscheler, C.*; Roesler, S.*; Vincke, H.*; et al.
EPJ Web of Conferences, 153, p.08018_1 - 08018_5, 2017/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.03欧州原子核研究機構(CERN)の放射線モニタとして、中性子、陽子、線等の様々な放射線に対して有感な空気入り電離箱PTW-34031(PMI)が使用されている。PMIの各放射線に対する応答関数の計算では、CERNが開発を支援している放射線輸送計算コードFLUKAが用いられている。本研究では、このうち高エネルギー中性子に対するPMIの応答関数の精度検証のため、大阪大学核物理研究センター(RCNP)の
Li(p,n)反応を利用した準単色中性子照射場において、100-392MeVの準単色中性子に対するPMIの応答関数を測定した。その結果、200MeV以下の準単色中性子照射において、中性子エネルギースペクトルの測定値を線源としたFLUKAによる応答関数の計算値と実験値はよく一致しすることがわかった。一方、250及び392MeVの場合、中性子場に
Li(p,n)反応から生成する
の崩壊に伴う
線が混在するため、中性子のみを線源とした計算値は実験値を過小評価することがわかった。
松本 哲郎*; 増田 明彦*; 西山 潤*; 岩瀬 広*; 岩元 洋介; 佐藤 大樹; 萩原 雅之*; 八島 浩*; 八島 浩*; 嶋 達志*; et al.
EPJ Web of Conferences, 153, p.08016_1 - 08016_3, 2017/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.03200MeV以上の準単色中性子に対するコンクリート及び鉄遮蔽体透過後の中性子エネルギースペクトルをボナー球スペクトルメータ(BSS)を用いて測定した。246及び389MeVの陽子-Li反応を用いて準単色中性子を生成し、コンクリート及び鉄遮蔽体の厚さを、それぞれ25-300cm及び10-100cmとした。100-387MeVのエネルギーを持つ準単色中性子を用いて実測したBSSの応答関数とアンフォールディングコードMAXEDを用いて、遮蔽体透過後の中性子エネルギースペクトルを導出した。その際、放射線輸送計算コードMCNPXを用いてBSSと遮蔽体の間の中性子多重散乱の効果を評価し、中性子エネルギースペクトルの補正を行った。その結果、エネルギースペクトルの実験値からコンクリート及び鉄遮蔽体の厚さに対する線量当量の変化を得ることができた。また、244MeVの中性子をコンクリートへ入射した場合、50cm以下の厚さにおいて線量当量に対する中性子多重散乱の影響が大きいことがわかった。
Mares, V.*; Trinkl, S.*; 岩元 洋介; 増田 明彦*; 松本 哲郎*; 萩原 雅之*; 佐藤 大樹; 八島 浩*; 嶋 達志*; 中村 尚司*
EPJ Web of Conferences, 153, p.08020_1 - 08020_3, 2017/09
被引用回数:5 パーセンタイル:94.45大阪大学RCNPの準単色中性子場において、広いエネルギー範囲に対応したHe比例計数管付属の改良型ボナー球スペクトロメータ(ERBSS)の応答特性を検証した。実験では、100及び300MeVの陽子ビームによる
Li(p,n)
Be反応で生成される96及び293MeVの準単色中性子のうち、0度と25度方向に生成する中性子を100m飛行時間(TOF)トンネルへ導き、ターゲットから35mの位置で中性子測定を行った。ERBSSによる波高データからアンフォールディングコードMSANDBを用いて、熱領域から数百MeVのエネルギースペクトルを導出した。また、同じ場所における液体有機シンチレータとTOF法を用いた測定により、3MeV以上の中性子エネルギースペクトルを導出した。その結果、ERBSSによる結果は、中性子エネルギー5MeV以上において、TOFによる中性子エネルギースペクトルとよく一致し、両手法で得られたエネルギースペクトルに基づく周辺線量当量H
(10)の値はよく一致した。
増田 明彦*; 松本 哲郎*; 岩元 洋介; 萩原 雅之*; 佐藤 大樹; 佐藤 達彦; 岩瀬 広*; 八島 浩*; 中根 佳弘; 西山 潤*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 849, p.94 - 101, 2017/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Instruments & Instrumentation)大阪大学核物理研究センターRCNPの陽子-リチウム核反応を用いた高エネルギー準単色中性子場は、放射線測定器の特性試験や校正などに利用されている。この中性子場のエネルギースペクトルは、0度方向に放出される中性子によるピーク部とそれ以外の角度に放出される連続部からなる。このうち、各試験で対象とするエネルギーはピーク部であるが、われわれは、これまでに0度と他角度方向に設置した検出器応答から、連続部の寄与を差し引く二角度差分法を開発してきた。本研究では、高密度ポリエチレン(HDPE)減速材付属のボナー球検出器に対する本手法の適用性を、96-387MeVの準単色中性子を用いて調査した。その結果、様々な大きさのHDPEに対して本手法は適応可能であることを検証できた。一方で、小型のHDPEは、中性子場のコリメータ,壁等による低エネルギー散乱中性子に感度を有するため、二角度差分法の他に、検出器の設置角度毎に低エネルギー散乱中性子に対する検出器応答の補正が必要である等、本中性子場を利用するユーザーに対する有益な指針を示すことができた。
荒木 祥平*; 渡辺 幸信*; 北島 瑞希*; 定松 大樹*; 中野 敬太*; 金 政浩*; 岩元 洋介; 佐藤 大樹; 萩原 雅之*; 八島 浩*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 842, p.62 - 70, 2017/01
被引用回数:11 パーセンタイル:76.97(Instruments & Instrumentation)近年、核融合材料の損傷の研究、ホウ素中性子捕捉療法、医療用放射性核種生成等の中性子源として、重陽子入射反応の利用が考えられている。しかし、入射重陽子エネルギー60MeVを超える領域では、重陽子入射反応の理論モデルの検証に必要な実験値はほとんどない。そこで本研究では、大阪大学核物理研究センター(RCNP)において、102MeVの重陽子入射によるリチウム,ベリリウム,炭素,アルミニウム,銅及びニオブの中性子生成二重微分断面積(DDX)の測定を行った。測定角度は、ビーム軸に対して0から25
の間の6角度とした。全ての実験値を評価済み核データファイルTENDL-2015の値及びPHITSコードによる計算値と比較した結果、TENDL-2015の値は全てのケースにおいて実験値を約1桁程過小評価するが、PHITSは重陽子ブレークアップ過程に起因する中性子生成断面積のピーク構造を除いて、実験値をよく再現することがわかった。