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吉井 賢資; Jarrige, I.; 鈴木 知史; 松村 大樹; 西畑 保雄; 米田 安宏; 福田 竜生; 田村 和久; 伊藤 嘉昭*; 向山 毅*; et al.
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 73(9), p.1106 - 1110, 2012/09
被引用回数:11 パーセンタイル:44.07(Chemistry, Multidisciplinary)強誘電体BaTiOのBa 5d軌道の電子状態を放射光共鳴発光により調べ、誘電性を持たないBaSOと比較した。Ba-L吸収端近傍において共鳴発光スペクトルを測定したところ、両方の化合物ともBa 5d電子は局在していることがわかった。一方、共鳴発光を利用した部分蛍光法吸収スペクトルを測定したところ、BaTiOのほうがBaSOよりもエネルギー幅の広いピークが観測された。すなわち、BaTiOのBa 5d軌道は、O 2p軌道と混成していることがわかった。これは、BaTiOの強誘電性はTi-Oの混成により発現するとされてきた従来の見解と異なり、Baイオンも強誘電相転移に何らかの役割を果たすことを示唆する。
吉井 賢資; Jarrige, I.; 松村 大樹; 西畑 保雄; 鈴木 知史; 伊藤 嘉昭*; 向山 毅*; 栃尾 達紀*; 篠塚 寛志*; 福島 整*
Japanese Journal of Applied Physics, 50(9), p.09NE03_1 - 09NE03_4, 2011/09
被引用回数:2 パーセンタイル:9.73(Physics, Applied)強誘電体BaTiOのBa-L吸収端における共鳴非弾性X線散乱測定をSPring-8ビームラインBL15XUで行った。まず、非弾性散乱X線の一つBa-L線に分光器のエネルギーを合わせ、誘電性を示さないBaSOを対照物質としてBa-5d吸収スペクトルを測定したところ、BaTiOのスペクトルは幅が太いことがわかった。分子軌道計算を行ったところ、Ba-5d軌道とO-3p軌道が共有結合的な性質を有し、エネルギーバンドを作っていることがわかった。BaTiOの強誘電性はTi-Oの共有結合性による原子変位がその起源とされているが、この実験事実はBa-Oの共有結合も重要であることを示唆する。また、Ba-L非弾性X線スペクトルを吸収端近傍で測定したところ、Ba-5d軌道は上述の通り酸素とバンドを作っているものの、局在的であることを示すデータが得られた。この測定により、非占有状態の局在性の指標に関する情報が得られること、また、考えられる幾つかの応用についても議論する。
吉井 賢資; Jarrige, I.; 松村 大樹; 西畑 保雄; 鈴木 知史; 伊藤 嘉昭*; 向山 毅*; 杤尾 達紀*; 篠塚 寛志*; 福島 整*
no journal, ,
強誘電体BaTiOのBaイオンの電子状態を共鳴X線発光とそれを利用した部分蛍光法X線吸収分光法により調べ、結果を強誘電体ではないBaSOと比較した。共鳴X線発光スペクトルでは、両者ともBa 5d軌道は局在しているという結果が得られた。一方、部分蛍光法X線吸収スペクトルには、BaTiOのみ、Ba 5dとO 2pとの混成が観測された。すなわち、この物質ではTi-Oの混成が強誘電性に重要とされてきたが、Ba-Oの混成も何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。