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高田 健太*; 佐藤 達彦; 熊田 博明*; 纐纈 純一*; 武居 秀行*; 櫻井 英幸*; 榮 武二*
Journal of Radiation Research, 59(1), p.91 - 99, 2018/01
被引用回数:32 パーセンタイル:87.69(Biology)陽子線や炭素線治療などの治療計画では、物理線量のみならず生物学的効果比(RBE)を考慮したRBE加重線量を評価する必要がある。本研究では、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSとマイクロドジメトリ運動学モデル(MKM)を組み合わせたRBE加重線量計算手法の精度検証を陽子線治療に対して実施した。その目的のため、筑波大学陽子線治療センターのビームラインを詳細に模擬した幾何形状をPHITS内で構築し、155MeV陽子の単色ビームと拡大ブラッグピーク(SOBP)ビームに対する物理線量及びRBE加重線量を計算した。計算値と過去における測定値を比較した結果、物理線量及びRBE加重線量に対して最大でそれぞれ3.2%及び15%程度の過大評価が見られるものの、両者は概ねよく一致することが分かった。この成果により、PHITSとMKMを組み合わせたRBE加重線量計算手法が陽子線治療に対しても十分な精度を有することが実証され、様々な放射線治療法の治療計画において本手法が有用となることが示された。
篠原 正憲; 茂木 利広; 齋藤 賢司; 芳賀 広行; 佐々木 新治; 勝山 幸三; 高田 清志*; 東村 圭祐*; 藤井 淳一*; 鵜飼 隆由*; et al.
JAEA-Technology 2012-032, 29 Pages, 2012/11
2010年3月の原子炉停止中に、広領域中性子検出器(WRM)が開発時の動作実績期間より短い使用時間で動作不能となる事象が発生した。本事象の原因調査を行い、WRMの寿命を向上させることは高温ガス炉の基盤技術開発において重要である。そこで、動作不能箇所の特定及び破損原因を調査するため、製作メーカにてWRM模擬試験体を製作し、組立に起因する強度低下及び熱サイクルによる強度低下試験並びに照射燃料集合体試験施設(FMF)にてWRMの破壊試験を実施した。本報告書は、WRMの動作不能の原因調査及び破壊試験結果をまとめたものである。
加治 芳行; 近藤 啓悦; 青柳 吉輝; 加藤 佳明; 田口 剛俊; 高田 文樹; 中野 純一; 宇賀地 弘和; 塚田 隆; 高倉 賢一*; et al.
Proceedings of 15th International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems - Water Reactors (CD-ROM), p.1203 - 1216, 2011/08
引張特性と照射誘起応力腐食割れ進展挙動に及ぼす中性子照射速度の影響について検討するために、304ステンレス鋼を用いたき裂進展(CGR)試験,引張試験,微細組織観察を実施した。試験片は、JMTRにおいて沸騰水型原子炉模擬高温水中で2つの照射速度で約1dpaまで照射した。照射硬化は照射速度に伴い増加するが、CGRに及ぼす影響は小さい。降伏応力の増加はフランクループの数密度の増加に起因する。粒界における照射誘起片析挙動に及ぼす照射速度の効果は小さい。さらに、結晶塑性シミュレーションにおけるき裂先端近傍の局所塑性変形挙動に及ぼす照射速度効果も小さいことがわかった。
渡邊 浩二; 田代 信介; 阿部 仁; 高田 準一; 森田 泰治
JAERI-Tech 2004-029, 48 Pages, 2004/03
再処理施設等の核燃料施設の一部の建屋換気系には、換気系フィルタの一種として前置フィルタが用いられている。火災事故時には、この前置フィルタが大量の煤煙によって目詰まりし、差圧が上昇して破損することが考えられる。したがって、放射性物質の閉じ込め機能を維持する観点から、前置フィルタの差圧の時間変化を精度よく予測することは重要である。本研究では、粒径2m以上の煤煙粒子に対する前置フィルタのDFにも粒径範囲0.7-2mの煤煙粒子に対する実測DFから作成した粒径-前置フィルタのDFに関する実験式が適用できると仮定した。この仮定を用いたCELVA-1Dによる解析結果は、試験結果とよく一致した。
高田 友幸; 三好 慶典; 片倉 純一
JAERI-Tech 2003-036, 80 Pages, 2003/03
臨界安全性評価コードシステムJACSのうち、多群定数ライブラリーMGCLと3次元モンテカルロ計算コードKENO-IVの組み合わせによる臨界計算の精度評価を行うために、ベンチマーク計算が1980年から1982年に実施された。その中で非均質体系において計算された中性子実効増倍率が0.95を下回るケースがいくつか見られた。本報告書ではJAERI-M 9859に示されている中性子毒を含むU+Pu硝酸水溶液体系のうちの非均質体系について、その原因を検討し、再計算を実施した。検討の結果、JAERI-M 9859に示されている0.95を下回る実効増倍率は、KENO-IVの計算モデルにおいて円筒容器の下部に水反射体が設定されていないことに起因することが判明した。これを考慮すると0.95を下回ることはなく、実験値1.0に近いものとなる。
高田 準一; 林 嗣郎*; 渡邊 浩二; 瀧田 孝治*; 塚本 導雄; 田代 信介; 阿部 仁*; 内山 軍蔵*
JAERI-Tech 2002-102, 87 Pages, 2003/01
再処理施設の一部の建屋換気設備では、HEPAフィルタの直前に前置フィルタが設置されており、HEPAフィルタの保護と目詰まりを緩和する役割を担っている。しかし、火災事故が発生した場合、大量の煤煙が発生し、前置フィルタが煤煙の負荷により目詰まりし、差圧の上昇によって破損することが考えられる。そこで、原研では火災時の換気系フィルタの健全性が確保されることを調べる実証試験を実施した。試験では、模擬可燃性固体廃棄物(ゴム手袋,綿手袋,ゴム手袋/綿手袋混合物)や模擬回収溶媒(n-ドデカン,TBP/n-ドデカン混合物)を燃焼させ、煤煙の発生挙動や換気系ネットワーク(セル,ダクト,ダンパー,フィルタ)内による煤煙の減衰効果、及び煤煙の負荷による換気系フィルタの目詰まり特性などを把握する試験データを取得した。その結果、前置フィルタが破損した場合でも換気系全体の健全性が確保されることがわかった。また、安全性解析コード(CELVA-1D)によるフィルタの差圧上昇解析に適用させるため、前置フィルタの差圧上昇を単位フィルタ面積あたりの煤煙負荷量を関数とした二次の実験式で表し、前置フィルタの目詰まり係数(,)を求めた。
石井 敏満; 米川 実; 近江 正男; 高田 文樹; 齋藤 順市; 井岡 郁夫; 三輪 幸夫
KAERI/GP-192/2002, p.157 - 166, 2002/00
原子炉構造材料の疲労特性に及ぼす中性子照射の影響を調べるために、JMTRホットラボでは、非接触で歪測定が可能なレーザー伸び計を採用した遠隔操作型高温疲労試験装置を開発した。疲労試験では、分解能0.1mm,測定精度0.5%のレーザー伸び計を用いて、小型疲労試験片の平行部の両端部に加工したツバの間隔の変化を測定した。この疲労試験装置を用いて、JMTRにおいて照射温度823Kで110n/m(E1MeV)まで中性子照射した304型ステンレス鋼製試験片を対象に、823Kの真空中で、ひずみ量0.7,1.0,1.4%の軸歪制御による低サイクル疲労試験を行い、中性子照射によるステンレス鋼の疲労寿命低下の定量的データを提供することができた。
阿部 仁; 渡邊 浩二*; 田代 信介; 高田 準一; 内山 軍蔵
JAERI-Research 2001-052, 18 Pages, 2001/11
核燃料施設での火災事故事象を定量的に解析するためには、煤煙粒径分布や煤煙及びエネルギー放出速度等の放出ソースタームデータの整備が不可欠である。固体廃棄物や回収溶媒を模擬した模擬可燃性廃棄物を用いた燃焼試験を実施し、これら放出ソースタームの評価方法を検討した。模擬可燃性廃棄物としてゴム手袋と綿手袋が混在した場合、粒径が1m以上の比較的大きな煤煙が綿手袋の炭化した残留物中に閉じ込められ、ゴム手袋のみの場合と比べて煤煙の放出率が低くなった。ゴム手袋の燃焼に伴う試験結果をもとに安全性解析コードCELVA-1Dを用いて上記ソースタームを評価した。CELVA-1D評価結果は事故解析ハンドブック(NUREG-1320)中で推奨されている計算パラメータを用いた計算結果とほぼ一致し、本試験でのCELVA-1Dを用いた放出ソースターム評価手法の妥当性が確認できた。
塚本 導雄; 高田 準一; 小池 忠雄; 渡邊 浩二*; 宮田 定次郎*; 西尾 軍治*; 村田 幹生*; 内山 軍蔵
JAERI-Tech 2001-031, 47 Pages, 2001/03
再処理溶媒(溶媒)と硝酸との異常化学反応に起因した爆発は、再処理施設のDBAに選定されている。そこで、原研では爆発がプルトニウム濃縮缶で起きた場合を想定し、セル換気系の安全性とHEPAフィルタの健全性が確保できることを実証するため、溶媒と硝酸とを反応容器に貯え、密封し、種々の加熱条件下で生成した硝化溶媒(TBP錯体等)を急激に熱分解させて、爆発を誘起させるニトロ化溶媒爆発試験を実施した。試験の結果、以下に述べる知見を得た。硝化溶媒の熱分解により溶媒1kgが噴出して爆発を起こした場合、実験的方法により導出した最大質量放出速度と最大エネルギー速度は、0.59[kg/s]と3240.3[kJ/kg・s]である。この爆発による波及がセル換気系に与える影響は小さく、HEPAフィルムの健全性が確保できることを実証した。
塚本 導雄; 高田 準一; 小池 忠雄; 渡邊 浩二*; 宮田 定次郎*; 西尾 軍治*; 村田 幹生
JAERI-Tech 2000-036, p.43 - 0, 2000/03
再処理施設のセル換気系内において再処理溶媒(有機溶媒)と硝酸の異常化学反応に起因した爆発が起きた場合について、爆発規模とエアロゾル発生量の関係、及びセル換気系による放射性物質の閉じ込め効果を把握する試験を実施した。試験ではセル換気系実証試験装置のセル内に設置した反応容器に、純粋な溶媒並びに線照射により劣化した溶媒とCeを混合した硝酸とを充填・密封し、183まで加熱して爆発とエアロゾル発生を誘起させた。爆発により発生したCeエアロゾルは採取し、浮遊率や粒径分布を時間毎に測定した。さらに、質量濃度を実測してエアロゾルの沈降や沈着等による除去効果を調べた。その結果、噴出した溶媒ミストが急激燃焼を起こした場合、セル内に飛散するCeエアロゾルの初期(t=0)濃度は、3~600[mg/m]になることが判明した。しかしながら、爆発による温度上昇や圧力波の伝播は、セルやダクトで構成される換気系で十分に減衰するので、HEPAフィルタの健全性は確保され、セル換気系による放射性物質の閉じ込め効果は十分達成されることが確認できた。
宮田 定次郎*; 高田 準一; 井田 正明*; 中吉 直隆*; 小池 忠雄; 塚本 導雄; 渡邊 浩二*; 西尾 軍治*
JAERI-Tech 2000-035, p.64 - 0, 2000/03
硝酸によるピューレックス溶媒(TBP,n-ドデカン)の熱分解の反応特性及び反応機構を明らかにするため、示差走査熱量計(DSC)、加速速度熱量計(ARC)等の熱分析装置並びにガスクロマトグラフ(GS)及びガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)等の分析装置による各種検討を行った。その結果、ステンレス製の密封セルを用いた硝酸配位の30%TBP/70%ドデカン混合溶媒のDSC測定では、約170と約320に極大となる発熱ピークが得られ、前者は硝酸と溶媒及びTBPの脱アルキル化により生成した硝酸ブチルとの反応におもに起因し、後者は硝酸とドデカンとの反応により生成したニトロドデカン自身の熱分解に起因することなどを明らかにするとともに、ARCによる検討では、硝酸とTBPとの反応及び硝酸n-ブチル自身の熱分解の活性化エネルギーがそれぞれ123.2及び152.5kJ/molであることなどを明らかにした。また、得られた結果に基づき、本反応の反応機構を推論した。
藤根 幸雄; 村田 幹生; 阿部 仁; 高田 準一; 塚本 導雄; 宮田 定次郎*; 井田 正明*; 渡辺 眞樹男; 内山 軍蔵; 朝倉 俊英; et al.
JAERI-Research 99-056, p.278 - 0, 1999/09
東海再処理施設アスファルト固化処理施設における火災爆発事故について、原研の調査検討会が行った原因究明にかかわる試験及び環境影響評価の結果を報告する。原因究明にかかわる試験においては、実廃液サンプルの化学分析、アスファルト塩混合物の熱分析、暴走的発熱反応試験、発煙時の可燃性ガス分析などを行った。環境影響評価では、環境モニタリングデータと大気拡散シミュレーションコードSPEEDIによる解析結果より、環境へ放出されたCs量を推定した。また、一般住民の被ばく線量評価を行った
阿部 仁; 高田 準一; 塚本 導雄; 渡邊 浩二*; 村田 幹生
Journal of Nuclear Science and Technology, 36(7), p.619 - 625, 1999/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)1997年3月11日に、動力炉核燃料開発事業団(PNC)のアスファルト固化処理施設において火災・爆発事故が発生した。アスファルト/塩固化体の燃焼に伴う煤煙発生機構及び換気系フィルタの目詰まり現象を検討するため、小規模模擬燃焼試験を実施した。PNCにおける実廃液組成を参考に模擬固化体を作成して燃焼させた。その際の燃焼挙動を観察するとともに燃焼質量とフィルタの差圧上昇の間の関係を測定し両者の関係を表す実験式を導いた。さらに固化体から放出される質量、エネルギー及び煤煙の放出速度を試験データと一次元熱流動解析コードCELVA-1Dを用いた解析結果を用いることで求めた。模擬固化体の燃焼に伴って発生した煤煙の火災発生セルから換気系へ移行率は約2.5%、また実固化体中に含有されている放射性物質を模擬するために模擬固化体に添加したCsの移行率は約9.6%であった。
宮田 定次郎; 高田 準一; 中吉 直隆*; 小池 忠雄; 塚本 導雄; 渡邊 浩二*; 西尾 軍治*
JAERI-Tech 99-040, 194 Pages, 1999/05
耐圧ガラス製反応装置(内容積約1000ml)を用いて、4種類の溶媒系(100%TBP,100%TBP/U,30%TBP/70%n-ドデカン及び30%TBP/70%n-ドデカン/U)を温度129~192C,反応時間90~270分の条件の下で硝酸と反応させる方法によりレッドオイル(Red Oil)を合成し、その成分及び合成時に発生したガス成分をガスクロマトグラフ(GC)及びガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)により同定・定量した。レッドオイルは150種類以上の成分からなりその中の94成分の化学形を確定または推定した。レッドオイルの主要な成分はn-ドデカンとTBPのモノ及びジニトロ化物、ドデカノン、硝酸n-ブチル、DBP及びMBPである。合成時に発生した気体成分(vol%)はNO(23~50)が最も多く、以下CO(17~34)、NO(5.5~15)、N(4.3~12)、CO(4~12)、NO(1.5~8)、炭化水素(0.7~1.2)の順に減少し、OとHはほとんど検出されなかった。蒸発成分の水冷却凝縮液の大部分は硝酸n-ブチルであり、n-ブタノールは非常に少ない。
宮田 定次郎; 高田 準一; 井田 正明*; 中吉 直隆*; 塚本 導雄; 小池 忠雄; 渡邊 浩二*; 西尾 軍治*
JAERI-Tech 99-039, 70 Pages, 1999/05
溶媒及び劣化溶媒と硝酸との反応の反応特性及び発熱特性に関する情報収集を目的として、純粋な溶媒並びに熱化学的及び放射化学的に劣化させた溶媒を用いて、密封セル示差走査熱量計(SC-DSC)及び加速速度熱量計(ARC)による熱分析試験、並びに密閉容器(内容量3.0 )による熱分解試験を実施し、以下に述べる結果を得た。硝酸飽和溶媒、100%TBP溶媒(100%TBP/~2.7M HNO)及びドデカン含有溶媒(30%TBP/70%n-ドデカン/~0.8M HNO)は、約170Cと約210Cに極大を有する発熱ピークを与え、前者のピークは溶媒と硝酸との反応に起因し、その活性化エネルギーと頻度因子は124kJ/mol及び8.410secである。硝酸水溶液共存下での、密閉系における硝酸による溶媒の急激熱分解の開始温度は、開放系の場合とほぼ等しく140C以上である。過濃縮したCe(NO)含有硝酸配位溶媒は約180C以上で急激に熱分解する。ドデカノン、n-ブタノール、硝酸n-ブチル等の溶媒劣化物は約80C以下で硝酸と発熱的に反応する。
村田 幹生; 高田 準一; 塚本 導雄
KURRI-KR-30, p.5 - 11, 1998/00
昨年3月に動燃(現・核燃料サイクル開発機構)のアスファルト固化処理施設において固化体の火災・爆発事故が発生し、排気系フィルタに大きな影響を与えた。再処理施設のアスファルト火災挙動を解明するためには、基盤となるセル内におけるアスファルトの火災状況や煤煙の挙動及び放射性物質の閉じ込め効果を十分に把握しておくことが重要である。そのため、模擬アスファルト廃液塩混合物(BWP)を製作し、BWPの熱的性質を調べるとともに、再処理施設のセル換気系の1/4モデルセルの中で燃焼させることにより、燃焼率、煤煙発生率、Csエアロゾル放射率、エアロゾル粒度分布、放出ガス成分、HEPAフィルタの目詰り係数を評価した。
西尾 軍治*; 高田 準一
エアロゾル研究, 12(1), p.50 - 56, 1997/00
この論文は、特別基礎研究において実施した線の照射効果によるエアロゾルの除去に関する実験について記載したものである。線照射により生成した正と負のどちらかのイオンをエアロゾルに作用させれば、単極に帯電したエアロゾルが発生する。この帯電エアロゾルは、逆の極性をもつ電極上に沈着し、またHEPAフィルタ上に高い効率で捕集される。負に帯電したエアロゾルの電極上のDF値は、0.4m以上のエアロゾルに対して10を越えた。また、通常のHEPAフィルタの固有のDF値に比較して、HEPAフィルタに対する帯電エアロゾルのDF値は1000倍ほど向上した。
高田 準一; 鈴木 元衛; 塚本 導雄; 小池 忠雄; 西尾 軍治*
JAERI-Tech 96-054, 237 Pages, 1996/12
原研では、再処理施設の安全性研究の一環として、溶媒/硝酸の急激な熱分解反応に起因した爆発的燃焼が再処理施設のセル内で起こった場合の安全性実証試験をセル、ダクト、ダンパー、HEPAフィルタ及び排風機からなる大型装置を使用して実施した。実証試験では、セル換気系内の圧力上昇の影響を調べるため、加圧したタンクから装置のセル内に空気を吹き込み、装置内を通過する圧力応答を測定した。その結果、有効な圧力減衰が装置内のセルやダクトの配置により与えられた。また、実証試験ではHEPAフィルタや排風機の健全性を調べるために、空気の吹き込みによりHEPAフィルタや排風機の過渡応答を調べた。その結果、HEPAフィルタと排風機の健全性は圧力負荷において十分であった。この報告書に記載された内容は、再処理施設で爆発的燃焼が起こった場合のセル換気系の安全評価に資することができる。
西尾 軍治; 高田 準一; 成冨 満夫*; 村田 幹生; 阿部 仁; 渡邊 浩二*
JAERI-Research 95-064, 45 Pages, 1995/09
本報告書は、「放射線によるエアロゾルの電離効果に関する研究」として特別基礎研究に応募し実施した研究の成果である。実験では、線が照射された金網電極と遮蔽した金網電極をもつ容器(TRAPOL)にエアロゾルを導入し、単極に帯電したエアロゾルを製造した。この単極化した帯電エアロゾルは、帯電粒子の静電気力により物体の表面に沈着し易い性質をもっており、HEPAフィルタに流すと通常のフィルタに比較して約1000倍ほど捕集効率が向上する。放射線を利用した本エアロゾル除去法は、大量のエアロゾルを高い効率で処理できるので、広い範囲の波及効果が期待できる。この報告書では、帯電エアロゾルの除去法の原理、実験の内容と結果、理論的背景と計算結果についてまとめた。
西尾 軍治; 小池 忠雄; 宮田 定次郎; 高田 準一; 渡辺 浩二*
JAERI-Tech 95-029, 59 Pages, 1995/03
ロシアの再処理施設トムスクにおいて、溶媒と硝酸の発熱反応に起因した急激な熱分解反応により硝酸ウランを含む貯槽が加圧して爆発事象が発生した。この事故は、貯槽の排気管に設置された弁が開放であるにも関わらず、硝酸水溶液の沸点以下で大量の熱が発生した特異な反応挙動を持っている。従って、貯槽内で硝酸による溶媒の劣化に起因した不安定な熱分解性物質の蓄積が推測された。そこで、劣化溶媒の化学分析を実施し、熱分解性物質の化学形を同定した。また、推定した熱分解性物質の反応熱を示差熱分析計(DTA)と示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。