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米田 安宏; 永田 肇*; 竹中 正*
Journal of the Korean Physical Society, 66(9), p.1339 - 1343, 2015/05
被引用回数:5 パーセンタイル:39.36(Physics, Multidisciplinary)BiNaTiO (BNT)は非鉛圧電体として極めて有望視されている強誘電体材料である。BNTは、室温で菱面体の対称性を有するとされている。最近になって、BNTの平均構造は単斜晶であるという報告があった。そこで、2体相関分布関数法(PDF)を使ってBNTの局所構造解析を行った。BNTの基底状態は、ペロブスカイト構造においてビスマス原子とナトリウム原子が-サイトを交互に占めた菱面体構造であると示すことができた。
米田 安宏; 小原 真司*; 永田 肇*; Fu, D.*; 竹中 正*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 39(4), p.455 - 458, 2014/12
Nb系ペロブスカイト酸化物は豊田中央研究所で開発されたLF4に代表されるように非常に大きな自発分極を有する強誘電体材料の有力なエンドメンバーである。しかしながら、LF4のような特性を示す材料の発見がごく最近であるため、その特性発現機構は未だ明らかにはされていない。また、Nb系ペロブスカイト酸化物はAサイトにアルカリ金属を有するために合成が困難で、良質のサンプルを得ることが困難であった。近年、合成法の改善により各種のNb系ペロブスカイト酸化物の高品位サンプルが入手できるようになった。そこで、これらのNb系ペロブスカイト酸化物の中から、NaNbO, KNbO、およびAgNbOの3種類のNb系ペロブスカイト化合物を選択し、2体相関分布関数法(pair-distribution function: PDF)を用いた局所構造解析を行うこととした。これらの局所構造は、平均構造で概ね再現できる。しかし、Nbが占めるサイト周辺の相関が非常に強固であり、サイトを占めるアルカリ金属のイオンサイズに応じて相関長が変化することがわかった。
米田 安宏; 青柳 倫太郎*; Fu, D.*; 竹中 正*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 39(3), p.247 - 250, 2014/09
BiNaTiOとNaNbOは共にO型のペロブスカイト強誘電体である。これらの物質は比較的高い圧電特性を有していることから、比鉛圧電素子への応用が期待されている。圧電素子として利用する場合、圧電振動中に自身の発する熱によって相変態することを防ぐために、広い温度領域で強誘電相を安定化させる必要がある。これらの物質にはアルカリ金属であるナトリウムが含まれているがナトリウムをリチウムで置換すると強誘電相が広い温度領域で安定化することがわかった。そこで、この安定化機構の解明のため平均構造のみでなく、局所構造も調べた結果、ナトリウムをリチウムに置換した際だけに観測される局所構造を見出した。
米田 安宏; 晝間 裕二*; 永田 肇*; 竹中 正*
Japanese Journal of Applied Physics, 49(9), p.09ME09_1 - 09ME09_4, 2010/10
被引用回数:12 パーセンタイル:45.18(Physics, Applied)(BiNa)TiO(BNT)はrhombohedral-tetragonal相転移温度以下において脱分極温度(T=200C)が存在する。脱分極がtetragonal相において起こるため、平均構造はtetragonal構造のままである。一方、局所構造も脱分極温度においてはほとんど変化していないことから、ドメイン構造の変化だけが起こっていると考えられる。脱分極温度の低さが応用上のネックにもなりうるため、Tを上昇させる試みがなされている。しかし、実際にはTを上昇させることは非常に困難である。数少ない成功例の一つがAサイトのLi置換である。BNTのLi置換効果のミクロスコピックな機構を明らかにするためにLi置換BNTの構造解析を行った。BNTをLiで置換することによってAサイトイオン周辺の局所構造が変化することがわかった。Li置換によってAサイトのランダムネスが消失し、オーダーした構造が出現する。このオーダーした構造によってrhombohedral構造が安定化し脱分極温度を押し上げる要因になったと考えられる。
若井 栄一; 江澤 正思*; 武中 剛志*; 今村 淳子*; 田辺 哲朗*; 大嶋 隆一郎*
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.478 - 482, 2007/08
被引用回数:7 パーセンタイル:46.54(Materials Science, Multidisciplinary)ガス原子が生成する照射環境下で使用される合金に関して、合金中の溶質原子が組織発達に及ぼす役割等を検討した。本研究ではモデル合金であるNi合金などを用いて、ヘリウムと重水素がスエリング及びブリスター形成に及ぼす溶質原子の体積因子の効果について調べた。ヘリウムは25keVのエネルギーで810ions/mまで、重水素は20keVのエネルギーで410ions/mまで、室温及び500Cにて試料に注入した。本研究に用いた溶質原子の体積因子の大きさは-5.8%から+63.6%までである。これらのガス原子を注入した後、SEM, STEM, TEMによって、表面形態や内部組織を観察した。照射によって形成したキャビティの数密度は溶質原子の体積因子の増加に伴って増加することがわかった。約410ions/mまでHeイオンを注入した試料ではブリスターの形成が観察されたのに対して、重水素ではこの注入量の範囲においても、ブリスターの形成が観察されなかった。また、溶質原子の体積サイズの大きさに伴って、ブリスターの面積密度が増加するのに対して、ブリスターの大きさは逆に小さくなることがわかった。一方、ブリスター形成の機構に関しては、組織の解析の結果から、500C照射ではブリスター形成の原動力はキャビティ内のガス圧によるものであり、室温照射では照射によって内部に生じた応力及びキャビティ内のガス圧の両方がその形成に関与していることが判明した。
川合 將義*; 古坂 道弘; Li, J.-F.*; 川崎 亮*; 山村 力*; Mehmood, M.*; 栗下 裕明*; 菊地 賢司; 竹中 信幸*; 鬼柳 善明*; et al.
Proceedings of ICANS-XVI, Volume 3, p.1087 - 1096, 2003/07
中性子源として最高性能を誇るタングステン固体ターゲットを実用化するため、薄板状のタンタル被覆タングステンターゲットを製作した。ポイントは熱応力を下げるため、数mmの薄板にし、かつ温度監視のために熱電対孔を設けつつ、HIPによる拡散接合で製作したことである。HIP条件は既に明らかにした条件で行い、超音波顕微鏡観察の結果、接合は完璧であった。もう一つの方法として、複雑形状に対応でき、かつタンタル厚さを薄くできる電気メッキ法も確立した。
川合 將義*; 古坂 道弘*; 菊地 賢司; 栗下 裕明*; 渡辺 龍三*; Li, J.*; 杉本 克久*; 山村 力*; 平岡 裕*; 阿部 勝憲*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 318, p.35 - 55, 2003/05
将来の核破砕施設で使用可能な、MW級の中性子源固体タングステンターゲットの開発を行った。Wを腐食から守るため、3つのコーテング技術を研究した。HIP,ろう付け,メッキである。HIP法は前報で最適化した条件が接合力の観点からも言えるかどうかを微小押し込み試験法で調べた。その結果、接合部からの亀裂発生荷重が最も高いことが証明され、確かに最適化条件であることを再確認した。たの2つの方法は、基礎的な技術としてターゲット製作に応用可能であることを示した。コーテングが無い場合のWのエロジョンを流水下で調べた。高速度ではエロージョンが発生しやすい。固体ターゲットの設計では、スラブ型と棒型を設計した。1MWターゲットの中性子特性に関する限り、固体ターゲットのほうが、水銀より優る。
若井 栄一; 江沢 正志*; 今村 淳子*; 武中 剛志*; 田辺 哲朗*; 大嶋 隆一郎*
Journal of Nuclear Materials, 307-311(Part.1), p.367 - 373, 2002/12
被引用回数:34 パーセンタイル:86.97(Materials Science, Multidisciplinary)Ni合金の照射による微細組織変化に及ぼす溶質原子の効果を500Cで25keVのヘリウムイオン照射により調べた。用いた試料はNi及び溶質原子のサイズ因子が異なる数種類のNi合金(Ni-Si,Ni-Co,Ni-Cu,Mi-Mn,Ni-Pd,Ni-Nb)である。110ions/mまで照射すると約1.510mの高密度の転位ループが形成されたが、アンダーサイズ因子を持つNi-Si合金のみ、その密度がやや高くなった。また、410ions/mまで照射した試料では、キャビティが成長し、溶質原子のサイズ因子に依存してスエリングが0.2%から4.5%まで変化した。キャビティの数密度は溶質原子のサイズ因子の絶対値の大きさにしたがって増加する傾向にあり、スエリング値は増加した。これらの結果と反応速度論による点欠陥濃度の計算結果からヘリウム及び原子空孔の移動度し、溶質原子とヘリウム及び原子空孔との相互作用によって影響を受けることを推測した。
米田 安宏; 晝間 裕二*; 永田 肇*; 竹中 正*
no journal, ,
BiNaTiOは圧電振動子としてPbTiOの代替材料として注目されている。圧電振動子としての利用上の問題点は脱分極温度(T)が低いことで、Tを上げるために多くの試みがなされてきた。BiNaTiOへの添加剤として唯一脱分極温度を上げることができたのがリチウムである。脱分極温度上昇の起源を突き止めるため、LiをドープしたBiNaTiOの構造解析を行った。その結果、LiをドープしているにもかかわらずBiNaTiOの構造からランダムネスが減少しており、オーダー構造が支配的となっていることがわかった。
竹中 信幸*; 菊地 賢司; 鬼柳 善明*; 川合 將義*; Li, J.-F.*; 五十嵐 廉*
no journal, ,
高エネルギー陽子加速器の固体ターゲットに用いることを想定してHIP法により製作したTa被覆Wターゲットの水急冷実験を行った。運転中に冷却水喪失が起こり、kWオーダーの崩壊熱によるターゲット温度上昇を想定したときに、再冷却プロセスに対するHIP接合の耐久性を調べる目的である。実験の結果、ターゲット温度が500度以下であれば、急冷してもターゲットは健全であることを確認した。