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飛塚 早智子; 飯島 和毅; 小原 幸利*
Proceedings of 29th International Symposium of Scientific Basis for Nuclear Waste Management (MRS 2005), 0 Pages, 2005/09
還元条件下におけるNp4価の溶解度に及ぼすフミン酸の影響について、様々なpHにおいて調査した。初期Np濃度1E-5または1E-3 mol/lのNp溶液とフミン酸5-1000mg/l(ブランクとして0mg/lも実施)を混合し、pH5、8、9に調整した。イオン強度は0.1mol/l NaClO、およびNpを4価に保つため還元剤として添加した0.05mol/l NaSOにより0.25とした。pHとEhは一定期間ごとに確認した。試料を7、14、28、56・・日後にサンプリングし、スペクトロメトリまたはICP-MSによりNp濃度を定量した。フミン酸の主な解離官能基がカルボキシル基とフェノール性水酸基の二つであると仮定するNICA-Donnanモデルを用い、フミン酸に対する酸塩基滴定結果を基にフミン酸の電荷密度を計算したところ、pH5、8、9それぞれにおいて、2.84、4.36、4.78meq/gであった。すべての場合において全Np濃度はフミン酸濃度の増加と共に増加した。特に初期Np濃度1E-5 mol/lの場合、全Np濃度はほぼ初期Np濃度まで増加し、その増加は、pH8及び9ではフミン酸濃度50mg/l以上、pH5では25mg/l以上で現れた。フミン酸濃度が5mg/lであっても、フミン酸が共存しない場合に比べ全Np濃度が一桁以上高く現れた。Np(IV)-フミン酸錯体に対する見かけの安定度定数 = [NpHA]/ ([Np] [HA]を求めたところ、log = 15.98(pH 5)、6.31(pH 8)、31.96(pH 9)であった。過去に報告されたNp(V)-フミン酸錯体に対する値はpH=5.95-6.89においてlog = 2.983.34である。Np(IV)の値はNp(V)の値に比べ非常に大きい。これはNp(IV)がNp(V)よりも錯形成において強い親和力を持つことを示している。
飛塚 早智子; 菊池 広人*; 松本 一浩*; 飯島 和毅; 佐藤 治夫
JNC TN8400 2005-019, 65 Pages, 2005/08
天然有機物の模擬物質として、ポリアクリル酸(平均分子量450,000)またはポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量15,000)を用い、高イオン強度における圧縮ベントナイトに対する有機物の透過挙動を評価した。また、圧縮ベントナイトから溶出する有機物について調査した。乾燥密度1.2g/cmの圧縮ベントナイト(クニゲルV1、100%)に最長140日透過させたところ、高イオン強度では低イオン強度よりも一日あたりの透水量が多く、かつポリアクリル酸の濃度も高かった。分子量15,000の場合、高イオン強度では試験開始後52日目、低イオン強度では70日目にポリアクリル酸の破過が認められた。分子量450、000の場合はどちらの溶媒でも破過しなかった。イオン強度にかかわらず、圧縮ベントナイトによりフィルトレーションされる分子量の下限値は450,000より小さく、分子量15,000程度であっても分子構造を直線的に変化できるような有機物は、フィルトレーションされにくいと考えられる。また圧縮ベントナイトから溶出する有機炭素濃度は、低イオン強度において7.4-12.5mg・l、高イオン強度において4.2-6.5mg・lであると考えられる。
飯島 和毅; 飛塚 早智子; 小原 幸利*
JNC TN8400 2004-005, 46 Pages, 2004/04
地下水中に存在する有機物の代表であるフミン酸について,バッチ式錯生成試験及びTTAキシレンを用いた溶媒抽出試験を行い,Ⅳ価ネプツニウム(Np(Ⅳ))との錯生成挙動に及ぼすフミン酸濃度及び分子量の影響を評価した。また,フミン酸の酸塩基滴定により酸解離挙動を調べ,Np(IV)とフミン酸の錯生成定数の導出を試みた。
飛塚 早智子; 小原 幸利*; 飯島 和毅; 佐藤 治夫
JNC TN8400 2003-018, 53 Pages, 2003/06
地下水中や圧縮ベントナイトの間隙水中に存在する天然有機物の代表としてフミン酸を用い、弱アルカリ性領域におけるNp(Ⅳ)の溶解度に及ぼすフミン酸の影響を調査した。初期添加Np濃度5.32E-7 mol・L、1.14E-5 mol ・L、1.14E-3 mol・Lに対し、フミン酸濃度11000 mg・L-1において、イオン強度0.1、pH8におけるNp(Ⅳ)濃度のフミン酸濃度に対する依存性、及びNp(Ⅴ)-フミン酸錯体の見かけの錯生成定数を導出した。試験の結果、フミン酸濃度の増加に伴いNp(Ⅳ)濃度及び全Npの溶解度は上昇し、その幅は約1桁であった。フミン酸濃度に対するNp(Ⅳ)及び全Np濃度の依存性はNpの価数にかかわらず同様の傾向を示した。またこの傾向から、試験溶液にはNp(Ⅳ)とNp(Ⅴ)が共存するか、もしくはすべてNp(Ⅳ)であっても、錯形成しているフミン酸が溶媒抽出に用いたTTAによるNp(Ⅳ)の抽出を妨害し、Np(Ⅳ)の抽出率が低下させたと考えられた。フミン酸濃度の増加に伴いNp(Ⅳ)濃度及び全Npの溶解度は上昇するが、実際の深部地下環境に存在する有機炭素濃度を考慮すると、Np(Ⅳ)の溶解度に及ぼすフミン酸の影響は顕著ではないと考えられる。また、Np(Ⅳ)-フミン酸錯体の見かけの錯生成定数logappを導出したところ4.13(平均値)であった。これは本試験と類似の試験条件における既報のNp(Ⅴ)-フミン酸錯体の見かけの錯生成定数と同程度であり、予測されたほどNp(Ⅳ)-フミン酸錯体の見かけの錯生成定数は大きくなかった