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永瀬 文久; 大友 隆; 上塚 寛*
Nuclear Technology, 208(3), p.484 - 493, 2022/03
被引用回数:2 パーセンタイル:22.61(Nuclear Science & Technology)Ag-In-Cd制御棒合金をアルゴンあるいは酸素中、1073-1673Kで60-3600s間加熱し、元素放出挙動を調べた。1123Kと1173Kの間の温度で合金の明らかな液化が起こるが、それ以下の温度では元素放出は少なかった。アルゴン中では、1173Kで3600s後に、1573Kでは60s後にほぼ全てのCdが放出されたが、AgとInの放出割合はそれぞれ3%以下及び8%以下であった。酸素中では、1573K以下でのCd放出は非常に少ないが、1673Kでは短時間に30-50%が放出された。調べた範囲では酸素中のAgとInの放出は少なかった。実験結果との比較から、従来の経験モデルはシビアアクシデント時に制御棒が破損した直後に相当する比較的低い温度範囲でCdの放出を過小評価している可能性がある。
永瀬 文久; 上塚 寛
Journal of Nuclear Science and Technology, 49(1), p.96 - 102, 2012/01
被引用回数:10 パーセンタイル:58.43(Nuclear Science & Technology)シビアアクシデント時における炉心損傷を適切に解析するためには、溶融・混合した炉心材料の熱特性を調べる必要がある。TMI-2炉から採取したデブリとTMI-2デブリに似た化学組成と空孔率を持つ模擬デブリについて、潜熱,熱膨張率,熱拡散率,融点を測定あるいは推定した。おもに(U,Zr)OからなるTMI-2デブリの熱拡散率は、室温ではUO
の10から25%であったが、1500K以上では同等であった。模擬デブリの融点は約2840Kであり、同じZrO
/UO
比を持つ(U,Zr)O
の液相形成温度とほぼ同じであった。すなわち、デブリに含まれる重量比10%以下の他の炉心構成材料が溶融温度に及ぼす影響は非常に小さい。
市村 敏夫; 上塚 寛
電気評論, 92(2), p.68 - 89, 2007/02
日本原子力研究開発機構は、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が2005年10月1日に統合することにより設立された。その第1期中期目標期間は2005年10月1日2010年3月31日である。統合後実質的な初年度となった2006年度の原子力機構における研究開発の進捗と動向を紹介する。
市村 敏夫; 上塚 寛
電気評論, 91(2), p.62 - 80, 2006/02
日本原子力研究開発機構は、原子力に関する基礎的研究及び応用研究並びに核燃料サイクルを確立するための研究開発を総合的,計画的かつ効率的に行うとともに、これらの成果の普及等を行い、もって人類社会の福祉及び国民生活の水準向上に寄与することを目的とした、原子力に関する我が国唯一の総合的研究開発機関であり、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が2005年10月1日に統合することにより、設立された。原子力機構における研究開発の現状として、旧法人時代も含めた、最近1年間の研究開発の進捗と動向を紹介する。
鈴木 元衛; 上塚 寛; 斎藤 裕明*
Nuclear Engineering and Design, 229(1), p.1 - 14, 2004/04
被引用回数:19 パーセンタイル:74.67(Nuclear Science & Technology)高燃焼BWR燃料棒における燃料スエリングによる被覆管への機械的負荷を燃料ふるまいコードFEMAXI-6によって解析した。このコードは有限要素法をもちいて軽水炉燃料の通常運転及び過渡(事故ではなく)条件における燃料ふるまいを解析するために開発された。高燃焼度燃料の出力ランプにおいては、即発的なペレットスエリングは定常速度のスエリングモデルから予測されるレベルを有意なほど超え、被覆管に周方向の大きな歪みを与えることがある。この現象をFPガスバブル成長を考慮に入れた新しいスエリングモデルによってシミュレートし、この新モデルが、照射後試験データと比較して、被覆管の直径拡大の満足すべき予測を与えることを見いだした。このバブル成長モデルはバブルサイズ,表面張力,内圧とバブルに働く外圧との間の平衡関係を仮定し、バブルサイズの決定計算とFPガス原子の拡散方程式との連立解を求める。さらに、コードに組み込まれた、ペレットの外面と被覆管内面に強固な機械的結合を想定するボンディングモデルにより、ランプ時における被覆管の二軸応力状態が予測された。
中村 武彦; 笹島 栄夫; 山下 利之; 上塚 寛
Journal of Nuclear Materials, 319, p.95 - 101, 2003/06
被引用回数:2 パーセンタイル:18.63(Materials Science, Multidisciplinary)3種類の未照射の岩石(ROX)燃料の反応度事故(RIA)時挙動を調べるための試験を実施した。すなわちイットリア安定型ジルコニア(YSZ)単相型,YSZ/スピネル混合型及びスピネル中YSZ粒子分散型ROX燃料をNSRRでパルス照射し、RIA時の燃料破損モード,破損しきい値及びこの影響を調べた。燃料破損は、多量の燃料溶融を伴った破裂破損であった。破損モードの違いにもかかわらず、ROX燃料のしきい値は約10GJmとUO
燃料と同程度であった。しかし、ROX燃料の場合溶融燃料の分散が低いエンタルピで発生するため、破損の影響はUO
燃料と大きく異なるものであった。過渡加熱条件での燃料構造の変化と材料間の反応について、光学及び電子顕微鏡を用いた観察と分析を行った。
中村 武彦; 中村 仁一; 笹島 栄夫; 上塚 寛
Journal of Nuclear Science and Technology, 40(5), p.325 - 333, 2003/05
被引用回数:2 パーセンタイル:18.63(Nuclear Science & Technology)BWRの不安定性による出力振動時にスクラム不能過渡事象(ATWS)が重なった時の高燃焼度燃料の挙動を調べるため、出力振動を模擬した条件での照射済燃料の照射試験をNSRRにおいて実施した。この試験では燃焼度25及び56GWd/tUの照射済燃料を、約2秒周期でピーク出力が最高50から95kW/mに達する4回から7回の出力振動条件で照射した。この出力振動条件は、NSRRの6本の調整棒をコンピュータ制御により高速で引抜き・挿入を行うことで実現した。燃料棒の変形は、368J/gまでの燃料エンタルピ範囲では、反応度事故(RIA)条件で行った試験結果と同等であった。変形はペレット-被覆管機械的相互作用(PCMI)によって生じ、おおむね燃料エンタルピに比例した。ラチェッティングによる変形の累積は見られなかった。他方、FPガス放出はRIA試験に比べて小さく、これら2種類の過渡試験では放出メカニズムが異なることを示した。
永瀬 文久; 大友 隆; 上塚 寛
Journal of Nuclear Science and Technology, 40(4), p.213 - 219, 2003/04
被引用回数:75 パーセンタイル:96.92(Nuclear Science & Technology)さまざまな冷却材喪失事故条件に適用できる酸化速度式を評価するため、7731573Kという広い温度範囲において低スズ・ジルカロイ-4被覆管の等温酸化試験を行った。1273
1573Kでは調べた時間範囲について、773~1253Kでは900sまでの時間範囲について、酸化は2乗則に従った。一方、1253K以下での長時間酸化は、3乗則でよりよく表されることが明らかになった。重量増加に関し2乗則あるいは3乗則定数を評価し、それらの温度依存性を表すアレニウスタイプの式を求めた。3乗則から2乗則への変化及び酸化速度定数の温度依存性に見られる不連続性は、ZrO
の相変態によるものであることが示された。
日高 昭秀; 工藤 保; 中村 武彦; 金沢 徹; 木内 敏男; 上塚 寛
JAERI-Tech 2003-009, 30 Pages, 2003/03
原研では、原子炉のシビアアクシデント条件下における照射済燃料からの放射性物質の放出機構解明とソースターム予測精度向上を目的としてVEGA計画を進めている。その第5回目のVEGA-5実験は、高圧のVEGA-2実験で観測された圧力効果の再現性を確認するとともに、短半減期放射性物質の放出挙動を調べることを目的とし、2002年1月に行った。試験燃料は、事前に研究炉(NSRR)で8時間、再照射した後、被覆管を取り除いた燃焼度47GWd/tU(約8.2年冷却)のPWR燃料ペレット2個(約10.9g)であり、1.0MPa,He不活性雰囲気条件で約2,900Kまで昇温した。実験では、高圧条件下におけるCsの放出抑制現象を再確認するとともに、これまでの再照射無しのVEGA実験では観測することができなかったRu-103,Ba-140等の短半減期核種の放出データを線計測により取得した。
鈴木 元衛; 上塚 寛
IAEA-TECDOC-CD-1345 (CD-ROM), p.217 - 238, 2003/03
軽水炉燃料の通常時及び過渡時のふるまい解析のためのコードFEMAXI-6を開発した。このコードは有限要素法の力学解析を用い、高燃焼燃料の様々な現象のモデルを持つ。本研究では、高燃焼BWR燃料のスエリングによるPCMIを解析した。出力ランプ時には大きなスエリングが生じ、被覆管の大きな直径増大をもたらすが、この現象をFPガスバブルの成長による新しいモデルを適用して解析した。その結果、実測値にほぼ等しい被覆管の直径増加を再現することに成功した。このバブル成長モデルはバブルサイズと外圧の間のバランスを仮定した平衡論モデルであり、FPガスの拡散、放出の計算と連成している。また本コードは、ペレットと被覆管のボンディングモデルを持ち、このモデルによって高燃焼燃料はランプ時のペレットスタックスエリングによって被覆管の軸方向の応力が発生して、被覆管は周方向及び軸方向の2軸引張り応力状態になることを見出した。
笹島 栄夫; 杉山 智之; 中村 武彦; 更田 豊志; 上塚 寛
Proceedings of 7th International Topical Meeting on Research Reactor Fuel Management (ENS RRFM2003), p.109 - 113, 2003/03
TRIGA炉燃料として世界的に使用されているウラン水素化物ジルコニウム燃料(U-ZrHx)について、事故条件下での燃料挙動データを得ることを目的とし、NSRR実験を行った。これまでに5回のパルス実験をピーク燃料エンタルピ187483J/gの範囲で実施した。483J/gの実験で被覆管表面最高温度は約840Kに達した。被覆管表面温度は、パルス出力とともに急激に高くなり、187J/g以上の実験でDNBが生じた。DNBは、UO
燃料棒を用いたNSRR実験と比べ、より低い燃料エンタルピで生じていた。燃料棒内圧は最高1MPaまで上昇した。これは、燃料から解離した水素の放出を示唆している。予備解析によると、480J/gの燃料エンタルピで、平均温度は約1300Kであり、過渡加熱条件での水素の解離圧は平衡圧に比べ十分小さい結果となった。U-ZrHx燃料ではペレットと被覆管のギャップが小さいため、比較的低いエンタルピからペレット/被覆管機械的相互作用による被覆管変形が生じ、過渡変形が最高約3%に達した。試験燃料棒は、これまでの実験範囲では破損は生じず、また337J/g以下の実験では、燃料溶融及びマイクロクラックの発生等の燃料ペレットミクロ組織の変化は観察されていない。
草ヶ谷 和幸*; 杉山 智之; 中村 武彦; 上塚 寛
JAERI-Tech 2002-105, 24 Pages, 2003/01
原研・原子炉安全性研究炉(NSRR)を用いた反応度事故の模擬実験において、商用炉での燃料の使用温度・圧力を実現するための新たな実験カプセルを開発しているが、その強度設計に必要な知見として、試験燃料の破損時に発生する破壊力(衝撃圧力及び水撃力)に及ぼす高温・高圧の影響を検討した。破壊力に関する従来の知見、及び温度・圧力による蒸気の物性変化などを考慮すると、開発中のカプセルにおいて想定しているBWR運転条件下での衝撃圧力及び水撃力は、従来の実験条件である室温・大気圧条件下に比べ、ともに低下すると定性的に予測された。さらに、水撃力の大きさを決定付ける水塊速度の大きさについて、実験体系及び水撃現象をモデル化して定量的に評価した結果、BWR運転条件下における水塊速度の最大値は、室温・大気圧条件下の約1割にまで低下することがわかった。
中村 武彦; 草ヶ谷 和幸*; 笹島 栄夫; 山下 利之; 上塚 寛
Journal of Nuclear Science and Technology, 40(1), p.30 - 38, 2003/01
被引用回数:4 パーセンタイル:31.21(Nuclear Science & Technology)3種類の未照射の岩石(ROX)燃料、すなわちイットリア安定型ジルコニア(YSZ)型,YSZ/スピネル微細混合型,スピネル中YSZ粒子分散型、の反応度事故(RIA)時挙動を調べるためのパルス照射実験をNSRRで実施した。ROX燃料はPuを効率良く消費し廃棄するためのオプションの1つとして開発が進められている。ROX燃料はUO燃料に比べて融点が低いため、被覆管の溶融破損が生じる前に燃料の溶融が起こる。このため、燃料破損の影響はUO
燃料とは全く異なる結果となった。ROX燃料が破損した際にはかなりの溶融燃料が冷却水中へ放出された。しかしながら、燃料/水熱的相互作用による機械的エネルギ発生は12GJ/m
以下の体積当たりのエンタルピ範囲では生じなかった。他方、ROXの破損しきい値は10GJ/m
以上であり、UO
燃料と同等であった。これらの結果は、物性値の大きく異なる燃料の過渡挙動の相違に関して知見を与えるとともに、RIA時挙動で重要なパラメータを明らかにした。
上塚 寛
JAERI-Review 2002-027, 147 Pages, 2002/11
燃料安全研究室では、原研における水炉燃料の安全性に関するほとんどの研究課題を担当しており、原研が有する原子炉施設,すなわちNSRR,JMTR,JRR-3及び燃料試験施設などを利用してさまざまな実験を実施している。これらの中では、高燃焼度燃料及びMOX燃料の事故時における安全性の確認研究が中心課題である。多岐に渡る実験研究,解析研究を行っている。2001年に実施した研究では、NSRRにおけるBWR出力振動試験の成功,水素吸収被覆管のLOCA急冷時耐破断特性を調べる実験の進展,シビアアクシデントの炉心雰囲気を模擬した水蒸気雰囲気下での放射性物質放出を評価するVEGA実験の成功等、有用な成果が得られた。本報告書は、燃料安全研究室が2001年に実施した研究の概要と主な成果をまとめたものである。
永瀬 文久; 上塚 寛
JAERI-Research 2002-023, 23 Pages, 2002/11
軽水炉の異常過渡や事故時の燃料棒健全性を評価するための基礎データを得ることを目的に高燃焼度PWR燃料被覆管を673~1173Kで0~600s間加熱し、室温においてリング引張試験を実施した。試験の結果から、加熱温度と加熱時間に依存した被覆管強度と延性の変化が明らかになった。温度遷移による機械特性の変化は、主に、照射欠陥の回復,ジルカロイの再結晶,相変態,それらに伴う水素化物析出形態の変化に対応しているものと考えられる。また、未照射被覆管との比較により、高温においても短時間では照射の影響が消失しない可能性が示された。合わせて、高燃焼度PWR被覆管の半径方向水素濃度分布を測定し、被覆管外表面部で約2400wtppmという高濃度の水素を検出した。このような高濃度の水素集積は、高燃焼度PWR燃料被覆管の延性低下や加熱後の延性変化と密接に関連すると考えられる。
永瀬 文久; 谷本 政隆*; 上塚 寛
IAEA-TECDOC-1320, p.270 - 278, 2002/11
高燃焼度燃料のLOCA時挙動を評価するための基礎データを取得することを目的に、原研は体系的な研究計画を進めている。これまでに、非照射被覆管を用いた高温酸化試験を実施し、酸化速度に対する予備酸化と予備水素吸収の影響を分離的に調べた。また、被覆管の急冷時耐破断特性に及ぼす予備水素吸収の影響を調べるためにLOCA条件を模擬した「総合的な熱衝撃試験」を行った。試験の結果、軸方向拘束のない条件下では、破断限界となる酸化量に、予備水素吸収の影響が見られないことが示された。一方、拘束される条件では、予備水素吸収により破損限界酸化量が低下することが判明した。
中村 仁一; 中村 武彦; 笹島 栄夫; 鈴木 元衛; 上塚 寛
HPR-359, Vol.2, p.34_1 - 34_16, 2002/09
BWRにおいては、ボイド発生による出力低下とボイドの消滅による出力上昇が繰り返され、原子炉出力が増幅的に振動する出力振動が起こりうる。このBWRの出力振動時の燃料挙動を明らかにするため、2種類の照射済燃料の模擬出力振動試験をNSRRにおいて実施した。一つは、高燃焼度燃料の挙動を明らかにするための高燃焼度BWR燃料(燃焼度56GWd/t)の試験であり、他の一つは、高出力条件下での燃料挙動を明らかにするための20%高濃縮燃料(燃焼度25GWd/t)を用いた実験である。被覆管伸び,燃料スタック伸び,被覆管温度等の燃料挙動データが得られた。DNBは、これらの試験では生じなかった。出力振動中に被覆管伸び,ペレットスタック伸びによりPCMIが観察されたが、被覆管の残留伸びは非常に小さかった。出力振動時の燃料挙動を炉内データ,照射後試験データにより議論し、燃料挙動解析コードFEMAXI-6とFRAP-T6の計算結果を実験結果と比較した。
日高 昭秀; 工藤 保; 中村 武彦; 上塚 寛
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(7), p.759 - 770, 2002/07
被引用回数:6 パーセンタイル:38.93(Nuclear Science & Technology)軽水炉のシビアアクシデント時における燃料からの放射性物質放出は、ほとんどの場合、高温高圧下で起きると考えられる。放出挙動に対する温度の影響は既存の実験で数多く調べられてきたが、圧力の影響は実験の困難さのためにほとんど調べられてこなかった。そこで、原研のVEGA実験計画では、圧力の影響を調べるため、圧力を0.1MPaと1.0MPaとする以外はほぼ同じ条件で照射済UO燃料を不活性ヘリウム雰囲気下で2,773Kまで昇温する実験を2回行った。その結果、1.0MPaの加圧雰囲気下では、燃料からのセシウム放出割合が0.1MPa下におけるそれと比べて、測定した全ての温度域で約30%減少することを世界で初めて観測した。本報では、それらの実験の概要,測定結果について述べるとともに、試験後にホットセルで行った種々の解析結果について記述する。また、観測された圧力の影響を説明する機構及び計算モデルについて議論する。
中村 武彦; 草ヶ谷 和幸*; 更田 豊志; 上塚 寛
Nuclear Technology, 138(3), p.246 - 259, 2002/06
被引用回数:32 パーセンタイル:86.20(Nuclear Science & Technology)燃焼度56~61GWd/tUのBWR燃料のパルス照射実験をNSRRで実施し、冷態起動時からの反応度事故時の燃料挙動を調べた。この実験では福島第二原子力発電所2号機で照射された燃料を短尺に加工し、272~586J/g(651~40cal/g)の発熱を瞬時に与えた。BWR燃料被覆管の変形はPWR燃料に比べて小さかったものの、燃焼度61GWd/tUの燃料を用いた実験では、被覆管温度が上昇する以前の過渡実験の早い時点で燃料破損が生じた。破損時の燃料エンタルピは260~360J/g(62~86cal/g)であった。これらの実験で見られたBWR燃料の破損は、外周部に水素化物が多く析出し脆化した被覆管がペレット-被覆管機械的相互作用(PCMI)により破損したPWR燃料実験と類似している。FPガスの過渡放出は、燃料エンタルピに依存し、9.6~17%に達した。
永瀬 文久; 上塚 寛
NUREG/CP-0176, p.335 - 342, 2002/05
高燃焼度燃料のLOCA時挙動を評価するための基礎データを得ることを目的とした試験計画の一環として、被覆管中の水素濃度の増大が急冷時の耐破損特性に及ぼす影響を分離効果的に調べた。試験の結果、水素濃度と急冷時の軸方向拘束力に依存した被覆管の破断しきい値(酸化量)の変化を明らかにすることができた。拘束力が比較的大きな場合は、破断しきい値は水素添加により明確に低下した。拘束力の減少とともに破断しきい値は低下し、調べた水素濃度範囲(1200ppm以下)において、拘束力が540N以下であれば破断しきい値は20% ECR(等価酸化量)を超えた。