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論文

Structure of quasi-free-standing graphene on the SiC (0001) surface prepared by the rapid cooling method

角 達也*; 永井 和樹*; Bao, J.*; 寺澤 知潮; 乗松 航*; 楠 美智子*; 若林 裕助*

Applied Physics Letters, 117(14), p.143102_1 - 143102_5, 2020/10

 被引用回数:4 パーセンタイル:22.61(Physics, Applied)

SiC(0001)表面上のエピタキシャルグラフェン試料の系統的な構造研究を、非接触手法である表面X線回折法によって行った。バッファ層のみ、1層グラフェン、多層グラフェンの試料では、バッファ層と表面Si原子間の距離は0.23nmであった。急速冷却法で作製した半自立グラフェン試料では、バッファ層は存在せず、半自立グラフェンと表面Si原子との間の距離は0.35nmであった。これは、水素インターカレートグラフェンの値よりもかなり短く、グラファイトの面間距離よりもわずかに長い。Si占有率はSiC表面から1nm以内では単一ではなく、Si原子の抜けが示唆された。Si占有率の深さプロファイルは試料依存性がほとんどなく、Si原子のランダムなホッピングに基づく単純な原子論モデルによって再現された。

論文

Complex chemistry with complex compounds

Eichler, R.*; 浅井 雅人; Brand, H.*; Chiera, N. M.*; Di Nitto, A.*; Dressler, R.*; D$"u$llmann, Ch. E.*; Even, J.*; Fangli, F.*; Goetz, M.*; et al.

EPJ Web of Conferences, 131, p.07005_1 - 07005_7, 2016/12

 被引用回数:3 パーセンタイル:72.25(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

近年、物理的な前段分離装置を活用することにより、超重元素の比較的不安定な単一分子の合成と研究が気相化学研究によって可能になった。非常に揮発性の高い106番元素のヘキサカルボニル錯体Sg(CO)$$_{6}$$の合成は最近の大きな成果である。この成功を受けて、中心金属原子と周囲の配位子間の第一乖離エネルギーの測定を第2世代の実験として実施した。管状の分解反応装置を用いた手法を開発し、短寿命のMo(CO)$$_{6}$$, W(CO)$$_{6}$$, Sg(CO)$$_{6}$$錯体に適用することに成功した。

論文

Decomposition studies of group 6 hexacarbonyl complexes, 1; Production and decomposition of Mo(CO)$$_6$$ and W(CO)$$_6$$

Usoltsev, I.*; Eichler, R.*; Wang, Y.*; Even, J.*; Yakushev, A.*; 羽場 宏光*; 浅井 雅人; Brand, H.*; Di Nitto, A.*; D$"u$llmann, Ch. E.*; et al.

Radiochimica Acta, 104(3), p.141 - 151, 2016/03

 被引用回数:33 パーセンタイル:94.76(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

周期表第6族元素で最も重いSgのヘキサカルボニル錯体の熱的安定性を調べることを目指して、短寿命MoおよびW同位体を用いてヘキサカルボニル錯体を合成し、その合成および解離条件を調べた。チューブ状の反応装置を用いてヘキサカルボニル錯体を解離させ、第1解離エネルギーを導出できるかテストした。第6族元素のヘキサカルボニル錯体の解離を調べるには、反応表面として銀が最適であることがわかった。Mo(CO)$$_6$$およびW(CO)$$_6$$の解離が起こる反応表面温度は、それらの第1解離エネルギーと相関があることがわかり、この方法を用いてSg(CO)$$_6$$の第1解離エネルギーを決定できる見通しを得た。

論文

In situ synthesis of volatile carbonyl complexes with short-lived nuclides

Even, J.*; Ackermann, D.*; 浅井 雅人; Block, M.*; Brand, H.*; Di Nitto, A.*; D$"u$llmann, Ch. E.*; Eichler, R.*; Fan, F.*; 羽場 宏光*; et al.

Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 303(3), p.2457 - 2466, 2015/03

 被引用回数:15 パーセンタイル:75.79(Chemistry, Analytical)

金属カルボニル錯体の迅速その場合成を、核分裂や核融合反応によって生成される短寿命同位体を用いた実験によって実証した。高い反跳エネルギーを持つ短寿命核反応生成物を一酸化炭素分子と直接反応させることでカルボニル錯体を合成し、高い揮発性を持つ錯体のみをガス気流によって迅速に搬送し、化学分析・測定装置にかけて検出した。この手法を用いることで、Mo, Tc, Ru, Rh, W, Re, Os, Irの短寿命同位体の揮発性カルボニル錯体の合成に成功した。一方、HfとTaの揮発性錯体は検出されなかった。この手法は超重元素シーボーギウム(原子番号106)の化学研究に既に適用されており、また短寿命遷移金属同位体を用いた核科学研究の様々な分野への応用が今後期待される。

論文

Synthesis and detection of a Seaborgium carbonyl complex

Even, J.*; Yakushev, A.*; D$"u$llmann, Ch. E.*; 羽場 宏光*; 浅井 雅人; 佐藤 哲也; Brand, H.*; Di Nitto, A.*; Eichler, R.*; Fan, F. L.*; et al.

Science, 345(6203), p.1491 - 1493, 2014/09

 被引用回数:65 パーセンタイル:83.10(Multidisciplinary Sciences)

超重元素の新しい錯体、106番元素シーボーギウム(Sg)のカルボニル錯体の合成に初めて成功し、その吸着特性を低温熱クロマトグラフィー・$$alpha$$線測定装置COMPACTを用いて調べた。理化学研究所の気体充填型反跳イオン分離装置GARISを用いて合成及び前段分離された短寿命核反応生成物$$^{265}$$Sgを、ヘリウムと一酸化炭素の混合ガス中に打ち込み、カルボニル錯体を合成した。生成したカルボニル錯体のうち揮発性の高いもののみをガス気流によってCOMPACTへと搬送し、低温熱クロマトグラフィー測定を行った。検出されたSgカルボニル錯体の吸着エンタルピーは-50kJ/molと求まり、この高い揮発性からこの錯体は6配位のSg(CO)$$_{6}$$であると結論した。これまで超アクチノイド元素では単純な無機錯体しか合成されたことがなく、本研究は超アクチノイド元素における初めての有機金属錯体合成の成果である。

論文

Structural investigation of magnetocapacitive SmMnO$$_3$$

前田 裕貴*; 石黒 友貴*; 本田 孝志*; Jung, J.-S.*; 道村 真司*; 稲見 俊哉; 木村 剛*; 若林 裕助*

Journal of the Ceramic Society of Japan, 121(3), p.265 - 267, 2013/03

 被引用回数:6 パーセンタイル:33.84(Materials Science, Ceramics)

磁気容量性物質SmMnO$$_3$$の構造変化を磁場中X線回折実験から研究した。この反強磁性体は数テスラの磁場が印加されたときのみ誘電率に9Kで跳びを示す。磁場中X線回折実験からはc面内(Pbnm)の原子変移を伴う構造変化はないことが明らかになったが、60Kでの反強磁性転移によりMnO$$_6$$八面体の大きな回転が生じることがわかった。この回転は交換相互作用を通したエネルギーの獲得を最大にするように起こっている。

論文

Deuteron-production double-differential cross sections for 300- and 392-MeV proton-induced reactions deduced from experiment and model calculation

魚住 祐介*; 澤田 雄介*; Mzhavia, A.*; 野ヶ峯 翔*; 岩元 大樹; 金 政浩; 芳原 新也*; 若林 源一郎*; 中野 正博*

Physical Review C, 84(6), p.064617_1 - 064617_11, 2011/12

 被引用回数:18 パーセンタイル:71.59(Physics, Nuclear)

300MeV及び392MeV陽子入射反応における重陽子生成二重微分断面積を測定し、新たに提案した核反応モデルと測定結果の比較により理論モデルの妥当性を検討した。実験では、ターゲットに$$^{12}$$C, $$^{27}$$Al, $$^{51}$$V, $$^{93}$$Nb, $$^{197}$$Auの薄膜を使用し、実験室系で20度から104度の角度にわたって核反応で生成される重陽子のエネルギースペクトルを測定した。核反応モデルについては、クラスターノックアウトモデルとピックアップモデルを組合せた核内カスケードモデルを提案した。測定で得られた結果と提案した理論モデルによる計算値との比較を行った結果、提案したモデルが重陽子生成二重微分断面積を精度よく再現することを示した。

論文

Proton-production double-differential cross sections for 300-MeV and 392-MeV proton-induced reactions

岩元 大樹; 今村 稔*; 古場 裕介*; 福井 義則*; 若林 源一郎*; 魚住 祐介*; 金 政浩; 岩元 洋介; 芳原 新也*; 中野 正博*

Physical Review C, 82(3), p.034604_1 - 034604_8, 2010/09

 被引用回数:13 パーセンタイル:62.62(Physics, Nuclear)

300MeV及び392MeV陽子入射反応におけるO, V, Tb, Ta, Au, Pb及びBiに対する陽子生成二重微分断面積を測定した。放出陽子のエネルギーを$$Delta$$$$E$$-$$E$$測定法によって積層型シンチレーション検出器を用いて測定した。測定結果を核内カスケードモデル及び量子分子動力学モデルと比較し、両モデルとも二重微分断面積スペクトルをよく再現するが、最前方及び後方で相違が生じることを示した。この相違は核ポテンシャルによる屈折によって説明できることを明らかにした。この知見に基づき、Kalbachの系統式と核内カスケードモデルの1ステップ計算を組合せることによって、角度分布を再現することに成功した。さらに、実験に基づく考察から、核内カスケードモデルの1ステップ計算における準弾性散乱の寄与は、標的核が軽くなるほど、また放出エネルギーが増加するほど大きくなることを示した。

論文

Resonant X-ray scattering study on the filled skutterudite PrFe$$_4$$P$$_{12}$$

石井 賢司; 稲見 俊哉; 村上 洋一; Hao, L.*; 岩佐 和晃*; 神木 正史*; 青木 勇二*; 菅原 仁*; 佐藤 英行*; 今田 真*; et al.

Physica B; Condensed Matter, 329-333(1-4), p.467 - 468, 2003/05

 被引用回数:6 パーセンタイル:35.14(Physics, Condensed Matter)

充填スクッテルダイトPrFe$$_4$$P$$_{12}$$の異常秩序相($$T_A$$=6.5K)について共鳴X線散乱による研究を行った。Prの$$L_{III}$$吸収端において、$$T_A$$以上の$$bcc$$構造では禁制である$$h+k+l$$=oddの反射に共鳴散乱が観測された。これらの反射は$$bcc$$の単位胞中にある2つのPr原子の異常散乱項の差を含んでいることから、この秩序相は電子状態の異なった2つのPr原子が秩序化したものと考えられる。

論文

Change ordering in La$$_{1-x}$$Sr$$_{x}$$MnO$$_{3}$$(x$$sim$$0.12)

稲見 俊哉; 池田 直*; 村上 洋一*; 小山 一郎*; 若林 裕助*; 山田 安定*

Japanese Journal of Applied Physics, 38(suppl.38-1), p.212 - 214, 1999/06

 被引用回数:15 パーセンタイル:65.46(Physics, Applied)

低SrドープのLaMnO$$_{3}$$においては、金属-非金属、強磁性-常磁性同時相転移に加えて、さらに低温において、低温絶縁体相へ転移することが知られている。山田らは、中性子散乱からこの低温絶縁体相で超格子反射を見いだし、それからこれが電荷秩序相であると結論した。われわれは、この電荷秩序の空間パターンを調べるべく、x=0.12の試料について、KEK,PF,BL4Cの装置を用い放射光X線回折実験を行った。その結果、超格子の消滅則から、cubicペロブスカイトの単位で1$$times$$4$$times$$1という構造がもっともらしいという結論を得た。

口頭

$$^{99}$$Mo/$$^{99m}$$Tc国産化を可能にするメソポーラスアルミナ吸着材の開発

Alowasheeir, A.*; 江口 美陽*; 藤田 善貴; 土谷 邦彦; 若林 隆太郎*; 木村 辰雄*; 有賀 克彦*; 籏野 健太郎*; 福光 延吉*; 山内 悠輔*

no journal, , 

診断用医薬品として広く使用されている$$^{99m}$$Tcの原料である$$^{99}$$Moの放射化法による製造を目指している。本方法は、高濃縮ウランを使用しないため放射性廃棄物の発生量が少ないが、生成される$$^{99}$$Moの比放射能が低いことから、$$^{99}$$Moから$$^{99m}$$Tcを効率的に分離・濃縮するための技術開発が必要である。本研究では、噴霧乾燥法で合成したメソポーラスアルミナをMo吸着材として用いた。メソポーラスアルミナは、アルミニウムアルコキシドと非イオン性界面活性剤P123を含む前駆体溶液を噴霧乾燥させて合成した。乾燥後、有機溶媒を用いた抽出法によりP123を除去した。また、比較のため400$$^{circ}$$Cと850$$^{circ}$$Cの異なる温度で3時間焼結を行う方法でP123を除去した。これらのMo吸着/$$^{99m}$$Tc溶離特性を調べた結果、抽出したアルミナは市販のアルミナよりも優れた特性を有していた。両者のFTIRスペクトルのAl-OH基に由来するピーク強度の比較から、市販のアルミナよりも抽出したアルミナはより多くのAl-OH基を有していることを明らかにした。これは、プロトン化されたアルミナ表面と酸性溶液中で負に帯電するMoイオンとの強い相互作用が$$^{99m}$$Mo吸着を向上させることを示唆する。

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