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直江 崇; 木下 秀孝; 涌井 隆; 粉川 広行; 羽賀 勝洋
JAEA-Technology 2022-018, 43 Pages, 2022/08
大強度陽子加速器研究施設(Japan Proton Accelerator Research Complex, J-PARC)の物質・生命科学実験施設に設置されている核破砕パルス中性子源水銀ターゲットでは、高エネルギー陽子線入射時に水銀中に発生する圧力波が引き起こすキャビテーションによって、ステンレス鋼製のターゲット容器内壁に激しい壊食損傷が生じる。陽子線強度の増加と共に攻撃性が高くなるキャビテーションが引き起こす壊食損傷によって、熱応力を低減するために厚さ3mmで設計されたターゲット容器先端部では、長時間の運転により壊食痕からの水銀漏洩や、壊食痕を起点とした疲労破壊などが生じる懸念がある。これまでに、高出力での長期的な安定運転を実現するために、キャビテーションによる壊食損傷を低減するための取り組みとして、容器内壁への表面改質の適用や、水銀中への微小気泡注入によりキャビテーションの発生源である圧力波の抑制、先端部の2重壁構造化を進めてきた。損傷低減化技術の効果を確認するために容器内壁に形成された損傷を観察する必要があるが、中性子源の運転中に内部を観察することは不可能であるため、運転を終えたターゲット容器の先端部から試験片を切出し、内壁の観察を実施している。ターゲット容器の破損による水銀の漏洩を防ぎつつ、運転出力によって変化する適切な容器の交換時期を検討するためには、運転出力と損傷の関係を明らかにすることが必要である。これまでに、高放射線環境で遠隔操作可能な試験片切出し装置を開発し、実機水銀ターゲット容器からの切出しを通じて、遠隔操作性や、より確実に試験片を切出すための切削条件の検討や切出し手法の改良を重ねてきた。本報では、実機ターゲットでの作業経験、及びモックアップ試験の結果に基づいて改良した遠隔操作による水銀ターゲット容器先端部からの試験片切出し手法に加えて、これまでに実機から試験片を切出した結果の概要についてまとめる。
涌井 隆; 山崎 和彦*; 二川 正敏
Advanced Experimental Mechanics, 7, p.103 - 109, 2022/08
高放射化物を閉空間に閉じ込めた状態で切断・減容化する技術開発の一環として、鉛含有量が異なる放射線遮へいガラスに対して、Nd-YAGレーザーの照射条件(パワー及び照射回数)を変えた照射試験を実施した。鉛含有量、照射パワー及び照射回数の増加とともに、大きな黒色で凹形状の照射損傷とその周りにき裂が生じた。損傷に及ぼす機械的特性の影響を調べるために、非照射部及び照射部の一般的な機械特性を調べた。評価された機械的特性を基に算出された熱衝撃破壊靭性値は、鉛含有量の増加ともに減少する。黒色の照射領域の微小硬さは、非照射より10%小さくなり、レーザー照射による機械的特性の変化が確認された。
涌井 隆; 山崎 和彦*; 二川 正敏
実験力学, 22(2), p.96 - 104, 2022/06
高放射化物のレーザー溶断技術の開発の一環として、放射線遮へいガラス及び無鉛ガラスに対してパルスレーザー照射試験及び押込み試験を行った。鉛含有量が低いガラスに比べ、鉛含有量が高いガラスの損傷が大きく、損傷発生の閾値が低かった。押込み試験結果を基に、カルマンフィルタ及び有限要素を組み合わせた逆解析により、ガラスの微小塑性挙動を表す材料構成式の定数を同定した。流動応力は、鉛含有量の増加とともに低下し、レーザー照射により低下した。一方、塑性流動抵抗値は、鉛含有量の増加とともに増加し、レーザー照射により増加した。非照射及び照射領域における破壊エネルギーとき裂先端周りの塑性領域寸法を実験結果を基に算出した。それぞれの値は、鉛含有量の増加とともに減少し、レーザー照射により低下した。
羽賀 勝洋; 粉川 広行; 直江 崇; 涌井 隆; 若井 栄一; 二川 正敏
Proceedings of 19th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-19) (Internet), 13 Pages, 2022/03
J-PARCではMWクラスの核破砕中性子源を実現するために水銀ターゲットの流路構造としてクロスフロー型ターゲットを開発し、流路構造の改良を継続してきた。高出力の短パルス陽子ビームが水銀ターゲットに入射すると、急激な水銀の発熱と体積膨張により最大40MPaにも達する圧力波が誘起され、ターゲット容器にキャビテーション損傷を生じさせる。このため、水銀流路にマイクロバブル生成器を配置し、バブルの収縮により水銀の体積膨張をクッションのように吸収することで圧力波を低減する技術や、陽子ビームが入射する容器壁に内壁を設けて、狭隘流路に形成される速い水銀流れの大きな速度勾配を利用してキャビテーション損傷を低減する技術などを水銀ターゲット容器の流路構造に導入した。これらの技術開発により、2020年には36.5時間の1MW連続運転を成功させ、2021年4月から最大740kWの高出力で長期の安定な利用運転を達成した。本報告は、主に水銀ターゲット容器の熱流動設計に関して1MW運転を実現するまでの技術開発をまとめたものである。
直江 崇; 木下 秀孝; 粉川 広行; 涌井 隆; 若井 栄一; 羽賀 勝洋; 高田 弘
Materials Science Forum, 1024, p.111 - 120, 2021/03
J-PARCの核破砕中性子源に設置されている水銀標的容器は、水銀中に生じる陽子線励起圧力波が引き起こすキャビテーションによって損傷を受ける。キャビテーションによる壊食損傷を低減する方策として、キャビテーションを誘発する圧力波を低減するための水銀中への微小気泡注入に加えて、ビーム窓先端に狭隘流路を有する2重壁構造容器を採用した。損傷低減化策の効果を確認するために、使用後の標的容器先端部を切断し、内部に形成された損傷を観察した。その結果、積算出力1812MWh(平均強度434kW)で微小気泡を注入して運転した2重壁構造容器で観測された損傷は、積算出力1048MWh(平均強度181kW)の気泡を注入しない従来型容器で観測された損傷と同等であった。さらに、狭隘流路に接する側では、気泡が注入された水銀に接する側より著しく損傷が少ないことを確認した。
涌井 隆; 若井 栄一; 粉川 広行; 直江 崇; 花野 耕平*; 羽賀 勝洋; 島田 翼*; 鹿又 研一*
Materials Science Forum, 1024, p.145 - 150, 2021/03
J-PARCの大強度ビーム運転を実現するために、保護容器で覆われた水銀ターゲット容器の新規構造の開発を行ってきた。まず、500kWの安定運転の実現を目的とした第1段階では、初期構造を踏襲した構造で、水銀容器と保護容器の接続方法を改良し、約8か月の500kW利用運転を実現した。1MWの安定運転の実現を目的とした第2段階では、容器の後端のみで接続した新規構造を検討した。新規構造では、熱応力を低減するための水銀容器冷却や内圧に対する保護容器の剛性を増加するための板厚の増加を実施した。その結果、各容器に発生する応力は、日本産業規格の圧力容器規格の許容応力以下となり、1MWビーム運転が可能であることを確認した。
直江 崇; 粉川 広行; 涌井 隆; 勅使河原 誠; 羽賀 勝洋; 二川 正敏
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 982, p.164566_1 - 164566_6, 2020/12
被引用回数:1 パーセンタイル:18.5(Instruments & Instrumentation)J-PARCに設置されている水銀を標的に用いた核破砕中性子源では、水銀を内包するステンレス鋼製の多重容器に大強度陽子線が25Hzで入射すると、水銀の急激な熱膨張によって容器の内壁に激しいキャビテーション壊食を引き起こす圧力波が発生する。放射線環境下で水銀標的容器の構造健全性を遠隔・非接触で診断するために、レーザドップラ振動計及びマイクロホンを設置している。本研究では、ビーム入射によって生じる標的容器の音響振動とビームパワーやプロファイル等の運転条件の相関を理解することを目的として、運転条件を系統的に変化させて音響振動の測定を実施した。その結果、ビーム入射によって生じる音は、運転条件と非常によい相関があることを明らかにした。
粉川 広行; 涌井 隆; 直江 崇; 羽賀 勝洋; 高田 弘; 二川 正敏
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(5), p.487 - 494, 2020/05
被引用回数:1 パーセンタイル:17.77(Nuclear Science & Technology)大強度陽子加速器施設(J-PARC)の中性子源では、世界記録のパルスあたりの中性子束を達成した。J-PARCでは、水銀標的システムが破砕中性子源として使われている。標的容器は、水銀容器とそれを内包する二重壁構造の水冷却保護容器から構成され、万一水銀容器から水銀が漏えいしても標的容器の外部への漏えいを防止する多重壁防護システムとなっている。しかし、多重壁構造は、多くの溶接線を必要とする複雑な構造であった。運転中に、水銀容器と保護容器の間の中間層への水が漏えいし、計画外のシャットダウンに直面することとなった。このため、漏えいの原因に関する調査を行い、漏えい経路は、複雑な多重壁構造に起因する溶接欠陥から、水銀標的で発生する圧力波による繰り返し応力によってき裂が進展して作られたと推論した。調査結果に基づき、容器の構造を、複雑な構造上の溶接線を無くし、J-PARC中性子源の最終的な設計値である陽子ビーム出力1MWで安定した運転を実現できるように改良した。
Tang, T. L.*; 上坂 友洋*; 川瀬 頌一郎; Beaumel, D.*; 堂園 昌伯*; 藤井 俊彦*; 福田 直樹*; 福永 拓*; Galindo-Uribarri, A.*; Hwang, S. H.*; et al.
Physical Review Letters, 124(21), p.212502_1 - 212502_6, 2020/05
被引用回数:10 パーセンタイル:74.3(Physics, Multidisciplinary)中性子過剰核Fの構造が(
)反応で調査した。
軌道の分光学的因子は1.0
0.3と大きいが、一方で残留核である
Oが基底状態である割合は約35%,励起状態は約0.65%であることが明らかになった。この結果は、
Fのコア核
Oは基底状態とは大きく異なり、
Oの
軌道に陽子がひとつ加わることで
Oと
Fの中性子軌道が相当に変化していると推測される。これは酸素同位体ドリップライン異常のメカニズムである可能性がある。
直江 崇; 木下 秀孝; 粉川 広行; 涌井 隆; 若井 栄一; 羽賀 勝洋; 高田 弘
JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.081004_1 - 081004_6, 2020/02
J-PARC核破砕中性子源の水銀ターゲット容器(SUS316L製)は、陽子線入射によって生じる水銀中の圧力波が引き起こすキャビテーションにより、ビームが入射する先端部厚さ3mmの壁が損傷する。キャビテーションによる損傷は、ビーム出力と共に増加するため、ターゲット容器の寿命を制限する因子となっている。J-PARCの目標である1MWにおける長期安定運転を実現するために、損傷低減化策として、圧力波抑制のための気泡注入に加えて、先端部に主流の4倍の流速を発生できる幅2mmの狭隘流路を有する先端部二重壁構造の容器を採用した。運転終了後に損傷低減化策の効果を確認するために、容器内壁を切り出して観察した。これまでの経験を踏まえ、確実に切出しを実施するためにコールド試験を通じて切出し条件を最適化して、2017年にターゲット2号機(損傷低減化策無し)、及び2018年に8号機(損傷低減化策有り)の切り出しを実施した。ワークショップでは、切出した試料の損傷観察結果を紹介すると共に、損傷低減化策の効果について報告する。
涌井 隆; 若井 栄一; 粉川 広行; 直江 崇; 花野 耕平; 羽賀 勝洋; 高田 弘; 島田 翼*; 鹿又 研一*
JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.081002_1 - 081002_6, 2020/02
J-PARCの水銀ターゲット容器は、水銀容器と二重容器構造の保護容器(内側及び外側容器)からなる三重容器構造である。2015年の500kWビーム運転時、水銀ターゲット容器の保護容器からの微小な水漏れが2回発生した。この容器破損から得られた知見を基に、設計, 製作及び試験検査過程の改善を行った。ワイヤ放電加工を用いて、1つのステンレスブロックから切り出した一体化構造を採用することにより、水銀ターゲット容器前方の溶接線の長さは約55%まで大幅に減らすことができた。放射線透過試験や超音波探傷試験による徹底的な溶接検査を実施した。2017年の9月に水銀ターゲット容器8号機が完成し、8号機を使用したビーム運転が開始された。500kWの安定的なビーム運転が実現でき、ビーム試験時には、1MWの最大ビーム強度を経験することができた。
涌井 隆; 石井 秀亮*; 直江 崇; 粉川 広行; 羽賀 勝洋; 若井 栄一; 高田 弘; 二川 正敏
Materials Transactions, 60(6), p.1026 - 1033, 2019/06
被引用回数:2 パーセンタイル:15.77(Materials Science, Multidisciplinary)J-PARCの核破砕中性子源で使用する水銀ターゲット容器は、1.31.3
2.5m
と大きいため、使用済み容器の廃棄量を低減する観点で、損傷量の大きい前半部を分割できる構造を検討している。分割部のフランジには、高いシール性能(1
10
Pa・m
/s以下)が必要である。このフランジの材料として、ビーム運転時の熱変形を低減するために低熱膨張材であるインバー合金は有望であるが、弾性係数が低いためボルト締結時の変形が大きくなる。実用上はステンレス鋼で補強するが、HIP接合により広い面積を全面にわたって確実に接合する条件を見出すことが課題であった。そこで、接合温度が異なる試験片(973, 1173, 1373及び1473K)について、引張試験及び数値解析による残留応力評価を行った。973Kで接合した試験片は、拡散層厚さが殆どなく接合界面で破断した。引張強度は、接合温度の上昇とともに減少し、1473Kの場合、約10%低下した。接合面近傍の残留応力は最大50%増加した。これらの結果から、1173Kが最適な接合温度であることを結論付けた。
涌井 隆; 若井 栄一; 直江 崇; 粉川 広行; 羽賀 勝洋; 高田 弘; 新宅 洋平*; Li, T.*; 鹿又 研一*
超音波Techno, 30(5), p.16 - 20, 2018/10
J-PARCの核破砕中性子源の水銀ターゲット容器(幅1.3m、長さ2.5m)は、水銀容器と二重壁構造を持つ保護容器からなる薄肉(最小厚さ3mm)の多重容器構造で、溶接組立による複雑な構造を持つので、溶接部の検査が重要である。溶接検査の精度を向上することを目的として、欠陥を有する試験片(厚さ3mm)を用いて、新たな超音波法の適用性を検討した。50MHzの探触子を用いた水浸超音波法計測では、直径約0.2mmの球状欠陥を検出できた。その大きさは、目標とする最小検出欠陥寸法(0.4mm)より十分小さい。また、フェーズドアレイ超音波法で評価した未溶接部長さは、断面観察より得られた結果(0.81.5mm)と良く一致した。
直江 崇; 涌井 隆; 粉川 広行; 若井 栄一; 羽賀 勝洋; 高田 弘
Advanced Experimental Mechanics, 3, p.123 - 128, 2018/08
核破砕中性子源水銀ターゲット容器は、SUS316L製であり、TIG溶接により製作される。運転中には、陽子線励起圧力はによって、約50sの高ひずみ速度で約10
回の繰返し負荷を受ける。本研究では、SUS316L及びその溶接材のギガサイクル領域における疲労強度を超音波疲労試験により調査した。その結果、母材では10
回までに明確な疲労限度は観測されなかった。一方、浸透探傷検査により欠陥が観測されなかった溶接材では、応力集中部である試験片中央部に溶接部を配置した試験片において、溶接ビード及び裏波を除去した場合は、母材よりも疲労強度が高くなる傾向が見られた。一方、溶接ビード及び裏波を除去しない場合は、溶接止端部への応力集中により、母材と比較して著しい疲労強度の低下が観測された。
直江 崇; 涌井 隆; 木下 秀孝; 粉川 広行; 羽賀 勝洋; 原田 正英; 高田 弘; 二川 正敏
Journal of Nuclear Materials, 506, p.35 - 42, 2018/08
被引用回数:6 パーセンタイル:59.55(Materials Science, Multidisciplinary)J-PARCの核破砕中性子源の水銀ターゲット容器(SUS316L製)は、ビーム窓と呼ばれる厚さ3mmの先端部分が、陽子線励起圧力波よるキャビテーションにより壊食損傷する。この損傷は容器の構造健全性を低下させ、容器の寿命の決定因子となっている。我々は、2014年からキャビテーション損傷及びそれを誘発する圧力波を低減するために、気泡注入に加えて狭隘流路を設置することで、ビーム窓の水銀流速を速める2重壁構造を採用し、300500kWの強度で運転を行った。使用済みの容器を切断し、内壁を観察した結果、狭隘流路の内側で最大深さ約25
mの帯状の損傷が観測された。この原因を調べるために、負圧の持続時間に着目した圧力波伝ぱ解析を実施した結果、ビーム入射直後から1msまでに生じる負圧の持続する時間をマッピングした結果と、形成された損傷の分布がよく対応しており、比較的短時間の負圧によって生じるキャビテーションが損傷形成に寄与していることを示唆した。
涌井 隆; 若井 栄一; 直江 崇; 新宅 洋平*; Li, T.*; 村上 一也*; 鹿又 研一*; 粉川 広行; 羽賀 勝洋; 高田 弘; et al.
Journal of Nuclear Materials, 506, p.3 - 11, 2018/08
被引用回数:3 パーセンタイル:35.39(Materials Science, Multidisciplinary)J-PARCの核破砕中性子源の水銀ターゲット容器は、水銀容器と二重壁構造を持つ保護容器からなる薄肉(最小3mm)の多重容器構造で、TIG溶接により組み立てられる複雑な構造を持つ。容器の健全性を評価するためには、溶接部等の欠陥を正確に測定することが重要である。溶接部の非破壊検査方法として、放射線透過試験では検出が難しい欠陥形状等もあるので、超音波探傷試験の併用が有効である。JISで規定されている非破壊の超音波探傷試験方法では、厚さが6mm以上のものを対象としているため、薄肉構造の本容器の検査には適用できない。そこで、より有効な検査方法を開発するため、寸法が分かっている微小な欠陥を持つ試料に対して、様々な超音波探傷法による測定を試みた。その結果、最新のフェーズドアレイ法(FMC/TFM)では、計測値(約1.3mm)と実寸法(約1.2mm)とほぼ同じであり、これまで、欠陥測定が困難であった薄肉構造においても、正確な欠陥検知が可能であることが初めて分かった。
甲斐 哲也; 内田 敏嗣; 木下 秀孝; 関 正和; 大井 元貴; 涌井 隆; 羽賀 勝洋; 春日井 好己; 高田 弘
Journal of Physics; Conference Series, 1021(1), p.012042_1 - 012042_4, 2018/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.11At J-PARC an Off-gas processing system has been utilized to a purging process before the target vessel replacement and an air-flow control procedure to minimize radioactivity release during the replacement. In 2011 the first replacement was carried out after a 500 MWh operation, and the tritium release was measured. It was suggested that the tritium release must be less than that measured at the replacement in 2011 even at the nominal operation of 5,000 MWh. Some procedures of an air-flow control and a rubber plug insertion have been introduced from the replacements in 2013, resulting that the amount of tritium release could be reduced to less than that released in 2011 at the nominal operation.
羽賀 勝洋; 粉川 広行; 涌井 隆; 直江 崇; 高田 弘
Journal of Nuclear Science and Technology, 55(2), p.160 - 168, 2018/02
被引用回数:5 パーセンタイル:52.69(Nuclear Science & Technology)J-PARCの核破砕中性子源で稼働中の水銀ターゲット容器は、水冷却流路を有する保護容器で水銀容器を覆う薄肉の多重容器構造であり、ステンレス316L鋼を材料に用いている。2015年、陽子ビーム出力500kWで運転中に保護容器から冷却水が滲出する事象が発生したため、原因究明の調査を行った。目視検査、模擬体による試験や解析評価の結果から、製作過程において水銀容器と保護容器を締結するボルト頭部の溶接で生じた大きな熱応力により隣接する拡散接合に欠陥が生じ、更にビーム運転中のビームトリップ毎に付加される繰り返し熱応力による熱疲労で、シール溶接部に欠陥が生じたことが原因と考えられた。このことから、製作過程における溶接部の初期欠陥を排除し、溶接構造部の堅牢性と信頼性を確保する重要性が改めて認識された。次の水銀ターゲット容器は、ワイヤー放電加工による一体構造の部品を多用し、溶接個所を低減するとともに、初期欠陥を排除すべく試験検査を強化するなど大幅な改良を施し製作された。この水銀ターゲット容器のビーム運転は2017年10月から開始される予定である。
高田 弘; 羽賀 勝洋; 勅使河原 誠; 麻生 智一; 明午 伸一郎; 粉川 広行; 直江 崇; 涌井 隆; 大井 元貴; 原田 正英; et al.
Quantum Beam Science (Internet), 1(2), p.8_1 - 8_26, 2017/09
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設では、パルス核破砕中性子源から高強度かつ狭いバルス幅の中性子を供給し、多様な中性子科学研究の推進に役立てている。この核破砕中性子源の構成機器は、エネルギー3GeV、繰り返し25Hz、強度1MWという世界最高クラスの強度の陽子ビームで駆動されルことを前提に設計されており、水銀ターゲットと3種類の液体パラ水素モデレータがその中枢の機器である。目標とする1MWの陽子ビームによる運転に向けて、まだ途上段階にあるが、本報告では、この核破砕中性子源のターゲット・モデレータ・反射体システムの特色ある性能について解説する。
粉川 広行; 直江 崇; 二川 正敏; 羽賀 勝洋; 涌井 隆; 原田 正英; 高田 弘
Journal of Nuclear Science and Technology, 54(7), p.733 - 741, 2017/07
被引用回数:10 パーセンタイル:74.53(Nuclear Science & Technology)J-PARCの核破砕中性子源では、中性性ビームを生成するために水銀ターゲットシステムを運転している。水銀ターゲットでは、大強度のパルス陽子ビームが入射することによって水銀の急激な発熱により圧力波が発生する。圧力波によって、水銀を内包するターゲット容器に繰返し応力だけでなくキャビテーション損傷を引き起す。圧力波を低減することは、ターゲット容器の寿命を保つ上で非常に重要な課題である。我々は、微小気泡を水銀中に注入し、圧力波を低減する技術の開発を行っており、今回、微小気泡発生器を水銀ターゲット容器に実装し、圧力波により励起されるターゲット容器の変位速度をその場診断装置で測定し、陽子ビーム条件や微小気泡の効果を調査した。その結果、ターゲット容器の変位速度は微小気泡により減少し、変位速度のピーク値は、気泡の注入量が0.4%, 0.1%の場合、気泡を注入しない場合に比べて各々1/3, 2/3に低減することを明らかにした。