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山口 瑛子; 奥村 雅彦; 河村 直己*; 高橋 嘉夫*
Science of the Total Environment, 964, p.178585_1 - 178585_13, 2025/02
粘土鉱物の吸着反応にはまだ未解明な点が多く残されており、その原因の一つは吸着サイトが複数存在することである。それぞれの吸着サイトの寄与量は吸着イオンの濃度に依存することが知られており、主に高濃度試料を分析する原子レベルでの研究結果と低濃度試料が多い環境試料の分析結果の包括的な理解に課題がある。そこで本研究では、放射光を用いた実験や第一原理計算を組み合わせることで、吸着濃度に応じて吸着サイト及び吸着イオンの局所構造が系統的に変化する様子を原子レベルで捉え、吸着イオンと粘土鉱物の相互作用がイオン結合的であることを示した。
高橋 嘉夫*; 山口 瑛子; 蓬田 匠
Treatise on Geochemistry, 3rd edition, Vol.6, p.105 - 150, 2025/00
放射性核種の環境地球化学は、近年の測定技術などの発展に伴い、さまざまな研究対象へ新しいアプローチが展開されている。本レビュー論文では、放射性核種の環境地球化学分野における過去1015年間のいくつかのトピックについて議論した。特に、2011年の福島第一原子力発電所事故で放出された放射性核種の移行に関する研究、X線吸収微細構造分光法の開発と放射性核種の地球化学過程への応用の2つのトピックを中心に取り上げて概説している。
長澤 真*; 清水 祐輔*; 山口 瑛子; 徳永 紘平; 向井 広樹*; 青柳 登; Mei, H.; 高橋 嘉夫*
Chemical Geology, 670, p.122431_1 - 122431_25, 2024/12
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Geochemistry & Geophysics)Typical vertical profiles of ion-adsorption type rare earth element deposits (REE-IADs) discovered in the central Japan were studied by various speciation analyses including X-ray absorption fine structure (XAFS) and laser-induced fluorescence (LIF) spectroscopy combined with transmission electron microscope (TEM) and adsorption/desorption experiments. The results revealed that REE speciation, migration and enrichment in the weathered granite is largely controlled by soil pH which control the variable charges of kaolinite as the REE host phase. The distribution coefficient Kd, together with the soil pH, increases as the depth increase, resulting in (i) REE dissolution and migration in upper layers near the surface acidic environment where hydroxyls of kaolinite basal surfaces and edges are deprotonated to a lesser degree and (ii) REE accumulation in relatively high pH environment below the surface where hydroxyls of kaolinite basal surfaces and edges deprotonated to a larger degree to produce variable charges as adsorption sites for REEs. The increase of soil pH above 6 in deeper layers promotes inner-sphere complexation of REEs. The inner-sphere complexation inhibits the ion-exchange extraction of REEs, but the inner-sphere complexes can be still extracted by lowering the pH, which suggests the adsorption of inner- and outer-sphere complexes is reversible. This fact is important both from (i) understanding of vertical profile of REE with variation of pH and (ii) effective recovery of REE from weathered granite at all the depths in the enriched layer.
山口 瑛子; 高橋 嘉夫*; 奥村 雅彦
Isotope News, (796), p.21 - 23, 2024/12
粘土鉱物は土壌中に豊富に存在し、多くの陽イオンを吸着することから様々な元素の環境動態を支配している。粘土鉱物の吸着の強さは分子レベルの吸着構造によって異なるため、分子レベルの吸着構造が何によって決定するのか、系統的な理解が重要である。本研究では、広域X線吸収微細構造(EXAFS)測定と第一原理シミュレーションを用いて、ラジウムをはじめとした多くの陽イオンの吸着構造を系統的に解明した。その結果、吸着構造の決定には吸着イオンの大きさと水和エンタルピーが重要であるということを示した。
小栗 香里; 羽倉 尚人*; 山口 瑛子; 奥村 雅彦; 松浦 治明*; 綱嶋 康倫; 青木 勝巳; 荒井 陽一; 渡部 創
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 556, p.165516_1 - 165516_8, 2024/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Instruments & Instrumentation)人形峠は日本で操業されたウラン鉱山であり、鉱山の地下水にはウラン(U)、ラジウム(Ra)などの各種放射性元素が微量ながら依然として存在し、その挙動は十分に解明されていない。金属イオンと鉱さい中の土壌・粘土鉱物との相互作用により、金属の化学的形態や組成が変化したり、鉱物に金属が吸着したりすると考えられる。また、吸着により、地下水に流れ出た放射性元素は土壌中を移動する間に吸着し保持される。このような粘土鉱物との相互作用は金属漏出の予測に重要であるため、系内の種分化には基本的な化学相互作用の検証が必要である。本研究では、スラグ堆積物の土壌中の金属酸化物と粘土鉱物の組成を調査し、さまざまなイオンの吸着構造の系統性を調べた。スラグ・土壌に含まれる鉱物の組成や化学形態を特定することは、安全性評価や周辺環境への影響評価に有用な情報を提供する。金属(水)酸化物や一部の粘土鉱物に含まれる局所構造を解明するために、拡張X線吸収微細構造(EXAFS)解析を実施し、粒子誘起X線放出(PIXE)による各元素の定量分析を実施した。
宇野 功一郎*; 奥村 雅彦; 中尾 淳*; 山口 瑛子; 矢内 純太*
Science of the Total Environment, 949, p.175012_1 - 175012_8, 2024/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)雲母鉱物が部分的に風化して生成するフレイドエッジサイト(FES)は、Csイオンを選択的に吸着するが、その詳細なメカニズムは未解明であった。これを明らかにするため、本研究では、雲母の陽イオン抽出とCs吸着実験を行い、ルビジウムを吸着した雲母よりもカリウムを吸着した雲母の方がCsを多く吸着することがわかった。この原因を明らかにするため、セシウム、ルビジウム、カリウムがFESに吸着した構造の安定性を第一原理計算により評価した結果、Cs吸着前に存在する陽イオン種がカリウムであることがCsの安定性に重要であることがわかった。
田中 万也; 山路 恵子*; 升屋 勇人*; 富田 純平; 小澤 麻由美*; 山崎 信哉*; 徳永 紘平; 福山 賢仁*; 小原 義之*; Maamoun, I.*; et al.
Chemosphere, 355, p.141837_1 - 141837_11, 2024/05
本研究では生物性マンガン酸化物を用いて人形峠坑水からのラジウム除去実験を行った。その結果、7.6mgの生物性マンガン酸化物を用いて3L坑水中から98%以上のRaを除去することが出来た。これは固液分配係数に換算すると10
mL/gという非常に高い値となり、生物性マンガン酸化物が実際の坑水処理に有効であることを示している。
山口 瑛子; 栗原 雄一*; 永田 光知郎*; 田中 万也; 桧垣 正吾*; 小林 徹; 谷田 肇; 小原 義之*; 横山 啓一; 矢板 毅; et al.
Journal of Colloid and Interface Science, 661, p.317 - 332, 2024/05
被引用回数:5 パーセンタイル:76.51(Chemistry, Physical)ラジウム(Ra)は放射性元素であり、放射性廃棄物処理やウラン鉱山周辺の環境問題で重要なため、環境中Ra挙動の解明は急務である。しかし、Raは安定同位体が存在しないため分子レベルの実験が難しく、環境中で重要と考えられる粘土鉱物への吸着反応についても詳細なデータは得られていない。本研究では、広域X線吸収微細構造(EXAFS)法によりRaの分子レベルの情報を得る手法を確立し、さらに第一原理計算を利用することでRaの粘土鉱物への吸着構造を明らかにした。また、同族元素との比較を行い、粘土鉱物への吸着反応の系統的な理解に資する結果を得た。
山口 瑛子; 奥村 雅彦; 高橋 嘉夫*
Isotope News, (789), p.20 - 23, 2023/10
ラジウムはウランやトリウムから生成する放射性元素であり、ウラン鉱山周辺の環境汚染問題や地層処分で重要な元素である。さらにラジウムは放射年代測定やがん治療にも利用されるため、環境化学だけでなく、地球化学や核医学を含む多くの分野で重要となっている。しかし、ラジウムは安定同位体のない放射性元素であるため、分光法の測定が難しく、分子レベルの情報はこれまでほとんど得られていなかった。本研究では広域X線吸収微細構造法による測定と第一原理分子動力学シミュレーションを併用することで水和ラジウムの分子レベルの情報を世界で初めて明らかにした。
宇野 功一郎*; 中尾 淳*; 奥村 雅彦; 山口 瑛子; 小暮 敏博*; 矢内 純太*
日本土壌肥料学雑誌, 94(5), p.376 - 384, 2023/10
土壌のセシウム(Cs)吸着能の定量指標としてRadiocesium interception potential (RIP)が広く用いられてきたが、このRIPが実環境でのCsの分配係数()と必ずしも相関しないことがわかってきた。この原因を明らかにするため、より実環境に則した溶液を用いた
測定やRIPとの比較、鉱物の構造評価を行った。その結果、カリウムイオンやアンモニウムイオンなどの競合陽イオンの濃度が重要であることや、鉱物自体の構造変化が重要であることがわかった。
山口 瑛子
放射化学, (48), p.56 - 59, 2023/09
粘土鉱物への吸着反応は地球表層における様々なイオンの環境動態を支配する重要な化学反応であるが、粘土鉱物の組成が多様であり吸着サイトが複数存在するなど、反応が複雑であるために詳細は不明である。本研究では、粘土鉱物への吸着構造について原子レベルで着目し、X線吸収微細構造(XAFS)法や第一原理計算を組み合わせることで詳細な解明を行った。特に、これまで原子レベルでの測定が難しかった、アルカリ土類金属で最も大きいイオン半径を持つラジウムについてもXAFS測定を成功させ、他元素との比較を行うことで新しい知見を得た。
山口 瑛子
放射化学, (47), p.41 - 42, 2023/03
ラジウム(Ra)は環境化学や核医学などさまざまな分野で重要であるが、安定同位体が存在しないことや希ガスのラドンを生成することなどから取扱が難しく、水和構造ですら十分に解明されていなかった。本研究では、Raの広域X線吸収微細構造(EXAFS)を測定し、Raの水和状態及び粘土鉱物への吸着状態を解明した。さらに環境中ラジウムの挙動を調べるため旧ウラン鉱床周辺のコア試料分析を行ったところ、EXAFSの結果と整合する結果を得た。
Li, W.*; 山田 真也*; 橋本 直; 奥村 拓馬*; 早川 亮大*; 新田 清文*; 関澤 央輝*; 菅 大暉*; 宇留賀 朋哉*; 一戸 悠人*; et al.
Analytica Chimica Acta, 1240, p.340755_1 - 340755_9, 2023/02
被引用回数:10 パーセンタイル:68.01(Chemistry, Analytical)希土類元素は放射性元素であるアクチノイドのアナログ元素としてしばしば利用される。セリウム(Ce)は希土類元素の中でも+3価と+4価の両方をとり得る特別な元素である。環境試料中のCeの+3価と+4価の比を調べる手段としてX線吸収端近傍構造(XANES)が有力であったが、チタン濃度が高いと蛍光X線の干渉のために測定ができないという問題があった。本研究では、L吸収端だけでなくL
吸収端を調べ、さらに新しい検出器であるtransition-edge sensor (TES)を利用することでこれまでは測定が難しかった試料も測定可能にした。この結果は様々な環境試料に応用可能である。
小林 恵太; 山口 瑛子; 奥村 雅彦
Applied Clay Science, 228, p.106596_1 - 106596_11, 2022/10
被引用回数:9 パーセンタイル:70.29(Chemistry, Physical)粘土鉱物の一種であるカオリナイトの機械学習ポテンシャルを構築し、分子動力学法シミュレーションを実施することにより、カオリナイトの各種物性値を評価し、実験結果と比較した。その結果、原子構造や機械的特性を非常に良い精度で実験結果を再現することが確認された。さらに、構築した機械学習ポテンシャルを用いた分子動力学方シミュレーションで振動状態密度を評価したところ、古典分子動力学法や第一原理計算手法等の既存のシミュレーション手法では再現できなかった中性子非弾性散乱実験の結果をよく再現することがわかった。
山口 瑛子; 永田 光知郎*; 小林 恵太; 田中 万也; 小林 徹; 谷田 肇; 下条 晃司郎; 関口 哲弘; 金田 結依; 松田 晶平; et al.
iScience (Internet), 25(8), p.104763_1 - 104763_12, 2022/08
被引用回数:16 パーセンタイル:69.12(Multidisciplinary Sciences)ラジウム(Ra)は環境汚染やがん治療の観点から注目を集めている元素である。しかし、安定同位体が存在せず扱いが難しいことから、物理化学的に重要な水和構造さえも原子レベルでの観測が行われていない。本研究では、世界で初めて、広域X線吸収微細構造(EXAFS)法を用いたRa水和構造の解明を行った。また、第一原理計算による水和構造解明も実施し、実験ではわからない水分子のダイナミクスの解明を行った。両者の比較も行ったところ、実験と計算の結果はよく一致し、Raの第一水和圏における配位数や酸素との距離を解明した他、アナログ元素であるバリウムに比べて水分子の配位が弱いことがわかった。これらはRaの環境挙動解明やがん治療開発等に資する結果である。
山口 瑛子; 永田 光知郎*; 田中 万也; 小林 恵太; 小林 徹; 下条 晃司郎; 谷田 肇; 関口 哲弘; 金田 結依; 松田 晶平; et al.
放射化学, (45), p.28 - 30, 2022/03
ラジウム(Ra)は環境挙動の解明が急務な元素であるが、安定同位体を持たないため分光法の適用が難しく、水和構造でさえも十分に解明されていない。本研究では、Raの広域X線吸収微細構造(EXAFS)を測定し、世界で初めてRaの水和状態及び粘土鉱物への吸着状態を分子レベルで解明した。水和構造について第一原理計算を実施した結果、実験値と計算値は整合した。粘土鉱物において、Raは内圏錯体を形成し、環境中でRaが粘土鉱物に固定されることが示唆された。本稿では特に水和構造の結果について詳細に述べる。
山口 瑛子; 小林 恵太; 高橋 嘉夫*; 町田 昌彦; 奥村 雅彦
Chemical Physics Letters, 780, p.138945_1 - 138945_5, 2021/10
被引用回数:12 パーセンタイル:66.14(Chemistry, Physical)ラジウム(Ra)はウランやトリウムの放射壊変により生成する放射性元素であり、放射性廃棄物の処理や旧ウラン鉱山周辺の環境問題の解決において重要な元素であるが、安定同位体が存在しないといった取り扱いの難しさから、水和構造などの基本的な物理化学的性質さえも不明な点が多い。本研究では、周期律表上でRaより一周期小さいがRaと同族であり、イオンの価数や大きさが類似していることから、アナログ元素としてよく用いられるバリウムに着目し、その水和構造を第一原理分子動力学法のシミュレーションにより解明した。これまで研究が行われていない大きな系について、より水の計算に適している新しい汎関数を用いて第一原理計算を行うことでより高精度のシミュレーションを行い、X線吸収微細構造法の観測も行うことでシミュレーション結果の妥当性を確かめた。
小長谷 莉未*; 河村 直己*; 山口 瑛子; 高橋 嘉夫*
Chemistry Letters, 50(8), p.1570 - 1572, 2021/08
被引用回数:3 パーセンタイル:14.81(Chemistry, Multidisciplinary)アクチノイド元素のアナログ元素としても使用される希土類元素(REE)のうち、ユウロピウム(Eu)だけは+2価をとりえるため特異的な挙動を示すことが知られているが、天然試料中でのEuの化学状態評価は難しく、詳細なメカニズムの解明は行われていない。本研究では、天然試料中のEuの化学状態を高分解能X線吸収微細構造(XANES)法により解明したことを報告する。なお、問題解決に当たっては、ブラッグ式結晶アナライザを用いることで内殻電子寿命に起因するピークのブロード化を抑制し、他元素の干渉影響等を除いたことが糸口となった。得られた知見は、希土類元素やアクチノイド元素の環境動態解明に資する。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.
Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03
被引用回数:57 パーセンタイル:96.00(Astronomy & Astrophysics)2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200
Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。
小林 恵太; 中村 博樹; 山口 瑛子; 板倉 充洋; 町田 昌彦; 奥村 雅彦
Computational Materials Science, 188, p.110173_1 - 110173_14, 2021/02
被引用回数:24 パーセンタイル:75.80(Materials Science, Multidisciplinary)セメント水和物(セメントペースト)は建築材はもとより、放射性セシウムの閉じ込め材料として利用される。本論文はセメント水和物の代表的なモデル物質であるトバモライトの機械学習力場の構築を行ったものである。トバモライトに対し第一原理計算を実施し、様々な原子配置とそのポテンシャルデータを大量に生成し、ニューラルネットを用いた機械学習力場の学習を行った。構築した機械学習力場はトバモライトの弾性係数,振動状態密度をほぼ第一原理と同等の精度で計算可能であることを確かめた。また、機械学習分子動力学法を実行し、トバモライト細孔における水,イオンの輸送特性の解析を行った。