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山下 晋; 多田 健一; 吉田 啓之; 須山 賢也
日本原子力学会和文論文誌, 17(3/4), p.99 - 105, 2018/12
原子力機構では、原子炉過酷事故時における炉内構造物の溶融とその移行挙動を機構論的に明らかにし、既存SA解析コードが持つ溶融移行挙動解析における不確かさの低減を図ることなどを目的として、数値流体力学的手法に基づく溶融物の炉内移行挙動、蓄積予測手法JUPITERの開発を行なっている。本報告では、デブリの移行などにより変化する組成分布に基づき再臨界の可能性を推定できる手法の構築を検討するため、JUPITERにより計算したシビアアクシデントを模擬して計算した溶融燃料などの移行・蓄積によるデブリの分布に基づき、連続エネルギーモンテカルロコードMVPによる核計算を実施した。これら結果から、得られた組成分布に対する臨界の可能性の検討を行い、JUPITERとMVPを連成させた解析により、詳細なデブリ分布予測に基づき再臨界可能性を評価することができる見通しを得た。
大塚 智史; 皆藤 威二; 矢野 康英; 山下 真一郎; 小川 竜一郎; 上羽 智之; 小山 真一; 田中 健哉
Journal of Nuclear Science and Technology, 50(5), p.470 - 480, 2013/05
被引用回数:5 パーセンタイル:38.34(Nuclear Science & Technology)BOR-60において9Cr-ODS鋼被覆管燃料ピンを含む4体の集合体の照射試験を実施した。4体の中で最高の燃焼度(ピーク: 11.9at%)及び最高照射量(ピーク: 51dpa)を達成した試験集合体は燃料破損等の問題なく、無事照射試験を完了することができた。これにより9Cr-ODS鋼被覆管としてのチャンピオンデータを取得することに成功した。一方、ピーク燃焼度10.5at%、ピーク照射量44dpaに達した試験集合体で9Cr-ODS鋼被覆管燃料ピンの破損が生じた。破損部近傍には特異な組織変化が生じていた。これら特異な照射挙動の原因究明を進めた結果、照射試験に供した9Cr-ODS鋼被覆管には超音波探傷検査で検知できなかった金属Cr介在物が存在し、これにBOR-60の高温照射が重畳したことが原因であることがわかった。
皆藤 威二; 大塚 智史; 矢野 康英; 丹野 敬嗣; 山下 真一郎; 小川 竜一郎; 田中 健哉
Proceedings of International Conference on Fast Reactors and Related Fuel Cycles; Safe Technologies and Sustainable Scenarios (FR-13) (USB Flash Drive), 11 Pages, 2013/03
高燃焼度燃料被覆管候補材料として原子力機構で開発を進めているODSフェライト鋼被覆管の照射特性を把握し、高速炉燃料としての適用性を判断するために「常陽」とBOR-60で照射試験を実施した。「常陽」では、照射温度693から1108Kの範囲で照射量33dpaまでの材料照射試験を実施し、照射後の強度特性や組織安定性等に関するデータを取得した。BOR-60では、燃焼度11.9at%、照射量51dpaまでの燃料ピン照射試験を実施し、燃料との共存性(被覆管内面腐食)や寸法安定性に関するデータを取得した。これらの結果から、ODSフェライト鋼被覆管の高速炉燃料としての優れた照射特性が確認できた。本論文では、これら照射試験で得られたODSフェライト鋼被覆管の照射特性について評価した結果を述べる。
矢野 康英; 小川 竜一郎; 山下 真一郎; 大塚 智史; 皆藤 威二; 赤坂 尚昭; 井上 賢紀; 吉武 庸光; 田中 健哉
Journal of Nuclear Materials, 419(1-3), p.305 - 309, 2011/12
被引用回数:20 パーセンタイル:81.43(Materials Science, Multidisciplinary)高速実験炉「常陽」のCMIR-6で照射したODS鋼被覆管のリング引張特性に及ぼす照射効果に関して調査を行った。照射条件範囲は、照射温度6931108Kと照射量1633dpaであった。照射温度923K未満では強度特性に変化は見られなかったが、1023Kでは20%の強度低下が見られた。一方、照射後の一様伸びは、すべての照射条件で2%以上確保されていた。本照射条件範囲ではODS鋼被覆管は、一般的な11Crフェライト/マルテンサイト鋼であるPNC-FMS被覆管と比較しても優れた引張特性を維持していることが明らかになった。
大塚 智史; 皆藤 威二; 矢野 康英; 山下 真一郎; 小川 竜一郎; 上羽 智之; 小山 真一; 田中 健哉
Proceedings of International Conference on Toward and Over the Fukushima Daiichi Accident (GLOBAL 2011) (CD-ROM), 6 Pages, 2011/12
9Cr及び12Cr-ODS鋼被覆管の炉内健全性評価結果についてまとめた。9Cr及び12Cr-ODS鋼被覆管燃料ピンの照射試験を実施し、ピーク燃焼度11.9at%、ピーク照射量51dpaまでの照射を健全に完了し、ODS鋼被覆管燃料ピンとしてのチャンピオンデータを取得することができた。一方で、ピーク燃焼度10.5at%まで照射したもう一体の集合体において、12Cr-ODS鋼燃料ピンは健全に照射を完了したが、9Cr-ODS鋼燃料ピン1本の破損が生じた。破損部の組織調査を実施した結果、不定形の粗大析出物が形成した特異な組織変化が認められた。この9Cr-ODS鋼における燃料破損と特異な組織変化の原因究明を進めた結果、超音波探傷検査で検知できなかった金属Cr介在物が9Cr-ODS鋼被覆管中に存在し、これに高温照射が重畳したことが原因であることが判明した。次のステージ(2011-2013)では、製造プロセス中で単体金属元素粉末の取り扱いを行わない完全プレアロイ法による均質被覆管の製造技術開発を行うこととした。
内海 有希*; 佐藤 仁*; 栗原 秀直*; 間曽 寛之*; 平岡 耕一*; 小島 健一*; 飛松 浩明*; 大河内 拓雄*; 藤森 伸一; 竹田 幸治; et al.
Physical Review B, 84(11), p.115143_1 - 115143_7, 2011/09
被引用回数:11 パーセンタイル:44.51(Materials Science, Multidisciplinary)典型的な価数揺動系であるYbInCuの価電子状態を、硬X線内殻光電子分光,軟X線吸収実験、及び軟X線光電子分光の温度依存性の実験から研究した。YbInCuの価数転移について、価電子帯からYb 4状態への電荷移動で記述した。
前原 常弘*; 宮本 一平*; 黒河 賢哉*; 橋本 幸生*; 岩前 敦; 倉本 誠*; 山下 浩*; 向笠 忍*; 豊田 洋通*; 野村 信福*; et al.
Plasma Chemistry and Plasma Processing, 28(4), p.467 - 482, 2008/08
被引用回数:54 パーセンタイル:87.7(Engineering, Chemical)Radio frequency (RF) plasma in water was used for the degradation of methylene blue. The fraction of decomposition of methylene blue and the intensity of the spectral line from OH radical increased with RF power. RF plasma in water also produced hydrogen peroxide. The density of hydrogen peroxide increased with RF power and exposure time. When pure water (300 mL) is exposed to plasma at 310 W for 15 min, density of hydrogen peroxide reaches to 120 mg/L. Methylene blue after exposed to plasma degraded gradually for three weeks. This degradation may be due to chemical processes via hydrogen peroxide and tungsten. The comparison between the experimental and calculated spectral lines of OH radical (A-X) shows that the temperature of the radical is around 3,500 K. Electron density is evaluated to be 3.510 m from the stark broadening of the H line.
山下 健也*; 北畠 真*; 楠本 修*; 高橋 邦匡*; 内田 正男*; Miyanaga, Ryoko*; 伊藤 久義; 吉川 正人
Materials Science Forum, 389-393, p.1037 - 1040, 2002/00
被引用回数:3 パーセンタイル:16.1(Materials Science, Multidisciplinary)高温酸素中で炭化ケイ素(SiC)表面に酸化膜(SiO)を作製すると、酸化膜と炭化ケイ素の界面(SiO/SiC界面)には、界面中間層と呼ばれる酸化膜でも炭化ケイ素でもない層が形成されることが知られている。この層には炭素が多量に存在しており、MOS構造を形成したときの界面準位発生の原因になっていると考えられている。今回の発表では、水素燃焼酸化法を用いて4H-SiC表面に作製した酸化膜に水蒸気アニーリングを施した試料と施さない試料について、それぞれの酸化膜中の炭素濃度を二次イオン質量分析(SIMS)法によって分析し、炭素の酸化膜内部の深さ方向分布を調べた。その結果、水蒸気アニーリングを施した試料からは多量の炭素が検出されたが、施さなかった試料からは検出されなかった。このことから、酸化によって発生した界面中間層の内部に存在する炭素が、水蒸気アニーリングによって酸化され、酸化膜内部に再分布する可能性が示唆された。
山下 真一郎; 矢野 康英; 大塚 智史; 皆藤 威二; 赤坂 尚昭; 井上 賢紀; 吉武 庸光; 西野入 賢治; 小山 真一; 田中 健哉
no journal, ,
原子力機構では、実用化段階の高速炉用燃料被覆管として高温強度特性と耐スエリング性を具備する酸化物分散強化型(以下、ODS)フェライト鋼の材料開発を行い、現在は「常陽」等を用いて実用化に必要な照射特性に関するデータ整備を進めている。本試験では、基本組成がFe-0.13C-9Cr-2W-0.20Ti-0.35YOのマルテンサイト系ODS鋼とFe-0.03C-12Cr-2W-0.30Ti-0.23YOのフェライト系ODS鋼の2種類を、高速実験炉「常陽」の材料照射リグ(SVIR, CMIR)を用いて、400750Cの温度条件範囲で最大40.5 dpaまで中性子照射した。これらに対する照射挙動評価のために、金相組織観察,リング引張試験,硬さ測定,組織観察及び元素分析等の試験を実施した。引張試験結果からは、照射に伴い伸び特性が若干低下する傾向が示されたが、低温範囲で最も懸念されていた降伏応力の上昇と伸びの低下(いわゆる、照射硬化現象)は、本照射条件範囲においてほとんど生じていないことが明らかとなった。また、照射前後における微細組織観察から、照射前の複雑な組織状態は、いずれの照射後組織においても著しい組織変化を示すことなく、安定に存在していることが示された。
矢野 康英; 皆藤 威二; 大塚 智史; 山下 真一郎; 井上 賢紀; 田中 健哉; Povstyanko, A. V.*
no journal, ,
ODS鋼被覆管の燃料ピンとしての照射健全性評価を目的として、ロシアの高速実験炉BOR-60を用いた燃料ピン照射試験を実施した。本発表では、照射後試験で得られたODS鋼被覆管の寸法安定性や燃料との共存性のデータを紹介するとともに、一部の燃料ピンで発生した照射特性懸案事項について報告する。
矢野 康英; 山下 真一郎; 大塚 智史; 皆藤 威二; 小山 真一; 田中 健哉
no journal, ,
高速実験炉「常陽」のCMIR-6で照射したODS鋼被覆管のリング引張特性に及ぼす照射効果に関して調査を行った。照射条件範囲は、693-1108Kと照射量16-33dpaであった。本照射条件範囲内ではODS鋼被覆管は、一般的な11Crフェライト/マルテンサイト鋼であるPNC-FMS被覆管と比較しても優れた引張特性を維持していることが明らかになった。
榊 泰直; 西内 満美子; 前田 祥太; 石田 祥大*; 山下 智弘*; 片平 慶*; Pikuz, T.; Faenov, A.*; Esirkepov, T. Z.; Pirozhkov, A. S.; et al.
no journal, ,
原子力機構が研究を進めているレーザー駆動イオン加速においては、高強度フェムト秒レーザーによって数十MeVのイオン加速というや、アルミを高電荷状態にして10MeV/核子に加速するなど、世界でトップクラスのイオン加速が可能な状況になっている。レーザー駆動粒子線加速(陽子や重イオン)を効率的行うためには、その加速メカニズムに寄与するパラメータの一つである電子温度を、イオンの加速エネルギーと関連づけて解析する必要がある。我々は、現在利用している電子温度診断の手法を高度化し、多角的に計測することで精度の高い診断を行うことを目指している。その進捗について講演する。
山下 晋; 多田 健一; 吉田 啓之; 須山 賢也
no journal, ,
原子力機構では、原子炉過酷事故時における炉内構造物の溶融とその移行挙動を機構論的に明らかにし、既存SA解析コードが持つ溶融移行挙動解析における不確かさの低減を図ることなどを目的として、数値流体力学的手法に基づく溶融物の炉内移行挙動、蓄積予測手法JUPITERの開発を行なっている。本報告では、デブリの移行などにより変化する組成分布に基づき再臨界の可能性を推定できる手法の構築を検討するため、JUPITERにより計算したシビアアクシデントを模擬して計算した溶融燃料などの移行・蓄積によるデブリの分布に基づき、連続エネルギーモンテカルロコードMVPによる核計算を実施した。これら結果から、得られた組成分布に対する臨界の可能性の検討を行い、JUPITERとMVPを連成させた解析により、詳細なデブリ分布予測に基づき再臨界可能性を評価することができる見通しを得た。