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論文

Spin-orbital magnetic response of relativistic fermions with band hybridization

荒木 康史; 末永 大輝*; 鈴木 渓; 安井 繁宏*

Physical Review Research (Internet), 3(2), p.023098_1 - 023098_17, 2021/05

相対論的フェルミオンのスピンは軌道自由度と強い相関を持つ。このような相対論的粒子と非相対論的粒子が混在する場合の効果として、本研究ではスピン-軌道帯磁率に着目する。スピン-軌道帯磁率は軌道磁場(粒子の軌道運動に対してベクトルポテンシャルとして働く磁場の効果)に対するスピン偏極の応答として定義されるものであり、スピン-軌道相互作用に起因するものである。理論解析の結果、相対論的粒子と非相対論的粒子の混成がある場合、スピン-軌道帯磁率はバンド混成点近傍のフェルミエネルギーで変化することが示された。この混成効果により、磁場下では非相対論的粒子のスピン偏極も誘起されることが明らかになった。さらにこの混成効果は、熱平衡を破るような動的な磁場の摂動下では増強されることを明らかにした。スピン-軌道帯磁率に対するこれらの効果は、固体中のディラック電子に対する結晶対称性の破れや不純物ドープ、および相対論的重イオン衝突における軽いクォークと重いクォークの混成といった状況下で、実験的に実現されうることを議論する。

論文

Chiral separation effect catalyzed by heavy impurities

末永 大輝*; 荒木 康史; 鈴木 渓; 安井 繁宏*

Physical Review D, 103(5), p.054041_1 - 054041_17, 2021/03

 被引用回数:1 パーセンタイル:63.46(Astronomy & Astrophysics)

本論文ではクォーク物質中のカイラル分離効果に対して、近藤効果、すなわち重い不純物による非摂動的効果が与える影響を議論する。カイラル分離効果は、相対論的フェルミオンが磁場下でカイラリティ依存のカレント(軸性カレント)を示す現象であり、クォーク物質等の相対論的フェルミオンに特徴的な現象である。本研究では、軽いクォークと重いクォークによって構成される近藤凝縮を含む有効模型に基づき、静的および動的な磁場下での軸性カレントの応答関数を評価した。その結果、磁場が静的・動的どちらの場合も、近藤効果によりカイラル分離効果は増強されることが示された。特に動的な磁場下では、カイラル分離効果は約3倍に増強されることを明らかにした。以上の効果により、クォーク物質中に不純物として含まれる重いクォークは、磁場下での軽いクォークのカレントに対して重要な役割を果たすことが示唆される。

論文

Two relativistic Kondo effects; Classification with particle and antiparticle impurities

荒木 康史; 末永 大輝*; 鈴木 渓; 安井 繁宏*

Physical Review Research (Internet), 3(1), p.013233_1 - 013233_12, 2021/03

本論文では、不純物自由度の性質によって類別される二種類の相対論的近藤効果について、理論的考察を行う。特に、軽いディラックフェルミオンと重い不純物フェルミオンから構成される「凝縮」を含む基底状態の分散関係に注目する。ここでの重いフェルミオン自由度は、高エネルギー物理学においてヘビークォーク有効理論(HQET)として知られている有効理論(すなわち、ディラックフェルミオンに対して非相対論的極限をとることで得られる低エネルギー有効理論)を用いて記述される。ここでは二種類のHQETを採用し、一つ目のHQETは重いフェルミオンの粒子成分のみを含み、二つ目のHQETは粒子成分と反粒子成分の両方を含む(粒子と反粒子は逆のパリティを持つ)。これらの二つの有効理論から定性的に異なる二種類の近藤効果が現れることを示す。二種類の近藤効果を比較すると、フェルミ面近傍における(近藤効果としての)性質は類似している一方、運動量が小さい領域(赤外領域)のバンド構造は異なることが分かる。これらの近藤効果はディラック/ワイル反金属やクォーク物質における観測量に影響するだけでなく、格子シミュレーションや冷却原子シミュレーションによって数値的に検証されることが期待される。

論文

Kondo effect driven by chirality imbalance

末永 大輝*; 鈴木 渓; 荒木 康史; 安井 繁宏*

Physical Review Research (Internet), 2(2), p.023312_1 - 023312_13, 2020/06

近藤効果はフェルミ面近傍の軽いフェルミオンと重い不純物との相互作用によって引き起こされ、物質の電気的・熱的・輸送的性質に影響を及ぼす。一方、カイラリティ(右巻き・左巻き)はディラック粒子・ワイル粒子などの相対論的フェルミオンが持つ基本的な性質の一つである。通常の物質においては右巻き・左巻き粒子の数は均衡しているが、これらが不均衡となる系もクォーク物質や電子系において興味が持たれている。本論文では、相対論的フェルミオンのカイラリティ不均衡(有限の「カイラル化学ポテンシャル」を持つ系)によって生じる近藤効果を理論的に提案した。この効果は右巻き(または左巻き)の軽いフェルミオンと重い不純物粒子との混合によって引き起こされるが、これは有限密度(化学ポテンシャル)によって生じる通常の近藤効果とは少し異なる状況である。我々は相対論的フェルミオンと不純物粒子間の相互作用を持つ有効模型を構築し、(1)摂動計算と(2)平均場近似による非摂動的アプローチの二つの手法を用いてこの効果が実現することを示した。さらに、近藤効果に対する温度依存性・結合定数依存性・感受率の振る舞いや相転移の次数などを議論した。このような近藤効果の性質は、将来的な格子シミュレーションで検証されることが期待される。

論文

QCD Kondo excitons

末永 大輝*; 鈴木 渓; 安井 繁宏*

Physical Review Research (Internet), 2(2), p.023066_1 - 023066_11, 2020/04

QCD近藤効果は、高密度クォーク物質中においてチャームクォーク・ボトムクォークなどのヘビークォークが不純物として存在するときに生じる量子現象である。本論文では、QCD近藤効果の実現した基底状態から励起されるエキシトンモードが束縛状態として存在することを予言し、その詳細な性質を調べた。具体的には、平均場近似に基づいてQCD近藤効果を記述する有効模型を構築し、励起モードとして実現可能な量子数(スピンやパリティ)やそれらの分散関係を調べた。これらのエキシトンは電気的・カラー的に中性になることができるため、(電荷やカラー荷を持つ粒子とは異なり)輸送現象における「中性カレント」として出現し、電気伝導や熱伝導に対するヴィーデマン・フランツ則の破れに寄与することが期待される。このような近藤エキシトンは、ディラック粒子やワイル粒子のような「相対論的」フェルミオンに対する近藤効果における普遍的な物理現象であり、クォーク物質に限らずディラック・ワイル電子系への応用も期待される。

論文

Flavor-singlet hidden charm pentaquark

入江 陽也*; 岡 眞; 安井 繁宏*

Physical Review D, 97(3), p.034006_1 - 034006_12, 2018/02

 被引用回数:11 パーセンタイル:66.25(Astronomy & Astrophysics)

$$P_{cs}$$ペンタクォークのクォーク模型による解析を行った。

論文

Exotic hadrons from heavy ion collisions

Cho, S.*; 兵藤 哲雄*; 慈道 大介*; Ko, C. M.*; Lee, S. H.*; 前田 沙織*; 宮原 建太*; 森田 健司*; Nielsen, M.*; 大西 明*; et al.

Progress in Particle and Nuclear Physics, 95, p.279 - 322, 2017/07

AA2016-0538.pdf:0.65MB

 被引用回数:54 パーセンタイル:86.05(Physics, Nuclear)

RHICやLHCでの検出器の性能向上により、高エネルギー重イオン衝突において基底状態だけでなく励起状態のハドロンも測定できるようになった。そこで、重イオン衝突はハドロン分子状態やマルチクォーク状態などのエキゾチックハドロンの新しい手法となる。エキゾチックハドロンの構造は量子色力学の基本的性質と関連しているので、これらを研究することはハドロン物理の最も精力的な話題の一つである。本レビューでは、重イオン衝突で測定できるようなエキゾチックハドロン候補の幾つかに対して、現在の理解をまとめる。

論文

Two-body wave functions, compositeness, and the internal structure of dynamically generated resonances

関原 隆泰; 兵藤 哲雄*; 慈道 大介*; 山縣(関原) 淳子*; 安井 繁宏*

Proceedings of Science (Internet), 8 Pages, 2017/05

In this contribution, I introduce the physical meaning of the compositeness, its expression, and theoretical evaluation in effective models. In particular, we show that the two-body wave function of the bound state corresponds to the residue of the scattering amplitude at the bound state pole, which means that solving the Lippmann-Schwinger equation at the bound state pole is equivalent to evaluating the two-body wave function of the bound state. Then, we evaluate the compositeness for the so-called dynamically generated resonances in the chiral unitary approach, such as $$Lambda (1405)$$, $$N (1535)$$, and $$N (1650)$$, and investigate their internal structure in terms of the hadronic molecular components.

論文

Structure of charmed baryons studied by pionic decays

永廣 秀子*; 安井 繁宏*; 保坂 淳; 岡 眞; 野海 博之*; 野海 博之*

Physical Review D, 95(1), p.014023_1 - 014023_20, 2017/01

 被引用回数:39 パーセンタイル:92.61(Astronomy & Astrophysics)

重クォーク対称性を取り入れたクォーク模型による解析に対応したハドロンの内部構造を探索する目的で、チャームバリオンの崩壊過程に注目した。知られている共鳴状態$$Lambda^*_c(2595)$$, $$Lambda^*_c(2625)$$, $$Lambda^*_c(2765)$$, $$Lambda^*_c (2880)$$, $$Lambda^*_c(2940)$$および$$Sigma_c(2455)$$$$Sigma*_c(2520)$$がパイオンを1個放出する崩壊幅を計算した。得られた崩壊幅はいずれも実験的に求められているものとよく一致し、さらにいくつかの重要な予言を与える。低い$$Lambda_c$$共鳴の崩壊幅を再現するには、パイオン放出の軸性ベクトル結合が重要であることを指摘した。$$Sigma_c$$共鳴および$$Sigma^*_c$$共鳴へ崩壊する幅の比が高い$$Lambda_c$$共鳴の性質を探索する上で鍵となることを示した

口頭

非相対論的フェルミオンとディラックフェルミオンが結合した系の帯磁率

荒木 康史; 末永 大輝*; 鈴木 渓; 安井 繁宏*

no journal, , 

物質中の電子のバンド構造においては、しばしば相対論的なディラック・ワイルノード構造が現れる。ディラック・ワイルノード構造は必ずしも単独で現れるわけではなく、他のバンドとの重なり・混成を示す電子系が多く見られる。このようなバンド混成の下で働く相対論的効果を理解するための指標として、本研究では「スピン-軌道交差帯磁率」に着目した。スピン-軌道交差帯磁率は磁場の軌道効果(ベクトルポテンシャル)に対するスピン分極の応答であり、電子系に働く相対論的効果(スピン-軌道相互作用)に依存する。本講演ではディラック粒子と非相対論的バンドを持つ粒子が混成した系を対象とし、その混成系におけるスピン-軌道交差帯磁率に関する理論研究の成果について報告する。我々はゼロ周波数の磁場下での熱平衡状態に基づいた平衡帯磁率と、有限周波数の磁場に対する動的帯磁率をそれぞれ評価し、バンド混成の下でこれらの比較を行った。その結果、特に動的帯磁率においては、バンド混成点近傍においてディラックバンドのみの交差帯磁率から大きなずれを示すことが明らかになった。これはバンド間遷移の効果に起因するものであり、ディラック粒子のスピン-運動量ロッキングの効果が、バンド混成により非相対論的バンドに移行したものと解釈できる。相対論的粒子と非相対論的粒子の混成系として、重イオン衝突実験等におけるクォーク物質に対する適用例についても述べる。

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