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吉田 尚生; 天野 祐希; 吉田 涼一朗; 大野 卓也; 田代 信介; 山根 祐一
Journal of Hazardous Materials, 513, p.142332_1 - 142332_20, 2026/07
四酸化ルテニウム(RuO
)は、有毒で揮発性の化合物であり、原子力再処理における高レベル放射性廃棄物(HLLW)の蒸発乾固事故(EDA)の際に生成・放出される可能性がある。RuO
に放射性同位元素(
Ru、
Ru)が含まれる場合、空気中の放射線による危険をもたらす。本研究では、現実的な組成の模擬HLLWを用いて、マトリックス効果、温度範囲、酸化剤など、環境に関連する条件下でのRuO
の生成を検証した。その結果、従来のモデルの主要な経路と限界が明らかになり、事故シナリオの予測精度が向上した。これらの結果は、核燃料サイクル運用における揮発性放射性物質の放出管理のための、より信頼性の高い環境リスク評価を支援するものである。
大野 卓也; 田代 信介; 天野 祐希; 吉田 尚生; 吉田 涼一朗; 山根 祐一
Journal of Nuclear Science and Technology, 63(6), p.603 - 611, 2026/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)この論文では、再処理施設における有機溶媒火災を模擬した燃焼試験において、高温層が形成された事例を初めて報告する。我々の目的は、火災事故の進行を定量的に予測するための数値モデルにボイルオーバー現象の要素を追加することである。溶媒中で高温層が形成されるとボイルオーバーの燃焼規模が増大するが、リン酸トリブチル(TBP)/ドデカン混合物の燃焼において高温層が形成されるかどうかはまだ明確ではなかった。この点を確認するため、ビーカースケールの燃焼試験を実施し、熱電対を用いて燃焼する溶媒の温度分布を測定した。その結果は以下の通りである。(1)ドデカンのみの燃焼では高温層は形成されなかった。(2)TBP/ドデカン混合物の燃焼では、ドデカンが溶媒中に残存している限り高温層は形成されなかった。(3)TBPのみを燃焼させた場合、高温層が形成された。これらの結果は、再処理施設で有機溶媒と硝酸溶液が混入した火災が発生した場合、高温層をともなうボイルオーバー現象が発生する可能性を示唆する。
Gubarevich, A.*; 久保 遼太郎*; 有阪 真; 大杉 武史; 吉田 克己*; 竹下 健二*
Journal of Nuclear Science and Technology, 63(6), p.667 - 676, 2026/06
被引用回数:1 パーセンタイル:54.69(Nuclear Science & Technology)多核種除去設備(ALPS)で発生する炭酸塩スラリー廃棄物を固定化・固化するため、これらの廃棄物をリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウム相に変換する化学変換プロセスと続いてそれらを緻密化する新しい低温焼結プレス(CSP)技術の導入について検討した。炭酸カルシウム-マグネシウムスラリーの模擬物をリン酸処理してリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムを合成し、CSPを用いて300-500
Cで焼結した。カルシウムとマグネシウムの比率、ストロンチウムの取り込み、および塩化ナトリウムの添加が相組成およびCSPの緻密化に及ぼす影響を調査した。バルクサンプルを作製し、X線回折、走査型電子顕微鏡、エネルギー分散型X線分光法、およびアルキメデス法を用いて特性評価を行った。これらの結果から、(1)化学変換プロセスによってウィットロカイトとニューベライトが形成され、カルシウムとマグネシウムの比率によってこれらの相の相対的な割合が決定されること、(2)ストロンチウムはウィットロカイトの結晶構造に効果的に組み込まれ、ニューベライトは脱水促進プロセスによって緻密化を促進すること、(3)塩化ナトリウムは化学変換に影響を与えず、最終的な固体生成物には含まれないことがわかった。これらの結果は、炭酸カルシウム-マグネシウムスラリーをウィットロカイト系リン酸塩セラミックスに直接変換し、その後CSPを行うことで安定した固化が可能になることを示しており、この方法がALPS炭酸塩スラリー廃棄物の管理に有望であることを示している。
山下 晋; 吉田 啓之
Journal of Nuclear Science and Technology, 19 Pages, 2026/04
被引用回数:0本研究では、過酷事故時における原子炉炉心内の三次元溶融物移動現象に対する機構論的CFDコードJUPITERの適用性について検討した。対象として、XR2-1 BWR金属溶融物移動実験を、非活性雰囲気下での溶融物移動挙動のみに着目した総合効果試験として解析した。燃料集合体、制御ブレード、および炉心下部支持構造を含むXR2-1試験部の詳細な三次元モデルを構築し、実験に基づく熱条件の下でSS/B4Cおよびジルカロイ溶融物の時間依存注入を模擬した。解析結果は、溶融物の移動経路の定性的比較および試験部主要領域における移動物質体積の定量的比較によって評価した。その結果、制御ブレードガイドチューブ、ノーズピースおよび入口ノズル、ならびにチャンネルボックス領域に沿った、実験で観測された3つの溶融物移動経路を、内部閉塞を形成することなく再現することに成功した。また、定量比較では、ほとんどの評価領域において試験後のX線断層撮影結果と良好な一致を示した。これらの結果は、JUPITERが複雑な炉心形状における三次元溶融物移動挙動を現実的に再現できることを示し、過酷事故における溶融物移動現象の評価において、大規模実験を補完する有用なツールとなる可能性を示唆している。一方で本研究では、現行のJUPITERコードを用いた燃料集合体内の溶融物移動挙動解析における主な課題として、輻射熱伝達計算に伴う過大な計算コスト、計算格子解像度の不足、ならびに流体-構造連成(FSI)モデルの未整備が挙げられた。
神谷 朋宏; 近藤 諒一; 福田 貴斉; 福田 航大; 多田 健一; 小野 綾子; 長家 康展; 吉田 啓之
JAEA-Data/Code 2025-021, 28 Pages, 2026/03
日本原子力研究開発機構は中性子輸送計算コードや熱流動計算コードなどのシングルフィジックスコードを結合するため、マルチフィジックス・シミュレーション・プラットフォームJAMPANを開発している。JAMPANは、HDF5形式のデータコンテナとシングルフィジックスコードの入力作成および出力読み取りのためのモジュールから構成されている。ユーザーは結合する計算コードに適合した入出力アクセサモジュールを使用することで、簡単に計算コードを追加・変更することができる。JAMPANには、中性子輸送計算コードMVPと熱流動計算コードJUPITER、ACE-3D、NASCAに対応したインターフェースが実装されており、炉心設計コードの参照解を提供するための核熱結合計算を行うことができる。ユーザーは必要となる計算精度に応じて熱流動計算コードを選択することが可能である。また、燃料棒の物性値の算出としてFEMAXIを利用することが可能である。本報告書ではJAMPANの概要と利用方法について説明する。
望月 陽人; 吉田 英一*
エネルギーレビュー, 46(4), p.42 - 44, 2026/03
高レベル放射性廃棄物の地層処分や二酸化炭素の地下貯留など、深部地下空間を対象とした処分・隔離を行ううえでは、水や物質の移行経路の確実な閉塞が求められる。本稿では、長期的な閉塞性能の確保を目的に、自然界に存在する炭酸カルシウムの球状コンクリーションに着想を得て開発された「コンクリーション化剤」の特徴、幌延深地層研究センターの地下施設において実施されているコンクリーション化剤の実証試験、今後の利活用に関する展望などについて紹介する。
上澤 伸一郎; 小野 綾子; 吉田 啓之
配管技術, 68(4, 増刊号), p.52 - 56, 2026/03
本稿では、原子炉燃料集合体のような複雑な流路内における気泡の3次元分布を可視化するための新たな計測技術について紹介する。気泡流は多くの工学分野で重要であり、特に原子力工学においては気泡挙動が原子炉の性能や安全性に大きく影響するため、その詳細な把握が求められている。従来のルールベース画像認識では、視線方向に重なった気泡の識別が困難であったが、本研究では深層学習(Mask R-CNNとSwin Transformer)を用いることで、少ない学習データでも高精度な気泡検出を実現した。さらに、ByteTrackを用いたトラッキング技術により、複雑な運動をする多数の気泡の追跡も可能となった。2台のハイスピードカメラを用いて異なる視点から撮影した画像を組み合わせ、楕円体近似により気泡の3次元形状を再構成することで、気泡の位置、直径、速度などの3次元的な瞬時局所情報を取得できる。また、流路内の構造物による視界の遮蔽や屈折の影響を排除するため、水と同程度の屈折率を持つ透明材料(PFAチューブ)を用いて模擬燃料棒を製作し、複雑な構造を持つ流路でも歪みのない撮影と計測を可能にした。これにより、従来困難であった複雑流路内の気泡挙動の3次元可視化が実現された。本技術は、少ないカメラ台数と学習量で高精度な3次元可視化を可能であることから、気泡以外の対象物への応用も期待されている。
近藤 彩夏*; 飯嶋 徹*; 鷲見 一路*; 竹内 佑甫*; Cicek, E.*; 恵郷 博文*; 大谷 将士*; 中沢 雄河*; 二ツ川 健太*; 三部 勉*; et al.
Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.18 - 22, 2026/03
ミューオンの異常磁気能率および電気双極子能率は素粒子標準模型を超える新物理の寄与が期待される物理量である。J-PARCで計画しているこれらの精密測定実験では、ミューオンの冷却・加速によって生成する低エミッタンスビームを用いた新しい手法により、独立した検証を行う。ミューオン線形加速器は各速度域に適した4種類の高周波加速空洞で構成されており、その中でも光速の30%から70%の加速を担う中速度領域の加速器は設計・製作手法が未確立である。現在、中速度領域の加速器として、高い加速効率を持つディスクアンドワッシャ(DAW)型加速器に着目し開発を進めている。ミューオン加速用DAWは加速空洞であるタンクと、ビーム集束に用いる四重極電磁石の設置空間を確保しつつタンク間を電磁気的に結合するブリッジカップラから構成される。我々は先行研究で製作されたタンク試作機に加え、新たにブリッジカップラ試作機を設計・製作し、製作精度の評価と低電力試験を実施した。低電力試験では、共振周波数やQ値といった高周波特性の確認やビーズ測定による電磁場の測定を行い、Q値4500(計算値の50%)、電磁場平坦度10%の結果を得た。本講演では、電磁場解析コードによるブリッジカップラの設計と、試作機の製作精度・低電力試験について報告する。
町田 昌彦; 山田 進; 吉田 亨*; 長谷川 幸弘*; 柳 秀明*; 古立 直也*
Proceedings of Waste Management Symposia 2026 (WM2026) (Internet), 15 Pages, 2026/03
The decommissioning of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (1F) has been a long-standing wish of the residents and municipalities of Fukushima Prefecture, as well as a national crucial issue for the people of Japan. However, there have been numerous technical challenges associated with the actual decommissioning process. Then, resolving their problems and ensuring steady progress have been widely expected. Concurrently, the decommissioning of a nuclear power plant that experienced a severe accident has drawn global attention from nuclear professionals, scientists, and engineers, and international collaboration and knowledge integration have been strongly recommended. To respond such situations, Japan Atomic Energy Agency (JAEA), in collaboration with Tokyo Electric Power Company and other relevant organizations responsible for the decommissioning projects, has been conducting research and development with aiming at solving key technical issues associated with the decommissioning of 1F. This paper introduces a part of the research and development activities led by JAEA. The main topic of the present paper includes results from a government-commissioned R&D program. Now, one of the most critical challenges in the 1F decommissioning program is regarded as the safe retrieval of fuel debris that melted and relocated during the accident, and the subsequent treatment and disposal of this material as radioactive waste. To achieve this goal, improving the radiation environment in the working areas is now an essential R&D priority to ensure that retrieval operations can be carried out safely and efficiently.
吉田 健; 前田 宏治; 関尾 佳弘; 富田 英生*; 岩田 圭弘; 平井 睦*; 溝上 暢人*; 坂本 哲夫*
Scientific Reports (Internet), 16, p.9865_1 - 9865_8, 2026/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Multidisciplinary Sciences)Characterizing fuel debris (FD) is critical for decommissioning the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (FDNPS). Samples collected from inside the reactor building through various methods provide valuable insights into the properties of FD. However, localized isotope data from these samples have not been previously reported. In this study, we present the first global report of isotope imaging and ratio data for the FDNPS particle obtained using our novel high-spatial-resolution secondary ion mass spectrometry (SIMS) technique developed for FD analysis. The method successfully mapped the spatial distributions of uranium, a key nuclear fuel component, and boron-10 (
B), a control rod material, within the particle. In addition, the spatial distributions and isotope ratios of B and lithium (Li) in the particles provide definitive evidence that
B (n, a)
Li reactions occur in the control rod during normal reactor operation. These findings provide new insights into the FD composition and underscore the effectiveness of SIMS for the detailed characterization of FD.
吉田 卓也; 井上 裕一; 堀越 秀彦*; 谷 康輔*
JAEA-Review 2024-062, 119 Pages, 2026/02
幌延深地層研究センターは、深地層研究のための地下坑道等の研究施設、またその研究内容を解説するための施設と研究者が揃っており、敷地内には、実際の人工バリアを実規模で体感できる工学研究施設もあり、高レベル放射性廃棄物の地層処分について詳しく知るための国内最高の環境を有する施設である。これらの優位性を生かし、来場する国民各層を対象として高レベル放射性廃棄物に対する漠然とした疑問、不安などの意見について、アンケート等を活用した広聴を行っている。今回、2022年4月から2023年1月までに収集したアンケート等の意見(回答者2,673人)について統計分析の結果を報告する。
吉田 竜*; 操上 広志; 長尾 郁弥; 高橋 成雄*; 眞田 幸尚
Journal of Environmental Radioactivity, 293, p.107900_1 - 10790_13, 2026/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)Following the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station accident in 2011, ambient dose rates in the surrounding region have gradually declined due to radioactive decay and decontamination efforts. However, spatial variations in dose rate reduction remain insufficiently understood, particularly in forested areas where contamination persists. This study investigates long-term trends in ambient dose rate changes using explainable AI techniques. A 12-year integrated dose rate map, combining fixed-point, walk, carborne, and airborne survey data, was used to analyze temporal and spatial patterns. We developed a predictive model using Light Gradient Boosting Machine (LightGBM) to estimate dose rate reduction ratios based on geographic and environmental features. SHapley Additive Explanations (SHAP) were applied to quantify the contribution of each variable and enhance model interpretability. Our findings revealed that land use significantly influences dose rate reduction, with urban and agricultural areas showing faster declines due to infrastructure and human activity including decontamination works, while forests exhibit slower reductions. Notably, topographical features such as elevation and slope affect dose rate trends in undisturbed forests, with valleys and depressions showing stagnation. This study provided the first visual validation of area-wide decontamination effects and demonstrates the utility of explainable AI in environmental radiation analysis. The proposed approach offers a robust framework for geospatial interpretation and supports future policymaking for regional recovery and forest utilization.
福田 貴斉; 山下 晋; 吉田 啓之
Journal of Computational Physics, 545, p.114485_1 - 114485_32, 2026/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Computer Science, Interdisciplinary Applications)本論文では、界面捕獲法の形状再現性と界面のシャープさを別々に定量的に評価する新しいアプローチを提案する。この新しい評価により、既存の界面捕獲法であるTHINC法とTHINC/WLIC法の間の形状再現性と界面のシャープさのトレードオフ関係が明らかになった。このトレードオフ関係の原因を解明し解決することで、THINC法やTHINC/WLIC法と同程度に簡潔なアルゴリズムを採用しながらも、形状再現性と界面のシャープさの両方において高い性能を発揮する新しいTHINC法ベースのスキームを開発した。THINC/Advanced WLIC (THINC/AWLIC)法と名付けられたこの新しいスキームは、先行するTHINC/WLIC法の重み関数を、1次風上フラックスの寄与を調整できるように再定義することによって開発された。2次元と3次元の複数のベンチマークテストの結果、THINC/AWLIC法は形状再現性と界面のシャープさの両方の観点で既存のTHINC/WLIC法より優れている。さらに、THINC/AWLIC法のアルゴリズムはTHINC/WLIC法と同様に非常で簡潔であるにもかかわらず、その形状誤差はアルゴリズムが複雑な既存の幾何学的スキームの誤差と同等程度である。
小野 綾子; 大川 富雄*; 吉田 啓之
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(12), p.1231 - 1239, 2025/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)高精度で信頼性の高い限界熱流束(DNB)評価手法の開発は、カーボンニュートラルの早期実現のために必要な次世代PWRの最適設計に必要不可欠である。本研究では、DNBを引き起こす主要な必要条件の一つが伝熱面上の大気泡形成であると考え、その形成熱流束を予測するモデル開発に着手した。本モデルでは、ポアソン分布で分布を仮定した発泡点から発生する一次気泡同士の接合により、小合体泡が形成されるとし、離脱時の小合体泡の半径が、三島のスラグ形成条件を満足すれば大気泡が生成される。実験データを用いた解析の結果、提案モデルは大きな蒸気塊を形成するための熱流束をよく予測することがわかった。
福田 貴斉; 山下 晋; 吉田 啓之
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(12), p.1264 - 1278, 2025/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)この研究では、VOF法に基づく多相流シミュレーションの3つの界面捕捉スキーム(PLIC法、オリジナルTHINC法、THINC/WLIC法)を、気泡体積の保存に焦点を当てて比較検討した。単一気泡流と単孔連続気泡流の解析の結果により、THINC/WLIC法は著しいVOF拡散を示し総気泡体積を過小評価したのに対し、オリジナルTHINC法とPLIC法は気泡の体積を保存することがわかった。また、新しい視覚化アプローチに基づく分析により、THINC/WLIC法ではVOF値の一部が界面周辺のせん断力によって「引き剥がされ」てしまうことが明らかになり、同法は沸騰水型原子炉等での正確なボイド率の予測には適していないことを示した。一方、オリジナルTHINC法は、気泡体積保存の観点では、高い精度で知られるPLIC法の実装が困難である際の代替手法として有効であることが示された。
気液間移行モデルの高度化吉田 一雄; 桧山 美奈*; 玉置 等史
JAEA-Research 2025-011, 25 Pages, 2025/11
再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウムの揮発性の化学種(RuO
)が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。RuO
は施設内を移行する過程で床面に停留すると想定されるプール水中の亜硝酸(HNO
)によって化学吸収が促進されることが想定され、この挙動は実験的に確認されており、Ruの施設内での移行に重要な役割を担う。HNO
を含む硝酸水溶液へのRuO
の移行に係る実験から得られた成果をもとに、新たな化学吸収及び物理吸収モデルが提案されている。本報では、SCHERNの解析性能の向上の一環として、これらの吸収モデルを組込み、施設内を移行するRuO
の気液各相での挙動の解析を試行した。その結果、RuO
の放出が急激に増加する沸騰晩期では、液相中のHNO
も急増する傾向が見られ、その濃度変化がその後のRuO
の移行挙動に大きく影響することを確認した。この結果から硝酸-水混合蒸気の凝縮に伴う気液各相のHNO
の化学的挙動の解析精度の向上が不可欠である。
吉田 美里*; 新井 健悟*; 中川 大輝*; 堀川 喜樹*; 岩瀬 裕希*; 熊田 高之; 元川 竜平; 四方 俊之*
Biomacromolecules, 26(11), p.8332 - 8342, 2025/11
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Biochemistry & Molecular Biology)Structure and conformation of hydroxypropylmethyl cellulose (HpMC) samples (DS = 1.8 and MS = 0.15) with narrow molar mass distributions of Mw/Mn
1.3 at Mw of 210, 310 and 440 kg/mol dissolved in aqueous solution were investigated using static light scattering (SLS) and small angle neutron scattering (SANS) techniques to cover a wide scattering vector (q) range. The q dependencies of the concentration-reduced excess Rayleigh ratios via SLS at the extrapolated zero-concentration were smoothly linked with those of the concentration reduced excess scattering intensities via SANS using the same factor for all the HpMC samples. The linked scattering intensity curves were reasonably described with the form factor of monodisperse rod particles. Moreover, broad interference scattering peaks possibly exist at q= 0.042 nm
in the linked scattering curves, suggesting the presence of a periodicity of ~150 nm in the rod-like particles formed by HpMC molecules.
Chaerun, R. I.; 佐藤 淳也; 平木 義久; 吉田 幸彦; 佐藤 努*; 大杉 武史
Construction and Building Materials, 500, p.144270_1 - 144270_10, 2025/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Construction & Building Technology)アルカリ活性化材料(AAMs)、特にメタカオリンを原料とするものは、その高密度な微細構造と化学的耐久性により、有害廃棄物の固定化に用いる持続可能なバインダーとして大きな注目を集めている。これらの非晶質アルミノケイ酸塩構造は、有害物質を効果的にカプセル化し、環境リスクを低減することができる。しかし、この非晶質ネットワークの安定性を維持することは容易ではなく、特にナトリウム(Na
))を多く含む前駆体を使用する場合、過剰なNa
が結晶化を促進し、マトリックスの完全性を損なうことが知られている。本研究では、主にカリウム(K
))で活性化されたメタカオリン系AAMsにおけるNa+濃度が構造安定性に与える影響を体系的に検討した。その目的は、非晶質構造を保持し化学的安定性を維持できるNa取り込みの閾値を明らかにすることである。透過型電子顕微鏡(TEM)、ラマン分光法、熱力学モデリングを用いて、さまざまなNa:Kモル比におけるK-AAMsの構造進化を解析した。その結果、Na:K比が高い場合には、ナノポアの形成やNaに富むゼオライト相の早期結晶化が生じ、マトリックスの安定性が低下することが明らかとなった。一方で、非晶質ネットワークを維持し、アルミノケイ酸塩骨格を保つ最適なNa:K比が特定された。これらの知見は、高耐久かつ先進的な廃棄物固定化技術に向けたK-AAMsの最適化に有用な指針を提供するものである。
大内 卓哉; 永田 寛; 篠田 侑弥; 吉田 颯竜; 井上 修一; 茅根 麻里奈; 阿部 和幸; 井手 広史; 綿引 俊介
JAEA-Technology 2025-006, 25 Pages, 2025/10
日本原子力研究開発機構の研究施設等から発生する放射性廃棄物は、将来的に埋設処分することを予定しており、放射能濃度評価方法の構築が必要である。そこで、大洗原子力工学研究所では、研究施設等廃棄物に対する放射能濃度評価方法の検討に資するため、将来、埋設処分対象となることが想定される放射性廃棄物から試料採取を行い、放射化学分析により放射性廃棄物に含まれる各核種の放射能濃度のデータ取得を行っている。本報告書は、放射能濃度のデータ取得にあたって、試料採取対象の選定の考え方を示すとともに、令和5年度及び令和6年度にJMTR原子炉施設において実施した汚染物からの試料採取内容についてまとめたものである。
Zhang, H.*; 梅原 裕太郎*; 堀口 直樹; 吉田 啓之; 江藤 淳朗*; 森 昌司*
Energy, 335, p.138090_1 - 138090_18, 2025/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Thermodynamics)原子力発電は、カーボンニュートラルな未来を実現するための重要な低炭素エネルギー源である。沸騰水型原子炉(BWR)では、燃料棒周囲における蒸気と水の環状流が原子炉の安全性にとって極めて重要であるが、その高温高圧条件(285
C、7MPa)により、直接計測が困難である。この問題に対処するため、我々はHFC134a-エタノール系を低温定圧条件(40
C、0.7MPa)で用いることで、BWRの液膜流の模擬実験を実施した。高速度カメラと定電流法を用いて、液膜特性、波速度および周波数を分析した。また表面張力と界面せん断応力の影響を調査した。さらに基底液膜厚さについて新たな相関関係を提案した。