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成田 健; 鵜飼 重治; 皆藤 威二; 大塚 智史; 松田 恭司*
Journal of Nuclear Science and Technology, 45(2), p.99 - 102, 2008/02
被引用回数:5 パーセンタイル:34.88(Nuclear Science & Technology)酸化物分散強化(ODS)フェライト/マルテンサイト鋼は実用化段階の高速炉燃料被覆管の高燃焼度化や核融合炉の冷却材温度の高温化を達成する材料として開発が進められている。ODSフェライト/マルテンサイト鋼のアルカリ水環境における水腐食挙動評価するために腐食試験を行い、従来材の17mass%Crのオーステナイト系ステンレス鋼(PNC316),11mass%Crのフェライト/マルテンサイト系ステンレス鋼(PNC-FMS)と比較した。その結果、9Cr-ODSマルテンサイト鋼及び12Cr-ODSフェライト鋼は、pH8.4, 10, 12の333K1,000h環境においてPNC316, PNC-FMSと同等の良好な耐食性を有することが確認された。
中沢 哲也; 内藤 明*; 有賀 武夫; Grismanovs, V.*; 知見 康弘; 岩瀬 彰宏*; 實川 資朗
Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1398 - 1403, 2007/08
被引用回数:43 パーセンタイル:92.75(Materials Science, Multidisciplinary)高エネルギーXeイオンを照射したLiTiO
の構造変化をラマン分光法を用いて調べた。Li
TiO
のラマン信号強度が照射により減少した。ラマン信号強度の減少は構造単位(TiO
, LiO
, LiO
)におけるTiやLi周辺の酸素原子の配置に関する秩序の消失、すなわち無秩序化に起因している。このような構造単位の無秩序化は照射量や電子的エネルギー付与量より電子的阻止能と密接に関連していることが示された。
土谷 邦彦; 河村 弘; 石田 卓也
Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1018 - 1022, 2007/08
被引用回数:7 パーセンタイル:47.14(Materials Science, Multidisciplinary)Be-TiやBe-Vのようなベリリウム系合金は、高温で高い化学的安定性を有しており、核融合原型炉の先進中性子増倍材料として期待されている。そこで、Be-Ti合金と構造材料(F82H)との両立性試験を行い、その両立性及び反応素過程について調べた。Be-Ti合金としては、BeTi相と
Be相が共存するBe-3at%Ti,Be-5at%Ti、及びBe-7at%Tiを用いた。接触面のX線回折の結果、反応生成物はBe
Feであった。また、SEM観察による反応層厚さ測定から、600
C加熱後には2
m程度の薄い反応層が生成するのみであり、反応層厚さはBeの場合と比較して1/5以下であった。以上の結果より、Be-Ti合金がF82Hと良好な両立性を有することを初めて明らかにした。
井田 瑞穂; 中村 博雄; 杉本 昌義
Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1557 - 1561, 2007/08
被引用回数:2 パーセンタイル:18.69(Materials Science, Multidisciplinary)国際核融合材料照射施設(IFMIF)においては、重陽子-リチウム反応及びステンレス鋼製ターゲット容器への中性子照射により放射性核種が生成される。ベリリウム-7は、IFMIFリチウムループへの近接性及びそのメンテナンスシナリオへの影響の点で、最も支配的な核種である。放射化物及び放射線遮蔽の3次元モデルを取り扱えるQAD-CGGP2Rコードを用いて、リチウムループの典型的な機器の周りの線量当量率を計算した。機器へのベリリウム-7の沈着率は、液体リチウムで濡れた機器表面積に比例すると仮定した。その結果、最も厳しい条件となったのは576mの表面積を有する熱交換機であった。その線量当量率は約10Sv/hであり、ICRP勧告を考慮した制限値10
Sv/hよりも数桁大きなものであった。この線量当量率は22cm厚さの鉄製シールド又は6.5cm厚さの鉛製シールドにより制限値以下にできることを示した。
洲 亘; Luo, G.; 山西 敏彦
Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1463 - 1467, 2007/08
被引用回数:67 パーセンタイル:96.72(Materials Science, Multidisciplinary)数十eVの高フラックス重水素プラズマ照射によるタングステンでの滞留とブリスタリングの機構を解明するため、各種分析・観察手法(XRD, TEM, SEM, TDS, NRA、及びERDA)による測定・観察を行った。1.5の固定入射角のXRD測定により、重水素プラズマ照射後のタングステン表面付近の格子定数が変化していないことを確認した。このことは、重水素が空隙サイトに存在せず、重水素-空孔複合体を形成してバブル(空孔クラスターやボイドに集合している重水素分子)に成長していることを示唆している。また、重水素プラズマ照射後のタングステン断面のTEM観察により、大きいブリスタ(直径:数ミクロン,結晶粒に相当)の発生前、表面付近に直径30nm程度の小さいブリスタやナノ亀裂が形成されていることを明らかにした。さらに、重水素は、照射後のタングステンに分子として滞留していること(TDS結果)、並びに最大重水素/タングステンの原子比が1-2%に到達していること(NRAとERDAの結果)を明らかにした。以上の結果は、空孔型欠陥が滞留重水素の侵入に伴ってタングステンの表面付近に生成されることを示唆しているものである。
中畑 俊彦*; 吉河 朗*; 小柳津 誠*; 大矢 恭久*; 石本 祐樹*; 木津 要; 柳生 純一; 芦川 直子*; 西村 清彦*; 宮 直之; et al.
Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1170 - 1174, 2007/08
被引用回数:3 パーセンタイル:25.42(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60Uにて行われているボロニゼーションを模擬し、静岡大学のP-CVDにて膜調整を行った高純度ボロン膜に対して飽和量の重水素を照射した後、加熱とSIMS測定を繰り返し行い、膜中に捕捉された水素同位体放出過程に関する以下の知見を得た。重水素脱離を支配する要素は試料温度である。第1期、すなわち573K以下では、B-D-B結合からの重水素の脱離が支配的であり、その温度領域においては、拡散が律速過程であった。573Kを上回ると、重水素はBD結合からおもに脱離し、その温度領域においては、再結合が律速過程であった。BD結合として捕捉された重水素の実効的な再結合定数は等温加熱実験によって算出した。
三島 良直*; 吉田 直亮*; 河村 弘; 石田 清仁*; 波多野 雄治*; 柴山 環樹*; 宗像 健三*; 佐藤 芳幸*; 内田 宗範*; 土谷 邦彦; et al.
Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1382 - 1386, 2007/08
被引用回数:26 パーセンタイル:83.92(Materials Science, Multidisciplinary)高い発電効率を目指した核融合原型炉ブランケットに必要な「高温・高照射量に耐えうる先進機能材料であるベリリウム金属間化合物の開発」を全日本規模の産学官連携で実施し、平成1617年度に得られた新たな結果と今後の研究開発計画についてまとめた。その結果、Be-Ti合金は既存の中性子増倍材料であるベリリウム金属と比較して、構造材料(F82H)等との両立性が良いこと、トリチウムインベントリーが小さいことなどの優れた特性を有することを明らかにした。
若井 栄一; 江澤 正思*; 武中 剛志*; 今村 淳子*; 田辺 哲朗*; 大嶋 隆一郎*
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.478 - 482, 2007/08
被引用回数:7 パーセンタイル:47.14(Materials Science, Multidisciplinary)ガス原子が生成する照射環境下で使用される合金に関して、合金中の溶質原子が組織発達に及ぼす役割等を検討した。本研究ではモデル合金であるNi合金などを用いて、ヘリウムと重水素がスエリング及びブリスター形成に及ぼす溶質原子の体積因子の効果について調べた。ヘリウムは25keVのエネルギーで810
ions/m
まで、重水素は20keVのエネルギーで4
10
ions/m
まで、室温及び500
Cにて試料に注入した。本研究に用いた溶質原子の体積因子の大きさは-5.8%から+63.6%までである。これらのガス原子を注入した後、SEM, STEM, TEMによって、表面形態や内部組織を観察した。照射によって形成したキャビティの数密度は溶質原子の体積因子の増加に伴って増加することがわかった。約4
10
ions/m
までHeイオンを注入した試料ではブリスターの形成が観察されたのに対して、重水素ではこの注入量の範囲においても、ブリスターの形成が観察されなかった。また、溶質原子の体積サイズの大きさに伴って、ブリスターの面積密度が増加するのに対して、ブリスターの大きさは逆に小さくなることがわかった。一方、ブリスター形成の機構に関しては、組織の解析の結果から、500
C照射ではブリスター形成の原動力はキャビティ内のガス圧によるものであり、室温照射では照射によって内部に生じた応力及びキャビティ内のガス圧の両方がその形成に関与していることが判明した。
若井 栄一; 安堂 正巳; 沢井 友次; 谷川 博康; 田口 富嗣; Stroller, R. E.*; 山本 敏雄; 加藤 佳明; 高田 文樹
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.74 - 80, 2007/08
被引用回数:10 パーセンタイル:57.98(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉の実証炉等に向け、構造材料として研究開発を進めているF82H鋼(Fe-8Cr-2W-0.1C系マルテンサイト鋼)に関して、照射硬化と脆化をコントロールさせるための熱処理法の検討を行った。本研究では焼き戻し温度を750Cから800
Cまで振り、その時間を0.5時間から10時間まで振った。これらをパラメータにして照射硬化量の変化及び引張試験温度に対する硬化量の変化を調べた。JMTR炉で微小引張試験片(SS-3タイプ)を150
Cと250
Cで約2dpaまで中性子照射を行った。照射後、引張試験を室温から500
Cまで行った。750
Cで焼き戻しを行った場合、室温試験において、硬化量が100
240MPa程度であったが、500
Cの試験ではいずれの試料においても、硬化量がほとんどなくなった。一方、焼き戻し温度をやや高めに(780
C又は800
Cで0.5時間)した試料では、室温試験で硬化量は約300MPa程度であった。また、500
C試験では硬化量が130
R200MPa程度まで保持された。このことから、やや高めで焼き戻し処理をした試料では、高温まで比較的安定に存在する照射欠陥クラスターが形成されていると考えられる。以上のように、照射硬化量は照射前に施す焼き戻しの温度と時間に依存して変化するため、照射硬化と脆化の抑制には熱処理法による調整が有効な方法であると考えられる。
井川 直樹; 田口 富嗣; 山田 禮司; 石井 慶信; 實川 資朗
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.725 - 729, 2007/08
被引用回数:12 パーセンタイル:63.51(Materials Science, Multidisciplinary)マグネシウム-ケイ素系の酸化物界面層を有するSiC繊維強化SiC複合材料を作製し、その機械特性について評価を行った。SiC繊維材料は耐酸化性や耐照射性に優れたTyranno SAを用い、酸化物界面はアルコキシド法によってSiC繊維表面に作製した。この酸化物界面層を持つSiC繊維について、化学気相浸透法によって複合材料を作製した。複合材料の断面のSEM観察から酸化物界面層はSiC繊維の周りにほぼ均一に形成しており、サブミクロンメートルの厚みを有していることがわかった。複合材料の曲げ試験から擬似延性特性を有し、このことから本酸化物界面層によってSiC繊維の引き抜け効果によって優れた機械特性を有することがわかった。
大塚 智史; 鵜飼 重治; 酒瀬川 英雄; 藤原 優行; 皆藤 威二; 成田 健
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.160 - 165, 2007/08
被引用回数:59 パーセンタイル:95.79(Materials Science, Multidisciplinary)実用化段階での高速炉用燃料被覆管材料として開発を進めている9Cr-ODSマルテンサイト鋼のクリープ強度と微細組織に及ぼすT濃度と固化温度の影響を検討した。Ti濃度を0.30.35wt%に増加させることにより、残留
相(
フェライト)が増加し、クリープ強度が著しく改善されることがわかった。熱間押出温度を上げるとクリープ強度は低下するが、残留
相は逆に増加していることがわかった。これら試料の微細組織観察を実施し、これら実験結果を説明可能な9Cr-ODSマルテンサイト鋼のクリープ変形メカニズムについて検討した。
實川 資朗; 若井 栄一; 大久保 成彰; 近江 正男
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.539 - 543, 2007/08
被引用回数:2 パーセンタイル:18.69(Materials Science, Multidisciplinary)照射強度と独立に照射温度が制御できる照射キャプセルを用いて、低放射化フェライト鋼及びオーステナイトステンレス鋼に中性子照射を行った。照射損傷量1.5dpaまで、照射温度250C及び350
C、さらに2つの温度を上限及び下限とした範囲で温度を変化させながら照射を行った。オーステナイトステンレス鋼については、温度変動が照射硬化の減少をもたらした。一方、低放射化フェライト鋼については、若干の硬化量増加をもたらした。温度変動効果の機構及び硬化量の増加が持つ残留延性に関する重要性を示す。
井上 愛知; 永田 晋二*; 藤 健太郎*; 土屋 文*; 山本 春也; 四竈 樹男*
Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1112 - 1116, 2007/08
被引用回数:5 パーセンタイル:37.06(Materials Science, Multidisciplinary)Cr添加アルミナ(ルビー)にMeVエネルギー領域の水素及びヘリウムイオンを照射したときの照射量と誘起発光強度の関連性について調べた。その結果、水素イオンの照射量が増大しても誘起発光強度はほとんど変化せず、線エネルギー付与(LET)にも比例しなかったが、ヘリウムイオンの照射量が増大すると誘起発光強度が急速に減衰し、その減衰量が核的エネルギー付与量に比例した。これらのことから、誘起発光強度は、ルビー内の励起される発光中心の数のみに比例し、線エネルギー付与(LET)とは関連しないこと,発光強度の減衰はおもに入射イオンの核衝突による発光中心の消滅に起因することが示唆された。
Baluc, N.*; Gelles, D. S.*; 木村 晃彦*; 實川 資朗; Klueh, R. L.*; Odette, G. R.*; Van der Schaaf, B.*; Jinnan, Y.*
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.33 - 41, 2007/08
被引用回数:208 パーセンタイル:99.79(Materials Science, Multidisciplinary)低放射化フェライト鋼に関する最近の研究成果をまとめて示す。低放射化フェライト鋼はさまざまな中間的な段階(部品等)を経て利用される。これらには、例えば、板材,管材,粉末冶金HIP材,液相/固相接合材等がある。これらは加工や熱処理の履歴を反映して性質がある程度異なる。加えて、使用に際して照射の効果を受ける。しかし、このような違いや照射の影響を含めても、低放射化フェライト鋼は、ITERのテストブランケットへの適用に関して、十分な強度を有する。一方、DEMOへの利用には、IFMIFによる性能評価を含めて、特に、多量の核変換生成水素及びヘリウムの影響について、さらなる研究の余地がある。
Zucchetti, M.*; El-Guebaly, L. A.*; Forrest, R. A.*; Marshall, T. D.*; Taylor, N. P.*; 飛田 健次
Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1355 - 1360, 2007/08
被引用回数:20 パーセンタイル:78.19(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉から発生する放射性物質のリサイクル及びクリアランスに関する日米欧の研究成果を整理し、今後の研究の方向性や見通しを提示した。クリアランスに関しては、IAEA文書や各国のクリアランス法案には包括されないが、クリアランスの判定上重要と考えられる核融合特有の放射性核種があり、これらクリアランス決定核種の抽出を行った。クリアランスに分類できない放射性物質については管理下でのリサイクルが可能である。各極の評価から、クリアランス及びリサイクルの導入により、核融合からの廃棄物のうち4分の3は何らかの形で資源として利用できるという結論を得た。核融合特有の問題として廃棄物中にトリチウムが含まれるという問題があり、これは廃棄物の輸送という観点で大きな制約となりうる。この問題に対処するため、廃棄物中トリチウム濃度管理の重要性を指摘した。
廣瀬 貴規; 芝 清之; 榎枝 幹男; 秋場 真人
Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1185 - 1189, 2007/08
被引用回数:21 パーセンタイル:79.43(Materials Science, Multidisciplinary)23.5MPa, 280C
550
Cの超臨界圧水中で低放射化フェライト/マルテンサイト鋼F82Hを対象とした低ひずみ速度引張試験を実施した。この結果、F82Hの超臨界圧水中での応力腐食割れ感受性は極めて低いことが明らかとなった。また、超臨界圧水中におけるF82H鋼の重量は放物線則に従って増加することが明らかとなった。
矢野 康英; 吉武 庸光; 山下 真一郎; 赤坂 尚昭; 小野瀬 庄二; 高橋 平七郎*
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.127 - 131, 2007/08
被引用回数:11 パーセンタイル:60.92(Materials Science, Multidisciplinary)被覆管の引張特性及び急速加熱バースト特性に及ぼす高速中性子照射効果の影響を調査した。試験片は、材料照射リグを用いて照射した。照射温度は、7731013Kで、照射量は11
102dpaであった。照射後引張試験と急速加熱バースト試験を実施した。873K以下の照射温度では、引張強度と破裂強度の低下は見られなかった。このように強度を維持した理由は析出物が優先的に旧オーステナイト粒界に析出し、粒界強化に寄与したためだと考えられた。また、903K以上の照射温度では、両強度とも低下していた。これは、ラス組織の回復と再結晶に起因していると考えられる。
谷川 博康; 酒瀬川 英雄; 橋本 直幸*; Klueh, R. L.*; 安堂 正己; Sokolov, M. A.*
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.42 - 47, 2007/08
被引用回数:26 パーセンタイル:83.92(Materials Science, Multidisciplinary)代表的な低放射化フェライト鋼(F82H, JLF-1, ORNL9Cr, Niドープ材)は、300C 5dpaの中性子照射により、異なる照射硬化,照射脆化を示すことがわかっている。転位組織に大きな違いがないことから、これらを対象として照射後鉄鋼材料の析出物解析を行った。報告済みの抽出残渣解析に加えて、抽出レプリカ試料、及びTEM薄膜試料を作成し、析出物のサイズ分布、及び構造についての情報を得ることができた。その結果、照射硬化が大きな鋼(ORNL9Cr, Niドープ材)では、微細析出物の増加が顕著であった。一方、照射硬化が小さかったJLF-1では小さな析出物が消滅し、析出物が成長していることがわかった。析出物の主たる析出サイトであるパケットサイズを基準として、析出物量変化に対する硬化量を整理したところ、単純な相関関係にのることがわかった。また、上記の相関関係は、ホールペッチ則によって説明できることが示された。なお、本研究は核融合研究開発における日米協力計画として実施された。
谷川 博康; 酒瀬川 英雄; 荻原 寛之*; 岸本 弘立*; 香山 晃*
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.132 - 136, 2007/08
被引用回数:39 パーセンタイル:91.33(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉の早期実現へ向け、低放射化構造材料の研究開発が着々と進められている。特に実証プラントへの設計に必要となる高エネルギー中性子による重照射が、構造材料に与える強度特性への影響を把握するために、さまざまな模擬照射場を用いた照射データの整備及び照射特性の評価が行われている。このうち、米国HFIR炉における照射実験においては、時効効果が現れない低温(300C)の照射においても、析出物の状態が変化することが見いだされ、その変化が強度特性変化に影響を与えている可能性が指摘された。この現象について、照射条件の制御性に優れ、短期間で高い照射量での特性評価が可能であるイオン照射法を利用することで、機構論的解明がなされることが期待される。本研究では、低放射化フェライト鋼に対してイオン照射実験を行い、析出物の照射下安定性について調べた。その結果、イオン照射実験においても、中性子照射実験で得られた結果と同様な、析出物に対する照射効果が確認された。また、中性子照射実験で得られた傾向と同じく、JLF-1では、F82Hに比べて析出物が回復・粗大化する傾向が確認された。このようにJLF-1において、回復傾向が強く現れる傾向は、JLF-1が低温(300
C)照射において、F82Hより照射硬化,照射脆化が小さい傾向と相関があると考えられる。現時点では、JLF-1の短時間クリープ強度がF82Hよりも低い点、焼き戻し強度が高いほどクリープ強度が低くなる一般的傾向から、JLF-1の焼き戻し条件(780
C
1時間)が、F82H(750
C
1時間)に比べて強いことに照射下析出物挙動の違いの一因があると考えられる。
久保田 直義; 近藤 恵太郎; 落合 謙太郎; 西谷 健夫
Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1596 - 1600, 2007/08
被引用回数:2 パーセンタイル:18.69(Materials Science, Multidisciplinary)水素同位体分布分析の限界深さを数100mまで拡張するために、中性子ビームを使った中性子弾性反跳粒子検出法(NERDA)を示した。原子力機構の核融合中性子源で生成された14.1MeV中性子ビームは試料の法線方向から入射する。試料から放出された粒子は、
E-E検出器で計測される。入射中性子のフルエンスは真空容器後方に設置した核分裂計数管でモニターした。まず、重水素密度が既知である、厚さ100
mの重水素化ポリエチレンを標準試料として原理検証実験を行った。その結果、ポリエチレンの分析限界深さ801
mの12%に相当する、99
mの深さ分解能が得られた。これは、炭素で構成されるプラズマ対向壁の試料分析に対しては、61
mの深さ分解能が期待でき、再堆積層全深さ領域にわたって水素同位体分布を得ることができる。さらに応用例として、NERDAを用いたJT-60Uプラズマ対向壁内の水素同位体分布分析を行った。