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古野 朗子; 山澤 弘実; Lee, S.; 辻田 祐一; 武宮 博*; 茅野 政道
Proceedings of 4th International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications (SNA 2000) (CD-ROM), 7 Pages, 2000/09
アジア領域での原子力発電所の増加に伴い、万一の事故時における周辺への影響評価の重要性が増大している。この要請に応えるため、緊急時環境線量情報予測システムWSPEEDIを開発した。現在WSPEEDIには2つのバージョンがある。実用化されている旧バージョンでは、乱流量や降水量などの予測ができないため、大気拡散計算の際に重要な大気境界層や降雨除去プロセスを極めて単純なパラメーターで置き換えている。これは温暖湿潤なアジア領域での計算を行う際には特に不利な条件となる。この問題を解決するたる、大気力学モデルと汚染モデルから成る第二のバージョンを作成した。大気力学モデルは風速、乱流量、降水を含む10の気象要素を細かい分解能で予測する。この組み合わせにより最初のバージョンの単純なパラメタリゼーションを排除することができ、より現実的な予測が可能になる。新しいバージョンは膨大な計算機資源を必要とするため、各モデルをベクトル化した。さらに現在並列化を施している。また限られた計算機資源を有効活用するため、異機種並列計算機間通信ライブラリStampiを導入した。講演では、新しいモデルの導入及び計算手法導入によってもたらされた利点について述べる。
山田 進; 清水 大志; 小林 謙一*; 蕪木 英雄; 岸田 則生*
Proceedings of 4th International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications (SNA 2000) (CD-ROM), 9 Pages, 2000/09
実際の科学技術計算において計算時間の大部分を占めているのは連立一次方程式の求解、行列の固有値の計算、などの数値計算である。日本原子力研究所は科学技術計算に比較的多く現れる基本的な数値計算をとりあげ、メッセージパッシングを用いた並列計算ルーチンを開発し、並列数値計算ライブラリ「PARCEL」として整備している。このライブラリは係数行列が疎行列であるような連立一次方程式の反復解法、エルミート行列の固有値の計算、擬似一様乱数の生成及び高速フーリエ変換から構成されている。本研究では、PARCELの特徴、性能について連立一次方程式の反復解法を中心に説明する。また、定評のあるほかのライブラリとの性能の比較を行い、同等の性能があることを数値実験から示す。
山田 進; 小澤 一文*
Proceedings of 4th International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications (SNA 2000) (CD-ROM), 8 Pages, 2000/09
偏微分方程式を離散化したときに得られるような大規模な微分方程式の初期値問題を並列計算するのに適している解法の一つに成分をいくつかのブロックに分割し、そのブロックごとに反復計算を行うWaveform Relaxation法(WR法)がある。WR法は積分区間が有限であるなら収束するが、積分区間が大きい場合などには、非常に多くの反復回数を必要とすることか知られている。そのため、収束性を改善する方法として成分を重複させて分割するoverlapping法が提案されている。しかし、この解法は反復一回あたりの計算量が増加するため、重複数を増やしすぎると全体の計算時間が増加することもある。そこで、本研究では重複数と反復回数及び反復一回あたりの計算量の関係を調べ、全体の計算時間を最小にするような重複数の推定法を提案する。また数値実験からその有効性を確認する。
大西 亮一*; Guo, Z.*; 木村 俊哉*; 岩宮 敏幸*
Proceedings of 4th International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications (SNA 2000) (CD-ROM), 12 Pages, 2000/09
多重原理複合計算の研究として、流体計算と構造計算の連成計算を行う基礎システムを、原研複合並列計算機システム上に統合化し、三次元翼の空力弾性計算を試みた。本論文では、ひととおりのシステム統合化を行うことにより得られた実践的アプローチを示している。主な特徴は次のとおりである。(1)非定常圧縮性流体を高解像度に解くオイラー流体コードと、直接積分法による構造コードをLoose Coupliing方式で統合化した。(2)流体コードと構造コードを分散処理化し同時実行するとともに、並列処理化を図り計算時間の低減に努めた。(3)流れ場と構造が一体化されたハイブリッドな格子を用いて連成計算を行った。(4)流体と構造間のインターフェースのために、移動格子と荷重変換の処理系を実現した。論文中では,基礎方式,実現方式,方式採用に至る議論,三次元翼解析への適用結果,などを述べた。
村松 一弘; 島田 昭男*; 村上 弘幸*; 東田 明宏*; 若月 滋人*
Proceedings of 4th International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications (SNA 2000) (CD-ROM), 10 Pages, 2000/09
並列計算機を利用して、構造解析などで広く利用されている有限要素法向けの非構造格子で、大規模かつ高速に生成するシステムを開発した。一般に、非構造格子生成では、三次元空間における解析対象領域内部での節点発生や、節点から四面体要素を生成するのに最も計算時間を要する。そこで本システムでは、バケット法に基づいて形状内部の領域内に高速に節点を発生させる。次に、発生させた節点からデローニ法により四面体要素を生成する。この節点発生及び要素生成は、領域分割に基づいた並列処理により、高速に処理することができる。実際にHITACHI SR2201の64PEを用いて、正三角形に円柱状の穴が三つ空いた形状に対して、240万節点、1400万要素の大規模な非構造格子を高速に生成できる。またシェル構造、リンク、トンマーの複雑な形状に対して、質の良い格子を生成できることが確認されている。
小林 卓也; Lee, S.; 茅野 政道
Proceedings of 4th International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications (SNA 2000) (CD-ROM), 9 Pages, 2000/09
沿岸海域へ放出された放射性物質の移行挙動を予測する三次元モデルシステムを開発した。本システムは海水の流速、水温、塩分濃度等を予測する海洋モデルと、放射性物質の海洋中拡散をランダムウォークモデルで予測する海洋拡散モデルから構成される。予測結果を迅速に把握するために出力データの可視化システムも同時に開発した。モデルの実証試験として青森県六ヶ所村沖の海洋観測データを用いて試計算を実施した。シミュレーション結果として、季節風と津軽海峡を通過する津軽暖水の流量が対象海域の海洋構造に大きな影響を及ぼすことがわかった。また、数値実験として下北海域において放射性物質の移行挙動を調べるために仮想的な瞬時放出計算を実施した。
村松 一弘; 大谷 孝之; 北端 秀行; 松本 秀樹*; 武井 利文*; 土肥 俊*
Proceedings of 4th International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications (SNA 2000) (CD-ROM), 10 Pages, 2000/09
並列計算機上で動作する、大規模シミュレーションのための実時間可視化システムを開発してきた。本システムは、PATRASに名付けられ、構造格子にも非構造格子にも適用することができる。それゆえ、流体解析や有限要素法を用いた構造解析の実時間可視化が可能である。ここで実時間可視化とは、計算の実行途中でその計算結果を可視化するトラッキングと、計算の途中で解析や可視化のためのパラメータを変更するステアリングを意味する。またGUIはJavaアプレットで構築されているため、インターネット環境下での利用が可能である。本システムの適用事例として、緊急時における放射能放出源推定システムWSPEEDIへの適用が取り上げられる。
武宮 博*; 今村 俊幸; 小出 洋; 樋口 健二; 辻田 祐一; 山岸 信寛*; 松田 勝之*; 上野 浩一*; 長谷川 幸弘*; 木村 俊哉; et al.
Proceedings of 4th International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications (SNA 2000) (CD-ROM), 16 Pages, 2000/09
並列分散型の科学計算の開発及び実行環境を支援するために、STA(Seamless Thinking Aid)と呼ばれる計算環境を開発した。STAは、(1)各プログラム・コンポーネントの開発環境、(2)各々のコンポーネントをまとめて一つのアプリケーションに形成する機能、そして(3)アプリケーションを分散した計算資源に配分する機能等のツール群を提供する。STAの有用性を立証するために、われわれはいくつかの並列科学計算のアプリケーションを開発してきた。ここでは、これらのアプリケーションの特徴とSTAにおける構築法について述べる。
清水 大志; 君塚 肇*; 蕪木 英雄; Li, J.*; Yip, S.*
Proceedings of 4th International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications (SNA 2000) (CD-ROM), 10 Pages, 2000/09
並列分子動力学(MD)について、さまざまな並列化手法やカットオフを用いた計算の効率化手法を組み合わせたシミュレーションをプログラムするのは簡単ではない。われわれは大規模な並列MDシミュレーションのためのプログラムの基本パターンである「並列分子動力学ステンシル」を開発した。本ステンシルは並列化手法や効率化手法を分離し、プログラム作成者がシミュレーション自体に専念できるように設計されている。プログラムの全体はC言語とMPIを用いるが、各MPI関数の呼び出しはプログラム作成者から隠蔽されている。本論文では並列MDステンシルを用い15~75Kの固体アルゴン(結晶状態及びアモルファス状態)に関して500~1,000,000原子を用いたシミュレーションを行い、その弾性について研究した。
渡辺 正; 海老原 健一
Proceedings of 4th International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications (SNA 2000) (CD-ROM), 10 Pages, 2000/09
原子力分野における基本的な混相流現象の一つとして、気泡二相流の数値シミュレーションを、二成分二相格子ボルツマン法により行った。3次元の定常な流れ場を形成するために、入口及び出口境界条件の設定方法を提案した。二相流の体積率は相間の界面積について、空間分布と時間変化を測定し、安定な気泡二相流の流れ場が得られることを確認した。また、入口体積率を変化させることにより、流動様式が気泡流からスラグ流へ変化することが示された。
Lee, S.; 茅野 政道
Proceedings of 4th International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications (SNA 2000) (CD-ROM), 9 Pages, 2000/09
本研究では、緊急時の放射性物質の大気と海洋間の移動を迅速に予報できる手法を開発するために、日本原子力研究所が開発した異機種のスーパーコンピュータを1台の計算機のように利用する通信ソフト「Stampi」を用いて、大気と海洋の数値のモデルの結合実験を実施した。実験は日本海を対象にして、大気モデルはPHYSICS、海洋モデルはPOMを利用した。大気-海洋結合により放射性物質の海洋拡散に大きな影響を及ぼす物理課程を詳細に予測できる。またStampiを用いて限られた計算機資源を効果的に利用することにより、緊急時モデルとしての使用も期待できる。今回は緊急時の放射性物質の海洋拡散に直接関連がある表面海流の変化を診て、緊急時のモデルの予報可能性を考察した。
内海 隆行*; 佐々木 明; 功刀 資彰*; 藤井 貞夫*; 赤松 幹夫*
Proceedings of 4th International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications (SNA 2000) (CD-ROM), 10 Pages, 2000/09
インコヒレントX線源開発や電子衝突励起X線レーザの開発のためには、固体ターゲットへのレーザ照射により生成されるレーザプラズマの状態を精度よく予測することが重要な要件である。このために光量子-物質相互作用シミュレーションの一環としてCIP法(3次補間疑似粒子法)に基づく解析コードを開発し、このコードにSESAMEやQEOSの物質の状態方程式、TKNモデルやDrudeモデルによる熱伝導係数、吸収係数を組み込んできた。特に超高強度レーザー照射により照射近傍の温度が1keV以上となる状態においては輻射による熱輸送が大きな影響をあたえる。このためここでは、このコードに輻射モデルと遮蔽水素モデルに基づく平均輻射係数を組み込み、レーザー生成プラズマの形成過程をシミュレーションした結果を報告する。また、輻射モデルの数値解法としてSuccessive Overrelaxation (SOR)法を適用したことによる計算量増大について報告する。
上島 豊; 千徳 靖彦*; 岸本 泰明
Proceedings of 4th International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications (SNA 2000) (CD-ROM), 10 Pages, 2000/00
相対論的高強度短パルスレーザーの実現により、その極めて強い電磁場とプラズマの電子との非線形相互作用過程から、高線量のX線やイオンを発生することができるようになった。原子過程から発生するX線とは異なり、自由電子の振動から発生するX線は、その振動時間がレーザーのパルス時間程度なので非常に短パルスである。また、レーザー遮断密度以上のプラズマ(薄膜)における陽子やイオン加速について2D3V-PIC (Particle in Cell) シミュレーションで調べた。いくつかのシミュレーションの結果、イオンの加速状態や効率は、レーザー強度だけでなく、薄膜の形状や構成物質の違いにより大きく変化することがわかった。例えば、アルミニウムの薄膜の裏面に水素をコーティングした凸型の二重層薄膜を400TW級レーザーで照射すれば、100MeV程度のイオンが発生することを見いだした。
谷 啓二; 松岡 浩; 横川 三津夫; 新宮 哲*; 北脇 重宗*; 三好 甫
Proceedings of 4th International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications (SNA 2000) (CD-ROM), 8 Pages, 2000/00
科学技術庁が推進している地球環境変動予測研究計画の一環として、大気大循環シミュレーション分野の現用計算機の1000倍の実効速度を持つ超高速計算機「地球シミュレータ」の開発を宇宙開発事業団と海洋科学技術センターと協力して進めている。そのハードウェア、基本ソフトウェア、応用ソフトウェア開発の現状及びサイト整備の状況について発表する。