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長家 康展
EPJ Nuclear Sciences & Technologies (Internet), 11, p.1_1 - 1_7, 2025/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)では、原子炉炉心解析のための汎用連続エネルギーモンテカルロコードMVPを開発している。最近、MVPの改良は、先進的核熱カップリングコードの開発に重点を置いている。原子力機構はまた、臨界安全解析のための新しいモンテカルロソルバーSolomonを開発している。Solomonは燃料デブリを含む損傷炉心の臨界性を計算することを目的としている。本論文では、MVPとSolomonの機能の概要と最近の適用事例を紹介する。
小川 達彦; 平田 悠歩; 松谷 悠佑; 甲斐 健師; 佐藤 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 松田 規宏; et al.
EPJ Nuclear Sciences & Technologies (Internet), 10, p.13_1 - 13_8, 2024/11
放射線挙動解析コードPHITSは、モンテカルロ法に基づいてほぼ全ての放射線の挙動を解析することができる放射線挙動解析計算コードである。その最新版であるPHITS version 3.34の、飛跡構造解析機能に焦点を置いて説明する。飛跡構造解析とは、荷電粒子が物質中を運動する挙動を計算する手法の一つで、個々の原子反応を識別することにより原子スケールでの追跡を可能にするものである。従来の飛跡構造解析モデルは生体を模擬する水だけにしか適用できず、遺伝子への放射線損傷を解析するツールとして使われてきた飛跡構造解析であるが、PHITSにおいてはPHITS-ETS、PHITS-ETS for Si、PHITS-KURBUC、ETSART、ITSARという飛跡構造解析モデルが補い合うことにより、生体の放射線影響だけでなく、半導体や材料物質など任意物質に対する適用が可能になっている。実際にこれらのモデルを使って、放射線によるDNA損傷予測、半導体のキャリア生成エネルギー計算、DPAの空間配置予測など、新しい解析研究も発表されており、飛跡構造解析を基礎とするボトムアップ型の放射線影響研究の推進に重要な役割を果たすことが期待できる。
河村 拓馬; 下村 和也; 尾崎 司*; 井戸村 泰宏
EPJ Web of Conferences, 302, p.11002_1 - 11002_8, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Computer Science, Interdisciplinary Applications)原子力工学の分野では、エクサスケールのスーパーコンピュータを使った複雑なシミュレーションにより、大規模なデータが生成される。このようなシミュレーションデータを効率的に解析するためには、遠隔地にいる研究者間でデータを共有する必要がある。しかしながら、大規模データのI/Oやデータ転送には多大なコストがかかる。このような問題を解決するために、最新のスーパーコンピュータ上での並列処理に適した粒子ベースボリュームレンダリング(PBVR)をベースとして、遠隔In-Situ可視化システムIS-PBVRを開発した。本研究では、IS-PBVRを複数のクライアントPC上でVR可視化できるように拡張し、多地点遠隔VR可視化を開発した。この技術をGPUベースのスーパーコンピュータ上の流体シミュレーションに適用し、複数のクライアントPC間でIn-Situ VR可視化を共有することで、その有用性を検証する。
Stainer, T.*; 小川 達彦; 他6名*
EPJ Web of Conferences, 302, p.07003_1 - 07003_10, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Computer Science, Interdisciplinary Applications)NEAデータバンクは、これまでシンプルなファイルサーバーやDVDを用いて、世界中のエンドユーザーに貴重なコンテンツを配信してきた、コンピューターコード、核データ、および熱化学データの国際的なリファレンスセンターである。NEAでセルフホスト型GitLabシステムが最近導入されたことで、データバンクはコンテンツ配信の合理化、プロセスとテストの自動化を可能にし、同時にコードオーナーと開発者には協業およびコード開発のための安全なプラットフォームを提供している。本稿では、NEA GitLabシステムを紹介するとともに、GitLabが提供する多くのサービスと機能を活用しているKraken、PHITS、FISPACT-IIといった具体的なコードの例をいくつか提示する。コードの所有者ではなく、コードの管理者の立場でサードパーティソフトウェアと効果的に連携するための手法について解説する。
杉原 健太; 小野寺 直幸; Sitompul, Y.; 井戸村 泰宏; 山下 晋
EPJ Web of Conferences, 302, p.03002_1 - 03002_10, 2024/10
被引用回数:2 パーセンタイル:97.81(Computer Science, Interdisciplinary Applications)従来の界面捕捉法を用いた気液二相流のシミュレーションでは、気泡が互いに反発することを示す実験的証拠にもかかわらず、気泡が互いに近づくと数値的には合体する傾向があることが観察された。逐次的な数値合体が流動様式に与える影響が大きいことを考慮すると、近接した気泡の合体挙動を制御する必要がある。この問題に対処するため、各気泡に独立した流体率を適用することで気泡合体を抑制するMulti-Phase Field(MPF)法を導入した。本研究では、3重点における表面相互作用に関連する数値誤差を最小化するために、N-phaseモデルに基づくMPFを採用した。さらに、Ordered Active Parameter Tracking法を実装し、数百の流体率を効率的に格納した。MPF法を検証するために、円管内気泡流の解析を実施し、Colinらの実験データと比較した。検証結果は、気泡分布と流速分布に関して妥当な一致を示した。
近藤 諒一; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
EPJ Web of Conferences, 302, p.04002_1 - 04002_10, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Computer Science, Interdisciplinary Applications)大規模詳細マルチフィジックス計算に向け、著者らはモンテカルロ計算における効率的な中性子束分布タリー手法を開発している。本手法では、中性子束分布タリーに固有直交分解(POD)を用いている。先行研究では、衝突エスティメータを用いてこのタリー手法が実装されたが、本研究ではより小さい統計誤差のタリーを得るために飛程長エスティメータを実装した。中性子束分布タリーに実装された飛程長エスティメータを衝突エスティメータおよび従来の飛程長エスティメータと一次元問題において比較した。飛程長エスティメータによる分布タリーは衝突エスティメータのそれよりも統計精度の高い解を取得できるということが検証結果から明らかになった。したがって、統計誤差の観点から、飛程長エスティメータと衝突エスティメータを用いた分布タリーの関係は、従来の飛程長エスティメータと衝突エスティメータのそれと同様である。
長谷川 雄太; 井戸村 泰宏; 小野寺 直幸
EPJ Web of Conferences, 302, p.03005_1 - 03005_9, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Computer Science, Interdisciplinary Applications)乱流計算を対象とした格子ボルツマン法に、局所アンサンブル変換カルマンフィルタ(LETKF)に基づくアンサンブルデータ同化を実装した。LETKFおよびLBMは全てGPUで実装されており、最新のGPUスパコンで効率的に計算可能である。データ同化の精度検証として3次元単一角柱周りの流れの実験を行った。実験より、本手法は空間および時間的に粗い観測データを用いた場合でも精度の良いデータ同化を行うことができると示された。すなわち、時間間隔をカルマン渦周期
の2分の1、空間解像度を角柱直径
の16分の1(計算格子点数の1.56%)として速度場を観測した時、観測ノイズよりも小さいデータ同化誤差を達成した。
Sitompul, Y.; 杉原 健太; 小野寺 直幸; 井戸村 泰宏
EPJ Web of Conferences, 302, p.05004_1 - 05004_10, 2024/10
被引用回数:1 パーセンタイル:90.01(Computer Science, Interdisciplinary Applications)高速炉の設計では、自由表面渦によるガス巻き込み現象を回避することが極めて重要である。数値解析は、これらの現象を理解するための重要な手法の一つである。しかしながら、従来の数値解析手法では計算効率や精度に課題があったため、計算効率と複雑な流れのシミュレーション能力で知られる格子ボルツマン法(LBM)を代替手法として採用する。本研究では、ガス巻込み解析を高速化するために自由表面流LBMを実装し、従来の手法と比較して精度を維持しながら計算コストを大幅に削減した。LBMを用いたシミュレーション結果は実験データとよく一致し、将来の高速炉設計における解析の高速化に有望な手段を提供する。
山田 進; 町田 昌彦; 谷村 直樹*
EPJ Web of Conferences, 302, p.16004_1 - 16004_10, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Computer Science, Interdisciplinary Applications)原子炉建屋の廃炉を安全に行うためには、放射線源の分布を知ることが重要である。適切な位置で観測された空間線量値が用意できれば、LASSOを用いることで線源の分布を推定できることが報告されている。しかしながら、事前に適切な観測点の位置を知ることは難しい。そこで、LASSOによって推定した線源分布の事前分布からベイジアンLASSOを用いて事後分布を求め、その事後分布から追加する観測点の候補位置における空間線量値の予測分布を評価し、この予測分布の分散に基づいて追加する観測点位置を決定する方法を提案した。この方法を用いることで、多くのケースにおいて、ランダムで観測点を追加するよりも少ない観測点の追加で線源を推定できることが確認できた。
Garnaud, L.*; 小川 達彦; 他7名*
EPJ Web of Conferences, 302, p.07004_1 - 07004_14, 2024/10
被引用回数:1 パーセンタイル:97.81(Computer Science, Interdisciplinary Applications)光核反応によって生成される光中性子は、高エネルギーガンマ線源、電子加速器、または原子炉を用いる様々な分野で発生する。光中性子の放出をシミュレートし、その場を特性評価し、あるいは核システムへの影響を評価するため、一般的にモンテカルロ粒子輸送コードが使用される。本研究の目的は、複数のモンテカルロコード(MCNP6、PHITS、およびTRIPOLI-4)を用いて光中性子のシミュレーションに関するデータ集を作成することである。各コードは、ENDF/B-VIII.0およびJENDL-5核データライブラリを用いて順次実行される。反応エネルギー閾値から30MeVまで、すなわち巨大双極子共鳴(GDR)の領域において、自然同位体組成を持つ50の元素によって生成される光中性子場を扱った。光中性子場は、光中性子電流、エネルギースペクトル、および角度分布という3つの観測量に従って特性評価した。本稿では、原子番号の昇順で最初の5つの元素、すなわち重水素、ベリリウム、炭素、窒素、および酸素について得られた結果を提示した。
三輪 周平; 中島 邦久; 鈴木 知史; Rizaal, M.; 鈴木 恵理子; 堀口 直樹; 逢坂 正彦
Proceedings of Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications + Monte Carlo 2020 (SNA + MC 2020), p.253 - 260, 2020/12
シビアアクシデント時のFP挙動評価における主な課題であるFP化学挙動評価と解析の空間分解能を改良するための基盤研究を行っている。FP化学挙動に関しては、SA解析コード改良に資する化学挙動データベースECUMEを開発しており、計算科学的なアプローチにより実験データの無いCs化合物の熱力学データを取得した。また、空間分解能に関しては、FPの詳細挙動解析が可能な3D-CFD解析ツールCHASERを開発している。ECUMEをCHASERに組み込むことでより正確なFP挙動解析が可能となる。
古高 和禎; 藤 暢輔
Proceedings of Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications + Monte Carlo 2020 (SNA + MC 2020), p.297 - 304, 2020/10
No established method exists to non-destructively measure the amount of highly radioactive nuclear fuel materials such as spent fuels, and it is one of the urgent issues in nuclear material accountancy. Therefore, JAEA has started a research on development of innovative non-destructive analysis (NDA) system for Special Nuclear Materials and Minor Actinides, in cooperation with EC-JRC. The aim of the project is to establish an NDA method which can be applied to highly radioactive nuclear materials and develop a demonstration system, named "Active-N", by utilizing an intense D-T neutron source and by combining the following mutually complemental active-neutron NDA methods: DDA, N RTAs, and PGA (Prompt Gamma-ray Analysis). The PGA measurements play a crucial role in the system, because it can detect/quantify neutron poison elements which disturb DDA measurements, as well as explosives and chemical warfare agents, by utilizing a high-energy resolution Germanium detector. To make an NDA system to be efficient one, an intense neutron generator has to be employed. On the other hand, exposure of a Ge detector to an immense amount of fast neutron makes the detector severely damaged and inoperative. Therefore, in order for the system to be efficient, it is essential to develop effective shield of the PGA system against fast neutrons. In this work, by performing particle transport calculation using Monte Carlo method, we have investigated effective shielding methods for the PGA measurement system in the Active-N system, against fast neutrons from the D-T neutron source. Materials and their configurations which effectively reduce fast-neutron doses and at the same time emit no interfering gamma rays, were examined. Through the calculation, a shield which reduces fast neutron dose sufficiently have been developed. This research was implemented under the subsidiary for nuclear security promotion of MEXT.
鈴木 知史; 逢坂 正彦; 中桐 俊男
Proceedings of Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications + Monte Carlo 2020 (SNA + MC 2020), p.131 - 136, 2020/10
人形峠におけるウラン移行挙動評価に資するため、ウラン鉱物の安定性評価をDFT計算により進めている。その第一段階として、主要なウラン鉱物で構造の詳細が明らかでない人形石の結晶構造と単位胞の構成を検討した。人形石の結晶構造の評価のため、XRD解析コードを用いて既報の人形石のXRDパターンを解析した。その結果、U原子間の距離は
軸に沿って
となった。そこで、3個のUまたはCa原子が
軸に沿って並んだ[CaU(PO
)
]
の構造を構成し、この構造を初期構造としてDFT計算により構造最適化を実施した。その結果、得られた構造の理論XRDパターンは、人形石のXRDパターンと同様に、30
付近に最大のピークがあった。これにより、人形石の構造は[CaU(PO
)
]
を基礎とする構造であると考えられる。
山口 瑛子; 浅野 育美*; 北川 結理*; Meng, C.*; 中尾 淳*; 奥村 雅彦
Proceedings of Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications + Monte Carlo 2020 (SNA + MC 2020), p.127 - 130, 2020/10
粘土鉱物は身近な鉱物の一つであり、環境中の元素挙動に大きな影響を及ぼすにも関わらず、未解明な点が多い。粘土鉱物の重要な特性の一つに、同程度の大きさのイオンによる置換反応(同形置換)があり、粘土鉱物の強い吸着力の要因の一つと考えられているが、実際にどの程度影響を及ぼすか評価されたことはない。本発表では、系統的なモデル作成と第一原理計算を用いることで、同形置換が剥離強度に与える影響を数値的に評価した結果を報告する。
長谷川 雄太; 小野寺 直幸; 井戸村 泰宏
Proceedings of Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications + Monte Carlo 2020 (SNA + MC 2020), p.236 - 242, 2020/10
都市域の風況および汚染物質拡散は建造物や植生に強く影響されるため、従来のメソスケールモデルで記述することは困難である。この問題を解決するため、細分化格子ボルツマン法(LBM)を用いたGPUベースのCFDコードの開発を進めており、現在、数メートル解像度の汚染物質拡散のリアルタイム解析を実現している。しかし、このような高解像度のシミュレーションでは流れは極めて強い乱流状態にあり、計算結果は様々な計算条件の影響で大きく変化する。本研究では、このようなカオス状態のシミュレーションにおいて計算の信頼性を向上させるため、アンサンブル計算を実装し、不確かさの統計的評価を可能とした。開発したコードを用いてオクラホマシティにおける野外拡散実験JU2003の検証計算を行った。結果として、風況が実験とよく一致するとともに、トレーサガス濃度の平均値がアンサンブル計算と実験値の間でFactor2の条件(計算値と実験値の比が1/2から2倍の間にあること)を満たすことを確認した。
滝野 一夫; 杉野 和輝; 大木 繁夫
Proceedings of Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications + Monte Carlo 2020 (SNA + MC 2020), p.92 - 96, 2020/10
Japanese next-generation fast reactor core design adopts the reaction rate ratio preservation (RRRP) method for control rod homogenization with a super-cell model in which a control rod is surrounded by fuel assemblies. The former studies showed the RRRP method with a super-cell model could estimate the control rod worth (CRW) of a 750-MWe large fast reactor core within the analytical uncertainty of 1.5%. It turned out afterwards that a radially-dependent analytical uncertainty remained in the CRW estimation, which also affected the estimation of radial power distribution (RPD) in the control-rod inserted core. Fortunately, those effects were negligible for smaller fast reactor cores. In order to eliminate the radially-dependent analytical uncertainty of CRW and RPD for large fast reactor cores, this study refined the super-cell model in the RRRP method with the help of Monte-Carlo simulation.
小野寺 直幸; 井戸村 泰宏; Ali, Y.*; 山下 晋; 下川辺 隆史*; 青木 尊之*
Proceedings of Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications + Monte Carlo 2020 (SNA + MC 2020), p.210 - 215, 2020/10
本研究では、ブロック型局所細分化(AMR)法に基づくPoisson解法のGPU高速化を実施した。ブロック型AMR法はGPUに適したデータ構造であり、複雑な構造物で構成された原子炉等の解析に必須な解析手法である。これに、最新の前処理手法であるマルチグリッド(MG)法を共役勾配(CG)法へと組み合わせることで、計算の高速化を実現した。MG-CG法を構成する計算カーネルをGPUスーパーコンピュータであるTSUBAME3.0上にて測定した結果、ベクトル-ベクトル和、行列-ベクトル積、およびドット積の帯域幅は、ピークパフォーマンスの約60%となり、良好なパフォーマンスを実現した。更に、MG法の前処理手法として、3段のVサイクル法および各段に対してRed-Black SOR法を適用した手法を用いて、
格子点の大規模問題の解析を実施した結果、元の前処理付きCG法と比較して、反復回数を30%未満に削減すると共に、2.5倍の計算の高速化を達成した。
5 grain boundary of
-iron海老原 健一; 鈴土 知明
Proceedings of Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications + Monte Carlo 2020 (SNA + MC 2020), p.65 - 69, 2020/10
リンは鉄鋼材料において粒界脆化を引き起こす元素として知られている。さらに、照射による空孔や格子間原子の増加によってリン原子の粒界偏析が促進される。このことから、照射量や温度に対する粒界リン偏析量を評価するため、原子レベルの素過程に基づく拡散レート理論モデルを開発している。しかし、このモデルでは、粒界でのリンのトラップ及びデトラップモデルが適切に取り込まれていないため、実験結果と直接比較できる量を計算できない。粒界からのデトラップを考察するため、これまで、これまで鉄中の
3対称傾角粒界内におけるリンの移動を分子動力学シミュレーションにより考察してきたが、本研究では、
5でのリン移動をシミュレーションし、
3との結果と比較した。その結果、800Kにおいて、
3ではリン原子は比較的容易に鉄原子の間を移動するが、
5では空孔がないと移動できないことが分かった。また、リン原子を置かない粒界領域中の鉄原子についても同様の傾向が見られた。これは、デトラップ過程をモデル化するための1つの知見を与えると考えられる。
井戸村 泰宏; 伊奈 拓也*; Ali, Y.*; 今村 俊幸*
Proceedings of Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications + Monte Carlo 2020 (SNA + MC 2020), p.225 - 230, 2020/10
ジャイロ運動論的トロイダル5次元オイラーコードGT5Dにおける半陰解法差分ソルバ向けに新しいFP16(半精度)前処理付き省通信型クリロフソルバを開発した。このソルバでは、大域的集団通信のボトルネックを省通信型クリロフ部分空間法を用いて解決し、FP16前処理を用いて収束特性を改善することで袖通信の回数を削減した。FP16前処理は演算子の物理特性に基づいて設計され、A64FXにおいて新たにサポートされたFP16SIMD演算を用いて実装された。本ソルバは富岳(A64FX)とSummit(V100)に移植され、JAEA-ICEX(Haswell)に比べてそれぞれ
63倍,
29倍のソケットあたり性能の向上を達成した。
今野 力; 権 セロム*
Proceedings of Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications + Monte Carlo 2020 (SNA + MC 2020), p.320 - 325, 2020/10
FENDL-3.1dの非分離共鳴データのある33核種で、ACEファイルに入っている発熱数の確率テーブル(p-table)に負の値があることを見つけ、その原因を調べた。その結果、問題の核種はエネルギーバランスが崩れているためエネルギーバランス法で計算される捕獲反応の部分KERMA係数が異常に大きくなること、FENDL-3.1dでは運動学的手法で全反応のKERMA係数を計算していることがわかった。このため33核種のNJOY処理で問題が生じ、発熱数のp-tableに負の値が入ったと考えられる。この問題への対処方法として2つの方法を考案し、FENDL-3.1dのACEファイルを作り直し、発熱数のp-tableに負の値がないことを確認した。