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Yuan, X.*; Hu, Q. H.*; Fang, X.*; Wang, Q. M.*; Ma, Y.*; 舘 幸男
Sedimentary Geology, 465, p.106633_1 - 106633_14, 2024/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Geology)Archie's cementation factor, m, is a critical parameter for petrophysical studies, and the value is influenced by several factors such as the shape, type, and size of grains, degrees of diagenesis, and associated pore structure. Using integrated experimental and theoretical approaches, the goal of this study is to obtain the cementation factor of rocks (both reservoir rock and caprock) and assess the impact of diagenesis processes on the values of the cementation factor. Thirteen samples of geologically diverse rocks (six mudstones, four fossiliferous limestones, two marbles, and one sandstone) were selected to achieve these research objectives. Two approaches, the diffusion of gas tracers and the Bosanquet formula calculation using pore-throat sizes from mercury intrusion porosimetry analyses, were used to derive the cementation factors of these rock samples. These rocks were categorized into two groups based on the correlation between average pore-throat diameter and diffusivity, and an exponential-law relationship between the cementation factor and porosity was determined for these sample groups. In addition, thin-section petrography and field emission-scanning electron microscopy observations were utilized to investigate diagenetic processes, with four diagenetic patterns being established: (1) strong compaction, strong cementation, and weak dissolution-diagenesis pattern; (2) weak compaction, medium cementation, and weak dissolution-diagenesis pattern; (3) weak compaction, medium cementation, and strong dissolution-diagenesis pattern; and (4) fracture-matrix pattern. The results indicated that diagenetic processes and microfractures contribute to the variability in the cementation factors in these rock samples.
石井 英一
Hydrogeology Journal, 31(4), p.893 - 911, 2023/06
被引用回数:2 パーセンタイル:0.00(Geosciences, Multidisciplinary)断層や割れ目が発達する岩盤において坑道掘削を行う際にはプレグラウトを行っていても顕著な湧水に遭遇することがある。そのような場合、湧水抑制のためにポストグラウトが必要となる場合があるが、場の条件によっては湧水量の自然低下に頼る方法も効率的な坑道掘削に有効である。水圧の拡散方程式に基づくと、岩盤中の流れの次元が3であると、湧水箇所からの湧水量は発生後もほとんど低下しないが、次元が1であると、発生後の10日間で発生一日目の湧水量の1/3以下まで、100日以上で1/10以下まで低下し得る。したがって、流れの次元が低い場合は自然低下の利用も有効な湧水対策となり得る。しかしながら、流れの次元と湧水量の変化との関係は実際の坑道掘削現場において十分に検証されていない。筆者は幌延の地下研究施設建設時において、断層や割れ目が発達する堆積岩を掘削中に遭遇した顕著な湧水箇所(6つ)の湧水量変化を解析し、それらの箇所の流れの次元が坑道掘削前に行ったボーリング調査における透水試験の結果と整合することを明らかにした。地下施設の湧水はプレグラウトや脱ガスなどによる坑道沿いのスキン効果や遠方の境界条件の影響を受けるが、湧水発生後の数日から数週間における相対的な湧水量の変化は流れの次元に強く従うことが今回の結果から分かった。事前のボーリング調査、あるいは湧水発生直後(数日程度)の湧水量変化に基づいて場の流れの次元を特定し、それに基づいて湧水量の自然低下量を見積もることは効率的な掘削を行う上で有益である。
King, G. E.*; Ahadi, F.*; 末岡 茂; Herman, F.*; Anderson, L.*; Gautheron, C.*; 塚本 すみ子*; Stalder, N.*; Biswas, R.*; Fox, M.*; et al.
Geology, 51(2), p.131 - 135, 2023/02
The exhumation of bedrock is controlled by the interplay between tectonics, surface processes, and climate. The highest exhumation rates of centimeters per year are recorded in zones of highly active tectonic convergence such as the Southern Alps of New Zealand or the Himalayan syntaxes, where high rock uplift rates combine with very active surface processes. Using a combination of different thermochronometric systems including trapped-charge thermochronometry, we show that such rates also occur in the Hida Mountain Range, Japanese Alps. Our results imply that centimeter per year rates of exhumation are more common than previously thought. Our thermochronometry data allow the development of time series of exhumation rate changes at the time scale of glacial-interglacial cycles, which show a fourfold increase in baseline rates to rates of 10 mm/yr within the past 65 k.y. This increase in exhumation rate is likely explained by knickpoint propagation due to a combination of very high precipitation rates, climatic change, sea-level fall, range-front faulting, and moderate rock uplift. Our data resolve centimeter-scale sub-Quaternary exhumation rate changes, which show that in regions with horizontal convergence, coupling between climate, surface processes, and tectonics can exert a significant and rapid effect on rates of exhumation.
Wang, Q.*; Hu, Q.*; Zhao, C.*; Yang, X.*; Zhang, T.*; Ilavsky, J.*; Kuzmenko, I.*; Ma, B.*; 舘 幸男
International Journal of Coal Geology, 261, p.104093_1 - 104093_15, 2022/09
被引用回数:10 パーセンタイル:74.93(Energy & Fuels)To understanding the spatial heterogeneity of mineral and pore structure variations in fine-grained shale, microscale X-ray fluorescence (micro-XRF) mapping, (ultra-) small-angle X-ray scattering [(U)SAXS] and wide-angle X-ray scattering were applied for two samples from a piece of Eagle Ford Shale in South Texas. Thin section petrography and field emission-scanning electron microscopy, X-ray diffraction (XRD), total organic carbon, and pyrolysis were also utilized to investigate the potential spatial heterogeneity of pore types, mineral and organic matter compositions for both samples. Overall, the siliceous-carbonate mineral contents in these carbonate-rich Eagle Ford Shale vary between laminations at mm scales. By analyzing six selected sub-samples on each of two samples with X-ray scattering and XRD techniques, nm-sized pores are mainly interparticle ones in the higher calcite regions, where the porosity is also relatively lower, while the lower calcite regions consist of both interparticle and intraparticle pore types with higher porosity. Finally, the micro-XRF and (U)SAXS are combined to generate porosity distribution maps to provide more insights about its heterogeneity related to the laminations and fractures at our observational scales.
水野 崇; Milodowski, A. E.*; 岩月 輝希
Chemical Geology, 603, p.120880_1 - 120880_16, 2022/08
被引用回数:4 パーセンタイル:49.72(Geochemistry & Geophysics)本研究は、瑞浪地域の土岐花崗岩中の割れ目を充填する方解石の形成順序と希土類元素およびイットリウム(REY)の分別プロセスに着目している。方解石の結晶形、化学的・同位体的特徴と流体包有物の化学的特徴から、Calcite I (最古)からCalcite IV (最新)まででの4つの世代に区別されることが明らかになった。方解石の析出履歴は、海進に伴う海水の浸透と海退・隆起に伴う地表水の浸透による地下水の進化に支配された古地下水の水文化学組成の変化を反映している。REYの大陸頁岩による正規化パターンを世代毎で見ると、有意なCe異常はなく、負のEu異常、軽REY(LREY)に枯渇するパターンが支配的であることがわかった。これらの特徴は、土岐花崗岩にも共通する。各世代の方解石における特徴の一貫性は、REYが水-岩石反応によって土岐花崗岩から供給されたことを示している。方解石中のCe異常の欠如は、方解石析出時に地下水が還元状態を維持していたことを示す。しかし、方解石中のLREYとHREYの分画は花崗岩中よりも各世代で顕著であった。各世代の方解石が沈殿した古地下水における分画過程は、過去の地下水中のREYシリーズやpHの炭酸錯体の系統的な変動と密接に関連している。本研究で得られた知見は、高レベル放射性廃棄物の地層処分の長期的な安全性を評価するために重要である。
望月 陽人; 石井 英一
Hydrogeology Journal, 30(3), p.813 - 827, 2022/05
被引用回数:5 パーセンタイル:42.62(Geosciences, Multidisciplinary)断層や割れ目を通じた移流の程度を評価することは、放射性廃棄物の地層処分を進めるうえで必要不可欠である。本研究では、幌延地域に掘削された4本のボーリング孔から取得された亀裂中の水と間隙水とで安定同位体比(D、O)を比較することにより、亀裂を通じた天水の移流が生じているか否かを評価した。2本のボーリング孔の浅い領域では、間隙水に比べて亀裂水のほうがより天水に近い同位体比を示した。一方、これらのボーリング孔のより深い領域と、残り2本のボーリング孔のすべての試料採取深度では、亀裂水と間隙水の同位体比は類似していた。これらの結果から、天水の移流は、天水による化石海水の希釈が進んでいる浅い領域でのみ生じていることが示唆される。この解釈は、同位体比の値やトリチウムの分布とも整合的であり、現在の天水の混入は移流が生じている浅い領域のみに限定される。浅い領域と深い領域とで移流の程度が異なるのは、海水準の変化に伴う氷期と間氷期での動水勾配の違いによるものと考えられる。割れ目の水理学的な連結性が高くても、海水準が大規模に低下し動水勾配が上昇するようなことがない限りは、割れ目を通じた移流は生じないままであることが示唆される。
渡邊 隆広; 鏡味 沙耶; 丹羽 正和
Marine Geology, 444, p.106704_1 - 106704_13, 2022/02
被引用回数:5 パーセンタイル:39.74(Geosciences, Multidisciplinary)地層中の津波堆積物を指標として過去の津波浸水域を復元することにより、沿岸域における津波被害を推定し防災・減災につなげることができると期待される。しかし、現状では津波堆積物の供給源の推定や、洪水堆積物との区別等が解決すべき課題となっている。これらの問題を解決する一つの手段として、津波堆積物の地球化学判別手法が有効と考えられるが、国内での適用例は限られている。本研究では、宮崎平野から採取された津波堆積物の地球化学的特徴および重鉱物組成を指標として津波堆積物の検出を試みた。ポータブルXRFによる化学分析の結果、津波堆積物への遷移層においてS/TiやSr/Ti比等の増加、及びRb/Ti比等の減少傾向が見られた。また、津波堆積物の一部でZrが濃集していることが明らかになった。さらに、クラスター分析等の統計処理により、一部の津波堆積物と他の堆積層とを区別できることが示された。
石井 英一
Engineering Geology, 294, p.106369_1 - 106369_12, 2021/12
被引用回数:11 パーセンタイル:65.31(Engineering, Geological)既存の水理力学連成モデルに基づくと、割れ目の透水量係数(T)は、割れ目のラフネス(),初期開口幅(),有効垂直応力、そして岩石の引張強度と関連付けることができ、はせん断膨張により増加し得る。先行研究により、国内外の6つのサイトのボーリング調査によりフローアノマリとして検出された断層帯中の割れ目のTが平均有効応力を岩石の引張強度で除した値(DI)と一様に相関することが示された。このTのDI依存性が同連成モデルに基づく割れ目の開閉現象で説明できれば、これらのTはあるDI条件下でせん断膨張により上昇し得るTの最大値を表すことになる。本研究はこの可能性を検証するため、上記の割れ目のTと岩石の引張強度、および想定されると有効垂直応力から割れ目のを推定した。そしてこのを基に、割れ目の有効垂直応力のみを変化させた場合のTの変化をシミュレートした。その結果、そのTの変化は上記のDI依存性をよく再現した。今回得られた結果は、断層帯の再活動や隆起を想定した場合、どの程度、断層の透水性が上昇し得るかを推定するのに役立つ。
小嶋 智*; 鏡味 沙耶; 横山 立憲; 苅谷 愛彦*; 片山 喜一*; 西尾 学*
Proceedings of 5th International Workshop on Rock Mechanics and Engineering Geology in Volcanic Fields (RMEGV 2021) (Internet), 6 Pages, 2021/09
中部日本で最も活動が活発な火山の一つである焼岳の4.6kmほど北東に位置するきぬがさの池周縁部から採取したハンドオーガーボーリングコア試料からローカルテフラがみつかる。このテフラは、主成分として様々な形状の火山ガラス(マイクロライトを包有するもの、ブロック状、縦溝のあるもの、微小胞のあるもの)から構成され、また、少量の鉱物(石英,斜長石,角閃石,黒雲母,輝石)を含む。また、このテフラ層より10cm下部より回収された植物残骸から得られるC較正年代は、2,331-2,295cal BP(19.2%の確率)もしくは、2,270-2,155cal BP(76.2%の確率)である。本研究では、電子プローブマイクロアナライザを用いて、このテフラ層の火山ガラスのうち、241個について主要元素分析を行った。それらのデータをSiO-KO, SiO-NaO+KO、及びFeO-KO図にプロットした結果、中部日本に分布する主要なテフラの化学組成との差異が認められた。さらに、鉱物組成及び化学組成は、約2,300cal BPとされる焼岳の北北西およそ2kmに広がった中尾火砕流のテフラと一致する。このテフラは北アルプス南部の2,300cal BPのローカルな年代指標として有益である可能性が示唆された。
葉田野 希*; 吉田 孝紀*; 森 沙織*; 笹尾 英嗣
Sedimentary Geology, 408, p.105751_1 - 105751_13, 2020/10
被引用回数:3 パーセンタイル:28.78(Geology)東アジアモンスーンの履歴や、モンスーン気候の発達とテクトニクス、地球規模の気候との関係は複雑で議論が多い。本研究では、西南日本の湖成堆積物の主成分元素と希土類元素の組成に基づいて化学風化条件を検討した。その結果、380340万年前には主成分元素組成から推定される変質強度の指標や希土類元素組成,試料の鉱物組成から、化学風化が強まったことがわかった。既往研究成果との比較から、西南日本におけるこの時期の強風化条件は、黒潮の流入による温暖湿潤気候と東アジア夏季モンスーンに起因する可能性が考えられた。
石井 英一
Engineering Geology, 275, p.105748_1 - 105748_12, 2020/09
被引用回数:11 パーセンタイル:54.20(Engineering, Geological)従来のダブルパッカーシステムを用いて定圧段階注入試験を珪質泥岩中の正断層を対象に実施した。同試験は、注入中の孔内試験区間の軸変位をスライド式パッカー内の圧力と試験区間の圧力を計測することによりモニタリングする新たな方法を適用した。計測された圧力と軸変位、および注入流量レートから試験中の断層の水理開口幅, せん断変位, 垂直コンプライアンス, 垂直応力, せん断靭性および水理学的膨張角が見積もられた。注入により最大で13.349.5mm(推定誤差含む)の大きなせん断変位(正断層センス)を発生させることができ、特徴的なせん断すべりのイベントがあった後、2.810.4mmの残留せん断変位が残された。せん断中のせん断靭性は2.310 8.410 Pa m(推定誤差を考慮)と見積もられ、この値は既往研究から経験的に推定される値と整合的である。残留せん断変位は何らかの水理開口幅の増加を残さなかったので、水理学的膨張角は実質的にゼロであったと推定された。本試験方法は特別な専用装置を必要とせず、地下の亀裂や帯水層の水理力学挙動の調査に有効と考えられる。
望月 陽人; 石井 英一; 宮川 和也; 笹本 広
Engineering Geology, 267, p.105496_1 - 105496_11, 2020/03
被引用回数:5 パーセンタイル:22.35(Engineering, Geological)高レベル放射性廃棄物の地層処分場の建設・操業時には、坑道内の大気が掘削損傷領域(EDZ)に侵入し、坑道周辺の岩盤や地下水が酸化状態に変化することが想定される。坑道掘削が岩盤や地下水の酸化還元状態に与える影響を評価するために、幌延深地層研究センターの調査坑道周辺において酸化還元状態に関する調査を実施した。調査坑道周辺に掘削されたボーリング孔において、地下水のEhは-150mVより低く、酸化の指標となるSO濃度はおおむね1mol L未満であった。ボーリング孔に設けられた区間の50%以上をガスが占め、その組成は主にCHとCOからなり、NとOの割合はわずかであった。坑道から採取されたコア試料を分析した結果、黄鉄鉱の酸化溶解や硫酸カルシウムの沈殿は認められなかった。以上の結果から、今回調査したEDZにおいては酸化の顕著な兆候は認められず、その理由として、地下水圧の低下に伴い脱ガスしたCHやCOが岩盤中の割れ目を占め、大気の侵入が抑制された可能性が示唆された。
丹羽 正和; 島田 耕史; 石丸 恒存; 田中 義浩*
Engineering Geology, 260, p.105235_1 - 105235_15, 2019/10
被引用回数:12 パーセンタイル:52.85(Engineering, Geological)地表付近での最近の断層活動に伴う化学組成変化を特定するため、発達史の異なる2つの断層破砕帯において岩石の鉱物・化学組成分析を行った。その結果、最近活動した断層では、すべり面に沿ってMnOの増加やFeOの減少、Ceの正の異常といった地下から上昇した地下水の酸化に伴う化学組成変化が特徴的に認められる一方、長期にわたり活動していない断層では、酸化に伴う化学組成変化は破砕帯の構造に関係なく、地表からの地下水の既存の割れ目への流入で説明できることが示された。
石井 英一
Engineering Geology, 259, p.105203_1 - 105203_9, 2019/09
被引用回数:2 パーセンタイル:12.65(Engineering, Geological)スメクタイトを含むせん断帯はスメクタイトの独特な物理化学特性により地球科学, 地球工学の様々な分野で重要となっている。同せん断帯は海成粘土質/珪質堆積物中に広く挟在するが、その起源としてテフラ起源と母岩起源のものが考えられ、両者は潜在的にスメクタイト含有量, 拡がり, 形成時期の点で異なる。しかし、その起源を観察により特定することは困難である。本論はその特定手法として、粘土鉱物中のイライトに対するスメクタイト含有量と全岩化学組成のAlO/TiO(wt%/wt%)を用いた手法を提案する。高いスメクタイト含有量はテフラ起源の証拠となり得るが、この値はせん断変形に伴う鉱物学的擾乱/変質により低下することがあり、識別が困難になる。先行研究に基づくと、母岩と異なるAlO/TiOもテフラ起源の証拠となり、その測定誤差もスメクタイトの含有量の誤差と比べれば非常に小さいが、例えそのせん断帯がテフラ起源であっても母岩と同じAlO/TiOを示すことがある。これらの指標を褶曲した北海道の珪質泥岩に適用した結果、両指標を組み合わせることにより、せん断帯の起源をより簡便に、より高精度で特定できることが確認できた。
久保 大樹*; 松田 典大*; 柏谷 公希*; 小池 克明*; 石橋 正祐紀; 鶴田 忠彦; 松岡 稔幸; 笹尾 英嗣; Lanyon, G. W.*
Engineering Geology, 259, p.105163_1 - 105163_15, 2019/09
被引用回数:12 パーセンタイル:49.66(Engineering, Geological)花崗岩基質部の浸透率は主にマイクロクラックに規制される。本研究は土岐花崗岩を対象に、基質部の浸透率を支配する要因の特定を目指して、ボーリングコア試料の浸透率を、窒素ガス圧入式パーミアメータを用いて測定した。その結果、浸透率は断層帯や割れ目の多い場所で高く、弾性波速度と明瞭な相関が認められた。また、浸透率の特徴は、試料のマンガン/鉄比によって2つのグループに区分できることから、岩相が浸透率を規制する要因の一つであることが分かった。さらに、浸透率はケイ素と負の相関、カルシウムと正の相関があり、ケイ酸塩鉱物の溶解や炭酸塩鉱物の沈殿が浸透率に影響を及ぼしていることが明らかになった。このことから、断層活動に加えて、熱水活動が浸透率を規制する要因であると考えられた。
葉田野 希*; 吉田 孝紀*; 笹尾 英嗣
Sedimentary Geology, 386, p.1 - 8, 2019/05
被引用回数:18 パーセンタイル:82.06(Geology)堆積物の粒径の変化は供給源における化学的風化の評価を複雑にする。化学的風化の復元における粒径の影響を評価するため、西南日本に分布する中新世と鮮新世の堆積物を用いて鉱物・地球化学的研究を行った。その結果、AlO/SiOが粒径の指標として適することがわかった。また、細粒堆積物は高い化学的風化度を示すのに対して、粗粒堆積物は幅広い化学的風化度を示す。中間的な粒度の堆積物は中新世と鮮新世の堆積物で明瞭な相違が認められた。中間的な粒度の堆積物では、中新世が鮮新世よりも高い化学的風化度を示す。この結果から、化学的風化の比較にあたっては、AlO/SiO比から中間的な粒度の堆積物を抽出して評価することが望ましいことがわかった。
Yu, Q.*; 大貫 敏彦*; 香西 直文; 坂本 文徳; 田中 万也; 笹木 恵子*
Chemical Geology, 470, p.141 - 151, 2017/10
被引用回数:16 パーセンタイル:52.34(Geochemistry & Geophysics)本研究では、2種類のMn酸化物(トドロカイトとバーネサイト)が持つCs保持能を評価した。トドロカイトには、Csの吸着選択性がバーネサイトよりも高いサイトがあることがわかった。Cs初期濃度10mol/Lで吸着させた後、吸着したCsを1M NaClとNHClで脱離させたところ、約34%のCsが脱離せずにトドロカイトに残った。この値はバーネサイトに残ったCsの割合よりもずっと多かった。これらの結果は、トドロカイトが土壌中の放射性Csの固定に寄与することを強く示唆する。
石井 英一; 古澤 明*
Engineering Geology, 228, p.158 - 166, 2017/10
被引用回数:6 パーセンタイル:29.22(Engineering, Geological)幌延深地層研究センターの地下施設に出現した粘土質せん断帯に含まれる粘土物質の顕微鏡観察を行った結果、粘土物質にはメルトインクルージョン(MI)が多く含まれていることが分かり、それらの化学組成を分析すると、全てのMIが同一の組成を持つことが分かった。さらに、センター周辺のボーリングコアに認められる粘土質せん断帯を調べた結果、これと同一の組成を示すMIが他にも複数箇所で検出され、これらの粘土質せん断帯はセンター周辺に分布する既知の火山灰層面とほぼ一定の比高を保ちながら(同火山灰層の350m下方)、数キロメートルにわたって分布することが分かった。これらのことから、このMIを含む粘土物質は火山ガラスが変質したものであり、この粘土物質を多量に含むせん断帯(粘土質せん断帯)は泥岩が破砕・変質して形成されたのではなく、泥岩中に挟在する火山灰層が変質・変形して形成されたものであることが分かった。
田中 万也; 田中 雅人*; 渡邊 直子*; 徳永 紘平*; 高橋 嘉夫*
Chemical Geology, 460, p.130 - 137, 2017/06
被引用回数:8 パーセンタイル:31.94(Geochemistry & Geophysics)深海海洋底に存在する鉄マンガン団塊・クラストにはPdが海水に比べてかなり濃集していることが知られている。しかし、こうしたPdの濃集機構はこれまでほとんど研究されてこなかった。そこで本研究ではX線吸収微細構造法を用いて鉄マンガン団塊・クラストの主要構成物質であるマンガン酸化物へのPd吸着機構を調べた。その結果、海水を模擬したNaCl水溶液中では塩化物錯体(Cl配位)であるPdはマンガン酸化物表面に吸着する過程で酸素配位に変化することが明らかとなった。さらに、マンガン酸化物表面に吸着したPdは単核二座配位と二核二座配位の2種類の内圏型錯体を形成することが分かった。これら2種類の内圏型錯体の形成は密度汎関数理論を用いた量子化学計算の結果からも支持された。こうした内圏型錯体の形成は、マンガン酸化物-NaCl水溶液間のPd吸着実験から得られた分配係数が大きいことと調和的であると言える。
石井 英一
Engineering Geology, 221, p.124 - 132, 2017/04
被引用回数:15 パーセンタイル:53.38(Engineering, Geological)断層帯に関する既往の水理力学的研究によると、引張性/ハイブリッド性のダメージゾーン亀裂を伴わない断層帯は非常に脆性的な様式での断層運動を経験していない可能性が高く、断層帯中の亀裂の潜在的な最大透水量係数は10m/s以下である可能性が高いことが想定される。本研究はこの想定を検証するために、断層帯中のダメージゾーン亀裂の破壊モード(引張性/ハイブリッド性/せん断性)と断層帯中の亀裂の最大透水量係数の関係を、幌延の珪質泥岩中のボーリング孔データ(コア観察結果と流体電気伝導度検層結果)から検討した。引張性/ハイブリッド性のダメージゾーン亀裂を伴わない断層帯の96%(35/36)は流体電気伝導度検層によって断層帯中に検出されるフローアノマリーの透水量係数は10m/s以下であった。この結果は先述の想定を支持する。