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望月 陽人; 石井 英一
Isotope News, (784), p.23 - 27, 2022/12
Isotope News誌の「Tracer」欄において、亀裂を通じた地下水の流れの有無を水の安定同位体比を利用して判別する方法に関する論文(Mochizuki and Ishii, 2022, https://doi.org/10.1007/s10040-022-02466-9)を紹介するものである。
太田 雅和; 小嵐 淳
Isotope News, (784), p.28 - 31, 2022/12
福島第一原子力発電所事故の影響を受けた森林では、沈着した放射性セシウム(Cs)による樹木汚染が問題となっている。しかしながら、森林内の各
Cs移行過程が樹木(特に、福島の林業で重要な資源である幹の木部)の汚染に及ぼす影響については、十分な理解が得られていない。本研究では、森林樹木-リター層-土壌系における
Csの動態を計算するモデル「SOLVEG-R」を提案し、これを福島県内のスギ植林地および天然のブナ林に適用した事例を紹介する。モデル計算の結果および計算と現地観測の結果の比較から、森林に沈着した
Csの樹木への移行においては、事故時に葉あるいは樹皮に補足された
Csの表面からの取り込みがそのほとんど(
99%)を占めることが示された。一方で、根による土壌中
Csの取り込みは少なく、事故後の50年間にわたり、表面からの取り込みよりも数桁小さい値を保つことが示された。これらの結果、樹木の内部汚染が、事故直後に樹木表面から取り込まれた
Csの内部再循環(転流)によって引き起こされることが分かった。樹皮を介した表面からの取り込みの重要性も明らかとなり、樹木による
Cs取り込みの100%(事故時に葉が無かったブナ)あるいは30%(事故時に展葉していたスギ、残りの70%は葉の表面からの取り込み)を占めた。試験地の樹木について、2021年時点では、
Csの放射壊変と樹木成長に起因する希釈効果の影響によって樹幹木部の
Cs放射能濃度が年あたり3%で低下していることが示された。
小川 達彦; 平田 悠歩; 松谷 悠佑; 甲斐 健師
Isotope News, (784), p.13 - 16, 2022/12
入射荷電粒子が二次電子を生じる過程を原子サイズで明示的に計算する飛跡構造解析計算は、放射線生物影響,材料照射効果,放射線検出などの研究にとって重要な技術であり、近年主著者らの研究で新しい飛跡構造解析計算コードが開発された。従来の飛跡構造解析計算は標的物質の誘電関数を基に断面積を計算するため、誘電関数が良く測定されている水以外に、適用できるモデルは限られていた。本研究では誘電関数を使うことなく、二次電子エネルギー分布の系統式と阻止能を基に飛跡構造解析計算を行う手法により、誘電関数の測定値の有無にかかわらず、任意の物質で飛跡構造解析計算を実行することを可能とした。こうして開発したモデルで、陽子による水中の動径線量分布や二次電子生成量を計算したところ、従来のコードや実験値とよく一致した。このモデルは原子力機構の放射線輸送計算コードであるPHITS Ver3.25以降に実装され、任意物質に適用できる世界初の汎用飛跡構造解析コードとしてユーザーに提供されている。
岡 壽崇
Isotope News, (784), p.43 - 44, 2022/12
第59回アイソトープ・放射線研究発表会で開催された「若手企画☆「研究者のキャリアパス」」に参加した。4名の講師の先生のお話を伺い、学生の博士課程進学を後押しをどのように行うかなどについて議論した。
岩本 修
Isotope News, (783), p.2 - 5, 2022/10
2021年12月に公開した汎用核データライブラリJENDL-5ではこれまでの汎用核データファイルの枠を超えて、特殊目的ファイルとして公開してきた核データを統合している。また、これまで原子炉ではあまり重要でない核種の中性子反応データも追加を行った。汎用性を高めたJENDL-5の概要について紹介する。
興野 純*; 山本 弦一郎*; 米田 安宏; 岡田 慧*
Isotope News, (783), p.23 - 27, 2022/10
二酸化炭素の地中貯蔵法として鉱物トラップが注目されている。二酸化炭素を含んだ地下水と玄武岩を反応させてマグネサイトを形成させる。形成される炭酸マグネシウム相は多様に変化するが、そのすべてがアモルファス炭酸マグネシウムを経るためその構造を明らかにすることを試みた。高エネルギーX線回折を用いた2体相関分布関数からアモルファス炭酸マグネシウムはハイドロマグネサイトと同様の構造を持つことが明らかとなり、長期的にも安定な構造であることからマグネシウムを含んだ炭酸塩化は二酸化炭素貯留技術として安全な隔離法と言える。
墨田 岳大; 池田 篤史
Isotope News, (783), p.28 - 32, 2022/10
原著論文「High temperature reaction of multiple eutectic-component system; The Case of solid metallic Zr and molten SUS-BC」の解説記事
遠藤 章
Isotope News, (781), P. 3, 2022/06
日本原子力研究開発機構原子力科学研究所の研究用原子炉JRR-3は、2021年2月に10年ぶりに運転を再開した。その後調整運転を経て、7月から11月まで実験装置や照射設備の利用を行い、2021年の運転を計画通り終了した。この期間、Ir-192, Au-198を製造し治療用に供給するとともに、Mo-99製造に向けた試験照射にも着手した。これは、東日本大震災以降、国内で止まっていた原子炉によるRI製造の再開である。本稿では、JRR-3を利用した医療用RI製造の今後の取り組みについて紹介する。
佐藤 優樹
Isotope News, (781), p.19 - 23, 2022/06
福島第一原子力発電所(1F)事故により1Fサイト内外に飛散・沈着した放射性物質の分布を3次元的に可視化するために、放射性物質可視化カメラであるコンプトンカメラに、3次元測域センサを基盤とした環境認識デバイスやドローンを組み合わせることによる放射線イメージングシステムを開発した。本稿では、放射性物質の分布を3次元的に可視化する手法についてその原理を説明するとともに、1Fサイト内ならびに帰還困難区域におけるホットスポット可視化の実証例を紹介する。
武井 早憲
Isotope News, (779), p.11 - 15, 2022/02
J-PARCで整備を目指している核変換物理実験施設(TEF-P)では、リニアックからの大強度負水素イオンビーム(エネルギー400MeV,出力250kW)から小出力の陽子ビーム(最大出力10W)を安定に取り出す必要がある。原子力機構では、レーザーを用いた荷電変換によるビーム取り出し法を提案し、開発を行っている。今回、3MeVの負水素イオンが加速できるJ-PARCのRFQテストスタンドのリニアックにおいて高出力レーザーを用いた荷電変換に基づくビーム取出し試験を実施した。本論文は試験結果の概要をまとめたものである。
高橋 聖; 吉澤 道夫
Isotope News, (778), p.30 - 33, 2021/12
国際放射線防護委員会(ICRP)の"Occupational Intakes of Radionuclides (OIR)" (放射性核種の職業上の摂取)は、ICRPの内部被ばく線量評価方法を提示する専門的な報告書シリーズであり、現行の国内法令に従って実施されている内部被ばくの個人モニタリング及び非密封放射性物質の作業場モニタリングに影響を与える重要なものである。ICRP Publ.130はOIRシリーズの第1部としてシリーズ策定の基本的考え方や改訂された体内動態モデルを記述している。本稿ではICRP Publ.130の概要と体内動態モデル等の変更点を、内部被ばく線量評価への影響を含めて解説する。
佐々木 美雪
Isotope News, (778), p.2 - 5, 2021/12
2011年の福島第一原子力発電所(1F)における事故後、日本では有人ヘリコプターや無人機(UAV)を用いた上空からの放射線モニタリングが行われてきた。上空からの放射線測定は、人が立ち入れない森林等も含め、迅速に広範囲を測定できるというメリットがある。しかしその一方で、上空での測定値から地上の線量率を換算するには、地形や地上の構造物の状況を考慮する必要があるため複雑な換算が必要になるというデメリットがある。従来、上空での放射線測定値を地上における線量率に換算するには、測定対象となる地表面は平らで線量率分布が一定と仮定した簡易的なパラメータで換算を行っていた。そのような仮定条件から逸脱する地形や線量率の変化が複雑なエリアでは不確かさが大きくなりやすい。UAVによる上空からの測定データを簡便かつ正確に換算できることは、現状の福島第一原子力発電所(1F)周辺のモニタリングの効率化が期待できるだけでなく、将来の原子力防災技術としての応用も可能である。また、地形や構造物などのジオメトリの効率的な評価は、上空からの放射線モニタリングに限らず、地上でのサーベイやひいては、原子力発電所施設内や医療用の放射線計測技術にも応用可能と考えられる。日本原子力研究開発機構(JAEA)では、1F周辺の放射線モニタリングを事故後、継続して実施しており、事故から10年以上経過した今、そのデータは膨大なものとなっている。本稿では、1F周辺において取得してきた、UAVによる上空からの放射線モニタリングデータと対になる地上における歩行サーベイのビックデータを学習データとして、機械学習を利用した新たな上空放射線測定値の解析手法についてまとめる。
南川 卓也; 関根 由莉奈
Isotope News, (778), p.34 - 35, 2021/12
廃棄骨を炭酸水素ナトリウムで処理することにより、非常に簡便に高性能な吸着剤を合成することに成功した。またこれは、非常に安価で供給力の高い素材であるため、広範囲の除染や有害金属の除去に使える可能性がある。
佐藤 達彦
Isotope News, (776), p.26 - 28, 2021/08
広島・長崎の原爆被爆者の健康影響に対する疫学調査には、被爆時の状況に合わせた詳細な臓器線量の情報が不可欠となる。本研究では、これまでの線量推定方式をさらに発展させるべく、最新のCT画像などに基づいて1945年における日本人の標準的体型を精緻に再現した成人・小児・妊婦に対する人体模型を開発し、それらと原子力機構が中心となって開発した最新の放射線挙動解析コードPHITSなどを組み合わせることで、原爆からの直接線による被爆者の臓器線量をより精度よく推定する手法を構築した。その手法を用いて再評価した代表的な被爆条件に対する臓器線量は、概ね現システムの評価結果と一致したが、計算手法が変更された一部の臓器に対しては、最大で15%程度の差があった。また、本計算手法を将来の原爆線量推定システム改訂に利用できるように、様々な照射条件に対する膨大な臓器線量データセットを整備した。本稿では、これら研究の概要を解説する。
寺田 宏明; 永井 晴康
Isotope News, (775), p.44 - 48, 2021/06
国内の原子力緊急時に迅速に放射性物質の大気拡散予測情報を提供するための緊急時対応システムとして、旧日本原子力研究所(現在の日本原子力研究開発機構、以降「原子力機構」)は、緊急時環境線量情報予測システム(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information: SPEEDI)を開発し、「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」として文部科学省により運用された。その後、原子力機構では、計算範囲の拡大と高度な気象及び拡散計算モデルの使用により予測性能を向上した世界版SPEEDI (WSPEEDI: Worldwide version of SPEEDI)を開発し、様々な応用研究を行ってきた。筆者らは、2011年3月11日に発生した東日本大震災に起因する東京電力福島第一原子力発電所事故に対して、このWSPEEDIの活用により様々な対応を実施してきた。この経験に基づき、様々な気象条件や任意の放出条件に対する大気拡散計算結果を即座に取得でき、様々な応用が可能な大気拡散データベースシステムWSPEEDI-DBを開発した。本稿では、WSPEEDI-DBの開発の経緯と本システムの概要について述べる。
明午 伸一郎; 岩元 洋介; 松田 洋樹
Isotope News, (774), p.27 - 31, 2021/04
加速器駆動核変換システム(ADS)等の大強度陽子加速器施設では、ビーム窓や標的に用いられる材料の損傷評価が重要となる。放射線に起因する材料の弾き出し損傷は、弾き出し断面積と粒子束との積による原子あたりの弾き出し数(dpa)により評価される。弾き出し断面積の計算モデル評価には実験データが必要だが、20MeV以上のエネルギー領域に実験データはほとんど無かったため、本グループではJ-PARC 3GeVシンクロトロン加速器施設において、3GeVまでの陽子エネルギーにおける弾き出し断面積を測定し、計算モデルの精度評価を行った。
徐 平光; 高村 正人*; 岩本 ちひろ*; 箱山 智之*; 大竹 淑恵*; 鈴木 裕士
Isotope News, (774), p.7 - 10, 2021/04
近年、地球温暖化対策として、自動車などの軽量化に求められている中、高張力鋼板の成形性向上は重要な開発課題となっている。破断まで優れた伸び特性を持たせた高張力鋼板の開発には、オーステナイト組織の相分率と各構成相の集合組織を正しく制御することは極めて重要である。透過能に優れた中性子回折法は、鋼材内部の結晶情報をバルク平均で得られる特徴を持つことから、相分率と集合組織を測定する上で有力な手段である。しかし、現状では中性子回折測定が可能な中性子源は、研究用原子炉や大型加速器施設などの大型実験施設に限られ、これらは共用施設のため利用者が頻繁に測定する機会を得ることは困難である。そこで、理化学研究所では、大学や企業の研究室、工場などの現場で手軽に使える小型中性子源として「理研小型加速器中性子源RANS」を構築し、日本原子力研究開発機構と協力しながら鋼材特性の分析技術に関する一連の研究開発を進めてきた。本解説論文では、大型実験施設と比べるとビーム強度の低い小型加速器中性子源を用いて実施した、中性子回折法による相分率と集合組織測定に関する共同研究成果と、今後の展望を紹介する。
斎藤 公明
Isotope News, (773), p.3 - 6, 2021/02
福島第一原子力発電所事故から10年が経過するのを契機として企画された特集記事の一環として、陸域における環境影響に関する解説記事を執筆した。この中で、事故後に実施された大規模環境モニタリングの概要、空間線量率の減少傾向とその原因、空間線量率の減少を加速させる要因、土壌沈着量と深度分布の経時変化の特徴、大規模モニタリング結果の応用解析例、今後の課題について簡潔に紹介した。
眞田 幸尚
Isotope News, (772), p.21 - 25, 2020/12
空気中や水中での飛程が比較的長い線は、直接測定することが簡単だが、飛程の短い
線は直接測定することが難しく、早期の異常検知や環境影響の評価のためリアルタイムのモニタリング技術の確立が求められていた。
弁別型ファイバ検出器を用いた水モニタの開発を行った。ここでは、モニタの性能及び開発経緯についてまとめる。
久保田 正人
Isotope News, (771), p.40 - 42, 2020/10
現在の電力消費量が多い主記憶メモリに代わる次世代の不揮発メモリとして電気抵抗変化型不揮発メモリ(ReRAM)がある。遷移金属酸化物材料を用いたReRAMでは、化学変化を伴う。今回、ReRAMを示すアルミ酸化膜に関する放射光実験を行った。その結果、アルミ酸化膜のメモリのオン・オフ状態では、酸素サイトの電子状態が変化するのに対して、アルミニウムの電子状態は、変化が見られないことを明らかにした。このことは、化学変化を伴わずに酸素サイト周辺の電子がメモリ機能に深くかかわっていることを示唆している。