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須郷 由美; 赤松 憲; 長谷 純宏; 田口 光正; 佐々木 祐二; 広田 耕一; 木村 貴海
JAEA-Conf 2008-012, p.127 - 129, 2009/03
TIARAタンデム加速器のTC1ポートは、大気圧のもと水平方向に低エネルギーのヘリウムイオンビームを照射させることができる唯一の照射装置を備えている。タンデム加速器を利用したマイナーアクチノイド分離用抽出剤への線照射実験の手法を確立させるため、TC1ポートの照射チャンバーの一部を改良するとともに、照射容器の製作など照射実験の条件を整備した。イオンの照射エネルギーは照射窓面から照射試料までの空気層の距離で調整し、フルエンスはファラデーカップで測定したビーム電流値と試料の照射時間から求まる計算値を固体飛跡検出器CR-39を用いて実測した値で補正した。
倉島 俊; 宮脇 信正; 及川 将一*; 佐藤 隆博; 吉田 健一; 柏木 啓次; 奥村 進; 福田 光宏*; 神谷 富裕; 横田 渉
JAEA-Conf 2008-012, p.48 - 50, 2009/03
集束方式による数百MeV級重イオンマイクロビーム形成のために、原子力機構サイクロトロンビームの高品位化を行っている。サイクロトロンでは、通常の基本波のみの加速電圧波形を用いた場合はビームエネルギー幅が10台と大きいため、集束レンズにおける色収差が顕著となって1ミクロンのマイクロビーム形成は困難である。そこで、エネルギー幅を10
台に減らすために第5高調波を用いたフラットトップ加速システムを導入するとともに、ビームの位相幅をフラットトップ加速電圧波の位相幅に合わせるための中心領域,高効率バンチャーなどの開発を行った。ネオン260MeVのフラットトップ加速を行って、エネルギー幅が0.05%まで縮小されたことを確認し、このビームを用いてマイクロビーム形成装置により数百MeV級の重イオンビームでは世界で初めて1ミクロン以下のスポット径を得た。さらに、短時間イオン種切り替え技術"カクテルビーム加速"を用いてマイクロビームの短時間切り替えを行った。その結果、通常の切り替えでは8時間を要するが、260MeV Neのマイクロビームを520MeV Arのマイクロビームに30分で切り替えることに成功した。
宇野 定則; 千葉 敦也; 山田 圭介; 横山 彰人; 上松 敬; 水橋 清; 北野 敏彦*; 高山 輝充*; 織茂 貴雄*; 江夏 昌志*; et al.
JAEA-Conf 2008-012, p.44 - 47, 2009/03
原子力機構高崎量子応用研究所のイオン照射研究施設(TIARA)の3MVタンデム加速器,400kVイオン注入装置,3MVシングルエンド加速器のここ10年の年間運転時間は、各約2000時間,約1900時間,約2500時間の水準を保っており、平成19年度も順調に稼働した。また、平成20年3月末までの積算運転時間は、各26770時間,25126時間,32022時間である。この数年はマシンタイムに影響する大きな故障はないが、冷却ファンからの異音やイオンポンプの性能低下など経年劣化に伴う故障が多くなり、応急処置や整備期間に行う作業量が増加した。平成19年度にユーザーの要望に基づいて行った新ビーム開発により、タンデム加速器ではヨウ素(I),イオン注入装置では鉛(Pb)とリチウム(Li)の利用が可能となり、各加速器で利用可能なイオン種が27種類と38種類になった。
千葉 敦也; 齋藤 勇一; 鳴海 一雅; 阿達 正浩; 山田 圭介; 高橋 康之; 金子 敏明*
JAEA-Conf 2008-012, p.84 - 86, 2009/03
MeV領域のエネルギーを持つ重イオンクラスターと物質との衝突反応機構の解明に向け、薄膜を透過したクラスター解離イオンの電荷と薄膜入射時のクラスター構成イオンの空間配置との関係を調べている。今回は、薄膜(1g/cm
)を透過したC
(6MeV)の解離イオンの発散角と電荷の同時測定を試みた。解離した2つのイオンの電荷の組合せごとの発散角強度分布を粒子軌道計算で再現することにより、膜内での解離イオンの軌道を算出し、C
の入射配向と発散角を対応づけることで、解離イオンの平均電荷と入射配向の関係を得た。その結果、入射配向が膜面に対して鋭角なほど解離イオンの平均電荷は大きくなる傾向にあることを実験により初めて明らかにした。
遊津 拓洋; 松田 誠; 乙川 義憲
JAEA-Conf 2008-012, p.91 - 94, 2009/03
20MVタンデム加速器ターミナル部の180偏向マグネットのコイル更新作業の機会に、2007年10月
11月にかけてターミナル光学機器のアライメントを行った。その結果、アライメント前は基準軸に対し、最大約5mmのずれがあったが、アライメント後にはそのずれを1mm以内に抑え込むことができた。ターミナルの入口から出口までの通過率は従来の約2倍となり、ターミナル電圧15MVでは
S以下の軽いイオン種については90%以上を通過させることができるようになった。一方、ビーム診断のために、ビームプロファイルモニター(BPM)をターミナルに設置する計画が進行中であり、現在準備を進めている。これまでに、ビーム光学計算によりBPMの設置場所を決定した。また、通信に用いる予定であるアナログ信号用光変換モジュールの通信テストを行い、BPM信号の通信に利用できることを確認した。本研究会ではアライメントの方法とその後の加速試験の結果、及びターミナルへのBPMの設置計画について報告する。
山田 圭介; 上松 敬; 水橋 清
JAEA-Conf 2008-012, p.134 - 137, 2009/03
静電加速器のイオンビーム形状の調整に必要なビーム強度分布のリアルタイム計測には、アルミナ等の蛍光体が広く利用されている。しかし、TIARA400kVイオン注入装置のような低エネルギーの重イオンビームでは、蛍光体の発光は微弱で、劣化が激しいために短時間で発光しなくなるなどの問題点が多い。そこで、広範囲のイオン種、ビームエネルギー及びビーム強度に対して正確な強度分布を計測するため、マルチファラデーカップを試作した。本研究会ではこのマルチファラデーカップの構造及び測定システムを報告するとともに、Cビームの測定により評価した性能を報告する。
横山 彰人; 石井 保行; 千葉 敦也; 宇野 定則; 上松 敬; 高山 輝充*; 江夏 昌志*; 水橋 清
JAEA-Conf 2008-012, p.138 - 141, 2009/03
原子力機構高崎量子応用研究所のシングルエンド加速器にはMeVイオンマイクロビーム形成装置が設置されており、数mに集束されたビームがマイクロPIXEやPBWなどの分析・加工技術を利用してさまざまな研究が行われている。近年のマイクロPIXEやPBWなどの技術の向上に伴い、十分なビーム量を確保したうえで、マイクロオーダーのビーム径をさらに小さく集束することが求められている。これをビームの高輝度化によって実現するために、イオン源から引き出されるビームのエミッタンスの縮小化を進めている。これまでシングルエンド加速器のイオン源の引き出し電圧、プローブ電圧などのパラメータの変化がエミッタンスに与える影響を正確に調べることを目的として、高角度分解能エミッタンスモニターを開発し、2MeVのプロトンビームで測定を行った。結果は、最小のエミッタンスが0.4mm
msr MeV、輝度が0.7A m
sr
eVであった。この測定により、十分な強度のナノオーダー径のビームを得るには輝度を十倍以上高める必要があることと、本エミッタンスモニターの角度分解能がこれまでにTIARAの静電加速器で開発したモニターに比べて4倍の0.02mradであることがわかった。
松田 誠; 左高 正雄; 月橋 芳廣; 花島 進; 阿部 信市; 長 明彦; 石崎 暢洋; 仲野谷 孝充; 株本 裕史; 中村 暢彦; et al.
JAEA-Conf 2008-012, p.39 - 43, 2009/03
2007年度のタンデム加速器の利用運転日数は86日(約2000時間)で、加速されたイオン種は17元素(23核種)である。加速器の高経年化対策として約5か月の長期整備期間を設け、ターミナルの180偏向電磁石のコイルを更新し、断熱や電磁シールドの強化を図った。同時にターミナルビームラインの再アライメント、10GHzから14.5GHzへのターミナルECRイオン源の更新も行った。再アライメントの結果、ターミナル部のビーム通過率が非常によくなり、得られるビーム強度はこれまでの2
3倍となった。また懸案であった3
Aの水素ビーム加速も可能となった。更新したターミナルイオン源は安定に動作し、キセノンイオンにおいて当施設の最高エネルギーである375MeVに達した。RF系を増強することで、10倍程度にビーム強度が増強される見通しを得た。短寿命核加速実験装置ではウランの核分裂片である
In(T
=6s),
Ba(T
=14s)が10
ppsの強度で得られ、物理実験に利用された。研究会では2007年度の加速器の運転・利用状況及び整備開発状況について報告する。
小野田 忍; 岩本 直也; 平尾 敏雄; 大島 武; 河野 勝泰*
JAEA-Conf 2008-012, p.146 - 149, 2009/03
半導体素子は放射線によって損傷を受けるため、放射線照射による半導体の物性値劣化を調べることは重要である。本研究では原子力研究開発機構TIARA施設のタンデム加速器及び重イオンマイクロビームシステムを利用し、半導体素子の特性劣化を考える際に最も重要な物性値の一つであるキャリアの拡散長を評価した。放射線損傷を導入する目的で、炭化珪素(SiC)ダイオードに1MeVの電子線照射を行い、照射前後の拡散長をイオンビーム誘起過渡電流(TIBIC; Transient Ion Beam Induced Current)により評価した。電子線照射前の拡散長は2.5mであったが、1
10
cm
の電子線照射後の拡散長は0.6
mまで低下した。また、5
10
cm
の電子線照射後では、拡散長は評価することができないほど小さくなった。このような拡散長の低下は、電子線照射により再結合中心となる欠陥の密度が増大したためと考えられる。
齋藤 勇一; 千葉 敦也; 鳴海 一雅; 高橋 康之
JAEA-Conf 2008-012, p.130 - 133, 2009/03
TIARAタンデム加速器を用いたMeV領域クラスターイオンビームの大電流化の一環として、荷電変換ガスに着目してクラスター加速の高効率化を試みた。タンデム加速器によるクラスターイオンの加速では、ほとんどのクラスターイオンは高電圧ターミナル内の荷電変換ガスとの衝突で解離してしまい、クラスターのまま正イオンに荷電変換され、再び加速されて加速器から供給されるものはわずかである。このいわゆる透過率はおもにターゲットガスの密度と種類に依存すると考えられる。そこで、C, C
, C
クラスターイオンを用いて、透過率とガスの密度の関係をヘリウム及び窒素を用いて測定した。この結果、ヘリウムの方がタンデム加速器で通常用いられる窒素より透過率が向上することを明らかにした。具体的には、C
イオン加速では、透過率を20%改善することに成功した。なお、ガス密度依存性については、両者とも真空度に換算して2
10
Pa付近で透過率のピーク値が得られる傾向を示した。