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奈良 禎太*; 加藤 昌治*; 佐藤 努*; 河野 勝宣*; 佐藤 稔紀
Journal of MMIJ, 138(4), p.44 - 50, 2022/04
放射性廃棄物地層処分や化石燃料の採掘、二酸化炭素地中貯留等の工学プロジェクトを考える上で、岩盤内の流体の流れを理解することは重要である。き裂や空隙のネットワークは流路となるため、岩盤内の流体の流れにおいて主要な役割を果たす。本研究では、巨視き裂が自然環境下で含まれている花崗岩を試料として用いて、粘土を含む水が流れる条件下で透水試験を行うことによって透水係数の変化を調べた。その結果、粘土粒子が巨視き裂内で集積してき裂を閉塞させることによって、巨視き裂を含む花崗岩の透水係数が低下した。
松川 瞬*; 板倉 賢一*; 早野 明; 鈴木 幸司*
Journal of MMIJ, 133(11), p.256 - 263, 2017/11
LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)は、岩盤表面を点群の形式で取得することができる。先行研究では、必要なパラメータを手動で設定して、点群から岩盤の不連続面を取得するアルゴリズムが開発されてきた。DiAna(Discontinuity Analysis)アルゴリズムは、点群を格子状に分割して半自動的に岩盤の面を推定するアルゴリズムである。しかし、適切な格子サイズを決定するには熟達した技術が必要である。そこで本研究では、場所によって適切な格子サイズを自動決定するVBS(Variable-Box Segmentation)アルゴリズムを開発した。VBSアルゴリズムは、小さな格子を結合して適切なサイズの格子を作り、面を推定する。VBSアルゴリズムの性能は、DiAnaアルゴリズムと比較して評価した。その際、手動で岩盤表面を推定して作成した参照面との類似度を用いた。比較結果では、VBSアルゴリズムはDiAnaアルゴリズムよりも参照面に類似した面を推定した。よって、VBSアルゴリズムは場所により自動的に適切な格子サイズを決定し、適切に面を推定した。
早野 明; 板倉 賢一*
Journal of MMIJ, 133(4), p.76 - 86, 2017/04
大規模地下施設建設の坑道掘削時に行われる割れ目観察は、調査員の目視観察とクリノメーターを使用した割れ目方位の簡易計測といった従来からの手法に基づいている。そのため、調査の規模が大きいほどデータ品質の確保と調査員の安全確保が依然として課題である。計測対象物の三次元形状を表す点群を瞬時に取得できる三次元レーザスキャナ計測は、これらの課題解決に有効である。本研究では、レーザ計測の坑道壁面の割れ目観察への適用性を確認するために、坑道壁面の形状を表す点群から割れ目の方位やトレース長などの空間分布に関する情報を取得する方法を検討した。その手法は、坑道壁面形状を表す判読画像を用いた割れ目判読を基本としている。そして、その手法を掘削長50m程度の水平坑道に適用し、点群から取得できる割れ目データがどの程度従来手法に基づく割れ目データを再現しているのか確認した。その結果、調査員が目視観察により抽出した割れ目のうち8割強の割れ目が抽出され、割れ目方位も従来手法と比べて遜色ないことを確認した。点群から抽出できなかった割れ目のほとんどは、透水に寄与しないトレース長が短く密着性の良い割れ目であった。
青柳 和平; 石井 英一; 石田 毅*
Journal of MMIJ, 133(2), p.25 - 33, 2017/02
高レベル放射性廃棄物の地層処分において、処分坑道や立坑、斜坑といったアクセス坑道の掘削による応力再配分の影響により、坑道壁面周辺岩盤の水理・力学特性が顕著に変化する領域が生じる。このような領域を掘削損傷領域(Excavation Damaged Zone, EDZ)と呼ぶ。EDZは廃棄体定置後の核種移行経路の一つになると想定されていることから、詳細な性状の把握が求められる。そこで、幌延深地層研究センターを対象として、ボアホール・テレビューア(borehole tereviewer, BTV)観察,コア観察および定期的な透水試験を実施して、EDZの水理・力学特性について検討した。その結果、壁面から0.2から1.0mの範囲まで、坑道掘削に起因して生じた引張割れ目が発達していたことから、EDZは坑道から0.2から1.0mの範囲まで発生したと推定される。これは、破壊様式を考慮した三次元有限要素解析にも整合的であった。坑道掘削直後の坑道周辺岩盤の透水試験の結果から、引張割れ目が発達した領域における透水係数は、その外側領域と比較して3から5オーダー高いものであることがわかった。しかし、その後の2年間は、坑道周辺岩盤の透水係数に顕著な変化は見られなかった。これらのことから、透水性の高いEDZは、坑道掘削により短期的に形成されたものと推定された。
長安 孝明; 鳥飼 一吉; 小原 義之; 植地 保文
Journal of MMIJ, 131(6), p.357 - 358, 2015/06
人形峠鉱山は岡山県と鳥取県の県境にあり、瀬戸内海にそそぐ延長約133kmの吉井川の最上流部に位置している。原子燃料公社(現 原子力研究開発機構)は、昭和30年代にウラン鉱床が発見されて以来、ウランの採鉱、製錬転換、濃縮事業が行われてきており、今現在、各施設の廃止措置に向けた試験・調査を進めている状況である。原子力研究開発機構人形峠環境技術センター(以下、センターという。)内には上記で述べた鉱山事業を行う際に掘削した旧坑道が数か所あり、その旧坑道より常時坑水が発生しており、各坑道から発生する坑水は鉱さいたい積場に一時貯留している。一方、岡山県、上斎原村(町村合併により現 鏡野町)と動燃(現 原子力研究開発機構)の間で河川への排出に関する取り決めとして、動力炉・核燃料開発事業団人形峠事業所周辺環境保全等に関する協定書(以下、環境保全協定という。)を締結しており、センターの敷地境界におけるウラン,ラジウム,ふっ素の元素に対してそれぞれ管理目標値を定めている。本稿では、人形峠鉱山における坑水処理の現状について報告する。
坂尾 亮太; 齊藤 宏; 鳥飼 一吉; 瀧 富弘
Journal of MMIJ, 130(6), p.275 - 278, 2014/06
日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センターでは、事業休止中の核原料物質鉱山である人形峠鉱山および東郷鉱山を、鉱山保安法に基づいて管理している。鉱山施設のうち、鉱さいたい積場の跡措置の基本的な考え方を示し、鉱さいたい積場の跡措置の一環として平成23年度から平成24年度の2年間にわたって実施した廃砂たい積場の跡措置工事の概要及び措置後のモニタリングの状況について報告する。
助永 壮平*; 大杉 武史; 稲富 陽介*; 齊藤 敬高*; 中島 邦彦*
Journal of MMIJ, 129(5), p.203 - 207, 2013/05
酸素分圧をふることにより鉄の酸化状態を変化させたRO-SiO-FexO(R=Ca, Sr, Ba)融体の粘性変化を1773Kで測定した。全てのサンプルでFe
とFe
の比は、酸素分圧の増加にしたがって増加した。一方で、粘性は、Fe
とt-Fe比の増加にしたがって減少した。これは、修飾酸化物として働くFe
が増えることで、シリケートアニオンの切断が進んだことを示している。加えて、Fe
/t-Feを同じにした場合、粘性の増加は、アルカリ土類のカチオン半径の大きさ順となった。これは、融体中のFe
の配位数が変化したためと考えられる。
佐藤 稔紀; 丹野 剛男; 引間 亮一; 真田 祐幸; 加藤 春實*
Journal of MMIJ, 129(2,3), p.59 - 64, 2013/02
日本原子力研究開発機構では、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究開発の一環として、応力解放法による初期応力測定を実施している。本報告では、地表からの深度200mの花崗岩に掘削された坑道内において円錐孔底ひずみ法による測定を実施した際にコアディスキングが発生したため、その発生条件について検討した。その結果、既往のディスキング発生の条件式を支持する等の知見を得た。
玉村 修司*; 遠藤 亮*; 清水 了*; 岩月 輝希; 天野 由記; 大味 泰*; 五十嵐 敏文*
Journal of MMIJ, 128(10,11), p.570 - 575, 2012/10
北海道幌延地区の第四系と新第三系の声問層を帯水層とする地下水中で、微生物の競争排除則とメタン生成反応の非平衡度に基づき、ギ酸及び酢酸がメタン生成微生物の基質となっている可能性を評価した。微生物の競争排除則では、声問層を帯水層とする地下水中で酢酸が基質となっている可能性が示唆され、非平衡度による評価では、還元的なすべての地下水中で、両有機酸が基質となっている可能性が示唆された。これらのことから、還元的な環境では両有機酸がメタン生成微生物の基質となっていること、特に新第三系声問層を帯水層とする地下水中では、酢酸濃度は微生物の競争排除則により規定されている可能性が指摘された。
佐藤 稔紀; 丹野 剛男; 引間 亮一; 真田 祐幸; 加藤 春實*
Journal of MMIJ, 128(7), p.449 - 454, 2012/07
日本原子力研究開発機構では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発の一環として、水圧破砕法による初期応力測定を実施している。水圧破砕法については実績が多いものの、国際岩の力学会のSuggested Methodsにおいて指摘されているように、主応力値を算定するパラメータの値に大きな誤差が含まれていることが課題となっている。本報告では、従来型の装置で測定した結果と、上記の課題を解決するために高剛性の装置を適用して測定した結果を比較した。最大深度1000mまでの花崗岩を対象として57回の水圧破砕試験を実施した結果、従来型のシステムでは35%のデータが低品質であった。高剛性型のシステムでは、ボーリング孔内で流量を測定したことにより、従来型のシステムと比較して、データの品質が向上した。従来型のシステムによる測定結果から算出される水平面内の最大主応力の値は、約23%大きく算出されていることがわかった。
宮澤 大輔*; 真田 祐幸; 木山 保*; 杉田 裕; 石島 洋二*
Journal of MMIJ, 127(3), p.132 - 138, 2011/03
間隙弾性論は、岩盤中の空隙が水で飽和された状態において、水の流入・流出が生じた際の岩盤の変形や応力変化を説明する理論であり、岩盤と水の連成現象を表現できる。現在、北海道幌延町で進めている幌延深地層研究所に分布する新第三紀堆積岩は、多孔質・低透水性であり高い飽和度を示す。国内の他の地域に分布する新第三紀堆積岩においても似たような特性を持つ岩盤は少なくない。このような性質を持つ岩盤に構造物を設けると、岩盤内部に存在する多量の水が消散しにくくなるため、岩盤と水の連成現象が生じる可能性があり、間隙弾性論に基づいた評価が構造物の合理的な設計・施工に有効と考えられる。本論文では、間隙弾性パラメータを決定するための室内試験方法の構築と幌延地域に分布する珪質岩の間隙弾性パラメータの決定を行った。1回の三軸圧縮試験で複数の間隙弾性パラメータを効率的に取得できるように試験フローを工夫した。その試験に基づき取得されたパラメータは、既存研究で得られた泥岩等の間隙弾性パラメータと比較的近くおおむね妥当な値が得られたと判断した。
天本 一平
Journal of MMIJ, 127(1), p.1 - 7, 2011/01
高速増殖炉サイクル実用化研究開発における副概念では、使用済金属燃料を乾式法で再処理することにしている。乾式再処理運転に伴い、媒質として使用した無水塩化物が使用済み電解質として発生する。使用済み電解質は、高レベル放射性廃棄物に区分されるため、使用済み電解質の成分であるFPと媒質を分離し、媒質についてはリサイクルしていくことが好ましい。本報は、乾式再処理によって発生する使用済み電解質の処理法について、これまでの開発経緯や今後の課題について、各国の開発状況も踏まえ、とりまとめたものである。
真田 祐幸; 杉田 裕; 大丸 修二; 松井 裕哉; 柏井 善夫*
Journal of MMIJ, 126(10,11), p.569 - 576, 2010/10
坑道周辺岩盤の長期的な挙動の把握は、高レベル放射性廃棄物の地層処分の性能評価や坑道の設計・施工を行ううえで重要である。坑道近傍の変位を計測するためには、通常、電気式の地中変位計が埋設される。従来型の電気式地中変位計は数年に渡る使用では絶縁不良を生じるなど長期的な計測が困難であった。また、岩盤へのインパクトが小さい小口径のボーリング孔では多段化できないという問題があった。本論文では小口径で長期耐久性を有し、多段かつ高い精度での計測を可能にするために、光ファイバーを使用した地中変位計の開発を実施した。恒温槽内にて変位,温度を変化させた室内検定試験を行い、ブラッグ波長の変化量との対応関係を整理し、校正式の算出と測定精度の検証を行った。その結果、測定精度は測定範囲の0.5%又は1/100mmと今回設定した測定精度をおおむね満たしていた。また、変位計の性能の確認のために行った原位置性能確認試験結果から、ブラッグ波長の変化量から算出した変位は、実際に与えた変位量と良い一致を示した。さらに、作業性や作業時間については、通常用いられる電気式の地中変位計と同程度であり、原位置での実現可能性に対する見通しを得た。
齊藤 宏; 瀧 富弘
Journal of MMIJ, 126(6), p.239 - 242, 2010/05
日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センターでは、事業休止中の核原料物質鉱山である人形峠鉱山及び東郷鉱山を鉱山保安法等に基づいて管理している。これら鉱山施設に対し、鉱害防止及び放射線防護の観点から跡措置(「鉱山跡措置」)を行うこととしており、現在は、基本的な考え方の整理や基礎データの取得を行いつつ、今後の恒久的な鉱山跡措置の計画策定や設計等を行っている。対象施設は、鉱さいたい積場,露天採掘場跡地,捨石たい積場等であるが、中でも鉱さいたい積場を最優先課題としており、これまでに、必要なデータの取得,工法・進め方の検討,設計等を行っている。
真田 祐幸; 丹生屋 純夫*; 松井 裕哉; 藤井 義明*
Journal of MMIJ, 125(10,11), p.521 - 529, 2009/11
我が国には新第三紀や第四紀などの堆積岩が広く分布し各種構造物の基礎となるケースが多い。とりわけ地下深部に重要な構造物を建設するうえで岩石の力学的性質や応力変化に伴う微視的な構造変化の把握は、構造物の合理的な設計や掘削影響を把握するうえで重要である。原子力機構は新第三紀の堆積岩を対象に高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する基盤研究を幌延町で進めている。本論文では幌延地域に分布する珪質岩の力学的性質を明らかにすることを目的に実施した各種力学試験結果から幌延珪質岩の力学的性質を述べるとともに、堆積岩の工学的性質を支配する主要因を議論した。その結果、幌延地域に分布する珪質岩は堆積過程によって生じた空隙の緻密化や膠結作用により深度方向に三つのゾーンに区分でき、その力学挙動は顕著な拘束圧依存性を示すことがわかった。浅部の声問層の力学挙動は拘束圧の上昇に伴いひずみ軟化型から延性型に移行し、深部の稚内層は拘束圧の程度によらずひずみ軟化型を示す。そして、浅部の声問層は高拘束圧下で珪藻遺骸の損傷によって降伏し、エンドキャップ型の構成則を適用する必要性があることが示唆された。
真田 祐幸; 丹生屋 純夫*; 松井 裕哉; 藤井 義明*
Journal of MMIJ, 125(10,11), p.530 - 539, 2009/10
初期地圧は、空洞の形状・支保形態を決定する重要な因子となるため、高レベル放射性廃棄物の処分場のような重要な地下構造物を合理的に設計・施工するには、地下深部に作用する初期地圧を適切に評価する必要がある。そこで、筆者らは原子力機構が進めている幌延深地層研究計画で研究対象としている新第三紀堆積岩を対象に、既存の初期地圧計測手法の新第三紀堆積岩に対する適用性・作業性を検討するとともに、初期地圧測定結果と造構作用や孔壁観察結果などの情報から幌延地域に作用している初期応力状態を総合的に議論した。その結果、AE法についてはカイザー効果の時間依存性の影響が大きく原位置の応力状態を過小に評価してしまう可能性があることが示唆された。一方、DSCA法についてはAE法と比較し原位置試験で得られた最大主応力方位とほぼ一致し、新第三紀堆積岩に対する適用性はAE法と比較すると高かった。水圧破砕法については、コンプライアンスの大きいワイヤラインタイプのシステムを採用することで通常使用されるロッドタイプより高い精度でき裂開口圧を求めることができ、応力状態は造構作用などの影響を受け東西圧縮の偏圧下に晒されていることがわかった。
佐藤 晃*; 有水 拓人*; 米村 拓峰*; 澤田 淳
Journal of MMIJ, 125(4,5), p.146 - 155, 2009/04
高レベル放射性廃棄物地層処分の長期的安全性を検討する際には処分事業の長期に渡る事業期間を通して評価技術の一貫性を保ちつつ、調査の段階に応じて詳細化されるサイト環境条件や技術の進歩に適切に対応した評価手法を用いた性能評価が実施される。花崗岩など亀裂性岩盤を対象とした性能評価では、岩盤中の核種移行のモデルとして簡便で第2次取りまとめなどのこれまでの性能評価報告書で実績のある一次元平行平板モデルが用いられる。しかし、一次元平行平板モデルの利用に際しては、実際には複雑な形状を呈する亀裂を一次元平行平板モデルで表現するため、透水量係数や亀裂開口幅の代表値をどのように設定するかが課題となっている。この課題解決に向けた研究の一つとして、非破壊検査技術の1つであるX線CTスキャナーを複雑な表面形状を有する亀裂内部を物質移行の可視化に適用した。得られたその画像データにより亀裂内部での物質の移流・分散プロセスを評価・分析し、大きい空間と小さい空間が複雑に分布している場合には、亀裂開口幅の大小によりトレーサーの移行挙動が極端に異なり、開口幅が大きい空間で流れによどみが生じることが示された。
佐藤 治夫
Journal of MMIJ, 125(1), p.1 - 12, 2009/01
高レベル放射性廃棄物の地層処分の人工バリアを構成する緩衝材として使用されるベントナイトの放射性核種の移行抑制にかかわる特性のうち、透水特性,膨潤特性,化学的緩衝性,核種収着・移行遅延性について、これまでの研究動向を概説するとともに、現状において明らかになっていることと今後の展開について総括した。2000年以降、それ以前には余り存在しなかった海水系地下水条件に対する上記特性に関するデータ取得と現象解明に関する研究が精力的に行われてきており、透水係数は上昇し膨潤は減少することのほか、イオン交換性の核種の見掛けの拡散係数や陰イオンの実効拡散係数が増加するなど、上記の特性を含むさまざまな特性に影響を及ぼすことがわかりつつある。今後もこれらの研究を継続しつつ、共通的に変質の影響を考慮した長期的挙動に関する研究が必要であると考える。
栗原 新; 天野 健治; Liu, C.*; 小池 克明*
Journal of MMIJ, 124(12), p.710 - 718, 2008/12
岩盤中の地下水の流動経路や物質の移動経路となる亀裂の空間分布を精度よく把握することは、地層処分システムの安全評価や地下施設の設計・施工の信頼性向上の観点から、特に重要な課題である。本研究では、瑞浪超深地層研究所のボーリング孔に分布する土岐花崗岩中の亀裂の密度に関して広域的な地質構造との空間的相関性に着目した統計学的な検討と応答曲面の作成を行い、データの得られていない地点における亀裂密度を補間できる可能性が明らかとなった。
羽柴 公博; 佐藤 稔紀
Journal of MMIJ, 124(3), p.205 - 212, 2008/03
本研究では、岩石の非線形粘弾性や破壊を表現できる構成方程式を用いて数値シミュレーションを行い、大深度立坑の時間依存性挙動や破壊挙動について検討した。その結果、時間依存性の程度が大きく破壊が延性的な岩盤では、半径方向変位がかなり大きくなっても、急激な破壊は生じにくいことがわかった。時間依存性の程度がより小さく、破壊がより脆性的な岩盤の場合は、坑壁近傍の岩盤が耐荷能力を失って急激な破壊が生じる可能性があることを指摘した。さらに、破壊モードを立坑最深部付近での破壊と立坑一般部での破壊に分け、破壊モードに及ぼす岩盤物性値や応力条件の影響を明らかにした。また、一般的な応力条件下では、破壊直前まで鉛直方向変位は半径方向変位に比べてかなり小さいことがわかった。しかし、鉛直方向応力が破壊挙動に及ぼす影響は比較的大きく、特に破壊が延性的な岩盤では、鉛直方向応力を考慮するかしないかで破壊までの時間が大きく変化することを示した。