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関野 裕太*; 田島 裕之*; 内野 瞬
Physical Review Research (Internet), 4(4), p.043014_1 - 043014_16, 2022/10
凝縮系物理において未だに観測されていないバルクのACのスピン伝導率が冷却原子気体により測定可能となることを示す。また、このスピン伝導率は、量子多体系を特徴づける重要な情報を含んでいることがわかった。冷却原子気体において実現されている、超流動系や朝永・Luttinger液体などで実際にACスピン伝導率を解析し、よく知られたDrude伝導率とは全く異なるスペクトルが得られることを実際に示した。我々の提案したフォーマリズムはスピン軌道相互作用のある系や非平衡系にも適用可能であり、様々な応用が期待される。
Helson, V.*; Zwettler, T.*; Roux, K.*; 小西 秀樹*; 内野 瞬; Brantut, J.-P.*
Physical Review Research (Internet), 4(3), p.033199_1 - 033199_10, 2022/09
光共振器と結合した強く相互作用するフェルミ気体に関する理論的・実験的解析を行った。我々は、この系における光双安定性現象を確認し、その応答が原子間相互作用を変化させることで大きく変更を受けることを明らかにした。また、観測結果は、演算子積展開に基づく理論解析と良い一致を示すことがわかった。
町田 理*; 永井 佑紀; 花栗 哲郎*
Physical Review Research (Internet), 4(3), p.033182_1 - 033182_12, 2022/09
重元素化合物や高温超伝導体をはじめとする物性科学における重要な系では、電子の相関効果が非常に重要である。本論文では、超高分解能の走査型トンネル顕微鏡によって、meVスケールの低エネルギー励起状態の磁場依存性を測定することに成功したことを報告する。その測定の結果、系の基底状態のスピン状態の変化を実験によって観測することができた。また、本研究によって、電子のスピンに関する情報を高精度に測定できる手法が確立された。
大政 義典*; 高木 茂幸*; 戸嶋 健人*; 横山 凱乙*; 遠藤 亘*; 折茂 慎一*; 齋藤 寛之*; 山田 武*; 川北 至信; 池田 一貴*; et al.
Physical Review Research (Internet), 4(3), p.033215_1 - 033215_9, 2022/09
Quasielastic neutron scattering (QENS) and neutron powder diffraction of the complex transition metalhydrides LiMoH
and Li
NbH
were measured in a temperature range of 10-300 K to study their structures and dynamics, especially the dynamics of the hydrogen atoms. These hydrides contain unusual ninefold H coordinated complex ions (MoH
or NbH
) and hydride ions (H
). A QENS signal appeared
150 K due to the relaxation of H atoms. The intermediate scattering functions derived from the QENS spectra are well fitted by a stretched exponential function called the Kohlrausch-Williams-Watts functions with a small stretching exponent
0.3-0.4, suggesting a wide relaxation time distribution. The
dependence of the elastic incoherent structure factor is reproduced by the rotational diffusion of MH
(M = Mo or Nb) anions. The results are well supported by a van Hove analysis for the motion of H atoms obtained using first-principles molecular dynamics calculations. We conclude that the wide relaxation time distribution of the MH
rotation is due to the positional disorder of the surrounding Li ions and a unique rotation with MH
anion deformation (pseudorotation).
Sheng, Q.*; 金子 竜也*; Yamakawa, Kohtaro*; Guguchia, Z.*; Gong, Z.*; Zhao, G.*; Dai, G.*; Jin, C.*; Guo, S.*; Fu, L.*; et al.
Physical Review Research (Internet), 4(3), p.033172_1 - 033172_14, 2022/09
A pyrite system NiSSe
exhibits a bandwidth controlled Mott transition via (S,Se) substitutions in a two-step process: the antiferromagnetic insulator (AFI) to antiferromagnetic metal (AFM) transition at
0.45 followed by the AFM to paramagnetic metal (PMM) transition at
1.0. Among a few other Mott systems which exhibit similar two-step transitions, Ni(S,Se)
is of particular interest because a large intermediate AFM region in the phase diagram would provide unique opportunities to study the interplay between the spin and charge order. By comparing and combining our muon spin relaxation studies and previous neutron scattering studies, here we propose a picture where the spin order is maintained by the percolation of "nonmetallic" localized and dangling Ni moments surrounded by S, while the charge transition from AFI to AFM is caused by the percolation of the conducting paths generated by the Ni-Se-Ni bonds.
社本 真一*; 赤津 光洋*; 松浦 直人*; 河村 聖子; 針井 一哉*; 小野 正雄*; Chang, L.-J.*; 伊藤 孝; 根本 祐一*; 家田 淳一
Physical Review Research (Internet), 4(1), p.013245_1 - 013245_7, 2022/03
イットリウム鉄ガーネットの磁気ブラッグピークに対する超音波注入効果を、準弾性中性子散乱によって研究した。磁気ブラッグピークは、温度の低下とともに大幅に強化さる。エネルギー幅は、超音波注入によって引き起こされる試料温度上昇の平方根に比例して増加した。磁気ブラッグピークは格子振動によって増強されることから、この増強はスピン-格子結合と密接に関連していると予想される。縦波モードで100Kを超えると観測された急激な散乱信号の低下は、スピン-格子結合の劣化を示唆している。これは、温度が100Kを超えるとスピンゼーベック効果が低下することと一致しており、スピン-格子結合による劣化メカニズムに証明を与えている。
和田 有希*; 松本 崇弘*; 榎戸 輝揚*; 中澤 知洋*; 湯浅 孝行*; 古田 禄大*; 米徳 大輔*; 澤野 達哉*; 岡田 豪*; 南戸 秀仁*; et al.
Physical Review Research (Internet), 3(4), p.043117_1 - 043117_31, 2021/12
In 2015 the Gamma-Ray Observation of Winter Thunderstorms (GROWTH) collaboration launched a mapping observation campaign for high-energy atmospheric phenomena related to thunderstorms and lightning discharges. This campaign has developed a detection network of gamma rays with up to 10 radiation monitors installed in Kanazawa and Komatsu cities, Ishikawa Prefecture, Japan, where low-charge-center winter thunderstorms frequently occur. During four winter seasons from October 2016 to April 2020, in total 70 gamma-ray glows, minute-lasting bursts of gamma rays originating from thunderclouds, were detected. Their average duration is 58.9 sec. Among the detected events, 77% were observed in nighttime. The gamma-ray glows can be classified into temporally-symmetric, temporally-asymmetric, and lightning-terminated types based on their count-rate histories. An averaged energy spectrum of the gamma-ray glows is well fitted with a power-law function with an exponential cutoff, whose photon index, cutoff energy, and flux are 0.613 0.009, 4.68
0.04 MeV, and (1.013
0.003)
10
erg cm
s
(0.2-20.0 MeV), respectively. The present paper provides the first catalog of gamma-ray glows and their statistical analysis detected during winter thunderstorms in the Kanazawa and Komatsu areas.
内野 瞬
Physical Review Research (Internet), 3(4), p.043058_1 - 043058_13, 2021/10
冷却原子気体を用いたアトムトロニクス実験により、弱く相互作用するボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)の量子輸送現象を探索することが可能となっている。本研究では、ゼロ温度近傍でのBECの2端子輸送にフォーカスする。トンネルハミルトニアンとボゴリューボフ理論を用いることで、量子ポイントコンタクト系や接合系におけるDCジョセフソンカレントの表式を得ることができた。また、BECにおけるカレント-位相関係式は、アンドレーエフ束縛状態が存在しないため、従来型超伝導体とは異なる振る舞いを示すことがわかった。
石川 力*; 中山 勝政*; 鈴木 渓
Physical Review Research (Internet), 3(2), p.023201_1 - 023201_23, 2021/06
カシミール効果は、何らかの粒子のゼロ点エネルギーが2枚の平行平板の存在によって歪められることによって生じる物理現象である。格子上の自由度においては、エネルギーと運動量の分散関係はブリルアンゾーンの範囲で周期性を持つため、それに対応してカシミール効果も変化するはずである。本研究では、ナイーブ・フェルミオン,ウィルソン・フェルミオン,(メビウス・ドメインウォール・フェルミオン定式化に基づく)オーバーラップ・フェルミオンなどの格子フェルミオン系におけるカシミール効果の性質を理論的に調べた。特に、,
,
次元において周期境界条件または反周期境界条件を持つ系について系統的な解析を行った。中でも、ナイーブ・フェルミオン,負質量を持つウィルソン・フェルミオン,domain-wall heightが大きい場合のオーバーラップ・フェルミオンなどの系において、奇数格子と偶数格子の間でカシミールエネルギーの大きさが振動する現象が見られた。この振動現象は、高運動量を持つ自由度(ダブラー)の存在に起因している。このような新奇なカシミール効果は、トポロジカル絶縁体のような物性系の実験や格子シミュレーションによって将来的に検証されることが期待される。
荒木 康史; 三澤 貴宏*; 野村 健太郎*
Physical Review Research (Internet), 3(2), p.023219_1 - 023219_15, 2021/06
本論文では、トポロジカルディラック半金属(TDSM)表面のギャップレス状態を介した、長距離スピン伝送を理論面から提案する。次世代のスピントロニクス素子の構築のためには、散逸の少ないスピン流を実現することが必要である。主要なスピン流のキャリアは金属中の伝導電子や磁性絶縁体中のスピン波であるが、これらはジュール熱やギルバート緩和により伝播距離が制限される問題がある。本研究ではTDSM(CdAs
, Na
Bi等)のスピン・ヘリカルな表面状態が、乱れに対して頑強である性質を用いて、低散逸で長距離のスピン輸送を提案する。2つの磁性絶縁体とTDSMの接合系を考え、一方の磁性体の磁化ダイナミクスにより、TDSM表面を介して他方の磁性体に注入されるスピン流に注目する。表面における輸送理論と、格子模型による実時間発展シミュレーションを併用することにより、TDSM表面を流れるスピン流は準量子化された値をとり、その値は界面の微視的な結合の構造によらないことを示す。さらに、このスピン流は長距離においても乱れに対して強いことを示し、TDSMがスピントロニクス素子へ応用可能な表面状態をもつことを提案する。
荒木 康史; 末永 大輝*; 鈴木 渓; 安井 繁宏*
Physical Review Research (Internet), 3(2), p.023098_1 - 023098_17, 2021/05
相対論的フェルミオンのスピンは軌道自由度と強い相関を持つ。このような相対論的粒子と非相対論的粒子が混在する場合の効果として、本研究ではスピン-軌道帯磁率に着目する。スピン-軌道帯磁率は軌道磁場(粒子の軌道運動に対してベクトルポテンシャルとして働く磁場の効果)に対するスピン偏極の応答として定義されるものであり、スピン-軌道相互作用に起因するものである。理論解析の結果、相対論的粒子と非相対論的粒子の混成がある場合、スピン-軌道帯磁率はバンド混成点近傍のフェルミエネルギーで変化することが示された。この混成効果により、磁場下では非相対論的粒子のスピン偏極も誘起されることが明らかになった。さらにこの混成効果は、熱平衡を破るような動的な磁場の摂動下では増強されることを明らかにした。スピン-軌道帯磁率に対するこれらの効果は、固体中のディラック電子に対する結晶対称性の破れや不純物ドープ、および相対論的重イオン衝突における軽いクォークと重いクォークの混成といった状況下で、実験的に実現されうることを議論する。
荒木 康史; 末永 大輝*; 鈴木 渓; 安井 繁宏*
Physical Review Research (Internet), 3(1), p.013233_1 - 013233_12, 2021/03
本論文では、不純物自由度の性質によって類別される二種類の相対論的近藤効果について、理論的考察を行う。特に、軽いディラックフェルミオンと重い不純物フェルミオンから構成される「凝縮」を含む基底状態の分散関係に注目する。ここでの重いフェルミオン自由度は、高エネルギー物理学においてヘビークォーク有効理論(HQET)として知られている有効理論(すなわち、ディラックフェルミオンに対して非相対論的極限をとることで得られる低エネルギー有効理論)を用いて記述される。ここでは二種類のHQETを採用し、一つ目のHQETは重いフェルミオンの粒子成分のみを含み、二つ目のHQETは粒子成分と反粒子成分の両方を含む(粒子と反粒子は逆のパリティを持つ)。これらの二つの有効理論から定性的に異なる二種類の近藤効果が現れることを示す。二種類の近藤効果を比較すると、フェルミ面近傍における(近藤効果としての)性質は類似している一方、運動量が小さい領域(赤外領域)のバンド構造は異なることが分かる。これらの近藤効果はディラック/ワイル反金属やクォーク物質における観測量に影響するだけでなく、格子シミュレーションや冷却原子シミュレーションによって数値的に検証されることが期待される。
社本 真一; 山内 宏樹; 池内 和彦*; 梶本 亮一; 家田 淳一
Physical Review Research (Internet), 3(1), p.013169_1 - 013169_9, 2021/02
A compound with large anions is known to show large compressibility whereby a novel response may emerge from the degenerated state by a uniaxial pressure. Neutron scattering study of BaCoNi
S
crystal reveals that the tetragonal insulating state has two magnetic domains with in-plane anisotropic antiferromagnetic wave vectors
=(
, 0) and
=(0,
). One magnetic domain with
becomes dominant under a weak uniaxial pressure of 1 MPa without a structural phase transition. Correspondingly, the in-plane broken C
symmetry is observed in the in-plane magnetic excitation. The domain-ratio changes under a uniaxial pressure in the tetragonal state is only slightly smaller than that in the orthorhombic state.
那波 和宏*; 平井 大悟郎*; 古府 麻衣子; 中島 健次; 村崎 遼*; 小金 聖史*; 木俣 基*; 野尻 浩之*; 廣井 善二*; 佐藤 卓*
Physical Review Research (Internet), 2(4), p.043121_1 - 043121_11, 2020/12
=
異方的三角格子反強磁性体Ca
ReO
Cl
においてスピノンに類した磁気励起が存在するかを確かめるべく、中性子非弾性散乱実験を行った。得られた磁気励起は、スピノン束縛対の形成によって解釈できるものであった。また、Cs
CuCl
よりもRPA近似による解釈が良く合い、より朝永-ラッティンジャー液体に近い系であると考えられる。
大場 洋次郎; 足立 望*; 戸高 義一*; Gilbert, E. P.*; 間宮 広明*
Physical Review Research (Internet), 2(3), p.033473_1 - 033473_6, 2020/11
Formation of nanosized spin misalignment was found in pure iron processed by high-pressure torsion straining. The small-angle neutron scattering profiles show that the spin misalignment remains in magnetic field up to 10 T, whereas the magnetization is almost saturated below 1 T based on the magnetic measurement. These results indicates that anomalous magnetic anisotropy is induced in pure iron via the high-pressure torsion straining.
社本 真一; 安井 幸夫*; 松浦 直人*; 赤津 光洋*; 小林 義明*; 根本 祐一*; 家田 淳一
Physical Review Research (Internet), 2(3), p.033235_1 - 033235_6, 2020/08
イットリウム鉄ガーネット結晶の超低エネルギーマグノンを、非弾性中性子散乱によって45eV以下のエネルギー範囲で調べたところ、[111]方向に約0.1Tの磁場が印加した場合に、10Kで超低エネルギーのマグノン異常を発見した。
末永 大輝*; 鈴木 渓; 荒木 康史; 安井 繁宏*
Physical Review Research (Internet), 2(2), p.023312_1 - 023312_13, 2020/06
近藤効果はフェルミ面近傍の軽いフェルミオンと重い不純物との相互作用によって引き起こされ、物質の電気的・熱的・輸送的性質に影響を及ぼす。一方、カイラリティ(右巻き・左巻き)はディラック粒子・ワイル粒子などの相対論的フェルミオンが持つ基本的な性質の一つである。通常の物質においては右巻き・左巻き粒子の数は均衡しているが、これらが不均衡となる系もクォーク物質や電子系において興味が持たれている。本論文では、相対論的フェルミオンのカイラリティ不均衡(有限の「カイラル化学ポテンシャル」を持つ系)によって生じる近藤効果を理論的に提案した。この効果は右巻き(または左巻き)の軽いフェルミオンと重い不純物粒子との混合によって引き起こされるが、これは有限密度(化学ポテンシャル)によって生じる通常の近藤効果とは少し異なる状況である。我々は相対論的フェルミオンと不純物粒子間の相互作用を持つ有効模型を構築し、(1)摂動計算と(2)平均場近似による非摂動的アプローチの二つの手法を用いてこの効果が実現することを示した。さらに、近藤効果に対する温度依存性・結合定数依存性・感受率の振る舞いや相転移の次数などを議論した。このような近藤効果の性質は、将来的な格子シミュレーションで検証されることが期待される。
荒木 康史; 三澤 貴宏*; 野村 健太郎*
Physical Review Research (Internet), 2(2), p.023195_1 - 023195_11, 2020/05
We theoretically manifest that the edge of a quantum spin Hall insulator (QSHI), attached to an insulating ferromagnet (FM), can realize a highly efficient spin-to-charge conversion. Based on a one-dimensional QSHI-FM junction, the electron dynamics on the QSHI edge is analyzed, driven by a magnetization dynamics in the FM. Under a large gap opening on the edge from the magnetic exchange coupling, we find that the spin injection into the QSHI edge gets suppressed while the charge current driven on the edge gets maximized, demanded by the band topology of the one-dimensional helical edge states.
末永 大輝*; 鈴木 渓; 安井 繁宏*
Physical Review Research (Internet), 2(2), p.023066_1 - 023066_11, 2020/04
QCD近藤効果は、高密度クォーク物質中においてチャームクォーク・ボトムクォークなどのヘビークォークが不純物として存在するときに生じる量子現象である。本論文では、QCD近藤効果の実現した基底状態から励起されるエキシトンモードが束縛状態として存在することを予言し、その詳細な性質を調べた。具体的には、平均場近似に基づいてQCD近藤効果を記述する有効模型を構築し、励起モードとして実現可能な量子数(スピンやパリティ)やそれらの分散関係を調べた。これらのエキシトンは電気的・カラー的に中性になることができるため、(電荷やカラー荷を持つ粒子とは異なり)輸送現象における「中性カレント」として出現し、電気伝導や熱伝導に対するヴィーデマン・フランツ則の破れに寄与することが期待される。このような近藤エキシトンは、ディラック粒子やワイル粒子のような「相対論的」フェルミオンに対する近藤効果における普遍的な物理現象であり、クォーク物質に限らずディラック・ワイル電子系への応用も期待される。