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秦野 歳久; 後藤 正宏*; 山田 哲二*; 野村 雄一郎*; 斉藤 正克*
Fusion Engineering and Design, 49-50, p.207 - 212, 2000/11
被引用回数:3 パーセンタイル:26.39(Nuclear Science & Technology)核融合実験炉においてプラズマ対向機器の一つであるブランケットの使用材料はヒートシンクにアルミナ分散強化銅、構造材にステンレス鋼を冶金的に接合することが提案されている。その接合部は多くの研究から機械的な強度が低下することがわかっているが、解析的に接合部に集中する応力を解くことは非常に困難である。本研究は異材料接合体の破壊挙動評価としてASTMの規格をもとにき裂進展試験を実施した。試験片は接合部にき裂を入れたものと接合部に垂直にき裂を入れたものを用意し、破壊力学からモードIによる挙動を評価した。試験結果より、接合部のき裂は各母材よりも速く進展し、接合部に対して垂直なき裂は接合部に到達したときの応力拡大係数により異なる挙動を示した。
秦野 歳久; 金成 守康*; 佐藤 聡*; 後藤 正宏*; 古谷 一幸; 黒田 敏公*; 斉藤 正克*; 榎枝 幹男; 高津 英幸
Journal of Nuclear Materials, 258-263(PT.A), p.950 - 954, 1998/00
被引用回数:12 パーセンタイル:68.59(Materials Science, Multidisciplinary)遮蔽ブランケットにおいて製作時や運転時に大きな熱応力が発生すると考えられる銅合金とステンレス鋼の接合部において、破壊じん性試験を実施し、HIP温度の再評価を行った。その結果、1050Cが最も大きなじん性値を得られることがわかった。次にき裂進展試験を実施した。2つの試験片を用意し、1つはノッチ部に接合部、ほかはノッチ部と接合面が垂直なものである。試験の結果よりノッチ部に接合面のあるものはほかのものより早くき裂が進む。これをもとにき裂の進展挙動を観察する試験を実施した。3点曲げや丸棒試験片ともにき裂は接合界面より銅側に5~10mの幅の間を進むことが確認された。よって銅合金とステンレス銅の界材接合部ではき裂進展領域に母材よりも強度の低下が考えられる。この領域を制御することによって高い強度が得られるという結論を得た。
笠原 茂樹; 伊勢 英夫*; 筒井 伸行*; 知見 康弘; 西山 裕孝
no journal, ,
原子力機構ではJMTR炉心において中性子照射したステンレス鋼CT試験片を用いた照射下高温水中き裂進展試験を計画中であり、そのため遠隔でCT試験片に荷重負荷するための荷重負荷ユニットを開発した。荷重負荷ユニットはベローズ内圧と高温水圧力の差圧を推力とし、テコの原理で増幅して試験片荷重を発生させる仕組みである。照射下き裂進展試験の実施に先立ち、専用のロードセルを用いて荷重負荷ユニットで付与される作用点荷重を測定するとともにCT試験片のき裂先端における応力拡大係数評価を行った。その結果、荷重負荷ユニットの負荷・除荷制御の再現性に及ぼす構造影響要因を検討し、改善を図ることができた。またCT試験片のき裂進展に伴う応力拡大係数の変化は、一般的な定荷重方式に比べて緩やかであることを明らかにした。
笠原 茂樹; 知見 康弘; 西山 裕孝
no journal, ,
原子力機構ではJMTR炉心において中性子照射したステンレス鋼CT試験片と専用の荷重負荷ユニットを用いた照射下高温水中き裂進展試験を計画中である。荷重負荷ユニットはベローズ内圧と高温水圧力の差圧を推力としてCT試験片に荷重を負荷するものであり、現在、専用のロードセルを用いて差圧と荷重の関係に係るデータの拡充を図ると共に、ユニットそのものの力学特性に関する総合評価を実施している。今般総合評価の一環として、CT試験片の背面のひずみ量を荷重に換算する方法を確立し、実際にユニットを用いてCT試験片に負荷される荷重を定量的に評価した。発表では、き裂進展に伴うCT試験片荷重の変化に着目し、実験と解析の結果を比較した内容についても報告する。
笠原 茂樹; 知見 康弘; 西山 裕孝
no journal, ,
CT試験片は高温水中でのき裂進展速度評価に広く用いられているが、き裂内環境の詳細な評価事例は多くなく、特にき裂先端における酸化皮膜の形成やそれに及ぼす応力の影響を系統的に評価した例はなかった。そこで本研究では、0.5T-CT試験片を荷重負荷あり、なしの2条件で約290Cの高温水に浸漬し、疲労き裂の先端に形成した酸化皮膜を詳細に観察して荷重負荷の 影響を評価した。その結果き裂先端近傍に形成した酸化皮膜は、荷重負荷、無負荷のいずれの条件においてもCrリッチ層とFeリッチ層の2層から成り、自由表面で形成しやすいとされるNiリッチな構造と異なることがわかった。一方荷重負荷したき裂の先端では、2層の酸化皮膜とも無負荷で静置した 時よりも厚くなっており、酸化の促進が認められた。この相違は荷重負荷によるき裂の開口量に起因したと考えられ、き裂内環境が荷重負荷によって変化することを考慮する必要性を示唆する結果が得られた。
笠原 茂樹; 知見 康弘; 西山 裕孝
no journal, ,
CT試験片はステンレス鋼の高温水中き裂進展速度評価に広く用いられており、その機構論的な検討も重要な技術課題である。本研究では、き裂先端における酸化皮膜形成に及ぼす冷間加工の影響に着目し、溶体化と20%冷間圧延SUS316Lより製作した0.5T-CT試験片を荷重負荷あり、なしの2条件で約290Cの高温水に浸漬し、き裂の先端に形成した酸化皮膜の詳細評価を行った。その結果、溶体化材, 冷間加工材ともき裂先端近傍にはCrリッチな酸化皮膜が形成し、その厚さは冷間加工材の方が厚かった。その理由として、冷間加工によって導入された母相の加工転位が酸素拡散経路として働き、そこにき裂先端での応力集中が重畳したため、酸化皮膜の成長が促進されたものと考えられる。一方溶体化材では粒界に沿った酸化皮膜形成が認められた。これは、溶体化材では転位密度が小さく、他の酸素拡散経路としての粒界における酸化顕在化したものと思われる。以上、き裂先端において、材料への冷間加工と荷重負荷の重畳が酸化を促進する効果を示すことを明らかにした。