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久米 民和
放射線と産業, 0(67), p.17 - 22, 1995/00
放射線を用いた農林産廃棄物の有効利用について、オイルパーム空果房の飼料化を中心に解説する。世界各地で大量に発生している農林産廃棄物の中で、セルロース廃棄物は公害防止及び資源の有効利用の両面から注目されている。世界第1位のパーム油生産国では、セルロース廃棄物である空果房及び果肉繊維が各々年間300万トン排出されており、原研とマレイシア核技術研究所(MINT)との間で空果房の飼料化に関する検討を進めている。これまでに、放射線殺菌とマレイシア産ヒラタケによる発酵処理を組合せることにより、消化性のより飼料を生産できることが明らかとなり、MINTでパイロット・プラントの準備を進めている。また、パーム油産業はインドネシアでも著しい伸びを示しており、これらの国におけるセルロース廃棄物の飼料化の現状についても述べる。
松橋 信平; 久米 民和; 橋本 昭司; M.R.Awang*
Journal of the Science of Food and Agriculture, 69, p.265 - 267, 1995/00
被引用回数:5 パーセンタイル:34.44(Agriculture, Multidisciplinary)セルロース質廃棄物であるオイルパーム空果房(EFB)を利用するため、アルカリと線照射との組み合わせ処理による酵素分解性の変化について研究を行った。未処理のEFBは、ドリセラーゼ(市販セルラーゼ剤)による分解が困難であった。線を照射することにより、EFBの酵素分解性は増加し、線量の増加に従い、分解により生じたガラクツロン酸量、中性糖量も増加した。EFBの酵素分化により得られた中性糖の主成分は、グルコースとキシロースであった。これらの成分は、アルカリまたは照射処理したEFBで増加した。アルカリと照射の組み合わせ処理を行ったEFBでは、キシロースの量が著しく増加したことから、この組み合わせ処理は、EFBの酵素分解性の向上に有効であり、特にキシラン画分に有効であることが明らかになった。
Y.Atan*; M.R.Awang*; M.Omar*; A.Hashim*; 久米 民和; 橋本 昭司
Proc. of European-ASEAN Conf. on Combustion of Solids and Treatment of Products, 0, p.176 - 189, 1995/00
オイルパームのセルロース質廃棄物である空果房について、5種類の菌を用いて分解性を調べた。市販のオルガノミン、トーマス、オーレスC、オーレスII及びパーム油工場廃液から分離した菌を用いてコンポスト化を行った結果、いずれも1ヶ月以内に終了するという良好な成績が得られた。EFB培地に3%の硫安と1%の種菌を加え、水分含量を60%に調整して培養した結果、とくにトーマス菌によるコンポスト化が良かった。発酵産物のC/N比は25:1にまで減少し、直接肥料として施用できるものと考えられた。また、発酵産物の施用を行う際の安全性を確保するために、放射線による殺菌試験も行った。
久米 民和
第21回日本アイソトープ・放射線総合会議論文集, 0, p.B130_1 - B130_11, 1994/00
オイルパーム廃棄物の飼料化について、資源の有効利用及び環境汚染防止の観点から述べる。パーム油の生産にともない、製油工場から出る主要な副産物は、空果房(EFB)24%、果肉繊維(PPF)21%、核殻8%、パーム核粕2.5%である。同時に排出される廃水は、パーム油生産量の2~3倍であり、有機分が多く河川の汚染の原因となっている。従って、廃水中の固型分をスラッジとして回収し、一部は飼料として用いている。セルロース質廃棄物であるEFB及びPPFは年間300万トンにのぼり、肥料生産や燃料用に灰化あるいは燃焼され、煙公害の原因となっている。EFBは放射線殺菌と糸状菌による発酵処理を行うことにより、高タンパク質の飼料に変換することができた。また、EFB培地の栄養源としてスラッジを用いることが可能になれば、パーム油工場内の廃棄物だけで飼料化でき、効率的な資源のリサイクルが期待される。
M.R.Awang*; H.H.Mutaat*; M.S.Mahmud*; W.B.W.Husain*; T.Osman*; K.A.Bakar*; A.Kassim*; Z.U.W.Mahmud*; Manaf, I.*; 久米 民和; et al.
Radiation Physics and Chemistry, 42(4-6), p.611 - 616, 1993/00
被引用回数:2 パーセンタイル:29.75(Chemistry, Physical)オイルパームのセルロース廃棄物である空果房を用いて、P.sajor-cajuによる飼料化の検討を行った。照射した空果房におけるP.sajor-cajuの生育適温は25~28C、pHは6~8、水分含量は60~70%であった。CaCOを2%、米ヌカを5%加えた空果房培地が最適であった。発酵産物は、粗繊維含量が減少し、タンパク質含量が増加した。本発酵産物を反芻動物用の飼料として用いた結果、良好な消化率が得られた。発がん性を有するカビ毒アフラトキシンは、発酵産物から検出されることはなかった。
久米 民和; 松橋 信平; 橋本 昭司; M.R.Awang*; H.Hamdani*; 斉藤 秀治*
Radiation Physics and Chemistry, 42(4-6), p.727 - 730, 1993/00
被引用回数:8 パーセンタイル:63.65(Chemistry, Physical)大量に排出される未利用農林産資源の中で、オイルパーム工場の主要なセルロース質廃棄物である空果房(EFB)の有効利用について検討した。マレーシアでのEFB産出量は年間200万トン以上にのぼり、焼却による煙等環境への汚染の問題が指摘されている。放射線処理を利用したEFBの飼料化やキノコ生産が有効に行えることを明らかにした。EFBの微生物汚染は著しく、滅菌のためには25kGy,殺菌のためには10kGy必要であった。これらの線量を用いて殺菌あるいは滅菌したEFB培地に有用糸状菌を接種して発酵試験を行った。試験した糸状菌の中ではC.cinereus及びP.sajor-cajuの成績が良好であった。C.cinereusの30Cにおける固体発酵の結果、1ヶ月の培養でタンパク含量が13%に増加し、粗繊維含量は20%に減少した。P.sejor-cajuによるキノコ生産は、EFBに少量の米ヌカを加えることにより良好な結果が得られた。
久米 民和
Isotope News, 0(4), p.6 - 8, 1992/04
マレイシア原子力庁との二国間研究協力により進めている「オイルパーム廃棄物の飼料化」について、方法、特徴等を紹介した。本方法は、パーム油工場から大量に排出されるセルロース質廃棄物の一つである空果房(EFB)を放射線殺菌した後、有用糸状菌による発酵を行い飼料とするというものである。EFBに10~30kGyの照射を行い、キノコ類の菌を培養することにより良好な飼料が得られている。また東南アジア地方で用いられているヒラタケの一種P.sajor-cajuを用いたキノコ生産及びキノコ収穫後の廃培地の飼料としての利用についても述べた。
M.R.Awang*; H.H.Mutaat*; R.M.Deres*; 久米 民和
Proceedings of the International Conference on Evolution in Beam Applications, 0, p.501 - 504, 1991/00
前報で、オイルパーム空果房(EFB)試料3~6gを用いた小規模発酵試験において、Coprinus cinereusを用いることにより粗繊維含量20%、粗タンパク質含量13%の発酵産物が得られることを報告した。本報告では、大量の発酵産物を生産するために、発酵のスケールアップについて検討した。約400gのEFBをプラスチック袋に入れて発酵試験を行ったところ、C.cinereusでは粗繊維含量は33%と高かったが、粗タンパク質含量は11~13%であった。一方、食用キノコ菌であるP.cystidiosusやA.politricaでの発酵結果は良く、粗繊維含量26%、粗タンパク質含量は16%となった。また、1.5kgのEFB培地を詰めたプラスチックコンテナー(332813cm)でP.sajor-oajuを栽培した結果、粗繊維含量16~20%、粗タンパク質含量6~8%、キノコの内量250gという良好な発酵結果を得た。
久米 民和; H.H.Mutaat*; M.R.Awang*; 伊藤 均; 橋本 昭司
Proceedings of the International Conference on Evolution in Beam Applications, 0, p.497 - 500, 1991/00
オイルパームの生産に伴い大量に排出されるセルロース質廃棄物の空果房(Empty Fruit Bunch,EFB)及び果肉繊維(Palm Press Fiber,PPF)は、各々年間200万トンに上る。これらは主として焼却処分されており、煙公害の源ともなっている。近年環境規制の面からも焼却以外の新しい処理法の開発が望まれている。このような背景のもとに、大量の試料の殺菌処理に適している放射線処理と発酵処理による飼料化の検討を行った。汚染微生物の滅菌には25kGy以上の線量が必要であるが、糸状菌の殺菌には5~10kGyで十分であった。殺菌処理したEFB培地に各種糸状菌を接種し、発酵試験を行った。Coprinus,pleuorotus,Aspergillus,Vertisillium,Triohoderma菌の中では、Coprimcs cinereusの発酵結果が最も良かった。
久米 民和; 伊藤 均; 石垣 功; M.L.Juri*; Z.Othman*; F.Ali*; H.H.Mutaat*; M.R.Awang*; A.S.Hashim*
Journal of the Science of Food and Agriculture, 52, p.147 - 157, 1990/00
被引用回数:14 パーセンタイル:66.55(Agriculture, Multidisciplinary)オイルパーム廃棄物の発酵処理による有効利用を目的として、空果房(EFB)及び果肉繊維(PPF)中の汚染微生物及び成分に対する照射効果を検討した。微生物汚染は非常に著しく、種々の工場から採取したいずれの試料でも大差なかった。これら汚染細菌を検出限界以下にまで殺菌するためには15kGy以上必要であったが、糸状菌には5~6kGyで十分であった。ホロセルロース及びリグニン含量は各々約60%及び25%であり、照射による変化はわずかであった。EFB、PPFともに高い保水性を有しており、発酵培地に適していることも判った。これらの結果から、5~10kGyの照射では特に著しい成分変化もなく、発酵培地の殺菌手段として有効な方法であることが明らかとなった。