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中西 千佳*; 太田 雅和; 廣内 淳; 高原 省五
JAEA-Research 2023-012, 29 Pages, 2024/02
OSCAARプログラムは日本原子力研究開発機構で開発した原子炉事故の確率論的リスク評価プログラムである。OSCAARプログラムに含まれる、土壌表面に沈着した放射性核種の再浮遊による長期被ばくに関するモデルを改良するために、セシウム137の再浮遊係数を計算した。再浮遊係数の計算には、大気-土壌-植生の一次元モデルSOLVEG-Rを用いた。風速は粒子の再浮遊挙動に影響の大きい気象因子であることから、風速一定とした場合の再浮遊係数の年平均値を計算した。高さ1mにおける再浮遊係数の年平均値は、風速6m s未満では変動幅が比較的小さく、風速6m s以上では風速の上昇に対応して顕著な増加傾向を示した。風速1m sから7m sでの再浮遊係数の値は10から10 mの範囲内であった。
田中 泉; 吉元 勝起; 神 晃太*; 木村 光希*; 岩佐 和宏*; 大森 二美男*; 吉田 秀明*
JNC TN8440 2000-013, 179 Pages, 2000/04
プルトニウム転換技術開発施設は、昭和58年にプルトニウム試験を開始して以来約13年間運転を継続し、約12tのプルトニウム・ウラン混合酸化物粉末の製造を実施してきた。プルトニウム転換技術開発施設は、設備の経年劣化による設備更新を実施し、平成56年にかけて第1回設備更新として焙焼還元炉及び廃液蒸発缶等の更新を実施し、平成1011年にかけて第2回設備更新として脱硝加熱器、混合機、換排気設備等の更新を実施した。撤去設備の細断は、第2回目の更新工事において撤去したフィルターケイシング、分析グローブボックス等を細断し放射性廃棄物として処置したものである。またすでに処置された不燃性固体廃棄物のうち、プルトニウム含有率の高い大型廃棄物についても開梱を実施し、粉末等の回収を行った。本報告書は、細断工事の実施結果について工事方法、被ばく実績及び本細断で得られた知見(セル・グローブボックス系フィルターへの核物質の移行量の推定について、放射性物質の再浮遊係数測定結果)をまとめたものである。
上野 隆; 天野 光; 小林 義威
保健物理, 29(1), p.17 - 22, 1994/03
放射性核種と安定元素の環境中における移行挙動の関連を調べるため、降下物中の安定元素を放射化定量し、降下量の変化等を調査した。その結果次のことが明らかになった。(1)1984年から1990年の春先の降下量は、1989年のCoの高い降下量の観測以外に、きわだった経年変化は認められなかった。(2)Na,Cl,Brのグループ及びAl,Sc,V,Fe等のグループ内では降下量に相関がみられた。(3)Al,Sc,V,Fe等の降下量は、12月から4月に多く6月から10月に少く、Na,Cl,Brは、3月から8月に多く12月から2月に少い傾向を示した。これらの月変化は、東海村の卓越風と関係があると考えられる。(4)水盤によるCsの降下量の測定のうち土壌再浮遊の影響を見積り、この値の降下量に対する割合の変化を調べた。その経年変化は、大気圏内核実験が多かった1970年代には低く、1980年代から徐々に高くなっている。
日高 昭秀
no journal, ,
2011年3月15日に関東地方で観測されたAタイプの不溶性Cs粒子は、風速場と各炉の温度状況から2号機起源とされてきた。しかしながら、同粒子は、溶融・固化したケイ酸塩ガラスに覆われ、1号機起源の粒子より小粒径であることを考えると、3号機の水素爆轟時に生成し、爆風で原子炉建屋(R/B)深部に移動・沈着した粒子が、3月15日未明の3号機注水再開時に発生した蒸気流れによって再浮遊し、放出した可能性が高い。この仮説が正しいと仮定すると、粒子生成に寄与したCsは、3号機の水素爆轟時に同機のR/B内に存在していた分のみとなる。これ以外で環境中に放出されたCsの形態や化学形は、蒸発凝縮して生成したCsOHまたはCsBOエアロゾルであったと考えられる。今後、これらの情報が住民の被ばく評価や廃炉作業時の被ばく低減等に活かされることを望む。また、不溶性Cs粒子の生成については、再現実験等を通して生成機構を詳細に解明する必要がある。
阿部 智久; 吉村 和也; 眞田 幸尚
no journal, ,
大気浮遊じん中放射性セシウムの再浮遊は、吸入による長期的な内部暴露の経路の一つとなる可能性がある。そのため、大気中セシウム濃度及び再浮遊係数の変動傾向を把握することは重要である。我々は、原子力規制委員会が福島第一原子力発電所事故後から実施している大気モニタリング結果を解析し、事故初期から2017年までの期間における大気中セシウム濃度の変動傾向について検討した。また、第3次航空機モニタリングのセシウム沈着量の結果から、再浮遊係数を算出した。再浮遊は自然的・人為的要因で変動することが知られているが、福島における主な変動の要因を調べるため、本研究では避難指示区域内外で比較を行った。沈着初期の再浮遊係数は、チェルノブイリ事故時の報告とオーダーで一致し、再浮遊係数の長期変動傾向は、指数関数モデルで表された。
廣内 淳; 渡邊 正敏*; 林 奈穂; 長久保 梓; 松井 康人*; 米田 稔*; 高原 省五
no journal, ,
原子力発電所事故後の長期的な被ばく評価において、沈着した放射性物質からの外部被ばくのみならず、再浮遊物質による吸入被ばくも重要な経路の一つである。屋内外での再浮遊物質による吸入被ばくを評価するうえで、屋外での再浮遊係数と屋内への侵入割合を評価する必要がある。これらの値は風速や環境条件(建蔽率、地目)に依存するものの、今までの確率論的リスク評価においては、一定の値が用いられてきた。そこで本研究では、最新の知見を基に、屋外での再浮遊係数と屋内への侵入割合に関して、風速と環境条件の依存性を評価し、確率論的リスク評価に重要なパラメータを整備した。
長久保 梓; 林 奈穂; 松井 康人*; 廣内 淳; 米田 稔*; 高原 省五
no journal, ,
原子力発電所事故後の発電所周辺地域における居住環境での滞在による被ばくのうち、室内滞在時の被ばくは、室外の放射性物質に起因するものと室外から室内に侵入した放射性物質によるものに分けられる。そのうち、室外から侵入し、室内床面に沈着した放射性物質を含む粒子の再浮遊による内部被ばくを評価する場合、沈着する床面の材質や気流場が屋外とは異なるため、再浮遊粒子濃度分布モデル及び係数は室外のものとは異なることが考えられる。本研究では、室内における粒子再浮遊モデルを構築のため、室内の床に使用されている材料及び風速場について、様々な条件対する再浮遊粒子の濃度と再浮遊係数をシミュレーション及び実測によって評価した。