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荒井 康夫
燃料サイクル技術; 21世紀の燃料サイクルの構築に向けて, p.119 - 126, 2002/05
本報告は日本原子力学会「燃料サイクル技術」研究専門委員会報告書に掲載される予定である。現在、乾式分離技術の一つとして取り上げられている窒化物燃料の溶融塩電解プロセスについて解説したものである。原理,高速炉サイクルへの適用,核変換サイクルへの適用,原研等で進めている研究開発の現状及び今後の課題について記述した。
荒井 康夫
最新核燃料工学; 高度化の現状と展望, p.451 - 457, 2001/06
高速炉を中心とする先進的核燃料サイクルのオプションの1つとして提案されている、窒化物燃料と溶融塩電解再処理法の組合せによるリサイクル技術開発の現状について紹介するものである。窒化物燃料の製造,照射試験実績,乾式再処理についての国内外の研究開発状況とこれまでに明らかにされた成果と研究課題について述べる。窒化物燃料を用いた場合に問題となるN-15の濃縮とリサイクル技術のほか、高燃焼度までの照射試験実績の積み上げ、電解精製で回収される陰極析出金属の再窒化による燃料製造法の確立等が当面の主要課題であることを示した。
荒井 康夫; 小川 徹
核燃料, p.33_9 - 33_10, 2000/06
日本原子力学会2000年春の年会の核燃料部会企画セッション「乾式再処理の現状」において講演した内容を要約したものである。原研が進めている窒化物燃料の乾式再処理にかかわる研究の中で、アクチノイド窒化物の電解試験、塩化物溶融塩中での電気化学測定、陰極回収物の窒化プロセスなどの実験結果をおもに記述する。
藤田 玲子*; 中村 等*; 近藤 成仁*; 宇都宮 一博*
JNC TJ8420 2000-004, 41 Pages, 2000/03
乾式再処理技術の研究開発を進める際には、ウランやプルトニウム等を用いた試験の終了後に発生する使用済塩廃棄物を安全に保管することが重要である。そこで本研究では、乾式再処理試験で使用した塩廃棄物を安定に保管・管理する方法を検討するため、現状の塩廃棄物の保管・管理方法について調査した。溶融塩電解試験に使用した塩廃棄物を保管している研究機関に対する調査から、塩廃棄物は、ポリエチレン製ビニールで二重に包み、ビニールの口をビニールテープで封止して密封に近い状態にしたものをゴムパッキン付のドラム缶に装荷して保管していることがわかった。一方、模擬塩廃棄物を用いた保管試験から、温度および湿度は特にコントロールせず、外気とほぼ同じ状態にしても、多重シール性が確保できれば、塩廃棄物の長期保管ができる可能性のあることがわかった。なお、塩廃棄物が水分と接触すると吸湿し液体となる可能性があることを考慮し、あらかじめ高分子吸湿材を入れておくことが重要である。
白井 理; 岩井 孝; 塩沢 憲一; 鈴木 康文; 坂村 義治*; 井上 正*
Journal of Nuclear Materials, 277(2-3), p.226 - 230, 2000/02
被引用回数:24 パーセンタイル:80.74(Materials Science, Multidisciplinary)プルトニウム窒化物(PuN)のLiCl-KCl共晶塩系での溶解挙動をボルタモグラム測定等により検討した。理論的に導出したPuNの溶解電位(-0.865V)と実験値はほぼ一致した。陽極にはタングステンかご状電極を用い、その中にPuNを入れ、陰極にはモリブデン線を使用して、約0.54wt%のPuClを含む塩中でPuの電解回収実験を行った。陰極電位を固定した定電位電解と陰極・陽極間の電流を一定とした定電流電解を行い、グラムオーダーのPu金属を回収することに成功した。電解時の各電極の電位をモニターすることにより、陽極ではPuNが溶解してプルトニウムイオン(Pu)になり、陰極ではPuがPuに還元されて析出することを確認した。電析物は-Puを含むことをX線回折法により確かめたが、塩を多量にまき込んでいるため、Pu金属の単離は困難であった。
飯塚 政利*; 魚住 浩一*; 井上 正*; 岩井 孝; 白井 理; 荒井 康夫
Proceedings of 6th International Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation (CD-ROM), p.327 - 341, 2000/00
プルトニウムの挙動に関する電気化学的条件の影響及び乾式再処理における最適な条件を液体カドミウム電極を用いて調べた。液体カドミウム電極でのプルトニウム回収に対応する陰極電流密度は溶融塩中のプルトニウムイオンの拡散に律速され、その電流密度はプルトニウムイオン濃度に比例した。金属間化合物であるPuCdを過剰に生成する条件で電解した場合は、液体カドミウム電極の底に沈積していた。この挙動はアメリシウム共存系でも局所平衡モデルで説明できた。実験結果は、実験の装置及びプロセスにおいて、プルトニウム回収速度が十分に速いことを示した。
荒井 康夫; 小川 徹
Proceedings of 6th OECD/NEA International Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation, p.445 - 457, 2000/00
原研が進めている分離核変換技術開発中の、窒化物燃料と乾式再処理プロセスに関する最近の研究成果について紹介するものである。燃料製造分野では炭素熱還元法によるMA窒化物及び不活性母材含有窒化物の製造、照射試験分野では「常陽」で照射した(U,Pu)N燃料の非破壊照射後試験結果、乾式再処理分野ではMA窒化物の電解精製、液体陰極での電極反応機構及び液体Cd陰極へのPu回収実証試験結果について報告する。また、これまでの試験から明らかにされた課題と今後の研究計画についても触れる。
坂村 義治*; 井上 正*; 白井 理; 岩井 孝; 荒井 康夫; 鈴木 康文
Proc. of the Int. Conf. on Future Nuclear Systems (GLOBAL'99)(CD-ROM), 8 Pages, 1999/00
金属及び窒化物燃料用に開発されている高温化学再処理に関する研究の一環として、LiCl-KCl/液体金属系での超ウラン元素の挙動を調べた。ここではLiCl-KCl/液体Bi系でのNpの挙動に関する実験と、LiCl-KCl/液体Cd系でのPu及びAmの挙動に関する実験を行った。前者の実験では、液体Bi中へのNpの固溶度と過剰部分モル自由エネルギーを求めた。後者の実験では、液体Cd中でのPuの活量係数及びPuとAmの分配係数を評価したほか、溶融塩中においてAmが還元条件下ではII価で存在することを示した。さらにNp/Np(III)及びPu/Pu(III)の標準電極電位を決定したほか、得られた実験結果を用いて、LiCl-KCl/液体金属系中でのアクチノイドとランタノイドのふるまいについて、熱力学的側面から議論した。
河西 善充; 掛樋 勲; 毛呂 達; 東 達弘; 戸部 賢治; 河村 文雄; 米澤 重晃
JNC TN9400 98-003, 422 Pages, 1998/10
大洗工学センター先進リサイクル工学グループでは、経済性を抜本的に改善し、環境への負荷低減(MAリサイクル、廃棄物の極小化)を図り、かつ安全性、核不拡散性を向上させる先進的核燃料リサイクルシステムとして、溶融塩(乾式)技術を適用したリサイクルシステムの設計研究を進めている。本報告書は、平成8年12月にまとめた「先進的核燃料リサイクルシステムの設計研究(溶融塩を用いたリサイクルシステムの概念検討)」に引き続き実施した設計研究の成果をまとめたものである。本研究で実施した内容は、以下の通りである。(1)リサイクルシステムのシステム概念として、溶融塩技術を適用し、炉の建設計画に合わせリサイクルの需要バランスに柔軟に対応でき、標準化による経済性向上が図れ、また技術進歩(技術改良と新型燃料への移行性)に対して柔軟性がある再処理・燃料加工一体型モジュールリサイクルシステムの概念を構築した。このリサイクルシステムの経済性目標、システム容量等について検討した。この商用モジュールシステムの雛形となり、最小単位のモジュールシステム(10tHM/yの実証システム)について、システム構成とフローシートを検討し、まとめた。(2)モジュールシステムを構成する各システムの検討として、溶融塩電解システムの電解槽とカソードプロセッサの検討、溶融塩電解の熱力学的検討、MAリサイクルシステムの回収性能の解析、脱被覆システム、廃棄物処理システムの検討を行った。(3)リサイクルシステムのホットセルシステムの検討を行い、リニアモータ式ロボットによるマテリアルハンドリングシステムの概念、セルの構成・建屋配置計画をまとめた。また、ホットセル内の電解槽等の臨界解析、リサイクル施設の計量管理技術の調査・検討等を行った。本システム設計研究は、ここで示したシステム概念検討結果をベースに炉・燃料の設計研究と整合を取りつつ、高速炉を中心とした核燃料サイクルの実用化像の構築に向け、更に進めていく予定である。
鈴木 康文; 小川 徹; 荒井 康夫; 向山 武彦
Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation, p.213 - 221, 1998/00
原研におけるマイナーアクチノイド消滅のための窒化物燃料サイクルに関する原研の現状について述べる。最近の研究は高温化学再処理及び物性データベース整備を軸に行われている。高温化学再処理に関しては、LiCl-KCl中でのアクチノイドの電析や窒化物の電解によるアクチノイド金属の回収などが行われている。また、NdNとCdClの反応により窒素の放出挙動が調べられた。熱伝導や照射挙動といった物性データベース整備についても述べた。
白井 理; 岩井 孝; 鈴木 康文; 坂村 義治*; 田中 博*
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.685 - 688, 1998/00
被引用回数:85 パーセンタイル:94.83(Chemistry, Physical)ウラン及びプルトニウム塩化物を含むLiCl-KCl共晶塩系での電析・溶解反応をサイクリックボルタンメトリーにより検討した。ウラン及びプルトニウムの塩化物の調製法を紹介し、これら塩化物を原料として0.5~1.0wt%のUClあるいはPuClを含むLiCl-KCl共晶塩系で作用極にタングステン及びモリブデンを用いて723K~823Kで測定を行った。ボルタモグラムの解析から、ウラン及びプルトニウムの電析溶解反応は若干非可逆性を帯びていることがわかった。また、アンダーポテンシャルデポジションによる作用極表面へのウラン及びプルトニウムの吸着波及び脱着波が観察されたが、これらの反応により電析・溶解反応が複雑化しているため、解析が困難であることも述べる。なお、ウランの場合は、U/Uのレドックス反応が観察されるが、この反応は可逆であった。
荒井 康夫; 岩井 孝; 中島 邦久; 白井 理; 笹山 龍雄; 塩沢 憲一; 鈴木 康文
JAERI-Tech 97-002, 45 Pages, 1997/01
アクチニド窒化物の溶融塩電解と実験用アクチニド合金試料の調製を主な使用目的とするアルゴンガス雰囲気グローブボックス並びに内装機器を製作した。グローブボックスは、アクチニドを安全に取り扱うことに加えて、反応性に富む窒化物や合金試料、さらには塩化物溶融塩等を組成変化なしに取り扱うために、良好な負圧維持機能を有するとともに、高純度の不活性ガス雰囲気を確保することに重点をおいて設計、製作した。主要な内装機器として、溶融塩電解装置、電極処理装置、電解試験装置、アーク溶解炉、試料焼鈍装置及び熱量測定装置を上記グローブボックス内に格納した。これらについても、それぞれの実験目的に合致した諸性能を有していることを確認した。
鈴木 康文; 小川 徹; 大杉 俊隆; 荒井 康夫; 向山 武彦
Proc. of 4th Int. Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transm, 0, p.178 - 188, 1997/00
専焼炉等における超ウラン元素の消滅のための窒化物燃料サイクルに関する研究開発状況を紹介する。紹介内容としては、燃料製造技術、特性測定、照射試験、溶融塩電解及び乾式再処理でのマス・バランス評価が含まれる。
荒井 康夫; 岩井 孝; 中島 邦久; 鈴木 康文
Proc. of Int. Conf. on Future Nuclear Systems (Global'97), 1, p.664 - 669, 1997/00
一昨年ベルサイユで開催されたGlobal'97以降、原研で進められてきたアクチニド窒化物燃料の実験研究の成果を紹介するものである。燃料特性評価においては、U及びPu以外にNpを含む窒化物固溶体に着目し、それらの熱伝導度の温度依存性及び組成依存性を明らかにするとともに、高温質量分析法を用いて蒸発挙動を測定した。照射挙動解析では、JMTRにおいて燃焼度5.5%FIMAまで照射した燃料ピンの照射後試験結果から、その健全性を明らかにするとともに、FPガス放出やスエリング等について新たな情報を得た。また、乾式再処理への適用の分野では、新規に設置したグローブボックス内の溶融塩電解試験装置を用いて、今後の試験を進める上での基本となる、LiCl-KCl共晶塩中でのPu及びNpの電析挙動を調べた。
荒井 康夫; 鈴木 康文; 半田 宗男
Global 1995, Int. Conf. on Evaluation of Emerging Nuclear Fuel Cycle Systems,Vol. 1, 0, p.538 - 545, 1995/00
アクチノイド窒化物は、優れた熱的、核的特性から高速炉用新型燃料及びTRU消滅のための専焼炉燃料の候補として着目されている。本稿では、原研で進めてきた同燃料のR&Dについて要約した。高純度のウラン、ネプツニウム、プルトニウム窒化物及びそれらの固溶体試料は、酸化物の炭素熱還元により調整し、物性測定や照射試験に用いる燃料ペレットの焼結挙動についても検討を加えた。熱伝導度、蒸気圧等の高温物性値の温度及び組成依存性を明らかにするとともに、照射挙動把握と燃料健全性実証を目的とした照射試験も並行して実施している。さらに、アクチノイド窒化物の新しい燃料サイクルへの適応性を検討するための、溶融塩中での電解試験についても簡単に触れた。