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高見澤 悠; 端 邦樹; 西山 裕孝; 外山 健*; 永井 康介*
Journal of Nuclear Materials, 556, p.153203_1 - 153203_10, 2021/12
被引用回数:3 パーセンタイル:43.41(Materials Science, Multidisciplinary)原子炉圧力容器鋼における中性子照射脆化に及ぼすシリコンの影響を明らかにするため、三次元アトムプローブにより、高照射量領域まで中性子照射された監視試験片中の溶質原子クラスタを分析した。高Cu含有材では、Ni, Mn, Siがクラスタ中心のCu原子を囲むように凝集し、コアシェル構造を形成するのに対して、低Cu含有材ではNi, Mn, Siがクラスタ中を均一に分布していた。クラスタ内のCu原子の数はCu含有量の減少と共に減少したが、それを補うようにSi原子数が増加した。材料中の公称のSi含有量の増加とともに、クラスタのギニエ半径は減少し、数密度が増加した。結果として、クラスタの体積率は一定であった。延性脆性遷移温度移行量とクラスタの体積率とギニエ半径の積の平方根が良い相関関係を示すことから、脆化の主要因は、溶質原子クラスタを転位が切断するメカニズムによる硬化であることが示された。また、Si含有量の増加により、クラスタの体積率は一定のままギニエ半径が減少することで脆化の程度を減少させることが示された。
大岡 紀一*; 石井 敏満
非破壊検査, 52(5), p.235 - 239, 2003/05
国内の原子力発電プラントの使用期間延長が計画されている中で、長期間運転に伴う原子炉圧力容器の照射脆化の予測や評価に資する新たな手法の開発への取り組みが盛んに行われている。本稿は、原子炉圧力容器の供用期間中の健全性を評価するための現行の監視試験法について、また、運転期間の延長に伴う監視試験片数の不足への対応として、試験を終了した照射後試験片の一部を利用して新たな照射試験片を製作するための「監視試験片の再生技術」などの技術開発及び原子炉圧力容器の照射脆化を非破壊的に評価するための技術開発について紹介したものである。
鬼沢 邦雄; Van Walle, E.*; Pavirich, W.*; Nanstad, R.*
NUREG/CR-6777, 81 Pages, 2002/08
本報告書は、米国ASTMが主催したシャルピー衝撃試験片再生に関するラウンドロビン試験結果をとりまとめたものである。この試験片再生ラウンドロビンは、インサート部の長さ、シャルピーハンマーの刃先形状、溶接接合方法等の影響を比較検討し、試験片再生に関するASTM規格E1253のレビューに寄与することが目的である。各国から10機関が独自の技術で再生を行い、米国ORNLにおいてすべてのシャルピー衝撃試験が実施された。試験結果は、14mmのインサートを用いた場合には再生の影響はほとんど無いことが確認された。また、溶接方法とハンマー刃先形状の組み合わせで再生の影響が分類できることを示した。すなわち、スタッド溶接及び突き合わせ溶接でASTM刃先の場合が最も影響が大きく、電子ビーム溶接でISO刃先の場合に最も影響が少ない。その他、溶接法及び機関間の相違や、衝撃荷重に関する比較検討を行った。
鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀
Effects of Radiation on Materials: 20th International Symposium (ASTM STP 1405), p.79 - 96, 2001/07
原子炉圧力容器の健全性評価では、シャルピー衝撃試験から得られる遷移温度シフトが破壊靱性のシフトと等しいと仮定して、照射後の破壊靱性を評価している。そこで本研究では、予き裂シャルピー破壊靱性(PCCy)試験片を用いて求めた破壊磁性シフトとシャルピー遷移温度シフトとの比較を行った。4種類の国産圧力容器用ASTM A533B-1鋼を用い、中性子照射試験はJMTRにおいて、最高1310(n/cm,E1MeV)まで実施した。また、照射後焼鈍による脆化の回復挙動についても、双方のシフトを比較した。焼鈍条件は、350及び450で100時間である。破壊靱性シフトは、最弱リンク理論に基づくマスターカーブ法を適用して求めた。ばらつきは大きいものの、破壊靱性遷移温度のシフトは、シャルピー試験から求まる遷移温度シフトとほぼ等しいという結果を得た。
鬼沢 邦雄; 飛田 徹; 鈴木 雅秀
Effects of Radiation on Materials (ASTM STP 1366), p.204 - 219, 2000/00
原子炉圧力容器鋼の延性-脆性遷移温度域における破壊靱性評価への照射効果について、予き裂シャルピー破壊靱性(PCCv)試験片を用いて検討した。試験には、4種類の国産圧力容器用ASTM A533B-1鋼を用いた。PCCv試験片に対する中性子照射試験は、JMTRで行った。破壊靱性試験結果に現れた試験片寸法効果を補正するため、最弱リンク理論に基づく補正式を適用した。破壊靱性のばらつきに関しては、ワイブル統計処理に基づく評価を行った。中性子照射は、破壊靱性のばらつきにはほとんど影響しないという結果が得られた。また、ASTMで提案されているマスターカーブ法及び国内の手法を適用し、照射後破壊靱性遷移曲線を評価した。破壊靱性遷移温度のシフトは、シャルピー試験から求まる遷移温度シフトよりもやや大きいという結果を得た。破壊靱性の下限値の評価法についても検討を行った。
鬼沢 邦雄; 飛田 徹; 鈴木 雅秀
Proceedings of 15th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT-15), 4, p.137 - 144, 1999/00
本報告の目的は、原子炉圧力容器の監視試験に適用可能な、小型試験片による破壊靱性評価法について検討することである。延性-脆性遷移温度域の破壊靱性評価に関して、予き裂シャルピー破壊靱性(PCCv)試験片の適用性を検討した。試験には、IAEAの共通鋼材を含む5種類の国産の圧力容器用ASTM A533B-1鋼を用いた。PCCv試験片は、監視試験片である標準のシャルピー衝撃試験片から作製できるために選択した。標準型の1T-CT及び4T-CT試験片を用いた破壊靱性試験も実施した。JMTRにおいてPCCv試験片に対する中性子照射を行い、照射前後の破壊靱性のばらつきがほとんど変化しないことを確認した。さらに、破壊靱性マスターカーブ法を適用して、照射による破壊靱性参照温度のシフトを求めたところ、シャルピー試験から求まる遷移温度シフトよりもやや大きいという結果が得られた。
西山 裕孝; 深谷 清; 鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀; 中村 照美*; 貝原 正一郎*; 吉田 和夫*; 佐藤 彰*
JAERI-Tech 98-041, 30 Pages, 1998/10
本報告書は平成7,8年度に実施した照射試験片の再生技術の開発に関する原研・IHI共同研究の成果をまとめたものである。当該年度は、表面活性化接合法の高度化を図るために、接合面形状の変更を行い、接合制御パラメータとしてトルクを導入した。また、接合した試験片の非破壊検査、接合中の試験片の温度測定等を行うとともに、接合がシャルピー衝撃試験結果に与える影響等について詳細に検討した。さらに、中性子照射を受けても接合部の健全性が確保できることを示した。
鬼沢 邦雄; 飛田 徹; 鈴木 雅秀
Proc. of 2nd Int. Workshop on the Integrity of Nuclear Components, p.273 - 289, 1998/00
原子炉圧力容器の監視試験に適用できる破壊靱性評価法についての研究を進めている。国産圧力容器用ASTM A533B-1鋼について、予き裂付きシャルピー型破壊靱性(PCCv)試験片の適用性を検討した。破壊靱性値に及ぼす試験片寸法効果を補正するため、最弱リンク理論に基づく補正式をPCCvデータに適用した。破壊靱性のばらつきに関して、ワイヤブル統計処理に基づく評価を行った。ワイヤブル形状母数の比較から、照射により破壊靱性のばらつきがやや小さくなる傾向が示された。また、ASTMで提案されているマスターカーブ法及び日本電気協会規定の手法を適用し、照射後破壊靱性の評価法を検討した。保守的評価のためには、照射前のデータベースを拡充することが重要であることを示した。
鬼沢 邦雄; 深谷 清; 西山 裕孝; 鈴木 雅秀; 貝原 正一郎*; 中村 照美*
Int. J. Press. Vessels Piping, 70(3), p.201 - 207, 1997/00
被引用回数:13 パーセンタイル:71.86(Engineering, Multidisciplinary)原子力プラントの供用期間を長期化する場合、圧力容器の照射脆化を評価するための監視試験片が不足する可能性がある。そのため、試験後の試験片の未変形部分を利用して試験片を再生する手法として、表面活性化接合法の適用性を検討した。この表面活性化接合法では、真空中で回転摩擦を用いて表面を活性化することにより、試験片を溶融させずに低温で接合させることが可能である。接合時の発熱は照射脆化の回復につながるため、低く抑える必要がある。圧力容器用A533B-1鋼を用いて、接合時の温度分布及び接合したシャルピー試験片によるシャルピー特性についての検討を行った。その結果、本接合法は他の溶接による接合に比べて発熱領域を小さくでき、またシャルピー遷移温度の評価も可能であることがわかった。これらから、本接合法が他より最も試験片再生に適していることが確認できた。
中村 照美*; 貝原 正一郎*; 吉田 和夫*; 佐藤 彰*; 鬼沢 邦雄; 西山 裕孝; 深谷 清; 鈴木 雅秀
石川島播磨技報, 36(2), p.91 - 97, 1996/03
試験済みの原子炉圧力容器監視片(シャルピー衝撃試験片)の未変形部分を利用し、シャルピー衝撃試験片を再生する方法として、材料を溶融させずに低温で接合可能な表面活性化接合法の適用を検討した。その結果、本手法が他の溶接による接合法と比較して、接合中の温度上昇や熱影響部幅を抑えるという試験片再生技術に求められる要件において、より優れた試験片再生手法であることを確認した。また、本手法により接合した継手のシャルピー衝撃特性は母材と同等であった。
西山 裕孝; 深谷 清; 鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀; 柴田 勝之; 貝原 正一郎*; 中村 照美*; 佐藤 彰*; 吉田 和夫*
JAERI-Tech 96-003, 30 Pages, 1996/02
原子炉圧力容器用ASTM A533B-1鋼を用いて、表面活性化接合法によるシャルピー衝撃試験片再生法について、実際の試験片寸法、再生手順を模擬した接合試験を実施し、接合条件等を確立した。今年度は、超高真空接合装置を新たに整備し、熱影響部幅が接合界面から片側約1mmとなる接合条件を見いだした。また、実際のシャルピー試験片101055mmと同じ断面寸法を有する角型試験片と丸型試験片(16mm)の接合では、角型試験片に変形防止用サポートを接着することにより、1010mmの全面で接合が得られた。さらに、接合面の形状を凹凸にすることにより、熱影響部幅を均一に、しかも狭くした接合が可能となった。一方、放射化材を取り扱える遠隔操作型接合装置の基本仕様について検討し、接合機構、装置寸法の制約等を示すとともに、基本性能を定めた。
中村 照美*; 西山 裕孝
原子力工業, 42(9), p.26 - 29, 1996/00
使用済みの原子炉圧力容器監視試験片(シャルピー衝撃試験片)の未変形部分を利用してシャルピー衝撃試験片を再生する方法として、熱影響が小さい接合を可能とする表面活性化接合法を適用した。その結果、本方法が他の一般的な溶接による接合法と比較して、照射脆化の回復防止のために接合時の温度上昇を抑えるという試験片再生の技術的な要件において、より優れた方法であることを確認した。また、接合によるシャルピー衝撃特性への影響についても検討した。
鬼沢 邦雄; 深谷 清; 西山 裕孝; 鈴木 雅秀; 柴田 勝之; 鴻坂 厚夫; 貝原 正一郎*; 中村 照美*; 佐藤 彰*; 吉田 和夫*; et al.
JAERI-Tech 94-017, 58 Pages, 1994/09
原子力プラントの供用期間を延長する場合、原子炉圧力容器の監視試験用試験片が不足する可能性がある。そのため、試験済みのシャルピー衝撃試験片を有効に利用し、シャルピー試験片を再生する手法として、表面活性化接合法の適用性を検討した。表面活性化接合法では、真空中で回転摩擦を用いて表面を活性化することにより、原理的に試験片を溶融させずに低温で接合させることが可能である。本報告では、原子炉圧力容器用鋼材を用いて、表面活性化接合法によるシャルピー試験片再生法の基礎的検討を行った。この結果から、接合部近傍の組織変化領域幅を片側1.5mm以下、照射温度以上に上昇する領域幅を片側3mm以下に抑えることができることがわかった。本手法が、他の溶接による接合法と比較して、より優れた試験片再生法であることが確認できた。
鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀; 植田 脩三
JAERI-M 93-201, 73 Pages, 1993/10
原子炉圧力容器鋼の照射脆化に関するIAEA協力研究PhaseIII計画の一環として、原研ではニッケル及び銅含有量を変えた7種類の鋼材を用いて中性子照射試験を実施した。中性子照射試験はJMTRで行い、破壊靱性試験を含む照射後試験は東海ホットラボにて実施した。得られた結論は次の通りである。(1)鋼材中のニッケル含有量の増加に比例して、照射硬化・脆化は増加する,(2)中性子照射による降伏応力の増加は、硬さの増加及びシャルピー遷移温度シフトと良い相関がある,(3)上部棚温度域では、破壊靱性の照射による低下と照射硬化には良い相関があるが、シャルピー吸収エネルギと照射硬化には良い相関は認められなかった。
小池 通崇; 秋山 隆; 石川 敬二; 永松 健次; 新沢 達也; 柴原 格
PNC TN9410 92-321, 30 Pages, 1992/10
「ふげん」第2回取り出し圧力管材料監視試験片(照射期間8年、高速中性子照射量 5.61021n/CM2(E 1MeV))の結果について健全性評価を行った。試験項目は、引張、曲げ、腐食及び水素分析である。照射後試験データにより圧力管材料の延性及び脆性上の評価を行った結果、健全であることがわかった。また、腐食による材料の減肉量及び材料への水素吸収量も設計値よりも小さく、良好な結果が得られている。
古平 恒夫; 石本 清
JAERI-M 5868, 29 Pages, 1974/10
軽水動力炉圧力容器の中性子照射脆化に対する構造安全性を確保するための一環として、圧力容器内に種々の試験片を装荷し、定期的に炉外に取出して試験を行なう、いわゆる、監視試験が実施されている。現在、監視試験に対する規程として、我国においては日本電気協会のJEAC 4201、米国においてはASTM E185があるが、後者は1973年に改訂が行なわれている。本報告は、JEAC 420とASTM E185の1966年および1973年の3者について、その差違、特徴等を比較検討し、その課題をまとめたものである。
藤村 理人
日本原子力学会誌, 10(6), p.337 - 342, 1968/00
海外ばかりでなく、わが国においても、軽水型原子力発電所の建設の進捗は目を見はるものがある。原子炉圧力容器の建造について、わが国では技術的に未解決の問題がいくつかあるが、その中で大きな問題は、構造設計基準の確立,建造時の検査,試験方法の合理化および運転途中の定期検査法の確立の3つをあげることができる。ここで著者が述べようとする圧力容器監視試験は定期検査の一環をなすものである。最近、原子炉圧力容器の構造設計の問題が種々討議されるようになり、圧力容器の監視試験のあり方について、IAEAでは1967年とひきつづいて国際会議を開催して討議した。